【SS】風紀委員を甘やかしたい

  • 1二次元好きの匿名さん22/07/22(金) 17:42:07

    『…ショートケーキ安売り…かぁ』
    普段気にしたことはなかったが、今日は”ショートケーキの日”らしい。
    …そういえば担当の彼女は、普段こういうものを食べていない気がする。
    『すみません、1つください』
    「はーい!300円になります」

    箱に入ったケーキを机に置いたまま、トレーナー室で事務仕事をして彼女を待つ。
    しばらくして、ドアが開く音がした。
    「トレーナーさん!今日もトレーニング、よろしくお願いするっス!」
    担当ウマ娘…バンブーメモリーがトレーナー室に入ってきた。
    『よろしく!けれど、その前に…』
    「ん?」
    さっき買ってきたショートケーキを箱から出す。
    「ケーキ…?何かめでたいことでもあったんスか?」
    『単純に安かったんだ。よければ食べてくれ』
    「えっ!?アタシのなんスか!?」
    たまには彼女も甘いものでも食べたいんじゃないかと思い、買ってきたことを伝える。

  • 2二次元好きの匿名さん22/07/22(金) 17:42:19

    『普段頑張ってるご褒美だよ。トレーニングじゃない時でも風紀委員の活動頑張ってるし、バンブーはすごくえらいよ』
    「と、トレーナーさんっ…!」
    彼女は感極まった顔で、フォークを持ったが…
    「…いや、トレーナーさんも半分どうぞ!」
    『え?これはバンブーの…』
    「トレーナーさんの見てるところで1人で食べるのは流石に気がひけるっス!それに、こういうのは一緒に食べた方が美味しいっスよ!」
    …結局押されて一緒にケーキを食べてしまった。

    『もっと甘やかしてあげたいのにな…』
    頑張る彼女を見て、自分はそう感じた。
    「え?甘やかしたい…?このケーキはそういうことだったんスか!」
    『あ…』
    うっかり声に出ていたことに気がつく。
    「…トレーナーさんがアタシのこと見てくれてるだけで、十分アタシは嬉しいっス!だから…その、無理にこういうことしなくても大丈夫っス!」
    …彼女を甘やかすどころか、フォローをもらってしまった。
    『ごめんね…』
    「あ〜…謝らないで欲しいっス!…本当にアタシ、感謝してるっスから!」
    …彼女の少し困ったような、けれど裏の感情など感じない笑顔。
    その”感謝”が伝わった気がして…甘やかすことはできなかったが、少し距離が近づいたと、そう思える時間だった。

  • 3二次元好きの匿名さん22/07/22(金) 17:43:08
  • 4二次元好きの匿名さん22/07/22(金) 18:59:50

    イッチはベタベタし過ぎない距離感を書くのが本当に上手いな

  • 5二次元好きの匿名さん22/07/22(金) 19:17:17

    >>4

    そんなふうに言ってもらえると本当に嬉しい…!

    ありがとう!

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