【SS】ライバル｜あにまん掲示板

1二次元好きの匿名さん22/07/24(日) 12:58:33

これはトレーニングルームでの話。
「オグリ先輩っ！！！」
「む…？」
不意に大きな声をかけられ振り返るトレーニング中のオグリ。
「バンブーか…どうした？」
「…次の”マイルCS”の話っス」
「ああ、私が出るレースだな」
「…アタシも出ます」
「…！」
同じレースに出る。それはライバルとして走るということ。
「…宣戦布告、か。…いいレースをしよう」
「よろしくお願いします…っ！」

そのやり取りの後、トレーニングルームから出てきたバンブー。
「…だはあぁぁぁっ！疲れたっス…」
…ずっと憧れだった人と一緒に走ることになった上に、その宣戦布告をしてきたわけだ。緊張もする。
「…ついに、走るんスね」
今年の最初の方はまだ条件戦を走っていたことを考えると、夢のようで…
「実感が湧かないものっスね、いざ走るってなると」
けれどそれは、間違いなく現実だった。
あの日『安田記念』を勝った彼女は…ここまで来た。来てしまったのだ。

2二次元好きの匿名さん22/07/24(日) 12:58:43

その日の夜。
「…バンブーさん？」
「あれ、ヤエノ？どうしたんスか、こんなところで…」
「こちらの台詞です。普段ならこんな時間に出歩かないどころか、取り締まる側じゃないですか」
「えっ…あ！？もうこんな時間！？」
珍しい方向性のミスをする彼女を、ヤエノは不思議な目で見る。
「…何かあったのですか？」
…昼間の宣戦布告のことを話す。
「…なるほど。ついにオグリさんと…」
「…やっと、オグリさんやヤエノ達と同じ舞台で争えるところまで来たってことっス！嬉しいけど、実感が湧かなくて…」
「これから嫌でも湧きます。…『マイルCS』には出ませんが、いつか私とも争う機会があるでしょう。その時を楽しみにしますので…それまでには、”実感”をつかんでくださいね」
「…っス」
「…少し気晴らしに河原で鍛錬を積む予定なのですが。よければ一緒にどうですか？」
「あ…行くっス！」

河原で素振りをしながら、これからに思いを馳せる。
（…きっとこれから、沢山のライバルと戦うことになる）
その実感はまだ湧かないが…
（…楽しみっス！）
その気持ちは、確かだった。