【SS】しずかにそこに｜あにまん掲示板

1二次元好きの匿名さん22/07/27(水) 18:21:16

夏の夕方、蝉の鳴き声が響く河添いの遊歩道。
今日一日ここで走り込みをしていた担当ウマ娘、アストンマーチャンと共に自分は帰り道を歩いていた。

自分のする他愛もない話を、彼女は鈴の鳴るような笑い声を上げながら聞いてくれる。
そんな彼女を眺めていて、ふと気がついた。
ずっと彼女と話していたが、一時も目が合わないタイミングがない。
周りでは散歩中の子犬の鳴き声や、河のせせらぎなども聴こえているのに…
彼女はただ、自分の話にだけ耳を傾けていた。

その気づきを彼女に伝えてみると、その丸く可愛らしい目をさらに丸くして驚いた。
どうやら自覚はなかったらしい。
けれど、そこからその話を続けて気がついたが…ずっと目があったままだったと言うことは、自分もずっとマーチャンを見ていたということになる。
…なんだかお互い照れてしまい、わざとらしく目を逸らした。

自分が目を逸らした先にあったのは、少し早めに登った月。
…まだ夕方だったが、綺麗だった。
その月の存在を彼女にも教える。
月に気がついた彼女は、目を輝かせて一緒に月を眺めてくれた。
その横顔は、とても眩しかった。

そんなささやかな…側から見ればどうでも良いかもしれないやりとりをしながら、まだ長い帰り道を辿る。