- 1二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 01:25:38
ある日、深夜残業を終えた私は徒歩で帰宅していた。
途中までは車通りの多い道だが、少し離れて住宅街に入り込めば、ビル向こうで走る車の排気音がほんの微かに聞こえる静かな道が続いていた。
私は疲れていた。もしかしたら五月病かもしれない。それとも燃え尽き症候群かもしれない。ともかく、仕事には集中出来ないしミスも多いし、自他共に様子がおかしいと感じていた。
特に、昨日今日のミスは大きかった。周りからしこたま叱責され、その度に猛省した。
しかし、ミスに心を引きずられすぎるのも良くない。そんな時、私は頭の中のキングと会話するようにしている。キングの励ましや気遣いが、私の気持ちを切り替えるルーティーンになっていた。
その日も私は、街頭がほとんどない夜道をのそのそと歩きながら頭の中のキングと会話していた。
そして、自宅マンションのすぐ近くにさしかかった時だった。私の視界に、植え込みの木々が目に入った。真っ暗な夜でも、葉の緑色はしっかりと認識できた。
すると、いつのまにか、本当にいつのまにか、私のすぐ隣をキングが勝負服で歩いていた。
もちろん、木の葉の緑色を錯覚していると自覚していたが、その気配があまりにもリアルで、私はささやかな興奮と確かな動揺を感じていた。
しかし、この瞬間は紛れもなくチャンスだった。いつも脳内でしか会話出来なかったキングと言葉を交わすことが出来るのだ。だから、私は何かキングと話そうと思った。
それなのに、言葉が出なかった。小心者の私は、キングの幻影にさえ『相手が興味のない話題は振りたくないな』と気を遣い、何も言葉を発することが出来なくなっていた。
五秒ほどだっただろうか、私が声を詰まらせている間に、またもやキングの姿はいつのまにか認識出来なくなっていた。
私は足を止めて、植え込みの木を見ながらキングの姿を目の前に浮かべようとしたが、先程の理外を超えた存在感を与えることは出来なかった。
あの日から一ヶ月以上経つが、私は今でも後悔している。私は、どうして彼女に話しかけることが出来なかったんだろうか。
彼女を堂々とスカウトしたトレーナーと私の勇気の差を突きつけられたように感じた。 - 2二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 01:27:06
- 3二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 01:27:11
なんか星新一のショートショートにありそう
- 4二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 01:28:25
いいなその能力
俺も隣にマーベラスサンデーが歩いてたら良いのに - 5二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 01:29:49
つまりなんだ
木ングヘイローってことか? - 6二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 01:37:34
- 7二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 01:38:38
これかキング版一歩半ですか
- 8二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 01:42:14
世にも奇妙な物語ですか?
- 9二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 01:42:33
こわいよぉ
- 10二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 01:44:36
助かったのかもしれない
もし話しかけていたらスレ主も植え込みの一部になっていたんだろう - 11二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 02:19:16
ちゃんとこっち側によすがを作って置かないと戻れなくなっちゃうよ
- 12二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 02:21:27
やべーのが出てきたけど実際隣にそういうのが居たら何も話せないってのも分かる
自己投影とか言われるが根本的に自分とトレーナーとか主人公は違うんだなって思うよね - 13二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 02:28:52
>>1は自分を卑下してるみたいだけどこの場合は話しかけられなくてよかったんだと思うよ
多分だけど話しかけてたらもうこちらには戻ってこられなかったんじゃないかな
- 14二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 02:33:17
- 15二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 02:36:45
- 16二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 07:14:15
ルーティーンの時点でおかしい
- 17二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 07:17:15
安部公房か?
- 18二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 07:47:04
BOSSの広報担当ですか?