なぁ……どうしてもダメか？Cygames

「マックちゃんにはまだはえーぜ」

そうカッコつけてソファで寝ようとするこの男を無理やり同じベッドに連れ込んで暫く経つが一向に手を出してこない。普段の手のはやさは何処へいったというのか。
癪だったので胸板に顔を押し付け抗議の態度を示そうとしたら彼の鼓動が聞こえてくる。ドクン、ドクンとかなりうるさく早鐘を打っており、どうやら一応こちらを意識してはくれているらしい。
視線を上に向けて彼の顔を見れば紅の差した顔を片手で隠して此方の視界から逃げるようにしていた。そんな姿を見ると普段は粗野でスケベな彼が何故だか可愛く思えて、でもそのままは少し可哀想だったので私は自分の手を彼の背中に回して落ち着かせるために優しく擦ってやった。
どれくらいそうしていただろう、少しずつだが彼の鼓動は落ち着いてゆき、両手を私の腰に回して私の体をより自身の体に密着させようとして来る。
彼の暖かさが伝わってくる、鼓動が一定のリズムで耳から私の体に浸透してきてなんだか眠くなってきてしまう。

「眠っても大丈夫だぜ」

そうやって頭を撫でられると此方も抵抗できずに睡魔に身を任せてしまう。こっちがたまには振り回してみようと思ったがどうやら今回は失敗だったらしい。だからせめて、

「おやすみなさい、サンデーサイレンス」

そう言って口付けをしてやった。すると先程の比にならないほどの鼓動と体温の上昇を確認したが

(私は知りませんよ)

そう心のなかで呟いて彼が今どんな顔をしているか思いを馳せながら私は眠りについた。