今なんでもするって

  • 1二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:44:05

    「ふう……疲れが溜まってるのかなぁ」

    パソコンから目を離し、、背をぐぐっと伸ばす。ゴキゴキと鈍い音が首周りから響いてくる。
    最近肩がこって仕方がない。湿布とかも貼ってはみるのだが、なかなか改善しない。仕事量も増えると同時にデスクワークも増えてきて、生活リズムも不規則になってきたせいだろう。
    まあ、タンホイザのためなら多少の我慢は苦じゃない……そう思っていると。

    「トレーナー、最近お疲れですね?私には分かりますよ〜、むにゃむにゃむんむん……はっ!」

    先程まで机でノートに書き込みをしていたタンホイザが、何やら怪しげな手の動きをしながら話しかけてきた。同室の彼女に影響されたのだろうか。

    「おマチちゃんテレパシーによると、トレーナーさんの体と心は悲鳴をあげています!タスケテー!タスケテー!って……ばっちり聞こえますよぉ〜?」

    「そ、そうかもしれないな……しかし急にどうした?」

    すると、タンホイザは待ってましたと言わんばかりに笑顔を見せた。そして懐から何かを取り出した……あれは、折りたたまれた……紙?

  • 2二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:44:37

    「よくぞ聞いてくださいました……!そんなトレーナーに朗報です!はい、こちらをどぞ!」

    「なになに……?『おマチちゃんなんでもお助け券』?」

    紙を広げてみると、10枚綴りのチケットになっていた。よく凝った作りだと感心する。

    「毎日私のために頑張ってくれてるトレーナーに、何かお返しがしたいなあ〜って思って……へへ」

    はにかみ顔で頭を搔くタンホイザ。彼女からのサプライズに胸が熱くなる。普段生活していて、日頃の感謝を直に伝えられる機会は、まず巡り合わないものだ。

    「ありがとう……!しかし、何でもって書いてあるけど……どう使えばいいのかな?」

    「ではでは!まず1枚使ってみませんか?さっきトレーナー、肩がこってそうにしてましたよね?私がもみもみほぐしてしんぜよう!」

    なるほど、おばあちゃんの肩叩き券みたいな使い方でいいのか。これは可愛らしくてタンホイザらしいとしみじみ思った。早速1枚ちぎって渡す。

    「はい、受け取りました!ささ、どうぞこちらへ〜」

  • 3二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:45:12

    促され、丸椅子に座り直す。背後からタンホイザの息遣いと声が聞こえてくる。

    「では始めますね〜……えい、むん……えい、むん……うわ、ガチガチじゃないですかあ。全然休息が足りてないですよ〜」

    「はは……タンホイザの為と思うと休むのも忘れてしまうというか……すまないね」

    「えへ……いえいえ。私、実家にいた頃はよくこうやって、お父さんの肩をマッサージしたげてたんです。とっても評判だったんですよ?」

    そういうタンホイザの握力は、凝り固まった肩をものともせず揉みほぐしてくれており、ウマ娘の力だからこそなせる技だと感じた……ああ、誰かに肩を揉んでもらうのがこんなに心地よいものだったなんて。気が緩んで、押さえ込んでいた疲れがどっと吹き出してきた。

    「ふわぁ〜……気持ちよくって、なんだから眠くなってきた……」

    「ふふ……お疲れ様です。私が見てますから、眠たくなったら、寝てくださいね……ぐい……ぐい……」

    タンホイザの声が、頭の中にふわふわと漂い広がっていく。
    もっとぼんやりしてきて、ああ、体を起こしているのも怠い。寝転びたい……でもこの椅子には背もたれがないし……。

    「こしたら、すやすやできますか?ん……」

    背後の方へ上半身を引き寄せられた。後頭部にふわっと暖かい感触。タンホイザの腕が肩の上から体をそっと包んできた。

    「私からのサービスです。なーんにも気にしないで、おやすみなさい━━━」

    春の野原に咲きほこる、小さな花たちのような香りに包まれ……意識をそっと手放した━━━

  • 4二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:45:36

    「起こさないように……よいしょ」

    私は眠ってしまったトレーナーをそっと抱き抱え、ソファへ運びます。そのまま寝かそうとして、また少し考え込んでしまいます。

    「うーん……まだ帰るには、早いかなあー?」

    おマチちゃんチケットは、私の気分次第でまだ有効なので……。
    よいしょ。ソファに座り、ゆっくりと……トレーナーの体を横たえます。
    トレーナーの頭が私の太ももに乗っかって、枕になりました。
    気持ちよさそうな寝顔。私のマッサージが少しでも癒しになっていたようで、とっても嬉しいなあ……。
    おでこに触れ、髪をかきあげます。こんなにも近くで、誰にも邪魔されることなくトレーナーの顔を見ることなんて、滅多にないことですよね。

  • 5二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:46:07

    「……いつもほんとに、ありがとです」

    トレーナーの頭を撫でたげます。いつまでもいつまでも、愛しい人をめでるように……。

    「チケット1枚強引に使わせちゃったから……もっといっぱいサービスですよ」

    トレーナーへの日頃の感謝を伝えるため、あれもしたいこれもしたい……けど気持ちが先行して前が見えなくなって、ドジしちゃうかもしれない。
    悩みぬいた末に編み出したのが、このチケット。

    「……私トレーナーのためなら、なんでもしたげますからね」

    みんなによく言われるんだけど……私って、そこに居るだけで癒しになるらしいんだって。
    困った時、疲れた時はチケット使って……いや、使わなくなって、いつでも私を呼んでください。
    いっぱいいーっぱい、癒したげますから!

  • 6二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:46:48
  • 7二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:47:11

    このレスは削除されています

  • 8二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:47:46

    いくら徳を積めばマチタンの担当になれますか?

  • 9二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:53:55

    >>8

    五劫が擦り切れるくらい徳を積め……

  • 10二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 21:02:32

    ありがたやありがたや
    ええもん見させてもろた

  • 11二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 21:03:41

    >>9

    ふうん、つまり天女が岩を刷りきるまでか

  • 12二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 01:33:25

    うわぁぁぁぁ!!あにまんでマチタンSS書いてくれる人だ!!!!
    口調回しといい、 雰囲気といいとても好きです…ありがとうございます…………

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