【SS】マヤのラブラブ☆配信!

  • 1二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 00:56:52

    マヤノとのお出かけにて発生する連続イベントを元にしたSSです。
    トレーナーちゃんは女トレーナーちゃんです。

  • 2二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 00:59:23

    「……はぁ〜〜」
     ある日の休日、自分の部屋に遊びに来たマヤノトップガンが早々に溜息をついていた。
    「ずいぶん大きな溜息だね」
    「むぅ、トレーナーちゃんのせいだからね〜?」
     マヤノは頬を膨らませながら、手に持ったスマホの画面をこちらに向ける。
    「えーっと……私がこの間受けた取材の記事?」
    「そう!」
     取材は『G I3勝のマヤノトップガン、それを支えるトレーナーを生配信インタビュー!』という題目で行われたもので、マヤノは都合が合わなかったため、自分一人で受けたのだが、それが何故マヤノの機嫌を損ねることになったのだろうか。
    「やっぱりマヤノも一緒に受けたかった?」
    「それはそうだけど、そうじゃなくて! トレーナーちゃんってば、最近ますます有名人になっちゃってさー? 今日だって何人の子にトレーナーちゃんのこと聞かれたと思う!?」
     菊花賞、有馬記念に続き、シニア級に挑戦するようになってからは宝塚記念も勝利したマヤノは高い評価を受けるようになっており、それに伴いトレーナーである自分も注目されつつあり、先日の取材も概ねそういった趣旨のもと行われていた。
     同僚や先輩トレーナーのほか、ウマ娘からも声を掛けられる回数が増えてきたこともあり……。
    「あぁー、そういうことか……」
     ぷくっと膨れたままのマヤノの頬を押さえつけると、小さい口から可愛らしい息が漏れた。
    そのまま撫でくり回しながら慎重に言葉を選ぶ。
    「……えっと、2人くらい?」
    「ブブー! ちがいますぅ〜! 5人だよ!? 朝だけで5人も!」
     ……正直に言うと、その数が多いのか少ないのかよく分からないんだけど。
    「ちなみに、なんて話しかけられるの?」
    「みんな『マヤのトレーナーさんに練習見てもらいたい』って……。あー! トレーナーちゃん、いま嬉しそうな顔したでしょー!」
    「そりゃ嫌な気分にはならないもん」
    「ふーんだ! 言わなきゃよかった!」
    「そっか、それで今日は急にデートしたいって言い出したんだ」
    「……そういうのは気づいても口に出しちゃダメなんだよ?」
    「そう?」
    「そうなの!」
     言い切って、マヤノは顔をソファに埋めてしまう。
     あちゃー、完全に拗ねちゃった……。
     しかしそのままにしておくわけにもいかないので、一旦席を外して時間を空ける。

  • 3二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 01:01:46

     アイスコーヒーを準備して席に戻り、まだ伏せたままのマヤノの頭にそっと手を置いた。
    「マヤノ、今日はデートに誘ってくれてありがとう。久しぶりにマヤノとゆっくり過ごせる時間が出来て嬉しいよ」
     ここ最近、マヤノは大きな目標に向けて努力を重ねており、それに応じるため自分も頑張りすぎた結果倒れてしまったこともあって、トレーナーとしては情けないが、口から出たのはそんな本音だった。
    サラサラとした栗毛を撫でながら言葉を続ける。
    「有名人かどうかは分からないけど、ちょっと前までは未熟だった私がここまで評価されるようになったのは、確かに嬉しいよ? でもそれは、マヤノのおかげだから嬉しいの」
    「……マヤの?」
    「そうだよ〜、マヤノと一緒にここまでやってこれて、貴方がキラキラ輝く姿を支えてこられた結果、今の私があるんだもん。だから、これからも私はずっと貴方の隣に居るよ。ううん、隣に居させて」
    「……他の娘に浮気しない?」
    「他のウマ娘のトレーニングを見るのが浮気って言うなら、これからもしないよ……多分」
    「多分って言った!」
    「うそうそ、マヤノだけに夢中だから」
    「ほんとにほんと?」
    「ほんとだってば」
    「……じゃあ信じる」
     そう言って、やっとマヤノは顔を上げてくれた。ちょっと目が潤んでいるのを見て、意地悪しちゃったかなと罪悪感。
    「ねえねえ、さっきのもっかい言って」
     さっきの……と言いかけて、マヤノを早く落ち着かせてあげるために、ギュッと抱きしめながらちゃんと返事をする。
    「私はずっと貴方の隣にいるよ、マヤノ」
    「……えへへへへぇ〜〜!」
     先ほどまでの悪天候から一変して、マヤノの表情は快晴そのものだった。

  • 4二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 01:02:53

    「さっきのトレーナーちゃんの愛の告白、録音しとけばよかったな〜」
    「録音ってちょっと怖くない?」
    「だってとっても素敵だったんだもん、思い出すだけで……キャー!」
    「冷静になったら恥ずかしくなってきたからもう止めて……あとこれテイオーちゃんとかクラスの子とかに絶対言わないでね」
    「えー? どうしよっかなー?」
    「お願い! ほんとにお願い! ウマ娘経由でトレーナーに伝わって弄られることもあるんだから!」
     こうやって釘を刺しておかないと後々酷い目に遭うのは既に経験済みなので。
    「じゃあその代わり、マヤと配信してくれる?」
    「……配信?」
     これまた唐突な……と思ったが、先ほどまでの会話にヒントがあったことに気づく。
    「そっか、あのことも目に入っちゃうよね」
    「うん……」
    「ごめんね、隠しておくつもりじゃなかったんだけど」
     ちょっと複雑な笑顔のマヤノを見て、もしかしたら今日の本題はこっちだったのではないかと思う。
    自分が受けた取材の内容については、当然事前事後にマヤノにも話を通していたのだが、一つだけ伏せていた取材内容があったのだ。

  • 5二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 01:04:00

     それは、『マヤちんチャンネル』という、マヤノが以前行っていたネット配信のことだった。
     新聞社やテレビなどからの取材と異なり、今回の取材は生配信という形で行われ、取材中はネットからのコメントをリアルタイムで受け付けていた。
     そのコメントの中に、『マヤちんチャンネルは再開しないのでしょうか』という趣旨のものがいくつかあったため、取材にも取り上げられることになった。
    「『マヤノの配信については、申し訳ないのですが、私の口からお答えすることはありません』って、当たり障りのないことを答えたんだっけ」
     とはいえ実際のところ自分がどうこうするものでもないし、何より配信をやめた理由のこともあり、マヤノに伝えてよいものか悩んでいたのだ。
    「……ごめんね」
    「もー、だからそういうとこだってばぁ。トレーナーちゃんは優しすぎるよぉ」
    「でも、マヤノに気を病んで欲しくないのは本当だから」
    「……えへへ、ありがとっ」

  • 6二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 01:05:55

    「配信、またやってくれるの?」
     そう尋ねると、マヤノは力強く頷いた。
    「あれからマヤもトレーナーちゃんも、がんばったもん! きっともう見返せてるはずだから!」
    「……そっか、マヤノ強くなったね」
    「だけどね、せっかく配信するなら、トレーナーちゃんと一緒がいいなって」
    こちらを窺うように見つめるマヤノに、笑顔で答えた。
    「もちろん! 貴方が望むなら」

    「みんなのココロにランディーング☆ マヤちんチャンネルのはじまりだよ〜♪」
     マヤノが元気良く挨拶すると、予告してからわずか30分後の配信開始にも関わらず、「本物!?」や「最近の活躍見てるよ!」といった多くのコメントが寄せられた。
    「えへへっ♪ 突然の配信だけど、みんなコメントありがと!」
    「今日はね、みんなにどうしてもお話したいことがあるんだ〜」
     そう言ってマヤノはこちらに目配せをする。
     こんな冒頭から自分が出てもよいのだろうか……と思案していると。
    「ほら、はやくはやくっ♪」
    「ちょ、マヤノ?」
    「じゃーん! マヤのトレーナーちゃんでーす!」
    「あー、コメントがすごいことになってる……」

  • 7二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 01:07:14

     自分が登場したことで滝のように流れていくコメント欄に目をクラクラさせていたが、マヤノはそれを見て頷いたりニコニコしたりしている。
    「えへへ〜、そうでしょ〜、トレーナーちゃんも可愛いでしょ〜!」
     やっぱりコメント読めてるんだ……っていうか可愛いってなに?
    「それでね、話したいことっていうのはトレーナーちゃんのことなの!」
    「マヤがここまでも、これからもキラキラ輝いていけるのはトレーナーちゃんのおかげなんだ〜! だからね、みんなにはマヤだけでなくトレーナーちゃんも応援してほしいの!」
     マヤノがそう伝えたことで、今回配信が行われた理由がリスナーにも伝わったのか、謝罪のコメントがいくつか表示される。
    「あ、みてみてトレーナーちゃん! 『トレーナーさん、今までありがとう! これからも頑張ってください!』だって! えへへ、嬉しいね!」
    「そうだね。皆さん温かいコメントありがとうございます。これからもマヤノを支えてまいりますので、応援よろしくお願いいたします」
    「トレーナーちゃん、かたいよ〜!」
     マヤノの持ち前の明るさとカリスマ性で、配信はこのまま和やかに進む……と思っていたのだが。

  • 8二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 01:08:03

    「じゃあ、トレーナーちゃんがみんなに認めてもらえたところで、これからが本番だよ!」
    「マヤのラブラブ☆配信! はじまりはじまり〜!」
    「えっ」
    「ここからはマヤとトレーナーちゃんのラブラブな様子を見せちゃいまーす!」
    「そうきたかー」
     最初からこれを計算していたのか、とマヤノの天才さを改めて認識しながら。
     なんとか良からぬ噂が立つような事にならないよう、G Iレース以上の緊張感を持ちながら配信を終わらせるのだった。

    「えへへ、トレーナーちゃんはマヤだけのトレーナーちゃんだもんね!」

  • 9二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 01:10:48

    おしまいです!

    ここまで投稿しておいて何か不手際とかあったらすみません。
    問題あったら消しますので。

  • 10二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 01:49:36

    尊い…(灰になる音)

  • 11二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 03:24:26

    いい…(砂になって崩れ落ちる音)

  • 12二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 07:43:50

    感想ありがとうございます!
    SSを書くにあたり、マヤノトップガンの戦績を改めて調べたらG I4勝もしてる…と驚いたのはまた別の話です

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