- 1二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 19:03:22
片手で持つハンドル 片手で肩を抱いて♪
愛してるって 言っても聞こえない♪
風が強くて♪
遠征に向かう道中、ラジオで懐メロ特集をやっていた。
『懐かしいなぁこの曲』
おれはついそう呟いた。
するとだんまりだった助手席のスズカが俺に話しかけてくる。
「トレーナーさん。」
『ん?』
「私の肩、抱いてみます?」
『ブーッ!!お、お前…何を!??』
「ふふっ。冗談です。でも、やってもいいんですよ?」
『お前なあ…。』
またこれだ。スズカは定期的にこうやって俺をからかってくる。
親しみを持ってくれるのはいいがなんか悔しい。
『全く…大人を揶揄うもんじゃないぞ…。』
(本当は冗談なんかじゃないんだけど…)ボソリ
『ん?何か言ったか?』
「…なんでもないです。」プィッ
『お、おいスズカ。機嫌直してくれよ…』
「知りません。」 - 2二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 19:05:48
やれやれ、すっかり助手席のお姫様は臍を曲げてしまった。
全く、勝手にからかってきて勝手に不機嫌になられるとはめんどくさいやつだ。
それにしてもいつもいつもやられたままというのもシャクだな。
そうだ、ここは一つこっちからからかってみよう。
そう考えた俺はバックミラーで後ろの奴らが寝ていることをそっと確認し、
何を血迷ったか、スズカの肩をそっと抱いた。
───一応言っておくがここはフリーウェイじゃないし今は赤信号だ。
「!!???」
スズカは顔を真っ赤にし、見るからに取り乱した様子だ。
流石に本当に肩を抱いてくるとは思わなかったのだろう。
からかいは大成功。いいきみだ。 - 3二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 19:11:53
そうこうしてるうちに青になりそうだったのでパッと肩から手を離した。
「あ…」と間抜けにつぶやくスズカを尻目に俺はふふんと笑い再び車を走らせる。
たまには他人を揶揄うのも面白いものだ。
スズカの顔はわからないがさぞ悔しがっていることだろう。
「───ですか?」
『ん?』
「続きはないんですか?」
スズカから思わぬカウンターパンチが飛んできた。
…やられた。この歌詞って…言えるかんなもん!
『…風が強くて何も聞こえねえな。』
「窓、閉めてますよね?」
『…。』
やっぱりスズカには敵いそうにないな…。
俺は黙ることしかできなかった。
この後寝ていると思わせて全部聞いていたスカーレット達に締め上げられたのは言うまでもない。(終) - 4二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 19:16:06
昨日も似たようなスレを立てましたが続きが思い付いたので