- 1二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 21:43:21
~トレーナーの部屋~
あくびをしながらベッドから起き上がるトレーナー。気怠そうに洗面台に向かう。
鏡にはいかにも眠そうな顔と、ボサボサの長髪に埋もれかけたウマの耳が見える。
顔を洗い、タオルで拭くトレーナー。タオルをフックにかけ、鏡に目を向ける。
トレーナー「…ん?」
ピンク色に、うっすら桜の紋様のある目が鏡に映っている。ため息をこぼしながら目を脇に逸らす。
トレーナー「ああ、バクシンオーか。なんでここにい…」
トレーナー(?)、驚きながら再び鏡に目を向ける。
トレーナー「ありゃ?」
鏡に映る自分の顔を凝視し、色んなポーズを取る。鏡像と本人の動きはしっかりと連動している。
目をつぶり両頬を軽く叩き、一呼吸してもう一度鏡を見ると、そこにはサイズの合わない寝巻を着たサクラバクシンオーの姿が映る。
トレーナー「俺サクラバクシンオーになってるゥ!???」
愕然とするトレーナー。
トレーナー「噓だろおい!!えっじゃあまさか…んなこたァないよな…!?」
自らの股間をまさぐるトレーナー。しかしすぐに手が止まる。
トレーナー「バベル解体されてダートに変えられたァァァァァァァァ!!!!!!!」
トレーナー「どうすんだよオイ!!!これじゃトレセン行けねぇじゃあねぇか!!!」 - 2二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 21:43:49
トレーナー「いや待てよ、あの方法なら…」
荒々しく戸棚を開けて何かを探すトレーナー。 - 3二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 21:44:12
~数十分後・トレセン学園正門~
続々とウマ娘たちが学園に向かう。正門には駿川たづながおり、彼女たちに挨拶をしている。
サングラスとマスクを装着し、ハンチング帽を被ったトレーナーが彼女たちに紛れて正門を通り過ぎようとしているが、傍らから見れば不審者そのもの。たづなさんに止められる。
駿川たづな「あのー…こちらに何か御用でしょうか…?」
あからさまに動揺するトレーナー。
トレーナー「え!?いやなんというか…」
駿川たづな「ちょっと顔見せてもらえますか」
たづなさんにサングラスとマスクを引っぺがされるトレーナー。顔はやはりサクラバクシンオーそのものである。
トレーナー「…おはようございまぁす!!実は今日委員長として、学園の安全管理は大丈夫なのか確認したくて、わざとこんな格好をしていたんです!!!たづなさん!!この不審者に対する迅速な対応、はなまるですッ!!!」
怪訝そうにトレーナーを見つけるたづなさん。
駿川たづな「は、はぁ…あなただったんですね。トレセン学園のことを考えてくれるのは結構ですが、それは紛らわしいのでやめてくださいね」
トレーナー「ごめんなさい!!では今日もよろしくお願いします!!!」
足早に学園に入っていくトレーナー。それを見つめるたづなさん。 - 4二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 21:44:19
期待
- 5二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 21:44:32
駿川たづな(なんだか様子がおかしいような…)
- 6二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 21:44:57
~トレセン学園・多目的トイレ~
トイレに座り両手を顔の前で組むトレーナー。外からはウマ娘たちの談笑が聞こえる。
トレーナー(なんとかあの場はアイツの真似して切り抜けられたが…この先が問題だよな…どうやってこの姿をバクシンオーに説明する?いやこの手の話題はアグネスタキオンのほうが詳しいか…?)
鞄の中のスマホが鳴り出す。ぎょっと驚くトレーナー、スマホを取り出すが、通話に出ようとせず、ただ画面を見る。
トレーナー(げぇっ!!来やがった!!!どうする?出なきゃダメか…?)
恐る恐る画面をスワイプし、軽く咳をしてから通話を始める。
トレーナー「あー、もしもし」
嗄れ声で応答するトレーナー。
後輩トレ『先輩。今日どうしたんですか、遅刻なんて珍しい』
トレーナー「いやちょっと食あたり起こしてな…正露丸飲んでなんとかするから午後入るまでには来ると伝えておいてくれ」
後輩トレ「そうですか、ってかなんか声おかしくないですか?」
トレーナー「え!?いやーなんでだろーなーゲロ吐いたせいかなー」
後輩トレ「まぁそれならいいんですけどね。今日先輩以外にも2人来てない人いたんで今ちょっとした騒ぎになってるんですよ」
トレーナー「なにそれこわい」
後輩トレ「んじゃあ午後にはちゃんと来てくださいね。バクシンオーさんのレースも近いんですし」
トレーナー「あ、ああ」
電話を切るトレーナー。思わずため息をつく。 - 7二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 21:45:21
~トレセン学園・廊下~
授業開始のチャイムが鳴り終わると同時に、こそこそと忍者のように動きまわるトレーナー。窓に映り込まないよう腰を低くして動く。やがて階段のほうまで辿り着くと、姿勢を戻して軽く深呼吸をする。
トレーナー(よし、なんとかここまで来れたな。となればあとは…)
アグネスタキオン「珍しいじゃないか。君がサボりなんて」
背後にアグネスタキオン。思わず「ちょわ!!」と声を出してとっさに遠ざかる。
アグネスタキオン「そんなに驚かなくてもいいじゃないか。私が授業に出てないのは君も知ってるだろう?」
トレーナー「なななななんのことでしょう…」
トレーナーをまじまじと見つめ、何かに気づいた素振りを見せると、今度は不敵な笑みをこぼすアグネスタキオン。
アグネスタキオン「ああそうか! 君はもしかしてバクシンオー君ではなく、そのトレーナー君なのかな?」
トレーナー「あっ!えっ!?まぁなんというか…」
アグネスタキオン「どうやら実験は成功したようだね。ちょっと私の実験室までついてきてくれ」
トレーナー「はぁ…ん?」 - 8二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 21:45:46
~トレセン学園・アグネスタキオンの実験室~
戸を開けて入ってくるアグネスタキオンとトレーナー。
アグネスタキオン「テキトーにその辺の椅子に腰かけててくれたまえ」
そう言うとアグネスタキオンはすぐに実験室から出ていく。困惑しながら椅子に座るトレーナー。
しばらくするとまた戸が開き、誰かが入ってくる。
トレーナー「まったく、タキオンさんよ、これは一体何の実験なんだって言うんだ」
返事がない。不思議そうに顔を上げるトレーナー。眼前にはアグネスタキオンと思わしき人物が立っているが、服装が違う。トレーナーと同じく、サイズが合っていないスーツを着ている。
アグネスタキオンのトレーナー「もしかして…君もか…?」
ハッと気づくトレーナー。
トレーナー「お前、もしかして…」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ!」
甲高い叫び声が学園に響き渡る。 続く? - 9二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 21:56:04
よろしい、続け給え
- 10二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 22:17:57
続き気になる、頑張れ
- 11二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 22:30:44
まつでー
- 12二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 22:42:17
続きはオチを思いつき次第書いていきます…
- 13二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 09:06:46
続き
アグネスタキオン「ハッハッハ!いやーまさか、トレーナー君たちが私やバクシンオー君そのものと見紛う程度まで変化するとは思わなかったよ!」
トレーナー「ハッハッハ、じゃねぇだろォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
拳を叩きつけて机を真っ二つに割るトレーナー。
トレーナー「どうしてこうなった!?訳わかんねぇから説明しろ!100文字以内で簡潔に!!」
アグネスタキオン「バクシンオー君のトレーナーは随分無茶な質問をしてくるねぇ。まぁ簡潔に述べるとだね、昨日インフルエンザのワクチン接種が学園内で行われただろ?そこにこっそり私の実験薬をいくつか紛れ込ませておいた」
トレーナー「どさくさに紛れてなんつーことしてるのお前!?」
アグネスタキオンのトレーナー(以降タキトレと略す)
「あーまた理事長に呼び出し食らう…今度は始末書だけじゃ済まない…」
トレーナー「監督不行き届きにも程があるわ!ゆるふわ倫理観を矯正するのもトレーナーの役目だろ!!!」
タキトレ「そうだったの!?」
トレーナー「そうだったの!? でもねぇよ!もはやトレーナーじゃなくて祈手だろこれ!精神隷属させられちゃってるよこれ!」
アグネスタキオン「ふっふっふ、存外君も物分かりが悪いなぁ。科学に狂気は付き物さ。倫理など捨てるのが当然だろ?共に深淵を覗きに行こうではないか」
トレーナー「わかったお前らもうアビスに突っ込んで二度と帰ってくるな」
- 14二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 09:34:00
次は夕方くらいに書きます
- 15二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 13:29:00
待ってるぞ
- 16二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 19:40:46
続き
~~~~~~~~
1時限目終了のチャイムが鳴る。ウマ娘たちが廊下を歩き回る。
トレーナー「つーか午後のトレーニングどんな顔して向かえばいいんだよこれ」
アグネスタキオンが紅茶を啜りながらノートに何かを書き記す。
アグネスタキオン「んまぁそうだね、今日はワクチンの副作用で調子崩して休むとでも伝えておけばいいだろう」
トレーナー「それは困る。バクシンオーのレースが近いんだよ。なんかねぇのか、他に策はよ」
アグネスタキオン「強欲だなぁ君は。私が全知全能の神様か何かだとでも思っているのか。少しは自分で考えたまえよ」
トレーナー「いやすべての元凶お前だからそっちで考えるのが筋ってモンだろうが!!」
タキトレ「まぁまぁ落ち着いて…」
タキトレ、トレーナーを宥める。
アグネスタキオン「んー、じゃあカツラか何か被ればいいんじゃないか?」
トレーナー「この顔はどうする。昨日までの俺と180°違うし確実に気づいてもらえねぇぞ」
アグネスタキオン「じゃこうしよう。君はバクシンオー君の親戚で、急遽本来の君に代わってトレーナーをやるということで。彼女単純だし多分納得するだろう」
トレーナー「ぐっ…なんかモヤモヤするがひとまずそういうことにしよう」
- 17二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 19:41:41
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- 18二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 19:42:33
タキトレが戸の前に立ち廊下に出ようとする。
タキトレ「意見がまとまったようでよかった。じゃあ僕はお手洗いにでも行くとするかな」
アグネスタキオン「ああ。さっき私が説明した通りにやってくれ」
トレーナー「あっ!ちょっと待ってそれ俺にも教えてェ!」
トレーナー、タキトレの後を追って一緒に出ようとする。
タキトレ、戸を開ける、と同時に顔面に何者かの膝が激突し、壁へ一直線に飛ばされる。
巻き添えを食らって共に壁に飛ばされてぶつかるトレーナー。
トレーナー・タキトレ「「ぶ!!!」」
振動で棚が揺れて木箱が落ちる。それを速い身のこなしでキャッチするアグネスタキオン。
アグネスタキオン「あまり私の部屋を荒らさないで欲しいな。ゴールドシップ君」
アグネスタキオンが目を向けた先には、傷だらけの芦毛の者を抱えたゴールドシップが立っている。 - 19二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 19:48:34
よろよろと立ち上がるトレーナーとタキトレ。
トレーナー「ったく…今度はなんの騒ぎだ」
ゴールドシップ「あー悪い悪い。いや休み時間に外ふらついてたら私に化けてる宇宙人見つけてよ、取り敢えず捕まえて解剖してもらいに来た」
トレーナー「は?宇宙人?」
ゴールドシップ「ちょっと待ってろ。今トドメさすからさ」
白目を剥いて気絶している芦毛が床に転がる。
それを見てハッとするトレーナー。
トレーナー「待ってェェェェェェ!!!そいつ殺したらダメェェェェェ!!!!!」 - 20二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 19:59:34
~~~~~~~~~~~
ゴールドシップ「えっ、つまりアタシに化けてるこいつ、アタシのトレーナーなの?」
椅子にふんぞり返るゴールドシップ。
足元にはゴールドシップと姿が同じになっているゴールドシップのトレーナー(以降ゴルトレと略す)が倒れている。
トレーナー「そうそうそう!だからやめてあげて!」
ゴールドシップ「へぇー、だとしたらこれから毎日幽体離脱のモノマネできんじゃん!」
ゴールドシップ、倒れているゴルトレの真横に仰向けに寝転がって起き上がる。
ゴールドシップ「幽体離脱~」
トレーナー「どーでもいいわァ!!」 - 21二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 21:16:52
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2時限目開始のチャイムが鳴るが、ゴールドシップは実験室にとどまっている。
トレーナー「もう授業の時間だが戻らないのか?」
ゴールドシップ「あー、あの担任の授業クソつまんねえしいいや」
トレーナー「自由だなぁ」
ゴールドシップ「それよりもオマエはどうなんだ。さっきの言動から察するにオマエ、バクシンのトレーナーってとこか?なんで姿がクリソツなのかは知らんが」
トレーナー「あ、ああ。よくわかったな」
ゴールドシップ「そりゃモノホンがさっきプリント用紙の束持って走ってったからな。てか話し方からして違う。兎とチュパカブラくらい」
トレーナー「どんな例え!?」
ゴールドシップ「それはそうとマキオン、その大事そうに持ってる木箱は何だ」
アグネスタキオン「タキオンだ。まぁそうだね、今回の実験に関わるものだし、折角だから君たちにも見せてあげよう」
アグネスタキオン、木箱の蓋を開ける。中には黒い液体のようなものが入った瓶詰がある。
彼女以外の全員がそれをまじまじと見つめる。
アグネスタキオン「トレーナー君たちをウマ娘に変えた薬品、いや薬品と表現していいのか正直かなり微妙なものだが、これはその原液だ。ちなみにこれは私が作ったものではない。友人からの土産物さ」 - 22二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 23:07:43
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アグネスタキオン「三女神の像ってあるだろ?ある日ウマ娘に力を授ける、奇怪な存在。あれはこの学園以外の所にも複数ある。その中の一つであり最も古いイギリスの三女神の像、以前これにちょっとしたトラブルがあってね。修繕作業中にうっかり作業員が像を倒してしまったそうだ。幸い像は軽傷で直せる程度のものだったが、その際土台に蓋があったのを見つけたという。開けてみると中にはこの黒い液体が入っていた。最初は噴水や雨で出来た何かと思ったが、どうもその痕跡が見当たらない。結果その奇妙な物質をちょっと拝借して研究しようという話になってね。それを幸運にもいち早く友人のツテで入手できたのがこの私というわけだ」
トレーナー「その結果今に至ると…って納得できるかァァァァァァァァ!!!!!えっなに!?そんな謎の物体を人の体に無断でぶち込んだってわけ!?」
ゴールドシップ「すげぇ。なんか急に壮大なことになってきたぞオイ」
アグネスタキオン「心配することはない。一応毒性がないか調べたがとくにそれらしいものは見当たらなかった」
トレーナー「いやそういう問題じゃない!得体の知れないモノ使って他人別物に変えたということそのものがもうヤバいの!!」
アグネスタキオン「まぁまぁそんなに怒らないでおくれよ。起きたら毒虫になってるよりかは随分救いのある話じゃないか。ウマ娘になったのなら生活上逆にメリットが多いかもしれないのだし」
トレーナー「無茶苦茶なこと言いやがって…」
アグネスタキオン「私はこれのせいで今2日連続で徹夜しているんだ。すまないが今から仮眠をとるから外に出ててくれたまえ」
そそくさと彼女以外の全員を外に放り出すアグネスタキオン。勢いよく戸を閉め、電気を切る。
廊下で呆然とするトレーナー。「まぁいつものことなんで…」と苦笑いするタキトレ。
気絶したままのゴルトレ、その腕を触って脈をとるゴールドシップ。 - 23二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 23:07:58
トレーナー「…マジか」
トレーナーのスマホからの着信音。トレーナー、スマホを取り出し、画面をスワイプして電話に出る。
トレーナー「どうしたんだまた」
後輩トレ「いやーすみません。ちょっと確認したいんですけど、先輩の体、何故か担当のウマ娘に変化してしまったとかありませんか?」
トレーナー「…っ!? 何故それを!?」
後輩トレ「何言ってるかわからないと思うんですけど聞いてください。桐生院さんがハッピーミークになりました」
続く…かもしれない