- 1二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 00:03:17あ、Cがウマ娘の雑誌読んでる!|あにまん掲示板A「ナリタタイシンじゃん、三冠とったんだって」B「私らね、ナリタタイシンと中学まで同級生だったんだよ、親友ってやつ、トレセンに行ってから連絡とらなくなっちゃったけど」A「将来有名になるからって書いた絵…bbs.animanch.com
このスレの28です。スレの内容に感銘を受けてSSを書こうと思います。
「タイシン〜?あたし美術の課題間に合いそうにないからこれ貰うね?」
「は…?それアタシのッ!」
「いいじゃんいいじゃん!『親友』なんだし?助け合うのが当然でしょ!あっ、私の分もよろしくね〜」
「…タイシン?何で泣くの?私が折角お化粧してあげてんのに!『親友』の厚意を無駄にする気?」
「まあ、絵の具しか無かったけど!」
「ぷっ…あははは!可愛くなったね〜タイシン!ちょっとピースしてみて!」
私はしがない女子高生B。中学時代はAとウマ娘のナリタタイシンと『親友』だった。今はタイシンがトレセン学園に行ってしまってからAと退屈な日々を過ごしている。
今日はAと二人で午後の授業を抜け出し、格安のイタリア料理レストランで時間を潰すことにした。
最初は朝のニュースとか、最近あった事とかで会話があったものの、すぐに話題が尽き無言でスマホをいじっているその時だった。
「アンタ真昼間から飲むつもり?駄目、みっともないから」
「タイシン、今日は俺達オフなんだし…それに歩きなんだし…いいでしょ?」
「駄目!!すっぱ抜かれても知らないから!」
数年ぶりに聞く声。
見つけた。見つけた。
私達の『親友』!!
- 2121/10/08(金) 00:16:09
今すぐ声を掛けたい気持ちを抑えて状況を観察する。
タイシンの向かいにいるデカい男はタイシンのトレーナーだ。あのチビのタイシンと対照的な体格の良さが印象に残っている。
テーブルの上に空き皿がたくさんあるあたり食事は終わったのだろう。今声を掛けても迷惑かもしれないし支払いが終わって外に出てからにした方がいい。
頬が釣り上がるのが止まらない。Aも同じ顔をしている。それにトレーナーが私達がタイシンの『親友』とわかれば何かいい事があるはず。
私達は二人の支払いが終わって外に出たタイミングで席を立った。 - 3121/10/08(金) 00:44:32
「タイシン〜久しぶり〜」
「タイシン〜元気してた?」
「っ!」
タイシンが顔を顰める。まあ、忘れてるだろうな。
「あー、ちょっとタンマ。タイシン、あいつら誰だ?
「…中学の時の同級生」
なんだ、覚えてんじゃん、同級生呼ばわりなのがムカつくけどAが『親友』と訂正してくれた。
「へえ!『親友』!どんなことしてたんだ?」
「えーっと…将来的に有名になるからってあたしの絵にサインしてくれた!」
「私はお化粧教えてあげた〜!」
「ほおー、それはそれは!仲良かったんだな!アッハッハッハッハ!」
「そうそう!卒業してから連絡が無かったから心配してたんですよ〜!」
「そうか!アッハッハッハッハ!」
タイシンのトレーナーが豪快に笑う。好感触のよう−–
「じゃあ何故タイシンは親友の前なのに苦しそうな顔をしてるんだ?」 - 4121/10/08(金) 01:06:52
タイシンのトレーナーが急に真顔になり、空気が一変する。
「俺が知っている限り、親友と一緒にいるタイシンはそんな顔をしなかったぞ」
「あ、あー…会うのが久しぶりだから…?」
「それに親友に連絡を寄越さないのはおかしいぞ」
「それは…タイシンって結構ドライだから…」
「そんなはずはない。タイシンは友達想いだ。連絡は小まめに取っている」
顔が熱く、汗が流れ出てくるはずなのに震えが止まらない。
「あんたら、タイシンの親友では無いな?さてはタイシンを…」
やばい。私ら悪者扱いされている…?どうやってこの状況を抜け出す?あの男に冤罪をふっかける?色々考えを巡らせている最中だった
「タァァァァァイシィィィィィン!」
ハトやカラスが逃げ出す程の大声と共に絆創膏を貼ったウマ娘、その後ろから大ボリュームの髪のウマ娘がやってきた。
- 5121/10/08(金) 03:02:04
ウイニングチケット、ビワハヤヒデ。この二人はテレビで見た事があるウマ娘だ。
「丁度いいところに。チケゾー。この二人を知ってるか?中学の頃の親友らしいが」
「ううん?中学の頃に親友がいたなんて、今まで一度も話したことないたですよ?」
「ハヤヒデは?」
「今日日初めて聞いた。だが、タイシンの態度を見る限りそうでは無さそうだな」
「ああ。もう言ってしまってもいいかな?」
「この二人は中学生の頃タイシンを虐めていたに違いない」 - 6121/10/08(金) 03:24:24
怒りの篭った眼差しが私達に突き刺さる。もう弁解の余地すら与えられない。
「その話、本当だろうな?だとすればタイシンに何をすべきか理解しているな?」
うるさい。ちょっとふざけただけだ。何故そこまで言われなければいけないんだ。
「虐めておいて親友だなんて…酷いよ…!今すぐタイシンに謝って!!」
黙れ。あんたらこそ急にしゃしゃり出て何様?
「二人とも…もういい、下がってて」
ずっと黙りっぱなしだったタイシンが口を開く。やはり持つべきは『親友』だ。さあ、今すぐこの状況をどうにかしろ。私が悪かったと謝れ。
さあ!
さあ!! - 7121/10/08(金) 03:48:17
「もう二度とアタシ達の前に出てくんな!!!」
は?
「『親友』?はっ、ふざけんな!!サンドバッグの間違いじゃないの?親友は無理矢理奢らせたりしないし、課題を押し付けたりしないし、嫌がってんのに体に絵の具を塗りたくったりしない!気持ち悪い…あんな事しておいてよくヘラヘラ笑っていられるな!!」
コイツ…!人数が増えたからって急に気が強くなりやがって!
「…B、もう行こ?」
「は?何で?私ら言われっぱなしじゃん!」
「いいから!!」
Aはそう言うと私の腕を引っ張ってその場から立ち去った。
後ろから「謝ってー!」と叫ぶ声が聞こえた。 - 8二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 03:58:30
保守
- 9121/10/08(金) 06:27:32
数日後
あの日以来、私の人生は本当につまらないものになってしまった。Aの奴、何故か一緒に遊ばないどころか私を避けるようになってしまい、他のグループに取り込まれるようになり、話をすることがなくなった。
タイシン。あいつのせいだ。あの時私に謝らなかったから友達を無くしたんだ。
常にイライラする。授業の内容も全くわからない。
ナリタタイシン。あいつのせいだ。
つまづくはずがない段差で転んで恥をかいた。
あのチビ。あいつのせいだ。何もかもがうまくいかない。全てあいつのせいだ。 - 10121/10/08(金) 06:56:58
今日も私は授業を抜け出し街をぶらついていた。
風が吹いて新聞紙が私の足にまとわりついてきた。新聞にはあのチビがでかでかと映っていて気に食わないので踏みつけてアスファルトに擦り付けて破いてやった。それでも私の心が晴れないままだった。
『ナリタタイシン!見事な末脚でゴール!今日のレースも大きな差をつけて勝利しました!」
今一番聞きたくない名前を聞いて舌打ち混じりで横を向くとテレビに映ったアイツが見たことのない笑顔を観客に向けていた。
あのチビ、あの日の事をすっかり忘れてやがって。本当に腹立たしい。アイツを私と同じどん底に引き摺り込んでやりたい。そしてどちらが立場が上か今度こそ思い知らせてやりたい。
…あ。思い出した。この写真をダシにすればアイツも少しは大人しくなるだろう。
私はSMSアプリからちょっと強引な方法で友達登録したアイツのアカウントにこの画像と釘を刺すメッセージを送ってっと…。
よし!なんだかせいせいしたのでハンバーガーを食べて帰ることにした。 - 11121/10/08(金) 07:19:41
次の日
朝、目覚めるとチケゾーから大量の不在着信が届いていた。妙な胸騒ぎを感じづつ、チケゾーに電話をかけた。
「あっ…タイシンさんのトレーナーさんんん…」
「チケゾーか…のっぴきならない状況が起きたみたいだが、何があった?」
「タイシンが…タイシンが行方不明なんですぅぅぅ!」
「!!わかった!今そっち行く!」
超特急でトレセン学園に着くとそこには心配そうな表情で周りをキョロキョロ見回しているスーパークリークを見かけた。 - 12二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 07:22:46
朝から重い…重くない?
- 13121/10/08(金) 07:34:46
「!ああっ…タイシンちゃんのトレーナーさん…!タイシンちゃんが…!」
「クリーク!チケゾーから話は聞いた。行方不明だってな?」
「はい…タイシンちゃん、起きてからウマホを見て顔を真っ青にして寮を飛び出したんです」
「あちこち監視カメラがあるだろ?映っていなかったか?」
「映っていましたし、その付近も探してみたんですが…見つかりませんでした。今はカメラがないところを探してます」
「…飛び出す前の情報がもっと欲しい」
「ええと…ウマホの画面を見た時に何か呟いていました」
「何て言ってた?」
「『なんで残ってるの…この写真』って言って…」
「………ああ……そうか」 - 14121/10/08(金) 07:52:38
タイシンを傷つけた犯人の目星が付いた瞬間、頭が急に冷やされる感覚と共に良心、倫理、道徳、法律など人を縛り付けるあらゆるものがどうでも良くなっていく。
「トレーナーさん!?どこへ行くのですか!?」
「どいてくれ、手っ取り早く終わらしたいんだ」
「…!ダメです!これだけは絶対にダメ!タイシンちゃんが元気になるには誰一人欠けちゃダメなんです!今、タイシンちゃんにはそばで支えてくれる大人が必要なんです!もし、トレーナーさんが警察に捕まったら、タイシンちゃんは誰を頼りにすればいいのですか!?」
「………!」
「この事件に犯人がいて、許さないって気持ちはわかります…。ですが…極論に走るだけはやめて下さい…お願いします…」
「………」 - 15二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 07:54:46
クリークは偉いねぇ…
- 16121/10/08(金) 08:09:55
「うおおおあああぁッ!」
「!!!」
怒りの咆哮と共に俺は木に向かって全力でパチキをかます。
ばさばさ、ぽとぽとと音を立てて落ち葉やどんぐりが落ちる。奥歯が抜け落ちたかと思う程の衝撃が走り、思考がようやく正常な物へと戻っていく。
「いッ……つゥ…」
「トレーナーさん!?」
「ありがとうクリーク。…頭、冷えたわ」
「よかったぁ…もうあんな事しないで下さいね?」
「わかった。約束する。…手分けして探そう」
「はい!」 - 17121/10/08(金) 08:28:05
カメラが届かない場所の一つである雑木林の中を駆ける。探していない場所といえばここだとクリークに教えられた。だが、探せど探せど木、木、木、目眩を起こしそうなぐらい生えている木ばかりだ?逆に言えば身を隠すには絶好の場所である。
「タイシンッ!クソッ切り株か…」
「タイシンッ!うおっ、なんてデケェキノコ…って紛らわしいッ!」
キノコを蹴り飛ばし、一息つく。心臓がバクバクと破裂寸前に鼓動を打っているが、まだ体力には余裕がある。最悪の事態になる前に何としても探し出さなければいけない。そう思いまた一歩足を踏み出した瞬間だった
ぐちゃり。 - 18121/10/08(金) 08:38:38
「うおおッ!?」
落ち葉のパリパリとした感覚とは真逆の生理的嫌悪を催す感覚がする物を踏みつけ、思わず飛び退く。
恐る恐る踏みつけた物を見ると、それは吐瀉物だった。
内容物を確認すると昨日の祝勝会の時に食べた松茸が混じっていた。他には舞茸、椎茸などのキノコ類…トレセン学園内で昨日これらを食べたのはタイシン、ハヤヒデ、チケゾー、俺だけだ。それに吐いて間もないのか地面に染み込みきれていない。つまり…
「近くにいるんだな!?タイシンッ!」
希望は見えた。だか、吐き戻すほど彼女は追い詰められているのも確かだ。
「死ぬなよッタイシンッ」 - 19121/10/08(金) 09:11:04
予想通り、タイシンはすぐ近くにいた。木を背に膝を抱えて蹲っていた。ただでさえ小さな体より小さく見えた。
「タイシン…」
「来るなあッ!!!!」
二人きりの雑木林にタイシンの悲鳴がこだまする。想定通り、一言目は強い拒絶の言葉だった。
「…初めは走って勝てばバカにした奴らを見返すことができると思ってた。けど、あんな風に虐められた過去はどうやっても消せないんだ」
「そんな過去、もっといい未来で塗り替えればいい!」
「できるはずがないッ!!あんな…あんな裸にひん剥かれて…みっともない格好と顔をさせられて…それをばら撒くって言われて…いい未来なんて思い付かないよ…」
「タイシン、その件は俺に任せてくれ。その写真は必ず消させてやる」
「…もういい。アンタには世話になったよ」
「タイシン、何する気だ?」
「もう…疲れた。アタシ、死ぬから」 - 20121/10/08(金) 09:43:36
「タイシン、それだけは絶対にダメだ。許さない。許可しない」
「いやだ…ずっとビクビク怯えながら生きるよりも死んで楽になった方がいい…トレーナーならアタシの気持ち、わかってよ」
「じゃあ、残された俺達はどのような気持ちで生きていけばいい?」
「え…」
「ハヤヒデはもっと早く見つけることができればと後悔しながら生きていくだろう。チケゾーなんか毎日タイシンの事を想って大泣きだ。クリークはあの時引き留めればよかったと自分を責める毎日に苦しむだろう。俺は…どうなるか想像がつかない。きっと荒れて道を踏み外すだろうな」
「…っ!」
「それに…お母さんを遺す気か?」
「!!」
「時々連絡してきて、活躍を聞くと嬉しそうに反応するんだ。それで花を送ってくるんだ。んでその花はタイシンの寮の玄関に飾ってある」
「そう、だったんだ…」
「…なあ、タイシン。タイシンは自分思っている以上に俺達にとって大切な存在。生きがいなんだ。解決できるはずの事件でタイシンを失ったら俺達の悲しみはどう癒せばいい?犯人を八つ裂きにしたら生き返るのか?」
「そんなはず、ない…」
「ああ、そうだ。命は一回きり。死んだらおしまいだ。だからタイシンを死なせないように俺達を信じてくれ」 - 21121/10/08(金) 10:29:31
気づけば薄闇色だった空は青空に変わり、あちこちでウマ娘がタイシンを呼んでいる。…もうタイシンを悪意から引っ張り出すまであともう一歩だ。タイシンに近づき、手を差し伸べる。タイシンも立ち上がり目に涙を浮かべこちらを見据える。
「ねえ…お願いがあるんだけど…」
「ああ」
「アンタの言いたいことはわかったし、もう死にたい気分じゃない。…でも、怖いよ…。またあんな目にあうかもしれないし、また死にたくなるかもしれない…トレーナー…お願い。アタシ、これからも生きていく勇気が欲しい…。だから、何か一言だけでもいいから、背中を押すことを言って…」
「生きてくれ。タイシン。あんな奴らに負けるな。俺達がいる」
「…ぅぅぅぅぇぇええっ!」
「グォーッ!!うおお後頭部にデカい石ぃぃ!いやこれ俺が蹴ったキノコぉぉ!」
「キノコに気取られんなバカぁぁぁっ!」
タイシンは涙を流し、トレーナーの胸に飛び込む、その勢いで後ろに倒れ込むが、全く苦しい表情を見せずタイシンを抱きすくめる。
ビワハヤヒデのウマホから通知音が流れる。SMSのメッセージにはこう書いてあった。
『ナリタタイシン無事に保護。ただし泣いてる姿は見られたくないそうなので合流は後で』 - 22121/10/08(金) 15:18:23
タイシンが泣き止んだ後、探してくれたみんなと合流した。チケゾーは当然号泣し、クリークも少し涙ぐんでいた。ハヤヒデ曰く、ウマ娘だけでなく他のトレーナーや、たづなさん、秋川理事長など多くの人もタイシンの身を案じ、探してくれたそうだ。本当に感謝しかない。
だが、まだこれで終わりではない。タイシンに脅迫したアイツに強烈な灸を据えてやらなければならない。
タイシンからウマホを預かり、パスコードを聞いて、一旦学園を後にした。 - 23121/10/08(金) 15:41:19
○○高校、Bの目線
昨日、ちょっとタイシン驚かしてみたので今日の私は機嫌が良かった。今日も授業を抜け出したいところだが、午後からの体育は生徒指導の先生がやっているのでサボったら後々面倒だ。とりあえず午後は出席しようかなと考えていたその直後だった。
「おいB!今すぐ生徒指導室に来い!」
顔を真っ赤にした生徒指導の先生に呼ばれた。
一体何事だろうか?そう思いながら生徒指導室へ入るとそこには真っ青な顔で震える担任とシクシクと涙を流すお母さんと、冷たい目線をこちらに向けるタイシンのトレーナーがいた。 - 24121/10/08(金) 16:05:36
「B…き、君はなんて事をしてくれたんだ…他校の生徒に脅迫を…していたなんて…」
え?脅迫?あっ
「Bとか言ったな?今朝タイシンは行方をくらまして自殺を考えるぐらい追い詰められいたんだ。…理由はわかるよな?」
あ、ちょっと待って、私が悪い?
「ウチの子が本当に申し訳ございません…もう許されなくても構いません…」
ちょっとお母さん。何言ってんの?助けてよ。
「ひとまず、写真をバックアップ含めて全て削除していただきたい。今、ここでです」
ちょっと、あの写真を見せるの?やばいって、ダメだって
「いいから言う通りにしなさいッ!」
お母さんがそう泣き叫ぶ。震える手でスマホを取り出し、ロックを解除し、あの写真が見えるようにスマホを机の中央へ置く。
担任は思わず目を逸らし、トレーナーは殺意を込めた目線をこちらに向け、お母さんは泣き崩れた。写真を消し終わった後、足腰に力が入らず、床にへたり込む。もう、終わりだ。
「…ひとまず俺の欲求は果たしたので訴訟の方は取り下げて頂きます」
「はい…本当に申し訳ございません…」
「失礼いたします」
俺が生徒指導室から立ち去る最中、Bの母親の叫び声と平手打ちの音が鳴り響いた。
どこかやるせなさを感じ、この学校を後にした。 - 25121/10/08(金) 16:38:20
全てを終わらし、電車に乗って目的の駅に降りると、そこにはタイシンが待っていた。
「あ、トレーナー。おかえり…」
「タイシン?休んでていいって言ったのに…」
「うん…その…ちゃんと帰ってくるか心配だったから」
「大丈夫。その辺の分別はちゃんとできてる…終わったよタイシン。アイツもう二度と手出しはできないはずだ」
「うん……ありがと…」
「ああ、それ、みんなに言ったか?」
「うん」
タイシンと一緒に帰ろうと思い、手を差し伸べると普段の態度とは考えられないぐらい素直にその手を取り、身を寄せてきた。…もう一つだけタイシンに謝らなければいけない事があった。
「タイシン…ごめん。あの写真なんだけど、消させる時に見てしまった」
「ん、不可抗力なんだし、許す」
「ありがとう」
あっさり許されてしまった。…ちょっと会話の内容が思い付かない。
「にしてもあんなに怒ったのは初めてだ。怒るのってあんなに疲れるんだな」
「そう、お疲れ様」
「疲れの具合を例えると、…あー…ビール瓶三本開けた次の日ぐらいの疲れかな?」
「お酒まだ飲めないからわからないし、ていうか飲み過ぎ」 - 26121/10/08(金) 16:56:00
ぽつりぽつりとそんな会話をしつつ帰路につく俺とタイシン。今回の騒動で起きたある出来事について思った事を話してみようと思う。
「…Bって奴のお母さんを見て思ったんだ」
「…何?」
「もし…俺の子が生まれて、虐めに加担していたなら…どうすればいいのか、誰を信じればいいのか…ちょっと怖くなった」
そう言うとタイシンは足を止め、真っ直ぐにこちらを見つめ
「アンタに限ってそんな心配はいらない」
「え?」
「だってアンタ、どこまでもお人好しで、損するぐらい正義感が強いし、絶対子供にそんな事はさせないと思うから」
「………」
「何?その間抜けな顔?」
「タイシン、生まれてもないのにやたらと俺の子育てについて口出しすらなぁ…って」
「…あ。〜〜〜っ!」
「痛い!タイシン!蹴らないで!痛い!タイシン!略してイタイシン!」
「略すなッ!」
この子は私達の 『生きがい』 おしまい - 27121/10/08(金) 17:10:20
あとがき
難産でした。トレーナーの声優は松風雅也さんでお願いします。 - 28二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 17:12:25
すき
- 29二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 17:14:31
トレーナーが間に合わないで本当に取り返しのつかないことになってしまったらBはどうする・どうなるのか気になってしまう
- 30二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 17:24:13
有難うね・・・・・・
正直>>1のスレ全ては読んでないけど昨日辺りに偶然少し読んでただの胸糞のまま進行してそっ閉じしたんだ
そっ閉じしたくらいだし存在忘れてはいたけど、
思い出した途端に救いが本当に欲しくなったので効いたわ
- 31二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 17:37:07
乙です
やっぱり救いがないとね - 32二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 17:43:18
お疲れ様です
信頼できる相手がいるというのは素晴らしい…… - 33二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 19:01:49
朝から激重感情ぶつけられて一日大変だったんだぞ
毎日やれ
完走お疲れ様でした - 34121/10/09(土) 05:12:23
最悪の事態が起きた場合、Bはのうのうと普段の生活を過ごしますが、それを許さない復讐鬼と化したトレーナーに殺害されます