- 1二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 21:04:20
- 2二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 21:04:34
対戦よろしくお願いします
- 3二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 21:05:04
多種族異能&魔法&科学ファンタジー
- 4二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 21:05:09
水着
- 5二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 21:05:15
あにまん掲示板
- 6二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 21:05:22
ウッチャンナンチャン
- 7二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 21:14:33
多種族異能&魔法&科学ファンタジー
水着
あにまん掲示板
了解
今から書く - 8二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 21:15:16
頑張れ
- 9二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 21:22:59
保守
- 10二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 21:23:17
保守っとな
- 11二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 06:25:00
10時過ぎに書けてたけど書き込めなかったから寝てた
- 12二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 06:25:17
小説を書きたい、という意欲はあるものの完結を指せたことがない。なろうに投稿しているけど全て5話以上書けずにエタっている。そんな俺にファンがいるはずもなく、感想はたった一件、つまんね。以上だ。
だがそれでも、小説を書きたい。この気持ちは嘘じゃない。なんとかならないのか。モチベーションを保つ方法がないのか。
そう友人に相談したところ、あにまん掲示板を紹介された。
いわく暇なあにまんまん達が日夜集まる場所であり、誰かしら相手をしてくれる為、集中力を切らせず書く練習になるのではないかとのことだった。
あにまんまんとは何者なのか、疑問はつきなかったが一人しかいない貴重な友人の勧めである。俺は素直に見慣れぬサイトにスレを立てた。
安価でお題をもらって小説を書くスレ
アイデアの数には自信があった俺は安価で小説を書くことにした。書きだすアイデアを決められなかったともいう。そこで手に入ったお題がこれだ。
多種族異能
魔法
科学ファンタジー
いや、むずくね? 異能なのか魔法なのか科学なのかファンタジーなのかはっきりしろ。 - 13二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 06:26:21
仕方なく俺は考えた。まずは多種族。多種族と言えば多種族ハーレム。なんやかんやで科学ファンタジー世界から魔法世界へ異世界転移した主人公が、なんやかんやで科学チートして多種族ハーレムを築く話だ。
最初はうまくいった。神様となんやかんやでなんやかんやと転移するまでは書けたのだ。だが多種族ヒロインのエルフドワーフ猫耳を出したところで、ヒロインが思いつかない。と言うか科学ファンタジーって何?
なんやかんやで出会って四人で強引に四人で冒険に行くことにしたのはいいが、もう限界だ。強引すぎる手法に見てくれているあにまんまん達からの不満の声も届いている。
見てくれる人がほしかった。感想がほしかった。だけど人から罵倒されるのがこんなにしんどいなんて。
くそ、何者なんだあにまんまん。批評ばっかりしやがって。いや負けるか! なんとかこいつらが納得するラストにするんだ!
「なにか、なにかアイデアをくれ!」
「いつもアイデアだけは負けないと言っていたのに、そんなおねだりして恥ずかしくないの?」
「お前は友達だからいいんだよ。頼む」
俺は何としても、にっくきあにまんまんをぎゃふんと言わせたいんだ。今日であったばかりだが、もはや俺にはそれしかないのだ。なので恥を忍んで俺の部屋にいる友人に助けを求めた。
「オチねぇ。そもそも私は小説は書かないんだけど、うーん、あ。ぎゃふんとは言わないかもしれないけど、みんなが満足しそうなオチなら思いついた」
「なに!? 今すぐ教えてくれ!」
「ヒントは今の格好だよ」 - 14二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 06:26:47
格好? 俺はいつも通りTシャツに半ズボンだ。この熱い夏。ごく普通だ。だがはっとする。俺の友達は俺の部屋でいつもコスプレや変な格好をしているので気にしていなかったが、今日は少しでも涼しく過ごしたいとのことで水着を着ている。
真っ赤なビキニが俺のベッドの上に転がっているのを見て、俺はすぐにその意図に気が付いた。
「そうか、水着、お色気で攻めろと言うことだな!?」
「お色気って……まあ、そうだけど、普通の人はみんな、お色気が好きだからね」
「なるほどな! さすがだなよし! それでいく!」
俺はさっそくその完璧なアイデアを形にした。冒険に行った先の遺跡は大きな泉に沈んでいて、みんな水着になって泳ぎ、ラッキースケベが起こってどつかれながらも遺跡にたどりつきお宝を手にし、何だかんだ俺たちの冒険はこれからだエンドだ!
「ふうぅぅぅ……俺は、やりきったぜ! ありがとうな! 完結できたのはお前のおかげだ!」
正直なところ賛否両論だった。だがこの際だ。スケベええやん、な意見もあったと言うのでよしとしよう。なにより、ついにこの俺が小説を完結させたのだ。これは人類には小さく手のこの俺様には大きな一歩なのだ。
俺は達成感に身をゆだねながら、友人の手をとり感謝をのべた。
「う、うん。まあ、よかったね。君には効果がなかったみたいだけど、水着を着たかいがあったよ」
「おう! お前の水着、似合ってるぜ!」
友人は俺の偉業を笑顔で祝福してくれた。やっぱり持つべきものは友達だな!
おわり - 15二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 06:31:21
昨日書き込めなくなる前に保守してくれた人ありがとう
おかげで無駄にならずにすんだ - 16二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 07:32:17
- 17二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 07:36:09
海
- 18二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 08:19:04
夏休み
- 19二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 08:20:24
料理
- 20二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 08:23:24
海
夏休み
料理
了解
今から書きます - 21二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:12:24
何故俺は、こんなところにいるのか。暑い。ただ暑い。高校二年生の夏休み。学校にもなれて、受験には余裕がある、自由に遊びまわれる。そんな最高の夏が待っているはずだった。
なのに俺は親に言われて、終業式も終わるや否や、祖父母の家がやっている海の家を手伝いに来ていた。
みんな水着で楽しそうにしている中、俺は一人鉄板の上で焼きそばを焼いている。
「あつい……」
「ははは! 熱いだろ! いやあ、健太(けんた)が来てくれて助かったよ! なんでも、聖地? になったらしくて、海開きが始まる頃から観光客が増えててな!」
祖父母の家は海の近くで、昔から海の家をしていた。小学生の頃に何回か来ていたけど、海のべたついた空気が苦手で反抗期もありこなくなった。
数年ぶりに昨日あった祖父母は俺を歓迎してくれたけど、朝から買い出しから調理から接客までめちゃくちゃこき使われている。
まだ夏休みになったばかりなのに、かなり人は多い。祖父母のあまりわかっていない説明によると、話題にあったアニメの聖地がこの街らしく、めちゃくちゃ観光客が増えているらしい。夏休みが始まったら大変なことになる、例年の人手では足りない。そう判断して俺が送り込まれたらしい。
お小遣いはもらえるらしいし、正月にだけ会ってお年玉をもらっていた後ろめたさもある。わかったと了承したのは俺だ。
それにしても、熱すぎる。
「じいちゃん、今日最高気温何度?」
「あー? おいおい、この商売、天気予報のチェックは基本だぞ。跡を継ぎたいなら今から習慣付けとけよ。38度だ」
全然継ぐ気はないけど、何故かじいちゃんは昨日から上機嫌でそんな体で話をしている。まあ、まだ進学先も決まっていない。もしかして就職浪人にでもなったらニート扱いを避けるため手伝う可能性はある。ここは黙っておこう。
それはそれとして
「まじか聞かなきゃよかった。今年最高の熱さだろ」
「なぁに言ってんだ。この辺りは最高だと40度まで余裕で行くぞ」
「まじか。ところで、昼はいつ? 俺腹減ったんだけど」 - 22二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:13:28
朝早く起きてから働かされ、もう二時を過ぎた。さっきまでは客足が多かったので忙しさで誤魔化せていたが、そろそろ空腹は限界だ。水をのみながら客が来たら見える程度の手近な椅子に座ったところで爺ちゃんに尋ねる。
じいちゃんが隣でおなじように働いているから弱音を吐きたくなかったけど、そろそろいいだろう。まさか昼を抜くわけじゃないだろう。
「おー、そうだな。そろそろ来ると思うぞ。交代で休める。先に休ませてやるからな」
「交代?」
そう言われて首を傾げたが、昨日聞いた話を思い出す。そう言えばじいちゃんと同居はしてないけどこの町にはおじさん家族もいて、そっちは毎年手伝ってくれているらしい。
夏休みも部活をしていて午後からしか来れないって話だったな。
「お待たせー、おーい」
「お、来たぞ」
「ちーっす。じいちゃん、健太も久しぶり」
「お、おお。久しぶり、夏樹、だよな?」
「そーでーす。健太もおっきくなってるし、雰囲気かわったよね」
「あ、ああ。お互いにな」
走ってやってきた体操服みたいな派手な赤いジャージと白シャツを着た女子がにかっと景気よく笑って挨拶してきた。五年ぶりくらいの従姉妹は、そう言えば女子だった。知ってたけど、普通に髪もみじかいし何も考えずに一緒に遊んでたから、今見ると普通に女子だな。
うろたえるな、俺。従姉妹の夏樹にびびってはいけない。可愛いとか思ったら負けだ。
「てか、健太、なに、まさか焼きそばつくってたの?」
「は? なんだよ、まさかって。俺だって焼きそばくらい作れるっての」
客が減ってから頼まれた分しかつくってないので、今は鉄板の上には何もないが、ピークは山盛り作ってたし、味だって昨日練習させられたから問題ないはずだ。そもそも家でも小腹が減ったときは自分でちょっとくらい料理するしな。
だと言うのに、夏樹は唇をつきだすように怒った顔になる。俺、何かやったか? - 23二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:14:33
「えー、ずるい! 私なんか毎年手伝ってるのに、じいちゃん私に鉄板係は絶対やらせてくんないのに!」
「鉄板は男の仕事だ。火傷したらどうする」
「むー! ちょっと健太! 焼きそばつくってよ! お金払うし」
「は? 腹減ってるし疲れてんだけど」
じいちゃんの背中をぱんぱん叩いて不満をあらわにしてから、夏樹は俺に無茶振りしてくる。
思わず女子を怒らせたかとドギマギしたが、俺が悪いわけじゃなさそうだとほっとしたのはいいが、何でこれからつくらないといけないんだ。もう疲れてるし、腕もパンパンなのに。
「つくってお昼にしたらいいでしょ。ほらー、半端な味なら許さないからね!」
「そうかそうか、よーし、じゃあ健太、俺は先に休憩で母ちゃんのめし食ってくるからよ、お前は焼きそば作って二人でくってていいぞ」
「ちょっとじいちゃん!」
ひ、ひでぇ。
夏樹は鉄板をしないって言うなら俺か爺ちゃんは絶対にここになきゃいけないはずだ。交代でしか休憩がとれない。先に休ませてくれるってそう言う意味か、と理解した瞬間に、夏樹のいちゃもんがめんどくさくなったらしくて先に休憩とられた。
俺だって、家に帰ってばあちゃんの料理が食べたいのに。俺はそそくさと出ていくじいちゃんの背中をうらめしげに睨み付けるが、夏樹が俺を睨み付けているので逃げるわけにはいかない。
「あー、もー、しゃーねーな。その代り、じいちゃんが戻るまで鉄板以外全部お前の仕事だからな」
「美味しかったらね」
仕方ないので立ち上がって鉄板に近寄り油をひく。弱火にしていた火も強くして、熱している間に麺をほぐす。今日一日メチャクチャつくったのでもう考えなくても手がうごく。調味料のかけ具合も感覚だ。
二分もかからず出来上がる。中々のベストタイム。それをパックにつめて、と。
「ハイお待たせしましたぁ!」
あ、つい客気分でしてしまった。従姉妹に愛想笑いするのハズいな。そんでパックに入れる必要なかった。 - 24二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:14:58
「むむ。タイムは合格だね」
「何様だよ」
してしまったものはしゃーないし、受け取る夏樹に悪態をつきながら俺も割り箸をわる。できたての焼きそば。ずっと作ってたからもう匂いも飽きてきたと思っていたが、いざ食べるとなると空腹の腹が騒ぎ出す。
水だけは飲み放題で用意されている。水を飲んでから早速食べる。うん。うまい。この暑さの中、味の濃い焼きそばがうまい。紅ショウガもいい味している。うあー、うめぇ。
自画自賛だけど、まじでうまい。
「……くっ、男子の癖に料理できるとか、ずるい」
「なんだよそれ。男女差別だぞ。お前だってこのくらい作れるだろ」
「あー、女子は料理できるとか言う男女差別発言はいりましたー!」
「男女関係なくこのくらいできるだろって話……え? もしかしてお前、できないの? 毎年海の家手伝ってるんだよな?」
「う、私はかき氷担当なの! もう! 見てよほら! かき氷なら30秒でできるんだから!」
悔しそうな夏樹は一気に焼きそばを食べてからかき氷機に向かうが、いや電動だしそりゃできるだろ。シロップかけるだけだし。
「ほらできた! ほーら、美味しそうでしょ!」
宣言通り30秒でつくった夏樹は何故か誇らしげに俺の目の前にかき氷をむけてくる。ご丁寧にスプーンストローもさして一口分もちあげている。 - 25二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:15:28
「見て、このシロップの完璧なかけ具あ、あ!? な、何で食べるの!?」
「え?」
目の前に差し出されたかき氷、この熱い中めちゃくちゃ美味そうだったから普通に食べたら、何故かめちゃくちゃびっくりされてしまった。
「駄目だったのか? お前から出してきたんだし、デザートかと。てか、暑いんだしいいだろ、朝から鉄板の前にいたんだし、今も焼きそばつくっただろ、もっとくれよ」
「……そ、それはそうだけど。わ、わかったよ! もう、健太は昔から偉そうなんだから。ほら……あーん」
え? あ、さっきの、何も考えてなかったけどあーんだったのか。そしてなんか、俺が追加であーんしてくれと催促したみたいになってしまったのか。
「お、おお。あーん」
俺は照れくさそうに差し出す夏樹を見ながら、従姉妹って結婚できるんだよな。と考えていた。
なんだか、最高の夏が始まりそうな気がしてきた。
おわり - 26二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:16:53
- 27二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:24:14
英雄
- 28二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:24:25
変身
- 29二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:24:35
大剣
- 30二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:25:09
現地改修機
- 31二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:46:19
ジャングル
- 32二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 10:46:46
友情
- 33二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 13:59:33
現地改修機
ジャングル
友情
了解今から書く - 34二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 15:55:23
俺がこのジャングルに来たのはたった半年前だ。つまり田中と出会ったのも半年前。田中は俺より十歳年下だが、何だかんだと気が合い、職場で一番気のあう友人となった。
出稼ぎにこんな遠くまでやってきたが、田中もいるし三年間の契約期間も楽しくできるだろう。そう楽観的に考えていた。
だけどまさか、大規模なテロに巻き込まれるとは思ってもいなかった。
世界的に有名な大企業が手付かずのジャングルを切り開き、大規模な工場をつくろうとしている。それだけの違法性もない話だった。
だが一週間前、突然襲撃を受けた。工場をつくるために俺たちがつかっている人型建設機が目的だったようだ。最新の軍備には劣り戦闘につかえないようセーフティがかけられているが、基本の性能や素材は一流の人型重機。裏に流れる型落ち軍用機より魅力的だったのだろう。
夜間の宿舎への襲撃だったが、俺たちは他の仲間と集まり人気のない簡易資材置き場の片隅で賭けポーカーをしていた為、難を逃れた。
なんせジャングルでの作業は夜間の明かりを確保することが難しいため、夜は全員が就寝時間だ。その為悲鳴をあげることもなく死んでいった人間が多くいただろう。
その場にいた5人はそれぞれこっそりと機材に乗って逃げ出したが、なんせ場所はジャングルの奥地。俺たちが切り開いた場所以外には道なんてない。
逃げる為にはいまやテロリストの巣窟となった元職場を通過しなければならない。
「くそっ。あいつら、いつまでのんびりしてるつもりだ」 - 35二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 15:56:08
この一週間、なんとか隙がないか見ているが、夜でも昼でも警戒態勢が敷かれ、まるで軍事施設かのような念の入れようだ。
あいつら、施設の被害がほぼ宿舎だけで済んだのをいいことにここを本格的な根城にでもするつもりか。電波も届かないここは、異常を知られるまでにも時間がかかる。なんともあいつらに都合のいい事だ。
「落ち着いてください、幸いあいつらは今の開拓地内の敷地で満足しているみたいです。あと二週間もすれば本部から人も来る。そうなれば助けも来るはずです」
「田中……」
十分な開拓をして半分ほどを建設中だが、まだまだ予定地には足りていない。拡大するため、周辺の探索も何度も行っていた。その分の地の利もあり、一緒に逃げた俺と田中はなんとか見つからない場所に身をひそめているが、安全に食べられるものなどたかが知れている。
当然風呂にもはいれないし、睡眠だってろくにとれない。もう限界が迫っている。これ以上助けを待つために潜むと言うのも無理だ。
田中は冷静に俺を諭したが、自分自身に言い聞かせているのだろう。胸にかけているロケットペンダントを握りしめている。
その中には、田中の家族写真がはいっている。見せてもらったが、可愛らしい赤ん坊をだいている写真だった。
そうだ。俺はまだいい。息子の大学進学費用をだしてもお釣りがでる金額を前払いにつられてやってきた。
すでに金は振り込まれているから、卒業までは問題ないだろうし、元々長期で出稼ぎによく言っていた。俺がいなくたって立派にやっていけるだろう。
だが可哀想なのは田中だ。子供がまだ赤ん坊のうちに借金を返して、学校に行く頃には落ち着いて参観日にもいけるようなまともな職につくんだと息巻いていたのに。
自分の親の借金をかかえ、その親にしてもらなかったことを自分の子にはしてやるのだと、目を輝かせていたのに。
「……そろそろ、二歳の誕生日になるんだろ?」
「え? ああ、そう、ですね。はい。だから絶対」
「本部から来た人間が助けを呼ぶには、こいつらより先に相手に気が付き、襲われないうちに戻らないといけない。あいつら相手にそんなことできると思うか?」
「それは……」
「早く帰るにこしたことはない。そうだろ? 俺に案がある。聞いてくれないか?」 - 36二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 15:57:04
これ以上時間をかけたところで、操縦者である俺たちはもちろん、ソーラー充電で賄いきれずに減っていっている燃料残量が尽きたらなにもかも終わりだ。今、うってでるしかない。
俺はあちこちに出向してきた。軍の下請けの下請けなんて
どこにだってある。一定以上の速度やパワーが出なくなったり、範囲内に人を感知すると緊急停止する軍用以外の機材につけられるセーフティプログラムを解除することはできる。
当然銃などの武器はないが、建設用機器としてドリルや固定用釘打ち機能はある。釘打ちもセーフティをいじれば対象に向かって発射することはできる。
昔の釘とは違い、現在の建築資材を一発で固定する特殊な金属棒のようなもので、威力は打ち所がよければこの頑丈な重機の腕を落とすくらいはできる。
釘は補充されたままなので数はある。テロのやつらを知らないが、重機用装備は軍用武器とは使い方が違う。銃は当たるように設計されるが、重機はそうではない。
釘の的当ての賭け大会で優勝したこともある。まあそれがバレてその時務めてた会社は首になったが。とにかく、同じ重機を使うなら俺の方が腕はあるはずだ。
「ほ、本当に大丈夫なんですか?」
「どっちかがおとりになるなら、俺に決まってるだろ。お前みたいな若造に命任せられるか」
どちらかがおとりになり、気をひいている間にもう一人が電波の届くところまで逃走して助けを呼ぶ。おとりになった方は相手を逃がすのはもちろん、その後自分が逃げないといけない。
おとりが機能しなければ二人とも犬死だ。そんな重要な役目を任せられるわけがない。田中は人格的にはいいやつだが、まだまだ、俺には敵わない。 - 37二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 15:57:53
「ポーカーのイカサマ一つ見抜けない青二才が、俺に勝てると思ってんのか?」
「……え? イカサマ? ちょ、ちょっと、俺、先輩に五万も負けてるからってあれこれパシらされてたのに」
「いいから行け。1900に開始だ。配置につけ」
「……全部終わったら、ちゃんと清算してもらいますからね!」
田中は静かに移動を開始した。田中は静かに丁寧に機械操作する。俺のように手早い操作はできないが、隠れて人目を避けるなら、田中の方がずっとうまくやるだろう。
「はっ。帰れたら、利子をつけてやるよ」
俺は田中の背中にマイクをオフにして声をかけた。念のためと、お互いに家族あての遺言書を持っている。あいつが生き残れば、俺の悔いは……まああるが、やるだけやった結果だ。
待機している間、心が揺れないと言えば嘘だ。やっぱりやめようか、たとえ移動させず、ただの夜間休憩所にすれば数カ月は持つ。
待ちだって、立派な手だ。逃げじゃない。だが、確実ではない。ここにくるのにワクチンをうたされているが、いつまでもここでサバイバル生活をして体がもつか、見つからないか。そんな保証はない。あいつらに、一言もなく行方不明。そんな不義理ができるか。
これがベストだ。大丈夫だ。俺はやれる。あいつなら無理でも、俺なら、万が一、本当に生き残れる可能性だってあるんだ。
俺は震える指先で時刻表を確認する。時間だ。
「っ……行くぜぇ!」
機体を動かす。光を灯し、音をたてる。あいつらの死角から飛び出した。
途端に鳴り響く警報。あいつら、活用してやがる。電源のはいっていない機体は良い的だ。釘を重要関節部に刺して壊し、転がし、少しでも手数を減らさせながら俺はこちらに向かってくる重機から逃げる様に建物の隙間を縫って動く。
途中、壁に立てかけて放置している柱を一気に押して通路に放りだし、反対側に走る。資材置き場のバラック、見た目は綺麗だが通路側の方はすかすかだ。
動線上じゃない場所は大した通行量もない。薄くても問題ないと提言したのは俺だ。どうせいつかばらしてしまう予定なのだからと。
そこから突っ込めば簡単に中に入れる。バラックを崩しながら移動する。 - 38二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 15:58:24
「ちっ」
さっきから距離をもって発砲されていたが、どうせ人間用。重機にはダメージはないと思っていたが、どうやら一点打ちされていたようで、左側のブラスターがやられた。
だが少なくとも、さっきから釘をうってはきていない。あいつら、釘打ちの改造はできていないらしい。大型重機でこちらをつぶそうとしている気配はあるが、テロリストのはいっている建物の陰を狙っているので追いつかれていない。
俺は転がるようにして移動して、本社の一階部分の窓につっこみ、右腕を振る。ここは食堂で、ガスタンクが置いてあったはずだ。
見えないまま動いたが、想定通りだ。あいつらもさすがに、この状態で火薬系は使えないだろう。
これ以上はこの機体を使っても逃げられない。俺はそのまま機体を乗り捨てた。
ガスが充満する中、俺は建物の中に入り込んだ。いける。あいつらがこの本棟を使っているのはわかっている。小窓から逃げて、どこかの物置に入り込んで衣類さえ新しいのに変えれば一目で特定はされないはずだ。消火器を持ってガス漏れ対策をしに来たと思わせれば近くにいても。
「がっ」
どかんと、世界が揺れたかと思った。食堂の小窓から出た瞬間、俺は何かに吹き飛ばされた。すぐ裏の木々にぶつかり落ちた俺に、何かがさらにのしかかってくる。
「ぐ、う」
呻きながら目をあけると、腕には細かなガラスが刺さり、崩れた壁が足をつぶしている。上を見ると、半壊した本棟が見える。今にも崩れて、こちらに振ってきそうだ。
「……くそ」
本棟の最上階にはまだ人がいたはずなのに、躊躇なく壊しにかかるとは。テロリストをなめていたらしい。
しがない下っ端の俺一人でなんとかなるほど、テロリストは甘くない。当たり前だ。 - 39二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 15:59:03
「……は、大丈夫だ。大学には、参観日はないからよ」
だから、息子は俺がいなくたって、金があれば生きていける。でもな田中、赤ん坊には、父親が必要だ。だからどっちかが死ぬなら、俺だって話だ。
友人の為に、危険な方をかってでる。なんていう風に言えば、随分格好いいじゃねぇか。俺みたいにはならない、なんていう生意気な息子も、見直すだろうよ。
俺は落ちてくる大きな瓦礫を見ながら、妻を思った。息子は大丈夫だ。あいつも負けん気が強くて、俺の嫁じゃなければ出世だってしただろう。きっと、清々したなんていうだろう。それでいい。笑って生きてくれればいい。
ああ、でもなあ。俺の事、忘れてほしくねぇなぁ。
落ちてきた瓦礫とぶつかる時には、もう俺の痛覚は機能していなかった。それはきっと、幸いだったんだろう。
おわり - 40二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 16:01:54
この後ご都合主義で助かってもいいけど、まあ死ぬよなと思って終わりにした
現地改修機がわからないからググったら「現場にて目的や用途に合わせ非公式な改修すること。」だったから
単語が直接出てないけどこれでセーフですよね?
普段こういうの書かないから疲れた - 41二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 16:07:25
1番最初の小説の友人は男なのか!?気になって夜も眠れる
- 42二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 16:25:55
- 43二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 20:39:06
- 44二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 20:40:32
悪堕ち
- 45二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 20:40:42
秘書
- 46二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 20:40:52
洗脳
- 47二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 20:40:58
神
- 48二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 20:41:03
悪堕ち
- 49二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 20:41:08
安価でお題をもらって小説を書くスレ
- 50二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 20:43:53
はやすぎてこわ
秘書
洗脳
神
了解
今から書く - 51二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 21:46:12
できた
- 52二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 21:46:24
ある日神様は思いました。秘書がほしいなぁ、と。
美人でナイスバディで自分の仕事を一から十までサポートしてくれて、ついでにプライベートも甘やかしてくれるような厳しくも優しい秘書が欲しいなぁ、と。
しかし現実は残酷です。日本だけで神様は八百万もいるので人間にも想像がつくでしょうが、それだけいれば自然とカーストができあがります。こちら、神様の中でも最近生まれたばかりのBSSの神様でした。
BSS、そう、山陰放送、ではなく、「僕が先に好きだったのに」属性を司る神様です。残念ながら生まれたばかりで下っ端の神様であるBSS神に、秘書なんて夢のまた夢。天使を生み出すこともできませんし、他所からスカウトしようにも華々しい経歴もありませんので、難しいです。
しかしBSS神は気付いてしまいました。天使の秘書は難しいけれど、下等な人間ならいけるのでは? そう、神様の中では下っ端でも、人間とは隔絶された格を持つのが神様です。下等な人間一人洗脳して、天使級は無理でも秘書の真似ごとができるくらいに力をあげるくらいなら可能です。
人間は見た目は神様を真似て作られているので、見た目だけなら全然ありです。なんなら秘書の仕事なんてできなくてもいい。見た目だけそれっぽければいい。
これは画期的な気付きだ、とBSS神は自画自賛しました。
そう言う短絡的で表面しか見ないのでまだまだ下っ端な神様であることには残念ながら気づいていません。
「さーて、ボクのお眼鏡にかなう子はいるかなー?」
そんなわけでBSS神は地上の視察をはじめました。 - 53二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 21:47:10
洗脳をかけるにもいい相手、悪い相手がいます。例えば神に仕える力ある人間は、だいたいちゃんと祀られている上位の神の庇護下ですから、手を出そうものなら自分が消されてしまいます。
神職についていなくても、ちょっとでも関連があるとまずいです。基本的に人間への勝手な干渉はよく思われませんし、私利私欲の私物化と知られたら、全然関係ないくせに大神たちはでばってくる可能性があります。古い神は頭がかたくて困ります。
なのでいなくなっても人間の中でも話題にならず、誰も困らず、神に助けを求められもしないような美しい娘がいないかとBSS神は目を皿のようにして探しました。
この際無能でもいいことにします。大事なのはガワですから。
「おっ!?」
力が弱そうなのを積極的にさがしました。力が弱く、死にそうなのは放っておいても近いうちに死ぬのですから、BSS神のせいだと思われないどころか、可哀想な人間を救ったと言い訳も効きますから。
BSS神はあまり強くないので、逆に繊細に人間たちの力の強弱すら感じとることができるのです。今にも死にそうな人間たちの中、BSS神ははっと一人の少女に目をやりました。
とある貧乏なアパートに、泣いている力も見た目も弱そうな少女がいました。髪が長く陰気な雰囲気ですが、来ているシャツのボタンがはじけそうな巨乳にぴんときたのです。
BSS神は顔がいい女の子が好きなのですが、ちょっと芋臭い女の子の方じゃないとうまくお話できない内気なところがあったので、より琴線にささりました。
顔を抑えて泣いていますし、その顔には痣がありますが、そこは腐っても神様ですから、魂からその顔のつくりを見ることができました。
ちょっぴり鼻が低い丸い鼻で愛嬌がありつつ、目はぱっちりしていて、小さめの口も小動物のようで、高得点です。
「君に決めた!」
BSS神はさっそく彼女にアプローチすることにしました。少女が泣きつかれるのを待って、眠ってしまった夢枕にたちます。現実に干渉すると目立ちますが、夢枕にたつくらいなら真面目な人魂にすら許されますので目くらましにもばっちりです。 - 54二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 21:47:39
「ごほん、ごほん。何を泣いているのだ、少女よ」
「……」
夢の中でもうずくまっていた少女にBSS神は偉ぶって声をかけましたが、無視されました。おや? と思います。
気弱そうだったのに。意志が強かったり心を閉ざされると、BSS神程度の力では洗脳も難しいので、焦りながら優しい声音を心がけて少女の前にしゃがんで話しかけます。
「あの、ドリームちゃん? 聞こえてる? あのね、ボク、神様なんだけど、今日はちょっといい話があってね?」
「……」
「あのー? 聞こえてない感じ?」
「……うるさい。黙って」
「え、ご、ごめんなさい」
ちょっとだけ顔をあげて睨まれたので思わず謝ってしまいました。BSSは人間を下等な人間と思っていますが、それはそれとして気が弱いので女子から強く出られるとびびってしまうのです。
え、恐い。やっぱやめようかな。と思いましたが、BSS神は「僕が先に好きだったのに神」なのです。一途で一度決めた思いを引きずるタイプなのです。一度いいな、と思った彼女を簡単にあきらめることはBSS神の性質的にできません。
勇気をだしてもう一度声をかけることにします。
「あの、ボクは神様だから、人間のお願いを叶えてあげられるんだよ? だから話を聞いてほしいな?」
「だったら、殺してよ」
「え?」
「はやく、あのクソみたいな親を殺してよ!」
「あ、あわ、あわ」
勢いよく立ち上がった少女、ドリームちゃんは怒鳴りつけてBSS神の足を蹴りながらそう言いました。もちろん痛くはありませんが、BSS神はその勢いにびびりすぎてしりもちをついてしまいます。 - 55二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 21:48:12
「できないなら消えなさいよ!」
「に、人間を殺すのは許されてないからぁ」
神の世界に連れていくのは本人の了解があればギリセーフなとこあります。昔から神様であろうと恋心は制御できないので、両思いだからと建前をすれば許されます。ですが殺してしまうのはさすがにNGです。
「でも命にかかわらないことならできる、そう! 君をひどい親から離れた遠い、ボクたち神の世界で生活させてあげることはできるよ!」
「……で? それで私は何を要求されるの? 悪魔なんだから、魂? それとも奴隷として魂が擦り切れるまで使い潰されるの?」
「あの、神様なんだけど」
いい考えだ! と思ったのにドリームちゃんは冷めた目でこんこんと足先でBSS神のつま先を蹴ってきます。
しかも何故だか悪魔扱いです。本当に神様なのに。だいたい同年代の他の神からもあまり人望が無く軽く扱われがちなBSS神は、そんなある意味なれた対応に心がしょんぼりしてきます。
ですがそれを気にせずドリームちゃんは腰を折って睨み付けてきます。夢の中なので痣もない彼女は表情豊かで、怒りがストレートに伝わってきてとっても怖いです。
「じゃあ何、なんにもしなくていいわけ? あんたが私の言うこと聞いて何から何まで世話してくれるってこと?」
「あ、あうあう。あの、その、ぼ、ボクの秘書を探してまして、雇いたいなーみたいな」
洗脳するにも心を許してもらわないといけません。BSS神はなんとかまずはBSS神についていこうと思ってもらえるように耳障りのいい言葉を並べます。もちろん嘘ではありません。BSS神は嘘があまり好きではないのです。 - 56二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 21:49:27
「……仕事内容は?」
「えっとあの、詳しくはね、まだ決まってないんだけど。ボクのお仕事をサポートしてもらいたいなって。生活の面倒はもちろん見るし」
「全然わからない。だから何の仕事をしてるわけ?」
「えっと」
BSS神にも仕事はありますが、一番多いのは他の偉い神様からふられる雑用です。なんとかそれをいいように言い換えて、ドリームちゃんの質問に答えていきます。
小一時間ほど問い詰められて、ドリームちゃんは満足したらしく考え込むように腕を組みました。正確に言うといまいち要領を得ない説明だったので、これ以上の質問を諦めたのですが。
「……そっちの世界を見ないと何とも言えないわ。ひとまず仮雇用じゃ駄目? 本採用されたらもう自由に人間界に戻れないなら、おためしは必須でしょ? あなたにとっても、私が使えなかったらクーリングオフしたいでしょ?」
「あ、はい、あ」
もちろん神の世界にクーリングオフはありません。そんな気軽に人を出入りさせられません。許されるのは人間界を捨ててでも一緒になりたい、と言う気合がある人間くらいです。
洗脳させてそのふりをしてもらおうと思ってましたが、今の状況ではとても洗脳がききそうにありません。
だと言うのに、勢いで頷いてしまいました。わかりやすく失言した、と言う顔をしているBSS神に、ドリームちゃんは気付いているのに知らないふりをしてにっこりしました。
「じゃあ決まりね! 私を今すぐつれていって!」
そしてぎゅっとBSS神の腕に抱き着くようにして笑顔でおねだりしました。
それまでずっと不機嫌だったり仏頂面だったドリームちゃんのいきなりの笑顔のドアップ、おまけに腕に感じる豊かな恵みに、BSS神はどきゅんと心臓を貫かれてしまいました。
「う、うん!」
こうしてBSS神は洗脳をするどころか、逆に言いなりになる形でしたが何とかドリームちゃんと言う秘書を手に入れました。
その後、ドリームちゃんは自分が成人して親元を堂々と離れられる数年後には人間界に帰るつもりで提案し、それまで精々BSS神を利用するつもりでしたが、素直に懐いてくるBSS神にほだされて結局ずっと秘書として公私ともに支えることになりますので、BSS神も尻に敷かれながらも幸せな神生を送るのでした。
おわり - 57二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 21:50:34
「そぼく」って書いたらぼくがひっかかってびびった
- 58二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 21:52:47
頑張ったので面白いと思ったらハート押してくれると嬉しいです
- 59二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 05:33:58
保守
- 60二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 07:32:56
- 61二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 07:38:40
男
- 62二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 07:38:51
秘書
- 63二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 07:39:03
悪堕ち
- 64二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 07:39:23
運動部
- 65二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 07:39:34
女性
- 66二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 07:40:35
仕事
- 67二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 07:40:48
- 68二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 07:42:47
運動
- 69二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 08:03:40
- 70二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 08:05:08
機械
- 71二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 08:06:13
ロボット
- 72二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 08:06:39
ナノマシン
- 73二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 08:11:52
悪落ち
女性
ナノマシン
了解です - 74二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 17:41:45
保守
- 75二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 21:07:25
一応書けた
- 76二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 21:07:37
「よって合理的に考えて、こうするのが最も効率的だと判断しました」
「……」
「まだ納得ができませんか?」
目の前にいるのは普通の大人の女性、に見えるけど普通の人間じゃない。
人工的につくられ胎児の時から特殊なナノマシンを体に注入して、特殊な能力をを持つ能力者として育て、この国の平和を守る自治組織の一員となる。それが魔法少女防衛計画。この国が百年前からひそかにすすめ、ついに十年前から公に実行されたものだ。
つまり、この人は国を守るための構成員である魔法少女だ。非人道的だけど一応国家公務員みたいなものなのに、どうしてここにいるのか。
それには私のことを説明しなければならない。私は悪の組織の人間だ。
悪の組織、と言われているけどそれをつくった父にそんなつもりはない。父はただ、病弱な娘である私を助けたくて、ナノマシン技術を通常医療にも開放しろと迫り、学会を追放されてからも組織をつくって今も対抗している、ただ私を思ってくれている、それだけのつもりだ。
ただナノマシン技術を手に入れる為、民間人は別としても政府の所有物であり被験体である魔法少女を拉致することに成功し、彼女、魔法少女ナンバー02500の体を研究しているので、控えめに見積もっても邪悪で非道な悪の組織だろう。
魔法少女たちに人権がないのは政府の行いに対してだけで、それ以外は一般人よりむしろ優先される権利があると法律で決まっているので、法律違反でもあるし、普通に犯罪者だ。
父は一応罪悪感を持っていて、できるだけ痛くないようにしたり、命をうばったり洗脳したりはしないけど、彼女はその被験体であることに違いないのだ。
だから私たちを恨んでしかるべきなのに、どうしてか今、彼女は自分から私の世話係をしている。
今なんて、私のことを膝に乗せて食事を食べさせてくれようとしている。今日は体調もいいから、ご飯くらい一人で食べられるのに。
膝にのせるのは全然合理的じゃないと思うし、最初もっと冷たい雰囲気だったのに急に態度が変わっている。 - 77二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 21:08:19
「納得と言うか、どうしてよくしてくれるのか、わからないから。私のせいであなたはひどい目にあってるのに」
「私は人を助ける為につくられました。あなたが助かるなら、魔法少女は協力します。そうあれと、つくられたからです」
「でも、痛いでしょ?」
「いいえ、政府からの指令により戦闘行為をする方がずっと痛みの有る行動です」
「でも……」
父は医者の免許も持っていて、非合法にだけど薬品も施設も用意できている。だからきっと、痛くはなかったんだろう。だけど強引に血をぬかれ、傷をつけてからのナノマシンの活動状況などを観測され、完全に物扱いだ。私だったら、心が痛くなる。
だけど彼女は、魔法少女である彼女にはそれが伝わらないのだ。何と言えばいいのだろう。私はただ、私の為に誰にも傷ついてほしくないだけなのに。
そんな私に、彼女は不器用ながらも笑みをつくった。
「あなたは言ってくれました。私が望むなら自由にしてくれると。なら、私は私の自由意思で望みます。名前を呼んでください」
「……ニコさん」
話しかけた時に魔法少女ナンバー02500と名乗ったから、勝手にじゃあニコさん、と一時的に呼んだだけなのに。
たったそれだけで、彼女は、ニコさんは急に雰囲気を変えたのか。捕まっても、父に半ば脅すように頼みこまれて研究させてくれと言われた時も、無表情無感情で従っていたのに。
今、ニコさんは自分から私に話しかけてくる。表情を変えて、優しくしてくれる。
こんなのは駄目なのに。きっと今まで、魔法少女としての生活はひどいもので、だからちょっとした私の行いに、まるで雛鳥が親鳥になつくかのように優しくしてくれているのだろう。
きっと私の判断は間違っていた。軽率なことをすべきではなかったのだ。そう思うのに、嬉しいって思ってしまう。
私の為に協力する、私と一緒にいたい、お世話が楽しい。そんな風に言ってもらえて、嬉しいって、私もニコさんと離れたくないって、思ってしまった。 - 78二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 21:08:52
「でも……私と一緒にいるって言うことは、国も、他の魔法少女も裏切るってことだよ?」
「はい。あなたの為なら、他の魔法少女も連れてきましょう。そうしていつか、あなたが自分の足で立って、外を歩けるようになるなら。私は、何もかも、あなたに捧げます」
最初に見たニコさんは、どこまでも無感情にただ政府の言う正義に従っていて、その目はどこまでも透明で綺麗に輝いて見えた。
だけど今、私に笑いかけているニコさんの瞳はどこか妖しく光っていて、私はそれが、たとえ人から間違っているのだと言われるものなのだとしても、なにより美しく見えてしまう。
「あなたと出会って、私は……自分だけの正義を見つけたのです」
正義の反対は別の正義だと、私もどこかで聞いたことがある。だけどそうじゃない。ニコさんのそれは、正義なんかじゃない。味方も政府も裏切るのは、大多数にとって悪でしかないだろう。
それでも、私は、喜んでしまった。
「ニコさん……。じゃあ、私は……ニコさんの為に、ニコさんが誇れるような、正義になるよ」
もうきっと、元には戻れない。ニコさんは私がなんて言ったって、きっと私の傍にいてくれるだろう。だったら私は、ニコさんが誰からも後ろ指をさされないようにしよう。
魔法少女を捕まえて、私の病気を治して、組織を大きくして、政府もなにもかもめちゃくちゃにしてしまうんだ。そうして、全て倒したら、正義も悪もひっくり返るはずだ。最後に立っていた側が、正義になるんだから。
「……はい」
私の言葉にニコさんは柔らかく微笑んだ。この笑顔の為なら、私は自分の意志で、正義になろう。
おわり - 79二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 21:10:59
世間的に正義である政府の犬である魔法少女が闇落ち、と言うつもりだったけど最後主人公の方が闇落ちしてる気がする
まあどっちでもお題にはあっているのでセーフと言うことで - 80二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 21:47:27
折角書いたし気に入ったのもあるので
アカウントだけで投稿してなかったハーメルンにまとめて投稿しました
三つのお題でつくった短編集 - ハーメルン掲示板でお題募集して書いた短編をまとめて投稿します 折角書いたし気に入ったのもあるので とりあえず記録用にそのまま投稿します サブタイトルはもらったお題syosetu.orgパクリではない証明に一応URLはります
以上で終わります
スレ落としてもらってもいいですし、誰かが使ってくれても大丈夫です
対ありでした