- 1二次元好きの匿名さん22/08/17(水) 17:10:13
「そういえばトレーナーさんって、『夢』、ちゃんと持ってるんっスか?」
いつものようにトレーナー室で練習後の反省会をしていると、バンブーが唐突に話しかけてきた。夢。それはバンブーが度々口にする単語。バンブーはその走りでもって、この3年間多くの人々に夢を見せてきたのだった。
そして夢を見せられたのは、俺もまた同じだった。
「え?前も言ったけど……俺の夢は、バンブーメモリーだって」
「ありがとうございます!!すごくありがたいっス!……じゃなくて!それはちゃんと覚えてるっスよ!」
「ん?どういうことだ?」
「なんというか……トレーナーさんの私的な夢のことっス!将来何になりたいとか、何が欲しいとか、そういう夢っス!」
確かに、バンブーメモリーのトレーナーという立場での夢は、かつてバンブーにも話した通りだが、一個人としての夢というのは話したことがなかった。
「うーん……ここ最近はバンブーのことしか考えてなかったから、思い浮かばないな……」
今はトレーナーとしての仕事が何よりも1番で、現状も満たされていて特に不満もない。これ以上望むものなんて……やっぱり考えつかなかった。
「そうっスか……トレーナーさんがアタシのことを何よりも考えてくれてるのは、めちゃくちゃ嬉しいっス!けど、アタシはトレーナーさんにもっと幸せになって欲しいっス!どんなささやかな夢でもアタシは絶対に応援するっスから、考えてみないっスか?」
確かに、1度きりの人生だ。夢はひとつじゃなくなっていい。バンブーのように燃え上がるほど全力でぶつかれば、なんだって掴めるはずだ。
「そうだな、今すぐには思い浮かばないけど……約束する。夢が決まったら、まず1番に伝えるよ」 - 2二次元好きの匿名さん22/08/17(水) 17:11:32
「ありがとうございます!それじゃ、そんな新しく夢を追いかけるトレーナーさんには、これを!」
バンブーは頭の後ろに手を伸ばし、ハチマキを解いた。彼女の汗が染み込んだそれを手渡される。
「……いいのか?貰ってしまって」
「もちろんっス!予備は何本か持ってるっスから。この自家製ハチマキをしていると、心がビシっと引き締まって、メラメラ燃えがって来るんっス!トレーナーさんには特別に、アタシの熱をあげたいんっス!!これを持って、夢に向かって全力ダッシュして欲しいっス!」
ハチマキのしっとりとした感触の中には、確かにバンブーの体温が残っていた。早速彼女に倣い、おでこにそのハチマキを巻いてみる。
「うおお!よく似合ってるっス!トレーナーさんはどうっスか?」
「うん……確かになんだか気合いが注入された気がするぞ!これならどんな夢でも掴み取れる気がする!」
バンブーがずっと使い続けてきた、汗と想いの詰まったハチマキ。そう思うと、じわりと頭から全身へ向けて無限にパワーが湧いてくる!
「そう思ってくれたなら、あげた甲斐があるってもんっス!アタシも予備を取り出してと……よし!」
おそろいのハチマキを身につけ、ビシッと背筋を伸ばす。
ちょうど窓の外から夕日が差し込んできて……2人考えることは同じだったようだ。
「今日は練習終わってしまったっスから、あの夕日に向かってありったけを叫びましょうっス!!!」
「よし!!」
窓を開け、体を少し乗り出して、思いっきり喉と肺を開いた。
「頑張るっ、ぞー!!!!!!!!!」
「ファイトっスー!!!!!!!!!」
夕日に向かって溢れる熱を吐き出す。沈む太陽をまた引き上げんとするほどに。これだけ全力で叫ぶ機会なんて、大人になってからは全くなかった。
けど、こんなにも気持ちがいいなんて。
夕暮れ時の少し冷たい風が、火照った頬を撫でていった━━━ - 3二次元好きの匿名さん22/08/17(水) 17:12:07
熱く燃える君だけに 昇る太陽
今こそTouch the fire
君の果てない力に
愛と希望と灼熱の『夢』賭けよう この手に
バンブー兄貴にこのSSを捧げます
熱くてカッコよくて、とても良いストーリーだった……!
いつもはちゃんこしてます
ボーノのタネマシンガン! こうかは いまひとつの ようだ|あにまん掲示板え、おやつの時間?なにかなあ……?ああっ、スイカだ〜♪こんなにおっきいの、スーパーでも見かけないよ〜。あっ、トレーナーさんのおばあちゃん……今朝畑で取れたばっかりなんですか?ありがとうございます!それ…bbs.animanch.com