👁「息子よ…」

  • 1二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 20:18:44

    👁「最近どうなんだ、海外から帰ってきて」
    「お爺ちゃん」
    👁「大人になったからと言ってもまだまだだぞ。大体…」

    「お爺ちゃん、お母さんはもういないですよ」

  • 2二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 20:19:07

    ウワーッ!ボケ老人!

  • 3二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 20:19:24

    普通に胸が痛くなった…

  • 4二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 20:19:45

    そもそも元でも雌に息子というのは相当朦朧しているのでは?

  • 5二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 20:19:50



  • 6二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 20:22:29

    フランケルくん…

  • 7二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 20:46:23

    ボケ老人のボケがさらに悪化している…

  • 8二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 20:57:51

    今時15歳は短いよね

  • 9二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 21:22:57

    享年15歳…

  • 10二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 21:47:28

    タニノフランケルを娘と間違えて反応するんだよね

  • 11二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:07:18

    親父はなかなか長生きだな……

  • 12二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:11:32

    娘の死を受け入れられない👁概念は普通に悲しくなる

  • 13二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:14:13

    深酒して泥酔しながら言ってそう

  • 14二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:14:57

    親父はあんなに元気なのに どうして・・・

  • 15二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:15:37

    ギムレット元気だな…もうおいくつなんだろう

  • 16二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:18:53

    悲しい

  • 17二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:21:46

    トレーナーが残された娘を育ててダービーを取らせるんだ そしてダスカの娘と戦うんだ

  • 18二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:29:06

    >>15

    22歳です…

    ひ孫が見れるといいな(願望)

  • 19二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:30:43

    >>18

    8年ぐらいはいけそうか

  • 20二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:35:31

    皆さん蹄葉炎で調べるときは気をつけてくださいね…耐性持ちじゃ無ければヤバかった…

  • 21二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:36:43

    やっぱダスカにタニノフランケル君を喰って貰うしかないか

  • 22二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:36:54

    おじいちゃんとフランケルくんだと哀愁が漂うなあ

  • 23二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:40:17

    はっきりと遮られるまで言葉を続けちゃうのは胸にくる……

  • 24二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:42:34

    >>12

    👁「何を言ってるんだ、娘は確かに亡くなったが息子のウオッカはまだ生きてるじゃないか」


    ふむ

  • 25二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:44:28

    親父がにんじんの葉っぱだけ綺麗に食わずに残すの好き

    長生きして?♡

  • 26二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:45:33

    🥀「ギムレットさん、付き合いますよ」

  • 27二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:47:09

    🥀も大王が逝っちまったからなあ…

  • 28二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:48:32

    これでSS一本は書けそうだけど・・・可哀想だからやめとこ

  • 29二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 07:15:16

    >>21

    そして産まれた子供がウオッカ似だったらどうするよ

  • 30二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 07:55:34

    ちょっと泣く

  • 31二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 10:19:44

    >>25

    たまにミスるのかわいい

  • 32二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14:23:19

    >>21

    ライバルの子を喰う(意味深)ってどんな気分なんだ?

  • 33二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14:26:52

    なんだい今日は…さっきからタニノギムレットスレを見かけるが…

  • 34二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14:30:03
  • 35二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14:30:49

    そうかウオッカが先に亡くなってるからか...

  • 36二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14:34:12

    >>33

    通行人はどういてた方がいいぜ!あにまんはタニノギムレットウマ娘化発表された時にお祭りと化すんだからよ!

  • 37二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14:38:43

    祖父娘孫で顔が似過ぎじゃないか?
    やっぱ、ウオッカは息子じゃないのか?

  • 38二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14:41:09

    やっぱり馬にとって過酷な競走は寿命縮めるのかねぇ...

  • 39二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14:44:33

    >>38

    1~3年くらいの間短くて1キロ、長いもので3キロ程度のレースを走ってください

    それが終わったら男の子は数十回、多くて100回以上毎年種付けをしてください

    女の子なら毎年子供を産んでください


    端的に過酷

  • 40二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14:45:34

    >>39

    うーん早死不可避...

  • 41二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14:47:31

    姉貴こと兄貴は大往生だのにブライアンとか本当に早かったしなぁ…

  • 42二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14:59:50

    >>39

    ハイセイコーとかシンザンが凄い長生きだったのは、やっぱり体が元々違うんだろうなあ

    種付けも今より多くなかったそうだし

    キョーエイボーガンとか種付けや乗馬訓練されてないからストレス少なくて長生きとか聞くと、塞翁が馬としか言えない

  • 43二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 15:21:16

    ネイチャとかは親も長生きだったから血もあるかなあとは思うが
    後は病気次第の運ゲー感

  • 44二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 15:33:54

    >>42

    ???????????

    種付けも今より多くなかったそうだし

    ???????????

  • 45二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 20:28:21

    👁「親より先に死ぬな…バカ息子が…」

  • 46二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 20:42:58

    🌰「まだこっちに来るなよ、来たらダービーの借りは返してやる」

  • 47二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 20:43:47

    ダスカの倍走ったもんなぁ...

  • 48二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 22:42:40

    >>45

    「だからオレは牝バだって」


    👁「!」

  • 49二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 23:43:05

    深酒して泣きながら天国の娘に話しかける父親概念は普通に好きなんだけどマジでこれはなぁ…

  • 50二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 23:45:21

    姉貴というか兄貴は長生きすぎてマヤの息子と仲良ししてたくらいだからね…
    ウオッカ早かったなあ…

  • 51二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 07:45:49

    >>41

    姉貴は甘える(他人を頼る)のが上手かったから長生きしたって言われてるね

    ブライアンは優しすぎて迷惑かけないようにと抱え込んじゃうタイプみたいだったし

  • 52二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 12:33:03

    これむっちゃ切ないSS書けそう
    というか書きたくなった
    こういうのスレのリンク貼るとかしたら設定値借りちゃっても良いんだろうか?

  • 53二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 12:33:43

    >>52

    良いと思うよ

    というか是非書いて

    楽しみにしてるから

  • 54二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 13:10:05

    >>53

    ありがとう

    夜くらいに書いてあげようと思います、よかったら見てください

    このスレが減ってたり別の話に話題で盛り上がってたら別でたてるけど、乱立してもアレだし、今みたいな感じで過疎ってたらそのまま使われて貰います

  • 55二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 22:04:21

    >>1の続きの形のSSです。他にタニノフランケル君が言ってるという設定もお借りしました

    ウオッカ号にはフランケル号以外との産駒がいるのも、日本に来てるのも知っていますが、その辺りまで書き出すととっちらかるので出していません。あと牡馬である👁️とかフランケル号、タニノフランケル号に適当なキャラ付けしてたりします。トレーナーさんは女性なので温泉行こうが健全です。

  • 56二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 22:05:28

    >>55

    今日も同じような会話を繰り返す。

    まるで(壁の穴の修理跡を除けば)ホテルのような施設、「ヴェルサイユ・リゾート」で今日も優雅にグラスを傾けるのは僕の祖父、タニノギムレット氏だ。

    とはいえ僕は祖父にそう親しみを覚えている訳ではない。

    共に最高峰繰らすのトップアスリートだった祖父と母はウマがよほどあったのか、仲良しだったという。

    だが僕は祖父の話を聞けば聞くほど、自分の父の面影を重ねてしまうのだ。

  • 57二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 22:06:18

    >>56

    「息子よ…」

    「だから息子ではなく、孫ですよ、お爺ちゃん」

    「その瓶を返せとまでは言わんが、せめておかわりをもう一杯。せっかくならお前も飲まないかね?海外に行くなら酒の練習も必要だぞ」

    「貴方は飲みすぎですし僕も結構です。それよりニンジンの葉っぱ。子供じゃあるまいし残さず食べてください」

    「好かん。ニンジンの葉などを肴に酒が呑めるか。」

    「だからもう呑んじゃダメです!」

  • 58二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 22:06:53

    >>57

    「どうでしたか?」

    面会が終わると、施設スタッフに声をかけられた

    「ダメみたいです。相変わらずお酒を手放そうとしませんね。僕の顔を見たら見たで機嫌良く飲んでます。とりあえずわかる分は取り上げておきました」

    「そうですか。まあ機嫌を悪くして壁を蹴って穴を開けるよりは…」

    「あの、本当に祖父がすみません…」

  • 59二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 22:48:08

    >>58

    ここで少し僕自身の話をすることを許して欲しい。

    僕の父、フランケルは故郷アイルランドではそれなりに名の知れた元スター選手だ。認めたくはないが確かに華があり、カルティエだかの表彰式に何度も呼ばれてハイブランドを着こなしてみせる伊達男。だが家庭的な人ではなかった。遠征に訪れた異国の地で失意のうちに引退することになった母は、数年間の異国生活の中でそんな父と出会い、少女漫画のような恋におちた、という

    その後の僕のと知る母は、事実婚というふわふわした立場も父の奔放な生き方も、そして僕の反発も、穏やかに微笑みながら受け止めた。それがまた無性に僕を苛立たせた。

  • 60二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 22:48:50

    >>59

    母の故郷、ニホンに行きたいと言い出したのは、母と瓜二つと言われるエキゾチックな顔立ちで、いやがおうにも疎外感を感じるから…というのが表向きの理由だ。本当はフランケルの息子という肩書きから逃げたかったのだ。

    ただ、ニホンに来て僕は自分の甘い見通しを心から呪った。

    スポットライトを誰よりも浴び、誰よりも強く速く華やかにターフを駆け抜ける強い女「女傑ウオッカ」それが僕の知らなかった母の姿だった。そんな母とは見た目だけはそっくりな僕は、呪いにも似た過剰な期待を集め…そしてそれはすぐに失望、そして無関心へと変わっていった。

  • 61二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 22:56:58

    >>60

    母の訃報を聞いても僕は帰国しなかった。奮わぬ成績に喘ぎながら、今さら母に泣いてすがったところでなんにもならない、少しでも結果を出して輝かしいウオッカの名に恥じないようになるのが一番の手向けだと、半ば強迫観念にとらわれていた。だが母の元トレーナーさんと友人のダイワスカーレットさんから母を偲ぶ会をしたいと連絡を貰い、タニノギムレット氏のことを知り、紹介され…というか施設で面会するようになり、現在に至るという訳だ。

  • 62二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 22:57:50

    >>61

    「タニノくんお帰りー、今日のギムレットさんどうだった?」

    母の元トレーナーという温厚な女性だ。

    「聞いていた通り、ボケてる上にアルコールを手放しません。そして僕に『息子よ…』なんて言ってくるんです。なんですかね、母の異母兄弟と間違えてるんでしょうか?」

    「いやむしろ確実にウオッカと思い込んでるんでしょうね。ギムレットさん、昔ウオッカにふざけてよくそう呼び掛けてたの。」

  • 63二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:24:32

    >>62

    「母は『男なら良かったのに』と思われていたんでしょうか…」

    「あ、そんなんじゃないわよ。他のヒトはどうだか知らないけど、ギムレットさんは茶目っ気でウオッカを息子呼びしてウオッカも『ウワーッ!聞いた?!娘なのに息子とか言ってくるよこの親父!ひどい!』と大袈裟に私やダスカまで巻き込んではしゃいでみせる、なんというか、純粋な二人のじゃれ合いだったのよ。」

    (えっ?!ウワーッ?!あの物静かな母が?!)

  • 64二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:27:38

    >>63

    「心配しなくても、世間がどんだけ女帝だ女傑だと騒ごうが、自分の娘が世界一か弱くて可憐で大人しい娘だと信じて、世界一過保護に心配してたのがギムレットさんだから、そこは安心していいわよー」

    (でも、じゃあ、なんで祖父は、僕の父みたいならことをしたんだろう…)

    思ったことが顔に出ていたらしい

    「多分つもる話ってあると思うんだけれど、私じゃなくて直接お爺さんに聞いてみたら良いんじゃないかな?」

    元トレーナーさんは微笑んだ。

  • 65二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:29:24

    >>64

    「息子よ…」

    「だから孫です、お爺ちゃん。」

    「こんなところで平日の昼間から時間を潰して良いのか。木曜だろそろそろトレセンで走り込みが始まるんじゃないのか」

    「お酒で頭ボケてるわりに妙なところはシャッキリするの、やめてくれませんかね。…色々あって、僕、先日引退したんです。」

    「…そうか。ゆっくりしたらいい。人生は長いぞ。」

  • 66二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:33:17

    >>65

    自分でも驚いた。本当は祖父に打ち明けるつもりなどなかったのだ。だがうっかり口を滑らせたはずなのに、不思議と心は穏やかだった。

    「ねえお爺さん。母は…ウオッカ母さんはヤマトナデシコだとよくみんなが言っていました。」

    「うむ。お前は自慢の娘だ、息子よ。」

    「…ねえお父さん。なんで普通のお父さんみたいにずっと家にいてくれなかったんですか?母さんは父さんをきっと待ってたのに。」

    「ワシはヒト娘にもウマ娘にもとにかくモテたのだ。引く手あまたのワシがひとところの家庭におさまり沢山の乙女が失恋するのは社会にとっての損失だから仕方ないだろう。みんなを幸せにしたかったってやつだ。」

    「このクソジジイ!ちょっと絆されかけた数分前の自分に本気で腹が立ってきた!」

    こ憎たらしい返事の前、一瞬祖父の三白眼の目が泳いだ、そんな気もしたけれど、それもこれも、思わず口をついた罵倒で有耶無耶になってしまった

  • 67二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:37:08

    >>66

    「今日はギムレットさん、どうだった?」

    「アルコール性認知症の状態はよくも悪くも変わらないみたいに思います。わりと会話はちゃんとしてるわりに、相変わらず僕を母と勘違いしてますし。」

    「でも前ほどアルコールに依存したり、荒れたりしてないとも聞いたわ。やっぱりお孫さんに会えて嬉しかったのよ。」

    「いや、たまたまじゃないですか。そもそも家庭を省みずに一人好き勝手に暮らして、好きに飲んだくれて勝手にお酒で体壊して脳まで壊して、勝手な人だと思います。どうせ母さんも僕もあのひとにはいてもいなくても変わらなかったんですよ」

  • 68二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:45:22

    >>67

    「確かによその家庭のことはとやかくいう筋合いではないし、ギムレットさんは世間でいうところの良い父親とはかけはなれているわ。でも、娘のウオッカがあんなに有名になっても全く変わらなかったし、それはこの業界で色んな家族を見てきた私からしたら、何より得難いことよ。それに何よりウオッカ自身がすごくギムレットさんを慕ってたのは、お互いの愛情の現れだと思わない?勝手な人、困った人というのは全くもって否定は出来ないけど…もう少し歩み寄ってはどう?きっとタニノくんのためにもなると思うわ。」

  • 69二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:46:18

    >>68

    「それにもしかしたらタニノくんのこともわかったうえで、ボケたふりをしているかもよ?それくらい茶目っ気のある人だったし、あとそれこそ自分が良くない父親、良くない祖父だった自覚もあって、どう接して良いのかわからないのもあるんじゃないかな」

    「いやそれはないと思います」

    「うーん、そうかなー?」

    お節介でごめんね、と最後に少し明るく言って元トレーナーさんは去っていった。

  • 70二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:52:53

    >>69

    「息子よ…」

    「はいはい、孫です、お爺ちゃん。」

    一応お見舞いの定番、リンゴを剥いてみた。祖父はどうやら食わず嫌いが多いらしく、先日もサラダにのせられていたリンゴをポイポイ捨てていたというのを聞いたのだが、僕の国ではリンゴは医者を遠ざけると言われるのだ。いい年して他人からご飯を出してもらって好き嫌いするのは良くない。身内として直さねば。

    「いや?最近克服したぞ?まあサラダのリンゴは許さんが。ポテトサラダのリンゴは滅びるべきだ」

    いい年でリンゴを食っただけで胸を張るな。

  • 71二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:56:56

    >>70

    「息子よ、ときにアイルランドはどんなところだ?」

    リンゴをモゴモゴしながら祖父が聞く。

    「地味なところですよ。でも霧と緑と妖精の国なんていったりもします。ウイスキーは美味しいです。」

    「最高じゃないか。毎日どうやって過ごしてるんだ。」

    「気温のわりに緯度が高くて、夏は日が長いですけど、冬は暗くて長いです。だから小さいときは冬は暖炉で毎晩、絵本を読み聞かせて貰いました。」

  • 72二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:04:02

    >>71

    「息子よ、幸せだったか?」

    「…どうしてそう思うんですか。確かにちょっといい家には住んでましたよ。でもニホンよりずっと田舎で、なんにもない。ヒースの生えた荒れ野をビュービュー風が音を立てて吹く、そんな寂しいところで、父を待って。ニホンならきっと母はもっと幸せだったと思う」

    祖父にこんなことを言っても仕方ないのはわかっていた、でも、止められなかった。貴方がそんなフリーダムな人だったから、母が僕の父みたいな男と一緒になってしまったんじゃないか、と、無性に責めたくて仕方がなかった。


    ニホンで知った母の栄光はあまりに強く輝かしくて、だからもっと母はキラキラした人生を生きられたんじゃないか、そうとしか考えられなかった。

    僕は母が大好きだった。もっと長生きしてもっと幸せな日がくると漠然と思っていた。でもそもそも母がニホンを離れなければ、僕らの母親をするなんかよりもっと輝かしい未来が…

  • 73二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:10:32

    >>72

    「でも、お前が、家族がいたじゃないか。美しい自然に囲まれた平穏で穏やかな日々だって、都会の刺激とはまた違った良さがあるだろう。それは、幸せではなかったのかい?お前の思い描く理想の幸せではなかったかもしれないが、ウオッカは幸せそうに笑っていなかったのかい?」

    穏やかな祖父の言葉にハッとする。三白眼で普段目付きの悪い祖父の顔も、今は優しく見えた。

    「私は良い父ではなかったし、嫁いでからのあの娘にも会わなかった。でもウオッカが、あの娘がただの娘で幸せに微笑んでいられたのならそれでいい。だからどうかお前も…」

  • 74二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:12:23

    >>73

    「ありがとう、お爺ちゃん。大事なことを思い出させてくれて。」

    「…」

    「お爺ちゃん?」

    祖父の様子がおかしい。微妙に目線が虚ろで妙にこわばった表情をしている。

    「お爺ちゃん?」

    「…おい、お前どうした?」

    「ふざけなくていいよお爺ちゃん。どうしたの?さっきからここで会話をしているんだけど?」

  • 75二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:17:18

    >>74

    「ウオッカ、お前どうした、その体まるで男ではないか!」

    「えっ…いや、僕は男だよ」

    「お前、おまえ、ああなんということだ!好きな人が出来たって、結婚するっていってたのに!」

    急に号泣しだした祖父を僕は呆然と見つめるしかなかった。

    「ウオッカよ、わたしはお前が息子だろうが娘だろうがセンだろうが、お前が幸せならそれでいい。だがついこの間まであんなに幸せそうなのに急にどうしてなんだ、手酷くふられたのか」

    「だから、僕はかあさんじゃない、ウオッカじゃないよ」

    「じゃあ誰だ、偽物か、お前はなんだー!」

  • 76二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:19:45

    >>75

    興奮し暴れ始めた祖父のところに施設の人が駆けつける。

    祖父の中ではこの一瞬でまた時系列が変わったようだった。

    「ダメだウオッカ!行ってはいけない!親より先にいくやつがあるかー!まして親の知らないところで!閉じ込めてでも行かせないぞ、やい、離せー!」

    これ以上ここにいると興奮させてしまうからと、その日の面会は終わりになった。

    認知症には波があるから、と慰めてくれる施設の人の言葉にも、うまく返事はできなかった。

    このまま祖父ともう普通に会話が出来なかったらどうしよう、ボケていない最後の祖父にせめて肯定の言葉をかけたかった、そう思うと、ポロポロと涙が溢れて止まらなかった。

  • 77二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:27:34

    >>76

    翌日は元トレーナーさんとダイワスカーレットさんと、母のお別れ会について打ち合わせる予定だったのだが、ダイワスカーレットさんはノートを持ってきてくれた。

    「なんですか、これ…」

    「ウオッカの親友のよしみでね、私がやってあげてたのよ。」

    海外の母からダスカさんに送った僕ら家族の写真や町の風景、そしてニホンにきてからの僕の写真や記事のスクラップ…

    「ウオッカがいちいち送ってくるのよ、『親友の近況知りたいでしょ、ついでにうちの親父にもよろ』って。どうせパソコンとかには画像ファイルあるわよ?でもギムレットさんもいくらイケオジとはいえその辺りもうきつい訳じゃない!だからしょうがないからあたしがことあるごとにギムレットさんのためにせっせとプリントアウトしては持っていって貼り付けて。あ、もちろんあたしの可愛い娘たちの写真も、あんたの実家に倍返しで送り返してやったわ。どう?写真立てとかで飾ったりしてなかった?」

    「何故祖父の手元にあるはずのこの本が…」

    「だから2冊あるのよ、2冊。向こうの方が多分ぼろぼろだけど。…もう!こっちは誰のとか、わかりきったこと絶対聞かないでよね!」

  • 78二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:29:51

    >>77

    えーそれ聞いてない、欲しいという元トレーナーさんの抗議の声と、あんたはあんたで作ってるでしょというダスカさんの声を聴きながら、僕はノートを見ていた。

    きっとお酒を溢したりとか、どうせあの人のことだからそういう感じでボロボロなんだろうなあ、仕方ない人だなあと思いながら。


    祖父はどこまでわかっていたのだろう。もしかしたら意識がはっきりしていたのは最後の日だけで、後は胡乱な世界の中に生きていたかも知れない。あるいは前に元トレーナーさんが言っていたように、大半が照れ隠しの演技だったのかも知れない。でもまた祖父と直接話に行こう、そう思った。

  • 79二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:35:47

    >>78

    そして、母とのお別れ会の日がやってきた。

    「…息子よ。これはどういう会なんだ。」ちょっと空気を読んだのか、小声でヒソヒソと聞く祖父。

    「だから孫です、お爺ちゃん。今日は母とのお別れ会です。母はもういないんですよ」


    何枚も何枚も飾られた、沢山の母の写真。今の僕より若い、トレセン学園の制服を着た若い母(確かに『ウワーッ!』とかいいそうな顔だった)、ライダースーツで祖父のハーレイにまたがってみせてる写真、ダスカさんと何かやりあっている写真沢山…

  • 80二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:43:45

    >>79

    「…息子よ。」

    「お爺ちゃんちょっと大人しくしててくださいよ、弔問の方がいるんだから」

    「お前、少し前に話したこと、覚えてるか?」

    「結構色々話したと思いますけど、なんの話です?ポテサラのリンゴの話ですか?」

    「そんなことは忘れてよろしい。ワシが言いたいのは…『なんで普通のお父さんみたいにずっと家にいてくれなかったんですか?』てやつだ。あれは結構に効いたぞ、息子よ。」

    「そりゃどうも」

    「でもお前、自分でも気がついてなかっただろうから、ここでお返ししてやろう。…俺じゃなくて 自分の父親に直接聞いてこい。それで納得できればよし、出来なければ泣いておめおめとこのジジイのところに戻ってくることだな、このバカ孫息子め」

    「…へ?」


    遺影の母が、笑った気がした


    (完)

  • 81二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:44:38


    すごく良かったよー

  • 82二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:51:38

    ウワーッ!このスレまだ生きてると思ったらSSが書かれてる!
    👁もスカーレットも長生きしてほしいな

  • 83二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 01:54:52

    こちらこそ長文お付き合いありがとうございます。鯖落ちもあってぐだぐだしました
    イッチのネタ振りの秀逸さに乗っかって書いてしまいました
    第二の人生が無事に決まったタニノフランケル君の今後に幸あらんことを!

  • 84二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 02:29:13

    よきSSでした、ありがとう!

  • 85二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 07:30:02

    とんでもない良SSが書かれていた
    ありがとう

  • 86二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 07:43:39

    ウワーッ!良SS!

  • 87二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 18:43:40

    👁️、長生きして欲しいよね
    いつまでもカッコいい不良親父でいてくれ
    でも隣の🥀さんビビらすのは程ほどにしてあげてください

  • 88二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 18:45:59

    タニノフランケルも長生きしてウオッカの血を繋いで欲しいな

    【七夕賞】タニノフランケル・角居勝彦調教師 ウオッカの忘れ形見


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