ハルウララみたいになりたいというウマ娘が出てきて

  • 1二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 20:57:14

    ハルウララのアイドル性はなんでも楽しめる性格と一生懸命にやる根性からきているものだということに気付かず、みんなを笑顔にしたいという理由から表面だけ真似してそれでも上手く行かなくて、心が折れそうになってる時に本物のウララと会えて相談してみて
    『いっしょに走ろ!絶対楽しいよ!』と言われて何も考えずただ走って「走ると楽しいから走る」というハルウララの根底を見出して一から出発しなおすウマ娘の話をください
    なおウララはその日の夜キングに『弟子ができたんだー!』とドヤ顔で話していることとする

  • 2二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 21:01:58

    >>1

    すみませんその子もしかして後に高知の英雄なんて呼ばれたりしてません?

  • 3二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 21:10:36

    >>2

    来るか、グランシュヴァリエ

  • 4二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 22:32:07

    ちょっと書いてるから保守おねがいします

  • 5二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 22:32:56

    >>4

    貴様!書いているな!?

  • 6二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 22:34:04

    ちゃんと1から出発するのがいいね

  • 7二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 22:37:31

    書いてる証拠もかねて冒頭だけ置いたほうがいいかな?
    とはいえこのあとたぶん数レスで終わると思いますけど


     乱れる息。早鐘のような鼓動。肌に昇る熱い体温。
     そして、遠い歓声。


     結果の出なかったレースで私じゃない誰かに歓声が降っている。
     歓声を受けている勝者がぼやけた視界に入り込んで、けれどすぐにうつむいてその姿を消した。
     かがむ上体が陰になって、暗い両膝に手を置いて。誰にも見向きされない息を整える敗者。

     ――勝ちたいのかと尋ねられれば、そうかもしれないけれど。
     勝つために常軌を逸した特訓に挑みたいとか、そんな情熱があるかと尋ねられれば、すぐに頷く覚悟も無い。

     勝てないまま、いずれウマ娘という生き方を終える、並みの才能の一般ウマ娘。
     私は正直、自分のことをそれはそれでいいと思っている。だって、勝者はひとりだけ。敗者はそれ以外の全員。
     勝てないのは、勝たないのは。私だけではない。それがこの世界の純然たる事実。

     一着以外にも価値はある? 全力で走ることに価値がある?
     そんな、勝者を引き立てる無名の脇役としての価値なんて、もちろん欲しいわけがない。
     それこそ、私じゃなくてもいい。負けるウマ娘の大多数の誰かでいい。私じゃなくて、いい。

     下を向いた視界に入り込む、ボコボコに荒れたターフ。何千何万のウマ娘に蹴散らされた土ボコと芝生。
     こんな不確かな醜い足場のうえで、ただ、生きているだけのウマ娘のひとり。

     それが私だった。

  • 8二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 22:57:05

     朝日に照らされたみどりの上に立つ。
     トレセン学園のなか、いくつもある練習用のターフ。歓声も何も無い、練習用の芝。
     荒れていない外側の芝生が好きだ。わざとじゃなくても、サクサクと気持ちのよい足音が立つ。
     陽光のもと、この芝に立つことが出来るだけで、ウマ娘に産まれた元は取ったようなものだとも思っている。

     何のために練習するのか。わからない。
     何のために走るのか。わからない。

     どうして走るのを止めてしまわないのか。――わからない。

     ただ今日も、ありきたりに、そこそこ身体に負荷を掛ける、練習をするだけ。
     そんな当たり前をはじめようとする私の脇を、他の練習生が駆けていった。
     ターフの内側。真剣に走るウマ娘たちの居場所。勝てるウマ娘も勝てないウマ娘も関係なく、彼女は走っていた。
     赤いリボン。桜色の残像。ハルウララさん。

     ――歓声を浴びる、勝てない敗者の象徴。

     それは衝動的、だったのか。馴らしのジョグも忘れて私の足は駆けはじめる。

  • 9二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 22:57:19

     その姿を知っている。
     勝ったことが無い年間最多出場者。それが彼女だ。
     敗者でありながら歓声を浴びるウマ娘。それが彼女だ。
     負けるウマ娘の大多数。それに埋もれないまま輝き続けている希有な存在。それがハルウララというウマ娘だった。

     人気の秘密? 興味ない。
     彼女より速く走って彼女よりはマシなはずだと、自分の見栄を誇りたい? 興味ない。

     ――彼女の走りを、見たかった。

  • 10二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 22:58:22

     ――背中に肉薄する強い足音に桜色の彼女は振り返る。
     驚くでもなく、ただ、おや? と、自然体のあどけない表情のままで。

    「え、えっと、おはようございます!?」

     私を恐れること無く、彼女のほうから声がかかる。走りながら。

    「おはようございます。急にすみません」

     挨拶を返す。ちいさく会釈をする。足は止めない。

    「気持ちの良い空気ですよね! 走りたくなりますよね!」

     にこりと笑いながらも、足は緩まない。ウマ娘の、勝負する足だ。
     勝てない実力だから、勝ちを諦めて敗者になっている、そんな走りでは無いことは一瞬で感ぜられた。

     勝利を求めて前へ踏み出す、勝負の世界に身を置くウマ娘の脚。
     そんな強者の走りを、この少女は。
     ――明るく笑みを浮かべたまま行っている。

  • 11二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 22:59:15

     それは勝負の緊張感を求める戦士の笑みではない。ならばなんの微笑みだろう。
     わからない。
     それは自分の実力に自信を抱く者の高いプライドでも無い。ならば何故笑えるのだろう。
     わからない。

    「4コーナーからひと勝負、してもらえませんか」

     最終コーナー。勝負どころ。ひときわ荒れくれて土が剥き出しになる、いちばん醜い足場から。

    「ん! いいよ! 負っけないぞー!」

     初対面の乱入者に臆することなく、彼女は走る。日向が似合う、明るい微笑みの色を軌跡に残して。

  • 12二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 23:00:04

     ――陽ざしを反射して光るゴール板の下を走り抜けて、へたり込むふたり。
     いまは私たち以外には無人のゴール。本当のレースでも、ここをいちばんで走り抜けられたなら、どんなに気持ちいいだろう。

    「えへへ、気持ちよかったですね!」
     ……きっと私とはちがう思いで、彼女は笑っている。

    「それは、ゴールしたことが、ですか」
     わざとらしい、そんな私の言に、彼女は目を丸くして。
    「ちからいっぱい走ったからだよ!?」

     それ以外の価値観を、信じていないことがわかる驚きよう。
     けれど私ももう、その価値観を否定できなくなっているようで。

  • 13二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 23:00:27

    「そう、ですね。気持ちよかったのかも、しれません」

     だから私は、彼女に尋ねた。

    「本番のレースでも、同じですか」
    「おなじ、っていうと?」
     首を傾げる彼女に、私は言う。
    「レースで負けた後も、あなたは楽しいと言えるのですか」
     ……聞いていい質問だったかはわからない。
     負けているのに歓声を浴びる、そんな彼女を妬むもののひとりだと思われるかもしれない。
     それでも、尋ねてしまった私に、彼女は。
    「言えるよ!? なんで!?」
     それはほんとうに、純粋な驚きようで。

     ああ。

     あなたのように、なりたいなあ。

     そう、思ってしまった。

  • 14二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 23:05:18

     ――乱れる息。早鐘のような鼓動。肌に昇る熱い体温。
     そして、遠い歓声が、私に近づいているような気がする。

     結果の出なかったレースで、もう歓声が誰に降っているかなんて興味は無い。
     つかれてぼやけた視界のなかで、勝者は観客に手を振っている。私はうつむかずに、彼女にならって観客席を見上げて手を振った。
     レースを見に来てくれた誰かに向かって、手を振った。


     自分の力を出し切って、笑う敗者に歓声が降る。

     走り続ける私の名前を呼ぶ声がする。

     END.

  • 15二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 23:06:16

    弟子ができたんだー!

    ネタは回収できませんでした! すみません!٩( 'ω' )و

    読んで頂きありがとうございました(人´∀`)

  • 16二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 23:15:23

    ありがとう…めちゃ良かった…
    勇気を与えるウマ娘…走る才能はないのかもしれないけれど周囲に力を与えてくれるのは間違いがない

  • 17二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 23:25:18

    観客でハルウララが手を振りかえしてて欲しい

  • 18二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 23:28:48

    良かったです

  • 19二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 23:30:12

    >>16

    ありがとう! 最多出場パワーはつよい!


    >>17

    この子の引退試合にはOBのウララが見に来ているのは間違いないでしょう


    >>18

    もっとほめて!

  • 20二次元好きの匿名さん22/08/19(金) 23:43:26

    別人だけど弟子ネタだけやっとこう

    「キングちゃん!聞いて聞いて!私ね、今日弟子ができたんだー!」
    「弟子?やるじゃない、ウララさん!なら早速ウララコールを考えないとね」
    「そっか!キングちゃんみたいにみんなでワイワイしてオー!ってしたいね!」
    「おーっほっほっほ!キングコールの元祖であるこのキングがウララさんにふさわしいコールを考えてあげるわ!」
    「わーい!キングちゃんありがとー!」
    「そうね、ウララさんといえば赤いハチマキだから──」

    ハルウララは「夜ふかし気味」になった
    キングヘイローは「夜ふかし気味」になった

  • 21二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 00:03:03

    >>20

    夜中に大声でコールし始めて寮長に怒られてそうw

  • 22二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 06:44:20

    いいね

  • 23二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 12:49:46

    掲示板で出会うSSって
    実力ある書き手が野心も持たず
    在野に埋もれていたのか感があるよね

  • 24二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 16:30:08

    ウララメンタルがほしい

  • 25二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 16:58:48

    >>23

    インターネットの野生の文豪、大体これ

  • 26二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 20:00:08

    野生の文豪が出現するいい話だった

  • 27二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 20:44:49

    野生の文豪がウララに親指を立てて溶鉱炉に沈んでいくシーンは最高だよな

  • 28二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 06:03:09

    無名のウマ娘っていうのは確かにいるんだよな

  • 29二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 12:33:01

    とても素晴らしい

  • 30二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 20:02:09

    無名の書き手と無名のウマ娘の妙だ

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