- 1二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:09:59
- 2二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:10:35
ナイスネイチャ 星空
- 3二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:10:47
- 4二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:11:29
ゴールドシップ 新婚
- 5二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:11:52
ライスシャワー 雨
- 6二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:12:08
- 7二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:13:10
サイレンススズカ 線香花火
- 8二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:14:11
マルゼンスキー 豆腐屋に浮気
- 9二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:14:25
スイープトウショウ 膝枕
- 10二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:14:46
セイウンスカイ ねこ鍋を食べる
- 11二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:15:11
- 12二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:15:53
マックイーン 杜王町へ行く
- 13二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:16:36
ナカヤマフェスタ ダービーと戦う
- 14二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:17:32
ニシノフラワー ケンシロウにあう
- 15二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:17:37
メジロマックイーン 濡れタオルしばき合い対決
- 16二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:18:09
エイシンフラッシュ フラトレに逃げられる
- 17二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:18:35
ニシノフラワー 巨大化
- 18二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:32:59
「こんな場所があったんだな」
ナイスネイチャに連れられて、祭り屋台を抜けて小高い丘を登ると静かな場所に出た。ひっそりとベンチが置かれ、近くの誘蛾灯に大小様々な虫が集まっていた。
「ね。肉屋のおっさんに教えて貰ったんだ」
彼女は手すりの方まで駆け寄って、眼下に広がる明るい街を見下ろした。
「花火までどれくらい?」
「まだ二十分もある」
「じゃ、先食べちゃおうよ」
彼女はベンチに座ると、屋台で買い込んだ焼きそばやたこ焼きのトレイを膝の上に置いた。
「そうだな」と言って、僕も彼女の横に座った。
空を眺めると、いくつかの星が見えた。月や衛星に比べると随分と頼りない明かりでそこに存在しているのだ。誘蛾灯に虫がぶつかったみたいで、ジジ、という音がしていた。
「ねえ、トレーナーさん」
「ん」
「あそこにある星見える?」
「ああ、ギリギリ」
「月は見えるよね」
「近くて明るいからな」
彼女との会話が途切れたとき、繋ぐように花火が上がる音がして、その星も覆ってしまうほど大きな花火が破裂した。その花火について僕らは二言三言感想を交わして、また静かに焼きそばを食べ始めた。
「来年も来ようね」
「そうだな」
- 19二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:33:20
- 20二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:59:34
「んでアタシまで行かなきゃなんねぇんだ?」
「昨日は行きたいって言ってたのに……」
一日どころか一時間前でさえ、言っていたことが逆転してしまうことにはもう驚かなくなってきた頃、僕とゴールドシップ宛に結婚式の招待状が届いた。研修トレーナー時代にお世話になった先輩が結婚するということで、どういう訳か彼女も一緒に正体されたのだ。
「よくパーティードレスなんて持ってたね」と着替えを終えた彼女に言った。
「まあな。マックイーンからパクってきたんだ」彼女は悪びれもせずに答えた。
「……終わったら返すんだぞ」
「冗談だって。淑女ゴルシちゃんたるものパーティードレスの百着や二百着は持ってて当然なんだよ」
「そうか」
彼女の発言についてどれくらい正しい部分があって、どれくらい嘘が混ざっているのかは分からなかったが、彼女と契約してからの二年間で得た知見として、彼女については深く考えすぎない方がいいのだ。僕は適当に返事をして、式場まで車を出した。
- 21二次元好きの匿名さん22/08/20(土) 21:59:49
【続き】
「おっしゃ、遂にブーケトスの時間だ!」
結婚式の最中、彼女は余計な言動を一切せずに大人しくしていた。あんまりに彼女が大人しいから、僕はたびたび彼女がいつの間にかマックイーンにすり替わってしまったんじゃないかと疑ったが、彼女はゴールドシップだった。
芍薬を思わせる立ち振る舞いで式場に入り、牡丹のように凛と姿勢よく座っていたのだ。そして式はフィナーレに差し掛かりブーケトスが始まろうとすると、急にそわそわとし始めた。
花嫁がブーケを空中に放り投げると、
「うおりゃあぁぁぁ!!!」
突然彼女のパーティードレスが変形して、中から真紅の勝負服が現れた。勢いよく助走を付けて棒高跳びのように空中にかけ橋を架け、彼女はブーケトスに群がる集団を飛び越えてブーケをつかみ取った。
「よっしゃあぁぁぁ! プランG成功だぜ!」
「大丈夫? ケガしてない?」
「ああ、プランGは完璧だったからな」
「周りの人ドン引きしてるよ」
「天才は孤高だからな」
「ブーケトスの意味分かってるの?」
「あ? オイオイ、まさかおめぇって奴は広辞苑よりも広範なゴルシちゃんの知識を侮ってるのか?」
「じゃあブーケが欲しい相手が?」
「まぁな」
「へぇ」
僕は心底びっくりした。彼女にも恋情とか、憧れとか、そういう一般人が持つような感情を持ち合わせているんだなぁという驚きだった。
「相手は?」
「そりゃおめぇ……」彼女は何かを言いかけて、ニヤリと笑ってブーケを消した。……消した?!
「ブーケ消滅マジックをおめぇに見せるために決まってんだろ」彼女は両手をパンと叩いてブーケを完全に消してしまった。ドン引きしていた観客から拍手が巻き起こり、結婚式は平和に幕を閉じたのだった。