- 1二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:00:42
- 2二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:01:05
出会いを見たい
- 3二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:01:17
じいやはおばあさまのトレーナーだったんだろ!?
- 4二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:02:00
メジロがまたイメプしてるのか
- 5二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:02:46
彼女の幸せのために身を引いたけど今でも愛してるだろ!?そのせいでいくらでも縁談はあったのに独身なんだ…。
- 6二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:02:51
じいやはおばあさまの想いに気づいていたけど……身分の違いを理由に身を引いたんだろ!!?
- 7二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:02:52
甘酸っぱいストーリーの香りがする...
- 8二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:03:52
今もだぞ
- 9二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:07:22
メジロお婆様の幼馴染でお婆様の旦那の親友でもあり
旦那が亡くなった後もメジロを支える爺や - 10二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:07:40
身分差故の結ばれない恋…
それでも近くに居たいから執事になる彼…
歳を取っても変わらない愛…
良いインスピレーションが湧いてきたわ - 11二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:08:52
- 12二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:14:36
堅物のおばあさまとじいやが一時は駆け落ちするかしないかまで発展するんですね分かります…………
メジロのおばあさま、現役時代はマックイーンと瓜二つだったりしないかな — カ ワ モ チ🍡 (KAWAUTI919) 2022年05月27日
- 13二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:16:23
- 14二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:29:15
トレセン学園にじいやさんファンクラブとか出来てそうなくらいイケ爺よねじいやさん
- 15二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:32:58
若かりしトレーナー時代もモテモテだったじいやさん……
おばあさまは嫉妬してるけど堅物でプライドも高いから何も言わないんだ……でもじいやさんはそれを察して「貴女が1番です」って言葉にしてくれるのね…… - 16二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:34:37
じいやは…今も胸の中にある恋心を…墓まで持っていくつもりなんだろ!?
- 17二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:35:56
- 18二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:36:04
重要な遺言を残しそう…
- 19二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:39:38
- 20二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:46:10
じいやは小さい頃お小遣いを貯めて薔薇(と言っても花束じゃなくたった一本だけれど)をおばあさまにプレゼントしたんだろ!?
そしておばあさまは…その花びらを押し花にして栞にしてるんだろ!?
でも結婚してからその栞は鍵のついた手帳の中にずっと挟んで使わないし手帳も開かないようにしてるんだろ!? - 21二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:46:48
- 22二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:56:10
あ〜ダメダメ美しすぎます!!
- 23二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 16:58:42
はぁぁぁあああ!
インスピレーション湧いちゃうぅ~~~~! - 24二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 17:01:16
- 25二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 17:04:44
若い頃のおばアサマ(CV榊原良子)
- 26二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 17:07:36
じいやは池田秀一か…
恋のライバルは古谷徹だな - 27二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 17:11:21
- 28二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 17:15:09
- 29二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 17:41:22
Asama…… ……After all this time?
- 30二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 17:51:32
このレスは削除されています
- 31二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 17:52:50
- 32二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 18:03:59
- 33二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 18:04:37
- 34スレ主22/08/21(日) 18:06:54
(投下しても)いいです(よ)
- 35>>2722/08/21(日) 18:08:32
窓の外を、子どもたちが歩いて行く。
この家、メジロ家の将来を担う子どもたち。
どの子も皆、優秀で、個性的で、悩みながらも前に進む強さを持っている。
そんな彼女たちの姿に屋敷の中からですら、何故だか眩しさを覚えるほどでした。
身体は弱くとも、走りたい。
その一心のもと、見事体を壊すことなく3年を走りきった貴女。
いつも病院の外を見つめていた貴女にトレーナーが就いたときには、思わず我が事のように感涙したことを覚えています。
貴女のその日の体調に合わせて瞬時にメニューを切り替えながら共に歩むトレーナーとの姿は、本当に美しく映りました。 - 36>>2722/08/21(日) 18:08:57
自身を鍛えるだけではなく、後進の子にも心を配り、共にあらんとした貴女。
確かに、いくつかのレースで勝ちきれない事はあったかもしれません。
有馬記念で1着を取ったウマ娘へのコールの中、一人歯を食いしばる貴方を見て、胸が張り裂けそうな思いでした。
その悔しさを知っているから、でしょうか。
目に涙を浮かべながらその子を応援する貴女の優しさは、とても深く、温かいものになったのでしょうね。
メジロ家の重圧で押し潰されそうになりながら、それでも必死に走り続けた貴女。
貴女の本当の良さと道を示してくれる、良い御学友をもちましたね。
ギャル語、でしたでしょうか。
たまに送迎をさせて頂く時に耳に致しますが、まだまだお甘いご様子。
どんな言葉を使おうと、貴女は貴女。
もっと、貴女を照らす太陽のようなあの方とともに、貴女の笑顔を見たいと心から思います。
一見おっとりとしていますが、激しい闘志を内に秘めた貴女。
私も、最初は誤解しておりました。
ですが、トレーナー、そして貴女を支えた子の想いを背負ってターフを駆け、しかし及ばずに泣き崩れる貴女を見て、酷い思い違いをしていたと自省したものです。
表面上の見た目で思い込むなど、私もまだまだですね。
人目を恐れ、しかしそれを乗り越えて走り抜けた貴女。
代理として貴女に新しく就くトレーナーが特に貴女が苦手とする男性だと聞いた時は、和が耳を疑ったものです。
前任者に抗議すべく、メジロ家で会議を開こうかと何度考えたことかわかりませんが……結果として、動かずに良かったと思います。
心に巣食う恐怖心は、怪我と同様になかなか完治が難しいと聞きます。
それをまさか、3年で克服してしまうとは。
恐れ入りました。
しかし、今後あの子を泣かすような事をした場合は、メジロ家の執事長としてただでは済みませんよ? - 37>>2722/08/21(日) 18:09:18
そして、誰よりもお嬢様に似た容姿で、お嬢様とその子の影を追い続けて、見事に駆け抜けた芦毛の貴女。
メジロ家たる気品を持ち、どの子よりメジロ家を思って行動する貴女は、まさにメジロの体現者。
不治の病すら乗り越え、貴女がいる限りこの家は安泰だと思わせていただける、そんな貴女。
……いいじゃないですか、たまに食べすぎるくらい。
その後に必死に減量に励んでいらっしゃる姿を見れば、だれも追って咎めたりは致しませんよ。
メジロ家の防音壁を超えて聞こえる歓声も、貴女の走りを更に磨くためのストレス発散だと思えば、耳が痛いこともありません。
ときにムキになるその姿も、お嬢様を彷彿とさせるようで、愛らしさを感じます。
どうか、貴女は貴女のままでいてください。 - 38>>2722/08/21(日) 18:09:40
お嬢様。
貴女がレースを降り、私が担当を外れてからもう50年が経ちますね。
どうしてでしょうか。
今の子だって負けていないはずなのに、私の目には未だ貴女の姿が誰よりも眩しく映るのです。
私だって審美眼は磨いていましたし、色眼鏡で見るようなことはないはずなのに。
……あの時。
お館様から契約解除を告げられた時。
もう少し私に勇気があれば、違った未来があったのでしょうか。
メジロ家ではなく、貴女だけの隣に立つ未来が、あったのでしょうか。
貴女や、今のお子様やお孫様に似た子孫を授かり、隣で笑っていられたような未来が。
やめましょう。
これ以上は詮無きことです。
今の私はメジロ家の執事。
ご令嬢方を否定するような考えを持つことは許されません。
……お館様にだって、不遜だと怒られてしまいますね。
ですから、私は今日も見送るのです。
笑顔で駆けていく、メジロ家の未来たちの姿を。
窓の外を、子どもたちが歩いて行く。 - 39>>2722/08/21(日) 18:10:12
おしまい!
猛るインスピレーションのまま書いたので荒かったらすみません! - 40二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 18:14:30
- 41二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 18:14:39
メジロアサマ描く人は目までマックイーン似にしがちなのが惜しいところ
ゴルシ似にした方が実馬のイメージに近い - 42>>2722/08/21(日) 18:19:40
素晴らしいインスピレーションをくれた>>1に感謝やでぇ
- 43二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 18:20:52
おっブレンパワードか?
- 44二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 18:27:52
- 45二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 18:31:42
- 46二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 18:32:19
- 47二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 18:36:03
推し以外の馬やウマ娘についてもちょっとずつ詳しくなれるのがSSのいいところ
- 48二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 19:05:35
ちなみにメジロ家にはじいやだけでなくばあやもいる
- 49二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 19:07:04
- 50二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 19:14:09
いやゲート広そうで羨ま……ゲフンゲフン
- 51二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 20:40:53
だれかじいやとお祖母様の若かりし頃のイラスト描いてくれぇ
- 52二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 21:12:16
軽そうでステイヤー向きですね
- 53二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 21:19:14
お祖母様が亡くなられた後、遺影として肖像画が描かれるよ。だけどその肖像画、お祖母様の生前の意向で小さく執事さんらしい人も描かれてるんだ。
- 54二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 21:42:53
誰か現役時代の甘酸っぱくも厳しいSSとか書いてたもれ
たもれ・・・ - 55二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 21:43:53
どぼ先生はさぁ
- 56二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 21:50:57
おい一部レスがドーベルボイスで再生されるじゃねえかどうしてくれる
- 57二次元好きの匿名さん22/08/21(日) 23:46:35
ああーこういうお嬢様と執事モノいっぱいしゅき…
- 58>>2722/08/22(月) 07:59:56
「あら、じいや。そんなに真剣に窓の外を見つめて、どうかなさいましたの?」
投げかけられた言葉にはっとして、我に返る。
「すみません、お嬢さ……大奥様。」
「黄昏れて物思いに耽るなんて、まだまだ早いのではありませんこと?……さしずめ、昔のことに囚われていたのでしょう、トレーナーさん?」
呼び間違えたことが仇になったようですね。
「申し訳ありません、すぐに業務に―――」
「どうでしょうか、メジロの将来を担うあの子達は。」
踵を返そうとする私のこと場を遮り、お嬢様は言葉を続ける。
「皆、すでに多くの結果を残しているだけではなく、燃え尽きぬ向上心を持ち続けております。……まだまだ強くなるでしょう。」
「かつての私よりもきっと、もうあの子達のほうが速いのでしょうね。血を紡ぐほど、より強くなっていくのは当主として嬉しいことです。」
「……そうですね。」
そう言って視線を下げる私の目の前に、歩み寄り見上げるアメジスト色の瞳。 - 59>>2722/08/22(月) 08:00:55
「もう、貴方はいつもそうでしたね。どんなに強いウマ娘が相手でも、『君のほうが強い、速い』と何度も私を励ましてくれて。決して私の勝利を疑わなかった。何度その目に鼓舞されたことでしょう。……必死に押し殺して見せても、透けて見えますわよ?」
「大奥様……。」
「今だけは『お嬢様』で結構です。他に誰もいませんからね、トレーナーさん?」
「……やはり、お嬢様には敵いませんね。」
あの頃から歳は下であったにも関わらず、よく誂われていた事を思い出す。
「今のこのメジロ家は、素晴らしいと思いますわ。」
「ええ。」
「素晴らしい子孫たちに囲まれ、これからもメジロは繁栄していくでしょう。私の夫も、当時の私が夢見ていた方とは違いますが……今では愛しておりますから。」
お嬢様がいたずらっぽくほほえみ、意地悪そうな視線を投げかける。
今では見かけるのも珍しくなった、当時から変わらない可愛らしい点だ。
「分かっておりますとも。」
「どこかの誰かと同じように、あの人も私を愛してくれています。」
「ええ、それも分かっておりますよ。」
「どこかの誰かと違って、言いたいことはしっかり言うお方ですし。」
「……分かっておりますとも。」
むう、今日のお嬢様は手厳しい。 - 60>>2722/08/22(月) 08:01:07
「ふふ、いじめるのはこれくらいにしておきましょうか。」
視線を外し、くるりと背を向ける。
数歩私から離れたところで、もう一度私を振り返った。
「夢見た関係とは違えど、貴方はずっと私の隣に立ち続けてくれるのでしょう?あの頃のように。……私は、それで満足です。」
「ええ、もちろん。ずっと側におりますとも。」
そうですね。
私も、満足しなければならないのでしょう。
話も一区切り。
では、と一礼した後、大奥様を背にして私は仕事に取り掛かるのだった。 - 61>>2722/08/22(月) 08:01:42
お仕事前に投下。
今度こそおしまい! - 62二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 08:02:17
ギャグに振ってないマックちゃんと思ったら好きになるのはしゃーない
- 63二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 08:04:03
ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛
なんて言えばいいかわからんけど良かった! - 64二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 08:09:33
これが日本語として的確かはわかりませんがえっちですね
- 65>>2722/08/22(月) 08:12:51
よく見たら誤字発見
こと場を遮り→言葉を遮り へ脳内変換をお願いします
寝ぼけた状態で書くもんじゃないですね…… - 66二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 08:15:40
せつないとしい…
😭😭😭😭
ありがとう - 67二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 09:19:41
急募
- 68二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 10:05:54
美しすぎます!!
- 69二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 12:15:38
じいやアサマ尊い
- 70二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 12:19:30
ハッピーエンドなのか?これは…
でもバッドエンドは間違いなく違うし…
んおおおあああ - 71二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 12:40:41
ビターエンド?
- 72二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 17:36:09
マックイーンがタイムマシーンに乗ってじいやとおばあさまをくっ付けようとして危うく消えそうになる回
- 73二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 17:39:34
「たまには昔の名で呼んでくれても良いのですよ?」
「フフフ、お戯れを……。」
みたいなやりとりをたまにしてほしい
いやしろ。 - 74二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 17:47:43
時折用もなく呼びつけては
「今宵は、月がきれいですね」
「ええ、きれいですねえ。『あなたと一緒に見る月だから』
って返してあの日の思い出のままのいたずらっぽい笑顔で笑ってほしいいいい!!! - 75二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 18:11:59
- 76>>2722/08/22(月) 19:26:55
もう何年も繰り返した秋の夜長。
一日の仕事を終え、庭に足を運ぶ。
晴れた日の夜は、そうして月明かりに照らされたメジロの屋敷を見上げるのが、何時しか私の日課となっていた。
荘厳で、雄大で、すべてを包み込むような屋敷。
それは、私にとって帰るべき家であり、守られる親であり―――ときに立ち向かうべき好敵手でもあった。
年月が経ち、それでも変わらず聳えるこの屋敷は、私の人生と共にあったと言っても過言ではない。
一時期は嫌いにもなりかけたが、それでもあのお方……アサマお嬢様の家であると思えば、たちまち怒気も霧散した。
何より、どんな形でもお嬢様の側に居続ける。
そう選択したのは、他でもない自分であるのだし。
深呼吸をする。
鼻に抜ける芝の香り。
それはいつも、彼女との歳月を思い出させる。
初めて、メジロのご令嬢であるウマ娘のトレーナーという、大役を勝ち取り、任された日。
東京優駿での大敗、柄にもなく弱った彼女を見て、メジロのためでなく彼女自身のために走って欲しいと強く励まし、共に立ち上がったこと。
あの天皇賞で大輪の花を咲かせ、栄光を勝ち取ったこと。
そして2着に敗れた、最後の―――
「また、屋敷を見上げているのですか?トレーナーさん。」 - 77>>2722/08/22(月) 19:27:18
「ええ、何度見ても良いものですよ。立派なお屋敷ですからね。お嬢様。」
近くに来ていることは分かっていたとも。
彼女が芝を踏みしめる音を、何より自分が聞き間違えるはずがないのだから。
「あら、そう?流石に見飽きるのではなくて?」
お嬢様が自分と同じように屋敷を見つめる。
月明かりに照らされ、彼女の芦毛がきらりと光る。
それは自分の知る、かつての面影と重なりより鮮明に輝きを増す。
美しい。
この光景を見て、誰がそう思わずにいられようか。
お嬢様が視線を自分に戻す。
……これは危ないところでした。
亡我のままに主人を見つめている所など見られたら、お嬢様に何を言われるか分かったものではありませんからね。 - 78>>2722/08/22(月) 19:27:39
「……。」
お嬢様の視線を感じる。
まさかバレているのだろうか。
「お嬢様、如何なさいました?」
こういう時は知らぬふりをして尋ねるものだ。
長年の勘が、そう告げるままに白を切る。
「いいえ。……そうですね、ただ何となく、思い返してみたのです。」
お嬢様が近くまで歩み寄る。
「そういえば貴方、今まで私を呼び捨てしたことはありませんわね。何故です?」
何を言い出すかと思えば、このお嬢様は。
「いえ、それはそうでしょう。トレーナー時代も、今も、私は飽くまで雇われの身ですから。メジロ家のご令嬢を呼び捨てなど恐れ多い事です。」
この歳なのですから。
心臓に悪いことはやめて頂きたいものです。
お嬢様は顎に手を添え、一瞬考える素振りをすると、口元を吊り上げた。
「では、命令です。私を“アサマ”と。呼んでみなさい。」 - 79>>2722/08/22(月) 19:28:11
「!!」
嫌な予感はしたが、たじろがざるを得なかった。
「どうしたのです?貴方は雇われの身なのでしょう?業務内容には含まれておりませんが、それくらいは上司へのゴマすりの範疇でしょう。執事長たる貴方にとっては容易いのでは?さあ、さあ。」
「お嬢様―――」
「“ア・サ・マ”。ほら、言ってみなさい。」
顔が熱くなるのを感じる。
このまま高血圧で倒れたらどうするのですか。
「あ―――」
「うん?」
「ア、サマ―――」
「はい!」
プレッシャーに負けて“お嬢様”を付け足す前に差し込まれた。
レースで勝ったときの笑顔が重なる。
二の句は告げぬまま、彼女を見つめる。
その目はこの晴れた夜にふさわしく、星のように輝いていた。 - 80>>2722/08/22(月) 19:28:32
「ああ、なんて良い夜なんでしょう。娘や孫達が勝利を飾った夜と同じくらい、胸が高鳴っていますわ。」
「私の心臓は高鳴るどころではありませんよ、お嬢様。」
「あら、私は好きでしたよ?レース後に胸に耳を寄せ、直に聞く貴方の鼓動が。」
「止まりかねないと言っているのですよ、まったく。」
ふふ、と微笑み、彼女は空を見上げる。
「ほら、ご覧なさいな。いい夜にふさわしい夜空です。ほら、アレなんてどうでしょう。」
「お嬢様、アレなどと……しかし確かに仰る通りですね。本当に綺麗な―――」
月。
そう言いかけて口をつぐみ、お嬢様を見る。
その目には、いたずらっぽい光が宿っていた。 - 81>>2722/08/22(月) 19:28:57
「私はまだ死ぬわけには行きませんが、貴方の気持ちだけは貰っておきましょう。」
足取り軽やかにくるくると回るお嬢様。
一体何重にこちらを誂えば満足するのか、このお転婆お嬢様は。
「小悪魔……。」
「なんです?」
「いいえ、何でも。貴女と一緒にいると退屈しない、と言ったのですよ。」
「あらそう?でしたら、そういうことにして差し上げますわ。」
さあ、そろそろ夜も冷えてくる。
主人の体を冷やしては執事としては失格だろう。
心の熱が冷めぬようにそっとお嬢様にショールをかけ、屋敷へと手を引くことにした。 - 82>>2722/08/22(月) 19:29:40
今度こそおしまい!と言ったな
アレは嘘だった - 83>>2722/08/22(月) 19:31:06
- 84二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 20:04:59
こんな感じで昔の馬がフィーチャーされていくと良いな
なあ、たづ - 85二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 21:44:06
おばアサマ強すぎるンゴ...
でも昔じいやと一緒になろうとは言えなかったんですね - 86二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 22:33:13
あぁぁどぼめじろうせんせぇ……
- 87二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 00:50:54