【閲覧注意】拝啓、いつかの誰かへ

  • 1二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 16:55:03

    幼いころから夢をよく見た。それがまともな夢なら良かったものの、私のそれは死ぬ夢だった。死因は多種多様。ギャグみたいなものから異様にリアルなものまで、私は沢山の死ぬ夢を見た。医者に見てもらっても、脳に異常は見られない。ウマ娘特有の超常的な原因かもと言われたが、それが改善することは無かった。
    沢山の死を目にしながら、私の心は軋んでいく。周囲のあらゆるモノが死の夢を想起させてくる。まるで、世界が私を殺しにかかっているように感じた。現実では死ぬ様な目に合うことが皆無だったのは不幸中の幸いだったかもしれない。大好きな家族やマーちゃん人形により私の精神はなんとか繋ぎ止められていたが、それでも悲観的な考えが消えることは無かった。
    もし、本当に私が死んだらどうなるのか考えていた。家族や友人は悲しんでくれるだろう。でもその後は?大きな災害が人々の記憶から風化して消えていくように、私の事も忘れられるのだろうか?忘却。私はそれが何よりも恐ろしくなった。
    そんな考え方をしだして暫くの後、私は自分の記録を残し始めた。写真や文章や映像に、私の着た痕跡を残そうと思ったのだ。でも、個人で残せる記録には限界があった。もっと残さなければならないと考えた私は、他人の記録に混じることを始めた。少しで良い。迷惑にならない範囲で動画や写真にしれっと紛れ込む。自分でも馬鹿なことをしていると思うが、心の奥底の恐怖が私を突き動かしていた。
    そして、そんな事に神経を尖らせていると、ある時を境に不思議な視線を感じるようになった。その視線は突然現れてはそこら中を飛び回っている。ただし、視線の元を探っても何も見つからない。まるで透明人間がそこら中にいて、世界のあちこちを見ているような感覚。その正体を考えていて、ふと、それは神様の目なのではないかと閃いた。世界を回って下界の様子を眺めているのではないかと。そうでも考えないと説明のつかないことが多々あった。であるならば。私は画期的なことを閃いた。この際、三女神様でも、他の神様でもいい。この神様の視線の先をうろつき、その記憶に残ればいい。神様はこの世の理から外れた存在故に、途方もなく長く存在し、私のことを語り継いでくれるはずだ。かくして今日も、あらゆる媒体に記憶を残す日課が始まる。

  • 2二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 16:55:13

    >>1

    記憶を残そう。記録を残そう。私の生きた痕跡を残そう。たとえ私がいなくなったとしても、忘れてしまわないように。忘れてしまっても思い出せるように。私が、世界から忘れ去られないように。

  • 3二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 18:00:26

    実馬とアニメの回収いいね
    ちゃんと馬主さんも大事に思ってるみたいだから安心してね

    実装されたらうんとシナリオ回してダスカやウオッカと一緒にチームに入れてやるからな
    待ってて、いやはよこいマーチャン

  • 4二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 18:01:13

    あれから数年。多くの人の記憶に残る為、トゥインクルシリーズに乗り込んだ私。大変なこともあったけど、担当のトレーナーさんは私に正面から向き合ってくれた。トレーナーとの三年間は、あれだけ怖かった死への恐怖を忘れられる程に充実している。
    そして今日、天皇賞(秋)。同期のウオッカちゃんやスカーレットちゃん達との真剣勝負。

    「勝つのはマーチャン…見ていてねトレーナー…」

    「ああ!」

    トレーナーはいつもの様に私を送り出す。悲観は無い。恐怖も無い。ターフに飛び出して、いつもの様に先頭を奪い取るだけ。スカーレットちゃんと競り合いながら、ポジションをキープ。その影響か、従来よりも速いペースでレースは進んでいく。最終直線に差し掛かる頃には、私を含め6人のウマ娘による熾烈なデットヒートが始まった。皆凄い末脚だ。全力で交わそうと迫ってくる。でも――――

    「勝つのはマーチャンだよ!!!」

    限界まで体を酷使し、少しでもギアを上げる。今までの成果か、体は悲鳴を上げながらも動いてくれた。でも、他の皆も食らいついてきて。体感での差は殆どない。

    『これは大接戦!!!!大接戦のゴール!!!!!!!』

    私は他のウマ娘達と団子状態でゴールに転がり込んだ。掲示板には暫くの間写真判定の文字が灯り、10分以上の審議ののち、掲示板には私の枠番が燦然と輝いていたのだった。地鳴りのような歓声が東京レースを包み込む。惚けていた私は、暫くしてそれが自分を称える声であるのに気が付いた。

    「やったなマーチャン!」

    「おめでとう!でも、次は私が勝つんだから!」

    握手を求めてくるウオッカちゃんやスカーレットちゃん達。その顔には嬉しさと悔しさが見て取れた。レースについて話をした後、観客席を眺めていた私はふと皆に問いかけた。

    「私、皆の記憶に残れたのかな…」

    それを聞いた皆はきょとんとした後、満面の笑みで言った。

    「当然でしょ!!」

    「あんな走りされたら、絶対に忘れられねぇよ!!」

  • 5二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 18:01:27

    >>4

    心の内から、煮えたぎるような感情の波が押し寄せる。そっか…私、皆の記憶に残るウマ娘になれたんだ。本当にいつぶりだろうか。グズグズに泣いた後、心の底から笑えた気がした。

  • 6二次元好きの匿名さん22/08/22(月) 19:56:03

    ちょっと設定が尖りすぎたかもしれない

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