- 1二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 20:24:49
執筆中についつい他のことをしがちなスレ主を監視するスレ。
投稿フォームに直接書いていき5分毎に投下していきます。
見てる人は感想、意見、批判、罵倒、ROM、ブラバなど自由にしてください。
書いている作品 『時をかけるメンヘラ』
リスカする度に10分時間が巻き戻るメンヘラ女子大生によるコメディ。
前スレ
スレ主の小説執筆を監視するだけのスレ|あにまん掲示板bbs.animanch.com - 2二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 20:26:02
前スレを追っていた方はお久しぶりです。
保守ミスって落ちてからちょうどいいし少し休むかと思ってたらずるずると長期間サボってました。
本日からまたよろしくお願いします。
それでは始めます。 - 3二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 20:30:11
颯太の浮気疑惑が晴れてから一週間ほどが経った。
その間特に大きな問題も無く、由希は普通に大学生活を送っていた。
「……であるからして、これは……」
現在は講義を受けている最中である。眠気と戦いながらも内容をルーズリーフに書き留めて真面目に頑張っている。 - 4二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 20:34:58
リスカリープを使えば勉強なんて必要ない、テストで時を戻れば満点なんて取り放題だろ、と思われるかもしれない。
実際由希も二日前の小テストで試していたが、結果として難しいと判断した。
まずリスカリープは10分しか戻れない。テストの問題を見てからリスカしてその問題の答えを調べてから望む……ということを10分以内に出来るのはよほど勉強していないといけない。
かといってリスカリープを重ねて大きく時を戻ると、今度は貧血となり頭がぼーっとしてテストに集中できない。
結局普通に勉強しないと駄目だと判断した由希はこうして真面目に講義を受けている。 - 5二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 20:40:07
大学生活は人生の夏休み、勉強なんて適当で大丈夫……という印象の人も多いだろうし、実際そういう大学もあるだおるが、由希が通う大学は中々しっかり勉強しないと卒業できないタイプだった。
だから普通に大学生活を送る分にはリスカリープを使う機会は無い……わけでもなく。
「あっ……」
眠気から気を抜いて机の上に置いてあったペットボトルを倒してしまう由希。ふたがしっかりしまっていなかったのか、中身がこぼれルーズリーフがぐっしょりとなる。 - 6二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 20:45:05
起きてしまった不幸な出来事。
しかし、由希は少し行動を停止したくらいで、次の瞬間にはポケットに入れておいたカッターを取り出して、左手首を切る。
「……は?」
斜め後ろの席に座っていた面識のない同期生がちょうど由希の奇行を目にしていたようで間抜けな声を上げる。とはいえ授業中にいきなりリスカする姿を見たのならば仕方ないことだろう。 - 7二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 20:49:18
それ以上の出来事に発展する前に世界が巻き戻る。
10分前、変わらず講義中。
まず由希は机の上に置いてあったペットボトルのふたをしっかり閉めた。
そして講師がする少し前と同じ話を聞いて。
「あーまた書き直しか……」
ルーズリーフに書いたことも巻き戻っていることにうなだれるのだった。 - 8二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 20:55:17
夕方。
「あーやっと終わったー! 」
本日取っている講義も終わり晴れ晴れとしている由希。
「お疲れ様」
その彼氏である颯太も一緒である。
二人ともこの後何の用事も無いということで、出かける約束をしていた。
出かけ先は由希の希望により気になっていた隣町のおしゃれなカフェ。そのため駅に向かっている最中である。 - 9二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 20:59:52
二人とも何かと用があって、連絡を取ったり大学内で会ってはいたものの、デートはそれこそ一週間前貧血で倒れたお家デート以来だったため、由希は張り切っていた。
- 10二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 21:05:40
「デート、デート!」
「もうはしゃぎすぎだよ」
手を繋ぎながら歩くその姿は傍目から……いや実際にバカップルである。 - 11二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 21:09:58
そうやって二人が進む道中、ちょっとした出来事が起こった。
由希たちと道路の反対側を歩いていた人が頭に何か落ちたと思い手をやると、鳥の糞がべったりとついていた。
「うわっ!? 何だよ、これ!!」
見上げると悠然と飛ぶ鳥の姿がある。 - 12二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 21:14:52
「ああもうっ……!」
その人は見舞われた不幸に憤慨しながら去っていった。
「今どきあんなことあるんだ……」
「かわいそうにね」
「あ、そういえば今日行くカフェなんだけど……」
由希と颯太は何の気なしにその出来事を消化して普通の会話に戻る。
由希にはリスカリープの力がある。
やろうと思えばこの時点で時を戻り、少し早めに歩いた後にさっきの人を呼び止めるなりして鳥の糞が頭に落ちないようにすることも出来る。 - 13二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 21:19:31
しかし、由希はそれをしない。一片すら思考もしなかった。
この世界には大小さまざまな不幸が日夜起こっている。
時を戻れるからといってその全てに対処するのは不可能だ。目に見える範囲だけにしたって身がいくつあっても足りないだろう。
それ故の取捨選択、由希は無意識にリスカリープを使うのは自分や自分と関わりの深い人間のためだけだと決めていた。
もし鳥の糞が自分や颯太の頭に落ちていたのなら、由希は迷わずにリスカをしてその不幸を避けていただろう。 - 14二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 21:25:12
それからしばらくして駅に辿り着く。
「あー何かちょっとお腹の調子が…………ごめん、トイレ」
「じゃあ待ってるね」
颯太が小走りでトイレに駆け込む。その間、由希はベンチに座りスマホで時間を潰す。
10分ほどしてすっきりした顔で出てきた颯太と一緒に目的地までの切符を買って電車を待つ。
二人並んで立つ中……颯太がふと向かいのホームに立つ人に目を付ける。
「あの人……」
「どうしたの?」 - 15二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 21:31:19
「安全線より内側にいない?」
「そうかな?」
少々距離があって由希には内か外か判別が付かない。
「それに何か表情も虚ろだし……まさか」
颯太が悪い想像を浮かべたが、時すでに遅く。
けたたましい笛の音が鳴りホームに電車が入ってくることを知らせる。
駅員もその男性に気付いたのだろう、制止するために近づこうとするが間に合わず。
男性はふらっとその身を投げ出し、電車はそれを轢いた。 - 16二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 21:34:44
8話終了、約2000字。
新エピソード開始、そんなに長くはないはず。
明日もまた来ます。 - 17二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 09:27:52
保守
- 18二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 20:14:03
今日も始めます。
- 19二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 20:21:28
自殺数の多い日本において、鉄道自殺は年に数百件、一日に一人は全国のどこかで身を投げているというデータがある。
由希と颯太、駅のホームにいた人たちはその一件を偶然にも目撃してしまった不幸な人物と言えよう。
もちろん辺りは騒然となり、駅員たちは事態の収拾のために忙しなく動き、壮絶な光景を目の当たりにして顔を蒼白にする利用者。 - 20二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 20:24:57
そして数こそ少ないが……面倒だな、とうんざりした顔で事態を眺める者たちもいた。
その内の一人が由希である。
(えー……これ、もしかして電車動かなくなるやつ? 困るなあ)
颯太と隣町まで出かけてデートの予定だったのに出鼻を挫かれた形である。 - 21二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 20:30:00
目の前で人が死んだのにそんなことを気にする由希。それを口にしないだけの社会的通念は持っているようだが。
- 22二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 20:34:35
仕方ないのでバスかタクシー……この事故でそれらに人が殺到することを考えると最悪歩く必要があるか、と考えながら隣の颯太に声をかけようとして。
「由希、大丈夫か!」
颯太の方から由希の肩を掴みながら勢いよく確認が飛んだ。
「え、うん、大丈夫だけど?」
何を心配されているのか分からない由希は戸惑いながらも無事を伝える。 - 23二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 20:40:07
「本当か? 無理はするなよ。あんな光景を見たんだし……」
それを由希の空元気だと判断したのか労りの言葉をかける。
(颯太は……そっか。目の前で人が死んだから、それで私が落ち込んだんじゃないかって心配してくれたんだ)
見ると颯太の手が小刻みに震えている。
自分だって衝撃を受けたのに、私のことを心配してくれる……それが何よりも温かい。 - 24二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 20:45:11
でも……私は本心から全く気にしていなかった。
数年前に何度も、何度も思い描いたことのある光景だったからだ。
ここであと一歩踏み出したら、何も悩まずに楽になれるんじゃないか。
毎朝、電車に乗るたびに考えてしまっていた。 - 25二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 20:50:02
結局考えるだけで済んで、今こうして私は隣に颯太がいて幸せになっている。
一歩間違えてたら私もああなっていたかもしれないけど……私は間違わなかった。それだけのことだ。
もちろんリスカリープを使えばあの人を助けることは出来るかもしれない。 - 26二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 20:56:38
でも助ける理由も意味も無い。
自殺するほど想い悩む人に関わっている時間は無い。
私はこれから颯太とデートをすることで頭が一杯で――。
「これからどうしようか?」
「え? そんなのバスでもタクシーでも使って隣町に……」
「……無理しなくていいんだよ。由希だってそんな気分になれないでしょ」
「…………」
「今日のところはとりあえず帰ろうか」
「……ごめん、その前にトイレ」
「うん、分かった。待ってるよ」
由希は颯太が見えない場所まで行って――世界が巻き戻った。 - 27二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 21:00:16
リスカリープすること2回、20分前。
「あー何かちょっとお腹の調子が…………ごめん、トイレ」
「じゃあ待ってるね」
颯太が小走りでトイレに駆け込む。その間、由希はベンチに座りスマホで時間を潰……さない。 - 28二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 21:03:40
「全く……人の目の前で自殺なんかして、いい迷惑よ! 昨日から楽しみにしていたカフェ……絶対に行くんだから……!」
制限時間は颯太がトイレから出てくるまでの10分間。
絶対にあの男性を見つけて自殺を防いでやる……! - 29二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 21:04:31
9話終了。1500字ほど、短い。
あとで何か思いついたら補完予定。
明日も来ます。 - 30二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 07:09:45
保守
- 31二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 08:31:42
- 32二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 20:27:19
始めます。
カクヨムも始めたのでせっせと書き溜め作らねば。 - 33二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 20:35:49
粟谷和也、43歳、男性。
彼はこれまでの人生を振り返っていた。
いわゆる普通の家庭に生まれ、何も不自由なく過ごしてきた学生時代。
卒業して自分も両親のような家庭を築きたい……と思う彼にぶつかったのが就職氷河期。 - 34二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 20:40:37
実家暮らし、非正規雇用で何とか食いつなぐが、そこにかかった両親からの声は『もうちょっとちゃんとした仕事に就いた方がいいんじゃないの』。
普通、を進んできた両親は世間の異常な状態を理解できなかった。
変わりなく接しようとしたが、どうしてもその一点が譲れず、和也は実家を出て一人暮らしを始めた。 - 35二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 20:45:18
しかし親元の庇護が無くなり、生活はさらに困窮。朝から夜まで仕事をして、特に贅沢もしていないのに、全然貯金が貯まらない。彼女を作る暇もない。
大企業に入社した同級生の結婚報告を聞いた時には感情が押し潰される音が聞こえた。
だがそれよりももっと絶望したのが……そんな日々にも慣れたことだった。 - 36二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 20:50:06
30歳、40歳と働き詰めの変わらない生活を送っている内に、自分の現状に感情を動かなくなっていった。
そして今日。
午前中から一つ案件を終わらせて、昼飯を食べる時間も無くミスをした後輩の尻拭いをし、夕方そのまま次の仕事先に移動するために電車に乗ろうとして……持っていた資料を紛失していることに気付いた。
「…………」
はぁ……もう死ぬか。 - 37二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 20:55:29
駅に来るまでは持っていたはず。構内のどこかに落としたはずだ。電車が来るまでに急いで資料を探すべきなのに……ふと心に張り詰めていたものがぷっつりと切れた気がした。
このままホームに進んで飛び込めば……全部終わる。終えることが出来る。
いいじゃないか、ここまで頑張った、そろそろ解放されてもいいはずだ。 - 38二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 21:00:18
ふらふらと歩を進める和也は……次の瞬間、その背中にバシッと手を叩きつけられた。
「いたっ……!」
「おっさん! その資料、落としたでしょ!」
声の主は由希。その手には和也が落としたはずの資料が握られている。
「何をするんだ君は……って、これは!?」
「探してやったんだから、ほら」
由希は資料を押し付ける。 - 39二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 21:05:28
「ありがとう……でも、どうして……」
「ああもういいから! 話は全部聞いたから!」
「聞いた……? いや、でも本当助かったよ」
由希がカッターを片手に和也を脅し、事情を聞き出した出来事は時の狭間に葬られている。
「……うん、これなら大丈夫そうね。自殺しなさそう」
「じさ……っ!」 - 40二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 21:10:53
先ほどまでの自分の心を言い当てられたように思えてドキッとする和也。
「別に自殺するなとは言わないけど、今日だけは止めてよね…………って、やばっ。そろそろ颯太がトイレから出てくる時間じゃん!」
由希は慌てて去っていく。完全に自分の都合を押し付ける言動にポカンとなる和也を置いて。
「……何だったんだ今の」 - 41二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 21:15:03
呆気にとられたことで和也のメンタルはどん底から戻っていた。
資料を探してくれた良い子に思えて、妙に見透かした言動の不思議さもあり、自殺を完全には止めない非情さも持っていて…………。
「分からない……今時の子はああなんだろうか……」
43歳、自分がもう若くないことは十二分に知っている。 - 42二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 21:20:23
「まあでも……そうだな。自殺なんて今日しなくてもいい、明日でも出来るか」
そして明日でもいいなら、明後日でもいい。明後日でもいいなら、明々後日でもいい。
「ん……」
胸元のスマホが震える。 - 43二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 21:25:06
確認してみると部署で連絡を取るために入れさせられたメッセージアプリからの通知。
送り主は昼間に尻拭いをした後輩、内容は『さっきはマジ助かったっす!』とのようだ。
「……よし、頑張るかね」
気を入れなおした粟谷和也はホームにやってきた電車に乗り込んだ。
その向かいのホームにて。
「はぁ、もう……やっとだ」
由希がその胸をなでおろしたいた。 - 44二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 21:30:09
事態を収拾するために行ったリスカリープは10回。
自殺を目撃してから戻るのに2回、事情を聞き出すためやしらみ潰しに資料を探すために時を戻ったりしてここまでの回数となった。
合計で100分。身体的な疲労はリープするたびにリセットされるが、精神的疲労や血の喪失により消耗している。 - 45二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 21:32:53
それでも。
「カフェ楽しみだねー」
「うん、楽しみ!!」
颯太に笑顔を向けられると見る見るうちに回復していく由希だった。 - 46二次元好きの匿名さん22/08/25(木) 21:34:18
10話終了。1800字ほど。
『電車自殺』編終了。次の話は……ちょっとお悩み中。
明日は所用のためお休み。土曜日来ます。 - 47二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 06:34:00
保守
- 48二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 16:55:24
保守
- 49二次元好きの匿名さん22/08/27(土) 01:24:40
保守
- 50二次元好きの匿名さん22/08/27(土) 10:17:26
保守
- 51二次元好きの匿名さん22/08/27(土) 20:57:30
保守
今日はお休みします - 52二次元好きの匿名さん22/08/28(日) 08:07:04
保守
- 53二次元好きの匿名さん22/08/28(日) 17:28:08
保守
- 54二次元好きの匿名さん22/08/28(日) 21:57:12
保守
今日もお休みです、明日こそ必ず - 55二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 09:42:59
保守
- 56二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 20:03:42
ずらっと並んだ保守が重い。
ちょっと書くことまとまってないですが、日和っても始まらないので、考えながら書いていきます。
開始。 - 57二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 20:10:51
「私が見たの妹だったんだ」
「うん、理子ちゃんって言ってね、かわいいんだよ」
大学の食堂にて話す二人。 - 58二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 20:14:40
一人はリスカリープの使い手由希。
もう一人はその由希の親友、野口詩織だった。先日、颯太の浮気疑惑を提唱したのが彼女である。
あれから時間が経ったが、詩織は今まで怖くて聞けず、由希は単純に報告するのを忘れていて、今日ふと話が及び由希が騒動の顛末を話した次第である。 - 59二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 20:19:55
「ごめんね、変な勘違いさせちゃって」
「ううん、いいんだよ。おかげで色々得るものもあったし」
今では日常的に使っているリスカリープも浮気疑惑により苦しまなければ気付くことは無かっただろう。颯太から熱い言葉も頂いたりで、由希の中で収支はプラスに終わっていた。
「由希がいいならいいけど……でも」
「でも?」
「油断しちゃいけないんだからね。男ってのは浮気する生き物なんだから」
「颯太に限っては無いって」
負の感情を込めた詩織の言葉を軽く受け流す由希。
詩織は男性不信だった。 - 60二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 20:25:50
颯太と理子が並んで歩いている姿を見ただけで、家族かもしれないという可能性ではなく、先に浮気していると考え由希に言ってしまったのも根深い男性不信のせいである。
「あれ、僕の名前呼んだ?」
「おひさしぶりー」
そんな二人のところにやってきた男性二人。
一人は由希の彼氏、颯太。
もう一人は颯太の親友である、金子純平である。 - 61二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 20:30:28
「お疲れ、颯太」
「げっ、何であなたもいるんですか……」
「ありがと、由希」
「地獄のレポート週間も終わってな、今日からまたこっちで食う余裕が出来たんやで。いやはや研究室でかきこむ御飯とはおさらばや」
彼氏彼女が労う横で、敵意を向ける詩織とそもそもそれを感じ取ってもいない図太さの純平。
男性不信の詩織は軽薄な言動が目立つ純平のことが苦手だった。 - 62二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 20:35:19
4人の内由希、颯太、詩織は同じ学部だが、純平だけが違う。
- 63二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 20:40:48
純平だけがここしばらく忙しくて、こうして一緒に昼食を取る時間も無かった。
「純平の言うご飯ってゼリー飲料とエナドリだよね。身体壊すからちゃんと食べないと」
「何おう! どっちもエネルギーが詰まってるんや! 身体壊すわけないやろ!」
「そんなはずないでしょ」
「あなた、ちゃんと勉強してきたんですか?」
総ツッコミされる純平。 - 64二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 20:45:07
「はっはー。まあそうよな。やっぱ肉も必要やで!」
「野菜もだからね」
純平と颯太も席に座り、トレーに載せて運んできていたからあげ定食をかきこみ始める。 - 65二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 20:54:40
おかんのように心配する颯太、調子のいい純平。
真逆な性格の二人だが、不思議とウマがあっていた。
「ちょっと飲み物を買いに……」
「あ、私も一緒に行く! 颯太何かいる?」
「じゃあコーヒーお願い出来る?」
「詩織ちゃん、ワイはサイダーな」
「あなたには聞いてません」
この四人は由希と詩織、颯太と純平でそれぞれ親交があったところに、由希と颯太が付き合うようになって一緒に過ごすことが多くなっていた。 - 66二次元好きの匿名さん22/08/29(月) 20:59:04
何かキリ良くなったので11話終了。1200字。短いけどもうこれくらいを一話の基準にするかね。
新キャラ、親友二人の掘り下げをやっていきます。
明日もまた来ます。