- 1◆ajr4Gh/7pY22/08/23(火) 22:32:59
安価SSスレへようこそ
安価スレではありますが、遅筆故に低速になると思い目に付きやすいこちらに立てました
問題ありそうなら移転します
ここではご要望に応じてスレ主がSSを書きます
要望時テンプレート
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メインウマ娘:
シーン :
備考 :
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但し書き
1.公式ガイドラインを無視するような直接的表現はないものとする
2.筆が遅い&ロングスリーパーなので例え日を跨ぐことになっても
皆様は優しく待っていてくれるものとする
3.あんまりしっかり分析したことのないウマ娘もいるので、
例え低解像度になっても皆様は笑って許してくれるものとする
4.それによりクオリティに差が出てしまうとしても、スレ主は愛を持って書くものとする
5.安価スレは初めてなので、皆様は生温かい目で見てくれるものとする
6.例えシーンがざっくり、ぼんやりしててもスレ主が頑張って考えるものとする
7.安価取得者が「思ってたんと違う……」と思ったとしても、
とりあえず褒めてさえ貰えればスレ主は大ケヤキに登るものとする
8.日中は外に出ているので夕方~夜の投稿とする
9.但し書きはスレ主の裁量次第で増減可能とする
―――さて、出走の準備が整いました……スタートです!
- 2◆ajr4Gh/7pY22/08/23(火) 22:41:35
初めてのお客さんを呼ぶには遠かったかな……
>>3にしておきます
- 3二次元好きの匿名さん22/08/23(火) 22:43:11
- 4◆ajr4Gh/7pY22/08/23(火) 22:45:16
まってて!
- 5◆ajr4Gh/7pY22/08/23(火) 23:56:45
初めて会ったアナタは、大人しい子なのかな、と思っていました。
日本のウマ娘は皆おとなしめですが、アナタは特にビクビクしていて。
何かあるたびに頭を抱えていましたね。
面白い女の子だな、友だちになったらきっと毎日が楽しいんだろうな。
そう思って話しかけたり、飛びついてみたりする度、コロコロ変わる表情がどんどん好きになっていきました。
でも、チョット心配だったんです。
アナタは優しく、気を遣いすぎます。
文字通り競争の激しいトレセン学園でやっていけるのかなって。
できることならずっと一緒にいたいけど、夢破れて去っていく子だっていることは、ワタシもわかっていました。
もし、アナタもそうなってしまったら……ワタシは寂しいです。
―――でも、アナタはそうはなりませんでした。
ある日のこと。 - 6◆ajr4Gh/7pY22/08/23(火) 23:57:05
「ハウディ、ドドーウ!今日も元気……ではないようデスね?どうしまシタ?いつも以上のしょんぼりデース!」
「こんにちは、タイキさん……うぅ~、そんな事ありません……。あぁ……。」
引きつった顔でモジモジしていますね。
うーん、本当にどうしたのでしょう?
必死にゴマカそうとしているみたいです。
オクユカシイ?のはドトウの魅力だと思いますが、今日のは度を越してます。
ワタシは、考えるより体が動いてしまう。
どんな子かな?と思ったら声をかけてみる。
仲のいい子がいれば、直ぐに寄っていってすり寄りたくなる。
悩んでいたなら、声に出してみる。
トレーナーさんは、ドトウと足して2で割ったらちょうどいい、と言います。
なら、ワタシのこのハートを、ドトウに分けてあげられたなら。
でも、どうやって。
ふーむ。
ヨシ。 - 7◆ajr4Gh/7pY22/08/23(火) 23:57:21
「ドトーゥ!」
「はぅああああああ!」
とりあえず、飛びついてみました。
そして思いっきり抱きしめます!
「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
すっごい震えていますね。
そして柔らかい中にも筋肉を感じます。
フム、流石ドトウ、仕上がっているようですね。
ひとしきり抱きしめてスキンシップをとったら、そのまま言葉をかわしましょう。
「……ドトウ。何があったかは知りまセン。でも、ドトウが落ち込んでいたら、ワタシも悲しい。どうか、ワタシにも話してほしいデス。」
「はぁ、はぁ、うぇ?は、はいぃ…。だから、一度離してくださいぃ……。」
やはり友達同士のスキンシップは大事ですね。
心を通じ合わせるにはコレが一番です。 - 8◆ajr4Gh/7pY22/08/23(火) 23:57:43
「次の宝塚記念が不安、デスか。」
同室のシャカールが、直前にダービーで敗れてしまった。
彼女を励ますためにも次のレースで勝利を掴みたいが、相手は覇王、オペラオー。
ドトウは未だ、オペラオーには勝てていなくて、それに怯えている、という。
「ドトウ。」
「タイキさん……?」
大丈夫、ワタシは知っています。
「それは、恐怖なんかじゃありまセン。ドトウのハートが、友のために奮い立っているのデス!」
そう、ワタシの故郷でもそうでした。
アメリカではヒーローが愛されています。
誰かのために、何度負けても立ち上がり、そして何かを成し遂げる存在。
不屈の挑戦者。
それはアメリカの人々だけじゃなく、きっと、アナタの中にだって。
だから。
「不安なんかに負けないでくだサイ。アナタは、きっとヒーローなんデス。」
「……はい。」
もう、彼女の震えは止まっていた。 - 9◆ajr4Gh/7pY22/08/23(火) 23:57:59
そして迎えた宝塚記念。
結果は、ドトウの勝利。
ターフの上で両者が称え合う姿は、まるで映画の大団円。
ドトウがすっごく嬉しそうにしているのを見て……ジェラシー、チョット妬けちゃいます。
そうですね。
ワタシ達の距離適性は、ザンネンながら交わっていません。
でも、願うことならば。
ずっと、ずっと隣を歩いていてほしい。
そう心から思えるのです。 - 10◆ajr4Gh/7pY22/08/23(火) 23:59:01
- 11二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 00:01:05
行きたいです!13取りたい!
上のSS好き - 12二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 00:01:47
ksk
- 13二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 00:03:08
- 14◆ajr4Gh/7pY22/08/24(水) 00:03:34
まってて!
- 15◆ajr4Gh/7pY22/08/24(水) 01:16:25
オグリキャップ、芦毛の怪物。
貴女は先輩だけど、アタシと同じ年にデビューした同期。
強く、勇ましい、アタシの目標。
その背中に多くの人の“夢”を背負い、走り続ける希望の光。
なんて大きくて、眩しい背中なんだろう。
アタシは、そんな貴女と戦いたかった。
だというのに。
「なんなんスか。そのローテーションは。」
思わずひとりごちる。
まるで焦るような、命を削るような頻度でレースに挑むその姿。
それがどれだけ危険か、爪の弱かったアタシにはよく分かっていた。
もちろん、抗議だってした。
そんなに頻繁にレースに出ていたら、貴女が壊れてしまう。
せめて2ヶ月、いや、1ヶ月でも空けてほしい。
体を労りながら、アタシと一緒に走り続けてほしい。
だけど、その願いは受け入れられなかった。 - 16◆ajr4Gh/7pY22/08/24(水) 01:16:56
「私のトレーナーには、もう先がないから。だから、少しでも多くの夢を届けるんだ。」
そう零す憧れの笑みは影を帯び、かつての光は感じられなかった。
自分のトレーナーの命が危ないから、だからそれが尽きる前に。
何なんスか、それは。
アタシのライバルが、憧れが、すり潰されていくような感覚。
違うでしょう、貴女は。
アタシの憧れた貴女は、そうじゃないはずだ。
ただ事務的に勝利を重ねることが、人々に夢を与えるのか?
違う。
体を壊しかねない頻度でレースを重ねることが、人々に夢を与えるのか?
違う。
そんなものが人々が、アタシが憧れた貴女が想う、そのトレーナーが望むものだとは到底思えない。
誰も望んでいないのに、まるで深い沼をただ走り続けるような真似をするなんて。
そんなものは、歪んでいる。
―――だから、アタシが。
アタシがその歪みを直す。
勝負だ、オグリキャップ。
貴女の間違いを正してやる。 - 17◆ajr4Gh/7pY22/08/24(水) 01:18:10
マイルチャンピオンシップ当日。
各ウマ娘が本馬場で身体を慣らしていた。
まだゲートインには時間がある。
ストレッチをする彼女の横に並ぶ。
「……オグリキャップ先輩、今日の調子はどうッスか?」
「ああ、悪くない。」
悪くない?
どの口が言うのか。
準備体操する姿にすら、疲れが見えた。
うつむき、アタシと話しているようで、アタシを見ていない。
まるでアタシとの間に霧でもかかったような。 - 18◆ajr4Gh/7pY22/08/24(水) 01:18:23
「そうッスか。」
霧がかかってようが、ちゃんと見えるように正面に回り込む。
「?」
目は伏せたまま、耳が少しだけこちらへ向く。
「本気でそう思ってるんスかね。そんなガタガタな体で勝つことが貴女の夢なら……そんなもの、アタシの夢が砕いてやる。」
憧れの怪物は一瞬驚いたように目を開いたが、またうつむきゲートへ向かう。
このまま貴女の目が曇ったままなら、アタシの夢も、きっと貴女とともに砕けるだろう。
だけどもしも。
もしも貴女がまだ、夢を背負うに足る存在なら―――
このレースで、アタシに認めさせてほしい。
先輩、貴女がまだアタシの憧れだって、証明してほしい。
出走の時間が迫る。
アタシも先輩もこれ以上言葉をかわすことなく、ゲートに向かうのだった。 - 19◆ajr4Gh/7pY22/08/24(水) 01:20:30
- 20二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 01:21:50
ありがとうございました!
史実ネタいいな… - 21二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 12:13:59
ほしゅ
- 22二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 12:38:29
- 23◆ajr4Gh/7pY22/08/24(水) 12:50:19
- 24二次元好きの匿名さん22/08/24(水) 23:26:45
楽しみにしているぜ!
- 25◆ajr4Gh/7pY22/08/25(木) 00:17:40
『スペちゃんは、私に全力で来てくれましたか……?』
私、なんであんなこと言ったんでしょう。
それは、せっかく一緒に走っていた私ではなく、スズカさんのことばかり考えながらレースに出ていたスペちゃんに、腹が立ちましたし、悲しかったし、寂しさを覚えました。
まるで、私なんていないみたいに走るなんて。
……思い出したらまたふつふつとぶり返してきましたが……だけれど。
『オーウ、グラス、“ヤンデレ”ってやつみたいデース!』
初めにエルに言われた時は全く意味がわからず、言い終わると同時に凱旋門ばりの加速度で逃げていく姿に首を傾げるばかりでしたが、後で調べてみてびっくりしました。
検索すれば続々と出てくる“ヤンデレ”の例。
“私だけを見て”
“他の子の匂いがする。上書きしなきゃ。”
“離さない、ゆずれない、逃がさない、渡さない。”
なるほど、なんとなくわかりました。
エルの言いたいことも理解できました。
そこは後できっちりお灸を据えさせていただきましたが、でも確かにそんなふうに聞こえなくも……。
スペちゃんとはもう仲直りは出来ていますが、なんだか……。 - 26◆ajr4Gh/7pY22/08/25(木) 00:18:00
「ぐ、グラス?チョット食べ過ぎじゃあ……?」
「そうでしょうか?」
「ハイ、心ここにあらずって感じなのに、お箸だけはいつもの5割増しで動いてマース!食欲があるのは良いコトだと思いますが、チョット、いやかなり……あ、もうお皿が空っぽデース……。」
「ごちそうさまでした。エル、朝も伝えましたが、この後は並走をお願いしますね。」
「それは良いのデスが……。」
……スペちゃんも、『ちょっと重いな』って感じたんでしょうか。
そんな考え事をしていたら、最近食事の時間があっという間に過ぎていきます。
確かに多少料理を口へ運ぶペースは早まったかもしれませんが、そこはしっかりトレーニングに励めば大丈夫なはず。
さあ、エルと一緒にトレーニングを―――
「グラスちゃん、エルちゃんと並走するの?私も一緒に走っていいかな?」
笑顔のスペちゃんが現れた。 - 27◆ajr4Gh/7pY22/08/25(木) 00:18:26
「……!?」
目の前には私と走ることにわくわくしている、私達の世代みんなの大切な友達。
突然の遭遇にびっくりすると同時に、余計なことに調べた一コマがフラッシュバックしてしまう。
“ねぇ、私だけのものになって……?”
「グラスちゃん?」
スペちゃんが目の前で首を傾げる。
「!!」
私は、友達を前にしてなんてことを!?
「も、もう!エルが変なこと言うから!も~!!」
「ケ!?グラス!?一体何がどうしたのデース!?」
エルにすべてを擦り付け、トレイを返却口へと返すと一目散に逃げるようにその場を後にした。
「エルちゃん、グラスちゃんどうしたんだろう……?」
「まったく、ちっとも、さっぱりワカリマセーン……。」 - 28◆ajr4Gh/7pY22/08/25(木) 00:19:35
「本当に、どうしましょう……。」
せっかく並走に付き合ってくれるエルも、笑顔で話しかけてくれたスペちゃんも取り残して、一人でコースへ出てきてしまいました。
端っこに座り込んで、膝を抱えて、一体何をしているのでしょうか、私は。
「はぁ……。」
思わずため息が出てしまいます。
今日のところは一人で練習するとして、明日はちゃんと二人に謝りましょう。
気持ちを切り替えて走り出すべく、立ち上がったその時―――
「追いついた!グラスちゃん!」
「スペちゃん……!」
追いかけてくれたんだ、嬉しい。
……待って、そうじゃないでしょう。
私が取るべき行動は――― - 29◆ajr4Gh/7pY22/08/25(木) 00:19:45
「ご、ごめんなさいスペちゃん!さっき、せっかく誘ってくれたのに……。」
まずは友人への失礼を詫びなければ。
頭を下げる。
「ううん、いいよ?……良かったぁ、避けられてるのかと思ったよ。」
「そんなわけ、ないじゃない……。」
スペちゃんは相変わらず優しい。
非があるのは突拍子もない妄想を勝手に繰り広げている私なのに。
でも、これで仕切り直しができる。
後ろからエルが来ているのも見えるし、三人で走ればきっとこの余計な思考も―――
「でも、じゃあなんで逃げ出したの?」
スペちゃん?
こんなところで脚質を発揮しないで? - 30◆ajr4Gh/7pY22/08/25(木) 00:20:12
「つまり、勝利への欲求が高すぎて困ってたってこと?……うーん、それって悪いことなのかなぁ。」
「グラスは言い訳がヘタっぴデース……。」
流石にそのまますべてを話すのは気が引けたので、遠回りに遠回りを重ねて説明したけれど、帰ってスペちゃんを悩ませてしまったみたい。
エルは件の発言に思い当たったのかピンときているようでしたが、ぼそっと零したその一言、忘れませんからね?
考え込むスペちゃんが、急に顔を上げる。
「大丈夫だよ、グラスちゃん!」 - 31◆ajr4Gh/7pY22/08/25(木) 00:22:18
「スペちゃん?」
「私がその思いの強さが悪いことじゃないって、次のジャパンカップで証明してみせます!」
ふんふんと意気込むスペちゃんに、エルと顔を見合わせる。
「次のジャパンカップにはブロワイエさんが出るよね。私、絶対エルちゃんの敵討ちをするんだ、絶対に負けられないって心に誓ってるから。その想いの強さ、勝利への欲求は誰にも負けないつもりだよ。だからブロワイエさんに勝って、この感情は悪いものじゃないんだ、良いことなんだって、私がグラスちゃんの不安を吹き飛ばしてあげる!」
「スペちゃん……。」
目にはキラキラと輝きが宿り、意志の力を強く感じる。
凄いな、スペちゃんは。
その目を見るだけで心が踊り、滾る。
ああ、その目を知っているからこそ、宝塚記念であんなにがっかりしたんだろうな、なんて今更ながら分析する。
でも、今回は真逆の感情。
正体さえわかればもう、大丈夫。
「観客席の一番前で応援しますね、スペちゃん!」
「もちろんエルも一緒デース!」
「はい!よーし、トレーニング頑張るぞー!」
「おー!」
私と、エル、そしてスペちゃん。
弾けるような笑顔とともに、並走が始まった。 - 32◆ajr4Gh/7pY22/08/25(木) 00:23:15
おしまい!
それはそれとしてブロワイエと好敵手みたいに仲良くなったスペちゃんに
グラスは嫉妬してそう - 33◆ajr4Gh/7pY22/08/25(木) 00:27:54