【SS】悪夢と夢

  • 1二次元好きの匿名さん22/08/28(日) 01:23:34

    …悪夢を見た。
    自分がトレーナーとしてやっていくことそのものを否定するような悪夢。
    …自分と彼女のコンビで、これ以上の高みへ行けるのか?
    そう問いかける夢。

    「…トレーナーさん?ぼーっとしてますけど、どうしたっスか?」
    『…あ、あぁ…バンブー』
    仕事がろくに手に付かない。
    悪夢の中のその質問には、自信を持って”自分こそが彼女のトレーナーだ”と答えられるが…
    「…?大丈夫っスか?…とりあえず、アタシまだメニュー残ってるんで、とりあえず走ってくるっス!」
    そう走り去る彼女を見て…
    ⦅…俺は⦆
    彼女は自分のことを、”トレーナー”として。
    これからも進んでいくパートナーとして、向こうは自分を信頼してくれているか…不安になってしまった。

    ⦅…こんなことで不安になるなんて、らしくないよな⦆
    「トレーナーさん!メニュー全部終わらせてきました!…またぼーっとして…本当に大丈夫っスか?」
    そう、声を掛けてくる彼女。
    『ああ、大丈夫だよ』
    「…無茶は良くないっス!悩み事でもあるんスか?」
    『それは、えっと…』
    まさか彼女を疑うような内容の悩みを言うわけにはいかない。
    そう思い、口籠もっていると…
    「…わかりました!トレーナーさん!今から走りにいくっスよ!!!」
    『えっ!?』
    言うが早いか、彼女は自分の手を引いて学校外の遊歩道へと飛び出していった。

  • 2二次元好きの匿名さん22/08/28(日) 01:24:09

    そのまま、自分はなぜか全力で走らされていた。
    『も、もう無…無理…限界だ…』
    「何言ってるんですかトレーナーさん!まだまだ限界越えられるっスよ!!!」
    彼女は人間の速度に合わせて横を走っている。
    普段の指導とは真逆の形で、彼女と自分は長いこと時間を過ごした。
    『限界っ…越えて…!』
    「そうっス!トレーナーさんならいけるっス!!!」
    『うおおおおおお…っ!!!」

  • 3二次元好きの匿名さん22/08/28(日) 01:24:21

    気がつけばすっかり日は暮れていた。
    『はぁっ、はぁ…』
    「おつかれさまですトレーナーさん!はい、スポドリ買ってきたっス!」
    『あ、ありがとう…』
    冷たいドリンクが体に染みる。
    …そういえばなんで自分は走らされたのだろう。
    そう思い、彼女に聞いてみる。
    「え、そりゃあ…悩みがあったら夕陽に向かって走って!頭をスッキリさせるに限るっス!!!」
    予想以上に単純な答え。
    けれどそうだった。それが彼女らしさだ。

    『…ふふっ…でもありがとうな、心配してくれて…』
    「当たり前っス!…アタシの、1人しかいないトレーナーさんだから!大切な相棒っス!」
    その言葉を聞いて、悩みが真の意味で晴れた。
    ⦅…彼女は⦆
    『俺のこと、信頼してくれてる…んだな』
    「当たり前っス!!!」
    『うん、悪夢にいちいち振り回されるなんてらしくなかったな』
    「悪夢?悪夢を見たんスか…だからちょっと様子がおかしかったんスね!」
    『そうだったんだ…でもそうだな、俺の”夢”は、バンブーだけで十分かな』
    「その夢とこの夢はなんだか違う気がするっス…!でも、その…ありがとうございます!アタシはいい夢だけを見せられるように頑張るっス!」
    『じゃあ俺はそれを支えるよ』
    「押忍!よろしくお願いします!」
    夕陽の中、流した汗を輝かせながら…2人はお互いの手をしっかりと握った。

  • 4二次元好きの匿名さん22/08/28(日) 01:25:27
  • 5二次元好きの匿名さん22/08/28(日) 01:33:22

    バンブーの個別ストーリーはカラッとしてて好きなんだよね
    苦難はあっても持ち前の爽やかさで前を向けるんだ

  • 6二次元好きの匿名さん22/08/28(日) 01:34:50

    爽やかでいいぞ

  • 7二次元好きの匿名さん22/08/28(日) 05:19:17

    良い子なんですよ

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています