- 1二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 20:53:51
- 2二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 20:54:44
wkwk
- 3二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 21:10:50
実兄おるのに他人をお兄さまとか闇深くね
- 4二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 21:46:15
昔から、走るのが好きだった。
ひとたび走りだせば、どこまでも走り続けられるように感じられるほど、走ることに夢中だった。
できるだけ長く、できるだけ速く走るために色々と自分でトレーニングや走り方を研究してきた。
学校の図書館や商店街の本屋などにある参考書や資料も見ずに、全部自己流で編み出してきた。
山で走ったり、砂浜で走ったり、とにかく色々な場所で走ってきた。加速していくにつれて変わりゆく景色を、どんなところでも見ることができるように。
何度もシューズをダメにして、新しいシューズを買ってもらった。ダメになったシューズは今も自分の部屋に飾っている。もう数えきれないほど飾られている。
走ることが俺の人生だった。どこまでも速く、どこまでも長く走るのが好きだから、俺は今も走り続けている。 - 5二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 22:50:05
父さんや母さんが言うには、2歳ぐらいの時から走っていたらしい。
目を離すといつのまにか遠くのほうに行ってしまうから、絶対目が離せなかったとか。
子供の頃は感情の歯止めなんて効かないから、どこまでも走りたい気持ちを抑えられず、ぶっ倒れるまで走っていたらしい。…まぁ今でも本当にたまにぶっ倒れるまで走ることはあるけれど、5歳くらいまではずっとそれが続いていたようだ。二人には本当に迷惑をかけて申し訳ない気持ちで今もいっぱいだ。
5歳になって二か月くらい経った頃、妹が生まれた。
妹はウマ娘で、生まれた時から尻尾が生えていた。
妹が生まれてから、兄としての自覚が芽生えたのか、妹の面倒を見るために抑えて走ることを覚えた。
妹は少し気の小さい子で、何かしら物音が鳴るとすぐにしがみついて離れなかった。それに甘えん坊でもあり、いつも後ろからついてきては一緒に走ったりして遊んだり、お菓子を食べさせてとねだられたり、一緒に風呂に入ったりして洗いっこしてた。しかも夜眠るときは子守歌や絵本読みを誰かにしてもらわないと寝むらないぐらい我儘でもあった。
走るのは人生なのは変わらないが、ただ走るだけの人生でなくしてくれたのは、妹がいてくれたからだろう。
妹の面倒を見るうちに、走ること以外にも多少なり関心が持てるようになった。本当に感謝している。 - 6二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 23:30:13
俺が小学生で、妹がまだ幼稚園生だった時の頃だったか。
放課後、いつも通りグラウンドでトレーニングしていた時、別のクラスのウマ娘の子が俺に勝負を持ち掛けてきた。
俺はその時全く知らなかったけれど、その子はいじめっ子だったらしい。他のクラスメイトの子達では勝てない勝負を持ち掛けては、罰ゲームと称してひどい仕打ちをしてきたとのこと。
どうやら運動の科目で学年トップを取っていた子で、後々はトレセンで活躍するであろうと教師や保護者の面々に期待されていたらしく、天狗になって弱い者いじめを繰り返していたとか。
その時持ち出されたのは1200mのレースで、単純に早くゴールしたほうの勝ちというルールだった。
俺はその時は別に競い合いとか興味がなかったので、いつも通り全力で走ればいいかな?と思いながらスタートラインに立った。その時からの友人曰く、勝負相手の取り巻きの子たちに後ろから嘲笑われてるのに、あまりにも能天気な顔してて面白かった!…とのこと。
スタートの合図をしてくれたのは、同じクラスの気弱なウマ娘の子だった。いじめられっ子だったらしく、いじめっ子にレースで圧倒的な差で負かされては、遅いと笑われてよく泣いてたらしい。
その子が小さな声で『位置について、よーい、どんっ』と言った後、俺といじめっ子は一斉に走り出した。
一応ストップウォッチもその時作動させてたらしく、後でタイムも比べようとしていたようだ。
そんなこともつゆ知らず、というか競走のことをすでに忘れ、俺は今の自分の最高速までどれくらい早く到達できるか試すために走っていた。
気持ちが高ぶってきて、最高速でどれくらい走れるのか試したくなり、ペースなんて気にせずに走り続けた。
もっと速く、もっと長く、もっと力強くと、自分の限界を知るためにずっと走り続けた。
本当に夢中になって走っていたから、周りから聞こえる静止の声も、全く届いていなかった。 - 7二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 23:54:31
体力の限界まで近づいて来た時、やっと周りの声が届き始めた。
少しずつ速度を落としながら走り、ある程度呼吸を整えた後に立ち止まり、声がする方へ振り向くと…
目を煌びやかに輝かせている友人
信じられないものを見たと言いたげな表情をしている取り巻きの子達
とてつもない怯え方をしてストップウォッチを握りしめるいじめられっ子
そして、うずくまりながら過呼吸を起こしている、いじめっ子の姿があった。
結果は俺の勝ちで、いじめっ子は一周遅れでのゴールだったらしい。
その時の勝ちタイムは、1分15秒04。
ヒトの小学生が出していいタイムではないと、その時は言われた。
そういえば友人から、学校でのトレーニングや体力測定などの計測を抑えて行うようにと言われていたが、思えばこの時のために仕組んでたのだろう。なんとも悪知恵の働く友人だろうか。 - 8二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:13:35
お姉さまかもしれぬ
- 9二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:32:17
レースで勝った後、いじめっ子だったウマ娘の子はいじめをしなくなったらしい。
いじめられっ子だった同じクラスのウマ娘の子からたくさんお礼を言われた。
ちなみにレースの結果は友人の家の力で情報秘匿させたらしく、全く話題にならなかった。
『もう少し年が経ってから公表しよう!小学生としての青春は今だけだからねぇ~』とは友人談である。
両親と妹は俺の走りをすでに知っているので、レースのことをその日の夜に話した。
両親は当然の結果だ!と胸を張って誇らしげにしてくれて、妹は自分のことのように勝利を喜んでくれた。
だけど、今回のようなことはあまり起こしてはいけないと戒められはした。ある程度成長して自分でうまく対応できるようになってから実力を公表するべきだと、友人から言われたことと同じようなことを言われた。
妹が少しずつ自虐気味になってしまった原因の一つがこの一件だと知るのは、もう少し先の話になる。 - 10二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 00:34:34
夜も更けてきたのでそろそろ寝ます
このスレが落ちてしまったらまた別で立てて書きたいと思います
おやすみなさい また明日お会いしましょう