- 1FILM N.G.22/08/30(火) 22:06:37
何処かの海―――
サニー号の選手で昼寝をしていたルフィのもとへニュース・クーのカモメがやって来た。
「……んあ?」
「クー!」
「ああ新聞か? でもおれ読まねえしなー。要らねえ!」
「クー!?」
いつも新聞を買ってくれている船なのに要らないと言われショックを受けるカモメ。その様子がおかしいのかルフィは笑うとカモメに向かって手を差し出す。
「ししし! 冗談だって買ってやるから泣くなよ」
「クーッ!!!」
頭をくちばしで突かれながらルフィは首を傾げて唸る。
「んー、でもナミとロビンはいま風呂だしな……代わりに買っとくか?」
「クー! クー!」
「ほい。ごくろうさん」
ルフィはお金を用意するとそれで新聞を買う。仕事を無事に終えられて満足したのかカモメはそのまま空へと羽ばたいていく。
舞い降りる羽を少しばかり眺めてからルフィは特に興味も無いが新聞を斜め読みする。
「さーて手配書新しくなってたりするかなぁ。あ、でもあれって無料で配ってたっけ―――」
まさかそこに自分の興味を引く物が書いてあるとも知らずに。
「……エレジアでライブ?」 - 2FILM N.G.22/08/30(火) 22:09:02
サニー号の浴室で風呂に浸かっているナミがロビンに話し掛ける。
「そういえば最近流行ってるわよね」
「何かしら?」
「あれよ、歌。私達もトーンダイアル買ったでしょ?」
「ああ、あの。素敵な歌よね」
「ええ本当に―――」
のんびり、まったり。体を清め濯ぐという行為に憩いを感じている2人はそうしていつも何気無い雑談しながら過ごしている。
そんな癒やしの時間をブッ飛ばすしたのが我らが船長であった。
「おいナミーーーーっ!!!」
「ぎゃああああ!!? なによ急に!!?」
バーンっとドアを壊さんばかりに突入してきたルフィはナミに向かって力強く言う。
「行くぞ!!! エレジア!!!」 - 3FILM N.G.22/08/30(火) 22:10:07
「……は?」
「しししし!!! みんなにも言っとかねえとな!!!」
「…………」
色々と言いたいことは有るが、何から言うべきか直ぐ決められなかったナミは頭痛でも堪えるように額を押さえて俯く。そんな彼女に代わってかロビンがルフィに尋ねる。
「エレジア。確か音楽の都よね? どうして急にそこへ?」
ロビンの頭の中ではその国……かつて国だったその場所の歴史が思い浮かんでいたが、まさかルフィがそれに興味を持って行きたいなどと言っているとは考えていない。一体どんな理由が在ってそこを目指すのか?
「これ!!!」
「……これは」
満面の笑みでルフィが掲げたのは一枚のポスター。
「『歌姫ウタのライブ』?」 - 4FILM N.G.22/08/30(火) 22:12:13
そのポスターが宣伝している内容は確かにロビンも興味が惹かれる物。それはナミや他の仲間達もきっと同様だろう。ロビンはそこにエレジアという土地の歴史に由来する知的好奇心も付随されるが……だからこそ解せない部分が在る。
(彼ってこういうの好きだったかしら?)
全く感心が無いとは言わない。仲間に音楽家を欲するような人間だ。基本的に楽しいことや元気一杯に騒げる催しは大好きなルフィ。
だがしかし、特定の人物が行うライブへ行きたいと発言する程かと問われれば首を傾げざるをえない。それにライブの開催時期だってまだ二ヶ月は先、今から行っても早過ぎる。
「いや~楽しみだな~!!!」
ロビンの疑問も知らずルフィはただワクワクと体を跳ねさせる。
そうして黙って考え込み始めたロビンと入れ替わるようにナミが顔を上げた。
「……それよりもあんた……」
「ん?」
ナミの目は完全に据わっていた。
切れていた。
「何でも良いからさっさと風呂から出てけぇええーーーー!!!!!!」
「ごぺぇええええッ!!?」
―――怒りの拳骨によって風呂場から叩き出されたルフィはその後ナミから罰金を科せられるのだが、それはまた別のお話。 - 5FILM N.G.22/08/30(火) 22:15:34
音楽の都エレジア。かつてその国を治めていたゴードンは夕焼けに染まる丘で少女に語り掛ける。
「……私の持っているツテで可能な限り宣伝を行った。これで良かったのか、ウタ」
「うん。ありがとうゴードン」
ウタ。この大海賊時代において市民達から歌姫と称される今をときめく歌手。彼女は自分が今立って居る丘からこのエレジアを一望する。
「もうすぐだ。もうすぐ『新時代』が……そこに」
10年以上生きてきた土地。第二の故郷とも呼ぶべきエレジア。その風景を目に焼き付ける。
(この辛い世界から皆を救う。その為の新時代。だから―――)
目を背けたい。それは夕焼けの眩しさからか。
(私の心を……想いも……どうか救って)
新時代が始まる。
自分が始めるのだと、そう信じて彼女は進む。
「…………」
ライブが始まればもう止まらない。止められない。止まる気はない。
「……今日の夕焼けは、いつもより赤いね」
過去にはもう戻れないのだから。 - 6二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:18:37
- 7二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:19:27
- 8二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:23:38
なんでぇ…
- 9二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:23:48
神
- 10二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:24:35
即刻お気に入り登録したえ〜!
- 11二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:24:44
- 12二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:25:45
- 13二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:26:00
神絵と神SSがあるたびに煮込まれるおでんさん
- 14二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:26:40
- 15二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:27:08
毎回語り継ぐカイドウおじさんも大変だな
- 16二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:27:52
- 17二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:28:21
まだ早い
- 18二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:31:12
このレスは削除されています
- 19二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:37:49
- 20二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 22:39:52
- 21FILM N.G.22/08/30(火) 22:58:57
麦わら海賊団船長モンキー・D・ルフィが放った一言は船員達に衝撃をもたらした。
「あの世界的歌姫!!!」
「ウタちゅわんと!!?」
「幼馴染ッ!!?」
「しかもあの四皇、赤髪のシャンクスの!!!」
「娘だってぇええええ~~~ッ!!!!!?」
ウソップとサンジがルフィに詰め寄りチョッパーは頭によじ登るとガクガクと体を揺らす。ゾロは甲板の柵にもたれながら酒を飲みブルックはポスターを手に物思いに耽る。フランキーはポーズを決めジンベエはどっしり構えて静観していた。
衝撃を受けていたのは一部だった。
熱心なファンのウソップとチョッパー、あと単純に可愛いレディと知り合いだった事実にファイヤーしてるサンジの三名が派手に反応してる以外では他の面子は静かな物だった。
チョッパーがルフィの顔をグニグニと伸ばす。
「どういうことだルフィ!!?」
「いやどうもこうも言った通りだぞ? こいつ、シャンクスの船に乗ってて小っさい頃におれと会ってんだ」
しれっと答えるルフィにウソップは渋い表情をする。
「……親とか兄弟の件でも思ったが、一回こいつの人間関係根掘り葉掘り聞いた方が良いんじゃねえか?」
絶対にまだまだ爆弾的事実を抱えてるぞと暗に言ったウソップにサンジは同調する。
「まったくだ。女ヶ島でのことも合わせてうちの船長は油断ならねえ。どこで素敵なレディと会ってるかわかったもんじゃない」
「いやそれはどうでもいい」
女関係は別に興味無いとばっさり切ったウソップにサンジは「ああん!?」とガンを飛ばすがスルーして本題に進む。 - 22二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 23:01:30
ルフィの人生全部きいたら最悪ワンピースの正体もわかるかもしれんぞ
- 23FILM N.G.22/08/30(火) 23:25:45
「歌姫ウタのライブに行くのは賛成だけどさルフィ。それはそうとちょっと早過ぎじゃねーか?」
「あ? なんで?」
本当にわからないと首を傾げるルフィ。チョッパーが重りになって首が伸び、そのままボテっと甲板にぶつかる。
ルフィの頭と共に落下して「うべ」っと潰れた声を漏らしたチョッパーを傍に来ていたロビンが優しく抱き上げる。
「……ライブはあのポスターに描いてた通り二ヶ月は先。今から向かえば私達は半月以上も時間を持て余すことになるわ」
ポスターの現物を手にしていたブルックが頷き、他の仲間にもよく見えるように持ち直す。
「確かに彼女のライブの予定はずっと先ですね。それなのにルフィさんはどうして直ぐに行きたいんですか?」
「そんなの決まってるだろ」
ルフィは「しっしっし!!!」と笑うと麦わら帽子を手に持って言う。
「おれが会いたくなったから!!!」
単純過ぎる答え。
そんな理由で航路が決まるのかとこの船の航海士は頭を抱える。
「だってあいつ昔急にいなくなったんだ。だから会える時に会っとこうって思ってさ」
「…………」
会える時に会う。それはルフィが兄だったエースと死別してると知っている船員達にとっては無視出来ぬ重さが在る言葉だった。同時に共感出来る言葉でもある。 - 24二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 23:30:41
保守
- 25二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 23:32:35
おライブより結構早めにつくのか
- 26二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 23:34:58
軽く言ってるように見えるけどかなり切実だなルフィ
- 27二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 23:35:03
まぁ、こういわれては断れないよな…時代も悪い
リハーサルとかで何もかも解決しないかなぁ・・・ - 28二次元好きの匿名さん22/08/30(火) 23:36:46
保守
- 29二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 02:37:26
保守
- 30二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 02:39:42
油鍋の薪がたらんぞ
- 31二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 02:42:02
- 32二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 02:52:18
外道が…
- 33二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 02:55:05
>>31よく燃えるな……
- 34二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 03:17:08
間に合え……!
- 35二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 03:42:08
アダムとかこれよりさらにデカいんだよな…やべえ樹だ
- 36二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 05:59:59
- 37二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 06:15:03
火種が足りないのでは?
- 38二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 06:35:36
地の文が上手いな…
- 39FILM N.G.22/08/31(水) 07:51:34
故に反対する者など誰もいない。仲間達は聞き慣れた船長の我儘に笑って付き合うことにし、音楽の都エレジアへと進路を取ることになった。その調整のために全員が船の中を動き回る。
ナミの指示を受けて舵を握るジンベエが「ふむ」と頭に浮かんだ疑問を彼女に尋ねる。
「しかし歌姫か。わしは噂でしか聞いとらんが……それほどまで凄い歌手なのか?」
「そりゃすごいわよ。彼女の歌は今じゃ世界中で聴かれていると言っても過言じゃないもの」
「世界中か。どういった手段でそこまで広く歌声を届けられたのか」
歌声を記録したトーンダイアルの販売だけでは到底不可能だと思ったジンベエ。そんな彼に自分が知っていることの一つを答えたのがフランキーであった。
「そりゃジンベエ、電伝虫よ!!! あれを通じて世界にスゥウーパー発信してたのさ!!!」
「電伝虫じゃと?」
「不思議なもんだぜ。ガレーラに居た頃にもよく電伝虫が勝手に歌いだす時があってな、仕事してる時に流れるのを楽しみしてる大工も多かったぜ。勿論おれの家族もな!!!」
「なるほど」
不特定多数の電伝虫に向かって同時に電波を飛ばす。方法は不明だがジンベエはどうやって世界中にウタの歌が広まったのかだけは理解した。そんな彼の視界の端ではウソップとチョッパーが自分達の持っているトーンダイアルを置くと殻頂を押す。
トーンダイアルから流れ出した歌が船上に響く。
ウタを代表するナンバー『新時代』。
「……いい歌だな」
ゾロが酒を傾けつつ笑う。普段ならあまり気にしない歌であるがルフィの幼馴染みだと知って感じる物が変わったように思う。彼の隣りにロビンが来てこの流れている歌を歌うウタという人物の話を始める。
「『新時代』で大勢の人気を得たウタは次に出した曲、『逆光』でまた違う名声を得たわ」
「へー、どんな」
「救世主」
「…………」
何故歌手が救世主に? そんな疑問がゾロの眉間に皺を寄せる。 - 40二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 08:00:17
- 41二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 11:11:08
>何故歌手が救世主に?
ほんまこれ。
- 42FILM N.G.22/08/31(水) 11:30:29
「彼女の歌で救われた人が多いのよ。辛い現実を癒やしてくれる歌、不満や怒りを力の限りぶつけてくれる歌に」
「……わからねえな」
「そうでしょうね、あなたは強いから。みんながみんな、現実に立ち向かえるわけではないもの」
ロビンはクスクスと笑って大事な仲間達を見る。
「私はみんなが居たから強くなれた。ゾロはその点、どうかしら?」
「それはそうだな」
強くなる。その為に越えるべき相手に頭を下げて頼み込んだ。己の敗北よりも仲間の力になれなかったことの方が腑甲斐なく、血が滲むほど悔しかったから。
成る程、そう考えれば塞がった現状を打破するのに誰かの力を必要とするのもわからないでもない。ゾロは「修行での禁酒は辛かったな……」とあんまり思い出したくなかった期間に遠い目をする。
トーンダイアルが奏でる『新世界』が終わるとウソップが次に『逆光』を再生する。
荒々しくも聴く者を惹き付けるメッセージが込められた歌が流れ出した。それを聴くナミは神妙な顔で呟く。
「時期が時期ならわたしもはまってたかも」
ウタの歌は好きだ。しかし熱狂する程ではない。ただそれも今だから思えるのだとナミは肩に彫った刺青をそっと撫でる。
それを横目に見たジンベエは過去の過ちを自らのタイヨウに重ねる。
「……お前さんには助けてくれた者達がいたんじゃな」
「ええ。バカで向こう見ずなどうしようもない奴らだけどね」
ナミは強く握った拳でジンベエの胸を叩くとニッと笑う。
「あんたも頼りにしてるわよ! ジンベエ!」
「有り難い。存分に頼ってくれ。わしは喜んでこの一味の力になろう」
わだかまり無くそう言ってくれたナミに感謝しつつジンベエは舵を切る。この瞬間は人も魚人も関係無い。大海原を行くサニー号は今日も絶好調だ。 - 43二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 11:36:32
これは語り継がれる
- 44二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 13:00:29
語り継ごう…
- 45FILM N.G.22/08/31(水) 16:04:55
「よし野郎共!!! 景気付けにおれがうまい料理を作ってやるからリクエストしやがれ!!!」
サンジがそう言うと仲間達は待ってましたと言わんばかりに各々が食いたい物を上げていく。
「肉肉肉ぅーー!!!」「おれ釣りたての魚で作ったムニエル!!!」「米と酒」「おれ甘いの!!! 甘いものが良い!!!」「わたしもお肉で……わたし体に肉無いんですけどー!!! ヨホホホホ!!!」「ん~~~ッ!!! オレぁハンバーガーとポテトにするぜー!!!」「わしはフルーツサラダで頼む」
「相変わらずまとまりのねえ野郎共だな!!? ナミさんとロビンちゃんはどうする~♡」
「わたしもフルーツサラダもらおうかしら」
「サンドイッチが良いわ」
「オッケー2人とも~!!!♡ 腕によりをかけて作るからね~!!!♡ ……野郎共は適当な」
「「「「はっ倒すぞッ!!!?」」」」
いつも賑やかな皆にサニー号の船首も心なしかいつも以上の笑顔をしているような気がした。
こうして麦わらの一味は行く。音楽の都エレジアに向かって。 - 46FILM N.G.22/08/31(水) 16:26:53
曇天の下。メインステージの上で歌姫が歌い、舞う。
一心不乱に。
「―――私の夢は皆の願い」
広げた両手で虚空を掴む。その掌の中には何も無い。
「―――アナタしか持ってない」
胸が痛い。もうこの痛みに耐える日々はもう嫌だ。
「―――最愛の日々」
逃げたい、“ここ”から。だから何度でも言うのだ。
「私は最強」
言い聞かせる。
「アナタと最強」
幻のごとく儚い言葉だとしても。皆がそう願うなら、信じてくれるのなら。
自分は最強なのだと。
「……『新時代』はすぐそこなんだ」
だから大丈夫、“アナタ”なんて人が居なくても……私は強くなれるのだから。
彼女はそう心に決めながら来たるべき日に向けて歌う。
遠く差し込んだ一筋の光にも気付かぬまま、彼女は歌い続ける。 - 47FILM N.G.22/08/31(水) 17:02:33
麦わらの一味が進路をエレジアに向けてから一ヶ月。その間にも世界は大きく動き出していた。
「ウタは危険だ!!!」
新世界旧G1、現海軍本部。海軍元帥サカズキは呼び出した黄猿ボルサリーノと藤虎イッショウにそう告げる。眼前のテーブルにウタのライブを宣伝するポスターが叩き付けるようにして置かれた。
「お前達はライブ当日に間に合うよう準備を整えておけ!!! わしはそれと合わせて動員出来る海兵と軍艦の都合を付ける!!!」
「おや~? かわいい女の子一人に随分な用意じゃないかい?」
「女子一人と甘く見るな!!! あれは“ウタウタの実”の能力者!!!」
藤虎は閉ざされた視界でポスターを視る。
「確か開催地はエレジアって話しでしたね」
「そうだ!!! あの地には“トットムジカ”が封じられている!!!」
サカズキは忌々しそうにテーブルを叩く。
「ただでさえ四皇勢力が暴れて混迷しちょる時期に……このライブだッ!!! 本来なら今直ぐにでも捕らえたいところを……ッ!!!」
サカズキの考えとしてはライブ自体開催させたくはない。しかしそうするには手が回らない現状に怒りを隠せていない。
「おっと、そうカッカするもんじゃないよ~? わっしに任せてドンと構えてください」
「あっしも居ます。大将二人……これで駄目なら仕方ないと思いましょうや」
「……ッ!!! 駄目で通せるならわしら海軍はいらんのじゃ!!!」
サカズキの激昂に周囲の温度が上昇する。現場に出ることは減ったがロギアの強大な力は健在。機会さえあればその灼熱の溶岩が全て焼き尽くすことだろう。
「良いかッ!!? あれは世界を滅ぼす存在!!! 絶対に“世界転覆計画”は阻止せんといかんのじゃッ!!!」
三大勢力の一角たる海軍、その最高戦力が動く。ライブに向けて。 - 48二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 17:04:01
- 49FILM N.G.22/08/31(水) 17:41:10
聖地マリージョア。世界政府の最高権力者である五老星は自分達の手足であるCP、その中で最強の諜報機関“イージスゼロ”を呼び出していた。
「―――現在の任務が終わり次第エレジアに向かえ」
指示を受けた仮面のエージェントはそれに対し無礼を承知で答える。
「……最も適任であった彼は未だワノ国での傷が癒えず眠ったまま、ゲルニカも音信不通……他の者もこの火の付いたような世界に対応せんと飛び回っています」
「何とかならんのか?」
無理を言っている自覚がある五老星はそれでも何か手は打てないかと再度尋ねる。
「……ライブ当日になりますがブルーノ、そしてカリファの二名ならばどうにか……と言ったところでしょう」
仮面のエージェントとしてはこの二名さえ現行の任務に当たらせたいのが本音だ。しかし彼も五老星の危惧とその緊急性は理解している。だからこそ絞り出した人選でもある。
「それで頼む。……ウタウタとトットムジカはあまりに危険。これ以上の後手は避けたい」
「厄介だ。本当に厄介だ」
五老星の一人が苦々しげに言う。
「……殺すのは無理か?」
物騒な、しかし最善でもある解決策を提示するが別の一人が首を横に振る。
「“赤髪”と関係が在ると調べでわかっている……下手に動けばあれがどう出るかわからんぞ」
「あれの存在も頭痛のタネだな……」
会議室に重苦しい空気が満ちる。エージェントは居心地の悪さは決して表には出さず待機している。結局五老星はこれ以上の指示は不可能とCP-0を下がらせることにし、彼はそそくさとこの場を後にした。
世界の平和と均衡のために。五老星はそれを第一に今日も思考を巡らすのであった。 - 50FILM N.G.22/08/31(水) 18:01:00
かつてエレジアの王だったゴードン。彼の心には常に深い哀しみと後悔が在った。
ゴードンは一人、城の地下にある図書館に赴きその天井に固く固く封じられた物品へ顔を向ける。
「ウタ……まさか君は、本当にあの計画を……」
あの少女が抱えた痛みや悲しみは自分が一番知っているとゴードンは思っている。だからこそ彼女が行おうとしているライブがただのライブで終わる筈がないと確信に近い物を抱いていた。
「もう、これ以上……あの子を苦しめないでくれ……」
その言葉は何に向けられたのか、“それ”が答えを返すことは無かった。厳重に封じられ声も届かないのだから。
その筈だったのだ、“あの日”も。
だが届くはずのない声が届き、それは応えてしまった。
「……救ってくれ、誰か……あの子を」
ゴードンは祈る。
もしこの世に本当に“神”がいるというなら。
あの不憫な子を救ってくれと。
その絶望を晴らしてくれと。
「あの子を縛る、全てから……解放してやってくれ……っ!!!」
太陽のごとき輝きで、彼女を照らして欲しいと。
―――ライブ開催まであと半月。運命の刻はもう直ぐそこに。 - 51二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 18:04:23
この段階でワクワクしてくるな…
油を用意しないと - 52二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 18:36:26
太陽神とも呼ばれる解放の戦士の力を宿した男が来るぞ...
- 53二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 18:42:53
時系列はワノ国後か
- 54FILM N.G.22/08/31(水) 20:51:47
何処かの海―――
「…………」
海賊船レッド・フォース号の上で赤髪の男はその隻腕で一枚のポスターを持ち、そこに描かれた少女の絵をじっと見つめる。
「お頭ぁー、最近いっつもそれ見てますねー」
「ん? ……ああ、そうだな」
現四皇の一人。赤髪海賊団大頭。
赤髪のシャンクス。
彼は仲間からの言葉で自分が思ってる以上に感傷に耽っていたのだと知る。
「……なあ、お前ら」
シャンクスは自分の様子を心配して集まってくれた仲間達に向かって聞く。
「娘に会いに行きたいって言ったら……迷惑か?」
硬い笑顔だ。それは誰の目から見てもわかるほど情けない表情。
船員一同呆れた顔になった。
「お頭は本当にバカだな」「しかも意気地無しときた」「ダセぇな」「思春期のガキもった親かよ」「なっさけねーのー」「今日おやつ抜きだな」
「テメェら好き勝手言い過ぎだろ!!?」
「ウワー!? お頭がキれたー!!?」
容赦無い罵倒の雨に流石のシャンクスも切れた。
上も下もない、しょうもない仲間内での喧嘩が勃発してワーワー殴る蹴るの大乱闘。
下らなすぎて殴り殴られても笑ってしまうような、そんな喧嘩。 - 55二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 20:54:38
- 56FILM N.G.22/08/31(水) 21:12:47
「―――なーにやってんだろうな……おれら」
「さあ?」「まだ若い証拠じゃね?」「いやそこは年考えろよ」「なんて不毛な喧嘩だったんだ」
一通り全員と殴り合った赤髪海賊団は大の字に寝そべって揃って空を見上げる。
「お頭。難しく考えすぎだ」
「ベック」
煙草の煙をふーっと空へ吐き出したベックはシャンクスに大事なことを伝える。
「あの子は“赤髪海賊団”の娘……だろ?」
「…………」
それは知ってたはずのことで、だけど見えてなかったことでもあった。
「そうだな……確かにそうだ」
シャンクスが笑顔を浮かべる。その表情にさっきまでの硬さは無く、この青空のように澄み渡っていた。
そして直ぐに立ち上がるシャンクス。彼に続くように周りの仲間達も立ち上がる。
「じゃあ行こうか野郎共」
迷いはもう無い。
「おれ達の娘の新たな門出だ……邪魔する奴らは蹴散らしてやろうぜッ!!!」
「「「「うおおおおおおおおおおおおおぉッッ!!!」」」」
船は波を越えて突き進む。エレジアへ向かって。
大切な娘の笑顔を守るために。 - 57二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 21:13:52
ワノ国編の後ってことはもしかして会いません宣言した直後にルフィたちと再会することになるのかシャンクス
- 58FILM N.G.22/08/31(水) 21:27:09
- 59二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 21:38:17
- 60二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 21:41:33
四皇になったルフィさんがナミに籠のなかでボコられた後か...
- 61FILM N.G.22/08/31(水) 22:26:31
- 62二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 22:28:34
- 63二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 22:39:10
- 64二次元好きの匿名さん22/08/31(水) 23:43:03
期待
- 65二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 00:39:10
久々に良いSSを読んでる……楽しみだなあ……
- 66二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 00:41:49
すごい…導入がしっかりしててまだスレタイの展開に入ってない…!
ハーメルンとかにも投稿してくれ - 67二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 04:27:13
保守
- 68二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 04:35:08
ルフィが会える時に会っとこうって思ってさって言ってるけど、確かこの時点でウタワールドだから現実世界ではついぞ会えてないっぽいのよね。
まあウタにとっては肉体そこまで重要じゃないし、こも世界でも意思疎通は出来るけど。 - 69二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 07:25:25
- 70二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 08:09:50
海賊嫌いだから海軍には見逃されてただろうけど、世界中にファンがいて煽動力がある個人とか、いつ大きな厄災の火種になってもおかしくないよね
- 71FILM N.G.22/09/01(木) 09:58:30
エレジアで最も人気の有ったコンサートホール。真昼の日差しが降り注ぐ舞台上でウタが自分がライブで何をするか聞かされたゴードンは眉根を寄せる。
「……観客を全員、“夢の世界”に?」
「そう」
ライブで歌う楽曲の振り付けを確認しながらウタは説明を続ける。
「マイクと拡声器は問題無いけどそれだけじゃ地味だし、観てくれるファンの皆だってそんなに楽しめないと思うの。折角の初ライブなんだし派手に行きたいでしょう?」
振り付けの楽曲は『ウタカタララバイ』。このライブを計画するにあたり、そこで彼女自身がこれまで感じてきた不安・焦燥・後悔・夢・覚悟・強さを込めた不退転の歌。
「今回のライブで足りない人員、演出、食べ物や小道具なんかの要素は全て、私の“ウタワールド”で補完する」
全てを泡のように儚く美しい幻想へ誘う、癒やしを熱狂的な歌唱で表現した異端の子守唄。これもまた世界で人気を博しウタの代表曲の一つなっている。
「エレジアは今、霧が濃く立ちこめる時期に入ってる。それを利用してライブ当日ここに来てくれたファンの皆を私の歌で夢の世界に招く。そうすれば現実でのエレジア……ライブ会場の状態は気にしなくて良くなる」
気付いて欲しい。でも気付かないで。自分自身でも持て余しそうなこの想いをウタはその声と全身で表現する為に、ライブに向けて最終調整する。
鬼気迫る。そう表するに相応しいウタの姿にゴードンは背筋に冷たい物が走るのを感じた。 - 72FILM N.G.22/09/01(木) 09:59:25
「……だがしかしウタ。その方法では君の体力が保たない」
「大丈夫だよゴードン! 私に考えがあるから!」
ウタは満面の笑みをゴードンに見せる。屈託の無い笑顔、そう見える。だが―――
「……まさかとは思うがウタ……」
ウタの言う考えに嫌な予感がしたゴードンは深く問い詰めようとする。そんな彼にウタは待ったを掛けて答える。
「だから本当に大丈夫だって!!! 私はファンの皆と“生きて”新時代を迎えるんだから!!!」
「……そうか」
力強く「生きる」と断言したウタにゴードンは自らの危惧は思い過ごしかと、一応は納得させる。
(……だからと言って目を離すわけにはいかない)
ゴードンはこのエレジアを統治してきた者として、音楽を愛する者として、そして何よりも……歌を愛する一人の少女の為に、自分がこれから何が出来るのかを考える。
「……私も、応援しているよ。ウタ」
「ありがとうゴードン!!! ライブが始まったらゴードンもしっかり観ててよね!!!」
「ああ……勿論だとも」
もしウタが“あの計画”を本当に実行するのであれば。
(この情けなくちっぽけな私の命を賭してでも……彼女を止めなければならない)
そうしてウタとゴードン、互いに胸の内を明かさぬまま決意を強めていた―――その時だった。 - 73FILM N.G.22/09/01(木) 10:00:00
森で鳥の群れが羽ばたき、獣が鳴き声を上げる、海からは海獣の咆吼が響く。
島の空気が変わったのをウタとゴードンは確かに感じ取った。
「……? 島が騒がしい?」
「……誰か来たのかもしれない」
「誰か来たって、ライブはまだ二週間も先なんだよ? いくら私のファンでもそんなに早く来るわけ
ないじゃん」
「少し見てくるよ。ウタはこのままレッスンを続けていると良い」
「私も一緒に」
「大丈夫。何か問題があれば電伝虫で連絡を入れる。だからウタはここで待っていなさい」
「……わかったよゴードン」
ゆっくりと頼りない歩調で歩くゴードン。その背にウタは静かに声を掛ける。
「気を付けてね?」
「……ああ。行ってくるよ」
ウタの幼い頃から変わっていない優しさにゴードンは微笑みながら、外の様子を確認する為にコンサートホールから出て行くのであった。 - 74二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 10:04:45
いよいよ邂逅するか
- 75二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 11:54:08
先にゴードンと会うのね
- 76二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 11:57:08
支援
- 77二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 12:04:40
ちょうどさっき映画観てきた民
神スレ見つけて脱水症状 - 78二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 12:15:04
多分このSSと映画の情報がごっちゃになってる
- 79二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 12:15:37
これは神スレだな
- 80二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 12:19:27
これは是非完結まで頑張って欲しいな。
そして、遂にルフィとゴードンさんの邂逅……wktk - 81二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 12:25:46
- 82二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 12:34:38
めちゃくちゃ続きが気になる
- 83二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 12:35:36
なるほど、原作軸(ワノ国編後)でFILM REDの事件が起きた世界線か
期待に胸踊るな - 84二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 12:38:28
この時空だと四皇が二人来ることになるな、問題起こしてるとは言え緑牛も向かわせないと戦力足らなそう
- 85二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 12:39:30
読ませる文章
タイトルがNGだったから笑えるギャグ系ssかと思ったらいい意味で裏切られたぜ - 86二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 14:10:04
- 87FILM N.G.22/09/01(木) 14:37:17
サニー号の船首に乗っていたルフィは陸地が近付くやいなや勢いよく飛び出した。
「いっちばんのりーーー!!! やっほーい!!!」
着地、そして両腕を大きく突き上げ叫ぶ。
「着いたぞ!!! 音楽のナマコ、エレジア!!!」
「都っ!!? どんな言い間違いだお前!!?」
ルフィのボケに突っ込むウソップ。ちなみにロビンはルフィの発言でとんでもないモンスターを想像していたが口に出していないので誰からも突っ込まれることは無かった。
「……しっかしまあ……何と言うか……」
ウソップは不安げに辺りを見渡す。
「“ここ”でライブをする……んだよな?」
「正確にはこっちは市街地の有る本島、ライブが開催されるのはあっちの水道橋で繋がった島ね」
ウソップの認識を訂正したナミだが彼女の表情も大差は無かった。
そんな二人の後ろでフランキーがお得意のポーズをキメながら言う。
「んーーーっ……スゥーポァアアーーーーッ!!! 寂れてんじゃねえかこの島ぁあああああ!!!?」
寂れている。そう表された音楽の都エレジアの風景。
建築物はその名残を見せるだけで半壊した物が殆ど。形が残っていても植物に侵食され緑と一体化しながら風化している街並みは到底人が住んでいるような雰囲気ではない。 - 88FILM N.G.22/09/01(木) 14:37:43
「本当に国か? 人っ子一人いねえじゃねえか」
「音楽の都……と呼ぶより死者の都と呼ぶ方がしっくりきますね。……私の故郷だったりします?」
「ぎゃあああお化けぇえええ!!? ……ってブルックだぁああああ!!?」
ゾロとブルックも訝しげに島の様子を伺うがやはりそこには活気と呼べる物が欠片も無かった。チョッパーはブルックのボケの所為で錯乱していた。
音楽の都なのに聞こえてくる物といえば風にざわめく枝葉の音であったり鳥獣のいななき程度。そのギャップに不気味な物を感じる麦わらの一味。だが驚いていない者も何人か居た。
「やっぱり滅んだままのようね」
ロビンがそう呟くとジンベエがそれに同意するように頷く。
「ああ。やはり“あの事件”以降、この地に新たな国が興ることは無かったようじゃな」
「おいジンベエそりゃどういう意味だ?」
サンジが聞き返すとジンベエは一度ルフィへと視線を向ける。新しい島に上陸してテンションが上がっている様子にこちらの声は聞こえていない、そう判断したジンベエはサンジに詳しく答えることにした。
「……今から12年前、とある海賊が一つの国を滅ぼすという大事件を起こした」
「12年前? ……確かにおれがガキの頃そんな話しがあったような……」
「うむ。その事件とは歌と平和を愛する音楽の都エレジアをそこに住む国民ごと滅ぼしたという物じゃ。とある一つの海賊団の手によってな」
「……ひどい話だな。レディも子供も見境無くかよ」
「ああそうじゃな。……そしてその海賊団の悪名は世界へ轟くことになり……遂には“四皇”と呼ばれる存在に君臨した」
「四皇? ……お、おい待てそいつぁ……」
ジンベエが見せたルフィに気を使うような姿にサンジはその海賊がいったい誰のことか思い至る。それを肯定するようにジンベエがその名を口にする。
「赤髪海賊団大頭、赤髪のシャンクスじゃ」 - 89FILM N.G.22/09/01(木) 15:47:24
思い掛けない人物の名にこの話を聞いていた仲間達は騒然とする。
「い、今の話は本当? ロビン」
「ええ。当時は新聞でも大々的に報道されていたから印象に残っているわ」
ナミの言葉に答えていたロビンにウソップが必死な形相で駆け寄る。
「おいおいマジかよそれ!!? だってそれが本当なら事件には親父も……っ!!?」
「……落ち着いてウソップ」
「ぬお!?」
ハナハナの実の能力でウソップの肩から腕を生やしてそのまま目隠ししたロビン。
「そうは報道されていたけど……真偽の程は定かでは無いの」
視界を塞いで仲間を強制的に落ち着かせたロビンは続く言葉を口にする。
「エレジアを襲った悲劇、生き残ったのはたったの二人。一人は名を伏せられているけどもう一人の生き残り……国王ゴードン『赤髪のシャンクスがやった』と言った以外は何も言わず口を噤んでいたの。それも当時の記者はおもしろおかしく事件のトラウマで口に出すのも出来なくなったと書いていたけど……私からすれば判断材料が少なすぎて信憑性に欠けるわ」 - 90FILM N.G.22/09/01(木) 15:48:10
「お、おう。そうか……」
説明を受けたウソップは「もう落ち着いたからこれ外してくんね!!?」とロビンの生やした腕を引っ張る。ロビンは素直にその腕を消してやると目を伏せ、もう一つ心に引っ掛かっていたことを言う。
「赤髪海賊団は事件の主犯であることを肯定していたらしいけど……ここは“あの”エレジアだから……私は何かまだ表には出されていない真実が在ると思っているわ」
ロビンは故郷であるオハラで呼んだ外国の歴史、音楽の都で遙か昔に起きたお伽話のような悲劇の一説を思い出す。それは闇に葬られた古代兵器のように怖れられ秘匿されてきた禁断の歴史。
あのエレジアが滅んだ事件には“それ”が絡んでいるとロビンは見ている……が、それも今の段階では想像の域を出ず信憑性が無い。
(現物でも在れば良いのだけれど……いえ、無い方が良いと言うべきかしら)
ロビンは朽ち果てたエレジアを眺める。その光景は自身の故郷に重なることもあって僅かな寂寥感が胸に湧いてきた。 - 91FILM N.G.22/09/01(木) 15:49:00
ここで話しが一区切り着いたと判断したジンベエは碇を下ろす準備を始める。
「……どちらにせよ過去の話しじゃ。わしらはこれからのことをしよう」
「オウ!! それもそうだな!! おれらの船長も待ち侘びちまってることだし!」
暗くなりかけてきた空気を吹き飛ばすようにフランキーはジンベエに同意すると自分も準備を手伝い始める。
ゾロはルフィに続くように柵へと脚を掛けて陸地に目を向ける。
「確かにおれたちはルフィの知り合いに会いに来たんだ。事件の真相なんか後回しで良いだろ」
あまりにもあっさりした言いようにナミ、ウソップ、チョッパーはじとっとした目を向ける。
「なんかって何よなんかって!」「冷血漢!」「剣士バカ!」
「あーうるせえうるせえ」
煩わしそうに3人の言葉を無視するゾロ。
「冷血マリモマン」
「ぁああンッ!!? ……いい度胸だな4番目」
「はぁあああン!!? てめえそれはもう決闘だろうが!!?」
「やんのかボケコラ!!?」
ゾロとサンジがウオリャァアと戦い始め、他の仲間は二人をスルーして上陸の段取りを進めたのであった。
一人早くエレジアの地を踏んだルフィはひとしきりはしゃぐと麦わら帽子を被り直して一息吐く。
「ふー……さて、と。シシシ!」
丘の方へ目を向けてルフィはニッと笑う。
「誰か見てんなァ」 - 92二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 15:52:42
「N.G.」ってなんだと思ったら新時代か
- 93二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 16:21:42
悪魔の実を覚醒させたルフィの見聞色なら、ゴードンさんの気配ぐらい感じ取れるかあ……さて、この場合、どんなファーストコンタクトになるのだろう……
- 94二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 16:38:57
大作の予感 楽しみだ
- 95二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 16:49:35
頼むからこの世界線だけでもルフィとウタは幸せになってくれ……
- 96二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 17:38:24
なるほどFILM NEW GENERATION か
- 97二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 17:39:52
これ見てると映画はほぼ詰みみたいな状況からスタートしてたんだなぁって思ってまう
- 98二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 17:40:50
ライブ前ならワンちゃんある
- 99二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 17:46:26
ライブ前ならキノコも食えないし時間制限もある
いける - 100二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 17:48:57
五番目の皇帝じゃなく四皇ルフィだしな
頼もしすぎる - 101二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 19:06:22
- 102二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 19:15:17
- 103二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 20:18:36
スイッチが入ったのコビーからこのままだとウタが死ぬって言われてからだし、ウタの説得が間に合わずトットムジカの暴走を許しちゃったし、トットムジカを倒すのに時間がかかりすぎてウタに罪悪感と逃避願望の受け皿を作ってしまって死を招く事になるし、本編はとことん後手後手だったよね
- 104二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 20:32:57
- 105二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 20:35:13
なんなら2年前のルフィのほうが救えてたかもしれない
- 106FILM N.G.22/09/01(木) 21:35:24
丘の上から海岸を双眼鏡越しに見ていたゴードンは緊張で身動きが取れなくなった。
「気付いた? まさかここまでどれだけ距離があると……」
しかし双眼鏡を覗けばそこには確かに一人の年若い男が丘の方へ顔を向けている。
「……いや偶然だ、そうに違いな……っ!!!」
笑った。
男はゴードンの方を真っ直ぐ見て笑った。
「っ!!?」
ゴードンは急いでその場から逃げ出す。
(まずい!!! あの船の旗、間違い無く海賊!!! 一刻も早くウタに知らさねばっ!!!)
海賊の目的がわからない以上下手に関わるのは得策では無い。ゴードンはこの緊急事態をウタに伝えるため急いでコンサートホールに向かう。
(あの海賊が“彼ら”のように気の良い海賊である保証は一つも無い。……大々的にライブの宣伝を行ってからのこれだ、十中八九目的はウタのはず!!!)
あの海賊が悪しき目的でエレジアに来たのならば、世界的歌姫にまで至ったウタの存在は幾らでも大金を運んでくる正に至宝。
「……今度こそ、守らねば……あの子をっ」
ゴードンは走る。力の限り、出せる速さで。 - 107二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 21:37:33
この手の話でファーストコンタクトがウタじゃなくてゴードンさんなの珍しいな
- 108FILM N.G.22/09/01(木) 21:39:32
「そんなに急いでどうしたんだ? おっさん」
「海賊が来てるからだ!」
何をわかりきったことをと答える。
「海賊が来るとなんかヤバいのか?」
「略奪が目的だった場合、あの子の身が危ないからだ!!」
彼にとって我が身よりウタの方が大事なのだ。
「それだったら大丈夫だぞおっさん」
「そんな楽観的に!!! ……ってさっきから私は誰と話して―――」
ゴードンはそこでようやく自分の隣を走る男をはっきり見た。
それでルフィは悪戯が成功したように無邪気に笑う。
「シシシ! よっ!!」
「ぬわぁああああああああ!!? 海賊いつの間に!!?」
「デコのおっさん面白えなー」
派手なリアクションで丘を転がり落ちていったゴードンをルフィは走って追い掛ける。
「ぐぐぐ……」
「大丈夫かデコのおっさん」
「あ、ああ……大丈夫だ。ありがとう」
起き上がるのに苦労していたゴードンに手を貸して立たせたルフィは「あっはっはっはっは」と笑う。
「いやー、わりーわりー。怪我ねえかデコのおっさん?」
「怪我は無い……あと私はデコのおっさんではなくゴードンという」 - 109FILM N.G.22/09/01(木) 21:41:01
「そうなのか? よろしくなデコのおっさん!!」
「…………」
ゴードンは何とも言えない表情になった。しかし気を取り直して自分から目の前の男に尋ねる。
「……君は、いったい?」
「ああ、おれはルフィ! モンキー・D・ルフィ! よろしくなデコっさん」
「略された!!? ……って“ルフィ”?」
それは聞き覚えの在る名前。ウタが過去の大切だった思い出を語る時によく出ていた名前。
「もしかすると……君は……」
ゴードンの目の前でルフィは12年前の記憶を掘り起こす“麦わら帽子”を被り直すと、屈託無い笑顔で尋ねた。
「なあ、ウタは元気か!!? また会うのスッゲー楽しみにしてたんだおれ!!!」
「…………」
あれだけ緊張していた体から力が抜ける。
「そうか。そうだったのか……」
ゴードンはふっと微笑むとルフィに手を差し出した。
「いらっしゃいルフィ君。私は君の来訪を歓迎するよ。……ウタもきっと喜ぶ」
「おう! おれの仲間もいっしょによろしくなー!! デっさん!!」
「……もはや私の原形が無いな」
握手したルフィの手はまるで陽だまりのように暖かかった。 - 110二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 21:54:16
人にいきなりあだ名をつけるのがルフィらしくていい……
- 111二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 22:09:03
難しい難しいと言われるルフィのエミュをここまで…やはり語り継がれる
- 112FILM N.G.22/09/01(木) 22:15:48
- 113二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 22:16:12
投げ銭機能があるなら投げてるわ
- 114二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 22:19:01
それまでは頑張って保守しておきますので、これからも面白い話を書き上げてください!!
- 115二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 22:22:42
ここ最近で最も期待してるスレ
語り継がれる… - 116二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 22:26:30
こんな超大作がこんな場末の掲示板で消費されて良いのだろうかと申し訳ない気分になる
- 117二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 22:28:33
いいねしたいから支部にも上げてほしい
- 118二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 22:29:33
完結したらpixivやハーメルンに投稿して欲しいわ
- 119二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 22:49:40
とてもワクワクしていることを教える
- 120二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 23:01:22
改行の仕方でもう伝わるこの文才
- 121二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 23:15:23
本職か? 嫉妬しちまうじゃねえか……
- 122二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 23:27:19
- 123二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 02:22:58
キャラエミュ上手くて素晴らしい
- 124二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 02:31:26
- 125二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 03:04:08
レスするからにはスレを守れよ
このスレは最高のSSだっていったんだ - 126二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 03:09:55
完結前にすでに3度もおでんが煮込まれているがそれも納得の良SS
あにまんかワンピースが残っている限りこのスレは語り継がれるのバ レ バ レ - 127二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 04:27:19
寝て起きたら追加が来た。出会いまで丁寧に書いてくれますね…良い…とても良い
- 128二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 06:13:47
クハハハハ、スレ主が夕方まで書けないなら保守するしかねぇよな?
- 129二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 06:54:38
- 130二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 10:12:19
ほ
- 131二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 10:50:38
し
- 132二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 10:51:00
け
- 133二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 10:51:12
り
- 134二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 10:58:27
部
- 135二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 11:51:06
星蹴り部!?
- 136二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 15:51:06
ほっしゅ。ほっしゅ。
- 137二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 18:00:11
めちゃくちゃ面白い
期待の保守 - 138二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 18:03:42
文頭1字あけてるのも普段から小説書いてるんだなって
- 139二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 18:08:49
- 140FILM N.G.22/09/02(金) 18:14:21
一生休日になりませんか? なりませんね
お待たせしました、保守してくれて本当にありがとうございます
書けた分をぽちょぽちょ上げていきます - 141二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 18:15:05
来たか!神1!!
- 142FILM N.G.22/09/02(金) 18:16:28
その直ぐ後、仲間と合流したルフィは……案の定お叱りを受けていた。
「なーに先走ってみんな置いて行ってんのよあんたは!!?」
「ルフィお前超有名人になった自覚あんのかオイ!!?」
「あっはっはっはっは!! まあまあ、いいーじゃねーか過ぎたことは~!」
ナミとウソップに詰め寄られても全然堪えていないルフィ。そんな自分達の船長の楽観的ないつも通りな振る舞いに二人は逆に頭を痛めた。
「の、能天気すぎる……」
「諦めようナミ。四皇になってもこいつの中身はなんも変わってねえ」
「……そういうあんたこそ五億になっても相変わらず初めての島には尻込みしてたわねゴッド・ウソップ」
「ぅおおおおお~~ッ!!? やめろやめろ!!? どこで賞金稼ぎがおれ様の首を狙ってるかわかんねえんだぞ!!?」
「……ウソップの長鼻君を切り落としたら別人扱い出来ないかしら?」
「ロビンてめえ急に何おそろしいこと言ってやがる!!?」
話しの矛先が変わったのを見てルフィはしめしめと二人から離れる。そんな彼に近付くのは大量の荷物を担いだサンジだった。
「ほらルフィ忘れもんだ。弁当渡すのも待たずに行きやがって」
「うっほ~~!! ありがとうサンジ!!!」
サンジは一人一人のためにメニューを変えて作った弁当の一つをルフィに手渡す。
「それじゃあ、いただきます」
「早えよ!!? 弁当食う前に先ずはそっちの人をおれらに紹介しろ!!?」
サンジはルフィの頬を抓りながらぽつねんと佇むゴードンを指差す。 - 143二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 18:29:35
びっくりするほどルフィの行動に違和感がなくてすごい
- 144二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 18:34:00
クハハハハ!神SS師が頑張ってくれてんなら俺たちが援護するしかねぇよな
- 145二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 18:40:10
"神SS"
一発放てばスレ民を一人残らず魅了すると聞くが… - 146FILM N.G.22/09/02(金) 19:59:33
「ああー、この人デッさんていうんだ」
「なるほど、でっさん」
「ゴードンだ」
「違うじゃねえか!!?」
ルフィの適当さに突っ込むサンジ。そうしている間にゾロやジンベエなどもゴードンとの顔合わせのために歩み寄る。ゾロはそこでゴードンの体が土埃にまみれているのを知る。
「うちの船長が迷惑掛けたみてえだな。大丈夫だったか?」
「いや、私が勝手に慌てたのが悪かったんだ。ありがとう」
ジンベエはゾロとはまた別に気付いたことを聞く。
「間違いで無ければ、その名はエレジアを治めていた国王のものじゃったと記憶しておるが?」
「……ああ。いかにも。私はかつてこの国を治めていたゴードンその人だ」
そう言うとゴードンは遠く見える街並みを見ると寂しげに目を伏せる。
「……国を失った今ではただのゴードンだがね」
「ふむ。すまん。少々配慮に欠けていたな」
「いや構わない。もう10年以上前の出来事だ。心の整理は……ついているとも」
最後の言葉にはどこか拭いきれない何かを感じさせたがジンベエは敢えて触れることも無いと話題を変える。 - 147二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 20:34:45
ウタとルフィの邂逅焦らすねぇ〜
1スレ目終わりのフックでそこまで行く感じかな?すっごい楽しみ - 148二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 20:56:10
先に事情を知ってからの方が地雷踏まずに済みそうだね
- 149二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 21:02:54
- 150二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 21:20:06
気分転換に油をオリーブオイルにでもしとくか
- 151二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 21:20:28
本格的にアヒージョで草
- 152FILM N.G.22/09/02(金) 21:38:37
「急な訪問ですまん。なにぶんルフィがくだんの歌姫に会いたいと言ってきかんのでな」
ジンベエがそう言うと仲間達はルフィを次々になじっていく。
「あれでも一応おれ達の船長だから従ってるけどな」「基本バカで強情だし」「非常識」「単細胞よね」「無鉄砲」「食いしん坊」「ゴム人間」「まてよゴム人間は罵倒じゃねえ」
「お前らボロクソに言ってくんなー」
流石のルフィもこれには呆気に取られる。それはちょっと間の抜けた姿。ただそれも外の立場から見れば……種族の垣根を越えた気安さに見えた。
「……良い仲間のようだね」
彼らなら今のウタに会わせても大丈夫だと、ゴードンはそう思えた。一部、人とは思えないような者(ロボット、トナカイ、骨)も居たが些細な問題だろう。
「君達をウタの下へ案内しよう。きっと彼女も歓迎してくれ―――」
そうして麦わら海賊団をウタの居る場所まで案内しようと歩き始めた時だった。
ドン!! ドン!! ドーン!!
「なっ、なんだ!?」
突如として鳴り響いた砲撃の音に足を止めることになる。
「何だ何だ!? 見えるかウソップ!!」
「ちょっと待て急かすなチョッパー!? 今見てる!!」
脚をスペペペペーンと叩いてくるチョッパーに急かされながらウソップはゴーグルを付けて音の出所、自分達が来た所とは別の海岸線へと視線を向けた。
「あ、ありゃ……海賊だ!!? どこぞの海賊が大砲で街を撃ったんだ!!」 - 153二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 21:49:57
別の海賊きちゃったー!?
- 154二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 22:07:15
くらげ海賊団か?
- 155二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 22:20:13
マムの残党かもしれん
- 156FILM N.G.22/09/02(金) 22:20:25
目付きの悪さが印象的な犬の船首の海賊船。それから狙いも特に決められていない砲弾が街のそこここに撃ち込まれる。
「ヌッハッハー!!! 良いぞお前らー!!! このアンダードッグ海賊団が来たことを派手に知らしめてやれー!!! 派手にな!!!」
「グッドですボス!!」
船長の命令に従い船員は無人の街へ砲撃を仕掛ける。
「我らの目的はわかっているな!!?」
「はい! おれ達の目的はあの世界的歌姫ウタちゃんの確保です!」
「そうだ!!!」
アンダードッグ海賊団船長ヌイセマカは船員へこの砲撃の意味を再確認させる。
「これは威嚇!!! 歌姫ウタに我らの恐ろしさを見せ付けて抵抗など無駄だと教えてやるのだー!!!」
「さっすがボス、女相手にはいっつも強気!」
「長い物には巻かれる主義の頼れるおれらのボス!」
「やかましいわお前ら!!? 褒めるにしても言葉を選べ!!!」
ヌイセマカは両腕に巻いた鎖で拳を包むとガキンガキン!と打ち合わせる。
「良いかお前ら!!? “組織”内での我らの地位を確固たる物にするには功績が必要だ!!! みみっちいしょっぺえのじゃない派手な功績だ!!!」
その野望にギラついた瞳はエレジアに有る城へと向けられた。
「歌姫ぇ~!!! お前を連れて帰れば座長はきっとおれを幹部にしてくれる筈!!! ヌゥーッハッハッハ―!!!」 - 157二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 22:21:38
新四皇が新四皇に喧嘩売った瞬間がここですか…?
- 158二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 22:21:51
クロスギルド何やってんだよ
- 159二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 22:22:00
かませ犬で草
- 160二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 22:22:17
まーたバギーのせいか
- 161二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 22:23:21
- 162二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 22:23:33
海賊団の名前も船長の名前も噛ませ犬で草
- 163二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 22:25:41
負け犬海賊団の噛ませ犬かぁ
- 164二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 22:34:07
クウイゴス方式のネーミング好き
- 165二次元好きの匿名さん22/09/02(金) 23:31:33
ごめんで四皇になってたら世話ねえな。おめえホントにカリスマだけはあるよな、カリスマは。
- 166二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 00:09:36
こんな負け犬集団だけど「座長」っていうときはきっとハートマーク飛ばしてるんだよ
- 167二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 02:41:35
保守
- 168二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 07:19:25
保守
- 169二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 07:47:15
手を出すと自動的に四皇二人に喧嘩売ることになるのとんでもない罠
- 170FILM N.G.22/09/03(土) 08:03:16
ヌイセマカは目的を叶える為に命ずる。
「野郎共!!! 上陸だ~!!! 邪魔する奴が居れば誰であろうとブッ殺しちまえ!!!」
その号令と共にアンダードッグ海賊団は「ゥオオオオオオオ!!!」という雄叫びを上げながら船を下りてエレジアの地を踏む。誰も彼もが無法者らしく欲望にギラついた目をしている。
アンダードッグ海賊団、船長以下総勢80人。その全てがウタという一人の少女を狙って進攻を開始した。
「―――まさか本当に歌姫狙いとはな」
「ぁああん!?」
そんなアンダードッグ海賊団の行く手を阻むように現れた少数の人影。
「誰だてめえら!? 立ち塞がるとは良い度胸だなぁ!! 我らが泣く子も尾を巻くアンダードッグ海賊団と知ってのことか!?」
その無力な市民であれば恐れ戦きそうな恫喝も、彼らには何てことも無い物である。 - 171FILM N.G.22/09/03(土) 08:03:59
サンジは煙草を吹かしながら隣の仲間に聞く。
「……フゥー。聞いたことあるか? アンダードッグ」
「いえ。とんと知りませんね」
ブルックは骸骨の顔を横に振って仕込みステッキから刀身を出す。
「気にするほどでも無えさ」
ゾロは猛獣のような笑みを浮かべて刀に手を掛ける。
「あんな小物、さっさと倒して飯にしようぜ」
刀を二本抜いて構えたゾロは不敵に笑い先頭に立つヌイセマカに鋒を向ける。それにヌイセマカはわかりやすく怒りを露わにして吠え立てる。
「ぬぁあんだとお前ら~!!? 急に出てきやがって、我らの恐ろしさを知らんと見える!!! 教えてやれお前ら!!!」
「グッドですボス!! うちの船長は強えぞ~!!」「海軍に付けられた懸賞金はなんと1億1千100万ベリー!!」「体に武器の鎖を掛けている姿から付けられた異名!!」
「“くさりかけのヌイセマカ”とは我のことだ!!!」
「頭の中もう腐ってんじゃねえか?」
あんまりな異名を自信満々に言うのでつい突っ込んでしまうゾロ。それがヌイセマカ達の怒りを買った。
「あの生意気な奴らをやっちまえ!!?」
その命令を待っていたとばかりにアンダードッグ海賊団は武器を抜いて攻めてきた。
火蓋を切られた戦いは―――一方的だった。 - 172二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 08:07:34
そら一方的になるよな
- 173二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 08:16:09
1億の懸賞金首だから十分強いとは思うが……相手が悪かったな
- 174二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 08:18:16
保守じゃい
- 175二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 08:21:07
よく四皇の一味に喧嘩売れるよな
- 176二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 08:25:10
四皇の娘を攫う為に四皇の幹部と五番目の皇帝相手に乱戦吹っ掛けたクラゲ海賊団みたいな連中もいるしそんくらいでなきゃ新世界で海賊やってられないのかもな
- 177FILM N.G.22/09/03(土) 08:29:59
やあ。次の更新は夜になるよ
ここまで読んでくれてる皆ありがとう。その時にようやくあの子を本格的に登場させられそう……多分
プロットって何だ? うめえのか? - 178二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 08:31:04
可愛そうなヌイセマカさん
- 179二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 08:45:05
億越えはなかなか強いんだけど時期がね…
- 180二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 08:46:33
- 181二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 08:50:34
- 182二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 08:56:56
- 183二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 10:59:36
頑張って
- 184二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 11:09:21
スレ主が夜に来たらもう次スレ用意するぐらいの方が良さそうだな
- 185二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 13:27:53
このレスは削除されています
- 186二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 14:18:14
ほしゅ
- 187二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 14:49:05
なにこれ…
好き! - 188二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 14:53:55
クハハハハ!スレの残りが少ないならスレ主に次スレを立ててもらうしかねぇよな!
- 189二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 14:58:59
- 190FILM N.G.22/09/03(土) 19:46:55
ONE PIECE FILM N.G. part1“はじまりの風” 完
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ONE PIECE FILM N.G. part2“孤独の歌姫”
ルフィ「おいウタ!!」 ウタ「え!? ルフィ!?」 part2|あにまん掲示板ONE PIECE FILM N.G. “孤独の歌姫”編前スレ『ルフィ「おいウタ!!」 ウタ「え!? ルフィ!?」』https://bbs.animanch.com/board/969071/http…bbs.animanch.com - 191FILM N.G.22/09/03(土) 19:47:58
ここまで読んでいただきありがとうございます
次スレを立てたので宜しければ - 192二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 19:48:02
part2があるだと……!?
- 193二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 19:48:28
来たああアアアアアアアアア
- 194二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 19:49:51
そっちに行くぞ!もう一回読み直しておこう
- 195二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 19:50:55
埋める……釜を茹でる……
- 196二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 19:51:47
埋め埋め
釜の準備しとくか - 197二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 19:58:29
partできたか!
よくやった! 俺はここを埋める - 198二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 19:59:17
埋
- 199二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 19:59:44
油、煮えたぎってるんでしたよね?
- 200二次元好きの匿名さん22/09/03(土) 20:00:04
200ならスレ主はおでん回避