- 1二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 01:00:00
そうね、もともと私は地方トレセンでお父さん───トレーナーさんのチームに所属していたの。
お父さんはトレセンの中で一番若い新人だったから、たくさんのウマ娘がお父さんのチームに入りたがったの。
───ちょっと楽したい子とか、男目当ての子とか、ね。
でもトレーナーさんのトレーニングは他のチームの何倍もきつかったわ。
特にきつかったのは『坂道ダッシュ』ね。
今でいうところの坂路に当たるのだけど、当時はそんなトレーニング方法なんて一般的じゃなかったから
裏山の斜面が急なところをひたすら上り下りするっていう…。
しかもトレーナーさん、いつも仏頂面だし生徒とお出かけとかも全然しなかったから、
あんまり生徒と打ち解けられなくって…。
そんなことばっかりだったから、入ってきたウマ娘はみんな移籍しちゃって。
最終的に私とのマンツーマンになったの。
…なんで私がそんなチームに入ったかって?
勝ちたかったからよ。
私には走る才能がなかった。
どれだけ頑張っても、未勝利戦はおろか選抜レースや並走すら碌に勝てなかったわ。
そんな私が勝つには、他の誰よりも何倍も努力が必要と思った。
だから、私はそこを選んだの。 - 2二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 01:00:42
トレーナーさんは厳しかったけど、伸びない私を見捨てず、練習メニューを組んでくれた。
才能のない私を勝たせるために、最大限の時間を使ってくれた。
私の限界を見切って、倒れないギリギリに負荷を調整してくれた。
弱い私には、それが一番うれしかったわ。
…そのころからかしら。トレーナーさんのことを好きになっちゃったのは。
この人は自分のことを見てくれるって。この人と一緒なら、いつかきっと勝てるって、思ったの。
一回練習中にケガをしちゃって、それがきっかけで移籍だのチーム廃止だの騒ぎになったりしたけど、
私はトレーナーさんのチームから絶対に離れなかった。
その後からバレンタインとかクリスマスとか、行事ごとにお出かけしたりしてね?
レースの方も段々力がついてきて、未勝利戦に勝って、そこそこいい成績も残して、
最後の引退レースのオープン戦は、見事一着になれたの。
…なんて、G1レースにいっぱい勝ったあなたには、とてもかなわないけど。
その引退レースの後に、トレーナーさんに告白したの。
『好きです。付き合ってください』って。
…残念だけど、まだ続くのよ。
そのときはトレーナーさんが、『まだトレーナーを続けたいから』って断って、
でもどうしてもあきらめきれなかった私は、
咄嗟に『じゃあ私をトレーナーさんのマネージャーにしてください』って言ったの。
トレーナーさんが引退するその時まで、一緒に居ますって。
…今思えば随分強引で重い女だったわ、私… - 3二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 01:01:43
その後私たちはチームトレーナーとマネージャーとしてチームを作って。
今度は私っていう実績があったから、チームとしてもうまくやっていけたわ。
生徒のメンタルサポートとか、トレーナーさんの言葉が足りないところは私が担当して…
気が付けば、私たちのチームはトレセン内で一番大きなチームになっていたの。
そして、トレーナーさんのもとに中央トレセンから招待状が届いたの。
あなたの功績を評価し中央でやってみませんか、って。
…だけどトレーナーさんはそれを断ったの。
もちろん私はなんでって聞いたわ。そしたらトレーナーさん、こう答えたの。
『俺のやり方は中央でも評価されることが分かった。それで十分だ』
『これ以上、君を待たせたくない』
『俺も君のことが好きだ』
その目には後悔なんてなかった。
これが私たちの馴れ初めよ。
…どう?参考になったかしら。
…何がって、あなたの担当トレーナーに決まってるじゃない。
狙ってるんでしょ。あの子。
…フフフッ、お母さんにはなんでもお見通しなんだから。
大丈夫よ、あなたならきっと。あの子───マスター君とも絶対、うまくやっていけるわ。
だってあの子、お父さんにそっくりなんだもの。 - 4二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 01:02:27
ブルボンママ!?
- 5二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 01:02:49
おしまい
サイゲはもっとママボンの情報出せ
お目汚し失礼いたしました - 6二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 01:05:38
良いなぁこれほっこりする
- 7二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 01:14:08
珍しい、ていうか完全に幻覚…
- 8二次元好きの匿名さん22/09/01(木) 01:41:09
良いSSでした...