- 1二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 00:22:10
- 2二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 00:22:39
生垣に突っ込んだ。
生垣がクッションになったのかエアグルーヴはそれほど痛みを感じなかった。
「おい!大丈夫か!?」
抱え込んでいるはずの子どもに向けて声をかける。
しかし。
エアグルーヴはスイープを抱えていた。
呆気に取られていると、スイープが抱えているなにかから大きな泣き声がした。
轢かれそうになっていた子どもだ。
エアグルーヴが子どもを確保する一瞬先にスイープが抱きかかえていたようだ。
「○○ちゃんっ!」
血相を変えた母親らしき人物が公園から走ってくる。
エアグルーヴが子どもにケガがないか確認する。
スイープも心配そうに見つめていた。
大きなケガはないようだったが、膝が少しすりむいている。
絆創膏を取り出そうとポーチを探る。
するとスイープが得意げな顔で口を開いた。
「アタシが今からおまじないをしてあげるわ!」
「はあ?」
呆気に取られている女帝と親子をよそに大仰な振り付けとともに呪文が唱えられる。
「ブラッサボラ☆ノドサ!パフィオペディラム☆デレナティイ!」
奇妙な沈黙が流れる。
「どう?元気出たでしょ!」
子どもはぽかんとしている。
エアグルーヴが頭を抱えたままつぶやく。
「……スイープ、ちょっと大人しくしていろ」 - 3二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 00:23:05
てきぱきとした手つきでポーチから取り出したアルコール綿で子どもの膝を消毒し、絆創膏を貼る。
「どうだ、痛むか?」
子どもが首を振る。
「そうか。ご母堂、念のため病院へ連れて行ってあげてほしい」
「は、はい!あ、ありがとうございます!本当になんとお礼を言えばいいか……」
「お礼なんかいらないわよ!」
横からスイープが口をはさむ。
「まずは自分の子どもに目を離しちゃってごめんなさいって謝りなさい!あんたも!心配かけてごめんなさいってお母さんに!」
腰に手を当てて頬を膨らませているスイープ。
言われるがままに親子はごめんなさいと言い合った。
母親はひどく落ち込んでいるようだった。
「その、ご母堂。このくらいの子どもは大人でも予想できないくらい動き回りますから、気に病みすぎませんよう……」
見かねてエアグルーヴが声をかけると、母親は下唇を噛んだままぺこりと頭を下げた。
「えっと、おねえちゃんたちありがとー……」
おずおずと子どもが礼を言った。
「ふっ、ありがとうを言えるのはえらいぞ」
女帝が頭をなでると、子どもは少し顔を赤らめた。
去り際でも親子はしきりに頭を下げていた。
スイープは相変わらずそっぽを向いている。
「なあ、スイープ」
「なによ。またお説教?」
「お前はえらいな」
「……ふんっ」
制服には土や生垣の葉にまみれていた。
「……帰ったら風呂に入らねばな」
「……そうね」
どちらからともなく手をつなぐ。
なんとなく、お互いから母親の温かみを感じた。 - 4二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 00:23:26
妊娠や出産は人馬を問わず命がけです
毎年出産をする繁殖牝馬は特にそうなのかもしれません
お目汚し失礼しました - 5二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 00:24:26
見たことないCPだったけどいいな…
- 6二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 00:24:44
スイープは優しいな
- 7スレ主21/10/13(水) 00:30:34
少しだけ解説します
エアグルーヴは11頭目の産駒を出産後、内出血で亡くなっています
スイープトウショウも11頭目の子を宿したまま腸捻転で亡くなっています
……競馬のレース自体も過酷なものですが、種牡馬・繁殖牝馬もかなり過酷で競走馬よりも長い期間繁殖という戦いの場に居つづけます
先達の馬たちのご冥福とご存命の馬、並びにこれから生まれてくる仔馬たちのご健勝をお祈り申し上げます