雨の日の来訪者

  • 1二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 09:52:37

    「つ、使い魔〜早くドア開けなさい…」

    合宿も終わり、秋のレースに向けて準備を進めていた休日。突然、担当のスイープトウショウが我が家にやって来た。インターホンを押したと思ったらドアをドンドン叩くので何事かと見にいくと、そこにいたのは雨に濡れたスイープの姿があった。カーテンを閉め、ヘッドホンをつけていた為、気付かなかったがどうも通り雨が来ていたらしい。

    「もうっ、今日はお天気になるって言うから快晴の魔法掛けなかったのに!おかげでズブ濡れじゃない!」
    「派手に降られたね…タオル持ってくるから玄関で待ってて」

    確かに、朝見た予報では午後から雲が消えて快晴になるという話だったが外は雨が激しく降りしきっていた。こんな事で体を冷やしてレースに支障が出るのもバツが悪いと急いでタオルを渡すが、どうやら所望しているのはそれではないようだ。

    「うぅ、寒い…お風呂入りたいー!いーれーてー!」
    「とは言ってもここ俺の家だし…ん、ならこうするのはどうだ?今からパパさんに事情を説明してもらったら俺が着替えを取りに行くからそれ待ってる間シャワーで良ければどうだ?」
    「!悪くない案ね!パパと連絡してくるから待ってなさい!」

    俺からの提案に賛成の意を示し、パパさんに連絡を取り始める。その間に俺は風呂場に直行してなるべく綺麗にし、バスタオルも未使用のフワフワしたものを用意する。一応湯船も目立つ水垢を落とす程度ではあるが綺麗にしておく。あらかた終わった頃、スイープが洗面所からひょっこり顔を出す。

    「パパ、お着替え用意しとくって!頼んだわよ、使い魔!」
    「わかった、ちょうどこっちも風呂場のセッティング終わったからゆっくり入っておいで。もし俺が帰るまでに上がりそうなら未使用のトレーナーとスウェットがあったからそれ着て凌いでくれ」
    「ふふん、使い魔の割には気が効くじゃない♪褒めてあげる!」

    そんなやりとりをしつつ家を出て、車に乗り込んでスイープの実家に向かうと家の軒先でパパさんが着替え一式が入った紙袋を抱えて出迎えてくれた。少しだけ、学園での彼女の話をするととても嬉しそうに号泣していて、電話する度に泣かれるとぼやいてたスイープの言ってた事を思い出して少し苦笑いするのだった。

  • 2二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 09:53:46

    パパさんと別れ、自宅に戻ると風呂場からシャワーの音と大層機嫌の良い鼻歌が聞こえるので、洗濯機の上に着替えを置き、上着を脱いで軽いおやつでも用意するかと戸棚を漁ってるとスイープが部屋に戻ってきた。いつも編んでる髪が解かれて下ろしていて、ちょっと大人っぽい、新鮮な姿。男も女も髪型少し変わるだけで印象も様変わりするとはよく言ったものだ。

    「ふー、さっぱりした!助かったわ、使い魔」
    「そりゃよかった…うん、まだ髪濡れてないか?」
    「良いじゃないこれくらい。そんなに気になるなら使い魔、アンタが乾かしなさいよ」
    「まあ、別に構わないけど…こっちおいで」

    インテリアで買ったカウンターチェアを叩き、こちらに座るよう促す。スイープも呼応するように座高を自分の高さに合わせてちょこんと腰掛けたのを確認し、ドライヤーの電源をつけて錦糸のような髪を丁寧に温風に当てて乾かしていく。

    「お客様、痒い所はございませんか?」
    「ふふん、これくらいどうってことないわ。それに使い魔?それ、普通シャンプーしてる時に言う言葉じゃないかしら?」
    「え、マジ?俺ドライヤーかけてる時も言われるけど…男女で違うとかかな」
    「…もしかして使い魔、アンタ頭皮が薄いんじゃない?風が頭皮に直当たりして…」

    こ、こいつ…誰しもいつかやってくる不安要素を容赦なくついてきやがる…。ただ、スイープの意見自体も的を得てるので憤慨するのも何か違う。だから────

    「い、言ったな…そんな悪い魔女はこうだ!」
    「アハハっ!使い魔が怒ったー♪ちょっ、くすぐったいから首に風当てるのやめっ、キャハハ!」
    「ふっふっふっ、ここは使い魔のテリトリー。逃げられると思うなよ!」

    時折ふざけ合いながらも、風邪をひかれるとたまったもんじゃないのでちゃんと髪は乾かしたのだった。スイープは大層満足したそうで、来年の合宿は髪を乾かしに来るよう申し付けてきた。普段なら苦笑いする所だが、本人にその気があるかは別としても、先の話ではあるが無意識に使い魔として俺と離れずにいてくれることに心の中で喜ぶのだった。

  • 3二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 09:55:02

    頭すっからかんの状態で書きました
    中身は…わからないです許し亭

  • 4二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 09:56:10

    良いぞ…

  • 5二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 09:59:55

    何気ない日常良いねえ

  • 6二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 10:04:24

    親に確認とってからシャワー貸してるの、きちんとしてる

  • 7二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 10:18:19

    いいよね、何気ないやりとりの中から窺えるお互いの信頼感というか良い意味の気安さというか
    すき

  • 8二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 10:44:15

    出てくる登場人物が皆優しいからほのぼのストーリーが約束されててありがたいぜ
    この2人の距離感好きだわ

  • 9二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 11:33:58

    >>6

    そういう所の常識的な部分を描写するのって地味に大事だよなあって思う

  • 10二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 11:43:50

    電話するたびに泣いちゃうスイープパパのゲームネタ拾ってて細かいな…てなった
    解像度高くて良きでした

  • 11二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 13:13:44

    優しい雰囲気しゅき〜

  • 12二次元好きの匿名さん22/09/04(日) 14:02:47

    日曜昼からええもん拝めました

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