メジロパーマー「フェチ?」【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 21:23:41

    「ええ、正式にはフェチズムですね。ある一つの性質に執着することを指す用語です」
    アルダンとのお茶会中、アルダンが妙なことを言い出した。
    「なんか“大好き”くらいの意味だと思ってたよ」
    「いまはそのくらいの意味合いみたいですね。まあ、言いたいのはそういうことではなくて」
    アルダンがいつも使っているカップに入った紅茶を一口飲む。
    「……親しい方の持つ秘密の中には知らなくてもいいことがあるのですよ」
    「?」
    時々アルダンは脈絡のないことを言う。

  • 2二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 21:24:02

    秘密、ねえ。
    いったいなんのことだろう。
    考え事をしながら寮の自室に戻る。
    部屋ではヘリオスが机に向かって携帯を眺めていた。
    ノックをし忘れていたせいか、ヘリオスはこちらに気がついていない。
    こっそり近づいて驚かせちゃおうかな。
    いたずらっぽい笑みを浮かべながら、忍び足で近づく。
    さて、どうやって驚かせようと考えていると。
    なんとなく気になってヘリオスの肩越しに携帯を覗いた。
    そこには。
    いかにもお嬢様といった女の子とヘリオスが写っていた。
    冷水を浴びせられたように身体が冷たくなる。
    無意識に手が動いていた。
    ヘリオスの肩をつかみ、ベッドに押し倒す。
    私の姿を見て明らかに動揺しているヘリオス。
    「ねえ、あの子はだれ?」
    自分でも驚くほど冷たい声が出た。
    「私、あんな子知らないよ?」
    嘘をついた。
    まだ私が家出する前、晩餐会かなにかで出会った子。
    私と違っていかにも“お嬢様”って感じで、気品があって、かわいがられていて……。
    ぎりっ、と嚙み締めた歯が声を上げる。
    ヘリオスの上体を起こして後ろから抱きしめた。
    腕でヘリオスの胴を絞めつける。
    「見せてよ。その子とヘリオスの写真」
    ヘリオスの震えが腕から伝わってきた。
    腕に力を籠める。
    「早く」
    手を震わせながらヘリオスが写真をスワイプする。

  • 3二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 21:24:17

    ウイニングライブ後だろうか、衣装をまとって二人でポーズをとっている写真。
    制服姿のまま二人でクレープを食べている写真。
    パジャマ姿で寝転がる二人。
    二人。
    二人。
    全部。
    全部。
    全部二人の写真だ。
    もしかして私と仲良くなったのも。


    ───私が“お嬢様”だったから?


    目の前の首筋に噛みつく。
    ハッとしてすぐ口を離したが、歯形から血がにじんでいた。
    「ご、ごめんヘリオス……」
    ヘリオスの震えは収まるどころかひどくなっている。
    「ヘリオス!」
    ヘリオスの正面に回って顔を上げさせる。
    彼女の目からは涙があふれていた。
    「……ねえ、パーマー」
    か細い声でつぶやく。
    「ウチにもっと痕をつけて」
    どくん、と心臓が跳ねる。
    「ウチがパーマーのものだって証をちょうだい」
    そこから先は、あまり覚えていない。

  • 4二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 21:25:16

    ちょっと独占欲高いパーマーが書きたくなったので
    いいですよね”お嬢様”に縁が深いヘリオス
    お目汚し失礼しました

  • 5二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 21:27:58

    ヘリオスも重いのいい…

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