【SS】ぬくもりをきみに

[1 二次元好きの匿名さん 22/09/06(火) 22:04:59]

学園のコース内を走るひとつの影。吹き込んでくる強い秋風をものともせず、ダートを巻き上げ突っ走る。バンブーメモリーが、ハチマキをたなびかせて疾走していた。
かなりキツめの設定で練習メニューを課したのだが、最後の1周もスピードを落とすことなくバンブーは走りきった。
｢ぜェ……トレーナーさん！！終わったっスー！｣
｢お疲れ、いいタイムだったぞ｣
元気そうに声を上げ、手を振り駆け寄ってくる。
今日の練習コースは使用者が普段よりも多かったのだが、バンブーの姿を見つけるのは簡単だった。
｢ほい……にしても寒くないか？｣
汗と砂にまみれたバンブーにタオルを渡す。
｢全然！全くもって平気っス！｣
｢そりゃ今は運動直後だからな。そうじゃなくて……｣

[2 二次元好きの匿名さん 22/09/06(火) 22:05:43]

バンブーはジャージを身につけてはいなかった。白の体操服1枚で今日も練習に励んでいる。
熱い夏場なら分かるが、そんな季節はもうとっくに終わって今は昼間でも肌寒い程だ。
コースに出ているウマ娘の中でも、ジャージ未着用なのはバンブーだけだった。
｢そろそろ上を羽織ってもいいんじゃないか？｣
しかしバンブーは首を横に振る。
｢アタシ気づいたんっス……寒いからこそ半袖であれと！｣
｢ほう……？｣
またバンブーの中で何か火がついたらしい。ぐっと拳を握りしめ語り始めた。
｢公園で元気に遊ぶ子供たちを思い出してください！あの子たちは冬でも半袖半ズボン、正しく元気の証っス！！｣
｢確かに……ああいう子供たちってやたら元気だよな｣
｢半袖でいることで寒さに慣れて、体がより強く健康になるんっス！｣
えへんと胸を張るバンブー。常に心を太陽のように燃やしている彼女の事だ、ある程度は平気なのだろうが……。

[3 二次元好きの匿名さん 22/09/06(火) 22:06:18]

｢っ寒！？｣
その時、一陣の突風が吹き付け、思わず腕を抱く。
それはバンブーも同じで、
｢〜ッ！？へっ、へっ……へくちゅん！｣
可愛いくしゃみが出る。やはり痩せ我慢も少しはしていたらしい。担当の体を受け持つトレーナーとして、これ以上は見過ごせない。
｢はい、俺のだけど着とけ｣
自分が来ていたジャージをバンブーに掛けてやる。
｢え？トレーナーさん……でも……｣
｢風邪でも引いたら大変だからな。気持ちは分かるが、今はトレーナー命令だと思って聞いてくれ｣
｢はいっス……｣
バンブーはジャージをぎゅっと握りしめ、顔を埋めた。やはり半袖では寒かったのだろう。
｢と、トレーナーさん……アタシ……｣
バンブーがわなわなと震える、一体どうしたのだろうか。頬も赤く染まっていて、体調不良を疑っていると……。

[4 二次元好きの匿名さん 22/09/06(火) 22:06:42]

｢うおおおおおお！！｣
｢どっどうした！？｣
｢なんだか燃えてきたっス！！この高鳴る鼓動、今すぐ走らないと収まらないっス！！｣
感情を爆発させ、今にも駆け出さんとしていたので思わず引き留める。クールダウンのためにもこれ以上走らせる訳にはいかない。
｢待て待て！？きちんと休息も取ること！｣
｢うっ、すみません……｣
なんとかなだめてベンチに座らせる。バンブーはその間もジャージをきつく握り顔を埋め、足を擦り合わせて落ち着かない様子だった。
｢……具合は悪くないか？｣
｢だ、大丈夫っス！でも変に落ち着かなくて……｣
結局、自分にもバンブーにもその不思議な高揚感の原因は分からずじまいのまま。
ただ、
｢……へへっ♪｣
機嫌良く笑う顔を見て、まあ悪いことでは無いのだろうと……そう思った。

[5 二次元好きの匿名さん 22/09/06(火) 22:09:23]

可愛い…
容易に想像できる…好き

[6 二次元好きの匿名さん 22/09/06(火) 22:09:28]

現実はまだまだバンブーのように暑い日が続きますね

以前書いた風紀

【SS】Touch the fire｜あにまん掲示板

普段はちゃんこしてます

After War Hishi Akebono｜あにまん掲示板

[7 二次元好きの匿名さん 22/09/06(火) 22:10:01]

>>6

あなたですか！！！！！この間はありがとうございます

そして今回もありがとうございます

本当に可愛い…好き…

[8 二次元好きの匿名さん 22/09/06(火) 22:11:13]

あざとい!!!だが素のバンブーらしくてヨシ!!!

[10 ちゃんこ主 22/09/06(火) 22:24:56]

>>7

安価ミス失礼しました

こちらこそ！

ちゃんこと同じくバンブーの供給はなかなか増えませんからね……

思いつけばまた書いていきたいと思います〜