- 1二次元好きの匿名さん22/09/07(水) 23:38:11
その日は遅くまで、チームメンバーのトレーニングについて考えていた。
『…もうすっかり夜か』
一杯、飲みに行こう…そう思い、財布を持って居酒屋へと行った。
…”あの頃”のような活力は、今の自分にはない。
『…うぅ、飲みすぎた…な…』
一人でひたすらに飲んでいた。最近の仕事のストレスを誤魔化すように。
『ちょ、ちょっとだけ休憩を…』
そう言って、自分は道端に座り込んだ。
「…コラ!そこの人!こんなところで座り込んでちゃ周りの迷惑で…」
…不意に聞き覚えのある声が聞こえる。
絶対に、忘れることのない声。
確かに自分は足を投げ出していて通行の邪魔になっていたかもしれない。
『ごめん、今止めるから許してくれ、バンブー』
「…トレーナーさんっ!?」
そこにいたのは、3年前に輝かしい成績を残した…自分の初めての担当、バンブーメモリーだった。 - 2二次元好きの匿名さん22/09/07(水) 23:38:21
「全く、なんでこんなになるまで飲んだんスか…」
『色々あってさ…わざわざごめんね』
彼女の住んでいる家に上げてもらい、水と漬物を出される。
漬物はさっぱりとして美味しかった。
『…家に上げてよかったの?風紀委員的に』
「もうアタシも立派な大人っス!そのあたりは自己責任で判断できるっスよ」
…そうだ。彼女も自分と同じで、あの頃とはもう違う。
『…はぁ』
「…そろそろ聞かせてください。なんであんなに飲んだのか…それと、そのため息の理由を」
自分の正面の椅子に彼女は座る。
…ついに聞かれてしまった。
しばらく考えたのち、
『…わかった』
彼女に甘えてしまうことにした。
「なるほど…チームの成績が伸び悩んでいると…」
『ああ…』
初めての担当ウマ娘であるバンブーメモリーがG1を複数勝つくらいの強いウマ娘になったこと。
それがきっかけで、自分のところには逆スカウトがたくさんきていた。
当然嬉しかった。
嬉しかったし、彼女に憧れて自分を頼る娘がいるという事実が、どちらにとってもいい出来事で…とても誇らしかった。
そして嬉々としてチームを立ち上げ、トレーニングをしていたのだが…
そこから3年、未だG1を勝つチームのウマ娘は現れなかった。 - 3二次元好きの匿名さん22/09/07(水) 23:38:32
『…バンブー。君はきっととても強かったよ』
思わずそうこぼす。
『あまりに強すぎて…きっと俺は、君の実力に甘えていただけで…』
「そんなことはないっス!!!」
いきなり勢いよく彼女が立ち上がり、身を乗り出してくる。
「アタシに爪のケアを教えてくれたのはトレーナーさんっス。それに、芝を走らせてくれたのもトレーナーさん…ライバルと走るために、熱血トレーニングに付き合ってくれたのもトレーナーさん!」
彼女は熱く語る。
「…今のアタシは、トレーナーさんがいなかったら存在してないっス。もっと胸を張ってください!あなたは…アタシのトレーナーさんっス!」
…あの頃、毎日沢山の”夢”を見せてくれた彼女。
そんな彼女に、今もまた励まされている。
彼女と話していると…不思議とあの頃を思い出す…
『ありがとう、バンブー!…でも、俺は今はもう君のトレーナーじゃないよ』「いいや、トレーナーさんっスよ。トレーナーさんには新しい担当がいるかもしれないけど…アタシにとっては、トレーナーさんは1人しかいないっス」
『…そっか』
「…さ!早く学園のトレーナー寮に戻った方がいいんじゃないっスか?明日に影響が出るっスよ!…チームの子たち、しっかり鍛えてあげてください!まだ諦めるには早すぎるっス!!!」
『そうだな!』
靴を履き、玄関へと行く。
「じゃあまたどこかで!」
『ああ。…なあ、バンブー』
最後に1つだけ声をかける。
「…また”夢”をくれて、ありがとう」
そういうと彼女は一瞬目を丸くし…
「…へへっ!」
あの頃と変わらない笑顔を見せてくれた。 - 4二次元好きの匿名さん22/09/07(水) 23:39:21
みたいな引退後の大人になったバンブーとトレーナーも見てみたいです
風紀委員じゃなくなってちょっとだけ家に上げたりするバンブーもきっと可愛い
過去作まとめ
【自作SSまとめ】とあるトレーナーのSS2|あにまん掲示板需要があるらしいので建てさせてもらいましたスレ画はバンブーだけどそれ以外も書くぞ!とりあえず10レスくらいは過去作再掲とか現行の宣伝とかで保守しますbbs.animanch.com - 5二次元好きの匿名さん22/09/07(水) 23:43:36
- 6二次元好きの匿名さん22/09/07(水) 23:44:05
ここにもいるぞ…
- 7二次元好きの匿名さん22/09/07(水) 23:44:28
俺はお前で…お前は俺だ
- 8二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 04:37:07
良いじゃあないか…