ココライっぽいSS書きました

  • 1二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:15:09

    『アオハル杯』。
    かつて樫本理事長代理と学園の育成方針をかけて
    戦い抜いたレースの記憶。

    その勝負はチーム『キャロット』が制し、
    これからも自由な育成を推し進めていく事になったのだが…

    対立の際に生じた小さな禍根。
    それを解消するため、一人のウマ娘が動いていた─────

  • 2二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:15:28

    「え、ライスと模擬レース…?」

    「あぁ、樫本トレーナーからの申し出があってな
     アオハル杯からしばらく時間も経ったし
     もう一度お互いの実力を測ってみたいそうだ」

    「その…一緒に走る相手は?」

    「リトルココンだ。模擬レースは長距離だしな」

    そのウマ娘の名を口にした時、
    ほんの少しライスの表情に翳りが生まれた。

    「………無理にとは言わない。
     一応、フクキタルもいるし無理にライスが出る必要は」

    続く言葉を遮ってライスは言う。

    「ううん、大丈夫だよお兄さま。ライスもココンさんとは
     一度レースしてみたいと思ってたの」

    しっかりとこちらを見ながら話すライス。
    きっと、彼女には考えがあるんだろう。
    トレーナーはそれを察し、快諾する。

    「頑張るんだぞ、ライス」
    にっこりと笑い、ライスの頭を撫でる。
    ライスは困ったように微笑みながら返事をした。

  • 3二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:16:48

    ―さらに次の日―

    ライスは本日のトレーニングを終え部室に向かっていた。

    「ロブロイさんとつい話し込んじゃって遅れちゃった…!
     お兄さまの帰る時間が遅れちゃう…」

    部室のドアを開けると何故かトレーナーの代わりと
    言わんばかりにリトルココンがいた。

    「え!?ココンさん!?なんで!?」

    「そんな驚くことないでしょ?
     模擬レースのこと伝えに来ただけだし」

    「そ、そうだね…えっと…」

    そう言うとライスはあたふたしながらメモ帳を用意した。

    「ど、どうぞ!」

    ココンは一瞬怪訝な表情を浮かべたが直ぐに
    模擬レースの詳細を伝え始めた。

  • 4二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:17:17

    「───ってトコかな。質問ある?」

    「特にない…かな」

    「そう、じゃああと一つ。
     この模擬レースで勝った方は負けた方の言う事を一つ聞くこと」

    「………?」
    唐突な提案(ルール?)にライスは目を白黒させる。

    「聞こえなかった?
     負けた方は勝った方の言う事を何でも一つ
     聞かなきゃいけないって言ったの」

    イマイチ飲み込めないライスはココンに質問する。

    「な、なんでそんな条件があるの…?」

    「………本気でレースがしたいから」

    そう言うリトルココンの目は本気であった。
    ライスシャワーを『レースの相手』と見据えている。

    「あの時はアオハル杯っていうお互いに負けられない
     理由があった、でも模擬レースだとそれが無い。
     アタシはそのせいで手を抜くのも嫌だし抜かれるのも嫌なの」

    一呼吸置いて、リトルココンはライスシャワーに宣言する。

  • 5二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:17:27

    「アタシは、アンタに勝ちたい。」


    真っ直ぐな言葉、しばらく静寂が流れ
    「ゴメン、一人で熱くなり過ぎたね。もう帰るよ」
    とココンは気まずそうに部室を出ようとした時、

    「ラ、ライスも!負けないよ!
     ココンさんに、勝つって!!今決めたんだから!!」

    去ろうとするココンにライスも宣言する。
    また彼女の眼差しも強く、ココンを見据えていた。

    「分かった。全力できてよね」
    ニコリと微笑んで言葉を返す。

    (なんだ…変に条件つけなくても良かったんじゃない…)

  • 6二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:17:45

    ―模擬レース当日―

    距離:芝3000m
    バ場状態:良
    天候:晴れ

    「完全にお互いの実力が試されるレースですね」

    「えぇ、理想の環境ですね」

    ライスシャワーのトレーナーと樫本トレーナーが
    並んでお互いの担当バを見守っている。

    「アオハル杯では不覚を取りましたが、あれから
     私たちは一段と成長しました」

    「ですね、リトルココンと樫本トレーナーの目を見れば分かります」

    「ふふ…そちらのライスさんも一段と成長されたようで…」

    「後は彼女たち次第ですよ、見守りましょう」

    「えぇ、そうさせていただきます」

  • 7二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:18:14

    観客席では二人のレースを見たいと
    多くのウマ娘でごったがえしていた。

    「おおぉ…!沢山の人がライスさんのレースを見に来ていますね!」

    「みんなライスとココンのレースが楽しみなんデスネ!」

    「ライスちゃんがんばれ~!!ウーララー!!」

    「頑張れ…ココン…!」

    観客席より一段近い応援席には二人のチームメンバーが
    応援しに来ていた。
    そして当の本人たちはウォーミングアップも終わり
    スタートラインに並んでいた。

    「……調子は?」
    「もちろん、絶好調だよ」
    「そ、アタシも」

    会話はお互い最低限。
    レースに向けて全神経を集中させていく。
    少しピリついた雰囲気すら漂っていた。

    「むむむ…二人とも集中しきっていますね…」

    「まるでG1クラスの雰囲気だ…」

    周囲にまで緊張が伝播していく中
    とうとう二人のレースのスタートが切られた─────

  • 8二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:18:38

    スタートはお互い最高の滑り出しだった。
    少し並ぶが、しばらくしてライスは左後方につける。
    お互いの脚質もあってか、そこまでの差はつかなかった。

    (やっぱり映像と実際に体感するのは全く違う……!
    後方につけられてるだけなのに威圧感が…ッ!)

    (ココンさん、やっぱり速い!
    ちょっと気を抜くと引き離されちゃう…!)

    ペースは好調で、レースはつつがなく進行し
    とうとう第三コーナーに差し掛かった。

    「あそこからは坂に入る、ライスの得意分野だ…!」

    一気にペースを上げるライス。
    ココンも負けじとペースを上げていく。
    両者の差はじわじわと詰まってきた。

    二人が並びとうとう勝負はラストの直線に入った!

  • 9二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:18:54

    完全に二人は並び、スパート勝負。

    (……ッ!やっぱり強い…!
    コースがどうとかじゃない、この子は、ライスシャワーは
    精神力が尋常じゃない…!!)

    (ココンさんになんとか追いついたけど、抜ける気がしない…
    やっぱり前より速くなってる…)


    ((けど))


    ((絶対に負けたくない!!))


    「ああああああぁぁぁーーーーっ!!!」
    「やあああぁぁぁぁぁーーーーっ!!!」

    吼える、全身全霊で燃やし尽くす。
    スタミナを、根性を、全てスピードに変換する。

    全ては勝利のために───!!!

  • 10二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:19:17

    ―次の日―

    模擬レースの勝敗はかなりの僅差だったものの
    ライスの勝利だった。
    走り終わった後の消耗がかなり激しく、一旦お預けし、
    次の日に判定を聞こうという流れだった。

    そしてライスは判定を聞いた後「約束がある」と言って
    どこかへ行ってしまった。
    まぁライスのことだから心配はしていないが…

    夕暮れ、中庭の三女神像前、そこにリトルココンは佇んでいた。
    そこに恐る恐る近づくウマ娘が声を掛ける。

    「ココンさん…」

    「アタシの負け。それは認める」
    独り言のようにココンは話す。

    「でもね、不思議と気分は悪くないんだ。
     全部出し切ったし、アンタも全霊でぶつかってきたし…」

    「だから、ありがとうって。」

    「ココンさん…!」
    ぱぁっとライスの顔が笑顔に染まる。

  • 11二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:19:31

    「んじゃ、どうするの?
     『言う事を一つ聞く』ってやつ」

    と、レースにかかっていた条件を口にする。

    するとライスは
    「あのね、考えてたの。
     さっき結果を聞いて、ライスはどうしたいのかって」

    ライスは続ける。
    「だったら、ライスはココンさんとお友達になりたいなって!
     ダメ…かな?」

    「…アッハハ、それでいいの?」
    何かに耐え切れなかったように笑う。

    「う、うん。それぐらいしか思いつかなかったから…」

    「じゃあ、今からアタシとアン…
     ライスは友達、いいよね?」

    そう言ってココンは右手を差し出す。
    ライスは笑顔で返事をしながらその手を取った─────

  • 12二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:22:15
  • 13二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:40:21

    あっ

  • 14二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:40:36

    いや、こういうのでいい
    こういうのだからいいんだ

    俺は朝からいいものを見たよ

  • 15二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:47:04

    やはりココライは素晴らしいですね...
    改善っていうか、展開がとても丁寧なので色々な場面を書きたいなら丁寧さを一度投げ捨てる必要があるかもしれません。でもこの丁寧な感じ凄く良いと思います。物言いが上からでごめんなさい

  • 16元スレの1221/10/18(月) 06:51:44

    ありがとうございます…ありがとうございます…

  • 17二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 06:58:47

    これはこれでいい栄養素がある

    イチャイチャSSはガンに効くけどこれは認知症に効く

  • 18スレ主21/10/18(月) 07:13:09

    皆さん感想ありがとうございます…

    励みになります…!


    >>16さんもアイデアありがとうございます!

    まさかお目に届くとは!w

  • 19二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 07:15:37

    ありがとう

  • 20二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 09:20:52

    ちゃんと読ませる文章で凄いと思った(語彙力)
    エミュも特に変なところ無いし最高だと思います

  • 21二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 10:14:44

    ココンライスいいゾ〜これ

  • 22二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 10:17:02

    あにまんなんかにこんな王道の素晴らしいSSを投稿するんじゃねぇ!!普段との差で目が潰れるわ!!

  • 23二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 17:28:15

  • 24二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 02:42:23

    ごちそうさまでした

  • 25二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 10:51:40

    ココライは万病に効く

  • 26二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 15:41:40

    まだスレ生きてた!?
    感想書いてくれる皆さん本当にありがとうございます…!

  • 27二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 22:23:34

    こういう関係いいね…尊い

  • 28二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 02:50:11

    良い⋯⋯

  • 29二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 02:58:35

    素晴らしいものに巡り会えた……

オススメ

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