- 1二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 03:05:20ホークスを無理矢理結婚させるスレ|あにまん掲示板TSでもなんでもいいから無理矢理でもホークスの結婚相手を見つけるスレbbs.animanch.com
に触発されて書きました
解釈違い注意
ヒロアカの二次創作なんて初めてなので各方面にごめんなさいしていく所存
投下したら即寝ます
- 2121/10/19(火) 03:05:57
ホークスは空を飛ぶ。
今日も今日とて空を飛ぶ。
明日も休まず空を飛ぶ。
たとえ翼が抜けようと。
たとえ燃え尽き朽ちようと。 - 3121/10/19(火) 03:06:15
「きゃぁぁぁぁぁぁーーー!」
大気を割くような悲鳴。
なんてわかりやすい、『敵』登場のシグナル。
だが、俺はヒーロー。それも最速のヒーローだ。
二つ目の音が鳴る前に、俺は地を蹴った。
背中の翼に力を込め、大きく羽ばたいて宙を舞う。
俺が風になった時、ようやく状況は次の展開を見せた。
ドッゴオオオオオオン!!
前方。思わず耳を塞ぎたくなるほどの轟音を撒き散らし、爆発が巻き起こった。俺の向かう先······悲鳴の出処にほど近い。距離にして100メートルほどか。ここらは入り組んでいるが、俺に道は関係ない。どんな場所でも、どんなやつでも最短距離で助け出す。そのための······力(つばさ)だ。 - 4121/10/19(火) 03:06:35
地上では人々がアリの子を散らすように逃げていく。彼らの進行方向の真逆、その狂乱の中心地に、それはあった。
天を衝くがごとく燃え上がる炎。先程の爆発で起こったものだろう。煙やガレキで視界が悪い。俺はつきかけたため息を心の奥底に押し込んで、意識を研ぎ澄ませる。
4、5······6人。
避難が必要な人数を素早く把握すると、近場のビルに降り立ち自身の翼を飛ばした。
散弾銃がごときスピードで飛ぶ風切羽は、その1枚1枚が俺の分身とも言える。羽それぞれが意思あるが如く、俺の使命を遂行する。
複数枚の羽の力を合わせガレキを押し出し、素早く飛ばして風を起こす。煙を晴らして視界を確保。もちろん、飛び散る火の粉に羽が触れてしまわぬよう、繊細なコントロールを心がける。導線をクリアし、素早く正確に羽を動かし人々を助け出す。
補足した全員を救助するまでの流れに2分と時間をかけなかったのは······最速の面目躍如、というところか。
ビルを見下ろすと、人々が快哉を叫んでいた。
「ありがとうホークス!」「助かった!」
俺は笑顔でそれに応えながら、手を振りかえす。
ヒーローをやっていて、2番目に嬉しいのはこの瞬間だ。人々が助かった、と。心の底から安堵して、笑顔をこぼす瞬間。1番目は何かって?······そりゃ、「穀潰しが!ちっとは働け!」って言われるのが1番に決まってるでしょうよ。ヒーローなんて。 - 5121/10/19(火) 03:06:54
ふと、違和感が意識を掠める。それは視界で得た情報か、それとも数少ない背中の羽が得た情報か。そのどちらか······いや。そんなことはどうでもいい。考えるよりも先に動け。最速の名が泣くぞ。
そう、考えている時には既にビルから飛び降りていた。落下のスピードそのままに、地面すれすれで方向転換。地面と平行に飛ぶ。俺が車なら速攻で切符を切られてるところだが、生憎。俺が切るのは風と敵。
おののき、声を上げる民衆の間を赤い疾風となって突き抜ける。見据えるは彼らの後方······爆発の起こった地点。未だメラメラと燃え盛るその建造物は、二階建てのアパートメントだったらしく、炎上た建物は柱がつっかえ棒のような役割をすることで奇跡的に崩落を免れていた。が、それも今、この瞬間までだった。 - 6121/10/19(火) 03:07:29
俺が感じた違和感は2つあった。1つは、柱の限界。俺の視界内で、炎に焼かれ朽ちていく柱は支えとしての役割を放棄し、切妻屋根の部位が落下していく。
そしてもう1つの違和感、それは。
「う、うう······」
炎に包まれたガレキの中から、女性が這い出てくる。そう。この女性の存在だ。
炎上の真っ只中で、女性の存在を俺の羽が感知出来なかった······などというのは言い訳にならない。
彼女は辛うじて動けるようだ。しかし、遅い。
あのスピードでは、普通なら重力に身を任せた屋根に潰されるか、そうでなくとも炎にねぶられ大火傷を負うだろう。
だが、今この瞬間ばかりは普通じゃない。
なんてったって俺がいるんだ。俺の視界内で誰も死なせない!
「間に合えっ──!」
灼け付く空気を押しのけて、最後の羽ばたきとともに翼を畳む。なるべく体の体積を減らし、きりもみ回転。真っ赤な弾丸と化した俺は、あらゆる音や感覚を置いてきぼりにしながら崩落する灼熱の小さな地獄に突っ込み············
再び、上昇した。 - 7121/10/19(火) 03:07:56
「ん············ぅえっ!?」
胸元で声が漏れる。
俺?俺じゃない。そんなに可愛らしい声じゃないよ、俺は。
服の端々が燃えている。火傷も多分どっかかしらにしてる。ダメージがないとはとても言いきれない。それでも、俺は抱き抱えた女性に満面の笑みを浮かべた。
「もう大丈夫」
数秒前、赤い地獄にいた女性は、今、俺と共に青々とした空を舞っている。状況に理解が追いついていないのだろう。しばしキョトンとした顔をして、
「ホークス············!?」
本当に、本当に驚いたといった感じで、瞳孔を大きく広げた。
「はい、ホークスですよっと。とりあえず降りますね」
適当なところに降り立ち、彼女の身を改める。体のあちこちに擦り傷や切り傷があるが、どれも大した傷では無さそうだ。出血も少ない。
多分、崩壊したガレキが上手い具合にバランスをとって、彼女を押し潰すことがなかったんだろう。運が良かった、と思うと同時に、俺が早く彼女に気づいていれば、そんなところで運の良さを発揮することもなかったのに、と悔恨の念を抱く。 - 8121/10/19(火) 03:09:10
「あ······あのっ!」
「! はい」
彼女に声をかけられ、ふと我に戻る。どつでもいいことで、直ぐにマイナスな考えに陥ってしまうのは最近の俺の悪い癖だ。そも、ヒーローが助けるべき人々の前で暗い顔をしていちゃいけない。
俺は努めて明るい顔を向ける。
「どうしました?」
「大丈夫······ですか?」
「はい?」
俺の喉から、反射的に頓狂な声が漏れる。
大丈夫ですか、だって? その言葉は、たった今助けられた側の人間が発するには少々見当違いに思えた。むしろ、俺の側が発するべき言葉だ。困惑する俺をよそに、彼女は続けた。
「ああ! いきなりすみません。私はひなむといいます。鳳 火奈夢。急に変ですよね、ヒーローに大丈夫か、なんて······!」
「ああ、いえ······」
「でも、でもですよ!? ホークス、今とっても辛そうな顔をしてました!!!まるで、どこか痛めてるような······はっ!もしかして、ケガしちゃいました!?私を助けるために?!ああああーーーどうしましょうどうしましょう!」
一人でころころと表情を変えながら話す彼女の姿は、いたいけで純粋な子犬を彷彿とさせた。 - 9121/10/19(火) 03:09:44
自分だって怖い思いをしたろうに、ヒーローとはいえ見ず知らずの俺の身を案じるだなんて。
変わってる。そう、思った。
だから、何となく、さっき自分を責めていたのが馬鹿みたいに思えて······
ふっ、と。つい笑みがこぼれた。
多分それは、ヒーローとしてじゃなくて俺個人としての笑み。
「あぁっ!ほ、ホークス!笑わないでくださいよ!本当に大丈夫ですか!?本当に心配してるんですからね!!」
目をギュッ、と瞑って握りこぶしを作る火奈夢。必死だ。
悪い人じゃないのは痛いほど伝わってくる。むしろ限りない善性······自身の状態を問わず、目の前の人間を案じるその姿は、俺たちに通ずる何かを感じる。
なんか、調子が狂うなあ。
「ともかく、俺は大丈夫です。あなたも無事で良かった。何よりです」
俺の言葉に、火奈夢はきょとんと目を見開く。彼女のたおやかなオレンジの長髪と同じ、綺麗なオレンジの瞳が真っ直ぐに俺を見据えた。ほんの一瞬、見つめあったかと思うと、再び彼女は笑顔に戻った。
「なら、良かったです!!私も、大丈夫です!!!」
大丈夫、大丈夫。この数分で何度おなじ言葉を言っただろう。でも、悪くはないんじゃないか?人を安心させるのに、これ以上有効な言葉を俺は知らない。事実、俺は彼女の「大丈夫」にあたたかいものを感じていた。 - 10121/10/19(火) 03:10:20
さあ、そろそろ行かなくては。ヒーローはいつだって忙しい。不本意ではあるが。今回はどうにかなったが、どうにかならないことの方がよっぽど多い。それでも、どうにもならないことを、どうにかするのがヒーローだ。
踵を返し、歩みを進めようとしたその時。
「ホークス」
声をかけられた。
振り返ると、彼女······火奈夢は、こちらを見据えていた。
その表情は強く、剛く。毅然とした決意を感じるものだった。
一瞬、たじろいだ。その瞳は、あたかも俺の全てを見透かしているような気がしたからだ。
「なんですか?」
答えた俺の声は、微かに震えたように思える。 - 11121/10/19(火) 03:11:01
「大丈夫ですって、言うのは簡単です。でも、本当に『大丈夫』になるのはとっても難しいです」
「ええ」
彼女の真意がつかめず、曖昧な相槌を打つ。
「ヒーローは強いですけど、でも、それでも、『大丈夫』じゃない時がきっと、来ます。来てしまいます」
「ええ」
「だから、ホークス。あなたが、『大丈夫』じゃなくなって、どうしようもなく悲しくなって、寂しくなって、自分を責めてしまうような時があるのなら······」 - 12121/10/19(火) 03:11:32
彼女は一瞬の間をおいて、爆弾を投下した。
「私が結婚します!!!!!!!
絶対に幸せにしてみせます!!!!!!!!!
おじいちゃんになった時生きててよかったと言わせてみせます!!!!!」
「ええ······ええっ!?!?!?!?」
何を言っているのだ。この子は?
数秒、脳が硬直する。どんな敵にも、どんな事故にも冷静さを失わずに素早く回転し続けた脳が今、完全に停止している。驚愕と動揺が俺を支配しているうちに、火奈夢は続ける。
「もし、もしですよ? もし、実際結婚出来たら全力で逃げ道になります!!!幸せにします!!!!ホークスの意思を尊重します!!!!意地でも絶対にホークスより先に死んだりしないし死なせません!!!!子供を抱かせてあげます!!!何があってもずっと絶対味方だし好きです!!!」
はあ、はあ、と肩で息をする火奈夢。彼女の身体はほのかに上気しており、これが単に叫んだだけという訳では無いことを敏感な俺の羽は察知していた。
ああ、彼女は放ったのだ。渾身の一撃を。自身の全てをかけた、全身全霊の一言を。 - 13121/10/19(火) 03:12:02
参った。これは参ったぞ。ホークス。最速のヒーローよ。こんな窮地は初めてだ。
「だからホークス!!!」
「は、はい」
彼女の気迫に押され、姿勢を正す。
「あなたは決して死なないで」
「あなたが例えどんな立場であろうとも、どんなピンチにあろうとも!!見捨てない!!応援する!!最大限のエールと愛を送る!!!私は絶対にあなたを肯定する!!!!!!そういう人間が!いるってことを、決して忘れないでください!!!!!!!」
それでも、それでも、と。
火奈夢は必死に抱えた言葉をぽろりぽろりと口の端から零すように、語る。
「疲れてしまった時には休んだっていいんです。ヒーローだって人間です。1人で休みたい時もあるでしょう。そんな時、私は遠くからあなたを見つめます。けれどもし、もしも、何かに縋りたいと、誰かの隣で眠りたいと思ったなら────」
「────私が、います」
戯言だと。
一笑に付すのは簡単だった。
ヒーローは人気商売。それは俺だってよく分かってる。ファンはいるがアンチも多い。それと同じくらいには、『厄介なファン』だっている。
彼女をそれにカテゴライズするのは簡単だった。
でも、この時はなんだか。
疲れてたのかな。彼女の言葉が、すぅっと胸に染み込む感じがして。
「············ああ」
ただ、頷いた。
それを見て、火奈夢もただ、微笑んだ。 - 14121/10/19(火) 03:12:23
ホークスは空を飛ぶ。
今日も今日とて空を飛ぶ。
翼を休める場所があるのなら。
どこまでだって、飛んでいける。
燃え尽きることなく、飛んでいける。
了
- 15121/10/19(火) 03:12:41
おわり
おやすみなさい。 - 16二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 08:30:53
- 17二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 09:00:55
すげー良い…
好きだ - 18二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 09:11:28
ぼくこういうのすき!!!!
- 19二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 14:16:48
SSが生み出されるのも早いな······
- 20二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 14:30:01
- 21二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 14:38:38
3次創作かなたぶん分類は
- 22二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 15:59:20
ヒで他の人の夢主を気に入って夢主の夢主作ってる人見かけたことあるし夢界隈やオリキャラ界隈だとあり得ることかもしれん
- 23二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 02:14:35
よい
- 24二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 09:14:42
ホークスを無理矢理結婚させるスレから見守ってたけどとても良いSSが読めた…
ううっ…ありがとう…この子とならホークスは幸せになれる