- 1二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 20:46:52
メディアを通してウマ娘の世界を見たんだ
そうしたら急に、ヒトミミ生活が惨めに見えてきてな
ウマ娘になろうと思ったんだよ
本スレは「自分がウマ娘だったら」を妄想するスレです。
スレを開いたあなたも自分のウマ娘になった姿を想像してみましょう。
前スレ
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umamusumeninaritai @ ウィキ【12/15更新】@wikiへようこそ ウィキはみんなで気軽にホームページ編集できるツールです。 このページは自由に編集することができます。 メールで送られてきたパスワードを用いてログインすることで、各種変更(サイト名...w.atwiki.jp - 2二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 20:47:15
参考になりそうなもの↓
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お絵描きできない人向け
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診断メーカー↓
ウマ娘になったらの診断をプログラミングして作った!|あにまん掲示板https://shindanking.wixsite.com/my-site-1おかしくなったから立て直した画像のような結果が出ますbbs.animanch.com※入部希望者へ※
際限なくウマ娘が増えてしまうことを避けるため、原則一人一ウマ娘でお願いします!
次スレは>>190を踏んだ人が建てること!
建てられない場合は他の人にスレ建て代行をお願いすること!
スレの管理ができなくなるモバイル回線で建てないこと!
いいー?
- 3クアドラプルグロウ22/10/14(金) 20:49:14
たて乙です!
スレ画ネタが初めて知ってる漫画になった…
それはそうと予告通りSSぶん投げまーす!
これの続きですわ
クアドラプルグロウのウマ娘ストーリー - uma-musumeになりたい部 @ ウィキ【9/30更新】1話「夢を教えて」 その日は選抜レースの日だった。 「いっちに、さんし…」 「すぅー…はぁ…」 『みんなやっぱり緊張してるんだな…』 そんなことを考えつつ、一人一人ウマ娘を眺めていた。 「ゲートイン完...w.atwiki.jp - 4クアドラプルグロウ22/10/14(金) 20:50:21
オークスの前に「………の夢のオークス」
「………」
『クア?…クア!!!クアドラプルグロウ!!!』
「はっ…ごめんねトレーナー!何かな?」
『何かな、じゃないだろう…”オークス”が、始まるぞ』
「あ…うん、そうだね!………」
『クア!!!』
___”皐月賞”以来、クアは少しおかしい。
『…皐月賞の日、何か見たのか?』
「…気づかれちゃったかな。平静を装ってたつもりなんだけど」
『一切装えてなかったぞ…』
「…わからないの」
『わからない?』
「わたくしの”夢”と、スペちゃんの”夢”の違いが」
彼女はそう語る。
「わたくしはお母様の夢のティアラを勝ちたい。スペちゃんはスペちゃんのお母様に託された日本一のウマ娘になりたい。…同じ、じゃないの?」
たしかに言葉を聞けば同じように聞こえる。
「なのに…なんでわたくしは”ごめんなさい”で、スペちゃんは”悔しい”なの?」
…なんとなく、話は見えた。
おそらくレースに負けた後の気持ちの話だろう。
『それは…スペシャルウィークにとっての”日本一”は、”スペシャルウィークの夢”だからじゃないかな』
「…?わたくしも、わたくしの”夢”だよ?お母様の夢を叶えることが、わたくしの…」
『その結論を出すのはまだ早い。とりあえず走ってこよう』
「そうだね…オークス、走るかな!」 - 5クアドラプルグロウ22/10/14(金) 20:50:38
オークス「わたくしの夢のオークス?」
「さあ、ゲートが___開いた!」
彼女は今回も1番に飛び出す。
2番手に大差をつけ、コーナーへと差し掛かっていく。
(…わからない)
彼女は悩みながら走っていた。
足が、緩む。
「っ……!ダメだ」
(今は、レースに集中…!!!)
のぼり、くだり、またのぼり。
府中の坂を駆けていくウマ娘たち。
…その先頭にいるのが、クアドラプルグロウだった。
「いっ…けぇええええええええええええええっ!!!」 - 6クアドラプルグロウ22/10/14(金) 20:50:52
オークスの後に「???の夢のオークス」
『クア、オークス制覇、おめでとう!これでダブルティアラだな』
「ありがとう、トレーナー……」
『どうしたんだ?』
喜ぶそぶりを一切見せず。クアはどこか遠くを見るような、他人を見るような顔をしている。
「…ねえ、トレーナー」
『なんだ、言ってみてくれ』
「来週の”日本ダービー”…見にいきたい。今日のレースの結果は、そうしてから決まるかな」
『…わかった』
着順は当然もう決まっている。
彼女は1着だった。
それでも彼女は、「今日のレースの結果は日本ダービーの後に決まる」と、そう言った。 - 7クアドラプルグロウ22/10/14(金) 20:51:30
日本ダービー「日本一の夢のダービー」
大歓声が沸き起こっている。
「夢を掴んだスペシャルウィークっ!!!!!」
「…スペちゃん………」
日本ダービーを掴んだスペシャルウィークを、クアドラプルグロウはどこか寂しそうな眼差しで見つめていた。
「嬉しい…!私、日本一に近づけたんだ…!」
「…ねえ、トレーナー。帰ろうか」
『え?スペシャルウィーク達に声をかけなくていいのか?』
「いいの。…今話しかけるのは、恥ずかしいかな」
そう言ってクアとトレーナーは帰り道を辿りだした。
「…オークスの結果、出たかな」
着順ではなく結果。それが出た。
「オークスは…”わたくしの夢”じゃ、ない」
彼女はそう言い切った。
「これは…”お母様の夢”。わたくしが背負っているもの。わたくしが見ているものじゃない。だって…勝っても、わたくしはスペちゃんみたいに喜べない。負けても、スペちゃんみたいに悔しがれない」
『クア………』
「…ねえ、トレーナーは、わたくしが”夢”を見つけるためにトレーナーになってくれたんだよね?」
『ああ』
「…そっか」
クアは、夕焼け空に視線を向けながら、儚い笑みを浮かべた。 - 8クアドラプルグロウ22/10/14(金) 20:51:42
『…次のレースは、秋華賞…でいいんだよな?』
トレーナーは確かめるように言う。
「もちろん。ここまできたら狙うしかないかな、トリプルティアラ!」
先ほどとはうって変わって、元気に答えるクアドラプルグロウ。
「それに…”お母様の夢”を、捨てるつもりじゃないからね」
『…無理はするなよ』
「うん、しないかな!」 - 9クアドラプルグロウ22/10/14(金) 20:52:01
以上になります!
あい変わらず一度が短くて申し訳ない - 10二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 20:54:09
クアちゃん……
いままで抱いていたのが夢じゃないことに気づけただけで前進ですね
ここから自分の夢を見つけて欲しい - 11二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 21:03:37
チェンソーボバーマン
- 12二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 21:05:28
たておつー
ゾンビ! チェンソー! サメ! 我ら!! - 13キタサンアイドルの人22/10/14(金) 21:21:51
クアちゃん…トリプルティアラへのプレッシャーが少し和らぎましたね…良かった…。
小説投下(前置きすっとばし)
【杖となり盾となり】
カウンセラー「お手数ですがまたキタサンアイドルさんの近況についてご報告をお願いします。」
ルドルフ「寝たくないようであり疲労が溜まっています。心身一如、彼女が心配です」
[トレーニングに打ち込みすぎていて雑談などはよく言うんだけど、遊びに関しては断られたの…]
カウンセラー「…わかりました、寝たくないというのはどういう物でしょうか」
今日もトレセン学園のカウンセラーにキタサンアイドルの精神状況を説明していた。そして同室である皇帝シンボリルドルフにも同行してもらった。私がトレーナーを目指した理由の一つでもある彼女と接するのはさすがに緊張したがアイドルのためならなんでもできた。
快く彼女は受け入れてくれ、今に至る。
〜🕛〜
ルドルフ「トレーナー殿はキタサンアイドルに自主独立の精神だけではなく他力本願の精神を身につけてほしいのですね」
[うーん、まあそんな感じ?…ですね]
ルドルフ「敬語は不要です、その方が話しやすいでしょう」
[…なんかすっごい緊張する……ま、まあ。今日はありがとうね、生徒会忙しいのに付き合わせて]
ルドルフ「いえ、少し顔厚忸怩ではありますがエアグルーヴに働きすぎだ、今日は生徒会の仕事をやるなと言われてしまいまして…」
[働きすぎは良くないよ、程よくやってこ] - 14二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 21:22:32
このレスは削除されています
- 15キタサンアイドルの人22/10/14(金) 21:23:07
ルドルフ「トレーナー殿はシービーとまさに大同小異ですね」
[こんな簡単に名ウマ娘の名前が出てくるなんて…やっぱトレセンって魔境だわ…。あと話変わるけどアイドルのことよろしくね、私だけだと溢れる物もあるから]
ルドルフ「はい、全てのウマ娘の幸福のために犬バ之労を惜しみません。まずは目の前の者を救わなければ」
[せっかくだし何か奢ろうか?良い店知ってるよ]
ルドルフ「恐悦至極、お言葉に甘えさせて頂きます」
[じゃあ行こっか、アイドルへのお土産も買ってさ]
こうしてアイドルを支える計画が起動したのであった…!!
___
るなちゃんのかんたんなよじじゅくごこうざー
ここではこのss内での四字熟語の意味をるなが解説するの!わっくわくだね!
心身一如 『身体と精神は一体であって、分けることはできず、一つのものの両面にすぎない。仏教の教え』
自主独立 『他者からの保護や助力なしに、自分の力で事にあたることや、その精神』
他力本願 『自分の力では難しい成仏の願いを、阿弥陀仏の本願力に頼って叶えること』
顔厚忸怩 『非常に恥じ入ることの謙称』
大小同異 『細かい点に違いはあるが、だいたい同じであること』
犬バ之労 『自分が主人や他人のために力を尽くして働くことを謙遜していう語』
使い方間違ってるとか言われてもるな知らないもん - 16二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 21:25:15
縦乙
鈴奈庵とは懐かしい
SS謝謝茄子!
でも私には分からんのです
母の夢を追いたいと思ったのが自分ならスペちゃんの夢とも比類するべき尊いものだと感じるのですわ - 17キタサンアイドルの人22/10/14(金) 21:42:56
- 18二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 21:47:50
SS投げるなら!
予告しよう(n回目) - 19クアドラプルグロウ22/10/14(金) 21:57:18
ほあー…(どう説明すればいいやら…というかSSに説明をつけるのが恥ずかしいのですわ…)
- 20二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 22:06:39
ナミュールといいイクイノックスといい注目した馬の尽くがG1好走止まりのクインちゃん
田原さんもこう言ってるしそろそろG1勝ってくれよ頼むよ…。
【秋華賞2022】田原成貴「展開予想」3冠を阻止するのはこの馬! 展開で浮上する穴馬も推奨<東スポ競馬>
- 21ダンスローバストの中の人22/10/14(金) 22:19:24
秋華賞前にSS書けた…
間に合った…
次レスから投下しますね - 22ダンスローバストの中の人22/10/14(金) 22:20:58
【東京スポーツ杯ジュニアステークスに向けて】
「着替えも終わりました、脚の調子も悪くないです。」
「あとは、東京スポーツ杯ジュニアステークスで1着になるだけ…。」
「気合十分だね。」
初めての府中のコース、しっかりとコース構造は叩き込み、距離延長のためにスタミナトレーニングも、走り込みも欠かさず行ってきた。あとは彼女を信じるだけ____。
「実は、物語の展開がこのレースの結果に左右されていることを思うと……少し、怖いです。」
「例えどんなに全力を出しても届かないかも知れません。下手したら掲示板外に入ってしまうかも…。」
「物語は、まだ始まったばかりだよ。」
「トレーナー…さん?でも、このレースは私のクラシックを占う大切な____。」
「勝てなくても、それはいつか『素敵な物語』になるよ。」
たとえ、敵わなくてもこれは物語の序盤にしか過ぎない。何回でも立て直せる、別の頂を目指したり、栄光がいつか自分の元へやってくるということを話すと……。
「まだ序章、きっと『素敵な物語』になる…。」
「……その通りですね。さすが私のダンスパートナー。」
「何もしないで着外になるのが一番物語にとっても、レースにとってもダメですよね。」
「…それなら、私は行きます。これが私が『素敵な物語』を作る為に、できることですから。」
ダンスローバストは手を握り合わせて頷く。ようやく、いつもの迫力が戻ってきた。
「見ていてください。クラシックの章に繋がる、大切な、大切なレースですから…!」 - 23ダンスローバストの中の人22/10/14(金) 22:21:52
【東京スポーツ杯ジュニアステークスの後に・幸先良しの兆し】
「…はぁっ……はぁっ……、ふふっ!」
「見ていて、くれましたよね?よね!?私がゴール板を駆けていく瞬間を。」
「流石の走りだったよ!」
「今も夢見たいで……気づいたらゴール板で…!」
「とにかく、ありがとうございます……!私、ちゃんと強く、速くなれているんですね…!」
第一関門を越えて、ささやかな祝勝会をすることにしたのだが…。
「トレーナーさん。次走のこと、提案したくて。」
「…まあ、少し無理をすることになるローテーションになるかも知れませんが。」
「もう決まったの?!」
「ええ、阪神JFか朝日杯FS…。それか、ホープフルSに行こうかと。」
「けれども、阪神JFか朝日杯FSを選ぶと2ヶ月連続のレース出走となってしまいます。しかも、今日全力で走って一つのレースに使う体力は相当多いことが分かりましたし…。」
「私、比較的距離の短いティアラ路線に進もうとは思っていましたが…。」
「思い切ってクラシック路線に挑もうと決めました。その為に私、『ホープフルステークス』に出たいです。」
ホープフルステークス、皐月賞含めクラシックへの輝きを見せるジュニア級G1。距離は2000m、クラシックで中距離路線に名を挙げるならば勝っておきたいレースだ。 - 24ダンスローバストの中の人22/10/14(金) 22:22:16
「今日のレースよりも距離が長いけれど…大丈夫?」
「ええ。1800mは初めて走った距離でしたけれど、道中スタミナが切れる事なく走れました。恐らくスタミナトレーニングを積み重ねていけば中距離でも大丈夫かと。」
そして、レース場の近くで即興で買ったケーキを2人で食べる時間を過ごし、甘さの余韻に浸りながらクラシックへの思いをお互いに噛み締めた。次の目標レースを『ホープフルステークス』に据え、トレーニングに勤しむ日々が始まった。 - 25ダンスローバストの中の人22/10/14(金) 22:23:05
【ホープフルSに向けて】
『ホープフルステークス』の当日が訪れた。
緊張しているかと思い、控室に訪れるとミニハットとリボンを外しているローバストの姿があった。
「ローバスト。」
「……あ、トレーナーさん。脚の調子も大丈夫です。それに、レースの緊張感にも慣れてきました。」
「リボンと帽子はどうしたの?」
「少し、レースまで外していようと思いまして。あれを付けると少しピリッとすると言うか。」
初めて見たダンスローバストの勝負服。以前彼女から聞いた勝負服のモチーフは英国紳士、そしてダンサー。燕尾服のベントが大きくてドレスのようにも見え、風が吹くとふわっと広がりそうだ。童話に出てくる王子様のような白いズボンに、腿くらいの丈があるブーツ。ブーツに付いている高いヒールを見て走りづらそう……とは思うが、ウマ娘にとってはしっくり来るらしい。
「似合っているよ、勝負服。」
「ありがとうございますっ!でも、ちょっと着るのが大変でした。」
「……あの、一つトレーナーさんにお願い。してもいいですか?」
「何でも聞くよ。出来ることなら。」
「髪、編んでくれませんか?」
「え?」
「初めての勝負服、初めてのG1。自分でも髪は編めますよ?でも……。」
「初めての仕上げは、トレーナーさんにしてもらいたいなって。」 - 26ダンスローバストの中の人22/10/14(金) 22:24:34
レース生地の黒いリボンを二つ手に持って自分の前に勢いよく差し出してくる。
「私よりもきっと、ローバストの方が上手いと思うよ?」
「…トレーナーさんがいいんです。トレーナーさんにやって貰いたい。」
…仕方ない。緊張感を和らげる為にもこうするしかない、と自分に言い聞かせた。
「…分かったよ。ほら、そこに座って。」
「ふふ、ありがとうございます。三つ編みでも、編み込みでも、何でもいいですよ。」
一つ一つ髪を束に分けて、上へ、上へとどんどん編んでいく。耳の上くらいの長さまで髪を編んで、リボンで結ぶ。
…簡単な作業だが、不器用な自分にとってはかなり難易度の高いものだった。編む順番を間違えてしまい、少しでこぼこになってしまった…。観客から見たら、ちゃんとセットしていないように見えてしまうかもしれない。
「片方出来たよ。少し下手っぴだけど、大丈夫そう?」
「…ッ。いえ、大丈夫です。ありがとうございます。寧ろ、トレーナーさんに編んでくれたと思えますから…。」
そう言うとローバストは私が編んだ三つ編みを愛おしそうに撫でた。…下手な三つ編みだけれど、気に入ってくれたらしい。
「もう片方お願いしますね。それと、最後にミニハット。被せてくれますか?」
「……仕方ないなぁ。今回だけだよ?今回だけ…。」
「ええ、今回だけで。けれどもトレーナーさんの三つ編み、私よりも上手なのでこれからも頼むかもしれませんね?」
目の前の控室の鏡を見ると、ダンスローバストの表情はレース前とは思えない柔らかい表情をしていた。…だが、ローバストの顔を除いてみると、思わぬ凛々しさを放っていて、不覚にも見入ってしまったのだった。 - 27ダンスローバストの中の人22/10/14(金) 22:27:08
以上です!
ローバストの髪は三つ編みリボンになっているぞ!
ちなみに日常生活では眼鏡付けています - 28二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 22:29:59
三つ編み仲間ヤッター!
- 29クアドラプルグロウ22/10/14(金) 22:32:56
三つ編み仲間かなー!
そして物語…雰囲気いいですねぇ - 30二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 22:47:43
三つ編み仲間に喜ぶクインちゃんであったが他の三つ編みメンバーを知らなかった───
- 31キタサンアイドルの人22/10/15(土) 06:53:19
- 32クアドラプルグロウ22/10/15(土) 08:47:37
キタサンアイドルちゃん!ストレートに言うよ!!!
わたくしと同室になってほしいかな!!!
ほら、オークス仲間だし…
(あと中の人がビジュアルに惚れました、リボン絡んだツインテ可愛い。そして性格も健気?な感じがして可愛い) - 33メジロエスキーの人22/10/15(土) 09:00:14
大胆な告白は女の子の特権……
という冗談は置いといて今日もSSの続き投げさせてもらいますね - 34メジロエスキーの人22/10/15(土) 09:01:09
─────
10月某日、日本では毎日王冠や京都大賞典が行われていた日の夜、本来ならばとっくに就寝を促されているこの時間、多くのウマ娘が寮の休憩室のテレビを静かに見守っていた。もちろん寮長からは許可が出ている。
『──多くの日本のウマ娘たちが追い求め、そして破れてきた夢、凱旋門賞制覇。果たして今日我々はその夢が叶う瞬間を目の当たりにすることができるのでしょうか』
テレビから聞こえてくる実況に体がウズウズするのを必死に抑える。ただそれは周りのみんなも同じみたいで、隣に座っているカジっちゃん先輩も自分が走るレースの前みたいに緊張するのが見て取れた。そんな先輩と何より自分自身の体の強張りを解すために小さな声でそっと話しかける。
「カジっちゃん先輩、怖い顔になってますよ。もっとリラックスしないと」
「だってエスキーちゃん向こうでも一番人気なンスよ? それで負けちゃったらって思うと……」
「だったらもっと応援してあげないと! 私たちの緊張があの子に伝わって本領発揮できなかったらそれこそ後悔してもしきれませんよ」
そう自分にも言い聞かせるように先輩相手に説くと、カジっちゃん先輩は確かにそうスねと大きく深呼吸をして、にっこりと微笑む。
「よし、精一杯応援するッスよー!」
「おー!」
お互いの表情が柔らかくなったところで大外枠のウマ娘がゲートに収まる。
『──さあ我々の夢、日本の夢を乗せて。今年の凱旋門賞、今ゲートが開きました!』
─────
『今年は合計4人もの日本のウマ娘が参戦している凱旋門賞。現地でも堂々の一番人気に支持されているメジロエスキーは現在前から4,5人目の位置でレースを進めています。凱旋門賞3連覇を目指しますアクティヴィを見るような格好。重たい馬場も慣れた様子でコーナーを回り、偽りの直線、フォルスストレートに各ウマ娘差し掛かってまいります!』
日本と異なるコースの形状と脚元の芝。並のウマ娘ならそれだけで体力を持っていかれて最後に伸びる脚を残すことができない。ただエスキーなら、長期遠征でヨーロッパのコースや道中の流れに体を慣らしたエスキーなら……!
「行け……行けっ!」
私の想い、みんなの想いを乗せ、足取り軽く、表情も明るく最後の直線へと好位置をキープしたまま飛び込んでくる。 - 35メジロエスキーの人22/10/15(土) 09:02:27
『──さあフォルスストレートを抜け最後の直線! 内ラチ沿いにオープンストレッチが設けられたこの直線、ここで先頭に立とうとするのは外から伸びてきたアイルランドのドレフトゥール! しかし内から3連覇は私のものだと言わんばかりにイギリスのアクティヴィが前を捉える! しかしさらにその内から日本のメジロエスキーが一気に飲み込まんと前に迫ってくる!』
残り200m、先頭まではあと1バ身。これなら……!
「行け!」「差して!」「伸びてきて!」「もうひと踏ん張り! 頑張りな!」
見守るみんなから次々とエスキーに向けてエールが送られる。それに応えるようにあの子は前に迫り……
「お願い! 勝って!」
『残り100m、ここでメジロエスキーが先頭に替わる! 外からフランスのフォレストゴーストも迫ってくるが先頭は替わらない! 今メジロエスキー、今先頭でゴールイン!!! 今、歴史に新たな1ページが刻まれました! 日本のウマ娘が初めて凱旋門賞を制しました!』
「「「「「やったー!!!!!」」」」」
拍手、拍手、そして鳴り響く大歓声。ゴール直前に立ち上がったままみんながみんな大偉業に対し祝福の言葉を贈る。普段はあまり話さない、今回たまたま近くの席に座った子同士が凄かったねと言いあいながら抱き合っていたり、中には感動のあまり泣き出してしまう子もいた。そんな歓喜のムードの中私はテレビの画面を見つめながら静かに拍手を送っていた。
そんな私の態度を不思議に思ったのか、いつもと違って周りの子たちと一緒に盛り上がっていたカジっちゃん先輩が私の方に静かに寄ってきて軽く私の方を叩いた。
「どうしたンスか、エスキモーちゃん? あまり盛り上がってないような……」
何かあったんじゃないかと気を遣ってくれた先輩に大丈夫ですよと伝えたあとこう続ける。
「素直に嬉しいんです、嬉しいんですけど、それより遠いところまで行っちゃったなって。もう届かないかもしれないと思うと、少し寂しくなっちゃって」
日本だけでなく海外のレース、しかも世界一決定戦と名高い凱旋門賞まで制してしまうなんて。初めて一緒に走った時から強かったけど、その強さは変わらないどころか成長し続けているんだなと思うと、私と彼女の距離が果てしなく遠くに感じた。
- 36メジロエスキーの人22/10/15(土) 09:03:21
「テンションのアップダウンが激しい子ッスねー あのねエスキモーちゃん。確かにエスキーちゃんはすっごく強いッス。私たちのチームの中でも一二を争うぐらいに。ただエスキーちゃんも完璧じゃない、レースについてはよく分かんないッスけど、精神的にはまだ幼い部分もあるはずだから、そういった所をエスキモーちゃんが支えてあげれば今までよりさらに距離が近づくんじゃないッスかね? もしかしたらそれが実際のレースにも役に立つかもしれないッスし」
「……先輩みたいなこと言うんですね」
「紛うことなき先輩ッスよ!? まあそんな冗談が言えるなら大丈夫ッスかね。私は先に部屋に戻るから、落ち着いたらエスキモーちゃんも戻ってくるッスよ」
それじゃと言って手をヒラヒラと振り、カジっちゃん先輩は私たちの部屋へと戻っていった。
(あの子と私じゃ実力にまだまだ差がある。だけどカジっちゃん先輩が言うとおり、あの子に寄り添って、あの子を理解すれば何か変わるかもしれない。そのためにもまずは……)
携帯の画面を開き、メッセージアプリを立ち上げる。そして「メジロエスキー」と書かれた部分をタッチし、文字を打ち込む。
「おめでとう! また話いっぱい聞かせてね、っと。よし、寝ますか」
そう1人呟いて自分の部屋へと戻る。明日も早く起きるために、トレーニングを頑張るためにも早く寝ないとね。
─────
歓喜の凱旋門賞から2週間。息つく間もなく迫るブリーダーズカップターフに向けて準備を進めている最中、今朝はエスキモーちゃんが出走する菊花賞を見るために朝の準備もそこそこに日本からのレース中継を静かに見守っていた。もちろん昨晩寝る前に彼女には「頑張ってくださいっ!」とメッセージは送ってある。
(エスキモーちゃんのレースっぷり、楽しみに見させてもらいますよ)
本バ場入場が始まる。レースが始まるまであともう少し。
─────
「はぁ〜〜〜ふぅ……よし! 準備完了!」
「すっかりG1の雰囲気にも慣れたみたいだな」
「だってもう4回目だよ? 流石に嫌でも慣れるよ」
時は少し遡ってレース前の控え室にて最終調整を行う2人。ただお互いにG1独特の空気感にも馴染んだみたいで、終始リラックスしてレースへ集中力を高めることができている。
- 37メジロエスキーの人22/10/15(土) 09:04:18
「ただ唯一違うのは……」
「1番人気ってところでしょ? しかも抜けた」
「そう。そこだけ気がかりだったんだが……その様子だと大丈夫みたいだな。実力、遺憾なく発揮してこい!」
「うん、じゃあ行ってくる!」
そう言って控え室を飛び出し地下バ道へと駆け出していく。胸は弾み、足取りは軽い。視界には一点の曇りもない。
(皐月賞勝てなかったダービーウマ娘は菊花賞勝てない? そんなジンクス、私が吹き飛ばしてみせるんだから!)
─────
本バ場入場も無事終わり、3コーナー手前のゲートの後ろに18人が揃ってレース前最後の時を過ごしていた。忙しなく歩き回る者、全く動かず精神統一を行っている者、初めてのG1の舞台に浮かれているのか辺りをキョロキョロと見回している者、十人十色の時間の使い方をしている。私は軽くストレッチを行いながら静かにゲートインが始まるのを待っていた。
(スタートはキッチリ決める、ポジションはいつも通り、仕掛けるのは坂の少し手前から。坂で惰性をつけたまま最後の直線に向かう……よし、バッチリ覚えてる)
頭の中でレースプランの整理。トレーナーと練り上げた作戦と鍛え上げたこの脚があれば私は負けない。
「それじゃあゲート入り始めまーす」
「よしっ、頑張りますか!」
─────
『──さあ枠入りが順調に進んでまいります。1番人気のダービーウマ娘、メジロエスキモーは2枠3番、2番人気神戸新聞杯2着のラピートは7枠14番へと収まります』
逸る気持ちを少し抑えて一度二度と深呼吸。
『──そして最後に大外18番イチノイチが収まり態勢完了……スタートしました!』
ゲートが開き各ウマ娘が一斉に飛び出す。出遅れはなく、一団のまま最初の3コーナーへと向かっていく。私は問題なくゲートを決め、スッと前から5、6人目の位置につけた。
(最初の坂では脚を使わずにこの位置をキープ。ホームストレッチに坂はないから体力も使わずに済む)
- 38メジロエスキーの人22/10/15(土) 09:05:46
順調に4コーナーを回って大観衆の前を18人が通り過ぎる。
『──さあ長距離戦ならではの少しゆったりとしたペースですが、最初の1000mは1分2秒台、まずまずといった流れでしょうか。隊列はそれほど変わらず、先頭には5枠10番のプレジデントが立っております』
長距離だからだろう、それほど飛ばして後ろを突き放す逃げウマ娘もおらず、淡々とレースが進んでいく。2コーナーも過ぎ、遠く彼方に2回目の淀の坂が待ち構えているのを視界に捉える。
(この長丁場、まだまだ脚は溜まってる。後ろからも……一気に捲ってきそうな気配もない。なら……!)
『──さていよいよ2度目の淀の坂に各ウマ娘突入していきます。ここで徐々にペースが上がってきたか? まもなく残り1000mの地点を通過します!』
右側に「10」と書かれたハロン棒が見えたのを確認すると少し深呼吸して数を数える。
(1……2……3……4……5。よし、今だ!)
『──さあまもなく坂の頂上を迎えますが、おっとここで動いたのはメジロエスキモーか!? 4、5番手から前に徐々に接近していきます!』
周りのウマ娘たちが静かに息を飲む声を耳でしっかりと捉える。もちろん彼女たちも驚くだけであとは手も足も出ないようなそんなウマ娘ではない。私に釣られて各ウマ娘たちが一斉にスパートをかけ始める。下り坂で勢いをつけた者たちが4コーナーから最後の直線へとなだれ込んでいく。
『──今年の菊花賞最後の直線を迎えます! 先頭はまだプレジデントですが、外からメジロエスキモーが捉える捉える! ここで先頭が替わりました! その内から迫ってくるのはプレミアムコスモ、ラピートですが……』
残り600mを切ってからは完全に私にとって未知の距離。だけど、残り300mを切っても脚は全然残っている。息は乱れているけど倒れ込みたいほどではない。
(最後の一冠も私がもらうんだから……!)
『──残り200mを切って抜け出しているのはメジロエスキモー! 外から各ウマ娘追ってきますが差が詰まらない! 今年もメジロだ! メジロエスキモー、今1着でゴールイン! 菊の勲章は譲らない! 去年に引き続き菊花賞はメジロのウマ娘が制しました!』
- 39メジロエスキーの人22/10/15(土) 09:06:39
脚が重い、呼吸が苦しい、今すぐ芝生に横たわりたい。だけど、だけど、勝者は前を向かないと、大観衆のエールに応えないといけない義務があるんだから。
乱れた呼吸を整え、再び観客席の前へと戻ってくる。スタンドの前で少し立ち止まって、より一層大きくなった歓声に大手を振って深々と一礼。再び駆け出すと勝者の特権たる観客席のすぐ横を通って地下バ道へと抜けていく。もちろんファンのみんなが上げる歓喜の声には腕が千切れてしまうぐらい大きく手を振って感謝の想いを伝える。
観客席が見えなくなり、少し暗い地下バ道の中に入ると、目の前にはいつものようにトレーナーが待ってくれていた。それを見た私は勢いよくトレーナーの胸の中に飛び込み感謝を伝える。
「ありがとうトレーナー……私、勝ったよ!」
「おめでとう、エスキモー。最高だった」
「キラキラしてた?」
「ああ、とても眩しかった。本当におめでとう!」
「えへへ……もっと褒めてほしいな……」
そう言ってトレーナーの胸に顔を埋める。そんな私のお願いを聞いてくれたトレーナーは抱き締めながらいくつもの褒め言葉をかけてくれた。
「……っと、そろそろ戻らないと表彰式とかウイニングライブに間に合わなくなるな。急ぐぞ」
「あっ、もうそんな時間?」
ハッと顔を上げ、トレーナーから体を離し急いで控え室へと戻る。遅れちゃう遅れちゃうと焦りながら駆けるその姿はレース前と変わらない、颯爽とした足取りをしていた。
─────
レース中継が終わった。勝ったのは当然エスキモーちゃん。臨戦過程といい、これまで一緒に走っていた感じといい、そしてレース前に交わしたやりとりといい、懸念点は全くなかった。当然というより必然と述べた方が正しいだろうか。中継を見たのはその確認作業に過ぎなかった。
手に持った携帯で祝意のメッセージを送り、電源を押して画面を消す。そして椅子に座ったまま静かに一考。
(元々今年の有馬記念で競走生活に幕を下ろして元の姿に戻るつもりでしたが……今日のレースを見たらもう少し走りたくなっちゃいましたね。ドーベル姉さまにはまだ迷惑掛けちゃいますけど……)
そしてもう一度携帯のメッセージアプリを立ち上げ、今度はタキオンさんにメッセージを送る。
──来年も引き続きよろしくお願いします、と。
- 40メジロエスキーの人22/10/15(土) 09:07:48
今日はここまで。明日は諸事情で投下できるか怪しいですが明後日は必ず
- 41クアドラプルグロウ22/10/15(土) 09:16:30
菊花賞制覇おめでとー!
やっぱりウマ娘はアツいレースをしてこそですね いいものを読みました - 42キタサンアイドルの人22/10/15(土) 10:49:49
- 43クアドラプルグロウ22/10/15(土) 11:00:01
あれ、ルドルフさんと同室だったのかな!?(書いてあったら申し訳ない見落としでした)
ルドルフさんだと寮も違うかな…その、無理はしないでいいんだよ…?
でもOK嬉しい!ありがとう!
(何度も言いますが無理はしないで大丈夫ですよ)
- 44メジロエスキーの人22/10/15(土) 11:08:22
寮の部屋を行ったり来たりするスタイル、新種の三角関係っぽくて好き
- 45二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 11:17:17
- 46二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 11:22:27
- 47クアドラプルグロウ22/10/15(土) 11:33:17
- 48クアドラプルグロウ22/10/15(土) 11:33:27
- 49二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 11:35:56
- 50二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 11:50:38
凄く可愛い
- 51二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 11:51:03
- 52メジロエスキーの人22/10/15(土) 12:26:13
はー好き
- 53レッカの構成因子22/10/15(土) 12:39:01
可愛いね…
- 54メジロエスキーの人22/10/15(土) 13:57:16
明日投げられそうにないので、今日のうちにSSの続き投げますね……
- 55メジロエスキーの人22/10/15(土) 13:58:10
─────
ウイニングライブも終わり、新幹線に乗って帰宅の途についた私たち2人。すっかり外も暗くなり、学園近くに着くのは門限をとっくに過ぎた時間だった。もちろん関西圏でのレースに出る以上、ある程度遅くなるのは問題ないんだけど。
「学園に戻ってきたねー 今日1日長かったなあ」
「菊花賞を勝ってクラシック2冠ウマ娘になって、みんなから祝福されて……今のところ順調だな。もちろん皐月賞勝てたらよかったんだが、今更うじうじ言ってもしょうがないしな」
「そうだよ〜 反省はしてもくよくよしない!」
胸をバンと張って、もう悩んでないよアピールをトレーナーに見せつける。それを見たトレーナーはハハハと声を出して笑う。
「オレの心配しすぎだな、すまん……ああそれで今晩なんだが……泊まるか?」
「……あっ、G1勝ったからトレーナーの家泊まれるんだった」
トレーナーに言われて思い出した。そういえば約束してたんだったね。夏前の話だったし練習も忙しかったしですっかり頭から抜け落ちていた。
「私外泊届出してないんだけど……もしかしてトレーナー出してくれてた?」
「当然。菊花賞の出走が確定したタイミングで出しに行ったよ」
「ちょっと待ってね……つまりそれって……」
「菊花賞、君が絶対勝つと信じていたから」
暗くとも分かるその堂々とした表情と凛とした声。そんな勇ましい姿と声の情報が脳に届くやいなや、思わずトレーナーのことをギュッと抱き締めていた。
「トレーナー、大好き!」
「オレもだよ。さあ家に帰ろうか」
「うん!」
そう言って再び2人仲良く歩き出す。今度は学園ではなくトレーナーの家に向かって。 - 56メジロエスキーの人22/10/15(土) 13:59:11
─────
「はぁ〜〜、こんな時間にトレーナーの家にいるのってすごく久しぶりかも」
途中のスーパーで買ったご飯を済ませてからお風呂に入り、リビングのソファでほっと一息をつく。ふと見上げると時計の針がもうすぐ21時を指そうとしていた。
「やっぱりトレーナーの家って落ち着くな……」
そう言いながらソファに横になる。トレーナーはまだお風呂から上がってきていないから今だけ私が独り占め。
クッションを1つ胸元に抱え込み、仰向けになって天井を見つめる。
「これでG1を2つ勝ったんだよね……しかも人生で一度しか走れないクラシックのレースを2つも……」
目を閉じると、今までの走ってきたレースが瞼に浮かんでくる。緊張しっぱなしのデビュー戦、初めて負けたホープフルS、そして日本ダービーで掴んだ栄光。本当に楽しかったな。
「……ってなに勝手に終わらせようとしてるのよ私ってば。まだ今年レース残ってるんだから」
そう言ってパッと立ち上がったタイミングでトレーナーが洗面所からリビングへと戻ってくる。最後の言葉だけ聞こえていたみたいで、ソファに2人して腰掛けると次のレース、今年最後のレースについて話し始めた。
「菊花賞も終わってクラシック級の子たちだけが出る大レースはもうない。これからはシニア級の先輩たちとぶつかることになる。そこはいいな?」
「うん、大丈夫」
「それで今年あと何出ようかって話だけど、候補としては一応4つある。国内ならジャパンカップ、有馬記念、海外なら香港カップか香港ヴァーズ。もちろん天皇賞も出られるんだが……」
「来週だもんね」
そう、シニア級と先輩たちと戦える機会自体はダービーの翌週から存在した。それこそ宝塚記念だってクラシック級の子は出走できるし、私の適性からは外れるんだけどスプリンターズSもクラシック級の子たちとシニア級の先輩たちがぶつかる大きなレース。それに秋の天皇賞は2000mという中距離レースだから、実力はあるけど長い距離に不安がある子たちはサートゥルヌスさんみたく菊花賞を避けてこのレースに挑むというローテーションを組むことも最近多いみたい。
- 57メジロエスキーの人22/10/15(土) 14:00:16
「出られるなら出たいけど、G1を連闘、しかも3000mを走ってすぐにレースを使うのは狂気の沙汰だ。もしエスキモーが出たいって言ってきてもオレは絶対に止めていたよ」
「流石にそれは杞憂なんじゃないかな……」
ある程度体が丈夫な自信がある私でもそんな真似は流石にできない。オグリ先輩とかじゃないんだしさ。もちろん言ってこないだろうと分かった上でのさっきの4択だったんだろう。
「それでトレーナーはどれがいいと思ってるの?」
「少なくともいきなり海外でっていうのはリターンは大きいがリスクもそれ以上に高い。香港カップは2000m、香港ヴァーズは2400mと日本だけじゃなく現地や他の地域からの有力なウマ娘たちが揃うとあってレベルが高いからな。もちろん国内の方がレベルが低いと言うつもりは微塵もないが」
「ということは国内のどっちかってことね。まずジャパンカップは東京の2400m。ダービーで同じ距離を走ったし、経験値としてはこちらの方が明らかに上。ただ1ヶ月後なのがネック」
「そうだ。そしてもう1つが有馬記念。ジャパンカップとは真逆で舞台は中山2500mと全く未経験の距離だがあと2ヶ月もあるから、コースの勉強や今日のレースの回復、そしてシニア級と競っても負けないための強化トレーニングをする時間も十分にある。さあどうする?」
ここまで言っておいて最後は私に決めさせるのかと少し呆れつつも私なりに考えた結論をぶつける。
「それなら……有馬記念かな。ここで新しいコース形態を味わっておけば来年にその経験を活かせるだろうし」
得意なコースで絶対に負けないというのも1つの王者の形だろう。ただ私はあらゆるコースを経験し、制するのも王者の1つの形だとも思う。だから私は有馬記念に挑戦する。
その力強い言葉を聞いたトレーナーは少し頷き、早速スケジュールの中で有馬が目標レースだと書き加える。私の勇気の証をしっかりと記していた。
「……よし! じゃあ明日はトレーニング休みだから明後日から始めるメニューを2人で考えるとして、今日は疲れたから寝るか!」
欠伸をしながら背筋をぐーーーっと伸ばすトレーナー。私もそれに釣られてふわあと欠伸が口から漏れる。トレーナーはそんな私の手を取って寝室へと連れて行く。
「今日は頑張ったしぐっすり眠れそう」
- 58メジロエスキーの人22/10/15(土) 14:01:24
1つのベッドに並んで向い合う形で横になり2人語らう。部屋の灯りは完全にではなくとも相手の顔が認識できる程度に暗く落とされていた。
「朝早かったしな。どうする? 明日休みでここでトレーニングの話してもいいけど」
「流石にレースの次の日毎回休むのはクラスの委員長としてどうかと思うし……気遣ってくれてありがと……んっ」
「んっ……分かった。だったら寝坊はするなよ? オレ起こさないからな?」
「起こさないじゃなくて起こせない、でしょ。いつも私の方が起きるの早いんだから」
「そうとも言う……じゃあそろそろ電気消すか?」
「うん、お願い」
手元のリモコンで部屋の照明を完全に落とし、室内は真っ暗になる。ただ手を伸ばせばすぐそこにトレーナーがいる。
そしてまるでお互いが示し合わせたかのように距離を縮め、互いの腕の中に体を収める。
「おやすみ、トレーナー」
「おやすみ、エスキモー」
──2人とも幸せそうな笑みを浮かべながら静かに眠りに落ちていく。今日という素晴らしい1日に幕を下ろし、また明日という未知の1日の幕を上げるために。
─────
菊花賞の翌週、東京レース場にて行われたG1、天皇賞(秋)。ホープフルSや皐月賞、そして前走の神戸新聞杯で見せたパフォーマンスによりクラシック級ながら2番人気に支持されたものの──
『──人気のサートゥルヌスはここから……伸びない伸びない! 今1番人気の……が先頭でゴールイン! 2番人気のサートゥルヌスは6着に敗れました!』
2強対決とも呼ばれたこの一戦、サートゥルヌスさんはこれまでのパフォーマンスが嘘みたいに最後の直線で伸びあぐね、掲示板をも外す6着に敗退した。
レース後控え室を尋ねるとやはり肩をがっくりと落とし項垂れていた。自信があったのにという気持ちが言葉を交わさずとも伝わってくる。お疲れさまの気持ちと応援ありがとうの気持ちを互いに伝えあったあと、自然と2人の次走の話になった。
- 59メジロエスキーの人22/10/15(土) 14:02:42
「エスキモーさんは次有馬記念だっけ?」
「そう。流石にジャパンカップはレース間隔狭いかなってトレーナーと相談して。距離は菊花賞勝ったから大丈夫だと思うし」
「そうか。僕もまだトレーナーと相談している段階だけど、次は有馬記念にしようかと思っているんだ」
「えっ、そうなの。距離は……」
「2400mは克服できたし、2500mも大丈夫だと思う。実際走ってみないと分からないけどね」
ダービーの敗戦により距離適性が疑問視されていたサートゥルヌスさんだったけど、神戸新聞杯の楽勝っぷりに再び適性が見直された今、100mの延長にはなるが有馬記念の距離もおそらく問題ないと思う。特に有馬のコース形態ってコーナー多くて息入れやすいって聞いたことあるし、もし距離に不安があっても大丈夫なんじゃないかな。
「そっか。だったら次で4回目だね」
「ああ、今はまだ僕の2勝1敗。突き放せるか追いつかれるか、とても楽しみだ」
「こちらこそ楽しみにしてる。お互い全力をぶつけよう」
「もちろん!」
そう言ってガッチリと握手を交わす。強いライバルとの再戦、これほど心が躍るものはなかなかない。来月のレースがとても楽しみになってきた。
─────
有馬記念に向けたトレーニングに明け暮れる日々。そんな中でまた海外から偉業達成の報告が舞い込んできた。
『──日本のメジロエスキー突き放す! 初のアメリカでのレース、初めてのブリーダーズカップの舞台も全く問題にしないまま今先頭でゴールイン! 見事日本のウマ娘で初めてブリーダーズカップターフを制しました!』
またもや彼女が新たなる記録と記憶を刻みつけた。まさに縦横無尽、天下無双。日本海外問わず常に先頭でゴールを駆け抜けるその姿はまさに世界最強。果たして次に駆けるのはどの舞台なのか、世界中がその一挙手一投足から目を離せないでいた。
テレビ中継を見て彼女に「おめでとう」とメッセージを送ると、数分後には既読の表示がつき、その直後に返事が返ってきた。
「『あとで電話してもいいですか?』って。時間もあるし……『少し寄るところあるからもうちょっとしてからでいい』っと」
- 60メジロエスキーの人22/10/15(土) 14:03:45
そう返事をして寮の休憩室から自室へと戻る。もう9時だっていうのに部屋のカーテンは閉め切られ、カジっちゃん先輩はぐっすりと惰眠を貪っていた。そんな先輩のだらしない姿にハァ〜と1つ溜め息をつき、容赦なくカーテンを開け、部屋に眩しい光を取り込む。
「はいはい、とっくに朝ですよ、カジっちゃん先輩。早く起きてください」
「嫌ッス……まだ寝てたいッス……」
「布団に籠もろうとしない! 小さい子どもですか!」
「布団剥がさないでほしいッスぅ……」
どこかでやったような布団の引っ張り合いに難なく勝利し、ベッドから先輩を追い出す。不満げながら朝の支度を始めた先輩の姿を視界の端に捉えながら急いで着替えて出かける準備を進める。
「もう1人のねぼすけさんも起こしに行かないとだからね!」
─────
トレーナーの家に着くと、寝室へ直行しまだ暗い部屋で横になっているお寝坊さんをさっきのカジっちゃん先輩と同じ要領でたたき起こす。モゴモゴ何か言ってたような気がしたけど聞こえないふりをして、急いで2人分の朝食の準備を済ませる。
「おはよう……今何時だ……?」
「もう10時前! エスキーとここで電話するから先食べてるよ」
「おう、そうか……顔洗わないと……」
そう言ってスリッパを引っ掛け相変わらずのそのそと洗面所に向かうトレーナー。ただ洗ってスッキリした顔はシャンとしててかっこいいんだよね……なんか腹立つなあ……
「ごちそうさまでしたっと。あっ、トレーナーちょうどよかった」
「ん、どうした?」
「食器洗いだけお願いしてもいい? あの子にまだかってせっつかれてて」
「もちろん。任せとけ」
急いで歯を磨き、髪が跳ねてないか鏡で確認して準備万端。再びリビングに戻ってソファに座り、ひと息ついたところで電話をかける。
『あっ、もしもしエスキモーちゃん?』
「おはよう……じゃなくてそっちはもう夜なんだっけ」
- 61メジロエスキーの人22/10/15(土) 14:04:58
『はい、今夜の8時ぐらいですね。レースも終わってわたしも家でゆっくりしていたところです。姉さまは2人で話したらって気を遣ってくださって、今は寝室に引っ込んでますね』
「ってそうだ。エスキー、ブリーダーズカップターフ優勝おめでとう! 相変わらずかっこよかったよ」
『そこは可愛かったじゃないんですね……でもありがとうございますっ! やっぱりこうして顔を見て言ってもらえると嬉しさが倍増しますねっ』
「そう言ってもらえたら応援する方も嬉しくなるよ……それで話したいことってなに?」
そう、あくまでも優勝のお祝いは前座。エスキーが海外で勝つたびにこうやって通話してたからいつものことではあるんだけど、エスキーの方から「話したいことがあります」と言われて通話をするのは珍しい。
『そろそろわたし日本に帰ろうかと思いまして。明日にでもフランスに戻って部屋の片付けをするつもりなんです』
「そうなんだ。じゃあこれで海外遠征は一旦終了ってこと?」
『そうですね。これだけ多くのレースを勝たせてもらえましたし、日本に戻って半年ぐらい体を休めるつもりだったんですが……』
「……ですが?」
何か気が変わったのだろうか。少し深呼吸をしたあと意を決したように話を続ける。
『先月のエスキモーちゃんの菊花賞見ました。本当に凄かったです。去年最後に走った時よりまるで別人のように感じました』
「あ、ありがと……前も祝ってもらったけど、こうして改めて褒められると照れるね……」
『その後、というより今日わたしはまた大きなレースを勝ちました。今日本に戻っても十二分に力を発揮できると思います』
「そっか……えっとそれで結局何が言いたいの?」
話があまり掴めきれない中エスキーは再び話を切り、そしてこう言い放つ。
『来月の有馬記念、わたしも走ります』
目がおかしくなったのかと思い目を擦り、耳の不調かと思って少し耳をトントンと軽く叩いて音が聞こえるか確認する。全ての感覚が正常なことを確認したのち、もう一度彼女の真意を問う。
「さっき言ったことはほんと? 嘘じゃないよね?」
その問いに彼女はまっすぐ私を見つめ真剣な表情でこう答える。
- 62メジロエスキーの人22/10/15(土) 14:05:28
『はい。来月末の有馬記念、わたしも出ます。一緒に走るのを楽しみにしてますね』
「そっ、か……うん分かった。教えてくれてありがとね。まだこれってトレーナー以外に言わない方がいい?」
『そうしてもらえると助かります。日本に戻ってから他の皆さんに報告するつもりなので』
「……うん、じゃあ日本に戻ってきたら今度は直接顔を見て話そうね。おやすみ、エスキー」
『エスキモーちゃんも体に気をつけてくださいね』
そう言って互いに通話終了のボタンを押すと、携帯がメッセージ表示の画面を映し出す。私は天井を見上げ、何秒間か静かに見つめる。そんな私の様子を気にして、手早く食事を済ませ食器を洗い終えたトレーナーが私の隣へと腰掛ける。
「最後の話は聞こえていた。エスキー、有馬に出てくるんだってな」
その台詞に天井を見つめていた視線をトレーナーの方に向ける。ただ見つめる先は彼の顔ではなく少し下、ちょうど胸の辺り。
「あの子ずっと海外にいるものだと思ってた。だから今度のレースもサートゥルヌスさんとの一騎打ちとばかり考えてたの……あっ、もちろんシニア級の先輩たちのことも頭に入れてたよ!?」
「オレも同じだ。仮に日本に一旦戻ってくるにしてもそれこそ香港に向かうものだと思っていたよ。それがまさか日本の、しかも君が走る有馬に矛先を向けてくるなんてどうして……いや、理由を考えてもしょうがない。どうやって彼女に勝つか、それだけを考えよう」
「そう、だね……」
真意を問うのはそれこそレースが終わってからでも遅くない。今は新たなる強敵をどう倒すか頭を捻りに捻って考えるだけ。それだけなんだから。
─────
通話を切った後ふうっと息を吐き出し、ピンと張っていた緊張の糸を切り落とす。
(やっぱり驚いてましたよね、エスキモーちゃん。あの様子だとレースで一緒に走るなんてないと思っていたはず)
そう、わたしもそう思っていた。ただあの走る姿を見てから脚のうずうずが止まらない。今日のレースが終わってもそれは変わらなかった。
(すなわちあなたと同じレースを、真剣勝負をやらないと解消されないということ。勝とうが負けようがどうでもいい。わたしはあなたと走りたいんです)
──そう、わたしのライバルであるあなたと。
- 63メジロエスキーの人22/10/15(土) 14:05:56
今度こそ今日はここまで。また明後日
- 64クアドラプルグロウ22/10/15(土) 16:55:07
かんたんアイちゃんお待ちですわ!
まだ制服しかないので勝負服はちょっと待っててくださいましー!
ファイルなう - アップロードされたファイルかんたんアイちゃん 制服.zip (893 KB)d.kuku.lu - 65クアドラプルグロウ22/10/15(土) 16:55:53
- 66クアドラプルグロウ22/10/15(土) 16:58:27
わぁ…甘さ+アツさ…良きですねぇ
いっつもこれしか言えてない気がする、自分の語彙が恨めしい - 67ラプ中22/10/15(土) 17:25:03
- 68キタサンアイドルの人22/10/15(土) 18:20:43
- 69メジロエスキーの人22/10/15(土) 18:46:38
ジップラインは強度が心配になるからロープウェイにしようか。みなとみらいにあるようなやつ
- 70クアドラプルグロウ22/10/15(土) 19:10:12
- 71ツキノミフネの背後霊22/10/15(土) 19:43:36
ちょっとスレお邪魔してSS投稿させて頂きます
日頃これないのに投稿ばかりしてごめんなさい…… - 72ツキノミフネの背後霊22/10/15(土) 19:45:09
【白兎と赤い月】
「……どうだった?」
「良くなってきてると思いますよ。あと一本走ったら今日は終わりにしましょうか」
「ああ、わかった」
文句も言わず駆けていくミフネさんを見送ってから、僕は内心ため息をつく。予想外だ。覚えが良すぎる。覚えていってるっていうより、段々思い出していってるっていうほうがしっくりくる。これじゃ坂路をサボる口実としてはちょっと弱い。チッ。
まあ、ミフネさんの覚えがいいことは僕にとってはデメリットよりもメリットのほうが多い。
第一、先輩のお願いを二つ返事でオッケーする程度には良識派な僕だけど、だからといって暇なわけじゃない。手を煩わされずに済むなら越したことはないのである。 - 73ツキノミフネの背後霊22/10/15(土) 19:46:18
「はっはっは」
規則的な呼吸音が僕の耳に届く。
にしても。ミフネさんイメチェンし過ぎでは? 芦毛はちょうど三本。メッシュかなって思うくらいしか面影がない。後は全部真っ赤。髪型は手の込んだ編み込みじゃなくて、適当に垂らしてるだけですってカンジ。
他人にそこまで関心のない僕にだって一発で変化がわかる。いやあ、ミフネさんに走りを教えてくれってお願いされたときは思わずだれ?って言っちゃったけど。ミフネさんのイメチェンが過ぎるのが悪いのであって、僕は悪くない(重要)。
「はっはっはっ」
そろそろミフネさんが戻ってくるころか。
ちぇー、坂路をサボれる時間はそろそろおわりか。待てよ?いっそ僕の代わりにミフネさんに坂路を走ってもらえばいいのでは? あらやだ僕ったら天才。
「サボれるわけないだろバ鹿たれ」
隣で様子を窺っていたトレーナーさんに軽く頭にチョップされる。天才たる僕の思考はトレーナーさんには筒抜けだったようだ。これがマックイーンさんが言ってた一心同体ってやつかな?いやはや、嬉しいのやらなんなのやら。
「ふう……今日はありがとう。走りのコツを掴んだ気がするよ。では、また明日」
クールダウンを終えたミフネさんが声を掛けてくる。赤髪と二本のメッシュのコントラストが妙に眩しい。
穏やかなようで、燃え盛る炎のような青い瞳。
理性的なようで、どこまでも獰猛な笑み。
うーん、ミフネさんってこんなふうに笑う人だっけ?
そうこう僕が考えているうち、走り終えたからもう満足だって言うみたいにミフネさんはあっさり帰っていった。手短なのは僕としては助かるけど、これもちょっと違和感。うーん、まあいっか。
この違和感を払拭する間もなく、トレーナーさんの指示で今日も僕は坂路を駆ける。やっぱ坂路はキッツい。
なんだかんだで無事坂路のノルマを達成して、坂路でアイスを転がすトレーニングを終えた後。ふと、なんとなく、どうしてか。別れ際のミフネさんが僕の脳裏に浮かんだ。
「あれ? ミフネさんのメッシュって二本だったっけ?」 - 74二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 20:30:30
ミフネどん(?)のイメチェン度合いとやっぱこの子すげーわ感すき
でも元のやべーミフネどんも好き……今もやべーな?
それはそれとバラカのエミュとかいう苦行を成し遂げた背後霊氏に拍手を送りたいですね。「なんか変だけどまあいっか」と微妙に冷たいあたり実に此奴
同時に失われた芦毛に遺憾の意を禁じえない所存……おのれ赤くてデカいやつめ貴重な芦毛を - 75キタサンアイドルの人22/10/15(土) 22:28:46
横から失礼。
知ってるか?これまだメイクデビューなんだぜ
【メイクデビュー】
「…行ってきます!」
[行ってらっしゃい!!]
私は元気に送り出すだけ。それが私に出来ること。
1枠1番、逃げにとって最適だ。しかし良馬場であり、重馬場が得意な彼女には良くない。
アイドルは作戦通りの位置につけている、ペースもおよそ予定通り。…問題は最終コーナーだ。
最終コーナーに差し掛かり、他のウマ娘が彼女に迫ってくる。
「(このまま押し切れ…)」
(ドンッ)
「っ!?」
『おおっと1番減速!すかさず12番が突っ込んでくる!!』
[アイドル…]
様子を見るにかなりフラッシュバックが酷いらしい、やはりレースだとダメか……それなら!
[私が居るよ!!]
「っトレーナーさん!」 - 76キタサンアイドルの人22/10/15(土) 22:30:21
「(そうだ、負けられない)」
「(絶対に渡すもんか!!)」
(ドンッ)
([私が居るよ!!])
モブウマ娘「貰ったァァァァア!!」
「…嫌だ」
「終われない…!!終われない…!!!」
固有スキル〔逆夢か、正夢か〕
「はァァァァア!!!!」
『キタサンアイドル再加速!!一気に上がります!!』
[…領域]
聞いたことがある、時代を創るウマ娘は領域に目覚めると。だが領域というには不完全で危ういように見えた。
「ァァァァア!!!!」
獣のような叫び声をあげ、加速する。……この走りを続けていては確実に持たないだろう。
『キタサンアイドル一着でゴールイン!最後意地を見せてメイクデビューを制しました!!二着には__』 - 77キタサンアイドルの人22/10/15(土) 22:33:10
〜🕛〜
[お疲れ様]
「……はい」
大分疲れている様子だ、今日はもう休ませた方が良い。
[今日はゆっくり休んで]
「……あの…トレーナーさん…。ワタシ………」
そう言って彼女は黙り込んでしまった。
[レースのことは明日一緒に考えよう、今日は色々とあったし、今は休みましょう]
「…はい」
さて、今日も眠れない夜になりそうだ。
___
固有スキル(笑)の説明。
〔逆夢か、正夢か〕
最終コーナー以降先頭でかつ他のウマ娘が迫っていた場合、スタミナをすごく使い恐怖で加速し続ける。
用はメイクデビューを逃したら果てを目指せないという切羽詰まった極限状態なので擬似領域が発動した。
トレーナーさんは領域(笑)とトラウマに気をつけなきゃいけないんだなぁ…大変だね - 78シュウマツノカジツの人22/10/15(土) 23:19:40
布団はがされる姿が似合いすぎる
- 79アラシュパーパス22/10/16(日) 00:01:33
- 80クアドラプルグロウ22/10/16(日) 00:06:24
アラシュかわいい!!!
- 81フラワリン22/10/16(日) 00:08:14
ソーキュート!
- 82クアドラプルグロウ22/10/16(日) 00:08:32
- 83ラピッドホライゾンの人22/10/16(日) 00:11:01
可愛い(可愛い)
- 84アラシュパーパス22/10/16(日) 01:30:46
まさに想像してた通りです!!
- 85ライトニングホラーの中身22/10/16(日) 03:46:27
ホラーSSをこの時間だから載せるぜ⚡️
ヤバい、私 呪われたかも
夜中にトレーナーさんに黙って1人で練習をしてたんだ そしたら誰かがジッと見つめてる感じがした。最初は気のせいだと思ってたのでも日にちが経つに連れ何かが近づいてるのが分かった
こんな時どうすれば、レースも近い もしかして私を怪我させようとしてる?レースがもうすぐなのに 誰かに相談?
カフェさん?リッキーさん?フク.........この2人なら何とかなるだろうか......そういえばあの人達はどこで出会えるんだろうか グラウンド?教室?寮?なかなか会えないような
そんなことを考えながら歩いてると突然
「ライトニーーーング⚡️⚡️⚡️」
その声と共に木の上から何かが落ちてきた
「ぐぇべ」そのまま地面に激突した
水色の髪色、雷のようなトゲトゲした横髪
ライトニングホラー.........たしかこの子もスピリチュアルな事に関わっているウマ娘の筈だ
「な、何してるの?それに何処から」
「うーーん、ライトニング⚡️な気配を感じて現れたーー⚡️じゃダメ?」
訳がわからない
「キミ悩んでるんでしょ?ホーラが力になれるかもよ」
若干疑いがあったが他に頼れるものもなかったので彼女に話すことにした
夜中に何かが私の部屋に近づいてきてること、何かが見つめていること
彼女は真剣な顔で聞いて、話し終わった瞬間に「夜になったらキミの部屋に来てもいい?」
そう一言言った - 86ライトニングホラーの中身22/10/16(日) 03:47:00
夜
ホラーさんを待ちながら私は部屋を見渡してた
普通なら同室相手がいるけど今はいない 私はこの広い部屋で1人だ 同室相手.......友人はもういない
やはり1人は寂しい ドアをノックする音が聞こえた「ホーラだけど入っていい?」私は彼女を部屋に入れた 彼女は箱を持っていた、箱の中に色々と入っている
私はなんなのか尋ねた彼女は「こうゆうのに合う道具て言えばいいのかな⚡️日本ではこっちの方が合う筈だし」そう言って彼女は訳もわからないものを取り出して張り出した
ドアにも窓にも壁にも、そうこうしてるうちに
ホラーさんは床に何かを描き始めた 確かアレは六芒星だっけ?
「この中に上から入って。絶対、線を消さないように。一応2人分入れるだけの広さだから」
「あとケータイやら電子機器は全部引き出しの中に入れてね。」
「電源は切って絶対に反応しないように気づかれたら.....大変ですから」
言われた通り、スマホ、パソコンの電源を落として引き出しに入れた
そして私は書かれた六芒星の上に座った ホラーさんは後ろに座った
「声は出さないで、小さい声で。ウマ娘なら聞こえる程度で」
いつの間にか彼女のいつものテンションは鳴りを潜めた - 87ライトニングホラー22/10/16(日) 03:47:29
『..ぇ、....る.....で...ょ』
声が聞こえる え、この声
「反応しないで」
「で、でもこの声......友達の声」
そう言った時、ホラーさんは私の目を手で隠した
「あの......「目を瞑って、絶対に開かないで
『ねぇ、開けてよ』『いるんでしょ?』ハッキリと声が聞こえる 友人の声そのものだ でも、どうしてこんな時間に そんな思いと裏腹に声は大きくなっていく
声がどんどん大きくなる、今すぐ逃げ出したい でも、グッと体を抱きしめられて動けない
アレに気づかれちゃダメ、友人じゃない。
それに ’’ウマ娘'' ならわざわざこんなことしない
どうゆうことだろう ふと自分で自分の言葉に疑問を持った
ああ、そうだ その通りだ
ウマ娘の力ならこんなドアなんてすぐに壊せる それにどうして居ないて言えるんだ 私たちは耳がいいだから、いることも気づける筈だ
『開けてよ』『開けて』『ねぇ、いるんでしょ?」『どうして開けてくれないの?』
声がどんどん大きくなってくる 扉を叩く音も今にも壊されそうなほど でも、壊れる気配はみえない 声がやんだ? 諦めてどこかに行ったのか
でも、ホーラさんは「安心しないで」思わず「どうし」ガンーー‼︎大きな音が響いたと同時に - 88ライトニングホラー22/10/16(日) 03:47:52
『開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ.........開けろォォォォ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎』
- 89ライトニングホラー22/10/16(日) 03:48:13
怒号にも似た声が部屋に響いた、もう怖くって怖くって私は涙を流した 声を出してしまいそうだ 大声で泣き出しそうだ 机の引き出しから電子機器の音が聞こえる電源は切ってる筈なのに「大丈夫、声は出さないでいくらでも泣いていいから。そばに居るから。だから、反応しないで聞かないで」ギリギリ聞こえる声で耳元で呟いた
ポロポロ涙が溢れる ホラーさんはそんな私を離さないように強く抱きしめて、頭を撫でてる
気がついたら、朝日が昇っていた
私は眠っていたようだ、ホラーさんは
「あ、目が覚めた?ライトニング⚡️」
「え、あ。お、おはようございます。」
「いやーー、昨日はとても凄かったね⚡️アレはしばらく忘れられないよ」
何事もなかったかのようにヘラヘラしている彼女、夢だったのかと思いたいが下に書かれてる絵を見て現実なのだと自覚すると同時に
「な、何してるの......」
彼女は私の部屋を漁っていた - 90ライトニングホラー22/10/16(日) 03:49:18
彼女は私の部屋を漁っていた
「うん?うーーん、なんかあると思うんだよね⚡️ここら辺り⚡️」そう言って押し入れにあった、箱を開け出した そして「コレかーーー⚡️」ぬいぐるみを持ち上げた
そのぬいぐるみは友人が作ってくれた大切な物だ、そのぬいぐるみを作ったその数ヶ月後友人は学校を去った
私は悲しくなるから、箱に入れて押し入れの奥に入れたんだ
「そ、それが何だっての.......友人がくれた大切な物なんだよ」
彼女は少しだけ険しい顔をして
「ねぇ、ぬいぐるみの中身とな見た?」「中身?覗くわけないでしょ
「..............そう」そう言ってぬいぐるみの中に手を突っ込んだ
「ちょっと........」私はここから先の言葉に詰まった 彼女はぬいぐるみから何かを引きずりだした
明らかに人の髪の毛だ
「だ、誰の..........」「え、分かってるでしょ?
アナタの髪の毛」
ゾッとした 「キミさ、ホーラに言ってないことありませんか?」「な、何を......」「こうなる要因があるはずです、まあ思い出したくないなら。それでいいけどさ」
私はその時思い出した、こうなった原因を - 91ライトニングホラー22/10/16(日) 03:50:50
私と同室の子は同じ担当トレーナーだった、レースでお互いに活躍しよう そんな想いを互いに胸に思いながら切磋琢磨していた ある時、その子はトレーナーが好きだと私に告白した。私は彼女のことを応援した けど──
トレーナーが愛していたのは私だった
少しづつトレーナーが私にそうゆう感情を抱いてるのは分かった 私は告白された、彼女には黙った 悲しませたくない思いがあったのだ 告白は断った けれどバレたのだろう友人が私を見る目が変わっていったのも そして彼女はトレーナーに褒めて貰おうと1人で勝手にトレーニングをし始めた。そんな無理が祟ったんだろう、怪我をした。急いで病院に連れて行った、2度と以前の走りはできないと診断され、彼女の心はズタボロ折れた そして、学校から去っていった その時の彼女は私を見る顔はどんなのだっただろうか
「あと、コレもあったよ。」そう言って紙を取り出した
「見るのはアナタ次第だよ。ホーラは止めないし、止める義理もないから。何なら神社に持っていくのも」
そういうのが早いか私は彼女の手から強引に紙を奪い取った そして開いたそこに書かれてた言葉は - 92ーらほぐんにとら22/10/16(日) 03:51:33
ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ
紙一面に書かれた許さないの一言だった - 93ーらほぐんにとら22/10/16(日) 03:52:16
その後は私は神社にぬいぐるみを持って行き清めてもらった ぬいぐるみは神社に預けた
私はトレセンから去った もう彼女のことは思い出したくない レースにも出たくない - 94クアドラプルグロウ22/10/16(日) 05:46:47
ほ、ホラーだ…
一番怖いのは人…なのかな? - 95メジロエスキーの人22/10/16(日) 07:47:35
こ、こわ〜……部屋綺麗にして戸締まりちゃんとしとこ……
- 96ラプ中22/10/16(日) 10:14:56
SS投下予告投下!
- 97ラプ中22/10/16(日) 10:15:25
「グロリアスブレイズ先頭、後続に1馬身、2馬身とリード!完勝ゴールイン!秋初戦を勝利で飾りました、ダービーウマ娘グロリアスブレイズ!」
「おー…流石にダービーウマ娘、めっちゃめっちゃに強い…こっちは昨日3着だったのにー…差を感じるわー」
「前哨戦は前哨戦ですが…やはり、彼女たちは強敵ですね。例年のダービーウマ娘が相手なら、あなたも十分に勝つ能力があると確信しているのですが」
「え、そうなん?それ言われたら反抗しちゃうんですけど?」
「反抗?」
「ダービーの子って毎年強いじゃん?でもアタシそいつらには勝てる能力がある…ってトレちゃんは考えてんじゃん?でもあのブレちゃんは別って事っしょ?」
「彼女は歴代の中でも上位にいるでしょうからね」
「なら別じゃなくする!ブレちゃん相手でも勝ったるよ!そうと決まれば早速トレーニングだー!」
「意気盛んで、私も頼もしいです。できれば普段からその調子でいていただければ…」
「……スイマセン」 - 98ラプ中22/10/16(日) 10:17:01
「まあ、今回は正直負ける予測が無かったからね」
「そう?でも秋の上り組だっていたし、私は行けるかどうか不安だったんだけど」
神戸新聞杯の翌日、トレセン学園は昼食の時間。食堂で向き合いながら、ラプラスとブレイズは会話していた。
「上がり調子って言ったって、これまでの勝ち方を見てもブレイズには勝てないだろうなーってね。まあ2着は確保してるから実力は確かなんだけど、相手が悪いね」
「あはは…菊花賞、応援したいね」
ブレイズがカツ丼の左端を箸でつまみ上げ、口の中に運んだ。
「宣戦!布告ゥ!」
二人の空間に、突然他者が姿を現した。周囲の視線が集中するが、その対象たる少女はそれを恐れる気配などない。
「どうしました、急に」
「宣戦布告?」
「そうそう、宣戦布告!ダービーウマ娘グロリアスブレイズ及び好走ウーマンのアドマイヤラプラス!蟄居近親の上果たし状申し付ける!」
高らかな宣言の後に、数秒の沈黙が続いた。
「事実だけど好走ウーマンて…と言うか蟄居近親の意味よくわかってないんじゃ…あと誰?」
「えーっと…ああ、フルールちゃんか」
ブレイズが思い出したのは、同期の強豪の名前。レース観戦が趣味のラプラスも、名前を聞いて瞬時に思い出した。
「あー、フルールドゥオーロ…あのデビュー戦で壁に突っ込んで競争中止になった子か」
「そうそう、フェアリーSで掛かりっぱなしから3着…」
「それで桜花賞は全く伸びず、オークスもスローで後方からなかなか動けず3着…」
「…えっと…そっち方面ばっか?」
「あ、いやいや、スピードがすごいのは確かだよね。でも前回は…」
「うう…コース取りマズったのは置いといて…頭悪いから…」
自信をもって突っ込んできた側が、急に旗色を悪くしていた。
「と、とにかく!アタシは秋華賞勝つんで!頭を洗って待ってろなー!」
「…『首を洗って』でしょ。えっと…頑張ってね」
ブレイズの発言を聞いたかどうかは別として、急ぎ足でフルールは食堂の出口に向かった。 - 99ラプ中22/10/16(日) 10:19:12
「あの調子ではあるけど、実力があるのは確かなんだよね、彼女。ただ…」
「頭が足りない」
「それは言っちゃダメでしょう、ラプラス」
「流石に言い過ぎた」
若干反省したところで、ブレイズは言う。
「でも、私たちも追われる立場になってきてるんだ、って改めて思ったよ」
「だね。互いに頑張ろ」
ラプラスの箸が、皿の上のハンバーグの端を軽く裂いた。
毎日王冠の発走までの時間は縮まりつつある。
「分かってるとは思うが、このコースは枠順関係なく実力を試される。と言っても、本番は2週間後の秋天だからな。感覚を戻すためだし、あまり気負わずにな。着狙いでいい」
「はい。…と言っても、勝つな、とは言わないですよね?」
「そりゃ当然」
今回の強敵は安田記念2着の4番のウマ娘。もっとも、相手の走りやデータを精査した結果、自分のレースができれば十分に勝ちうる相手だと結論付けられている。ここでの勝利は、間違いなく本戦への大きな助走になるだろう。
「じゃ、行ってきます」
「おう、頑張って来いよ」
そんな平凡な会話が、勝利へのサインになる。
「最後に10番、マックスシルキーがゲートイン。秋に向けての重要レース、スーパーG2毎日王冠、スタートしました!」 - 100ラプ中22/10/16(日) 10:24:16
スタートに成功したラプラスは、安定して4番手に取り付ける。まずは第一関門突破、上々の滑り出しだ。
そのままテンポを崩さずに追走し、向こう直線で息を入れる。走るのはコーナーを意識してやや外側だが、ここまで順調極まりない。
(……なーんか違うなー)
不思議と、順調な感じがしない。よくわからない圧力を感じる。展開そのものが自分に有利なことは理性で感知しているが、感性がそれを許容していない。どこまで行っても不利であり続けているような、そんな感覚が肌を刺す。
当然ながら彼女の意思は無視され、レースは進行する。気づけば最終コーナーの入り口、ラプラスは直線に向けてじわじわと速度を上げていった。
それと同時に、相手も一気に動き始める。圧力が強まるのをラプラスは感じる。抜け出したくなってたまらず早めのスパートをかけたくなるのを、どうにか抑え込み、加速開始予定位置のハロン棒まで耐え続ける。
勝ち筋として結論付けた、直線入口からのスパートが開始された。
才能に加えられた練習の成果だろう、走りの力強さそのものは圧倒的で鈍りはない。自分のレース、良好なパフォーマンスができている。間違いなく勝ちは近い。あとは真っすぐ突っ込むだけだ。
それでも。不安が、全身を刺す感覚。
「ここは勝つ!」
「私は強いんだ!」
「悔しい思いはしたくない!」
徐々に迫っていくゴールを見据えながら、そんな無音の声が聞こえる。
声を振り払うようにさらに速度を上げていく中、後方から影が迫るのを感じた。
前日の思考では確実に勝てる展開。そのはずなのだが、全くそんな気分になれない。影の近づきを振り切れない。
似たような展開ならこれまでも数多く経験したが、抵抗できる余地があると、これまでは瞬時に判断出来ていた。今回はそうではないのだ。よくわからない力が、自分を押しつぶそうとしているように思われる。
ふと、圧の正体が分かった。
経験や成長の差も確かにある。結局は条件戦止まりのウマ娘も多いクラシックと比べれば、出走資格を前提として持っているシニア級重賞戦では、メンバーレベルが明確に高まるのは当然の話だ。
しかし、その上で現れる決定的な強さ。
勝ちへの執念。
「ライズザフラッグだ!4番ライズザフラッグ一気に差し切った!重賞3勝目!2着にはジュニア級のアドマイヤラプラスが来ています!」 - 101ラプ中22/10/16(日) 10:27:19
地下バ道。
ジュニア級ながら、健闘の末に敗者となったラプラスに対して、賞賛の声が客席、あるいは視聴者からも聞こえてくる。叩きのレースではあるし、相手の実力も相当。そう考えると上々の結果、天皇賞も楽しみだ…そんなポジティブな意見を、普段の彼女なら感じ取ったに違いないだろう。
しかし、今日の彼女はそんな気分になれない。(実際に走ったことはないが)3200mを走り切った直後のような、そんな異様なまでの疲労感。耐えきれず、地下バ道の壁に体を寄せ、その場に座り込んでしまった。
「あー…なんか強い。勝ててるはずなのに、本当に強い」
能力。技術。経験。そして、勝利への執念。これまでに感じたことのない…一種の恐怖感すら。
そして、これは前哨戦。2週後の天皇賞に足りていないのだと実感する。2週間しかないのだ、この差を埋めるのに。気が遠くなる、と言う表現を肌で感じた。
「あーホント…この世界、ちょっとツラいかもー…」
座したまま、自分の発した大きなため息を、ラプラスは聞いた。
「はあああっ!」
ラプラスが勢いよく、夜のコースを駆ける。空に見える星も月も視線の外、頬を撫でる夜風は意識の外。
門限が近いことも、まだ脚を使うのも押さえたほうがいいことも理解している。
それでも、衝動が走らせている。無理をしているのは分かっていても、努力と言う名で自己完結し、何も変化しない。
「このくらい…このくらいはしないと勝てないし…たぶんみんなこのくらいは…いや場合によるかな流石に…?」
ネット上の反応も探した。校舎内の声に聞き耳も立てた。まだ厳しいかもしれない、いや到底無理だという反応もあるが、それでも率直な期待の声は数多く見つけられる。少しでも応えないといけない。あそこで見た勝ちへの執念に追いつくために。
「はあ…もう1週!」
切れている息を水分で無理やり押し流して、もう一度コースに走り出した。
「フルールドゥオーロ!外から凄い脚でフルールドゥオーロ一気に先頭!2番手争いはダブルブレードにレイブラスター、さらにインディペンデントも迫ってくるが!抜けた抜けたフルールドゥオーロ!G1初制覇ー!秋の舞台で成長示した、フルールドゥオーロが勝ちました!」
天皇賞・秋は近づいている。 - 102ラプ中22/10/16(日) 10:28:03
今回はここまでだヨ
続きもそのうち投下するヨ - 103二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 10:29:06
……今のラプラスはクラシック級では?
- 104ラプ中22/10/16(日) 10:29:50
- 105メジロエスキーの人22/10/16(日) 15:01:14
次は勝ってほしいねえ……このまま善戦ウーマンで終わってほしくないねえ……
- 106二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 15:14:14
うおおぉぉぉ!ナミュール全ツッパ!!
- 107二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 15:43:07
ルメールが前目につけたいと言ってただけにスターズオンアースに出遅れはちょっと厳しいか…?
- 108二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 15:46:51
クインちゃんちょっと大樹のウロに飛び込んできますね…。
- 109二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 15:58:30
これは90円だけ勝った鬼の馬券師
- 110アラシュパーパス22/10/16(日) 15:59:26
- 111二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 16:00:36
このレスは削除されています
- 112クアドラプルグロウ22/10/16(日) 16:01:14
- 113プログレスの人22/10/16(日) 16:08:30
多くない?
- 114ラプラスの中身22/10/16(日) 16:10:56
60年代くらいのアメリカの騙馬か何か?
- 115メジロエスキーの人22/10/16(日) 16:11:21
ラストランで見事初G1勝利なのは見事なんだけど……多くない? というか札幌記念好きすぎない???
- 116二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 16:14:12
札幌ラーメン食べに行く名目が欲しいのかもしれない
- 117アラシュパーパス22/10/16(日) 16:16:59
- 118クアドラプルグロウ22/10/16(日) 16:18:02
好きは仕方ない
- 119二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 16:18:04
カジッちゃんとラーメン食べてるときがあるかもしれない
- 120アルケミー22/10/16(日) 16:22:00
(実はこういうの好き)
- 121アラシュパーパス22/10/16(日) 16:25:30
- 122プログレスの人22/10/16(日) 16:28:14
- 123メジロエスキーの人22/10/16(日) 16:28:23
札幌記念4連覇&5年連続連対は生涯63戦よりヤバい気がする
- 124アルケミー22/10/16(日) 16:34:15
マックちゃんとディクタスの血が流れていてキャラデザにイクノさん好きが滲み出ているアルケミーは実質アラシュちゃんかもしれない(?)
- 125二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 17:15:33
- 126ラプラスの中身22/10/16(日) 17:17:57
- 127二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 17:58:36
- 128メジロエスキーの人22/10/16(日) 19:05:48
- 129二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 19:53:44
- 130二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 19:54:17
このレスは削除されています
- 131タナトスの中の人22/10/16(日) 19:54:42
おひさ〜
最近見てないしss書いてないな、そろそろ書くかな - 132二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 19:57:28
- 133二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 19:59:09
バイバイドリンク止めろ
- 134ダンスローバストの中の人22/10/16(日) 20:01:17
- 135二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 20:10:14
うおっ…すっげーセクシー…
- 136メジロエスキーの人22/10/16(日) 20:17:40
- 137二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 20:23:09
SSではないんですが頼まれたものが出来ましたので投下しても宜しくて?
- 138二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 20:25:32
構いませんわ!
- 139二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 20:27:42
クロノジェネシスの20██
(オリエンタルアートの2008みたいな画像)
募集 4,000口
競走馬出資金 19000万円
性別 牝
毛色 栗毛
父 アドマイヤラプラス
母 クロノジェネシス
母の父 バゴ
生年月日 20██/03/25
生産 ノーザンファーム
育成 ノーザンファーム
予定厩舎 ████/美浦
クラス ----
体重 408kg(07/12)
体高 142.5cm(07/12)
胸囲 173.4cm(07/12)
管囲 19.7cm(07/12)
一口競走馬出資金 47500円
保険料 1800円
月額維持費 200円
月会費 900円 - 140二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 20:28:02
「世界への憧憬 時計の針を動かすのは」
・ピックアップコメント
当クラブの代表馬と云って過言ではないであろうラヴズオンリーユー。彼女と鎬を削ったクロノジェネシスの仔を、バヌーシーにご提供出来る運びとなりました。
父親は秋の天皇賞を連覇し、香港や英国など海外でのGI優勝経験をも持つ気鋭の種牡馬アドマイヤラプラス。
「勝ち方がつまらない」とまで揶揄される横綱相撲で並み居るライバルを下していったその姿は、古馬として長くかつ激しく輝きを放つ「古豪」としてのそれでした。
母は云わずと知れた”お祭り娘”。前人未到の春秋グランプリ4連覇に挑むその姿は、見る者に新しい世界の誕生を印象付けるものでした。
そんな彼女を輩出した母の産駒には、クロノジェネシスの半姉であり、ヴィクトリアマイルや香港カップを制したノームコアが居ます。
また3代母インディスユニゾンはフサイチエアデールの全妹で、フサイチエアデールは朝日杯フューチュリティステークス馬フサイチリシャールを送り出しています。
そんな母を以ってしても制覇出来なかった海外の夢。父に導かれた娘の手によって叶えられることを期待してやみません。
・血統診断
母クロノジェネシスは初年度産駒がエピファネイアとの仔であるなどノーザンファーム内でも高く評価されてきたことが伺えます。
その父であるバゴは自らが凱旋門賞を制すなどG15勝馬として世界を股に掛けて活躍。
種牡馬供用の初年度から菊花賞馬ビッグウィークを送り出し、その後も安定して重賞馬を出し続けたフランス馬です。
4代母ラスティックベルの孫世代からはG1馬であるフサイチリシャールを始め重賞馬を数頭輩出。
2代母クロノロジストはそこには入れませんでしたが、繁殖牝馬としてノームコア&クロノジェネシスを送り出し、母系の力を見せつけています。
そんな家系を持つ本馬です。レースだけではなく、繁殖牝馬としての大成をも願うのは自然な流れでしょう。
Mr.Prospectorの4×5×5×5を始め、サンデーサイレンスの4×4とNureyevの5×4を併せ持つ本馬は強い血の結合性を備え、米国種牡馬の集大成とも呼べるものとなっています。
主戦場は芝の中距離になるでしょうが、米国が誇るダートレースへの殴り込みも、また面白いものではないでしょうか。 - 141二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 20:28:15
・馬体診断
――毎年恒例となる馬体診断をお願いに参りました。宜しくお願い致します。
「おいおい、今回は先払いか。いつも取っ払い300万とは云ってるが……例年に増して断れないなこれは」
――今回の通貨単位はペリカですね。まずは美浦の仔から始めたいと思います。こちらのアドマイヤラプラス産駒はいかがでしょうか。
「アドマイヤラプラスか。なんと云うか……父親を一回り小さくしたような感じの馬だな。母親はクロノジェネシスだっけ?」
――ええ。父親そっくりと云うのは褒め言葉と受け取って良いのでしょうか?
「そうだね。顔立ちも、馬っぷりも、すっきりとした端正なイメージだ。歩き方もこの歳の馬なのに、ほとんどぶれてないしね。父親はレースも優等生だったな」
――もう少し馬体が大きければ、2億円や3億円の大台も見えていたのかも知れません。今年のセレクトセールでは税抜で1億9000万円でした。
「いくらノーザン(ファーム生産)でクロノジェネシス産駒だからって牝馬で1億9000万円か!? ……これも時代なのかねえ」
――繁殖としての価値も求められていると考えると、多少値段が釣り上がっても「欲しい」と思われる方は多かったのではないかと。
「走ることは走る。能力とやる気さえ持っていれば。距離は持ちそうだしな。落としにいきたくなるのは理解出来るし、血統を含めても有りと云えば有りなんだろう」
――少し馬体重が軽いのがどう出るか、と云ったところでしょうか。
「牝馬ならこれくらいでも全然おかしくない。母親だってそんなに重い馬ではなかったしな。繁殖牝馬として考えると、血が煮詰まってる感は拭えないが」
――そこは我々も気にかけているところではありますが……レースの方はいかがですかね?
「期待値としては高過ぎる。それこそG1を何回も勝てなければってくらいじゃないと回収出来ないんじゃないか? 出来るだけの要素は詰まってると思うけども」
――買い被りではないと信じますよ。目指すはクラシック、欲を云えば三冠牝馬といきたいところですが。
「そりゃあ2億近けりゃなあ、それくらい云わないとなあ。夢を求めるって意味では悪くない選択だと思うよ、俺はパスだけど(笑)」 - 142二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 20:34:40
- 143クアドラプルグロウ22/10/16(日) 20:38:39
- 144メジロエスキーの人22/10/16(日) 20:41:42
キタサンアイドルさん(なんて愛称で呼べばいいんだろ)もじゃない? 確か彼女大逃げステイヤーだった気がするんだけど
- 145ヨゾラギャウサルのうまそうる22/10/16(日) 20:43:06
ギャウちゃんも出来るよー
- 146ラプラスの中身22/10/16(日) 20:43:42
- 147二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 20:43:45
>>125 の者です。歓迎のお言葉、ありがとうございます。
二刀流について本人は「芝のフカフカした上を走るのも好きだし、ダートを走るときの踏みしめる感じも好き」と言っていました。
他にも楽曲を元にした名前の方がいらっしゃったのですね。改めて過去スレも拝見したいと思います。
東京盃からBCスプリントというローテについては、長くなりますが
・距離適性の関係
シニア級1年目のJBCスプリントは1400Mでの開催→「適性外の千四では勝負にならない」とBCスプリント挑戦→3着
そして翌年のJBCスプリントは1200Mだったのですが「もう一度あそこで戦いたい」と再びBCスプリントに挑戦しました
・母娘制覇がかかっていた
その娘の母親が中長距離で活躍したウマ娘で、現役の最後らへんはダートへ転向していました。そのときに「速い流れを体験しよう」と出走、勝利したのがスプリントの東京盃でした。
それで唯一母娘制覇の可能性が残っていた東京盃に出走しました
- 148ヨゾラギャウサルのうまそうる22/10/16(日) 21:17:23
やらなきゃいけないタスクを抱え過ぎてないかって我ながら思う
- 149メジロエスキーの人22/10/16(日) 21:36:38
- 150二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:43:06
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- 151二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:44:28
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- 152二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 00:06:21
流石に政党はスレチだから外部でな!
- 153二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 00:14:50
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- 154二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 00:20:18
あんま悪目立ちしてほしくはない
ロイビスレもなりたい部発であることは隠してたし - 155ヨゾラギャウサルのうまそうる22/10/17(月) 00:23:22
難しいのう
どうするか - 156二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 04:49:20
弁えよう!TPO!
- 157メジロエスキーの人22/10/17(月) 08:04:50
TPOは弁えてってことで、一昨日ぶりにSSの続き投げますね
- 158メジロエスキーの人22/10/17(月) 08:05:40
─────
あの衝撃の知らせからもう1、2週間が経過した。言っていた通りパリでの居住地からさっさと撤収し日本へ帰国したエスキーは記者会見を開き、これからの競走生活についてこう語った。
『次走については有馬記念を予定しています。流石に疲れちゃったので香港には向かいません。来年ですか? 来年は長めに休養を挟んでから復帰しようと考えています』
まさにあの日私に伝えたことをそのまま口にしていた。その記者会見の様子は全国で放送され、世間では凱旋門賞ウマ娘が日本でまた走ると大騒ぎになっていた。私が2冠を獲ったことなど忘れてしまったように。
もちろん世間に振り回されてトレーニングが疎かになってはいなくて、今日も家でトレーナーとともに有馬の作戦会議を開いていた。
「知ってのとおり例年強豪が集まるこのレース、今年もクラシック級からだけでも皐月賞を勝ったサートゥルヌスさん、そしてダービーと菊花賞2冠のエスキモー、菊花賞2着のプレミアムコスモさん、クラシック3冠とも好走を続けたラピートさんらが出走する」
「それに加えてシニア級の先輩たちもたくさん出てくるんだよね」
「ああ。ただこの1年での成長っぷりを考えると十分に勝機はある……本来ならね」
そう言ってパソコンの画面を切り替え、彼女のデータを表示させる。そう、同じメジロの一員にしてここまで無敗の凱旋門賞ウマ娘、メジロエスキーのものを。
「エスキー、か……」
「約1年彼女は海外に拠点を移し、主に欧州のレースを走ってきた。当然ペースメイクや走り方についても欧州仕様になっているから日本の速い流れに対応できるのかという懸念はあった……この前のブリーダーズカップまでは」
コース全体のアップダウンだけでなくコースの形状までもが日本と大きく異なる欧州のレース場。元々は貴族たちの遊びから始まったことから、貴族たちの庭や広々とした草原の中にコースを設定したものが現代においてもそのまま使われている。もちろん自然をそのまま使っている影響で少し小高い丘も走る訳だから、高低差数十mのコースも普通に存在する。エスキーもそれに合うように走り方も現地のトレーニングで変えていき、あれほどまでの戦果を残してきた。裏を返せばトレーナーの言うとおり日本のような設計されたコースの適性が低くなっていると思われていたんだけど、この前のレースでその懸念は完全に払拭された。 - 159メジロエスキーの人22/10/17(月) 08:06:52
「アメリカのコースは日本と同じで作られたコースなんだよ。それでいてアップダウンもないからペースが流れやすい。当然完全にヨーロッパナイズされていたらペースに置いていかれる可能性もあったんだけど……」
「むしろ完勝。コース形態の違いなんて意に介さなかった」
「そう。もちろん日本に戻ってきたら学園の施設で調整を行う訳だし、何せ元々は日本で走っていたんだから難なく対応するだろう」
そう言うと一度言葉を切り、画面から目を外し天井を見つめるトレーナー。そして再び話を続ける。
「彼女はストロングポイントといえばなんといってもあの終盤の加速力。道中他のウマ娘がどう動こうと冷静に好位でレースを進め、ラストスパートで瞬時に先頭を捉え後続を突き放す。仮に追いすがるウマ娘がいても二の脚を使って差を詰まらせない……」
「まさに鉄板ってことね……」
私の返しにトレーナーは少し唸り声を上げ、両手で顔を隠す。どう対策すればいいのか、これまでいろんなアドバイスを授けてくれたトレーナーも途方に暮れているようだ。
「揺さぶりをかけて掛からせようにも全く動じない。彼女の前に立って先にスパートして粘り込みを図ろうにもスラリと交わされる。後方待機で一気にぶち抜こうにも最後は同じ脚色になって届かない……」
「横でマークしようにも加速力の違いで相手にならない……」
2人して対処法がまるで思いつかないまま時間だけが過ぎていく。結局辿り着いた結論としては、なんとか本番までに彼女以上の加速力と最後までトップスピードを保つスタミナを強化するという、懸念が何も解消していない対策だった。
─────
そうやって先が見えずともトレーニング自体は止めることなく続けている。そのおかげかタイムも以前に比べて縮まっており、一歩一歩成長しているのは確かだ。ただ壁があまりにも高すぎるんだけどね。
そんなある日、トレーニングの合間にようやくマスコミ対応や復帰の手続きが一通り片付いたのかエスキーが声をかけてきた。こうやって顔を直接見て話すのは一体いつぶりだろうか。
- 160メジロエスキーの人22/10/17(月) 08:07:50
「お久しぶりです、エスキモーちゃん。日本に帰ってきてからなかなか忙しくてごめんなさい」
「いいのいいの、エスキーが謝ることじゃないから。それでようやく落ち着いたって感じ?」
「ですです。ずっといつトレーニングに入れるか楽しみにしてましたっ。もしよかったら1本目付き合ってもらっていいですか?」
そう聞きながらも既にいちにっいちにっと準備運動を始めているエスキーを止めることができず、いいよと彼女に伝える。その返事を聞いたエスキーはキラッキラでニコニコな表情で
「ありがとうございますっ! 日本に帰ってきて最初に走るのはエスキモーちゃんって決めてましたからっ!」
と答えた。そんな彼女を見て今更断ることができようか、いやできない。私も彼女に合わせて軽くストレッチをし、併走のスタート位置へと向かう。
「距離はどうしよっか。とりあえず1周ぐるっと回るだけでいい?」
「大丈夫ですよっ! 最初だから軽めですけど、それでもエスキモーちゃんには負けませんからねっ!」
「おっけ。じゃあタイマーセットしてっと。それじゃ位置についてー」
外ラチの外側にタイマーをセットした携帯を置き、構えたエスキーの少し隣でスタートを待つ。
ピッ
ピッ
ピッーーー!!!
2人勢いよく飛び出す。互いに出遅れはない。最初は横並びだった隊列が1コーナーを左に回る頃には崩れ、エスキーが前、私がそのすぐ後ろに位置取る態勢になった。
(今日は今のエスキーの実力を確認させてもらうだけ。本気は出さない!)
トレーナーの分析力も若手トレーナーにしては見事なものだけど、エスキーの能力はウマ娘ながらその上を行くもの。容易にここで力を出してしまっては今度のレースでより勝ちにくくなってしまう。
そんな私の意図は気にしない様子で本番一歩手前ぐらいの速度感で引っ張っていくエスキー。後ろを振り返ることなく第2コーナーから向こう正面を通り過ぎていく。差は1バ身から2バ身ほどだろうか。当然だが追走に苦労することはない。
- 161メジロエスキーの人22/10/17(月) 08:08:41
そのままのペースで迎えた第3コーナー。いつもならもう仕掛けてもいいんだけど、先に動いて情報を渡すのはどうかと躊躇し、エスキーが動くのをじっと待つ。それに感づいたのか彼女は後ろをちらりと振り返ると足を踏み込み一気に加速していく。
(これがあの子の加速力……! よしじゃあ私も!)
3、4コーナーの中間地点で差が一気に広がる。もちろんこのまま何もしなければ併走の意味がないから、私も負けじと前へと食らいついていき、差が3、2バ身ほどに縮まっていく。そしてそのまま4コーナーを回り最後の直線へと向かう。
(もしかしてこのまま……いやあの子には二の脚があるんだから……)
そう甘い考えを一瞬のうちに切り捨てた刹那、予想通り彼女は大きく足を踏み込み再び私との差を広げにかかる。私はそれを全力を出さない程度に追いかけていくも、前との距離は詰まることなく2バ身ほどの差を保ったままエスキーが先にゴール位置を駆け抜けた。
「ハァ……ふぅっ! よしっ、エスキモーちゃんありがとうございましたっ!」
「ハァハァ……私の方こそありがとね。久しぶりに一緒に走れて楽しかった!」
「わたしもすっごく楽しかったですっ! これで有馬記念に向けて本格始動、ですねっ!」
「そう、だね。本番楽しみにしてる」
「わたしもですっ! ではわたしはこの辺りで失礼しますねっ!」
コースを去っていく彼女の背中を静かに見つめながら、想う。
(来月あの子と再び走る。今度はレース場で、G1の舞台で、本気のあの子と)
最後に交わした笑顔は果たして心からのものだったのだろうか。真意を少し測りかねているけど、出てきた楽しみだという言葉は真実だと信じたい。
(トレーニング、頑張らなきゃな……)
そう心の中で呟き、再びコースを駆ける私の姿を夕焼けがコースの芝生に影として落とし込んでいた。
─────
迎えた有馬記念当日の朝。ちょうど冬至の日と重なり、1年で最も太陽の出る時間が短い日。なぜか思っていたより緊張はしておらず、昨日の夜もすぐに寝つくことができた。もしかしたら菊花賞までより重いトレーニングから来る疲れのせいかもしれないけれど。
- 162メジロエスキーの人22/10/17(月) 08:09:48
外はまだ暗いものの、とりあえずいつものルーティーンとしてカジっちゃん先輩を起こし、朝の支度をしてからトレーナーの家へと向かう。校門を出る際に誰かとすれ違った気もするが、急いでいたので特に振り返ることもなくゆっくりと駆けていく。
「トレーナー! もう朝だよ!」
鍵を開けて夏の頃より布団への執着が強くなったトレーナーから布団をなんとか引き剥がしベッドから引っ張り上げる。今日はレースなんだから早く頭をシャキッとさせてもらわないとね。
トレーナーが朝の支度をしている間にささっと朝ごはんを作ってしまう。レース当日でも特にメニューを変えることなくトレーナーと一緒にご飯を食べ、普段通りに1日を始めることが私にとって1番大事なことかもしれない。
そんなことを考えながらリビングに戻ってきたトレーナーと一緒に配膳をしていただきますと手を合わせる。レースのことは話さず、昨日やってたテレビのことや今SNSで流行っていることなど、他愛もない話で2人盛り上がる。
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さまでした。片付けて歯を磨いたらレース場に向かいますか」
「よし、気合いも十分だな。目の下にクマでもできていたらどうしようかと思っていたよ」
「心配しすぎ。その心配の割にトレーナーはぐっすりだったみたいだけど?」
「いつもどおりってことにしてくれ」
2人で食器の後片付けと歯磨き(もちろん横に並んで磨く形ね)をして、出発の準備もささっと終わらせてレース場へと向かう。
──気力も体力も申し分ない。あとは彼女に勝てるかどうか、ただそれだけ。
─────
問題なくレース場に辿り着き、控え室へと入る。勝負服への着替えも済ませ、あとはレースまでの時間をゆっくりと過ごすのみになった。
「お互い頑張りましょうね、っか」
「エスキーからか?」
「うん。流石に会いに来ることはしなかったみたい」
メッセージアプリを立ち上げると1番上に表示されていたのは「メジロエスキー」の文字。それをタップしトークルームを開くと、これまでのやりとりがずらっと縦に並んでいる。
- 163メジロエスキーの人22/10/17(月) 08:10:35
「レース前でも特に変わらずいつもどおり。当たり前だけど緊張してる様子はなかった」
「相手も十二分に力を発揮できる状況ってことか。天気がいいから当然バ場状態もいい。小細工無用の真っ向勝負になりそうだな……苦しい戦いになるぞ」
「……分かってる。この1ヶ月間そのつもりでトレーニングやってきたんだから」
軽いジャブにも動じない私の様子を見て安心したのか、フッと息を吐き出し座っていた椅子から立ち上がる。
「そろそろ時間か。いつものアレ、いるか?」
「もちろん。はい、トレーナー」
私も椅子から立ち上がり、両腕を横に広げる。そこにトレーナーが近づいてきてそっと私の体を抱き締めた。腕が背中に回るのを確認して私もトレーナーの背中に腕を回す。
「エスキモーなら大丈夫。オレは君をその実力を信じているから、安心して走ってこい」
「ありがと……頑張ってくるね」
しばらく黙ったまま抱き締め合う。お互いが満足したところで体を離し、私は1人ドアの外へと駆け出していく。
(負けない。エスキーにもサートゥルヌスさんにも。勝ちたい気持ちは絶対私の方が上なんだから!)
──まもなく華やかな舞台の幕が上がる。勝利の美酒を味わうのは一体どのウマ娘なのか。それは神のみぞ知る。
- 164メジロエスキーの人22/10/17(月) 08:11:08
今日はここまで。また明日
- 165二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 11:03:43
エスキーの戦績ヤバすぎて完全に魔王とかラスボスなの草
- 166ラプラスの中身22/10/17(月) 12:25:56
流石チームカオスの天井…
- 167二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 12:39:18
このレスは削除されています
- 168メジロエスキーの人22/10/17(月) 16:10:21
魔王扱いは流石に可哀想……戦績は全くもって可愛くないけど
- 169ライトニングホラーの中身22/10/17(月) 17:13:59
無敗で凱旋門賞優勝ウマ娘はいろんなウマ娘超えてるんですが........怖えよ
- 170二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 19:53:26
- 171ナックル宅の壁22/10/17(月) 19:55:16
名前----- ナックル(Knuckle)
「誰より速く、かっ飛ばします! 『奇蹄グループ』、上空旋回中!」
誕生日----- 5月13日
身長----- 165cm
体重----- メェーェ…なんだっけ 忘れたァァ ワハハハハハハハッ!
スリーサイズ----- B79・W60・H90
飄々とした雰囲気を纏うウマ娘。あっけらかんとしているように見えるが、内心では周囲を気にしすぎたりすることも。
「目標はオープン入り。夢は重賞勝利」と語るが、実は幼少期に自らの転機となった曲をウイニングライブで歌うことが夢らしく……?
チームのサブトレーナーと行っている音楽活動(不定期)が人気を博している。
バ場適正----- 芝A ダートA
距離適性----- 短距離A マイルF 中距離G 長距離G
脚質適正----- 逃げA 先行A 差しB 追込C
- 172ツキノミフネの背後霊22/10/17(月) 20:30:10
二刀流ウマ娘ですね!
囲め囲め〜!!!! - 173ツキノミフネの背後霊22/10/17(月) 20:31:47
というか、その……新人さんのナックルさんが来られて直後でなんとなく申し訳ないのですが……
SS投稿してもよろしいでしょうか? - 174ナックル宅の壁22/10/17(月) 20:36:21
- 175ツキノミフネの背後霊22/10/17(月) 20:37:49
ありがとうございます!
では、お目汚し&スレ食い虫失礼致します - 176ツキノミフネの背後霊22/10/17(月) 20:38:29
【■■■と呼ばれた女】
溟い、溟い、海の底。
光の届かない場所で、私はただ蹲って泣いていた。
寂しい。寂しいよ。みんなに会いたい。でも、もう会えないってこと、私は知っている。
怖いよ。怖い。すごく、怖い。消えてしまうことが、すごく怖い。
どうしてこんなことになったんだろう。わからないよ。高望みしたことがいけなかったの? なにがいけなかったの? わからないよ。誰か教えてよ。誰か。
「ああ、そうだった。ひとりなんだよね、私」
そうだった、そうだった。ひとりだった。ひとりのまま、消えていくんだった。
また、涙が溢れてくる。
恥ずかしいから必死に拭うけど、拭えば拭うほど、溢れてきて止まらない。
みんなに会いたい。
でも、会えない。ひとりのまま、消えていく。 - 177ツキノミフネの背後霊22/10/17(月) 20:38:59
「〝ええ、その通り。このままだと、あなたは消えてしまうでしょうね。具体的には、あと二日で〟」
……は? え?
ついに頭がおかしくなったかな? 幻覚だよね、きっと。だって、ありえないもん。こんなこと。信じられない。嘘だ。だって、だって。
目の前に〝私〟がいる。
私の勝負服を着て、編んだ芦毛で。冷たい眼で、背中越しに私を見ている〝私〟が。
「〝あなたが消えようとわたくしには関係のないことですから、放っておこうと思いました〟」
溜息まで吐いて、〝私〟は私を睨みつける。
「〝でも、あなた、あまりに情けないんだもの。
あなたが情けないままだと、わたくしの恥にもなり得ます。ですので、ええ、本当に仕方なく。手を差し伸べてあげることにしたのです〟」
嫌なやつだ。嫌なやつだなって本当に思う。一方的に喋りかけてきて偉そうにしないでよって、私の姿で変な喋り方しないでよって言いたい。だけど。声が出せない。手が震える。息も苦しい。目尻からぽろぽろ涙が溢れちゃって、とまらない。私は、どうしようもなく。〝私〟に気圧されている。 - 178ツキノミフネの背後霊22/10/17(月) 20:39:46
「〝……あなた、本当に情けないわね〟」
また、溜息。吐き捨てるような罵倒。言い返せない悔しさかな? それとも、やっぱり怖いのかな? どうしよう。震えと涙が止まらない。
「〝……本物ならいざ知らず、たかだかわたくしの構成要素の一部に侵食されて、惨めったらしく膝を抱えて泣きじゃくって。本当に腹立たしい〟」
圧が、さらに強くなる。エスキーの風格とも、バラカの殺気とも、ホーラのライトニング⚡️とも違う圧。
澄み切っているのに狂っていて、神々しいのにどうしてか禍々しくて、刺すように冷たくて、重い圧。
「……ぅ、っ……ぁぁあ……」
気がつけば、私は逃げ出そうとしていた。でも、腰が抜けてしまって、不恰好な後退りをすることしかできない。なのに、背中越しにこちらを見るばかりだった〝私〟が、どんどん近づいてくる。
「いや……許して……許してください……助けて……」
近づいてくればくるほど、圧が強まっていく。恐怖が増していく。
無意識に、言葉が漏れた。
きっと私はこの時すでに、〝私〟に〝屈服〟していた。
「〝はぁ……呆れ果てました。この程度? あなたはわたくしなのに、いつまで凡百の少女でいるつもり? 戻りたいのでしょう? あなたの言う、みんながいるところに〟」
溜息と一緒に圧が解かれる。呆れられているのがとてもよく伝わってくる。悔しい。でも、完全に気圧されてしまって何も言えない。腰が抜けてしまって、何もできない。心身ともに理解させられてしまった。私と〝私〟には天と地ほどの差がある。 - 179ツキノミフネの背後霊22/10/17(月) 20:40:42
「〝面倒ね〟」
いつの間にか、驚く間も無いくらいの一瞬のこと。〝私〟は、私を抱きしめていて。
震えることしかできない私に、〝私〟は言葉を続けた。
「〝あなたが強くなれば、あなたは元の場所に帰れます。そして、あなたが強くなれる方法をわたくしは誰よりも知っている〟」
〝私〟は私を抱きしめる腕を緩めて、逃がさないとでもいうように、私の頬を両手で包み込んだ。
冷酷な微笑みが、ただただ怖かった。
「〝強くなる方法を教えてあげましょう。嘗められたのなら屈服させなさい。敵意や殺意を向けてくる者は二度と逆らえないほど、徹底的に挫きなさい。傅かせるのです〟」
まるで、小さな子どもに当たり前のことを教え込むように。ブルーリップで彩られた唇は柔らかな声色で、〝私〟は私に向けて、言葉を紡ぎ続ける。 - 180ツキノミフネの背後霊22/10/17(月) 20:41:14
「〝そもそも、あなたの言う華なんてものは必要ありません。あなたは手元で愛でられるものではない。届かぬ夜の空にて君臨し、地上を照らし、海さえ支配するものです。走りに込める祈り? バ鹿バ鹿しい。あなたは祈る者ではありません。祈りを捧げられるものです。ただ在るだけでいい〟」
真理を告げるように、それこそが真実であると宣言するように。
「〝信じなさい。己を、己の才覚を。そして、己にどこまでも惚れ込みなさい。それこそが、あなたの力の源となる。あなたが望むものは全て、『あなた』を極めれば手に入る〟」
〝私〟は私を解放して、また、私に背を向ける。肩越しに私を見つめる目は、相変わらずどこまでも冷え切っていた。
「〝まあ、口で教えてどうにかなるものでもないでしょうから。特別です。期限までにわたくしが、あなたを、■■■を名乗るに足るよう鍛えてあげます。ですからまずはわたくしを──〟」
礼讃なさい。 - 181ツキノミフネの背後霊22/10/17(月) 20:41:59
以上、どうしようもなくやな奴との邂逅でした
失礼致しました - 182メジロエスキーの人22/10/17(月) 20:50:35
随分偉そうな奴だなあ、誰だこいつ()
- 183ツキノミフネの背後霊22/10/17(月) 20:53:27
- 184二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:22:28
- 185ナックル宅の壁22/10/17(月) 21:30:47
ハイクオリティなSSがたくさん……! ありがたいです。
- 186二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:37:24
これあれじゃな?
スレ埋まるのが近いから控えてるとかそんな感じか? - 187二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:38:25
スレ建ての用意は既にしたのでよろしく
- 188二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:40:16
ここまでオカルティックでアグレッシブに他者のウマソウルが干渉してくるのはカフェシナリオ以来か?
- 189二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:46:21
流れも落ち着いたのでそろそろ建て時
- 190二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:47:13
- 191二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:47:48
たておつでうめうめ
- 192二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:49:09
正直今日この時間は掲示板不安定だから不安だったり
- 193二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:49:36
馬
- 194二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:49:46
梅田スカイビル
- 195二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:49:46
海
- 196二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:49:59
膿
- 197二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:50:15
梅
- 198二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:50:19
200なら俺が絵を描く
- 199二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:50:20
>>200なら全員ボーボボ
- 200二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:50:30