- 1二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 22:44:44
承影「ガハハハハ!敵対した者達は全て血祭りに上げた!長きに続いた大霊峰の争乱もこれで終わりだ!これからは我らの時代だぞ龍淵!」
龍淵「クハハハハ!やったな承影!これでこの霊峰に眠る神秘の力は私達のモノだ!次はどう打って出る?」
承影「わかりきったことを!我らはこの霊峰の力を持って世界を覇する!我らの勇名を轟かせようではないか!」
龍淵「クハハハハ!それでこそこの私が見込んだ男よ!貴様のためなら喜んで仕えてやろうぞ!」
承影「さて、我は氷水の底へと行ってくるぞ!」
龍淵「本当に私はついていかなくていいのだな?」
承影「我一人で来いとの言伝だ。仮に罠なら我一人ならどうにかなるという思い上がりを叩き潰してくれよう!」 - 2二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 22:45:12
承影「ここが氷水の底、イニオン・クレイドルか。随分と面妖な場所だな」
氷水達「……」
承影「警戒と敵意の目を感じるぞ。だが襲っては来ぬか。懸命な判断だ」
氷水達「……!」
承影(んん?氷水供の気配が変わったぞ?)
氷水帝「ようこそお出でくださいました……承影様。私が氷水の女王、名を◇◇◇◇◇◇と申します」
承影「ほほう?随分と美しい姿をしておるな。どうだ?我の妃にならんか?」
氷水達「……!」
氷水帝「あら?フフフ……随分情熱的な方ですのね……」
承影「我の妃になるというなら手荒な真似はしないと約束しよう。我はいずれ世界を覇する男。これほど魅力的な提案はないぞ?」
氷水①「勝手な……」
氷水②「女王様。この男からお離れください」
承影「ほほう?やる気か?受けて立とう」
氷水帝「お止めなさい」
氷水①②「……!」
承影「無用な争いは避けるか」
氷水帝「ええ、これ以上この地に血や涙が流れるのは堪えられませんから」
承影「ならば我が提案を受けるのが一番だとわかってるだろう?」
氷水帝「ええ。ですがその申し出を受けることはできません」
承影「何?」
氷水帝「何故なら私は……(ピシッ!)」
氷水①「女王様!」
氷水②「お身体が!」
??????「女王さまぁ!」
承影「なんだ……身体にヒビが入っておるぞ……」
氷水帝「ええ、私はもう長くありませんから……」 - 3二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 22:45:50
氷水帝「この身体はじきに氷水へと還ります。もう半時も保たないでしょう……だから承影様の申し出には応えられません……」
承影「なんと……」
氷水帝「あら、私を哀れんでくださいますのね…フフフ……であれば私の心残りを聞いてくださいますか?」
承影「……わかった。申してみろ」
氷水帝「私の心残りは二つ……一つはこの地の安寧……もう一つはあの子を一人遺してしまうこと……」
承影「そいつは誰だ?」
氷水帝「おいで……私の可愛いコスモクロア……」
コスモクロア「女王さまぁ……!」
承影「幼いな。生まれたての氷水の精か?」
氷水帝「ええ。この子は次の氷水の女王。名はコスモクロアと言います」
承影「これがか?」
コスモクロア「女王さまぁ!わたしはいやです!女王さまとはなればなれになっちゃうなんて!」
氷水帝「……とても優しい子なんです。それに大きな力を秘めてる。少し泣き虫なのが残念ですけど、そんな所も含めて私はこの子を愛しています……」
コスモクロア「女王さまぁ……!」
承影「……」
氷水帝「承影様、この地の未来とこの子のことをお頼みしてもよろしいですか?」
承影「だが我には世界を覇するという野望が……」
氷水帝「差し出がましい申し出なのはわかっております。ですが……(ピシッ!)」
承影「お、おい!」
コスモクロア「女王さまぁ!いや!いやぁ!」
氷水帝「大丈夫…大丈夫よコスモクロア……(ピシッ!…ピシッ!)」
承影「お前は…お前は初めて会う我に何を求めておるのだ!我はお前達氷水を配下に治めるためにここに参ったのだぞ!なのにお前は…お前は……!」
氷水帝「フフフ……私は貴方を信じています……貴方の目には強い信念の光が……(ピシピシ…ピシッ!)」
コスモクロア「やだ…女王さま!女王さまぁ!!!」
承影「……わ、わかった!約束しよう。この地の安寧を守ると……!お前の跡継ぎも我が面倒を見てやると!」
氷水帝「フ…フフ……ありがとうございます……(ピシッ!)……ああ、私の可愛いコスモクロア……こっちを向いて……(ピシッ!)」
コスモクロア「やだ…やだよ女王さま……わたしをひとりにしないで……」
氷水帝「貴方には氷水の仲間がついています。それに承影様も……だからもう泣かないでください。(ピシッ!)……最後に見る顔は貴方の笑顔がいいなぁ……」 - 4二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 22:46:06
コスモクロア「やだ…いかないで…ずっといっしょにいて……」
承影「……コスモクロアよ…笑え!女王に笑顔を見せてやれ!」
コスモクロア「ひゃいっ!?そ、そんなこといわれても……」
承影「お前が笑わないと…女王が心残りを抱いたまま還ってしまうのだ!女王の心残りは二つ!一つはこの地の安寧!もう一つはお前への心配だ!この地の安寧は我が保証してやる!だから…お前は最後に笑顔を見せて女王を安心させてやれ!」
コスモクロア「うぅ…ぐすっ…ぐすっ…女王…さま……」
氷水帝「コスモクロア……」
コスモクロア「わ、わたしは…女王さまみたいにりっぱな女王さまになれますか……?」
氷水帝「なれますよ……貴方はとても優しい子……素敵な女王になれます」
承影「わ、我も手伝ってやる!だから泣くな……な?」
コスモクロア「……だったら…女王さまがそういってくれるなら……わたしはなります……ひすいの、りっぱな女王さまに…なってみせます……!……フ…フフ……ウフフ…フ……っ!」
承影(ようやく笑ったか……手を焼かせおって……)
氷水帝「フ…フフ…(ピシッ…)…すてきな…えがおをありがとう…(ピキッ…)…こすもくろあ…わたしはこおりみずにかえっても…あなたをみまもっていますから…ね……(ピシャン……)」
コスモクロア「フ…フフ……さ、さようなら…女王…さま……ぐすっ……」
承影「よく頑張ったな…コスモクロアよ……女王も安心して還ったに違いない」
コスモクロア「うぅ……ぐすっ…ぐすっ……うえぇ~ん……」 - 5二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 22:46:29
龍淵「戻ったか承影!日が暮れても戻ってこぬから万が一があったのかと心配したぞ!」
承影「ああ、待たせてすまなかった」
龍淵「氷水の奴らはどうだった?大人しく私達の軍門に下ったか?」
承影「……龍淵、その話なんだが……」
龍淵「……おい、お前の方に何か小さいのが乗っているぞ?」
承影「何!?」
コスモクロア「わたしは……女王さまにかわってあたらしいひすいの女王になりました……!コスモクロアといいます!……こ、このたびはあらたな『ひすい』の女王として『そうけん』のみなさんにあいさつをしにきました……!」
承影「コスモクロア……!」
龍淵「ほほう?氷水の女王が直々に挨拶に来るとは殊勝な心掛けだ!」
龍淵(この小さいのが氷水の女王?……そうか!女王を殺してこの小娘を擁立し支配したというわけか!ククク…承影のヤツ、なんと恐ろしい手を使うのだ……これでこそ世界を覇する者に者に相応しい!やはりこの男に仕えて正解だった!)
龍淵「私達の軍門に下るというわけだな?」
コスモクロア「どーめいです!おともだちです!『ひすい』と『そうけん』がてをくんで、このだいれいほうをまもるんです!」
龍淵「クハハハハ!何をたわけたことを!同盟?お友達?そんな対等な関係を築こうなどとは片腹痛い!」
承影「いや、コスモクロアの言う通りだ」
龍淵「何?」
承影「これより我ら『相剣』とコスモクロア達『氷水』は同盟を組む!共に手を取り合い、この大霊峰の地に安寧をもたらすのだ……!」
龍淵「なん…だと…!?」
龍淵(一体何の冗談だ……?私達『相剣』と奴ら『氷水』が手を取り合うだと?そ、そうだ……これは何か裏があるのだ……氷水にはまだ明かせない真の狙いが……!) - 6二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 22:46:51
龍淵「な、なあ承影……氷水との同盟のことについてだが……」
承影「龍淵か……その…勝手に話を進めてすまなかったと思っている」
龍淵「な、なに…問題はない……相剣の頭はお前だ。最終的に決定するのはお前の役目だからな……!」
承影「そうか……だが友であるお前に何の相談もしなかったのは……」
龍淵「そうだ!私達は友だ!だから真の狙いを教えてくれてもよいだろう?……そうだ!やはりアレか?氷水との同盟は奴らの無用な反乱を防ぐための口実で……」
承影「いや、同盟は事実だ……」
龍淵「なっ!?……だ、だったらアレか?力を蓄えるんだろう?ここは争乱が終わって久しい。傷を負ったまま外に打って出るのは危険が伴うだろう。特に北の大国ドラグマは強大であるからな。だから暫しの間この地で力を蓄え、来るべき時を待って世界に……」
承影「いや、我らはこの大霊峰の地を守ることが使命。故に外の世界に打って出ることはしない」
龍淵「なっ……!?」
承影「我は己の使命に気づいたのだ。この大霊峰の地の安寧を守る……それが我らの使命……」
龍淵「…………ふ、ふ……」
龍淵(ふざけるな!……ふざけるな……!……)
龍淵「ふ、フフ……フハハハハ!そうか!そうか……!それがお前の選択か……!」
龍淵(私は見誤った……そうだ…これは私の間違いであったか……!ならば私がとる選択は一つ!)
龍淵「(承影よ、私はこの霊峰を去るぞ)」
承影「龍淵よ……我はお前に頼みがある。これからも我に仕えてくれるか?」
龍淵「何?」
承影「お前の優れた手腕が必要なのだ!」
龍淵「……安寧を守るのであろう?私の手腕など何の役に立つ?」
承影「安寧を守るためにこそ必要なのだ!」
龍淵(戯けたことを……まあよい。どうせ他に行く当てもない。それに承影以上の傑物など何処にもおらぬ……)
龍淵「よかろう。お前の言う安寧を守るとやらに力を貸してやろうじゃないか」
龍淵(ならば承影がまた心変わりする時を待つとしよう……それが一番手堅いやり方だ……!) - 7二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 22:54:16
コスモクロア「あれから長い月日が経ちましたね……」
承影「そうだな……ところで何をしている?」
コスモクロア「シャボン玉です。相剣師の方が教えてくださってから、氷水の中で流行ってるんですよ……?」
承影「まったく……」
エジル「……」
承影「ん?」
エジル「ひぃっ!」
承影「あれが次の女王様か?」
コスモクロア「ええ、ちょっと引っ込み思案で泣き虫だけどとてもいい子なんですよ?」
承影「似たようなことを前にも聞いた気がするな……」
コスモクロア「フフフ……なんのことでしょうかね?」
承影「……」
承影「次の女王様に少し挨拶でもしてくるか」
コスモクロア「怖がらせないであげてくださいね。承影様は顔がとても怖いですから……」
承影「言うようになりおって……」
コスモクロア「フフフ……」 - 8二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 22:57:38
以上です
「承影って昔は覇道一直線のイケイケ野郎だったのでは?」って概念と
「承影が幼い日のコスモクロアの面倒見てたとかだとエモくね?」みたいな概念と
「承影にめっちゃ頭焼かれてる龍淵」の概念が合体事故を起こした結果こんなことになっちまいました
もっと短文に収められる能力が欲しいですわ…… - 9二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:14:30
乙 心ときめかせてもらったよ…
- 10二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:20:13
これは龍淵はキレてもいいよ…
- 11二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:21:11
最後まで読み終わってから>>1に戻ると蛮族過ぎて温度差で風邪引いちゃう
- 12二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:21:58
この件で溜まったフラストレーションから七星龍淵がコスモクロアを必要以上にいたぶるんだよね…
- 13二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:22:43
まぁこのストーリーだと今までよく龍淵は耐えたなって
- 14二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:23:46
勝手に絆されて帰ってきて野望捨ててこの霊峰を守ることが姉妹とか言い出したら自分が龍淵だとハニトラにあったの?と疑いそう
- 15二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:24:55
この女狐が!貴様があの承影を腑抜けに誑かしたのであろう!幼き頃からどう籠絡したのだ淫乱な水怪め!ってひび割れかけのコスモクロアをゲシゲシ蹴る七星龍淵…
- 16二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:25:55
このルートなら「ごめん寿命で死んだ氷水帝に絆されちゃった」ってちゃんと言っとけばここまでこじれなかったのに…
- 17二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:26:08
確かにいいなと思う反面龍淵がマジで可哀想に思えてくるしそりゃイライラも募って離反もするかって説得力が出てきた…龍淵からしたらポッと出の女に親友と夢を奪われたもんか
- 18二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:26:09
これはこれでマジであったかもしれない過去エピソードですげー好き
- 19二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:26:52
こういうのめっちゃ好きだわ。ありがとう!
- 20二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:27:33
俺の知ってる承影はこんなはずじゃなかった筈だ、で燻らせてく龍淵に現れる凶導の誘い…
- 21二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:29:21
あの世で承影と殴り合いからの盃交わしてほしい龍淵だったわ
- 22二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:31:53
殺しに慣れ過ぎて寿命で死んでいく先代様との会話にカルチャーショック受けちゃったんだねぇ
- 23二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:33:00
かつて共に覇道を突き進もうと誓った友の命を自らの手で奪うことになった龍淵……
この龍淵は心の内では一度は認めた友を討つことに言いようのない虚しさを覚えつつも、もはや仕える価値もない腑抜けを始末してせいせいしたと嗤うのだろうか - 24二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:35:19
完全に外道に堕ちてコスモクロアの無惨な亡骸を承影に見せつけようと拷問のようにじわじわ痛め付ける龍淵だけど余計なこだわりでエジルが力を継ぐ時間を与えてしまってやがて莫耶と合体したエジルの二人に倒されるんだ…
- 25二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:41:16
龍淵もさあ……失望したとかそういう気持ちくらい口に出して言っておけば よかったものの……
- 26二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:41:40
しかもこの後龍淵は相剣の「自分の心を写す」っていう性質で相を偽らないと除け者にされる状況に陥るからな…氷水のことを恨むのも仕方ない……
- 27二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:51:22
「覇道を!」息巻いて相剣を裏切ってまで手に入れたものが、只の裏切り者っていうのがね…
裏切った癖に未だ相剣に執着し、大公の名は己の力で得たものでは無く、おまけに深淵の獣にすら成れない哀れな生き物 - 28二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:54:17
厳ついおっさんが女の子拾うタイプの話好きな自分としてはドストライクの話だったわ
- 29二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:54:43
そして死骸と化け物がくっ付いた醜悪な存在と成り果てた自分を討つのはかつての承影にように氷水との協力を選んだ弟子という
- 30二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:59:43
- 31二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 00:12:29
相剣の力は氷水の力と密接な繋がりがあるっぽいから、このルートだと龍淵はこのあと裏切りの相剣を氷水からもらうことになるの、ひどくない?
- 32二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 00:17:19
- 33二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 00:21:42
- 34二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 02:47:45
- 35二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 08:39:53
一度会うだけで蛮族を守護者に変えてしまえる辺り先代氷水帝が魔性の女すぎる
- 36二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 18:09:23
素晴らしいSSだったけど原作の流れ知ってるとこの後がただただ辛い……
- 37二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 19:44:37
- 38二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 19:48:54
龍淵!NTR属性追加された!!
- 39二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 20:05:03
このSS展開だと何がつらいって事実上最初に承影の方が龍淵を裏切ってることなのよ・・・
- 40二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 22:50:06
めちゃくちゃ好き、いい妄想だった