- 1122/10/25(火) 00:27:53
ドジッてナギナギの実を食べて前世の記憶がよみがえったコラさんがローに会いに行こうとしたら何故か牢屋に入ってひどい目にあったり脱出しようとしたりする話。
劇場版とか一時間スペシャルみたいな感じにしたい。
SS+ダイススレ。
film系列ではない劇場版時空みたいな感じで、ガバガバ時系列。
最初のスレ
「ドジって前世を思い出しちまったぜ」｜あにまん掲示板ひっくり返って呆然と青空を仰ぎながら、おれは手に持った一口分齧られた跡があるその実をまじまじと見つめていた。一気に頭の中に起こった記憶の濁流はひどい頭痛と吐き気と倦怠感と悪寒と等々重たい風邪症状をタイ…bbs.animanch.com前のスレ
【オリキャラ注意】「ドジって前世を思い出しちまったぜ」その15｜あにまん掲示板ドジッてナギナギの実を食べて前世の記憶がよみがえったコラさんがローに会いに行こうとしたら何故か牢屋に入ってひどい目にあったり脱出しようとしたりする話。劇場版とか一時間スペシャルみたいな感じにしたい。S…bbs.animanch.com - 2122/10/25(火) 00:29:36
シン・コラさん
身長166㎝
治安悪めのスラムみたいなとこ生まれだけど特別な血統とか病気とかはないまま育った
アフロシー・ハートという名前をアフロミンゴに付けられたけど認めてない。自称ロシー
オリジナルキャラ枠
クオル
医者
現在ローと敵対中＆過去公開中
大変なことになっている。
アフロミンゴ
ダンスタイムが始まった
現在後半戦突入前
上司枠
コザー
企みは打破された。
現在観戦中＆ロシーくん保護中。
ザコニ・フラム（＆ハナちゃん）
ペンギンのSMILE能力者。かわいいのでスレ主のお気に入り。露骨に贔屓気味。
絶対美脚。胸の形も綺麗だけど、足の綺麗さを推したい。
ボコ・デコ
ミラーボール役。描写はないけど辺りをカラフルに照らしてます。 - 3二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 00:42:06
立て乙です！！！
湿度が…、湿度が高いっ…！！ - 4二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 00:53:16
展開が楽しみです！
- 5二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 00:54:08
たておつ＆戦犯の変遷
１スレ目
アフロミンゴ爆誕によりスレの歯車が踊り狂いだした。
だいたい65のせい
2スレ目
14が余計なことをいったばかりに便乗した24により
アフロシーとかいう名前をつけられてしまったシン・コラさんに悲しき過去
3スレ目
ダイス神が露骨にアフロミンゴをひいきし始め流れが一気に不穏に
78～80が解決策としてものまね案を出したせいでアフロミンゴ暴走、やべーやつがとんでもなくやべーやつに進化した
4スレ目
アフロミンゴがやべーこと以外はいたって平和
スレ主の推し、みんな大好き除湿器フラムちゃん＆はなちゃんが登場
このころからひそかに上がり始めていた、コラさんとスレ民からのギザ男くんの株
５スレ目
123と126とかいう不穏すぎるフラグが立ったがこの時点では執行猶予だった。なお126＝スレ主
６スレ目
謎解き回、またはコラさんとギザ男のふれあい回
嵐の前の平和だがこの頃からジメジメし始めていたクオル君周り
7スレ目
５スレ目の執行猶予組が実刑に重罪化
アフロミンゴまじでやべーやつ
ギザ男くんの株が天元突破 - 6二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 00:54:26
８スレ目
アフロミンゴまじでやべーやつ継続中
ルフィさん主人公の安心感ぱねェっす
あとフラムちゃんまじ可愛い可愛いは正義
9スレ目
アフロミンゴはやべーやつにランクダウンした
フラムちゃんマジ天使。いや女神
ルフィさんの主人公力が輝くウルトラソウル！
10スレ目
コラさんマジコラさん
クオルくんの しつどが あがった！
11スレ目
ずっとシリアス
熱い展開に目から汗をかき部屋を換気するものまで出たぜ！
コラさんマジコラさんすぎてそらそうよというスレ民総出の突っ込み
12スレ目
ひと段落したと思っていた時間が私にもありました
アフロ「ダンスタイムの時間だゴラァ！！」他「 」
コザー攻略中 - 7二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 00:58:17
13スレ目
熱いバトル展開中。まるでジャ〇プ漫画のようだ
こんなんでクオル戦との温度差に耐えられるのか（スレ民が）
14スレ目
アフロミンゴ戦、爽やかに完ッ！
そして案の定始まるしっけしけのクオル戦！露点はとっくに超えている！風邪ひいちゃうよ助けて死の外科医！
クオル君の地雷の上で踊り狂うアフロミンゴ
15スレ目
相変わらず高湿度…ッ！結露で部屋がびちょびちょだ！
時々本誌の展開がスレ主の脳をインジェクション・ショットしていったが
それでもアフロミンゴの踊りは止まらない - 8二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:03:01
執行猶予中
ダイス神
（アフロミンゴを贔屓するが話の進行には人の心をみせているのでかろうじて執行猶予中…と言いたいがクオル君に優しさが見られないどうしよう。アフロミンゴの再々登場をおそらく待ち続けている）
スレ主
（5スレ目で不穏なフラグを回収するも11スレ目の展開より減刑。ただ7スレ目と8スレ目でとある人にアフロミンゴを2体も授けるということをしているため、3体いったらスリーアウトで実刑）
オダセン聖
（本誌の展開が驚愕＆不穏すぎてスレ主とスレ民の脳をばぐらせていく）
実刑
5スレ目123（満場一致。この人間には心がない（黒い家感））
保留中？
14スレ目78と83
なんか危ないフラグを立てたんじゃ…という編集長の疑心暗鬼より。
なお83＝スレ主
調停中
１スレ目65 アフロミンゴ2体持ち スレ主 14スレ目57
（親候補が増えたぞ！アフロミンゴ3体の親権は誰に行くのか、こうご期待） - 9二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:04:46
たておつです
シンプルなキャラ説明が並ぶ中で熱く語られてるフラムちゃんに笑ってしまう 可愛いから仕方ないな！ - 10122/10/25(火) 01:07:01
- 11二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:13:00
立ておつです スレ最後の質問コーナーで簡単にくちゃくちゃになる情緒……
- 12122/10/25(火) 01:23:11
＊
「これだ、これがあれば、クオルを……！」
ぼんやりとした意識が覚醒する。部屋は暗くて、多分まだ真夜中近い。隣の部屋でどたばたと騒ぐ音がして、いったいどうしたんだ、と不思議に思う。
あの人の音が聞こえるのは嬉しいけれど、妙に浮足立った様子なのが気になる。
おれは起き上がろうとして――困ったことに、身体がぴくりとも動かなかったから、ロシェが何をしているのかわからなかった。
ただ――話をしていた気がする。電伝虫だろうか。よく聞こえない。
「だーかーら！ 全財産払うって言ってんだろうが！ これでも貯蓄してんだっての、おれも！ おう、親の遺産も全部だ。……エッ、家まではちょっと……。うん、あ、おお！ ならよかった。わかった、それで頼む。うん、うん。三日後にな。了解」
何かを話し終わった後、恐らく通話が終了する。
それから、数秒。無音の時間が続いて、
「……よっっっっしゃあああああああ！！！！！！！ これでいける！ これで病気がどうにかなるぞおおおおおおおお！！！！！！！！」
と大騒ぎをし出した。
（……すごくうるさい、けど）
何が、あったのだろうか。
たった電話一本で黒卑病が治るわけがない。
何がどうしてそこまで喜んでいるのかわからない。
口を開こうとして、――げほりと、たくさん血が口から零れたから、声出せないなあ、とぼんやり思った。 - 13二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:31:19
わぁぁ…ロシェさんも家族はいないのか……そして全財産はたいて何を…
- 14二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:32:00
そりゃ悪魔の実でしょう…
- 15二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:33:22
あの人の音が聞こえるのは嬉しいってところにロシェさんへの親愛と病気の心細さを感じるな…
- 16二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:36:56
なんか電話が不穏なんだが…オペオペと偽られてアプアプつかまされたとか…？
- 17二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:38:59
- 18122/10/25(火) 01:42:56
すぐに意識が遠くなったので、次に目を覚ましたのは次の日の昼過ぎだった。
吐いた血はなくなっていて、シーツも綺麗に変えられている。
けほり、とせき込むが、今度は血が出なくてほっとする。
「ふーん♪ ふふーん♪」
……久々に上機嫌で、鼻唄もうたっている。どうしたのかなあ、と不思議てたまらなくて、せんせい、と呼ぼうとしたけど、喉がきゅうきゅう鳴るだけだった。
でも、ロシェは気付いてくれて、すぐにおれの傍に近寄ってきてくれる。
「クオル、おはよう！ あのな、いいニュースだ！ お前の病気が治る！」
「……？ くすり、できたの？」
「それはっ、……出来てない、けど！ まずはお前が元気になる方が先だからな」
「？」
「だから、非常に心苦しいが、一旦黒卑病の治療は先延ばしにする！」
「いいよ」
「……お前のその『いいよ』は、『出来ないならそれでもいいよ』のいいよだろ。わかってるんだからな」
「違うの？」
「違う！」
いいかよく聞け、とロシェはこほんと咳をする。
「例えば、この世にはオペオペの実という医者が食べるとどんな患者でも治せるという悪魔の実がある」
「うん」
「でも、だからオペオペの実はすごく貴重だ！ みんなこぞって欲しがるので、手に入れることは出来ない！」
「だめだね」
「だがしかーし、悪魔の実というのは、幅広い。とんでもないほどたくさんの種類がある。一見あまり使い道がないように見えても、人知を超えた力は時折素晴らしい奇跡を起こしてくれる！」 - 19二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:44:03
それでアプアプか…
- 20二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:47:52
ロシェさんクオルくんの理解度がめちゃくちゃ高い…ドジっ子なんだろうけどクオルくんから発せられるサインとか言葉のニュアンスはしっかり捉えてるのが信頼されるだけある人だなぁって感じだ
- 21122/10/25(火) 01:54:06
「なので、おれが目を付けたのはアプアプの実だ」
「なんか溺れてそう」
「……あっぷあっぷしているわけじゃねェぞ！ 目の付け所が独特だな。でも、悪魔の実を食べると海に嫌われちまうからな、一応合ってるぜ！」
ってそうじゃなく、能力だよ、とロシェは気を取り直したように続ける。
「この悪魔の実は、病気を保存できるんだ」
「……保存？」
「そう。お前の中にある菌。それを身体の中にしまっておける。治せるわけじゃねェが……それでも、お前の黒卑病を、保存できるのなら、少なくとも症状は一切外に出ることはねェ！」
「……！」
「だから、まだお前は生きられるんだよ、クオル！」
そう言いながら心底嬉しそうに、おれの黒い点だらけの手のひらをぎゅっと握る。
おれは、言われた言葉の意味がわからず、ぽかんとするしかない。
もうすぐ死ぬだろうなあ、と漠然と思っていたのに、急に生きられる、と言われて、おれはどうしたらいいのか。
「……生きることができたら、どうなるの」
「えっ！？ て、哲学か？ えーと、えーとだなあ！」
思わず降ってわいた疑問は、おれが生きてどうなると、という後ろ向きなものだったけれど。
「あ、そうだ！ 先生と、もっとたくさん遊べるぞ！」
……そんな風に言われてしまったから、じゃあ生きてみてもいいかな、と思えたのだ。 - 22二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:57:47
一番最初にその言葉が出てくるの、先生自身の望みもあるだろうけど
ちゃんとクオルに効果あるってわかって言ってるっぽいね - 23二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 02:01:45
治せるわけじゃないけど症状も外に出なくなる、これでゆっくり治療法を見つける時間ができるはずだったんだな
真剣な話しながらもクオルと先生の掛け合いがかわいくて普段からたくさんお話してる仲の良さをひしひしと感じる… - 24二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 02:12:10
先生ともっと遊べたらクオル嬉しいだろ！みたいに信じてるロシェさん見たら生きてみてもいいかなって思うわ絶対
クオルも実際先生と一緒に川とか森とか海とか行くの想像したら嬉しいじゃん絶対… - 25122/10/25(火) 02:14:38
数日後。
本当にロシェは、貴重だという悪魔の実を手に入れてきて、『すごくまずいぞ、覚悟しろよ』と険しい顔で忠告しながら小さくカットして、おれの口元に運ぶ。
そんなにまずいのかな、と小さく口を開けて、その悪魔の実を食べる。
しゃく、かり、と小さな音が聞こえて―――すごく、まずいと思った。
「まずい」
「……表情が変わらねェからわかりづらいな。あっ、眉間に皺が寄ってる！ まずいんだな」
「まずい」
だからまずいって言ってるのに。ひとさし指で額をぐりぐりとしてくるの、やめてほしい。
どうやら悪魔の実は一口飲み込めばいいらしく、この世のものとは思えないくらいまずい実をなんとか飲み込むと、なんだか身体の奥に、不思議なスペースが出来た気がした。
けれどもなにかする気力もわかず、そのままベッドにくたりと沈み込む。
「な、な、どうだ？ 能力使えそうか？ クオル！ なあ！」
「わかんない」
「わかんない、じゃねーぞ！ お前今面倒くさがってるだろ！ お前の病気がどうにかなる瀬戸際なんだぜ！ もっとやる気出して行こうぜ！！？」
「………」
……そんなに、必死になるんだ。そう思うとどこかくすぐったくって。
身体を動かすのもつらかったけれど、それでも先生の願う通りに、能力とやらが使えそうか自分の身体を探る。
実感も何もなかったし、何をすればいいか、どうすれば言われた通りのことが出来るのかわからなかったけれど、それでも、ロシェがここまで望んでくれているのだから。そう思えば、不思議と気力が湧くのだ。 - 26122/10/25(火) 02:16:14
と、今日はここまでにします。
また保守等よろしくお願いします。
昼間スレ見ることが出来ないからさ……本当に保守してくれる人助かってます。
スレが落ちないのはそのおかげ。いつもありがとう。 - 27二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 02:22:49
抱っこしないでの時も思ったけどロシェさんは本当に気負いなく触れるしされるがままのクオルくんなの信頼関係だなぁ…嫌な顔しつつ膝から降りないネコちゃんかよ…
>>26おつでした！続きも楽しみれす
- 28二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 06:29:33
クオル……
- 29二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 07:54:23
遂に食べたか、アプアプの実
- 30二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 12:09:57
保守
ﾈｺﾁｬﾝクオルくんかわいそう可愛い - 31122/10/25(火) 14:09:16
ちょっと見に来れたスレ主、そろそろクオルの地獄部分書くことになりそうで胃が痛いので小ネタ
ワンピース学園では診療所営んでるロシェのとこに勝手に入って勝手にプリン食べてるクオルはいます。ちなみにプリンは何も書いてないけどクオル用。 - 32二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 14:11:53
クオル氏実は甘党説…？
- 33二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 14:15:56
あ～平和な世界でロシェさんのところに入り浸って好き勝手してるクオル君は良いなあ
- 34二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 14:18:15
ワンピ学園のアフロミンゴ例の抗争に参加してそうだと思ったけどミンゴ本人は暗躍してるからちょっとわかんなくなった
- 35二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 14:31:08
自分専用プリンもぐもぐしているクオルくんかわよ。
- 36二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 16:22:12
ンピ学だとクオルくんも保健委員なのかな…
- 37二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 17:15:34
診療所勝手に入ってプリン食べるのもそもそもクオル用のプリンがあるのもとても可愛い関係だ…タイミング合わなくて直接会えなくてもプリンが減ってて「おっ来てたんだな～^^」ってなってるロシェ先生いそう
- 38二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 19:06:36
前スレの内容なんだけど夜に一人で逃げ込んだ森と明るい時間にロシェさんと二人で来た森の違いがめちゃくちゃ好き
学園時空でもおにぎりとかおやつ持って一緒に遠足行ってたくさん陽の光を浴びてほしい気持ち - 39二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 21:45:22
- 40二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 22:03:23
過去編ではたぶん…いや見届けましょうや…
- 41122/10/25(火) 23:00:40
保守ありがとう
あったらワンピース学園に逃避しないれす
少し日和ろうかと思ったけど、オダセン聖をリスペクトして日和ったりはしない方針で行きます
🥗化も考えました
「ちゃんと外から帰ったら手洗いうがいをしてね」に落ち着きました。
- 42二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:23:16
ワンピースの過去はおおよそ救いはないですからね仕方ないね…（涙）
- 43122/10/25(火) 23:28:27
目を瞑って、自分の中にあった変化の輪郭に手で触れる。
身体の奥にスペースが出来たような、その感覚をさらに明確にして、集中する。
絶えず身体中の激痛が思考を妨げたけれど、ロシェが祈るような顔でずっとおれを見てくるから、それを裏切ってはいけない。それだけだった。
身体の奥、の奥。
そのスペースに、何かが入れられそうだ、と思った。
（……病気を、保存、する）
ロシェに言われたこと参考に、自分の中の病気を探る。
自分の中にひと塊になった病気の数々。他の病気も誘発させる黒卑病の特性通りに、自分の中に巣食っている様々な感染症が幾つも、幾つもあることに、気付く。
絡み合い、ぐちゃぐちゃになったそれらが、明確に分かれて見える。
それをアンプルのように、自分の中にある瓶の中に押し込んで、密閉するイメージ。
ひとつ、ひとつ。瓶の中に入れて。閉じて。タグを張って。
それを全部並べて。
すべてを余さず、残さず、閉じ込めて。 - 44二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:31:18
おお、使いこなせたのか、良かった
これでクオル君は治るね！ クオル君は！ - 45122/10/25(火) 23:33:40
その行為を続けたあと、ようやく目を開ける。
目を開けた瞬間、ボロボロと涙を零すロシェが見えた。
「……なんで、泣いてるの」
さっきまでいつもの強がりの笑顔を見せていたのに、今はその顔をくしゃくしゃにして、鼻水まで流しながら泣いているから、あまりにも不思議で手を伸ばして――その手が、黒くないことに気付く。
あれ。と思いながら自分の腕を見る。
真っ白。肌の色。黒い点はどこにもない。
目を瞬かせてそれを凝視していたら、――ロシェが飛びついてきて、苦しいくらいに抱きしめられた。
「むぐっ」
「クオル……ッ！ 悪魔の実の力は本当だった！ 治ったんだよ、治ったんだ、クオル！」
「治った……？」
「そうだ！ いや、お前の中に保存しただけだけど、それでも病気の症状が出ないなら、お前の命を脅かさないなら、それはもう、健康な人間と何も変わりねェ！」
「……！」
「お前は生きられるんだ、クオル！」
そう言って、泣きながら心からの笑みを見せる。
おれの身体はまだ弱ってはいるのに、持ち上げてくるくる回してくるから容赦がない。
でも、おれよりもすごく嬉しそうにしているものだから。
「っは、ははっ、あはは！」
おれも、思わず笑ってしまったのだ。 - 46二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:36:37
コラさんは完治したローの姿を見ることなく死んだ
ロシェさんは完治したクオルの姿を見ることが出来たんだね
それは良かったよ…うん、良かったんだけどさ……、その、うん…… - 47二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:42:24
おまえは、か……
- 48二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:44:16
「お前は生きられるんだ！」って、ロシェさんあなたは？
- 49二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:46:24
あくまで、能力者本人の病を、だもんな……
- 50二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:50:38
クオルくんがこんな風に声を上げて笑ったの初めて…？病気が治った実感よりもまずロシェさんにつられて笑ってるような何とも胸にくる光景だ…だ…
- 51122/10/25(火) 23:51:35
体調が整ったあと、おれはロシェに連れ出され再び外に出ることが出来た。
まだ体力が戻り切っていなかったからすぐに家に戻ったけれど、でも久々に痛みなく走り回れるのは楽しかった。
流れている小川に足を付けてみる。
足は、黒い点も何もついてない肌色だ。
「どうだ、クオル～。気持ちいいか？」
「うん。気持ちいい」
「ははは！ そりゃよかったな～～～！ おれも嬉しいぜ！」
「あと力が抜ける」
「そっかそっか！ ……駄目だろ！ そういえばお前悪魔の実の能力者じゃねェか！ あがれあがれ！ あとお前は焦ろ！」
ぺしょりと力が抜けてそのまま寝たおれを慌てた様子でロシェが引き上げる。そのままおれが濡れることも構わず、抱き上げて危機感がないとか説教をしてくる。不服だ。
その後おれたちは以前と同じ場所でロシェが作ってきた大きなおにぎりを食べる。
健康になった分、いつもよりたくさん食べることが出来て、それがまたロシェを喜ばれた。
「そういえば、先生」
「ん、どうした？」
「腕、包帯巻いてるけどどうしたの？」
「あ～～、見えちまったか？ ちょっとドジ踏んじまってな。怪我したんだ。でも大したことないから気にしなくていいぜ！」
「うん。気を付けてね」
「おう！」 - 52二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:53:17
あっ…
- 53二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:53:38
あああああああ……包帯……(察し)(SAN値直葬)
それにしてもロシェさんドジっ子属性もあるのかい！
これ完全にコラさんと同じ人間性じゃんか、ロシーもドジっ子だし名前の響きも似ているしクオル君が甘くなるわけだ - 54二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:53:54
あー…あー！考えたくない〜！地獄への門がにっこり扉を開いて笑ってるよぉ……
- 55二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:56:08
水に浸かって力が出なくてもあんまり焦らないの、ロシェさんが助けてくれるの知ってるからだな？やっぱり甘ったれ末っ子気質でてるな？とかそういう事考えないとつらい
- 56二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:56:12
自分この時点ですでに息がしづらくなるくらい苦しおす…
- 57二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 23:57:13
これさぁ……結構前から感染してたんじゃ……
- 58二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:22:32
わァ…クオルくんがたくさん食べるようになってくれて嬉しかったろうなロシェさん
クオルくんが明るい場所で普通の子供のように元気に(？)小川のせせらぎを感じてるのも嬉しかったろうな… - 59122/10/26(水) 00:32:39
とある男の独白
───『躊躇する理由はどこにもなかった』 - 60二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:36:13
あぁ……、ロシェさんにとったは躊躇う理由なんかなかったんだね……いやぁ、辛いよ、でも……
- 61二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:39:53
なんかもう周りの空気ごと全部すっぽり守られてるっていうのが伝わってくる…
- 62二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:47:58
わぁぁ…もう全部承知で…承知の上で…スレ主挿絵も描けるのつよすぎるな
ロシェさんの曇りない笑顔とあどけないクオルくんの表情が好きです - 63二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:59:00
ロシェさん…やっぱ、コラさんに雰囲気が似てますね、そしてクオルもどこかちびローに雰囲気が似てる……切なくも温かい絵だなぁ
そして２人の外見の解像度を上げられてしまうと今までの描写が映像付きで再現されちゃう…！ - 64122/10/26(水) 01:15:24
うっかりスレ主も描いちゃったけど、外見は自由に考えてくれて大丈夫れす
いやあ、過去篇ローを参考にしたぐらいの長さで書こうと思っていたけど、文章にするとこんなに長くなるんれすね
しっかり書いたものだからきつい - 65二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:23:06
スレ主の絵も文も好きだからたくさん描(書)いてほしいのれす 没入感がすごいのれす
- 66二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:26:09
>>64あ63ですが勿論良い意味でです…！紛らわしくてすみません。実際文章を書いていらっしゃる主さんの脳内イメージを共有出来る感じで特別感があるというか、嬉しいんですよね…
陰ながら応援してますSSもイラストもどちらも好きです…！
- 67122/10/26(水) 01:29:13
人と変わらない身体で日々を過ごすのは存外心地よかった。
身体に痛みもない。高熱により常に朦朧としていた意識はクリアになり、呼吸するだけで辛いということもなくなった。
久々に自分の足で走り回ってみれば、疲れたけれど少し気持ちいい。
「先生、走らないの？」
「おれはクオルが走ってるのを見るだけでいいかな～。ははは、涙出てきた」
「泣いてるの？ 大丈夫？」
「……クオルは優しい子だなあ～～～！ 大丈夫、おれァお前が元気に過ごしているだけで感無量だ！」
そう言って常に抱き上げたり、肩車したりしてくる。
いつだって子ども扱いで、若干不服だけれど、でもこの人にそうされるのはこそばゆくて嬉しい。
「先生、おれ先生のお手伝いする」
「お手伝い？」
「医者になって、先生のお手伝い。おれのために貧乏になったから、おれも頑張る」
「……！ どこまで良い子になる気なんだ……！ 気にしなくていいぜ！ ……と言いたいところだが、その気持ちがすっげェ嬉しい！ クオルは頭いいし、いい医者になるぜ。おれよりもずっと名医になったりしてな～」
「一番は先生」
「……クオル～～～～～～～！！！」
相変わらず騒がしいしうるさい。でも、この騒がしいのが好きだ。
おれはふにゃ、と笑いながら先生にひっつく。
世界一安心する場所はここなんだろうな、と思った。 - 68二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:38:28
やめろぉ…幸せほのぼののシーンを見せられるたびに今後の展開に対しての覚悟がゴリゴリ削られていくんだよぉ…
- 69二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:39:03
ロシェさんこれもう結構体力きつくなってる…？クオルくんの懐き度MAXなのウワーッ！ってなるほど可愛いんだけどこんな子を置いて行ったりしませんよね先生…先生頼みますよ本当に泣いちゃう…
- 70122/10/26(水) 01:40:35
過信していたのだ。
だって、先生があまりに元気だったから。
いつも笑顔で、おれを抱き上げてくるくる回って、何にしても嬉しそうで、だからこんな日がずっと続いて、おれは先生の傍で生きていくのだと。
過信していたのだ。
しすぎていたのだ。
安心しきって、いたのだ。
「―――せんせい？」
部屋の真ん中で倒れこんで、ひゅうひゅうと喉から空気が漏れるような呼吸をしながら、苦しそうにしているその人。
多くなった包帯が緩んで、その隙間の肌色が、黒い点に染まっているのが見えた。
先生に頼まれて収穫してきた果実が手のひらから零れる。
べちゃ、と落ちたそれは、潰れて、赤い飛沫で床を濡らした。
＊ - 71122/10/26(水) 01:41:39
（本当はクオルと話している時に倒れさせようと思ったけど、クオルの前では意地でも倒れないだろうからいない時に気を抜かしちゃったことを小ネタとして書いておく）
- 72二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:42:59
Aaaaaaaせんせぇ、、、、、
- 73二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:45:27
………
- 74二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:48:23
クオルの前で無理を通しちゃうのそんなとこまでコラさんと重ならなくていいんすよ……クオル抱き上げたりしても絶対落としたりしなかったんだろうな、意地で…
- 75二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:52:21
ああああ…幸せが崩れる音がする
- 76122/10/26(水) 01:54:17
病気で動きが鈍くなったローに、クオルは猛攻を仕掛ける。
その表情は普段の面倒くさそうな、何に対しても気力がなさそうな顔とは違い、鬼気迫るものを感じた。
今、あいつがローを追い詰めているのに、なんで追い詰められた顔をしているのだろう。
呼吸がおかしくなって、ぜひゅぜひゅ鳴る喉を押さえながら、コザーに寄りかかって戦闘を見守る。
死ぬつもりなのか殺すつもりなのか、どっちも嫌だなあ。
なんで戦ってるんだよ、ロー、クオル。
「……あいつはな、クオルは」
おれと同じく苦しそうなコザーが、クオルを見つめながら口を開く。
「死凪の唄を聞かせた。けれどあいつは最初から、あの音を聞いても何一つ変わらなかった」
「………」
「多少なりともあの音を聞かせりゃ、欲とか、野望とか、そういった感情を持っているやつは急にそれが消された落差やギャップで身動きが取れなくなる。体感しだろう、お前らも」
「……それは」
「だから、恐ろしいんだよあいつは。自分のためでもなんでもなく、何がしたいとか何もなく、ただ死んでないから生きていて、ただ必要だから強くなったとかいうふざけた類のやつだ」
直情的でもないし、理性的と言えるわけでもない。だからこそ戦いにくいやつだろうよ。
そう疲れたように呟くコザーに、おれは黙り込むことしか出来なかった。 - 77122/10/26(水) 01:56:30
というところで今日はここまでにします。
はー、胃が痛くなりそう。ワンピース学園の妄想しとこ。
また明日も保守よろしくお願いします。 - 78122/10/26(水) 01:58:00
おまけ または先の絵の続き
- 79二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 02:03:24
これはクオルが夢見心地で鈍かったというよりロシェ先生が大人として医者として意地で完璧に隠していたのかな…
とか思ってたら急に世界に一人きりで放り出されたﾈｺﾁｬﾝをお出しされてもう - 80二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 02:11:32
人心無
- 81二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 02:14:23
ああクオルくん人形みたいだ…綺麗になってる肌が逆に痛々しいまである
もう死凪の唄で奪われるものすらなかったんだなぁ…つらい乙でした… - 82二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 02:22:32
- 83二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 07:47:21
つらい
- 84二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 11:56:19
クオルくん一人の絵があんまりにも「無音」でびっくりしちゃったな…ロシェ先生のあったかい騒がしさが大好きだったのにね…
- 85122/10/26(水) 13:09:45
悲しくなってきたのでワンピース学園の妄想をすると多分週一でロシェのところに寝泊まりしてると思います。
保健委員だと思いますが8:2くらいで仕事はあまりしてません。（ローがやってる） - 86二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 17:39:45
お泊まり可愛い…保健委員の仕事もそこそこにロシェ先生の診療所に入り浸ってる中学生クオルくん…
- 87二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 17:44:26
クオルくんあんまり自分からおにぎりちゃんをぺたぺた構ったりしなそうだけどすごく可愛いって報告はロシェ先生に度々してそうという偏見
学園時空は平和でいいなぁ……！ - 88二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 20:33:51
ローさんに「仕事しろ！！」って怒られてるクオルくんを受信しました。この保健委員コンビかわよ
- 89二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:47:20
平和な学園時空だとクオルは無気力系って言うより淡々としたマイペース系男子になるんだろうな…
- 90二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:50:28
クオルくんのマイペースにキレるロー、喧嘩だと思って仲裁に入ろうとするロシェ先生、コラさんに雰囲気が似てるロシェ先生に強く出れずぐぬぬしてるロー、みたいな平和な光景を幻視してしまう…
- 91二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 22:26:51
ローもロシェ先生の診療所来てるのか…仲良しでいいな…(幻覚)
- 92122/10/27(木) 00:46:11
長風呂しつつ来るのが遅くなりました。保守ありがとうございます。
にしてもウオオオオ続き書くのしんどいぞ！！スレ主は幸せな話が好きだ！！！
日和らないと決めたけどそれはそれでしんどいぞどうしたらいい
1.お前が始めた物語だろ
2.オリキャラに情緒かき乱されるなカス
3.ワンピ学園に逃避して恥ずかしくないんですか＞＜
dice1d3=2 (2)
- 93122/10/27(木) 00:46:40
ウワアアアアアア！！！！
んではぼちぼち続き書いていきやす - 94二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 00:47:31
ダイスで笑った、クオル君の地獄がここから描写されていくのか……
- 95二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 00:48:53
辛辣なダイス神に笑うしかない、地獄への道…お供いたします！
- 96二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 00:51:26
日和る選択肢ない中でも特に辛口なダイス引いてて笑っちゃったじゃん好き
- 97二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:02:28
>>76文字通りの生き地獄を彷徨う生ける屍か…
クオル本当にどんな顛末を迎えるんだろう未だに予想がつかない…
- 98122/10/27(木) 01:06:44
「っぐ……！」
ローの身体に幾本ものメスが突き刺さる。メス故に人の身体を裂くことが出来るそれは、本来の医療用のものよりもずっと鋭利で切れ味が鋭いようで、刃の半ばまでローの身体に食い込んでいる。
刺さっただけでローの喉が苦しそうに震え、引き攣った声を上げる。
「……最初からあいつは感染症――病原を常に振りまいていたからな。トラファルガー本来の強さがかなり削がれている」
「っけほ、……ローの身体は、病気に侵されてるんだよな」
「ああ。おれも噂でしか聞いたことがないが、それでも億越えの男だ。この程度だとは思えないが、クオルはとうに自分の戦うための場を作りあげている。呼吸するだけで病気が感染し、次の瞬間発症する。とんでもねェな。おれも被害を被ってるわけだ、しッ、げほ！」
コザーの口から血が吐き出される。おれにかからないように顔を背けて口を拭うと、再びなんていうこともない顔をして二人の戦いを見た。
いや、本当はすげェ辛いだろうに。つくづくポーカーフェイスが上手い男だ。
「ただでさえ高熱だけじゃなく他の症状も一気に出ている絶不調の中でよくあそこまで立っていられるもんだよあいつは。おれは駄目だ。歩いた瞬間意識ぶっ飛ぶだろうとしか思えねェ。なのにあいつは化け物か。あんだけ発症してもクオルとやりあってられるとは」
「……化け物じゃねェ。ローはすげェ強い男なんだよ」
想像を絶するほどに辛い過去があっても、生来の真っすぐな気質のまま成長することが出来た男なんだ。
ドンキホーテファミリーに入っても、それは変わらなかった。
そして、ドフィを打ち倒すことだって出来た。
おれが出来なかったことを、見事成し遂げられる男なんだよ、ローは。
化け物じゃねェ。立派な男なんだ。 - 99二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:11:34
コザーとロシーの観戦評すごく好きだ…それぞれ色んな思いがありながら戦いを見守ってるだよなぁって感じで
- 100二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:13:27
咳が子供にかからないように避けてあげるコザー好きだ……
- 101二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:16:20
コラさんのローは化け物じゃないって訂正するのスゲー良い
- 102122/10/27(木) 01:25:22
ローの状態は見ていてかなりひどい。
黒い点が身体中に浮き出ているだけではなく、赤く腫れ、焼けただれたような色のできものだって出来ている。
口からも鼻からも血を出していて、時折それを吐きだしている。
刀を持つ腕は痙攣し、それをもう片方の腕が補っているようなものだ。
たまに、ローの目の焦点が合わなくなる。クオルに相対して、幾つも傷を負っている。様々な病気が一気にローの中で発症して――今もなお、立っているのが不思議なくらいだ。
呼吸が荒い。必要以上に呼吸数が多い気がする。
どれだけ、苦しいのだろう。病気による苦しみがローを襲っていると考えると――その苦しみを全ておれが請け負えたらいいのに、と出来ないことを願う。
「理解できない」
わからない、とクオルが言葉を吐く。
そういえば、いつも理解できない、とか、わからない、って言うよな、とふと思った。
「今お前の身体の中は地獄のような状況だろう。激しい痛みも凍えるような寒さもウジ虫が這うような気持ち悪さも全て感じているはずだ。普通の男だったら立っていられるはずがない」
「ハッ……、おれをそこらのやつと、一緒にするなよ。これでも一船を従える、船長、なんでな」
「………」
どう堂々と言ってのけるローを、クオルが漆黒のように暗い闇に満ちた瞳で見つめる。 - 103二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:27:15
ローの感じてる痛みが想像以上でゾッとしてる
ほんとよく戦えるよ…すげえよロー…！ - 104二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:28:10
「その苦しみを全ておれが請け負えたらいいのに」
コラさんの気持ちをローに聞かせてあげたい、どんな反応するんだろうか - 105二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:29:28
ローはコラさんに再会できたことで精神バフがめちゃくちゃ掛かってるからなぁ
コラさんの前で弱くはいられないでしょ - 106二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:33:03
クオルの口にする理解できないって言葉は拒絶のようにも純粋な困惑のようにも理解したいという思いの裏返しのようにも感じる…今はどんな思いなんだろうな
- 107122/10/27(木) 01:39:19
「命と心をもらった、と言ったな」
「ああ、言ったさ」
「……おれだって、もらった。命も、心も。あの人が、あの人自身を犠牲にしてまでおれに与えてくれた」
でも、駄目なんだ、と首を振る。
「お前はどうして平気なんだ。お前のせいでお前の大事な人は死んだ。なら、なら、そうだろう。全部あの人からもらったものだというのならば、
―――命も、心も、あの人がいなければ、動かないに決まってるじゃないか」
そこに。
その、言葉に。
今のクオルの全てが詰まっているような気がした。
「先生、先生、おれは駄目だ。今もまだ駄目なんだ。どうして先生が死んでおれが生きてる。どうして家族が死んでおれが生きてる。どうしてみんな死んでおれだけが生きてる。黒卑病はみんな殺したのに――どうして、おれだけ」
「わからないのに、今も理解出来ないのに」
「先生、あなたはもう、答えてくれない」
クオルが胸を押さえる。ぽっかり空いてしまったそこを補うかというように。
「……トラファルガー・ロー。おれはお前が羨ましいよ。オペオペの実を持つお前が。誇らしくいられるお前が。“生きている”お前が」 - 108二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:48:13
…死凪の唄は生きていない人には効かないんだなぁ
- 109二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:50:54
もうなんもかんも動かし方わかんなくなっちゃったのか
なんかすごく大事なものをコラさんから受け取り損ねたローって感じもして辛い - 110二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:51:31
きっついなあ
クオル君は根が甘えたがりの優しい子供なんだろうなぁ - 111二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:51:35
クオルにとってはロシェさんが全てでその穴を埋める代わりは存在しなかったってこと…？
でもローもコラさんと死別した後旗揚げ組に会えてなかったらこうなっても可能性としておかしくなさそうなのがまた…、つら…… - 112二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:52:15
ヴォルフやベポシャチペンギンと出会えてよかったね…となる
- 113二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:53:14
ローと違って恩人の本懐を果たす形で恩返しすることもできないからな
ドフラミンゴのように憎悪をぶつける相手もいない - 114二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:54:29
そうなんだよなローにはコラさんの本懐を遂げるって目標もあったけどクオルはロシェさんの背を追って医者になるのも能力的に…なんだこの巡り合わせは…
- 115122/10/27(木) 01:54:47
心も、命も。その人がいなければ稼働出来ないと、血を吐くようにクオルは言う。
それは悲痛なまで切実でいて、祈るような響きがあって、聞いていて辛くなるほどの愛があった。
死んでいる、と自称するのだ。生きていないのだと、ローのようにはあれないのだと。
泣いていないのに、泣いているようだった。大きな傷は手のひらを貫くメスだけなのに、身体中血まみれでいるかのようだった。
恩人が死んだ日に囚われて、前に進めず、停滞する。
――そして、それを、クオル自身嫌悪している。
ローは、その慟哭を聞いていて。
ボロボロで、今にもぶっ倒れそうな身体のまま、――苛立ったように吠えた。
「―――甘えるな！」
そう喉を裂くほどの大声での叫びに、クオルが目を見開いてローを凝視する。
「甘えるんじゃねェ、クオル！ お前のそれは、生きているんでも、死んでいるんでもねェ。ただの思考停止の逃避で、子どものように恩人に甘え縋っているだけだ！」 - 116二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:00:03
ローからするとクオル君も自分のあり得た姿だから気持ちを掻き乱されるのかな
- 117二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:03:17
ああ考えたくない、感じたくないって意識の表れでもあるのかな「わからない」
ローからクオルへの言葉はコラさんからは生まれないものというかローにしか言えない言葉だなぁ… - 118二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:03:18
おれは長男だから耐えられたって奴か…
真面目な話ローはお兄ちゃん属性でしっかりしてるし故郷滅亡しても自殺を選ばずドフラミンゴにコンタクトを取れるバイタリティーに溢れた子なんだよな
クオル君は甘えん坊の皆に可愛がられた末っ子でずっと受動的に生きてきた子だからなあ - 119122/10/27(木) 02:09:24
クオルはローの言葉に戸惑ったような顔をしたまま、動かない。
「理解、出来ないわけじゃねェ。急に一人になったら、誰だって何をすればいいかわからなくなる。頼りが死んで、心の拠り所が死んで、孤独になって――逃避したくなる気持ちは、おれにだってあった」
「――――」
「でも、駄目だ。それじゃ何も浮かばれない。あの人がおれのために尽くしてくれた命を、その使い方を、無為に消費するなんておれが耐えられなかった」
お前だってそうだろ。
だから、お前は今自己嫌悪に塗れてこんな八つ当たりをしてるんだろう。
その言葉にクオルの唇が僅かに震え、閉ざされる。
濁っていた瞳は震えていた。
「お前はわからねェんじゃねェ、わかってるんだ。わかってもなお動けねェからこんな馬鹿みたいな自殺行為を行ってるんだろうが！」
「――だったら！」
ローの声にかぶさるように、クオルが悲痛な声をあげる。
「だったら、どうすればよかったんだ！ あの人がこんなおれを望まないって知ってて！ 知ってもなお、それでも、どうやって生きればいいのかわからなかった！」
そう叫びながらメスを取り落として、自分の顔を覆う。
「トラファルガー！ 何でお前は生きられるんだ！ なんで絶望しないでいられたんだ！ 命も、心ももらっても、おれは嫌だ。考えたくない。わかりたくない。おれは医者じゃない。病原菌は医者になれない！ なれないんだ、だっておれは、おれはおれの病気で先生を殺した！」
「世界で一番大事な人を、おれが殺したんだ！」 - 120122/10/27(木) 02:09:44
湿気がひどいな シッケアールか？
- 121二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:09:50
世の中ローのように人間的に強い人ばかりじゃないからなぁ…乗り越えられるだろうか…
ここだけの話…受け身のクオルにはロシーがこれからはおれと一緒に生きよう！と手を取った方が何となく生存率高そうだなとか思ってしまった…(目逸らし) - 122二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:10:22
この精神状態のクオルくんを前にしてコラさんだと大人としての「代わってやりたい」になるけどローは10歳の時の自分に戻って「甘ったれるな」って言ってるような感じがするな
上手く言えないが子供と子供が気持ちをぶつけ合ってるみたいだ - 123二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:10:51
わーんつらいよ…
- 124二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:13:46
涙と湿気で溺れそう
- 125122/10/27(木) 02:18:38
クオルは敵だからクオルって呼び捨てにしたけど、ローの二人称やっぱわかんねェなこれ。
もしローがアフロミンゴを～屋呼ばわりするならアフロ屋になるのかな。嫌だな。 - 126二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:22:00
アフロ屋呼びわりとしっくりくるのやめてもろて
- 127二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:23:00
せめてクオルの能力がもう少し人を救う方面で自己肯定感をあげられるようなものだったらと思う気持ちもあるんだけどそれは他ならぬクオルくんが絶対に認められないよな
ロシェさんがくれた能力なんだもん - 128122/10/27(木) 02:29:09
＊
あの人の腕が黒くなっていく。
あの人の肌が黒くなっていく。
あの人が、黒く、黒くなっていく。
「いやだ」
月の光がロシェを照らすから、おれはロシェを隠すように覆いかぶさるのに、おれはロシェよりずっと小さいから、おれを通過して月の光が照らしてしまう。
見つけないで。見つけないで。見つけないで。
ロシェがしてくれたように、黒い点まみれの手を今度はおれが握る。なのに、ロシェとは違い、おれの手はがくがくと震えていて、到底人を安心させるような手には思えなかった。
「いやだ、いやだ、いやだ」
どうやって病状を維持していたのか。それをロシェは気合いだなんて笑った。
――その気合が途切れてしまった今、身体は悪くなる一方だった。
ベッドから起き上がれない日が続く。
気力だけで保っていた健康は、一度崩れ去ると後は壊れるだけだった。
「いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ」
本当は、
本当は、おれだったのに。
本当は死ぬのはおれだったのに。
なんで、この人が今にも死にそうになっているのだろう。 - 129二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:33:04
ついにきてしまった……
- 130二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:36:33
ロシェさんを月の光から庇ったって何の意味もないのにさぁ…ロシェさんを連れていくのは月じゃないのに…そんな事はクオルくんが一番分かってんだよ………
- 131122/10/27(木) 02:39:03
「クオル」
優しい、大好きな声は、今は弱々しい。ベッドシーツには吐き出した血の跡が幾つも付着していて、何度もタオルを敷くのに全然追いつけない。
見よう見まねで作った料理はちっとも美味しくなくて、いつもべちゃべちゃだった。それなのに文句も言わずおいしいなんて言いながらロシェは食べる。絶対、まずいのに。
明るかった室内は今は薄暗くどこか隅から闇がしとりしとりと迫ってくるように見える。
この人が倒れるだけで、この部屋も、世界も一変したかのようだった。
ロシェが調べていたものは、おれにはちっともわからなかった。
少しずつ医者になるための勉強をロシェが教えてくれていたけれど、それでも黒卑病を治すために試行錯誤していたそれら全て、今のおれには到底理解出来ないものばかり。
黒卑病は治らない。それをおれはずっと理解していて、――でも、今だけは、それが嘘であってほしかった。
悪魔の実の能力は、おれにしか使えない。他人の病気を保存させてはくれない。
ロシェが食べさせた悪魔の実は、おれだけ助けて、おれが一番傍にいて欲しい人を助けてくれなかった。
「……ごめんな、クオル」
「うそつき」
「うん、嘘つきでごめんな」
何も出来ない自分が嫌で、ロシェに縋り付く自分が本当に、本当に嫌で。
今苦しいのはロシェのはずなのに、当たり前に、確定した事実として来るだろう未来が怖くてたまらなかった。 - 132二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:44:24
自分がこどもだって事の絶望感が全部の描写から伝わってくる クオルくんの「うそつき」が幼すぎてとてもつらい…
- 133二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:45:24
ロシェさんちょいちょい優しい嘘、ついてたもんなぁ…
- 134122/10/27(木) 02:51:34
「……クオル。おれはさ、お前が可愛くて可愛くてたまんねェのよ」
おれの子ども……じゃちょっと近すぎるかな。弟かな。なんて楽し気に笑うロシェに、おれは何も反応が出来ない。
「その小さな身体で、今にも死にそうなのに精一杯生きててさ。辛いも苦しいもちっとも言わねェし。本当にすげェ頑張ってて……おれ、お前のこと尊敬してるんだ」
「………」
「懐くと本当に心許してくれたって感じで可愛いし！ マジで野良猫が懐いた！って感動したよおれは。医者になるって言ってくれた時も嬉しかったなあ」
「………」
「だからさあ、間違えてくれるなよ。おれはお前に会えたことが、この人生の中でも一番の喜びだったんだ」
ベッドの傍で、ロシェの手を握りながら、ずっと涙をぼたぼた零しているおれの頭をもう片方の手がそっと撫でてくる。
そこに力強さはない。弱々しい手つきだ。
「大好きだぜ、クオル。これは決してお前のせいなんかじゃないんだ」
「……おれの、せいだよ」
「だから違うって。ここ最近のおれのハッピーは全部お前で出来てるんだぜ？」
「いやだ。おれが、おれが先生と出会わなければ」
「こら、怒るぞ。おれはこんなにもお前と会えて嬉しいってのにそんなこと言うなよな」
無理だ、と首を振る。ロシェは仕方なさそうに笑う。
その笑顔がどこか兄の笑顔とだぶって――だから、おれは苦しくなって、さらに嗚咽が激しくなる。
どうして気付かなかったんだろう。気付かない振りをしていたんだろう。
――おれは、病原菌だってこと。
最初から知っていたのに。 - 135二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:59:05
ロシェさんがクオル可愛くて可愛くてたまらないのはめちゃくちゃに伝わってきたしクオルくんも感じていたであろうなぁ
尊敬してるっていうのも命に敬意を払う人柄が医者らしい、ここもクオルに伝わるといいな… - 136122/10/27(木) 03:01:10
スレ主は誤字脱字マシーン ここのロシェの近すぎるかな、は歳が近すぎるかな、という意味れす
- 137122/10/27(木) 03:15:40
――その日が訪れたのは、満月の夜だった。
明るい月が出ていて、辺りを一面青白く照らしていて――ロシェはベッドに横になっていて、おれはその横でいつものように手を握っていた。
そこに、一人の男が訪ねてきた。
見知らぬ男だ。真面目そうな顔つきで、眉間にずっと皺が寄っている。
「……あーあ。黒卑病のガキが一人、どこかに逃げ込んでいるって話を聞いたが、お前がそのガキだったか？」
「ははは……ちげェよ。そんなガキはどこにもいねェ。いるのは、黒卑病にかかったおれ一人さ」
知り合いなのだろうか。そんな会話をしている二人に、おれは戸惑いながらロシェの腕にしがみ付く。
そんなおれにロシェは笑いかけながら、困ったようにその男に目線を向ける。
「クオル。あれが悪魔の実を売ってくれたおじさんだ。格安で売ってくれたんだからな、お礼を言えよ」
「おじさんじゃなくてお兄さんだ。勘弁しろよ。おれはそのガキにこれから先ずっと恨まれなくちゃならねェんだからな」
――話している会話の内容の意味が分からない。
お互い気安い口調で話をしているのに、どうしてかうすら寒さが沸き起こってくる。
離れないように、ロシェの腕にしがみ付く力を強めた。
離したら、もう二度と触れられないような気がした。 - 138二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:17:44
クオルが一番目を背けていたかったのは自分が黒卑病保菌者ってことだよなぁ…一緒にいればいるほど相手を死に近づけてしまうなんて大好きな人ができたからこそ気付かないふりをしてたかったよなぁ…
- 139二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:19:50
不穏すぎる そもそも悪魔の実を一般人に格安で売ってくれる存在とは…
- 140122/10/27(木) 03:23:48
関係ないけど、このお兄さんの見た目のイメージで一番近いのはスモーカーくんれす。
- 141二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:27:33
いやじゃ…見た目がスモーカーさん似でも怖い…いやスモーカーさんの見た目は元々怖いがそうではなく…
- 142二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:32:47
ロシェさん既に自分が死ぬ時の算段をしてたのか…
- 143122/10/27(木) 03:34:05
「黒卑病は、見つけたら殲滅しなくちゃならねェ。そうしなければいつかやがて広がる。例え人同士が触れ合わなくても、ネズミや他の動物を介して広がる可能性がある。わかるな」
「ああ、わかる」
「勘弁してくれよ。何がどうして、昔の友人をおれが処理しなくちゃならねェんだ」
苦虫を噛みつぶしたような顔で、そんなことを言って、
―――おれは理解が何も出来なくて、ただ固まっていることしか出来なかった。
「本当、悪いな。クオルのことだけは頼む。絶対頼む。アプアプの実の能力で黒卑病が感染することは絶対にない。おれの一番の宝物だから、本当に頼んだ」
「……おれはよくても、このガキがよくねェと思うがな」
「おれの世界で一番可愛い自慢の医者見習いだ。この先きっといい医者になるぜ。何せ頭がいいんだ！」
「親馬鹿極まれり、だなァ」
何を、言ってるんだろう。
脳が理解を拒む。
まるでもうロシェはおれと一緒にいられないというような、言い方を、
処理、って
「……い、やだ」
「うん？」
「いやだ。離れない。先生と一緒に居る」
「おいおい、クオル」
「いやだ！ おれは先生とずっと一緒なんだ！」
離れない。絶対に、絶対に。
強く抱き着く。しがみ付く。みっともなくても構わない。
頭の中で警鐘が鳴る。あってはならない未来を映し出す。身体の奥底に冷たい氷柱が突き刺さったかのように凍え、激痛が走るような錯覚。
この手を離したら、自分の世界が粉々に砕ける気がしたのだ。 - 144二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:38:37
クオルくんは言わずもがなだけど必死に縋られるロシェさんも頼まれた友人さんも全員辛いやつじゃん心が痛い
- 145二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:40:51
医者として黒卑病の危険性も分かってるから他に移さないように感染してる自分ごと根絶させる手段を取った…ってこと？クオルの精神が……
- 146二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:42:18
クオルくん完全に駄々っ子だけど元々自己主張激しくない子供だしたぶん一生で一番の駄々なんだよなこれ
- 147122/10/27(木) 03:44:12
男が入ってきた扉の向こう、外に、何人も人がいるのがわかる。
がやがやと音がする。
がちゃがちゃと器具を操作するような、――聞き覚えのある、それは、
「クオル、よく聞け」
いやだ、聞きたくない。
おれはロシェにしがみ付く。絶対離れない、と首を振る。
そんなおれの頬を両手で包んで、優しい力で顔を上げさせて、目線を合わせてくる。
「おれの力じゃ、黒卑病を治す手立ては見つけられなかった。あれだけ豪語してたのに本当にごめん。おれに出来るのは、お前を生かすことだけで――でも、それが、お前を心の底から傷つけちまう。それも、わかってる」
「せんせい、」
「でも、おれはお前に生きててほしい。この小さい身体で一生懸命生きてきたんだろ。沢山苦しくても、泣いたり、泣き言も言わずに、精一杯生きてこれた。例え他の誰かが、……お前自身が、お前のことを病原菌だとかそんな風に呼んでも、おれが否定してやる。お前は、幸せになるべきおれの可愛い宝物だ！ おれの希望で、おれの夢だ！」
ロシェは、おれを力強く抱きしめる。おれは呆然と、されるがままになって、そして、ロシェがおれから離れた瞬間、ようやく意識を取り戻す。
まるでこれが別れだというかのような物言いが、理解出来ない、したくない。
――ロシェは笑っているのだ。おれのよく知る、太陽みたいな笑顔で。
「クオル！ ――愛してるぜ！」 - 148122/10/27(木) 03:50:31
「後は頼んだ」
「ああ。……悪いな」
「いいや、助かったよ。医者として、ちゃんとやるべきことは果たさねェと」
最後にもう一度おれを抱きしめたロシェは、おれの背中をぽんぽん、と叩いた後、おれの身体をその男に引き渡す。
おれは暴れてロシェに手を伸ばしたが――その手は、取ってくれなかった。
宝物って言ったくせに、愛してるって言ったくせに。
なら手を離さないで。いやだ、いやだ、一緒にいる。一緒に居たい。
「離してッ！ 離せ、離せ、離せッ……！ 先生、先生、先生！ いやだ、やだ、やだああああッ！」
本当は、何をしようとしているのかわかっていた。
窓から見える防護服を着た人々が見える。
かつてクレニアで使われたその武器のような形状の器具も、わかっている。
男はおれを抱き上げて先生から離れていく。おれは全力で暴れるのに、大人の力にはびくともしなかった。
ロシェは手を振る。おれに向かって。
最期まで――笑いながら。
「先生！ 先生！ 先生！ 行かないで、お願い、おれも好き、大好きなのに、なんでッ、やだ、一緒がいい……！」
「……わがまま言ってやるな、ガキ。あいつはどこまで行っても医者なんだ」
「医者じゃなくてもいい！ お願い、お願いします、お願いします、お願いします、先生、先生を、」
「先生を、殺さないで……！」 - 149二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:53:51
おかしいな愛の言葉の筈なのに…別れの言葉に聞こえる呪いにかかってる…ロシェさん、クオル…
何かクオルが死にたがってるように見えてた理由がようやく分かった気がする、一緒に居られないならせめて一緒に死にたかったのかな……なんて - 150二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:56:35
ロシェ先生はどこまでいっても医者だったんだな
- 151二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:57:14
このレスは削除されています
- 152122/10/27(木) 03:59:38
．
火が
ぱちぱちと
ごうごう、と
. - 153二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:03:34
ああ…クオルくんはお月様と火が嫌い
- 154二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:06:29
二人で暮らした思い出のある家さえ燃えてなくなってしまうの感染を考えると仕方ないけどあまりにも…
- 155122/10/27(木) 04:09:04
おれは、茫然としていた。
家の中で何かが起きて、そして、家が燃やされた。
家の傍に咲いていた花も、草も、木々も、ロシェと過ごした森も。
全部――火が、つけられて、燃やされていく。
ぱちぱち、ごうごう、――いつか見た、光景。
全く同じ、炎の景色。
燃えて、燃えて、燃えて――燃やされて、
おれが寝ていたベッドも、勉強した机も、一緒に読んだ本も、優しい思い出が詰まった全てが、
炎に――掻き消されていく。
「せんせい、」
炎がちろちろと夜空を舐め上げる。
当たりを照らす青白い炎が、赤色と交じり合う。
月が見ている。
月が見ている。月が見ている。月が見ている。月が見ている。月が見ている。月が見ている。
月が見ている。月が見ている。月が見ている。月が見ている。月が見ている。月が見ている。
月が見ている。月が見ている。月が見ている。月が見ている。月が見ている。月が見ている。
―――あの晩の日、月に照らされた中で、おれはロシェに出会うべきではなかった。なかったのだ。
あの時、違う誰かに見つかって――病原菌は、処理されるべきだった。
ロシェと出会ったことが全ての間違いだった。
だって、だって、そうじゃなきゃ、ロシェが、誰よりも患者に心を尽くす先生が、死なないですんだはずだったのに。 - 156二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:09:06
表現が幼くなっていくのが見た目は大人になるけどクオルの中で時が止まってしまった感を感じる、本当に何も残らなかったんだな…唯一残ったのはロシェさんの言葉と愛か…思い出して欲しいなクオルに
- 157二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:12:03
ロシェさんは医者だから友人に連れられて行くクオルくんの手を取れないんだな、でもそういう人だから最初にクオルくんの体を躊躇なく抱きかかえることができた人なんだよなとか色々思うけどもうシンプルに「先生を殺さないで」が悲しすぎた
- 158二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:12:30
……もしローとコラさんの立場が逆で、
かかっている病気が伝染病だったら、ローもそうするんだろうな医者だから - 159122/10/27(木) 04:16:35
燃える。燃える。燃える。
何も残らない。
ロシェは黒焦げになる。クレニアの人々みたいに。
おれの大事な人は、いつも残らない。
おれは、ロシェにだけは見つかっては、いけなかったのだ。
こんな終わりになるのだったら、死ぬべきだった。
なんで病原菌のおれが生きて、ロシェは死んだんだ？
どうして、どうして、どうして―――――、
家から、炎から随分離れた森の郊外に、おれはようやく降ろされた。
すぐに家の方へと走ろうとしたけれど、その前におれの手に何かが握らされる。けれどおれの手にまったく力が入らなかったから、その男は舌打ちを一つして、おれの腰に男が持っていた袋が括り付けられた。
「ひとまず、金だ。それだけ覚えておけ」
「それがあれば飯が買える。宿に泊まれる。生きていくことは出来る」
「……あいつの言葉を忘れるなよ、クソガキ。お前は生かされたんだ」 - 160122/10/27(木) 04:25:27
走って、走って、走って、――子どもの足じゃ遅かったけれど、それでも走れば、既に消火活動が行われたのか黒焦げになった木がちらほら見えるようになってきた。
さらに奥部へと進めば、森は惨憺たる状況で、見る影もない。
それにも構わず、家路を急ぐ。
おれと、ロシェの家。おれが帰るべき居場所。ロシェがいつも、いてくれる、温かくて優しい――――
真っ黒こげの、何もない、家。
覚束ない足取りで中に入る。
何も残っていない。――処理、されたのか、ロシェの死体でさえも残っていない。
木で出来た家だったから、色んなものが木で出来ていたから、本だって、燃えやすいものばかりで、だから、みんな、真っ黒で、黒、黒、黒――――。
――燃え残った、陶器の破片。確か花瓶だったはず。
綺麗な柄だったのに、今はもう何が描かれていたか思い出せない。
その割れた破片を手に取った。鋭い先端。ぼんやりとそれを見ながら、おれはそれを、自分の喉に狙いを定めて、勢いよく突き刺――――
―――『逃げなさい、遠くへ』『どうか生きて』
―――『どうかお前だけでも生きられますように』
―――『でも、おれはお前に生きててほしい』
―――『おれの希望で、おれの夢だ！』
―――『クオル！ ――愛してるぜ！』 - 161122/10/27(木) 04:33:46
「あ、ああ、あ、あああ、あははは、はははははは、はははははは！！！」
突き刺―――せない。突き刺せるわけがない。
おれに生きてといって、みんな死んだのに。
そのおれが、死んでいいわけがない。
「あはははははは！！！ あはははははははははは！！！！！」
どうして？ なんで？ 理解できない？ わからない？
教えてやろうか、クオル。全部全部、お前のせいだ。お前が生きていたから、みんな死んだんだ。
何も出来ない、役立たずのでくの坊。ただ、お前は病原菌を振りまいて終わった、最悪最低の存在だ。
「あはははははははははははははははは！！！！！！！！！！！！！！」
お前のせいだ。お前が殺した。お前のせいだ。お前が殺した。
お前のせいだ。お前が殺した。お前のせいだ。お前が殺した。
お前のせいだ。お前が殺した。お前のせいだ。お前が殺した。
お前のせいだ。お前が殺した。お前のせいだ。お前が殺した。
あんな優しい人を、お前が殺したんだ。
「はは、は、はははは、あ、あああ、あ、ああああああああ」
頭を押さえる。顔を上げる。月が見ている。
役立たずのお前／俺を。
「あああああああああ」
月が、見ている。 - 162二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:33:58
甘えたな子供だから本当はそれを選びたいだろうにな…良くも悪くも繋ぎ止められてしまっている
- 163122/10/27(木) 04:36:40
というわけで今日はここまで。
クオルくんの過去周りも全部書けた。
ロー過去編と同じくらいの量って思いつつも三スレくらい消費したんだが……？
明日は昼頃来れると思います。その時に新スレ立てる予感。明日でクオルの戦い終わらせられるといいな。 - 164二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:37:07
愛に生かされた、でも生きてはいない子ども、か
- 165二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:40:33
しんどい
おやすみ - 166二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:42:24
月が嫌いって、自分の存在を迫害する人々に知らせてしまうとか照らされることで病原菌である自分自身を認知してしまうとかだと思ってたけど、ロシェに自分を見つけさせたからっていうのが一番の理由なんだろうか
なんか自己否定の象徴のようにも思えるな… - 167二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:43:58
なんでオペオペはこの2人のところに来てくれなかったんだろうねと思ってそうしたらコラさんとローのところに来れなくて二人が救われなくなるだろアホって思ってもう情緒めちゃくちゃ
でももしクオルがDだったらこの2人のところに来てたのかもねとか思ってしまって更に情緒ぐちゃぐちゃ - 168二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:46:55
- 169二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 06:43:03
ロシェの「そんなガキはどこにもいねェ」ってセリフがクオルを黒卑病の死の運命からまんまと逃がしてやったぜって感じでちょっとだけ清々しくてずるくて好き
○ぬべき子供がいなくなった代わりに○ぬべき大人が一人いるっていう数字の上では変わりがない状況も無情さを感じる… - 170二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 06:54:06
- 171二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 11:15:12
- 172二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 11:47:08
なんてことに気づかせてくれたんだ酷い（ギャン泣き）
月に照らされる=愛する人を殺した己という罪深い存在を自覚させられる
って気持ちなのかな。新月の時だけ、唯一ほんの少しだけ何も考えずにいられたクオルくんとか考えるとくそしんどいですねつっっら。
- 173二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 14:20:45
過去編のクオルくん思うよりずっと恨むべき存在が足りなかったし先生大好きな甘えたな子供だったので死凪タイプになるのもやむなしという感じで辛かった…
ロシェさんと過ごした日々から抜け出せないクオルをイメージしてしまう
- 174122/10/27(木) 16:03:20【オリキャラ注意】「ドジって前世を思い出しちまったぜ」その17｜あにまん掲示板ドジッてナギナギの実を食べて前世の記憶がよみがえったコラさんがローに会いに行こうとしたら何故か牢屋に入ってひどい目にあったり脱出しようとしたりする話。劇場版とか一時間スペシャルみたいな感じにしたい。S…bbs.animanch.com
次スレ立てました
いつも通り、以下質問あったら答えます。
神絵師ありがとう。コラさんと似ている姿のロシェのイラスト助かる。
実の形状、オペオペと似通ってるのいいですね。どちらも優しい雰囲気をしていて素敵です。
ハートの下の部分が解けてるのは両者とも実を命を削って手に入れたからかな！
美しい音楽＆題名ありがとうございます。あなたのBGMが過去篇のその当たりのBGMにもう頭の中が染まっちまった。
クオル目線を考えるとじんわり悲しくなりますね。無菌室ってタイトルがもう。ありがとうございます。
- 175二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:14:53
ワンピ学園時空だとアフロミンゴとボコデコとフラムちゃんはどういう立ち位置になりそう？
- 176122/10/27(木) 16:20:38
- 177二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:21:20
スレ主様の睡眠時間が心配れす…
- 178122/10/27(木) 16:21:48
今日は休日なのでハッピーハッピーいぇい
- 179二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:21:54
- 180122/10/27(木) 16:23:55
- 181二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:24:48
歴史？
- 182二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:26:26
数学
- 183122/10/27(木) 16:27:53
それじゃ数学教師です。常にだるそうに教鞭をとってます。
- 184二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:28:02
そういや塔の計算してたな順当
- 185二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:30:41
そういやクオルがアフロミンゴの命令でコラさんに投与してた薬？って何なのか答え出てましたっけ？
もし出てなかったら知りたいです - 186二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:31:42
クオルくんのおれも大好きって返事は先生から引き離される前にできましたか？
ロシェさんは最後まで笑っててくれたけどロシェさんが最後に見たのはクオルくんの泣き顔だったんだよなって思ったらこれは聴いてて欲しいなって思ったんだけど聴こえてなくてもロシェさんは知ってるだろうなとも…あっ辛くなってきた - 187二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:34:46
野暮な質問だとは思うのですが、ロシェさんはいつ頃から感染していましたか？
- 188二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:35:21
クオルとロシェさんはどのくらいの時間一緒にいましたか？
- 189二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:38:12
スモーカー似のロシェの友人の男性はどういった職業についている人間なのでしょうか？
また、ロシェとどういった経緯で友人になったのでしょうか？ - 190122/10/27(木) 16:39:10
- 191二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:40:52
ロシェの友人の男性が渡してたお金はロシェ先生から託されてた分？それとも男の人のポケットマネー？
- 192122/10/27(木) 16:44:23
- 193イメソンの人22/10/27(木) 16:46:55
アフロミンゴがノイズ過ぎて映画全体に合う曲が思い浮かばない…
あと自分の引き出しの少なさ…
伝勇伝はいいぞ
ロシェ先生とクオルはこれしか浮かばなかった
なんでイメソンでまで傷えぐってるんだろう…
- 194二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:49:29
クオルとロシェさんの話を読んでると地獄への道は善意で舗装されている、という言葉が頭に過る…
死の縁に立っている子どもに迷わず手を伸ばしたロシェさんは善人で、おそらく初めから自分の死後のことまで算段をつけてその後クオルがどうなるのかも想像出来ているのに最期まで優しく寄り添い続けたロシェさんは幸せだったんだろうけど、残されたクオルのことを思うと何か色々と考えてしまうな…… - 195二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:50:42
遅レスですいませんが、ふたりとも助けた子どもに対する愛を感じられるイラストでめちゃくちゃ素敵ですね
前のローと抱き合ってたイラストみたいにハート型なのも、コラさんのタバコの煙がハートなのも好きです
- 196122/10/27(木) 16:52:26
- 197二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:52:35
- 198二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:53:17
そうじゃんロシェさんはいつでもクオルの言葉を絶対に取りこぼさない人だったじゃんって思い出してしまって(>>20)涙腺に悪い
愛してるぜ、に返事が出来たところもローとの対比だけど死の間際まで宝物の子供の行く末を案じてたのはコラさんもロシェさんも同じなんだな…
- 199二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:54:43
コラさん生きろ
- 200二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:55:19
「「愛してるぜ」」
