- 1222/10/25(火) 19:06:22
- 2222/10/25(火) 19:07:44
- 3222/10/25(火) 19:08:44
- 4222/10/25(火) 19:10:21
翌日、私はベッドの上で目覚めた
あの後の記憶が無い、ゴードンさんが介抱してくれたのだろう
あの人も怪我を負っていたのに
朝食もゴードンさんが私の分まで用意してくれていた。正直、この人の優しさが怖い
なぜ、国民を全滅させた海賊の娘に、こんなに優しくできるんだろう - 5二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 19:10:58
まさかの新作 嬉しい
- 6222/10/25(火) 19:13:54
- 7222/10/25(火) 19:15:44
- 8222/10/25(火) 19:21:18
- 9二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 19:22:47
くろうたちゃんの過去編なんですね! たのしみです
- 10222/10/25(火) 20:03:07
- 11222/10/25(火) 21:48:46
- 12222/10/25(火) 21:52:28
外の”掃除”が片付いたのか、ようやく私は外に出ることを許された
音楽で満ち溢れていたこの島は、物音が一切ない国へと変わってしまった
人間以外の生き物もいない、こんな島で私の新しい生活が始まるのか……
塞いでちゃダメだ、
外観を少しでも良くするため私は、瓦礫を撤去しようと動き始めた
でも、瓦礫は重いし、その量も多すぎる
『ウタ、何をやっているんだい?』
ただ一人の生存者、ゴードンさんが私を気にかけた
「復興だよ。優しくしてくれるゴードンさんや、死んじゃった人達のためにも、またエレジアを音楽の都にするの」
喜んでくれると思ったけれど、あの人の顔は喜んでいるように見えない
むしろ暗くなっているようにさえ、見えた
『君がそんなことをする必要は無いよ』 - 13二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 21:53:28
このレスは削除されています
- 14222/10/25(火) 21:55:29
- 15二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 21:58:58
…ん?
- 16二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 03:47:00
不穏だな
- 17222/10/26(水) 06:48:32
ゴードンさんとのレッスンの日々は続いた。
起きては歌い、疲れては休み、喉が疲れたのなら、燃えずに、残った書籍で音楽の歴史を学ぶ
その繰り返しだった
それ以外の時間に、私はよく童話というものを読んでいた
登場人物は多種多様だった。その中には
「___耳の不自由な人」
相手の声も、歌を聴くこともできない人
今の私のパフォーマンスは歌だけだ、
それだけじゃ世界中の人を幸せにはできない
私は独学でダンスにも力を入れ始めた - 18222/10/26(水) 06:51:32
月日は…かなり経ったのだろう
私達以外の生き物がいない、この島の光景はいつ見ても変わらない、新聞に関してはゴードンさんに見ない方がいいと言われ、ずっとそれに従っている
おそらく新聞の内容なんて海賊の被害しか書いていないだろうから、見せたくないんだと思う
『今日のレッスンはここまで。今日もよく頑張ったね』
「ねぇ、ゴードンさん。私はいつになったら他の人の前で歌えるの?」
私はこの国で歌手としての腕前を伸ばし続けた。その上達度は、自分でも分かるくらいだった
『すまないウタ。私にも分からないんだ』
この島にいれば安全だけど、チャンスは何一つなかった。
「じゃあ輸送船の人!服をくれるあの人に、歌ってあげたい!」
『それくらいなら…大丈夫、だろう』
私は次の輸送船が来る日を、楽しみにしていた
けれどゴードンさんの挙動が気になる
なぜ、私が他の人に歌いたと言うと歯切れが悪くなるのだろうか - 19222/10/26(水) 17:03:30
- 20222/10/26(水) 17:17:09
- 21222/10/26(水) 17:22:30
- 22二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 18:48:37
このレスは削除されています
- 23222/10/26(水) 18:50:59
- 24二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 19:06:16
首なが!?
- 25222/10/26(水) 20:03:28
- 26222/10/26(水) 20:07:03
- 27222/10/26(水) 22:22:44
「…ん?これは何?」
エレジアに漂流物が流れてくることは珍しい。
「__電伝虫?」
私は海水で力が抜けつつも、その電伝虫をすくい上げた。殻には文字が書いてあった
(えす、えす、じー?)
「ボタンがついてる」
私は人が電伝虫を使っているところは見たことはあるが、実際に触ったことは無い
あらゆるボタンを押し続けたら、ノイズの音とともに、電伝虫の目が光り、ここでは無いどこかの島の映像が流れ始めた - 28222/10/26(水) 22:26:03
- 29二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 04:22:59
結末がわかるだけに心が苦しい
- 30222/10/27(木) 07:07:50
「ねぇゴードン聞いて!」クチャクチャ
『聞くから、もう少しゆっくりと食べ…』
「今日ね!変な電伝虫拾ったんだ!」
『?』
「最初はなんだろって思って、色々ボタンを押してみたの。そしたら、いろいろな人の声が聞こえたんだ!で、私何したらいいか分からなかったから」
「歌ったの!」
『!?』ガタッ
「みんないい歌声だね!って褒めてくれたの。明日はダンスを披露しようと思うんだ!」
『そ、それは……』
___もしもここで私が止めたら、彼女はもう二度と歌うことも笑うことも、出来なくなるだろう。
電伝虫ならここにいても配信することが、できる。他の島に出ないなら、まだ安全な方なのかもしれない。それにこんなに楽しそうな彼女は久しぶり…いいや、初めてだ。
『それは素晴らしいことだね』
私は止めないよ、ウタ。
どうか、この子の身に何も起こらないでくれ___ - 31222/10/27(木) 07:09:24
「はい、今日はここまで!私のダンスどうだった?」
《よかったよ!》《ダンスもできるんだね》
《今日も辛い現実を忘れさせてくれてありがとう!》
《ねぇ、なんでウタちゃんがいる所は薄暗いの?》
「配信しやすい場所がここぐらいしかないんだ。…私が暮らしているエレジアは滅んだから、みんなの顔を見ながら配信出来る場所はここしかないんだ」
《エレジアにいたの!?》《生存者二人の内の一人ってウタちゃんだったんだ!》
《あそこから別の島へ移住しなかったの?》
「…ここは安全だからね。」ボソッ - 32222/10/27(木) 07:14:34
- 33二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:59:44
ほ
- 34222/10/27(木) 17:52:05
- 35222/10/27(木) 17:54:34
《で!その海賊が!》《ピー…ウタちゃん!海賊が襲って__》
受け止めると言ったが、何日経っても報告は鳴り止まない。むしろ日々増えている。
誰かが”新時代”でも作ってくれない限りこの人達は救われない
誰かが……いや、私が!
私が、みんなの苦しみを癒すために!
私は部屋に戻り、作詞、作曲に取り組んだ
《ねぇ、ここから逃げたいよ》
みんなの”声”が私に”歌”をくれた
「ハァ…できた!神曲!」
【号外】
エレジアの生存者”歌い手”ウタ 新曲を発表!!
彼女の歌声は通信を受信した人々に、幸せを与えていた。そんな彼女が先日の配信で新曲、”新時代”を初めて披露した。その配信を受信した人によると____
【Ado】新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)
- 36222/10/27(木) 17:55:27
私の新曲は大ヒット!前よりたくさんの人が配信を見てくれるようになった。
ただ
《また海賊が!》
聞こえてくる話題は今までと同じく、変わることなどなかった
歌で世界を平和にするためにはどうすればいいんだろ
みんなを救うには……いったいどうすれば____ - 37222/10/27(木) 17:56:32
《そういえばウタちゃんの夢って何?》
「え?そういえば言ってなかったっけ」
「歌で世界を平和にすることだよ!」
辛い現実を生きている人には笑われると思っていたけど、否定の意見は何一つなかった
「みんな優しいね、ありがとう。いつかライブをやる時はエレジアでやろうと思ってるんだ。そのためにも復興を頑張らないと」
《それなら近くの島に住んでる俺達が、エレジアに行って手伝うよ!》
「え!ほんとう!?嬉しい!ありがとう!」
「じゃあ今日は気合を入れて歌うね!」
彼女はその後二時間も歌い続けていたそうだ。
(さすがに…二時間もウタワールドを開くのは疲れる……こんな体力量でライブなんてできるのかな?)
彼女は、久しぶりにぐっすりと眠ることができたようだ - 38222/10/27(木) 17:57:38
ゴードンの許可を得て、私達と来てくれた近くの島の人達は瓦礫の除去を始めた
壊れた民家の周りを片付けていくことで前まで通ることが出来なかった場所も、歩くことができるようになった。ほんとうに、来てくれた人たちには感謝しかなかった。配信を見てくれた人たちもみんな口々に賞賛のことばを出していた
『ねえウタちゃん、あの広いドームを綺麗にしてみない?』
私達が掃除をしている場所から遠く離れた場所に、来てくれたファンの人が言ったドームのようなものがある。
「?あそこは元から被害を受けてなかったから、別にやらなくても…」
『いやいや、そうじゃなくて。あそこをウタちゃんのライブ会場にしてみたらいいんじゃないのかな?凄く広いから、沢山のファンがこの島に来てくれるよ』
「考えもしなかった…よし、みんなであそこをライブのステージにしよう!」 - 39222/10/27(木) 17:58:14
【 世界経済新聞⠀】
大人気”歌い手”ウタ その姿にファン感動
最近の彼女の配信内容に多くのファンが涙を流している。朝は助っ人の人たちと島の復興作業。夜には歌を配信。彼女の過密スケジュールを見てファン数は以前よりさらに急増。”救世主”と呼ぶ声も多くなった。彼女の人気は____ - 40222/10/27(木) 18:06:02
作業開始から半年程経った
瓦礫の除去が終わった街は、どこでも安全に歩けるようになり、ステージも以前と比べてだいぶ整備された。
『じゃあね、また来るから』
彼らは定期的に自分の島に帰っている。今日も海上の天候が良いため、難なく帰れることだろう
「みんなー!ありがとう!」
私は海岸で船を見送った。船が小さく見えるまで遠くなった時、”最悪”が訪れた
____海賊だ。
海賊は船を見つけるなり、砲撃を開始した。
「!だれか!だれか!海軍を呼んで!!」
私は必死に電伝虫に叫び続けた
「だれか!!!」
襲われた彼らは当然反撃できず…彼らの船は海の藻屑となった
「は……あ、ぁ」ポロポロ
「ああああぁあああああぁあああああああああああああああああああぁぁぁあぁああああああああああああぁぁぁ!!!!」
この世界に平和や平等なんてものは存在しない
- 41222/10/27(木) 18:07:54
- 42222/10/27(木) 18:10:38
「あれ、ここはウタワールド……」
塞ぎすぎていたからか、いつの間にか夢の世界へと入っていた
(”一人”で来るのは本当に久しぶりだ)
配信中に歌うことでみんなを、夢の世界へ誘うことが出来るが、体力消費が多い分、配信を初めてからは、配信後に自分一人で入ることはできなかった。
(あれ、こんなのあったっけ?)
夢の世界には、”亀裂”ができていた。私は亀裂に触れると……複数の夢の世界が現れた
(これ、全部私?いや、別の世界の私!?)
九年間の歌のレッスン、そして長時間背信の結果。彼女の能力はより高い領域に足を踏み入れていた。
(みんな、自分の世界で頑張っているんだ……なら私も頑張らないと!みんなのために!)
ファンへの思い、そして海賊への怒りを糧に、彼女は復活した
- 43222/10/27(木) 18:14:03
海賊が憎い、あいつら、あいつらさえいなければ…
みんなこんな気持ちだったんだね。ごめんね、ちゃんと分かってあげられなくて
今度の曲はそんな皆の気持ちに寄り添って作るよ
だから____待ってて
【⠀”歌姫” 新曲またもや大ヒット!! 】
復興のために来ていた、ファンの船が海賊に襲われたことで活動休止していた彼女だったが、新曲《逆光》を掲げ復活。
その曲調と歌詞に救われた人も多く、世界中の反応から見ても、彼女は”歌姫”にふさわしいという結論に達した。何回苦しんでも歌を届ける彼女はまさしく”救世主”という島の人も____
【Ado】逆光(ウタ from ONE PIECE FILM RED)
- 44222/10/27(木) 18:15:39
別の世界の”私”たち…ありがとう。おかげでみんなのために元気を振り絞れたよ。
夢の世界……そうか、あそこにあるものを取り出せれば、救えるものも多くなるかも!
みんなのために、私がもっと強くならないと。
私は歌配信を毎日、体の限界まで続けた。一日に何時間も歌って、みんなの心を少しでも癒しながら、自分の能力を鍛えた。歌で世界を平和にするためには、夢の世界を現実に呼び出すくらいできるようにならないと……
でなければ、私の夢は叶わない
【 ”救世主” ウタ 再び新曲が世界的ヒット⠀】
先日新曲を掲げ復活した彼女だったが、早くも三曲目となる”私は最強”をリリース!初発表は前回同様配信にて行われ____
【Ado】私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)
- 45222/10/27(木) 18:47:52
半年後、(RED本編の1年前)
夢の世界から、物を取り出せるようになった私は、音符の戦士を使い、修繕不可能な建物の撤去を始めた。
毎日の配信と、現実世界での能力訓練で体力がつき、長時間配信が終わったあともすぐには眠らず、街の復興ができるようになった。
これならライブを成功させることも出来るだろう。
《ドゴォォォン!!!!》
「!?」
海岸の方から聞こえた、衝突の音。船でも不時着したのだろうか。私は音符に乗って直ぐにその場へ向かった。その船は____
海賊船だった - 46222/10/27(木) 18:48:53
- 47222/10/27(木) 18:50:04
『ぎゃははは!なんだその”筒”は!引き金だってねぇじゃねぇか』ギャハハハ
私は見せしめに、海に浮かび上がっている岩山に向け、”大砲”を放った
《ドォォォォォン!!!》
岩は砕け散り、海岸も少し吹き飛んだ。
吹き飛んだ海岸から綺麗な”貝”が見えたが、海に沈んだからには拾えない。残念だ。
「さ、あの岩みたいになりたくなかったら、さっさと____」
被害が出た場所を見ていたウタだったが、突然地面に屈み
「ゥ……ヴォエ!!!」
胃の中の物を全て吐き出した
『ぎゃははは!汚ねぇな!なんだコイツ!』
決して体力を使いすぎた訳では無い。
重なってしまったのだ。
壊れた岩山の光景と
ファンが乗っていた船の”最期”の光景が
「ハァハァハァハァ……」
彼女はただ震えながら
海賊の頭の上に音符を落とし気絶させ、その場を収めた
- 48222/10/27(木) 18:51:07
____後のことはゴードンに全て任せた
海軍への報告も、説明も……すべて。
今の私には……なにも、できないから…
(はぁ…今日も”あの子たち”から元気をもらおう)
私は余力が残っている日は必ず夢の世界へ行き、他の世界の”私”を見てその姿に、元気をもらっていた。____が
「え?みんなどうしちゃったの?」
今日はみんな悲しんでいた。
いや、ただ悲しいだけでは、あんなふうにはならないはずだ。彼女達は”必ず”海岸で見えた”貝”か、映像電伝虫を持っていた。
何が映し出されているか、ここからでは見ることは出来ない。私が”その子”のウタワールドに触れた時、私は”その子”の夢の世界に入っていた
(えっ!入っちゃった!)
その子に、何があったのかを聞こうとしたが、私は怖くなってしまい、話しかけずに元の世界へと逃げてしまった。
____真相を知ることもなく…… - 49222/10/27(木) 18:51:44
あれから更に半年以上が経った。
彼女のライブ会場は整い、綺麗な装飾を加えられた。
もうすぐライブができるであろう
彼女の心がその気になればの話だが……
____ウタはあの日以降、夢の世界には入っていなかった。あの日の”彼女達”の泣いていた理由を知ることが怖かったからだ。
だが今日は違う。今日こそ自分に向き合う時だと彼女は決めた。
配信を終え、夕食中___
『……ウタ、大丈夫かい?最近は今まで以上に無理をしているようだが』
「大丈夫だよ、私よりファンのみんなの方が辛いはずだから。だから私は大丈夫だよ」
そう、私は逃げてはいけないんだ
”私”から!
(今日こそ向き合ってやる) - 50222/10/27(木) 18:53:44
夢の世界を開くと、やはり彼女たちの世界が見える。その内の一人はメモをとっていた。
ウタはその様子を自分のウタワールドから覗いていた
(ん?”新時代計画”?)
《巨大なライブを開き、私を慕う全ての人をウタワールドに招き入れる》
(へぇ〜おもしろそう)
《ウタワールドは私が眠ってしまうと閉じてしまう》
(うんうん!だから予定している曲を全部歌えるか、不安なんだよね)
《今回のライブはネズキノコを食べるから閉じない》
(……は?)
ネズキノコは知っている。食べると眠れなくなる”毒”を持つキノコだ
(もしかしてこの”私”死ぬつもりなの…?)
私は慌てて、見るのをやめて離れたが、他の”私”も全員その計画を企てていた
(…なんなの?一体”私”に何があったの?)
ウタは眠りに入ることで、その場から”逃げた”
- 51222/10/27(木) 18:54:19
翌日ウタはひたすら迷っていた
(たしかに、ウタワールドが永遠に続けば、世界は平和になると言えるのかもしれない。でも、それをしたら……)
ウタは街を見ていた。ファンの人達が綺麗にしてくれた街を。もし計画を発動すれば、もうこの景色を見ることが出来なくなる。
___彼らの努力も無となってしまう。
(……彼らの思いを無駄にするのは…)
しかし思い出してしまう。”あの日”のファンの船に襲いかかった惨状を
(…ウタワールドでなら、守れた)
彼女の葛藤が終わる
(…………肉体は…必要ない)
彼女”も”現実に見切りをつけた
(みんなのためにもやってみせるよ、”新時代”)
【 ”世界の歌姫” ウタ とうとうライブを発表⠀】
デビュー開始からライブ開催を目指していた彼女だったが、遂にエレジアにてライブを開催することを発表!さらにライブでは新曲”ウタカタララバイ”を初お披露目!気になるライブチケットの入手方法は____ - 52222/10/27(木) 18:58:01
時間が流れるのは本当に早かった。
もうライブの日の前夜だ。
配信でライブはエレジアだけでなく、電伝虫にも流れるように伝えた。
これで全てのファンを救えるだろう
『ウタ、輸送船が届けたものの中に、君への手紙が入っていたよ』
「ありがとうゴードン」
さてと、手紙の内容は____!?
その内容に驚き、私は止まってしまった
《ウタへ おとうとはみみがきこえないけど、たのしくはいレんをみています ウタだけがわたしたちのすくいです 》
「ッ!!」
「ごめん!ごめんね!私!耳が不自由な人もいるってこと知ってたのに!!!」ポロポロ
(……ごめんね、でも仕方ないよ)
「この世界に平和や平等なんてものは存在しないんだから」
私はいつからか、この言葉が諦めの言葉になってしまっていた
(ルフィ…弱い私に力を貸して)
彼女はウタウタの能力でアームカバーの手の甲の位置に、”新時代のマーク”をプリントした
明日のために、拾ってきたネズキノコをカゴの中に入れた私は眠りについた
(必ず”みんな”を救ってみせる)
彼女の夢は既に破綻《はたん》していた
- 53二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 19:03:51
ははーん、これゴードンのとこでやばいことになるやつだな?
- 54二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 19:09:29
支援
- 55222/10/27(木) 22:52:20
- 56222/10/27(木) 22:57:07
- 57222/10/27(木) 22:59:55
「じゃあ次のきょ___え?」
いつの間にか麦わら帽子を被った男が私の前に立っていた。
麦わら帽子、忌まわしい帽子を被った男は顔を上げた
『あ〜。やっぱりそうだ。ウタ。お前ウタだろ!』
なんだこの猿みたいな顔をし…た___
「もしかしてルフィ…なの?」
『久しぶりだな〜ウタ』ししし!
「____」
「ルフィ〜!!!」ギュッ
《おい!ルフィ!なんでプリンセスウタと仲良し«ナンダー!»》
『だってこいつ、シャンク…』
「!!」ガッ!
『…痛ぇ〜。何すんだよウタ!』
…力を込めたのに。強くなったんだね……
「お願い…ルフィ。お願いだから、その後の言葉は言わないで」ボソッ
『分かった。それよりお前すっげー強くなったな!』
「___強くなってもいいことなんてなかったよ」
……それに私はまだ弱い
- 58222/10/27(木) 23:02:23
私のライブは再開し、数曲歌ったところで休憩を挟んだ。
私はその間ルフィとその友達の元にいた
「みんな楽しめてる?」
《プリンセスウタ!!》《えぇ、もちろんよ》《食材にも困らないしね》
「そっか!よかった!」
《ところでウタとルフィってどういう繋がり?》
『ああ!こいつは昔シャンク……』
「ルフィ!!」ガッ!
「……昔ね。フーシャ村に滞在してたことがあったの。そこでルフィと出会ったんだ。」
《そ…そうなのルフィ?》
「___」ギロッ!
『そ、そうれす』ボロボロ
「ところで、ルフィって今何やってるの?」
『海賊に決まってるだろ』
……やっぱり
「で、でも島とか、民間人とかは襲ってないよね!?」
……お願い、答えて
《ああ、ウタ。そこは大丈夫よ。私たちそういうのタイプじゃないから》
良かった
「じゃあいいや!許してあげる!」
《?》 《?》
- 59222/10/27(木) 23:03:16
『そういやウタ。お前なんで”あの船”から降りたんだ?』
「は?…”降りた”?」
『お前の”父ちゃん”が歌手になるために降りたって言ってたけど、あれホントなのか?』
「”歌手になるため”?何言ってるの?」
”アイツ”はなぜ、あの日起こったことをなぜ隠している。
……イライラする
「ねぇルフィ、その帽子かぶるのやめなよ」
『?』
「その帽子って”アイツ”のでしょ。私の友達なら、そんなものをかぶるのはやめて」
「私とその”麦わら帽子”どっちが大切なの?」 - 60222/10/27(木) 23:05:11
- 61222/10/27(木) 23:06:14
『おいウタ!なにやってるんだ!』グイッグイッ
「外そうとしても外れないよ。お願いだから今日はここにいて……私が死ぬまで」
『……ウタ。何言って__へにゃ〜』バシャッ
「!?」
突然バケツを持った観客がステージに上がり、ルフィに海水をぶっかけ始めた
「ちょっとまって!なにやってるの?」
《なにって!海賊をやっつけるんだ!》
いつの間にか熊手を持ち出した人まで出始めた。
「まって!この海賊たちは民間人に手を出していないんだよ!だから……」
《海賊は海賊だ!》《良い悪いなんてない!》《ウタ、あんたは”こっち側”でしょ?》 - 62222/10/27(木) 23:06:57
- 63222/10/27(木) 23:08:08
私はファンを落ち着かせ、ライブを続けた
そんな中、またしても乱入者が
『買うえ〜、買うえ〜。お前を買うえ〜』
「えーっと…どちら様で?」
《チャルロス聖が貴様を御所望だ。》
《我々と共に聖地へと来てもらう》
____そうか、ゴードンが私の才能を披露するのを抑えていたのはこのためだったんだね。
《天竜人だ。》《天竜人……》
さっきまで楽しんでいた観客はいきなり頭を下げ始めた
「え?あなたがあの天竜人?みんな言ってたよ。天上金のせいで、暮らしが貧しいって。偉い人なんだからそういうの辞めたら?おじさん」 - 64222/10/27(木) 23:08:43
『お、おじさん?こいつムカつくえ!』
二人の護衛が私に銃弾を放ったが、当然効かない。私には____
バンッ!!
二人の後ろから銃声が鳴り、二人の護衛は地に伏せた
「…ッ!!なんてことするの!」
「大丈夫!すぐ治すから」
私が近くにいる限り、この世界では死なない
そう、近くにいる限りは
「なんであんたは、そんな簡単に引き金を引けるの!?」
『なに言ってるんだえ?』
さらに驚いたことに、治した護衛も再び私に銃を向けている。
___こんなやつらがいるからダメなんだね。ファンのみんな、待ってて…すぐこいつらを磔にするから
観客は更に私に対して冷たくなった。どうやら天竜人に手を出すことは”あってはならないこと”だったようだ。
____みんななんであんなやつのこと、恐れているんだろう。”新時代”が来れば考え方も変わってくれるのかな? - 65222/10/27(木) 23:09:44
- 66222/10/27(木) 23:11:05
現実世界
ウタは一人、ではなかった
彼女は海軍に囲まれていた
『やめていただけやせんかねぇ。世界転覆計画』
「え?何それ?」
《ネズキノコ……まさか貴様!観客を巻き込んで死ぬ気か!?》
死ぬ……か。以前の私なら、死んだら後は骨だけで、もう終わりだと思っていた。けど…今は
「死ぬって何?私の”新時代”にはそんなものないんだよ!」
海軍が私を襲い始めた。これが”正義”の姿なんだね……。まあ、私もやられっぱなしにはならないけど
【 ♩♩〜♫⠀】
《おっと!このヘッドホンさえあればお前の能力は効かない》
「連れ込む気は無いよ。あんた達が”新時代”に来ても邪魔なだけだし。」
私は音符の戦士を呼び出し、応戦した。
劣勢になることは無かったが、ライブの舞台ではなく、戦いの舞台となってしまったステージは戦いの余波で至る所が壊れ始めた。 - 67222/10/27(木) 23:11:40
「……やめてよ。みんなが頑張ってくれたのに」
もう現実に未練は無いはずの彼女だったが、その光景をただ見ていることは出来なかった。
(もういいや。どうせ傷つけないだろうし、観客を操ろう)
____予想通り観客を操ったことで海軍は退散した - 68222/10/27(木) 23:15:07
- 69222/10/27(木) 23:16:23
『……』
彼はずっとウタがいる先を見ていた。その方角から聞こえる観客達の”声”に耳を傾けていた
《ウタちゃん、この世界は何か違う》
《こんな世界望んでいないよ》
『……こんなのは”新時代”じゃねェ。』
「は?」
『こんな世界”自由”じゃねェ!!』
「だからなんなの!?それでももう死ぬことはないんだからそれでいいじゃん!みんなきっといつか分かって____」
『こんなのはお前の掲げた”新時代”じゃねェ!!お前が誰よりもわかってんだろ!!!!』
「……」
『もう、終わりにしろ。ウタ』
「…………」
彼女の様子が、おかしい
夢の世界の彼女の体はしばらくの間、動いていなかった
「……もういいよ」
ようやく動きだした時……
彼女はルフィに向けて槍を放った - 70222/10/27(木) 23:17:14
《うおおおお!!》
『おっさん!!』
ルフィを庇い、ゴードンは彼女の槍をその身に受けた
彼の服から血塗られた”とても古い”楽譜が落ちた
「…なにやってんの?」
彼女はもはや誰に対しても冷たかった
《すまなかったウタ。君にずっと嘘をついていた。あの日起こったことは全部嘘だったんだ!》
「は?」
《あの日エレジアを滅ぼしたのは、シャンクス達では無い。君が呼び出した”トットムジカ”だったんだ。》
ゴードンは血塗られた楽譜を彼女に”遠くから”見せつける
《私が悪かった!あの日___》
ゴードンは”あの日”何が起きたのかを説明し始めた。
《だから、シャンクス達は悪くない!悪いのは全部私だったんだ!!》
『おっさん…』
「…もう遅いよ、だって私現実で……」 - 71222/10/27(木) 23:19:11
少し前、現実世界
私は眠っているルフィのそばに居た。
その麦わら帽子を破くために____
「……ッこんなもの!」
「ハッ!」
帽子に私以外の、別の手がかかる
「シャン……クス」
やってきたのは、赤髪海賊団だった
『久しぶりにお前の歌を聞きに来た』
「くっ!!」
私はウタワールドから銃を取り出した。
そして、その銃口を育ての親に向ける……
引き金が……重い
なぜ天竜人はこんな重いものを気軽に引けるのだろうか。
『ウタ』
「ああああぁあああああぁああああ!!!」バンッ!
____二発目からはとても軽かった……
「なんで……」
彼らは全員体から”赤”を流し、地に伏せた
「なんで……何も言わないの?」グスッ
いつの間にか、彼女の背には”黒い翼”が生えていた - 72222/10/27(木) 23:20:45
- 73222/10/27(木) 23:21:53
- 74222/10/27(木) 23:24:27
- 75222/10/27(木) 23:25:12
- 76二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:33:11
シャンク死んじゃった…
- 77二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 07:02:29
あー まさかの、、、
- 78222/10/28(金) 07:13:27
- 79二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 07:14:29
やっぱその画像笑っちまう
- 80222/10/28(金) 07:16:15
『あなたは誰?』
振り向いた別の私が問いかけた
「別の世界の”ウタ”だよ。」
「____聞かせてよ、あんたに今日何が起き___!!」
私より輝いていた”彼女”に近づくと、私の頭に、彼女の記憶が流れ始めた
そこで分かったことは……
__”あの日”みんな泣いていた理由はエレジアの事件の真実を知ったからだった
__シャンクス達は、”ウタ”をずっと大切な娘だと思い続けていてくれた
____”私の世界”で観客達を解放したのは、”彼女の現実の世界”から流れていた。
彼女の歌声だった……
- 81222/10/28(金) 07:18:22
- 82222/10/28(金) 07:21:33
「……お邪魔したね、帰るよ」
『ちょっと、待ってよ。あなたこれからどうするの?』
「____」
考えても、答えは出ない。今はただ”逃げたかった”
『あなたがそんなに後悔しているんだったら、別の”私”を助けたら?』
「____え?」
『あなたなら、別の”夢の世界”に行けるんだよね?だったら、他の世界の、困っている”私”を助けたらどうかな?』
確かに…”こんな私”は一人でいい……
「うん。やるよ、私。アドバイスをくれてありがとう」ニコッ
私は早速行動に移ろうと、この夢の世界から出ようとした
『___あ!待って!』
『ルフィと話すことがあったら、伝えてくれないかな?』
『”この帽子がもっと良く似合う男になるんだぞ”って』
『それが”私の願い”だから』
「……うん。”私”もだよ!」
彼女の贖罪《贖罪》の旅が始まった
END
- 83二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 09:19:49
お前は語り継がれる・・・・・・
- 84二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 09:23:35
前作からずっと応援してました
好きです - 85222/10/28(金) 19:17:41
感想ありがとうございます!
蛇足ですが、2人のイチャイチャ置いておきます
ttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18615794 - 86222/10/28(金) 19:19:09
dice1d5=1 (1)
1 ルフィゴムゴムの実触る18ウタの元へ
2 ルフィとウタの子供に転生したウタ
3 常に繋がっている(意味深)ルウタ
4 性的暴力を受けたルフィをウタが慰めックス
5 ルフィとの最高のデートを計画するために自分の分裂体と擬似デート
- 87二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 19:34:06
クソッ!2もみてぇ!!
- 88二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 19:43:28
まさかの黒ウタちゃん百合だったでござる
- 89二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 19:45:25
- 90二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 19:58:10
たしかにただただルフィが可哀想だなこの世界線
- 91二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 20:00:22
そう言われてみればそうだわ
- 92二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 20:31:43
ここで続けると思ったらスレ立ててるのワロタ
行動力の化身だ