- 1♯22/11/05(土) 19:55:32
ウタがもしシャーロット家の娘だったというif物です。
独自解釈とか解釈違いとかクソ難ルフィエミュとかウタの口調が都合上一部変わってる部分があるので許してください
かなりRED世界から設定が弄られているのでアレルギーにはご注意
プロット未完成の為完結するか不明です
ゴードンさんがこの世界でウタに少し踏み込めるような人だったらというifでもあります
素晴らしい基礎概念スレ
【IFCPネタ】ここだけウタがフィガーランド家ではなく|あにまん掲示板シャーロット家の本名シャーロット・ウタだった世界REDでは赤髪海賊団に拾われたとき2歳だったがこの世界では3.4歳くらいだったためシャーロット家のことを朧げながらも覚えているただしルフィへの恋愛感情が…bbs.animanch.com技の名前はここから一部頂いています
エアプゴードンの技名を考えるスレ|あにまん掲示板bbs.animanch.comあらすじ的な何か
時系列はサンジ救出のWCI編
万国(トットランド)
ビッグマムの縄張りの先端部分にて。
レイジュによってルフィから毒は取り除かれ、ジェルマとの一触即発は回避された。
既に生命の危険の峠を越えて、健康街道へ進むルフィ。彼の率いる麦わらの一行はサンジ奪還の為ホールケーキアイランドへ向かっていたのであった。
- 2◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 19:59:00
プルプルプルプルプル……っ
プルプルプルプルプル……っ
ブルック「おや?誰からでしょう電々虫!」
ペコムズ「警告念波をキャッチしただけだ。ママの縄張りに入った。変装するか隠れるかしろ」
ナミ「どうして分かるの?」
ペコムズ「ママの縄張りに入ったものは、敵味方の関係なくまず警告を受けるからな。そして電々虫の電波の特定に成功すると……」
さぁ、怖くはない♪
不安はない♪
私の夢はみんなの願い♫
歌唄えばココロ晴れる♪
大丈夫よ私は最強!
ペコムズ「曲が流れる様になる!」
ナミ「あら、良い曲ね」
チョッパー「よく分からねーけどワクワクするな!」
キャロット「電々虫さんに!ガルチュー!」
ペドロ「やめろキャロット!いくらなんでも度が過ぎてるぞ!」
ブルック「ソウルを奮い立たせる良いミュージックですねぇ!」 - 3◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 20:00:17
わいわいと各々が騒ぎながら時は過ぎていく。サンジが連れ去られ、余裕のない船旅でこの敵船からの警告が、一味を癒す。タルト船などの危機に対応するため監視しているペドロはまだ何も言葉を仲間達に伝えない。どうやら何故か"そういった危機的事態"を回避できている様だった。
ペコムズ「今回は来ないな……だが油断はするなよ?これはビッグマム海賊団の幹部が考案した"セイレーンの呼び声"。監視船(タルト)がすぐにくるぞ…………麦わら!ちゃんと聞け!ガオ!」
ルフィ「……………悪りィ!ぼーっとしてた!」
ペコムズ「よりによって麦わらが歌姫の呪いに掛かるとは……流石に"菓子作りの歌姫"と呼ばれるだけのことはある」
ブルック「お菓子の歌姫!なんとロマンチック!!私も心臓を掴まれた気分です!あっもう心臓朽ちてないんですけど!ヨホホホっ!」
警告念波は本来、敵にナワバリの位置を知らしめるものだ。無機質な警告音以上のものを齎さなかったそれはある日から全く意味が変わった。以来万国の傘下にある者たちや貿易に来た商人、お茶会の客人に至るまでこの歌声を聴いている。
どうやら生音声ではない様だ。しかしそれはまるで上質なトーンダイヤルを聴いている様に錯覚させ、人々を陶酔させる。
尤も、この声に素直に酔いしれればビッグマム海賊団に目をつけられ、どれほどの憂き目に遭うかは分からない。かつて海岸近くの岩場に住み、人々を歌で誘い込んで事故を引き起こした怪物の名を指して"セイレーンの呼び声"と、人は呼ぶ。 - 4◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 20:02:09
ナミ「活動的……ねぇ……どうして?」
ペコムズ「ホイップ様は唯一大臣格にして統治する島を持たない。自分の"ライブ公演"の為にあらゆる島に不定期に移動するからだ!」
ペドロ「ホイップという名はあまり聞いたことがないが……大臣だろう?市井に積極的に出て来ず、ライブを開催するだけならば会場から離れることはないと思うがな」
ペコムズ「ペドロの兄貴、それは違う!俺は一回ホイップ様のライブの警備を手伝ったことがあるが、最後にこう言われたんだ!」
「私の影響下に置かれたくないなら、島外沖で待機しろ……と!」
キャロット「え?どういうこと?」
チョッパー「…………ホイップって奴の力は、島一個を覆えるほどに大きいって事なのか……?」
ナミ「もしかしたらエネルみたいに島一つ分の見聞色の覇気があるのかもしれない……どちらにしても、不気味だわ」
ペドロ「やはり万全の補給は諦め、最短ルートを最速で駆け抜けるべきだろう。ルフィ!どうする!」
ルフィ「シシシ!どうするも何も変わんねェよ!目標はサンジの待ってるビッグマムのナワバリのホールケーキアイランド!野郎ども!全速全身だぁ!!」
「「「「「「おーっ!!!」」」」」」
こうして麦わら一行は海賊の悪夢へと進んでいくことになる。そして、古い思い出へ - 5◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 20:03:27
ビッグマム「ハーハハママママ……久しぶりだねぇ。お茶会はもうすぐだ、前回でほとんど完成してるのァ知ってるがどうだい!?お前の言う"聞かせられるレベル"ってのにゃなってるのかい!?」
ウタ「……まだだよママ」
ビッグマム「はァ!?てめェ怠けてたんじゃねェだろうな!!?」
ウタ「作曲は終わった。リズムも十分、作詞はほぼ完成したしもう大詰め。プレスできるレベルにはした」
ビッグマム「なら聞くが……何が終わってないんだい?全てを甘いホイップクリームのように魅了するおまえの歌声に不可能はないだろう?」
ウタ「私はシャーロット家29女、広告塔にしてムード大臣のシャーロット・ホイップだよ?甘い仕事は絶対に出来ないんだから!」
ムード大臣
(シャーロット家29女・双子)
C(シャーロット)・ホイップ
1億7700万ベリー
ビッグマム「ホイップのこだわりはよくわからねェなァ。食事中の音楽なんだ。適当に楽団でも呼べば良いだろ?やっぱりお前の音楽は食卓を楽しく囲むには最高だけどよ、おれァお前の体調を崩さねェか心配で心配で!」
ウタ「適当じゃダメ!楽しいだけじゃダメ!まだ魅力的なリズムはある。まだ魅力的な歌詞がある。まだ魅力的な歌がある……。私はここで楽しく歌いながら新しい時代を待ってるの!」 - 6二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 20:04:08
このホイップウタはルフィへ恋愛感情をもっているという概念も含んでいますか?
- 7二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 20:06:55
基礎概念通りならルフィへの恋愛感情がある事になるけどそこら辺どう?
ホイップウタならその部分重要よ - 8二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 20:08:24
個人的に好きな雰囲気
続きが楽しみです - 9二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 20:09:34
cp関係なく概念創始者が絶対的設定としていれてるしね
- 10◆jYCx/oHaQmHM22/11/05(土) 20:10:00
少し時間は進み、ルフィ一行がWCIに到着した頃。
「なんでそこまで頑張るの……?ルフィ」
ここはWCIの中心地ホールケーキ城。その寝室で私は、激突する気配と共に目を覚ましていた。
夜中のいつごろのことだろうか。誘惑の森方面から、気配を感じる。
…………麦わらのルフィ。5億ベリーの海賊。手配書を見る限りだけど、麦わら帽子が少し似合う人。私は昔の夢を思い出して、ため息を吐いた。
私は、ずっと東の海の情報を追いかけていた。とある男の子のせいだ。かつて約束を誓い合った日々のことを全然忘れられなかったから。
手配書を探し始めたのは、赤髪海賊団を止めてしばらく後、海賊として初めて戦闘に駆り出されてからだ。
自分が一端の戦闘員と認められ、そこそこの活躍を認められてから彼も海を出たのだろうかと縋っていた。
1年経っても、2年経っても、3年経っても東の海から1000万ベリーを超える新入りの賞金首の情報は入ってこない。
いつの間にかその様子をママか、家族に見られていたのか海賊の情報収集の一部を任される様になった。 - 11二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 20:11:22
数字列変わっちゃいましたすみません
おそらく恋はしていると思います - 12◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 20:13:26
4年目のある日、私は眩い光を見た。
麦わらのルフィ。
初動手配の賞金は3000万ベリー。
初めてでそんなに高い懸賞金を掛けられるなんて凄い。そう思った。
その頃には諜報員を数人派遣できるくらいのことは出来る様になっていたから、その人から話を聞くのが嬉しかった。魚人の小さな拠点を潰したこと、1000万クラスの賞金首を何人も倒したこと。
海軍本部大佐から見事に逃げ切ったこと。
まるで昔、シャンクスからの冒険話を聞いてるみたいにワクワクした。
仲間は5人。船長、戦闘員、コック、狙撃手、航海士。
音楽家がいなかったから、すごく嬉しかった。私の為に席を空けてくれているんだって勝手に、そう思った。
そのすぐ後、今度はその首に1億の懸賞金が掛けられた。
理由は不明。麦わらの一味のアラバスタ潜入後、しばらくして七武海の一角が落ちたその直後の話だった。
クロコダイルと手を組んでその情報を手に入れたのではないかとか、クロコダイル側で参戦して海軍を妨害して逃げ切ったとか色々言われていた。
海軍に追い掛けられていたことからその情報に真実味はあったけど、違うと思う。
きっと、アラバスタを助けようとしたんだ。でも良い所まで行ったのに、海軍に横取りされた。そんな感じだと思う。ルフィは略奪する海賊とは違うんだから。 - 13二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 20:15:30
- 14◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 20:16:51
いつの間にか王女や医者を仲間に加えていたらしい。医者は大事だもんね。王女様は人質に取られていたらしい。本当かな?
風邪ひいた時はホンゴウさんに看てもらったっけ。シャンクスが喧しかったことも覚えてる。捕らえられていた?その人が羨ましかった。
少しの間でいいから、一緒に冒険がしたい。
そう思うと、仕事に身が入った。
なんか悪魔の子が仲間になったらしいという情報が一瞬流れて、すぐに消えた。
3億。私がその額を聞いた時すごく驚いた。この頃からよく情報が途絶えていたけれど、オーブン兄さんやダイフク兄さんクラスの賞金が掛けられるなんて全く思ってなかったから。
世界政府に喧嘩を売ったらしい。CPが動いたという情報も掴んだ。なぜ動いたのか、どうなったかは分からない。
だけど結果としてW7は混乱し、エニエスロビーが一時的に陥落した。
私はゲラゲラと笑いながら、その話を聞き続けた。どんどん新世界に近づいている。頑張って欲しかった。私を迎えに来て、一緒に冒険しよう!なんて馬鹿みたいな夢を見た。 - 15二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 20:18:11
シャーロット・ホイップってなんかちょうどいそうな名前だな
- 16◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 20:21:20
ある日、麦わらの一味の消息が途絶えた。
詳しく覚えていないけれどシャボンディ諸島で崩壊し、頂上戦争で船長が鐘を鳴らしたのを最後に消えた。
私はルフィらしくないことをしてるから、おかしいなとはおもった。
でも新時代を作るのはおれだと言っているという説を聞いて、ワクワクしたし、ドキドキもした。約束を覚えていてくれたのかなと胸が高鳴った。
でも、もうそこに私の場所はないのだろう。
なぜなら彼の船にはもう、音楽家が乗っていたから。不思議な骨の音楽家。彼が好きそうな不思議に満ちた音楽家。
手配書とは違うんだけどなぁ。なんでだろう。
私は仲間じゃない。麦わらの一味じゃないし、もうなることはない。頭を殴りつける様な現実だけを残して、彼は消えた。
私は彼が冒険を始めた頃には既にビッグマム海賊団の幹部だったのだから。
私は完全にウタの名前の意味を失ったことを思い知らされた。 - 17二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 20:25:58
ビッグマムはホイップがルフィに重い感情を持ってるのは知ってるのかな?
それともホイップがここまで隠し通してきたのか - 18◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 20:28:42
シャーロット・パンナという28女の女の子が21歳のはずです、スレとネット両方で調べました
〜〜〜〜〜〜
2年後、麦わらの一味復活の噂を聞いた。
もう、どうでもよかった。
彼は無事で……生きてて……すごい。
一晩中泣いて、嬉しくて。でも、もう私のことは入れてくれないんだろうな。
虚しくなって彼の情報を集めなくなった。
今、彼は万国(トットランド)にいる。ドフラミンゴを倒して、そのまま来たという。
噂ではヴィンスモークの三男を取り返しに来たらしい。
………………ヴィンスモーク・サンジがすごく羨ましくて、羨ましくて、羨ましくて、羨ましくて、羨ましくて、羨ましくて、羨ましくて。
だから、ヴィンスモークとは顔を合わせていない。双子の姉のパンナにワガママを言って……1日だけ、一緒に寝た。
- 19二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 20:32:47
うい
- 20◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 20:47:44
そんな、過去の話はもうどうでも良い。
私は……そこそこ見聞色の覇気が使える。
勿論、カタクリ兄さんの様に鋭く研ぎ澄まされたものではない。未来を見る方法があるなんて言われたけどそんなことできる気がしないし、三将星レベルの覇気があるかというと……ちょっと苦しい。私の強さは、かなり能力の方に比重が向いている。
ただ私には人がやりたいことが見えた。〜したいとか、〜して欲しいとか。〜だったらいいのにとかの願望が私には分かる。
どう例えれば良いのだろうか。欲望の大きさを気配として感知できる?なんとなく遠くの欲望の声が聞こえる?……そんな感じ。
サンジ!どこだ!
コイツ……つえェ……っ!!
麦わらぁ……邪魔はさせん!
さっさと始末して、お茶会に備えねばならんがこれは……っ!
私は、命令があるまで外に出られない。
普段ライブの為に他の家族たちと比べてもかなり自由に移動する権限を持っているけれど今回ばかりは話が違う。お茶会に備えて演出のリハーサルを自分の内側の世界で行っておかなければいけない。
本来は、そうしなきゃいけないのに。
痛い、という音がする。怒りの音がする。
止めて……傷付けないで……
早く帰って、ここに来ちゃダメ。
なんで来たの?彼の為?
なんで傷つけるの?誇りのため?
足が震える。彼の下へ走って行きたい。今の私なら、何かできるかもしれない。
そう思ってわたしは扉の方へ走って、手を掛ける。
「なんで……っはっ、はっ、はっ、はっ、ママ……違うの!はっ、はっ、逆らってない!違うの……」 - 21◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 21:11:28
幻が、走り抜けた。
ホーミーズじゃない。家族でもない。覇気でもない。ママはこんな所には、来ない。
ウタ「ルフィが……いるのに……」
勝てない相手がいると思い知るがいいっ!!
昔の記憶を思い出して、体が、固まった。
そこで倒れて……一度そこで、記憶が途切れた。
******
しばらくして、大きな覇気の激突、窓を通しての爆音。扉の前で突っ伏していた私は、そこで目が覚めた。
首が痛い。寝違えたみたいに痛む。
全身がカチカチに固まった状態で、目が覚めた。爆音がした方を向くと、どうやら先程決着がついた、らしい。
ぁ……ぁあ………死んじゃダメルフィ!お願い……お願い……
新世界の果てまで飛んでいけ〜〜っっっ!!!
ルフィの声がした。
生きてる。勝った。誰に?クラッカー兄さんに。
どうして?……強いから。
コンッコンッコンッ
ホーミーズ「ホイップ様!ホイップ様!」
ウタ「……!何!?どうしたの?」
ホーミーズ「緊急事態です!クラッカー様が麦わらのルフィにやられたとの報告が!」 - 22二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 21:22:11
釜を用意しておこう
- 23◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 21:26:32
バタバタ……
バタバタ……
ウタ「知ってるよ!仇討ち隊は編成出来たの!?」
ホーミーズ「見聞色……はい!スイート三将星仇討ち隊編成に当たって先遣隊の要請あり!その指揮にシャーロット・ホイップ様をご指名になられました!」
ウタ「…………!理由は!?」
ホーミーズ「完全制圧と即時無力化です!チェス戎兵100、30名の戦闘兵、2名までの騎士の派遣を許可されました!」
ウタ「要らないよ!!」
ホーミーズ「しかしながら万が一のことがありますと……」
ウタ「……私に万が一があるの?」
ホーミーズ「…………!」ゾッ……
ウタ「大丈夫!ルフィのことなんてチョチョイのポイなんだからね!」
ホーミーズ「……?ご存知なのですか!?」
ウタ「はっ……5億の海賊、ドフラミンゴ討伐!これでいい!?」
ホーミーズ「無事のご帰還をお待ちしております!しかし一応です、先遣隊戦力は後続として用意させていただきます」
ウタ「……いいよ。好きにして」
少女は今、駆ける。 - 24◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 21:46:44
そして今、迷いの森を抜けた先。ルフィとナミの目前に槍と金属鎧を構えた女が立っていた。
ナミ「何よ……コイツ……」
ルフィ「は……は……誰だ、お前……っ!!」
ウタ「ル……!ごほん。ルf………ゲホッゲホッえっと……あのね……」
ナミ「えっと……敵……‥なのよね?アンタ」
ウタ「そうそう!敵!極悪非道の海賊団麦わらの一味のね!」
ナミ「アンタらの方がよっぽどひどいわっ!」
ウタ「そんなことない!悪行は知ってるよ!アーロンパークでノコギリのアーロンを打ち倒し、ウィスキーピーク100人抜き、クロコダイルを討伐し!エニエスロビーで大暴れして政府の旗を焼き払って破壊!ゲッコー・モリアと激突し圧勝!シャボンディ諸島で天竜人をぶん殴り!黄猿と互角の戦闘をして!」
ウタ「インペルダウンはあれだけど……頂上戦争で快刀乱麻の大暴れ!白ひげに認められて!新時代を作る宣言もして!」
ナミ「もしかして、この子…‥あれじゃない?」
ルフィ「…‥おれもそんな感じしてきた」
ウタ「魚人島征服とママに宣戦布告!パンクハザードからドレスローザで幹部とドフラミンゴを討伐!そしてここにお茶会を邪魔しに来た男!」
ナミ「……本当に敵なのかしら……」
ウタ「そんな極悪海賊を捕縛しに来ました!」
ナミ「なんのポーズよ、それ……」
ウタ「……捕まえた兼勝利を確信したポーズです……」 - 25二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 21:47:57
ルフィはウタのことわからないのか?
- 26◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 21:55:14
ナミ「あんなアホのこと放って置いて戦いに備えましょう?」
ルフィ「……そうだな。悪ィ!誰だか知らないけど……ん?」
ウタ「し…‥知らない……お、覚えてないの……?」
ルフィ「…………!?ウタ……?お前、ウタか……!ひっさしぶりだなぁ!」
ウタ「よ……よかっ、だぁぁあ」
ルフィ「服装も違うし、ヘッドホンもつけてなかったし……雰囲気も違うしよ……ここで何やってんだ?ウタ?」
ウタ「だから捕縛しに来たって…‥やっぱりひどい怪我してる」
ルフィ「大丈夫だ、それより……ウタに聞きたいことがあったんだ!」フラッ
ウタ「無理しないで!……」
ナミ「捕縛しに来た敵の態度じゃないわよそれ……ってこの声どこかで……」 - 27◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 22:10:27
ナミ「ぁ……アンタ……もしかしてホールケーキアイランドの……か、"菓子作りの歌姫"?」
ウタ「こちらこそ知ってもらえて光栄!オレンジ色の髪に、風車とミカンの刺青…………アナタは"泥棒猫"のナミ、さんだよね?……はじめまして!ルフィがいつもお世話になってます!」
ルフィ「何言ってんだよウタ!おれがナミを世話してんだ!」
ナミ「どの口が言っとんのじゃくらぁ!」
ウタ「あはは、変わらないねルフィ……でも、ウタっていう名前は止めて」
ルフィ「どうしたんだよ〜?ウタはウタだろ?」
ウタ「はぁ〜……違うって……本当にすみませんコイツが……いつも大変じゃない?」
ナミ「えぇ全く。……って違う!ルフィ!敵よ!ビッグマムの縄張りに入った時に声聞いたでしょ?ヤバい奴!ペコムズも言ってたでしょ!同じ島にいちゃいけないって!アンタこの人とどんな関係なのよ!?」
ルフィ「ウタはおれの幼馴染でシャンクスの娘だ!!」
ナミ「えぇぇぇぇッ!!??」
全く声の響かない場所で、たった1人の声が、虚しく響き渡った。 - 28◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 22:28:37
簡単にではあるものの、ウタとルフィの関係にいて語られ、神妙にナミは聞き入る。そこにあったのは短くて、とても濃い幼馴染の絆。
ナミ達麦わらの一味とルフィの繋がりとは違う、別の一面をナミは聞いてしまう。
ウタ「ってことなの!私たちは1年の短い間だったけど、ルフィとしゅぎょーしたりしてたんだから!」
ナミ「初めて聞いた……!ルフィに女の子の幼馴染が居たなんて」
ルフィ「あれ?言ってなかったか?」
ナミ「初耳よ!……それにしても敵地のど真ん中でルフィの友達に会うなんてね……」
ウタ「ふふん、運命の再会って奴だね!疲れたでしょ?……私、一応お薬と包帯、あるんだけど使う?」
ナミ「えっ!良いの!?いい子!!」
ひょいひょいと、スカートの中から、鎧の中から次々と手当てをするための用具が飛び出してくる。
まるで魔法のように。
ウタ「これが痛み止め、これが切り傷用の湿布。これはホールケーキアイランド特製の生クリーム塗り薬!絶対に化膿しない優れものなんだよ!混ぜれば傷の治りだって早くなるんだから!」
ナミ「うわっ、すっごい用意が良いのね!ありがとう、本当に助かるわ!」
ルフィ「飲む薬は飲まねェ!塗る奴あるか?」
ウタ「昔っからルフィはお薬苦手だったもんね〜。そう言うかと思って塗るタイプか貼るタイプだけ持って来た!」
ルフィ「ありがとうウタ!」
ウタ「どういたしまして…‥でも今は、ウタじゃないよ?シャーロット・ホイップ。29女の双子」 - 29◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 22:31:02
ナミ「……やっぱり、そうなのね。…‥ならどうして手当なんかするの?……幼馴染だから?」
ウタ「さーて、どうしてかな〜」
鼻歌を唄いながら薬を取り出し、手際よく並べていく。幾つかの薬を見比べるとニコッと笑ってルフィの傷の手当てをし始めた。
ウタ「ルフィ、手を出して?」
ルフィ「ありがとう!……あひゃひゃっ!くすぐってぇ!いてっ!いててっ!しみるっ!」
ウタ「もう我慢してったら!昔っから……っ!なら、こうして、こうして……こう!!」
ルフィ「いってぇぇぇええ!何すんだウタ!」
ウタ「ホイップ!人の話聞けっ!……えへへ」
ナミ「本当こんな優しい幼馴染どこから生えて来たのかしら……もったいない」
ルフィ「すげェんだぞウタは!昔から修行の時に備えて色々準備してたんだ!よく競い合ったし!」
ウタ「そうなの!183回も競争したんだから!」
ナミ「……んで、勝ち負けはどうだったの?どうせ覚えて」
「「おれ(私)の183連勝だっ(よっ)!!」」 - 30◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 22:46:16
しばらくして傷の手当てもあらかた終わり、パシッと包帯を軽く叩いて、処置が終わったことを示した。
ウタ「処置終わり!どう?」
ルフィ「結構痛ェけど……っ、だいぶマシになった!」
ナミ「手当上手なのね……」
ウタ「……冒険しようって時のために、練習してたから」
ナミ「結構しっかりしてるのね。どっかのバカとは大違いだわ!ねェルフィ?」
ルフィ「いいじゃねェか!おれが治療とか航海するぐれェならお前らに任せた方がマシだ!」
ナミ「そりゃそうだけど……っは、そんな場合じゃない、ルフィ。そろそろ復讐の軍団が来るわ!早く避難するなりしないと……」
ルフィ「まつ」
ナミ「敵なら来るけど……サンジくんは……」
ルフィ「サンジは来る…‥おれはここで待つ……!!!」 - 31二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:48:01
そこはやっぱり変わってないんだな...まあ当然ではある
- 32◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 23:06:29
ウタ「…………!逃げないの?なんで?」
ルフィ「おれがそう決めた!!サンジを待って一緒に帰る!!!」
ウタ「一緒……一緒………そうかぁ……」
ナミ「ウタ……じゃなかった、ホイップ……?」
ルフィ「ウタ!多分暫くしたらここ、戦場になると思うんだ。離れててくれ!」
ウタ「…………そうだ、イノシシ!近くの森にイノシシが住んでるの!誘惑の森じゃないし敵もいないよ?お肉好きでしょ?一緒に食べよ?」
ぐぅぎゅるるるるぅっ!
ルフィ「美味そうだけど……食わねェ」
ウタ「ぇ…………なんで?もう!冗談でしょ!……ナミさんも何か言ってあげて……?」
ナミ「……私も遠慮するわ……ごめんね、せっかくだけど」
ウタ「……?お腹減ってるのに、ルフィが?……だっていつも2人でさ!イノシシ捕まえて!丸焼き出来た時!喜んで食べてたじゃない!」
ルフィ「ごめん!ウタ。おれはもうサンジのメシしか食わねェことにしたんだ」
ウタ「………………っ!、!そう、なの?」
ナミ「らしいわ。変なプライドだと私は思うけど、大切な約束なの。分かって」
ウタ「絶対?」
ルフィ「ぜっったいだ」 - 33◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 23:24:56
ウタ「ならっ…………!そういえばルフィ達は迷いの森から出てきたんでしょ!今度は東の方を案内してあげる!あそこにはおいし〜いクリームが成る木の実があってね!パンケーキにそのままかけても美味しいんだから!」
ルフィ「行かねェ。サンジのこと、待ってんだ。本当に悪りィ!!けどここから離れられねェから」
ウタ「…………………………分かった」
ナミ「ごめんなさいウタ。サンジくんがここに来るまで私も動けないし……全くバカよねコイツ!」
ルフィ「痛ってェ!何すんだよナミ!」
ナミ「アンタが意地張ってるからよ!……分かるけど、この子だって敵として来たわけじゃないのにそんな冷たい態度とっちゃ駄目!ね?ウタ」
ウタ「………………私、ルフィのこと守ってあげよっか?」
ルフィ「……?何言ってるんだウタ。」
ウタ「今の私の力があれば、ルフィを守れる!知ってる?私、ビッグマム海賊団の幹部のムード大臣なんだから!」
ルフィ「…………そう、か!ウタ!でも俺たちサンジのこと……」
ウタ「さっきからサンジって……ヴィンスモークのでしょ?」
ルフィ「っ、そうだよ!アイツ俺たちのコックだからさ!来るのを待ってるんだ!」
ウタ「だから、クラッカー兄さんを倒したんだね」
ルフィ「本当に……お前、辞めたのか……?」
ウタ「…………スイート四……今は三将星だったっけ。を倒した人の末路、知ってる?」 - 34◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 23:42:03
ルフィ「……山程、軍隊が来るんだろ。強ェ奴も混じってるって聞いた」
ウタ「なら……そうだ!184戦目しようよ!南西の海岸で!そうだなぁ〜」
ルフィ「……おれは離れねェ。分かってる……だろ。だから……そんな顔、しないでくれ」
ウタ「……そう、だよね!知ってる!知ってるよ!!……だ、だって……どんなに喧嘩しても……譲らなかった……負けも認めなかった……」
ルフィ「……………………」
ウタ「手…‥握っても、いいかな」
ナミ「…‥ルフィ……!」
ルフィ「………………!?どうしてお前」
ウタ「わたしは……ビッグマム海賊団のホイップ」
ルフィ「言わなくても分かってる!お前は赤髪海賊団のウタだ!!」
ウタ「違うっ!私はシャーロット・ホイップ!スイート三将星仇討ち軍先遣隊指揮官のホイップ!軍団はすぐに来る!私は最後通告をしに来たの!!」
「「……!!」」
ウタ「ねぇルフィ。お願い……っお願いだから……っ私たちの傘下になって……!」 - 35二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 23:43:43
ガン曇りウタちゃん不憫かわいい
- 36◆tsGpSwX8mo22/11/05(土) 23:56:22
取り敢えず次は明日の朝に更新します
ここまでの閲覧ありがとうございます - 37二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 00:45:14
やっぱりマムへの態度見る限り、マムはなんかしやがったな
- 38二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 07:24:39
シフォンを見る限りマム自分が腹を痛めて産んだ子でもかなり酷い扱いするからね...
- 39二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 07:28:50
サンジとプリンの結婚と並行してホイップの結婚の準備もするんじゃね?
麦わらの一味にはポーネグリフ読めるロビンとか面白い生物もいるし - 40再開します22/11/06(日) 07:41:55
ルフィ「……………………聞いてく」
ウタ「……スウ」
ルフィ「わッッッッ!!!!」
ウタ「なになにっ!?むぐっ!」
ルフィ「つかまえた!!」
ウタがまず何かを言葉にする前に、大声をだしてウタの意表を突き、彼女の歌唱を止めて、口を塞ぐ。もがきながら抵抗するウタの口を抑えながらウタをゴムの全身で絡めとった。
ウタ「んんん!むぐむむぐ!」
ルフィ「ウタ……曲、歌おうとしたよな?」
ウタ「……!!」
ルフィ「ウタとは大分修行してるからな……じいちゃんと3人で鍛えた時もあった!能力も覚えてる。歌として成立してなきゃ……やられねェ!シシシ」
ナミ「ルフィ!油断しないで!」
ドンッ
ゴムの体で縛られていたウタは槍の石突きでルフィの脇腹を殴りつける。一瞬拘束が緩んだ隙に、ウタはルフィを地面に叩きつけて抜け出した。
ルフィ「ゲホッ……!」
ウタ「ホイップクリームの様に甘いよルフィ」
「私は"菓子作りの歌姫"シャーロット・ホイップだ!!私だって強くなったの。私ならホイップクリームマシマシのパンケーキを食べながらでもルフィを倒せるんだよ!」 - 41二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 07:45:19
このレスは削除されています
- 42ミスしたので再喝です22/11/06(日) 07:47:14
ルフィ「違う!お前はウタだ!!そしておれの方がつぇえ!」
ウタ「……っっ!!いい加減にっっ、しろっ!!」
ルフィ「…………」
ウタ「私だって痛い目に遭ってきたんだ!今更ルフィのパンチがなんだ!海賊を馬鹿にするな!!」
ルフィ「だけどよ……」
ウタ「東の海の情報収集は私の担当だ!!」
「「!!」」
ウタ「…………っバラティエも!パティも!!カルネも!!…‥オーナーゼフも……私が集めた情報なんだよ………………」
ウタ「私のせいだ!!!…………仲間を売られて、海賊が黙ってるのかよ」
ナミ「ウタ…………」
ルフィ「分かった。……馬鹿にして、ごめん」
ルフィが手に、力を込める。ウタは右脚を上げて、蹴りの構えを見せた。ゆっくりと上げるごとに、音が鳴り響き、互いの攻撃を予感させる。だが、それはいつまでも来ず……ウタが痺れを切らしたのか力を込め始めた。それに応えるようにルフィも構えをとった。
「ゴムゴムの……っ」
「小夜曲(セレナーデ)……ッ」ドレミファ♪
「銃(ピストル)ッ!」ドンッ!!
「蹴帯(シューベルト)!」ソラシドンッ♫!! - 43二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 07:49:40
肉体にステ振ってるなホイップウタは
- 44二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 07:52:13
人間とニンゲンゴサイ族のハーフだからね
- 45二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 07:53:34
銃の様な速さで飛び出す拳が敵を捉えようと前へ進む。まるで帯の鞭を使った様な蹴りが放たれるとその後ろには五線譜が生まれ、その威力が加速する。
その力は両者一歩も譲らなかった。
ルフィ「強くなったな……ウタ」
ウタ「すごいよルフィ。あの時よりずっと逞しくなってる。本当に鍛えて来たんだね」
ルフィ「当たり前だ。元々お前と冒険する為に……仲間を守る為に強くなったんだ!!」
ウタ「……そうか…………嬉しい……」
ルフィ「ウタ!」
ウタ「……っ、なんてねっ!」
ルフィ「いっってぇぇ!さっきもそうだけど武装色で殴ってないのに!」
ウタ「名工の鍛えた軽くて痛いスタッカートの鎧と名槍フォルテシモの力!まるで名曲のように相手に衝撃を与える!!……私ってズルい?」
ルフィ「……そうは思わねェ。そういうことなら、当たらなければいい!」
ウタ「ルフィ……やっぱり海賊だね」
「ギア……セカンド……!」
「圧縮足(プレストゥ)……」
ルフィ「ゴムゴムの!JET銃乱打!!……うわぁっ!」
ウタ「砲(カノン)っ!!」
ルフィ「六式か!?いや、デケェな……足の衝撃飛ばす奴!」
ウタ「ふん。私の蹴りの衝撃は大砲より強いんだ!……ガトリングなんか踏み潰す……!」 - 46二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 07:56:35
ルフィ「……ゴムゴムのッ!!巨人銃!!」
ウタ「……圧縮足 堕・歌砲(プレストゥ ダ・カーポ)!!」
ナミ「ルフィ!ウタ!その威力はもうシャレになってない!」
ウタ「黙ってて!これは海賊の決闘なんだ……っ」
ルフィ「…………」
ナミ「ダメ!2人とも!殺し合いなんか!!せっかく再会したんじゃない!会えると思わなかった人に会えたのに命の削り合いなんて!!」
ウタ「……武装色も使わないなんて、舐めすぎだよルフィ。一発一発、様子見なんてしちゃってらしくない」
ルフィ「でも……っ!おれ、やっぱりウタと戦いたくねェよ!喧嘩とか、競争ならともかくよ……っ!!こんなの痛ェだけだ!!」
ウタ「痛いのが海賊!辛いのが人生!……まだ分からないの!?」
ルフィ「…………っっ。そんな、ことねェ!それだけじゃねェ!!遊んだ時はあんなに楽しかったじゃねェか!!!」
ウタ「都合の良い時に思い出に頼るな!!」 - 47◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 08:03:10
ウタ「本気、出さないんだ?」
ルフィ「出来ることは……やってる」
ウタ「嘘つき……これ、すごく疲れるけど仕方ない。手加減できない様にしてあげる……ウタワールドの顕現……夢は現実に、理想は私の前で今形に成る……」
「ウタ世界顕現………天神(アマデウス)」
唐突に、ウタの体から音符が大量に飛び出す。空が、音符に覆われたと錯覚するほどのそれがルフィとナミ、ホイップをドーム状に覆う様に拡散した。
フワフワと漂う音符。羽の取れた球体が、周囲を覆っている。
そして……本来の曇天に掛かる虹。
可愛らしい。夢の様な空間。
ルフィ「なんだこりゃ……曇り空に虹……」
ナミ「ルフィ!こんなこと天候学的にあり得ない!何かされたかも……」
ウタ「はぁ……はぁ……ルフィ。出してみなよ。クラッカー兄さんを倒した技」
「ウタウタの"芸術"見せてあげる……」 - 48二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:04:45
どっちもお辛い…
- 49◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 08:18:39
音符が、再びホイップから飛び出す。それは一つの巨大な音符になり。彼女の周囲を飛び回っている。そしてその音符が、黒く染まる。武装色の気配。
武装色の……隕石。
ルフィ「……あれはヤベェ!筋肉風船!ギア・フォース!!弾む男(バウンドマン)」
ウタ「砕け!!!麦わらごと……っ」
ルフィ「砕けねェ!砕かせねェ!!」
「暴王銃(ヴォルフガング)!!」
「ゴムゴムの猿王銃(コングガン)!!」
「まだまだっ……行けっ音符兵!」
音符が今度は兵隊となり、ルフィに襲い掛かる。一つ一つが腕や脚に武装色を纏い、それぞれが戦力として通じる程に強い。
しかし、ギア4には通じない。当たらず……殴り飛ばされる。傷付かず、弾かれる。だがその膨大な数に対応を強制されるうちに音符がザワザワと集合し、7つの槍に変化する。
「…………切り刻んで!七天槍(セプテット)!!」
「ゴムゴムの猿王群鴉砲(コングオルガン)!……ウタ!危ねぇ!」
ルフィのコングオルガンが音符の7つの槍を破壊する。その勢いのままホイップの方へ命を消し去りうる膂力の塊が迫るがしかし……届かない。
音はいつしか歌の周りに集合し、ギア4の一撃をこともなげに弾き返した。
ウタ「芸術音符(パートン)……外套極彩色(コート・メニカーラ)……ルフィ……敵に、情けを……掛けないで!一発流れ玉が来たくらいでやられるわけないでしょ?舐めるなっ!私はビッグマム海賊団だっ!!」 - 50二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:20:03
ウタの内心を想像するともうね
- 51二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:21:55
心理描写ないけど間違いなくウタちゃんが心で泣いてるのわかっちゃう…
- 52◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 08:49:25
ウタが一瞬息を大きく吸い、また大きく吐き出す。するとまたウタから音符が飛び出す。しかしそれは先程までの量と比べても比ではない。
ウタに迫ろうとするルフィだが、パチンッと指を鳴らすと音符たちはクルクルと回りながら踊り始める。兵はその間にも次々と襲い掛かり、決してその攻勢を緩めない。
ギア4が、それでも届かない。
覇気が……集まっていく。一瞬の攻撃の躊躇いの内に、ルフィの後ろから音符の短剣がゆっくりと迫る。ルフィが感知した時には背中にその短剣が刺さろうとしていた。
ナミ「危ないルフィ!突風剣(ガストソード)!!」
ルフィ「危ねェ!ありがとうナミ!」
ウタ「大技に気を取られて周囲の警戒を怠るなんて駄目だよルフィ……死んじゃう。そんなんじゃ……」
ルフィ「安心しろウタ!あんなんじゃ死なねェよ!海賊だから!」
ウタ「…………カッコつけちゃってさ」
五線譜と七つの音階が円状に集合し、それは一つの円環となる。金色に輝くその輪はまるで天使の様だが……その気配は、暴力と理不尽の塊。
「円状に襲う絶望の芸術音符(パートン)……女王輪(ジョリーン)」
「ゴムゴムの……大猿王銃(キングコングガン)っ!!!!!」
狭い音符の世界と……神の力の一部が、激突する。 - 53二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 09:24:53
ウタ「はぁ、はぁ……はぁ…………相殺までしか…………っ出来ないなんて……」
ルフィ「ゼェ……っ…ゼェ……っ。ウタ、お前は強ェ……そんなに強いのに……なんでそんなに……っ!」
先に膝をついたのは……ウタ。神の一部を下ろす力と、夢の世界の一部を呼び出す対決は、神の一部の力が勝利を握ろうとしていた。
ウタがパタリと横に倒れて、動かない。ルフィはすぐにギア・フォースを解除すると、ウタに近寄る。ナミもルフィの幼馴染の様子が心配で近くに置かれたままの手当ての道具を持って走る。
ウタ「は……はぁ……っはぁ……っ!!!」
ルフィ「どうしたウタ!」
ナミ「ウタ!大丈夫なの……?」
ウタ「うぇ……っ、ゲホッ……コホッ……今日、歌ってないのに……声、出ないや」
ルフィ「……後で、理由聞かせてくれ。なんで……」
ナミ「アンタ、余裕がなさすぎるわ……なんでそんなに思い詰めてるの?」
ウタ「ちょっと、疲れちゃった……もっと、近くに来て……」
ナミとルフィは、体を近づけてウタの話すことを一言一句逃さない様に耳をそば立てる。
そして。
ルフィの耳に聞こえたのはかつて聞いたあの曲。風車の思い出が鼻歌と共に蘇る。この風が、何をどこへ運ぶのか……それは分からない。しかし、ここに来て確実なことがある。
ウタ「知ってるルフィ?鼻歌も……歌なんだよ?」
ルフィ「んごぉ〜……ごごごごご……」
ナミ「……スウ……スウ……」 - 54◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 09:41:20
シャーロット・ホイップは、先ほどの体力を消耗し切った様は嘘であるかとでも言う様に、すっと立ち上がった。しかし、解除はされている天神(アマデウス)と、今現在も行っているウタワールドの展開でかなり消耗しているらしい。
立ち上がったは良いものの、フラフラとしながらルフィとナミを横に並べてその間に自分が座り込む。
ウタ「はぁ……はぁ……はぁ……げほっ、ルフィ……強く、なったんだね」
ルフィ「んごぉ〜っ……んごぉ〜っ……ごむごむぅ〜……」
しかし、ルフィはとんでもなく寝相が悪いらしい。こちらに向かってゆっくりと腕を伸ばして攻撃を仕掛けてくるかの様な姿勢となった。
ウタ「うわっ!あぶねっ!ふざけんなバカ!危ないじゃん!」
ルフィ「むにゅ……悪りィ……」
ウタ「……これルフィ寝てないよね?」
ルフィ「ん〜寝……てる……」
ウタ「寝てる奴は寝てるなんて言わないよ!!」
ルフィ「ふごっ……ウタぁ……」
ウタ「………………強かったなぁ……カッコいいなぁ」
ルフィ「ナミさん、ありがとう。ルフィのこと……守ってくれて」
ナミ「それ……ほどでも……ある……わ」
ウタ「だからなんで寝言で応えてんの!?」
「でも……駄目だよルフィ。ママは……ビッグマムは、怖くて怖くて、すっごく怖くて強いんだから」 - 55◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 10:02:49
ルフィ「ぎあ……ふぉ〜…………」
ウタ「よいしょっ……よいしょ……っふふっ、重たい…………どうしよう。ナミさんは、背負って……ルフィは引きずっていくね?良いでしょ?」
ルフィ「ふご……ふご……」
ナミ「ちょっ、……と……鎧……痛い」
ウタ「なんで!反応できるの!?……私、先遣隊だしなぁ……。モンドール兄さんが来たら、容赦しないよね……勢い余って殺しちゃうかも。……先遣隊だ。後で引き渡そうかな」
ルフィ「クソ……マジで……つぇ……ぐごご……」
ウタ「ふふんっ、本当のウタワールドの中の私は最強なんだよ?」
ルフィ「んガッ、まだ、まっ……負けて……ね…ェ…」
ウタ「ばーか。負け惜しみ〜……」
でも……現実で私たちは、最強になんかなれなかったんだよ。
ウタ「まだ、起きられるよね。鍛えといて……よかった」
ウタは自分の左腕を強く握り締める。UTAのアームカバー。掠れ始めていたマークをまた今日も腕に抱く。雨が今、ポタポタと降り始めた。 - 56◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 10:13:59
そして場面はホールケーキ城(シャトー)へ。
ビッグマム「よく戻ってきたホイップ!先遣隊として、任を果たしてきたかい?制圧と即時無力化!」
ウタ「パパッ!と簡単に片付けてきたよ」
ビッグマム「ママママママ!さすがだね……あともう少しさホイップ!おれについて来ればみせてやるよ!みんなが平穏に暮らせる新時代って奴を!……んで、確かに、麦わらの小僧は捕らえたんだろうなァ……?」
ウタ「当たり前だよママ。私がクラッカー兄さんと戦ってヘトヘトな麦わらの一味相手に逃げ帰ると思う?」
ビッグマム「マンママンマ!思わねェ!ただお前は優しすぎる!前回のお茶会の時!!お前を一人前にしてやろうという親心で下した"小麦粉の回収ができたら島の奴ら皆殺しにしろ"って命令に逆らったよなぁ!?」
ウタ「あの時も言ったでしょ。私はあそこの小麦粉で作ったパンケーキが好きだって。殺したら使えなくなるじゃない」
ビッグマム「あァ?」
ウタ「欲しいものを妥協する海賊がどこにいるのよ」
ビッグマム「マンママンマ!!青二才がおれに海賊を説教なんざ100年早ェよ!だが…船長命令に逆らうのは致命的だぜホイップ」
ウタ「何度目の脅し?事前に断りはしておいたよ?代わりに私のライブの無条件スポンサード、定期的な小麦粉の無償納入でしょ?帰りにそれだけじゃ悪いからわざわざ寄り道して財宝略奪して来たんだから」
ビッグマム「悪かった、悪かった!可愛いお前がおれにプレゼントしてくれたあの王冠!あの時の台詞も嬉しかった!まだ思い出せるよ!」
「"ママを、よろずの国の王として称える証として……"だったか!?お前の"月に1度のお願い"にはムカつくがそれ以上の功績を持ってくる!だからこそこうやって許してやることができる!」 - 57◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 10:15:30
ウタ「今月も、お願いを言っていい?」
ビッグマム「そうだねェ。まずは前回のお茶会の演出だろう?ライブの収入だろ?敵船から略奪したお宝に……少し足りないねェ」
ウタ「どれくらい?」
ビッグマム「宝なら……そうだね、おれのメガネに適うものが1〜2個、それか敵の首あと1つ……ライブならもう1回だが……時間はないから今回はなしだね」
ウタ「…………ダメ、かぁ」
ビッグマム「ママママ!そう落ち込むな!ちなみに何のお願いをするつもりだったんだいホイップ?」
ウタ「……もし、私が麦わら一味の船長と結婚したいってバカなこと言ったらどう思う?」 - 58二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 10:19:45
- 59二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 10:22:18
この世界でも気ぶってるんだな気ぶりのロミィ
- 60◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 10:46:16
ビッグマム「舐めてんのかクソガキィっ!!」
ウタ「…っ!!」ビクッ
ビッグマム「……って一発ぶん殴って牢にぶち込む……と言いたいところだが、約束だからね、殴らねぇ!理由があるんだろう?……現実的に考えようじゃないかシャーロット・ホイップ」
ウタ「……う、うん」
ビッグマム「まず!あの小僧がその提案を受けるかどうかが不明!ほぼほぼ芽がないってのは分かってんだろ!?」
ウタ「分かってる、敵でしょ?それでも……利益があるとは思わない?」
ビッグマム「おれァホイップみたいな可愛い子が!男に振られて泣いちまうのを想像するだけで辛い!!そんなことになったらいよいよ麦わら小僧をぶち殺しちまうよ!ママママママ!」
ウタ「ありがとママ、でも万が一があったらどうするの?」
ビッグマム「意味のねェ議論はしたくねェが……そうだね……悪魔の子だろう?魚人島ナワバリ、ドレスローザとのビジネスチャンス……」
ウタ「あと最近麦わら船団って名乗ってる勢力あるけど」
ビッグマム「そうだね!それがあった!5000人を超える新世界の軍隊に八宝水軍!あの生意気なジジイのチンジャオを部下に……マンママンマ!想像するだけで痛快なもんだ!」
ウタ「……巨人も少数、ついてくるはずだよ。ハイルディンって奴が船長」
ビッグマム「ほぅ……ほぅ……っ!!そうかいそうかい!……なるほどねェ……夢がある!」
ウタ「なら……」
ビッグマム「だが!そんな物は夢だ!ただの夢!!!!…………本当に、惚れてんのかい?」
ウタ「………………ただ、この人はどんどん大きくなるだろうって。大きなことを成し遂げそうな、そんな気がしたの」 - 61二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 11:00:18
冷静なマム
ただの怪物じゃなくてこういうところがあるのがより怖い - 62◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 11:00:22
ビッグマム「野望に惚れたか!マンママンマ!さすが海賊の女だ!良いじゃないか!」
ウタ「…………」ドキドキ
ビッグマム「愛人としてなら、認めてやる。変わらず実際の結婚についてはおれが決める」
ウタ「ぇ……」
ビッグマム「何か驚くことでもあんのか?別に良いじゃないか愛人の一つや二つ。そもそも面白いガキだからね、影響力次第で正式な結婚にしてやっても良いんだが……まだダメだ、お前には相応しくねぇ…………強かったかい?」
ウタ「強かったよ!天神(アマデウス)まで使わされたし……それでも現実の戦闘だと長引きすぎるからウタウタワールドに落とした。少し前まで粘ってたけど、流石にね」
ビッグマム「マンママンマ!そこそこ頑張ってたみたいだね!だけど麦わらも所詮はこんなもんか……」
ウタ「…………っ」
ビッグマム「お前の天神(アマデウス)をもってして手こずらせるなら強さは間違いないが……面子の問題だ!おれに魚人島で喧嘩を売り!無断で万国に立ち入り!結婚の妨害を企み!あまつさえ三将星を打ち破った罪は重いよ!」
ウタ「でも」
ビッグマム「でももなにもあるか!!あの小僧を傘下に収め!一味のコックを殺し!愛人に蔑めることで!ようやくおれの顔が立つってもんだ!分かるよなァ!?おい!!!」 - 63二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 11:08:31
神格関係の単語が技名のマムの娘のホイップの技名が『天神(アマデウス)」なのハマってていい
- 64◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 11:21:56
ウタ「そうだよね!…………流石に、結婚は駄目だよね」
ビッグマム「悪いねホイップ、傘下に出来たら精々弄んでやんな。…大丈夫さ!海は広い!良い男なんざごまんといる!!!次の機会に備えるのも、良い女の条件さ」
ウタ「………………」
ビッグマム「……疲れてるのかい?一応ウタウタ解除後もしばらくは寝てるんだろう?休めるなら休んどきな」
ウタ「…………確かにちょっと眠いかも。モンドール兄さん戻って来た?」
ビッグマム「アンタの報告が来てからすぐに呼び戻した。そう時間はかけないさ」
ウタ「帰ってきたら、やっぱり閉じ込める?」
ビッグマム「当然!アイツにはこっちとしても言いたいことがある!しかしさすがはおれの"兵器の歌姫"!いかに手負いとはいえよく麦わらをうまく捕らえたもんだ!」
ウタ「……………………」 - 65過去編入ります22/11/06(日) 11:23:56
ビッグマム「お前はいざという時の"兵器"……!ウタウタの持つ制圧力も、いざという時のアレも掛け替えのない力!お前はどっかで放浪してるバカ娘と違って運良く"従順"だった……!あのくたびれた男をぶちのめさせて連れてきた甲斐もあったってもんさ!!」
ウタ「……………!」
ビッグマム「なんだい?ホイップ?」
ウタ「……………」
ビッグマム「だいじょーぶだ♪おれたちは赤髪とは違う!既に"化け物"の"弱点"を知ってる以上すぐに制圧してやるさ。二度とお前に"思わず人を傷つけさせる"なんとことはさせねェ」
ウタ「………………ありがとう、ママ」
ビッグマム「今日はお茶会に備えた作曲も疲れたろう?おれも先日ホイップが持つ作曲時の情熱!存分に見せて貰ったよ。この壁と床はホーミーズに保存させて宝物庫に飾っておく。もし見直したいんだったらおれに言うんだよ?一緒に行ってやる♪」
ウタ「おやすみなさい」
ビッグマム「おやすみ。いい夢を見るんだね」 - 66二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 11:29:15
ゴードンさん、人質に取られて…
- 67二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 11:33:05
しれっとトットムジカを一回倒してるっぽいの流石だわ
- 68二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 11:34:27
支配はルフィが1番嫌うやつだな
どうなるのか楽しみだ - 69二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 11:35:57
これムジカ使って逃げようとはしたのか…
- 70二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 11:53:53
ホイップの技名センス的にそのうち昏戦怒銃使いそう
REDめちゃくちゃ良かったよね……|あにまん掲示板特にラストの猿神銃と昏戦怒銃の激突はワンピベストバウトかもしれん……bbs.animanch.com - 71二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 11:56:04
ゴードンさん生きてるよな...?
- 72二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 12:02:51
生きてたとしても(本人視点では)ウタを海賊に奪われたって認識だから自責とシャンクスへの責任に囚われてそうでな
- 73◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 12:16:04
回想編
おおきなおと、おと。
あつい、あついよ。
ビリッ……ビリッ……
こわい……っこわい…………っ
こえ、こえ………っこえ………………っ!
こころがとがってる、こころがゆれてる。
いたい!いたい!いたい!いたい!
「せっ……攫っ…四……ガ……!」
「ク…ッ……ら言……じゃ………!ド……ア……くら……どう…………相…じゃ……っ!」
「なら……で俺と……………も!」
「エ…………!」
これが私の一番古い記憶。
シャンクスたちの船に乗る前。
あの時は、恨んで、恨んで、恨み抜いた。
でも船で一緒に歌うことも、大笑いし合うことも、誰かも出会うことも、もうないだろう。
そうなるさらに昔の記憶。
自分が何かも、どうなのかも、何もかもがなかった時のもの。意識も何もなかったのにその恐怖だけは心の奥底で、抜けない杭として残っていた。 - 74◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 12:28:25
夜の海上、レッドフォース号にて
星々が輝く中、疼くまる小さな女の子が1人。そこに近づくのは優しい黒マント、優しい男。彼は少女の様子に少し戸惑いながら、勇気を出して声を掛けた。
シャンクス「ウタ。どうしたんだ?そんな所で蹲って……何か悪いことでもしたんだろう!」
ウタ「ちがうもん!おっきなおとする!バーンって!バーンって!!ヒリヒリする!うわぁぁぁあん!」
シャンクス「……!よしよし。こっちにおいで」
シャンクスが手招きするとパタパタと歩きながらシャンクスの腕の中に収まる。ウタ、当時3歳。泣きながら抱きつき、メソメソとして、動かない。
生来豪胆な海賊たちや気立の良い強気な女しか知らない海賊たちにとって、こういう儚い存在は全く関わり合いになるはずのない存在だった。
ウタ「シャン……クス……」
シャンクス「今、音は聞こえるか?」
ウタ「…………ううん。全然聞こえない!なんで?」
シャンクス「うーん……なんでだろうな!」
ヤソップ「おいお頭!元気にやってっか!」
大きく扉が開く。うるさいとシャンクスに怒られると一瞬落ち込むが、そこは海賊、すぐに立ち直った。 - 75◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 12:29:17
ヤソップ「お頭ぁ……アンタがさっさと戻って来ないなんておかしいじゃねェか!さっさと戻って酒飲もうぜ!……どうしたウタ」
ウタ「これ!これ!」
シャンクス「え?これってなんだ?」
ウタ「みんなのこえ!」
シャンクス「おれ達の声?」
ウタ「みんなのいるとこでたのしそうだからこわくないの!」
シャンクス「ビンクスの酒か……?そうか!音楽か!……やっぱりか。ウタを拾った時も歌を聴いて喜んでたし……行くか?」
ウタ「うん!」
夜の海にあって、砲撃の音は聞こえない。恐怖の音は消えて喧騒が湧いてくる。それは力となって、ウタの心に影を差した出来事、強く強く追い払う。まるでそれは静寂な海で放たれた一発の銃弾の様だった。 - 76二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 12:30:09
ええ関係や
- 77二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 12:31:35
そっか、シャンクス達がウタに初めて無償の愛を上げた人達なんだな…
- 78二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 12:33:15
兄姉たちもしっかり愛を注いであげてたと思いたい
- 79◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 12:54:54
ウタが音楽を手に取り、歌を始めてから1年が経ち、。メキメキと腕を上げた彼女はもはや赤髪海賊団のムードメーカーとなっていた。その歌姫の為に、今回レッドフォース号はグランドラインにて、音貝を用いたある製品を買い付ける為入港していた。
そしてドタバタと騒ぎながらウタと話し合い、一番欲しいのはどれだと聞くと、その町1番の高級品が選ばれる。流石にお目が高いとおだてられていつの間にか買わされたものではあるがそれにウタは満足気。
代わりにルウの為の肉と、シャンクスとベックマンの分の酒代が1ヶ月なくなったのだが。
シャンクス「どうだ!このヘッドホン!つけてみろ!」
ウタ「待ってました!ふふーん……キレイだなぁ〜」
シャンクス「おれがつけてやるよ」
ウタ「ありがと……うわっ!おっきい音の音楽!!何これ?!すごい!」
シャンクス「そうだろうそうだろう!」
ウタはヘッドホンの音楽の大きさにきゅう……と言いながら目を回す。その様子を見て満足そうに頷くシャンクスにみんなの視線が突き刺さった。 - 80◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 12:56:50
ルウ「バカヤロウお頭!音が大きいからびっくりしてんだよ!」
ホンゴウ「難聴になっては……ないだろうが、気を付けろ」
ベックマン「おれ達の宝だ。お頭ごときが傷つけるのは許さん」
ヤソップ「ガキを大きな音でビビらせる奴には分からせてやらねェとな」
モンスター「ウキ……ウキィっ……ウキキィ!」
「「「「「「「「「バカ」」」」」」」」」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴンッ!
シャッシャッ!
シャンクス「いってぇぇぇぇぇぇえ!!!テメェら!何すんだおれは船長だぞ!」
ルウ「役得だ役得!」
シャンクス「特にヤソップとホンゴウ!ベックマン!なんで何回も殴りやがった!」
ヤソップ「子どもはそういう扱いをするもんじゃねェぞお頭」
ベックマン「ついでにストレス解消」
ホンゴウ「こういう時くらい頭叩いとかねェとバカが治らなくなる」 - 81◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 12:57:45
シャンクス「本当に怒るぞ!」
ウタ「シャンクス!バカシャンクス!あはははは!」
ベックマン「ほら、我らがプリンセスウタも言ってるぜ?バカだってよ」
シャンクス「そんなぁ……」
ウタ「貸して?」
シャンクス「?」
ウタ「それ貸して?音楽聴きたい!」
ルウ「しっかしどうやって音量下げんだこれ?」
ベックマン「……わからん」
ホンゴウ「店の奴の話聞いとけ。ここを……こうだ、ほら。付けていいぞ」
ウタ「ありがとうホンゴウさん!」
シャンクス「ウタ……おれは?」
ウタ「ありがとうみんな!」
ヤソップ「フられてやんの情けねェ」
大きな笑い声が、船内に響く。 - 82◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 13:01:35
そしてヘッドホンをつけてからすぐ、赤髪海賊団の歌姫と、いつの間にか船内では評判になった。音楽家として1番のライバルは、モンスターだった。でも、それから数年経ち、彼ももはやウタのことを認めている。
ウタ「みんな!盛り上がってる?」
「「「「「「うぉ〜…」」」」」」
ウタ「聞こえないよ!」
「「「「「「ウータ!ウータ!ウータ!」」」」」」
ウタ「もう……ありがとう!じゃあ歌います!!」
赤髪海賊団音楽家 ウタ8歳。 - 83◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 13:38:19
そんな幸せな日々を送り始めて6年目、赤髪海賊団音楽家のウタが9歳になろうかという頃、赤髪海賊団はフーシャ村にたどり着いた。
二人の出会いは正直言って運命的な出会いではなかった。オマセな少女と物知らない少年の出会いに過ぎなかった。
何度も争い、何度も喧嘩し……ちょっと違うところがあるとすれば……ガープ中将の乱入だろうか。
今日はプライベートで来たんじゃ!理由もないのに平和的な海賊を刺激できるか!などと言われなければ、ガープと赤髪海賊団の戦いは回避できなかっただろう。そしてそんなことが起きれば時代が変わる。おそらく、とある一方の理不尽な蹂躙による終息で以って。
そしてルフィがガープに連れて行かれる様子を見て、寂しくなったのかウタもまたルフィの修行に付き合うことになる。それを地獄と知らないままに。
ウタとルフィが出会って1〜2ヶ月程のこと。何十回目という対決での出来事。
ガープがいきなり2人の目の前に現れ、「修行の時間じゃ!」と言われて連れられた森の中に2人は置いてかれていた。
ルフィ「ここどこだよじいちゃん!」
ウタ「そうよガープおじいちゃん!こんな所今までのしゅぎょーでなかったじゃない!」
ガープ「ぶわっはっはっはっ!当たり前じゃあ!今までのは初歩も初歩!ウタの2時間耐久水泳も!ルフィの裏山歩き1時間一周も!この簡単5日サバイバルキャンプの為にあったんじゃからな!」
ルフィ「肉は……?」
ガープ「持って来とらん!わしのせんべいだけじゃ!安心せえ!獣の多い山を選んだ!いくらでも食料はある!」
ウタ「お風呂……」
ガープ「強くなりたいからわしに声を掛けたんじゃったな」
ウタ「は、はい!」
ガープ「なら川や池の水で体を清めるのもまた修行!!サービスじゃ!ウタには石鹸とタオルを持って来てある!」 - 84◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 13:51:58
ウタ「ぅ……ぅぅ〜っ……」
ガープ「……ふむ」
「…………ぶわっはっはっはっはっ!!!!海賊ってのはこんな根性だったかのう?これじゃあ最強の海兵になろうというルフィには勝てんぞ!」
ルフィ「だからおれ何回もいってるだろ!海兵にはならねェ!なぁウタ!」
ウタ「…………ルフィには負けないもんっ!!」
ガープ「それでええ、それでええんじゃ。強くなれ。そうじゃなければ守りたいものも……守れん」
ウタ「?どういうこと?」
ルフィ「よくわかんねー。強くなれば良いってことじゃねぇか!」
ガープ「違う!じゃがまずは5日間生き残れ!今回は2人で来たんじゃ、一緒に頑張るんじゃぞ。5日後……迎えに来る!ここら辺の山賊はみんなのしてあるから安心して生き残れぃ!」
そう言って山の奥の奥で、ルフィを放り投げ、そっとウタを地面に置くと地面を跳躍してどこかへ消えてしまう。
2人は顔を合わせる。
ルフィ「……こんかいはサバイバルしょうぶだ!」
ウタ「そうだね!じゃあ先に食べ物とって来た方が勝ち!」
2人は野山を駆け回る。
ガープの恐ろしい教育は、そのスタミナと足腰の強さをこの歳の子供にしては途方もないくらいにもたらしていた。ウタは食べられる果実の判別方法が、ルフィは獲物の狩りの仕方が得意だ。
その得意分野を活かそうと2人は奔走する。 - 85二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:53:20
ガープお前ー!
- 86二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:55:16
能力者なのに2時間水泳って大丈夫か?
いや大丈夫じゃなかったらここにはいないんだが - 87◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 13:57:32
- 88二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:58:36
おk
- 89二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:58:51
ガープが女の子相手とは言え容赦なさすぎて笑う
- 90◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 14:13:35
ウタは走り回りながら手際よく木の実や果物を選んでいく。キノコだけは取っちゃいけない。特にワライダケなんかは夜に食べると大声で笑ってしまって獣にバレるから大変らしいとガープのおじいちゃんに習った。
ルフィはたまに修行が辛い時とか食べてるらしいと聞くが、ウタからすればちょっと食べたくない。
2人分の木の実や細い果物を確保して、元いた場所へ戻ろうとして、ウタはバタバタと走っていく。すると木の根っこが盛り上がった部分に足を引っ掛けて、転んだ
ガシャンッ
ヘッドホンを地面にぶつけた。耳が痛い。慌ててヘッドホンを付け直し、耳を触ると赤くなっているだけらしい、血は出ていない。
しかしダイヤルを調整するが、音が出ない。どうやら中の小型音貝が壊れたらしい。
赤髪海賊団のホンゴウやフーシャ村のマキノなら原因が分かるだろうし、簡単にスペアを用意できる。
だが不運なことに、ウタは子供でここは山奥だった。しばらく気丈に振る舞うものの、まだ小さな子どもでこの環境には慣れていない。不安と、闇が襲い掛かる。
そして。
ビリ………….ッビリ…………ッ
大砲と、誰かの痛みがまた……蘇り始めた。 - 91◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 15:26:44
そして数時間後、山はすっかり夜に覆われ、ルフィは不安そうな足取りで元いた場所にもどる。
ウタは、大きな木にもたれかかって、動かない。それに気付くこともない様子で、話しかける。
ルフィ「ウタ!遅れた!……あっ、たくさんきのみがある!ずりぃ〜!おれは……2つ……ウサギ……どうした、ウタ」
ウタ「………………」
ルフィ「そんなにつよく足抱えてたらいたくなっちゃうぞ!そんなにふるえてちゃ……」
ウタ「助けて……」
ルフィ「どうしたんだ!へびにかまれたか!?いてぇのか!」
ウタ「音がするの……すごく大きな音……」
ルフィ「……?どこからも音しねェぞ?」
ウタ「聞こえない!?こんなに大きいのに!」
ルフィ「?………………」
ガクガクと、冷たい海に投げ込まれたかのように震え出す。いつものウタからは考えられないほどの怯え方からして異常だ。こういう泣いている女の子の慰め方を、ルフィは全く分からない。ただ、マキノに慰めてもらった時のように、抱きしめることしか知らない。
ギュ…………っ
ウタ「…………!るふぃ……」
ルフィ「マキノがな、さみしい時いつもこうやってくれたから」 - 92二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 15:28:37
- 93二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 15:31:35
- 94二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 15:32:25
- 95◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 15:38:23
ウタ「わたしは……さみ、しく……ないもん……大丈夫、放していいよ」
ルフィ「わかんねェ!わかんねェけど……ダメな気がする。怖いのいやか?」
ウタ「いや!……いやにきまってる」
ルフィ「おれも」
ウタ「……カッコつけないんだ」
ウタが力なく笑うと、ルフィは肩の力が抜けたのか、ウタの目の前でポロポロも涙を流し、自分の心内を白状し始める。不安と恐怖、そして絶望。誰かと離れることの辛さ、話せないことの侘しさ。幼い言葉が核を突く。
大粒の涙と、つまる言葉。それが2人に響き合う。
ルフィ「だってよぉ゛!このも゛り゛すっげェ暗いし!うる゛せェしよぉ゛!」
「ウタ゛がどっかい゛き゛そ゛う゛で!それがいちばんこえ゛ェ゛!!!」
ウタ「…………」グスッ
ルフィ「一緒にい゛け゛ばっ!よ゛かっだっっっ!ウタがいればっ!こんな゛にうさぎをっっ!捕まえんの゛に゛たいへんじゃなかっだっっ」
「一緒だっだら゛!!ウダとよ゛っ……!はな゛しし゛で!!ごわ゛く!!な゛かった!!」
ウタ「…………」ポロッ……ポロ……
ルフィ「ひとり゛にな゛る゛のはっ!いだいしっ!つらかっだっっ!!」
ウタ「…………うわぁぁぁぁぁあんっ!!るふぃぃぃいい!!」
ルフィ「びぇぇぇぇえ!!!うたぁぁぁぁぁあ!!!」 - 96◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 15:39:09
その泣き声は山の中に響き渡り、獣達の耳に届いた。しかし子どもを哀れに思ったか、それとも獣として"音"を恐れたか。
獣は決して、近寄らず、風もまた穏やかに吹く。抱きしめ合う2人は離れることを拒否するように泣き喚く。
真夜中に泣き続けた2人は、寝てしまうまでその音を絶やさず立て続けた。
もう、ウタの耳に大砲の音が届くことはない。 - 97二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 15:42:14
ルフィがトラウマ克服させてくれたんだな
- 98◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 16:17:42
恐れを知り、なお乗り越えた2人の成長は早かった。身体能力の高いルフィと知恵があり、頭が回るウタ。ルフィの出来ない簡単な罠の設置や待ち伏せをウタがして、ウタができない獣を追い詰める作業やトドメをルフィが指した。
そして最終日の朝。
ウタ「…………きて。…きて!起きなさい!ルフィ!」
ルフィ「むにゃ……むにゃ……」
ウタ「ごはん!取りにいかなきゃお腹減っちゃうよ!」
ルフィ「めしっ!」
ウタ「……ルフィがイノシシ食べたいっていってもう2日!結局お肉はウサギとリス、あとそこそこでかい奴だったね」
ルフィ「仕方ねェじゃんか、すぐ逃げられたりしたんだからさ!」
ウタ「……今日は、最後の罠を確認する日だね」
ルフィ「…………うん」
目的地に向かい、軽い足取り。ウタが探してきてくれた木の実や山菜が体調を整え、ルフィが捕まえた動物達がエネルギーとなって彼らの体を動かしている。
しばらく歩いた先には…それがいた。 - 99◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 16:24:09
ブヒッブヒッブビィぃぃッ
野生のイノシシが、ウタの仕掛けた簡単な罠にかかっている。昨日の深夜から一晩中暴れていたらしい。かなり疲れているようで、少し暴れては、休むを繰り返している。
ルフィ「ウタ!つただ!つたの罠にかかってる!」
ウタ「分かってるよルフィ。でも……暴れてるなぁ……」
ルフィ「じゃあおれがいく!」
ウタ「あぶないよ!」
ルフィ「うわぁぁぁあっ!」
ウタ「イノシシは横だよ!横から押さえつけるの!」
ルフィ「ぶえっ、分かった!コンニャロっ!うわっうおぅっ!ぐぬぬぬ……抑えつけたけど!……ウタウタで抑えられないのか!?」
ウタ「そんなことしたら私たち寝ちゃうよ!……わたしがトドメを指すから!」
ルフィ「早く!おれ、そろそろきつい……」
ウタ「もうちょっと耐えて!…………」ゴクッ
ウタが意を決して、イノシシに向かって石を振りかざす。
初めての大物。しかもルフィと一緒にできた狩りだ。それがまた、ウタには嬉しかった。 - 100◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 16:26:46
嘘。初めては血とかが怖くて2人で目を逸らしてた。
慣れたのは、何回もガープのおじいちゃんと一緒に行った後。
その時には、2人だったらサバイバルするのに困らないようになってた。 - 101◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 17:11:14
ルフィ「そういえばウタって……イノシシ、解体とか出来るのか?」
ウタ「うーん……船の上で包丁を使って野菜向きとか……?」
ルフィ「ダメだなー!おれも出来ねェけど!」
ウタ「なら言わない!……でもどうしよう」
爆音を立てて降りる音。天上天下唯我独尊。
そこには理不尽の塊にして苦境の元凶。ゲンコツのガープがいた。
どうやら迎えにきたようだが、予定より早い。
ガープ「ぶわっはっはっはっ!生きとったかガキンチョども!」
「「うわでた」」
ガープ「うわ出たとはなんじゃ!うわ出たとは!最終日だけは観に行ってやろうと思って来てやったというのに!」
ウタ「嘘だね、マキノさんに怒られたんだ」
ガープ「……ん、いや、……まぁ、そう言えばそうなんじゃが……とはいえちょうどよかったようじゃな!イノシシか!解体してやろうか!」
ウタ・ルフィ「「食べる気だ(ろ)」
ガープ「ぶわっはっはっはっ!なんて信頼のなさ!初めての狩りの獲物を横取りしたりせんわい!ついでにわしの捌き方でも学んどれ!」
ウタ・ルフィ「「……えぇー」」
ガープ「すっかり仲良くなったようじゃな!流石わし!!」 - 102◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 17:25:36
そして、朽ちた風車。
夕方の海にて。
ルフィ「広ェ海を見ろよウタ!おれたちは自由になれる!おれとおまえでさいきょうだ!」
ウタ「……だからどうしたのよ」
ルフィ「だからこえぇなんて気にすんな!大砲が来たら守ってやる!お前をビビらせる変なヤツなんてぶっ飛ばしてやるんだ!」
ウタ「もう怖くないよ。でも、……出来るの?」
ルフィ「できる!シャンクスだっている!おれもいる!うるせェ音なんか気にすんな、海賊はみんなで騒ぐんだ!ルゥのお腹にらくがき書いたり!いつかシャンクスといっしょに飲んで!それでおれが一番つよくなるんだ!」
ウタ「何言ってるのよ、最強は赤髪海賊団でしょ?アンタなんかこんなちぃ〜っぽけなんだから!」
ルフィ「なんだとー!なら強くなる!ベックマンとも!ルゥとも!ヤソップとも!シャンクスとだって一緒にたたかえる男になるんだ!」
ウタ「……私は?」
ルフィ「え?おれとウタで強くなるんだろ?一緒にいてあたりまえじゃん!」
ウタ「ふーん、そうなんだぁ……でもでも!シャンクスの隣に立ってるのはルフィじゃなくてわ・た・し!私が最強なの!」 - 103◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 17:33:48
ルフィ「おれが最強だ!」
ウタ「むっ…………」
ルフィ「むむっ!」
「「ははははっ!」」
ウタ「……そうだ。ルフィって強くなったら、どうするの?」
ルフィ「まだ考えてねェ!ウタはどうすんだ?」
ウタ「ふふっ、そう。…………私は新しい時代を作りたいな。みんなが幸せになれる新時代を、作りたい」
ルフィ「じゃあおれも作る!自由なシンジダイ!作るよ!」
ウタ「ならまず……お互い強くならなきゃね」
ルフィ「うん!強くなったら一緒に冒険しよう!まずは修行だ!」
ウタ「しゅぎょーね!いいよ!今度はどこいく?」
「山にリベンジだ!こんどこそ、怖くねぇ!」
「でも……」
「行こう、行こうぜ!おれたちで新時代を作るんだ!おーっ!」
「ばーか」
「むっ!バカって言ったな!」
「嘘だよ、嘘!いっしょに新時代を作ろう!」
「そして一緒に冒険するんだ!」 - 104奪われるウタ編22/11/06(日) 17:34:55
そして、2人は分たれた。
これより12年、この2人は一度も交わることはなく、ルフィは17歳になってから旅立つことになる。
これより始まるのはエレジアに向かったウタの話。
シャンクスを失い、絶望の中にあってまだ光の残っていた時代にまで時は進む。 - 105◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 19:18:46
ウタ「この風、は。どこから、きた……のと……」
エレジア国崩壊事件からしばらくして。
ウタは全てを失った。
ここはかつて、音楽の国エレジアと呼ばれていた場所。
赤髪が全てを奪い取っていったと伝えられる場所。
今日もウタは海岸で歌っている。何を歌っているのだろうか。ゴードンに分かるのは、ポツポツと、話してくれていることから考えるにどうやら思い出の曲だ、ということだけ。
そういう時、必ず彼女は夕食に肉を欲しがる。一切れだけ、小さな肉を。そして、小さな口で一生懸命に頬張ると食べて涙を流す。
その夜、幼馴染のことを悲しそうに語り、赤髪海賊団のことを苦しそうに吐き出すのだ。
ゴードンは、そんな彼女を見るたびに心を締め付けられる。
音楽の魔王。かの邪悪な楽譜はウタを強く縛り付けている。エレジアを葬り、家族を引き裂き、尚少女の心を奪おうとしている。
否、ウタの心は微かな所で繋がっているだけでいつ千切れてもおかしくはない。建前でも良い、自分自身を贄にしても良い。
全てを奪われた彼女に、何かを与えてやりたかった。
本当の心と本当の心を繋げた偽物であっても、彼女の細い芯を守る為ならば。
その細い芯を守る盾としてエレジアを活かすことができれば。生き残ってしまった自分のやるべきこととして国王としてなすべき事を為せると。
私はウタを生かす為に、ウタを利用する。
自身の証明に、ウタを使った。 - 106◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 19:36:20
国が滅びたばかりの頃、エレジアが存在した証を忘れない為、何かないかと探し回ったことがあった。
結局ほとんど何も残ってはいなかったけれど、奇跡的に数個だけ音があった。
誰かの声。国民の声。覚えていない名前もあるが、声だけは忘れない。パン屋の少年も、貴族の侍女も、石工の老人の声も、全て知っている。
微かに残ったエレジアの魂が、手の中にある。
ゴードン「ウタ………君に話がある」
ウタ「…………………………」
ゴードン「ウタ……今の君に届くかは分からないが……この、音貝を聞いてくれ」
カチッと小さく貝の頂点を押すと、その魂が再生する。
"どうなってるの!なんで……こんな……あぁ、歌姫……ウタちゃんは、無事なの?……お願い。……あの子……あの子だけでも……助けてください……聞いてる人達がいたら……王宮へ!!"
"みんな!!!楽譜と楽器は集めたな!!!楽器は地下へ!!!楽譜は、箱に入れて水に沈めろ!!!エレジアの魂は消しちゃいけない!この音貝を聞いたなら!協力してくれ!"
"生きてくれ!この音貝を聞いてる君へ!もしも誰かこの災厄から生き残れたのなら!!君だけが、私たちの希望だ!!!どうか、エレジアの声を!" - 107◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 19:41:04
"今日この日、エレジアは滅ぶ。……頼む、私は生きていた"
"む……むすめに、さ……さいごの歌を……捧げます"
"この楽器!なんで素晴らしいものだろう!聞いてくれ!この曲線が残した音!……お願いだ……俺は……生きたい" - 108◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 19:47:38
ウタ「……なんで…………こんなの、聴かせるの」
「………………………」
ゴードン「…………エレジアの最後の希望になってくれないか。私も君に出来る限りのことは教える。……重圧かもしれないが」
ウタ「………………」
ゴードン「わ、私たちで、復讐しよう……赤髪のシャンクスに。…………もし君が、歌姫として力を付けて、有名になれば……っ」
ウタ「…………」
ゴードン「君を…………す、捨てた彼は……、バカだという…ことになる……」
ウタ「………………」
ゴードン「もし……もし、私が………………私がっ!君を支えることで!エレジアの!エレジアの音楽を残せたならばっ!!…………彼はこの国で一番大切な宝を盗めなかった、ことに、なる……!!」
ウタ「………………」
ゴードン「エレジアの精神とウタ。心と身体。一体になったそれが残れば……彼らはこの国を、滅ぼすことはできなかったと証明することができる」
ウタ「…………」
ゴードン「ルフィくんの、話も………そうだ。一緒に、高め合っていたと…………聞いている」
ウタ「る、ふぃ……」
ゴードン「我々も……強くなろう。もう私たちには前に進む方法しか残っていないのだから」
「私たちは今から、対等な協力者だ」 - 109二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 19:49:00
救いになるか果てしないプレッシャーになるかは微妙な所だな・・・
- 110◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 19:49:52
私はウタを立ち上がらせる、それだけの為に呪いを……かけた。
私は悪魔だ。
エレジアという鎖に君を巻きつけ、疲弊し、倒れてしまいそうな君を立ち上がらせる地獄の悪魔だ。
どうか……立ち止まらないでくれ、こんな所で君が止まってはいけない。
いつか君が自由になった日の為に - 111二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 19:54:14
かなり運命変わったか?
- 112◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 20:08:50
君の欠点は現時点でほとんどない。
だが、君はまだ幼い。……まずは安定して今よりも息を長く続かせよう
身振りや手振り、全てが音楽だ。
響かせるだけが歌ではない。音だけが歌ではないのだ。
まだ君は上手くなれる。
そう!その音だウタ。手を大きく広げて!
私はさまざまな音楽を知っている……だが民謡や、田楽の様な他の国の文化に密接したものを……
小難しい話だったね、君の知ってる海賊の歌を、聞きたいんだ。
ビンクスの酒?それは流石に知っているよ
君のスタミナはすごい!子どもでは考えられないレベルだ!それがあればさらに広い表現ができる!!!
な……なかないでくれウタ。
そうだ!今日は君の好物にしよう!
……パンケーキ?ようやっと、話してくれたね
いち、に……いち、に……リズムに合わせて……はははっ、まだ牛の乳搾りは難しいか。
そんなに地団駄を踏まなくても良い、練習しよう。音楽の様に
もうそこまで上手くなったのか!ありがとう。お陰で早く農作業が終わりそうだ。……今日の夕飯はシチューにしよう! - 113◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 20:16:55
今日は大きな魚が釣れたんだ!アクアパッツァにしよう!
肉はダメだ。商船が来るまで我慢しなさい。
朗報だ!新作の音貝が手に入ったんだ!
聞いてみないか……なんだね、このジャンルは
絵を描きたい?……なるほど、歌姫としてのモチーフか……昔から貴族にも紋章の様に自分を証明するものがある。
……エレジアはまずは置いておこう。君の描きたいマークを描くんだ。
髪のセットか……私はあまり得意ではないな
知ってる?人をあまり、からかわないでくれ。
私は本気にしてしまうから。
今月、君がここに来て1年になる。……だが、私に出来ることは、君の好物を作ることくらいだ。
確かに協力関係を結んだ時でもあるが……。
こ……これが、ウタウタワールド…………素晴らしい……っ
やはり君は最高だ!ウタ! - 114二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 20:22:13
このレスは削除されています
- 115二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 20:31:01
どのタイミングでビッグマムに見つかったんだろう
少なくとも1年はいたのか - 116二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 20:31:34
このウタは本編よりも死んだ目をしてなさそうだ
- 117◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 20:33:39
久しぶりに……商船が来たね……
彼らに頼んで旅に出ようか、大したことはない、たった2ヶ月。
商船の行く先で、どうやら大きな祭りが催されるらしい。
行ってみようか。まだまだ世界は広い。
最高の音楽の為に見識を広げようじゃないか。
嫌だ?……それではダメだぞ。君はエレジアの火、自覚を持ってもらわなければね
国王とはこういうものだ。権力者の中には……悪魔の様な者もいる。
大盛況だったね、流石に年に一度と言われるだけのことはある。
私の方が、楽しんでいた……?
そんなバカな…………では私は何の為に……
笑わないでくれ……恥ずかしい。
君ももう12になった、喉も広がり始め……歌い方が、少し変わる。戸惑うだろうが、これも成長で、進化だ。君の声は高く透き通るものから深みのある声質に変化するはずだ。
それが安定する頃……後2、3年だけ頑張ろう。
私も君と同じ気持ちのつもりだ……
だがまだその若さでは可愛らしい歌姫にしかならない。
……15になる春だ。みんなが辛い冬を越える時、その時に君も一緒に芽吹かせよう。
今日は……泣こう。止まない雨も、暖かくならない空もない
まだ、機会はあるさ
え?欲しい衣装が入荷してなかっただけ?……そうか、そういうものか…… - 118◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 20:47:13
止めなさい自分を傷つけるのは!手も!足も!大事じゃないところなんかない!
心がなければ音楽は響かない!身体がなければ聞くことも、弾くこともできない!
音楽とは心と身体が作る作品なのだから!
だから!厨房に立ったこともないのにパンケーキを作ろうとするんじゃない!
ウタ…‥この楽譜は、恐れるべきものだ。
いつの日にかこの楽譜の真実は君を苛ましめ、死よりも苦しい悲しみが君を襲うだろう……
だが、忘れないでくれ。
私は国が滅びる日、最後に君を助けて欲しいという声を聞いた。エレジアを残して欲しいと言う望みを聞いた。
そして、君が話してくれるルフィくんとの約束もそうだ。
君はエレジアの歌姫で……ルフィくんの……
違うもん!そんなんじゃないって!バカゴードン
そうか……
パ……なんでもない!
どうしたんだいウタ?今日は君の好きな骨つき肉と……デザートはパンケーキだ!久しぶりに商船が来たんだ!誕生日じゃないのが少し惜しい
ゴードンは、ママだね!
ママとはなんだママとは!こんな不気味なママなどおらんよ - 119◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 20:54:55
……ゴードン。本当のこと、教えてよ……分かるよ、何か隠してることくらい。
…………良いのかウタ。君はまだ、幼い。
怖い記憶を、聞く覚悟はあるのかい?
私、ゴードンに育てられたんだよ?
大丈夫。何を聞いても…………受け止めるよ。
…………知っていた方がいざという時……良いだろう。
******
ウタ!大丈夫か!すまない、すまない!まだ早かった!早すぎた!!!
これが……私がした……悪いこと……なんだね
違う!それは絶対に…………
でも!私が歌わなきゃこんなことにならなかった!!!
………………君は、誰だ?
……どうでも良いよそんなこと!
一番大事なことだ!君はウタだ!赤髪海賊男の音楽家!エレジアの歌姫のウタだ!ルフィくんとの冒険を誓い合ったウタだろう!!!
………………っ、わ、わたし……が?
そうだ!お願いだ……君の………………現在の保護者として、頼む。
君を心から愛している人達がいることを、忘れないでくれ。 - 120二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 20:57:07
おっかさん...
久しぶりに会いたくなってきたべ... - 121二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 21:01:05
ゴードンママ…
ママは恐れずにウタと向き合ったんだね… - 122◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 21:03:49
シャンクスくんが父として、ルフィくんが友達として、君を愛している。
私も…………ここまで育ててきた。
頼む……思い詰めないでくれ、私に当たってくれ……君は私を責める資格がある。
私も君がこの世で1番大切なんだ
責める!?出来ないよ!出来るわけないよ!
だって……ゴードンのことだって!大好きなんだよ!
嫌いになれるわけ……ないよ……
15歳まで、私待つから。
そしたら……一緒に旅、しよう?ライブしながらエレジアの音楽を……広めようよ!
もちろん私が考えたライブも、歌も絶対にやるけどね!
エレジアの歌姫になら、私……なりたいな - 123二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 21:07:24
本編とは結構違うメンタルになってるな
- 124◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 21:23:17
- 125二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 21:34:34
なるほど...いいね!
- 126◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 22:07:24
ウタが13になる前。春が来た。後2回。
後2回で、世界が始まる。新しいウタの世界だ。
ルフィとは少し違う道にずれてしまったかもしれない。でも、まだまだ機会はある。まずはゴードンと共に旅に出て、ルフィとシャンクスの情報を集める。
そしてシャンクスは一回ぶん殴ってやる。シャンクスとみんなの事を相変わらず大好きなことを伝えて、ベロ出してやるんだ。今まで育ててくれてありがとうって!今はエレジアの歌姫だから船に乗ってあげないって思いっきりフってやるんだ。
そして、ルフィとゴードンの3人で世界を回る。それが今の私の夢。ルフィに、また会いたい。外の島に行ったけれど、結局ルフィのほどの男の子はいないと確信した。私から大砲の音を取り除いてくれた人。一緒に旅に出て、誓いを立てた人と一緒に冒険の日々。
そんな途方もない青写真を想像して笑う。
そもそもルフィはまだ11歳で、2年後だって13歳。まだガキもいい所だ。
ならむしろルフィの先輩として先に出て、先輩風を吹かせながら、ずっと冒険してやろう。
183連勝の記録はもう子どもっぽくて笑えてくるけれど、まだ数字だけは覚えている。
どうせルフィも覚えてる。そのまま200連勝まで重ねてやろう。なんて思ってた。 - 127二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:11:41
『思ってた』
あ... - 128◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 22:18:53
ヒュルルルルル………
ドーンッッッ
ガララ……ッ
花火?違う。遥か遠くで建物が崩れる音がした。何かの塊がぶつかってきたのか。
いや、婉曲な表現は止めよう。大砲だ、大砲の音がする。
いつも耳に付けているヘッドホンの音量を最大にするが、まだその音は聞こえる。当たり前だ。過去の幻影はルフィが消してくれた。
現実なのだ、これは。
ドンッドン…………
ヒュルルルルルッ………
爆発音が、先ほどよりも近くから響いた。ウタの耳から出た幻ではない、本物の地獄。ウタはもう聞こえないはずの音を聞いて全身が、一瞬震えた。
エレジアに再び。無慈悲な雨が降ろうとしている。ここには、かつては火の雨が降り注ぎ、滅びた国。これから降るのは鉄の雨か、矢の雨か。
私は、張り付く様に窓から外の景色を見た。
10隻を超える海賊船が今、島を覆っている。既に抵抗力がないのを察しているのだろうか、その一発だけでそれ以上のものは来ない。だが分かる。これはまずい。
この島には今2人しかいない。私とゴードン。どちらか1人だ。たまに来るケチな海賊じゃない、あんなのはウタウタで眠らせて、ちょっと操ればどっかへ漕ぎ出させてしまえばいい。
しかし、今回の海賊は違う。何度かの砲撃を終えても、突撃してこない。
赤髪海賊団が海賊に支配された島を攻撃する時そっくりだ。
ウタ「ゴードン!これってなに!!誰がこんなこと……!」
ゴードン「無事か!怪我はないか!!ウタ!」
???『これは警告の大砲だ!今音楽の国エレジア……いや、元エレジアは包囲されているっ!!』 - 129◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 22:34:58
ウタ「大丈夫だってばゴードン……それよりこれって……」
ゴードン「分からない……っだがしかし、並みの海賊団ではない!早く逃げるぞウタッ」
ウタ「なんで……そんな奴が……っ」
ゴードン「分からない……!なぜこの島を標的にする……楽器だって、ほとんどない……財宝なんて以ての外だ……」
ウタ「……ゴードン、逃げよう」
ゴードン「確かにそっちが優先だな、ウタ。裏手にはいざという時の避難用船舶がある。動くかは怪しいがこのまま捕まるよりは……」
ウタ「ウタウタで……眠らせられないかな」
ゴードン「やめろウタ!そんな甘い相手ではない!これ程の数を廃墟に派遣できる勢力だぞ!一回は防げようが……」
ウタ「そ……そうだよね…………で、でも……まだ手段が」
ゴードン「止めろウタ!君はもう傷付かなくていい!!アレはそもそも人の手でどうこうしようというものでは……!」
???『……!どうなさいましたか?』
???『"何故変わって欲しいのか"だと?ホーミーズ。こういう時は指揮官が出張るものだろう』
???『何故変わって欲しいのでしょうか……分かりました、私は先頭準備に戻ります!!!』 - 130◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 23:13:26
???『先ほど、周囲に赤髪海賊団の船影はないことを確認した。……正直これ以上被害を出すことは望まない』
『概ね、お前たちがいる場所も把握した。そして無駄だ』
『そもそも一回の航海にギリギリ耐えうる程度のものではあったが既に破壊工作は終了している』
ウタ「そんな……っ」
ゴードン「気にするなウタ。海賊の戯言…………」
ギィ……ッギィ………ッ
ゴードン「船が……っ、なんだこの海賊団は……っこんな規模の海賊が……何故……!」
ウタ「どうしよう……っどうしよう……!」
ゴードン「落ち着けウタ。ディープブレスだ……歌の基本だろう……」
ウタ「すーっ……はーっ……すーーっ……はーーっ………」
ゴードン「いい子だ。さて……まず、地下に隠れよう、私たちではどうしようも……」
ウタ「ゴードン、やっぱりウタウタは必要だよ」
ゴードン「君が寝てしまったら……!」
ウタ「おんぶしてね!大丈夫、体力の限り唄うから!!!耳栓、あるでしょ?」
ゴードン「……っあぁ……」
ウタ「使えるマイク、あったよね」
ゴードン「家の入り口にある。走ろう!!!」 - 131◆tsGpSwX8mo22/11/06(日) 23:16:00
次の更新は明日となります
ここまでの閲覧お疲れ様でした - 132二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 23:16:34
更新お疲れ様でした
急展開になってきたな - 133朝にちょっと載せます22/11/07(月) 06:26:39
一方海賊団陣営
ビッグマム海賊団旗船
クイーン・ママ・シャンテ号にて
オーブン「それにしてもママ!これ程の戦力はどういうことだ?赤髪海賊団も結局居なかった!」
クラッカー(ビスケット兵ver.)「おれを呼ぶのは明らかな過剰戦力だぞママ、ビスケット兵は置いてきたし、ペロス兄貴がいるから問題ねェとは思うが」
ガレット「オーブン兄さん、クラッカー兄さん。ママの判断よ。それに……」
カタクリ「兄や姉が妹を取り戻すのに理由などいらない、そうだろう」
ビッグマム「ハーハママママ!お前の言う通りだカタクリ!10年奪われていたおれ達は家族を取り戻す!!家族として海賊として!当たり前のことをやってるまでさ!」
オーブン「しかし……」
ビッグマム「オーブンの不満もわかる!意味が分からねェだろ?13のガキ相手に四将星のうち2人を引っ張ってくる意味も!しかもオーブンやクラッカーの様な面制圧に優れた奴に、ガレットの様な能力で拘束が出来る子まで連れてくるのも!」
クラッカー「……不満じゃねェが、疑問だな。ウタウタの能力は確かに飛び抜けてはいるがそれなら俺のビスケット兵で制圧すれば良い。アイツらが生物ではない以上眠らせられもしないだろう……トット・ムジカの情報は確かにあるが……」
ヌストルテ「アレは伝説じゃないのであるからして?」
ビッグマム「あァ……もう伝説じゃないよありゃあ。間違いなく起動した形跡が残ってる。ホーミーズ!」
ホーミーズ「はいママ!……まずはスイーツ商船に偽装した我らの諜報船の情報だと、高熱によって地面が融解した場所が各地で発見されています!他にも大規模な破壊痕など赤髪海賊団の性質や人員では不可能な痕跡が残されており……そしてこの音貝をお聴きください!」 - 134◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 06:28:45
カチッ
"あの子の歌は危険だ……!あの子の歌声は世界を滅ぼす……!"
「………………」
ビッグマム「そういう訳だ。あの子の場所は何年も前に把握してたさ」
カタクリ「……」
ビッグマム「親は子どものいる場所くらい知ってて当たり前だ。流石におれもバカじゃねェ」
オーブン「じゃあなぜ今、救出作戦を?」
ビッグマム「……ただおれが欲しかったのはトット・ムジカに関する情報と、ホイップがそれを起動できる条件を満たしているかどうかの確証!」
「無策に突っ込むバカはいねェ。当時そこそこだった赤髪のガキが手こずってた以上何かあるはずだと睨んだ。何かあるだろうってな」
カタクリ「…………2ヶ月の猶予があったのは救いだ。アレがなければ突入はさらに遅れていた」
ビッグマム「あの伝説の魔王の種は割れた。奴を相手にするのに必要なのは実力と周囲を制圧する能力!だからお前たちなのさ……必要ならおれも出る。文句あるかァ!!!」
クラッカー「……おれは兵隊を準備してくる。一足先に海岸に立とう」
ビッグマム「よし、行きなっ!お前が音符どもを制圧するだけでだいぶ違う、他の奴らは待機!!!……囚われの娘の為に、魔王退治といこうじゃないか」
海賊の号令は、船を駆け巡る。
滅びた島に囚われた少女をそこから連れ出してあげる為に。
より広い世界へ。 - 135二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 06:33:24
このレスは削除されています
- 136二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 06:47:52
ビッグマムこれを本心で言ってるのが気持ち悪い…
- 137二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 07:12:05
マムカタクリオーブンクラッカーってかなりガチな面子できたな
音譜兵士1人で相手できるクラッカーはヒエヒエとの相性が悪かっただけでやっぱりチート - 138二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 07:26:10
このレスは削除されています
- 139◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 07:29:40
ビッグマム「あの子は気に入ってくれたかねェ……おれの集めたシェフがその場で作ったパンケーキ!!!お前の名前にちなんでホイップクリームもたっぷり乗せさせたんだ♪ママママママ!」
ホーミーズ達
「気に入ったと思うよ!」 「アレは美味しいもん!」「ぼくもたべたかったなぁ」 「ホイップ!帰ってきて!」 「ホイップのお歌、聴きたいなぁ」 「あの頃から上手だった!」 「可愛かったね!私も好きよ?」「一緒に何の遊びをしてあげよう!「早食い対決!歌対決!おれ負けないよ!」 「山に遊びに行こう!」「海でかけっこ!」「でもやっぱり帰って来たらまずはこう言ってあげるんだ!」
「「「「おかえり!ホイップ!!!」」」」 - 140◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 11:56:53
へェ……?先遣隊が全滅……?
やるじゃないか、全員死んだか?
寝ただけ?…………よし、殺される心配がねェならトットムジカが現れる局面になる前にウタウタワールドに息子たちを送り込み、夢側の戦力を整える!
魔王が暴れにくい様にホイップと男は海の方へ追い込みなァ!
まだ捕まえんじゃねェぞ!夢の方の戦力が整う前にトット・ムジカを起動するとキツイ!あの子には歌の才能があった!楽譜を覚えられていた場合まずいことになる!
まだクラッカーは待機しろ!あの子がお前の有用性に気づいたら不味い。直前まで行くな。
オーブン!そいつはお前たちの命を守る装備だが意識を失うと同時に拘束衣に変わる!確認しな、妹に利用されんじゃァねェぞ!?
カタクリ!ガレット!お前たちと追い詰め舞台は例の耳栓はしたかい?
魔王起動までそれで通信しとけ!魔王が起動したらおれを呼べ!加勢してやろうじゃねェか!
おれにここまでやらせたんだ!ヘマすんじゃねェぞ! - 141◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 12:00:34
******
場面は戻ってゴードンとウタ。次々とやってくる戦闘員をウタウタワールドに送り込むがそれでも一向にやってくる数が減った気がしない。
今、2人は本当の意味で海賊の恐怖に直面している。略奪と破壊に特化した海賊団が本気を出せばどうなるか。
それをかつての国王と幼い少女に突きつけていた。
ウタ「ゴードン……減らないよぉ……どうして……怖い!」
ゴードン「これでは……疲れているだろう?おんぶしよう。…………まだ、海の方の包囲が甘い。そこで建物の中に隠れれば時間稼ぎくらいは出来るはずだ。それまで頑張ってくれるかい?」
ウタ「うん……っ……うん……っ!」
******
ゴードン「ウタ……大丈夫かね」
ウタ「まだ眠くないから大丈夫!でも……どうしよう」
ゴードン「今日、逃げ切れたら……流石に旅をするしかだろう。2年も早いが問題はない、世界を回ることになってしまうが」
ウタ「…………うん」グスッ
******
ウタ「ねぇ、遠くにいるあの人たち……全然寝ない!どうして……」
ゴードン「防音式のイヤーマフだ……っ君が歌っている時の私の様に、イヤーマフをしている……!これでは……!」
ウタ「ねぇ、ゴードン。私ね……唄いたい曲、あるんだ」 - 142◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 12:05:47
ゴードン「…………風のゆくえかい?それともビンクスの酒だろうか?」
ウタ「………………トット・ムジカ」
ゴードン「…………!」
瞬間、ゴードンはウタの頬に平手を打った。今までなかったゴードンから貰う痛いもの。それに驚くが、そんな場合ではない。一瞬で気丈な表情に戻ったウタはゴードンを強く睨みつける。
ウタ「痛いよ!なんで叩くの!!」
ゴードン「曲名を聞くたびに!それについて調べるたびに怖がる様な曲なんて唄ってはいけない!君の持っている世界を幸せにする歌声で……!そんな……!」
ウタ「このままだと、ゴードンが死んじゃうもん!」
ゴードン「!!」
ウタ「私も!ゴードンも!死んじゃう!!やだ!まだ世界中に行ってないもん!ゴードンと旅するって言ったもん!」
ゴードン「そ……それは……!」
ウタ「シャンクスたちのこと殴ってない!ルフィと……会いたい……これしかないの………………お願い、私のワガママ……聞いて欲しいな」
ゴードン「君の……ワガママは何回でも聞いてきた……だが…………っ……ふーっ…………」
ウタ「手…………繋いでて」
ゴードン「………………あぁ、良いとも」 - 143◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 12:10:50
ᚷᚨᚺ ᛉᚨᚾ ᛏᚨᚲ ᚷᚨᚺ ᛉᚨᚾ ᛏᚨᛏ ᛏᚨᛏ ᛒᚱᚨᚲ
ᚷᚨᚺ ᛉᚨᚾ ᛏᚨᚲ ᚷᚨᚺ ᛉᚨᚾ ᛏᚨᛏ ᛏᚨᛏ ᛒᚱᚨᚲ
魔王の顕現。
生まれて初めて、望まれて呼び出された魔王。
既に歌を唄っていて体力を消耗していたウタからそのまま全ての体力を奪うかの様に、膨大に広がり、ウタウタワールドと現実世界を繋げ、威容を現す。
その悍ましい両の腕が、力任せに敵を叩き潰す。赤い光が敵に襲い掛かる。あまりに巨大で膨大な戦力の登場に、戦局は大きく変化する。
その絶望的な希望に、思わずウタは目を逸らし、ゴードンは少女を抱きしめた。
ゴードン「大丈夫だ。私たちは、明日も生きよう」
ウタ「…………うん」
******
ビッグマム「マンマハハハハ!!!出たね『魔王』。おれの愛娘を、返して貰うよ」
「野郎ども!魔王討伐の時間だ!」 - 144二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 14:32:31
こいつらなんか壮大にウタを助けるぞみたいな態度だけど、やってることがただの誘拐犯なんだよな…
- 1452スレ目ほぼ確になりそうです22/11/07(月) 18:12:25
逃げなければ、逃げなければ。
あんなことがあるのか。
そんな無法が許されるのか。
なぜ、トット・ムジカが……魔王が!シャンクスくんはいくら魔王を知らなかったとはいえ一晩も持たないとは。
ウタは疲れ果てて寝てしまった。
あの巨大な化け物はなんだ。
トット・ムジカの腕を止め、赤い閃光を受けて傷を少し負うだけ、殴るたびに、トットムジカが吹っ飛ばされるなんて。
全ての常識が壊される気分だ。
初めの頃、優勢だったはずのウタとトット・ムジカはあの黒い長身の男と無限に増える軍隊、そして化け物によって押し返された。全ての攻撃が当たらない。何度倒しても復活する兵隊、破壊と理不尽の化け物。
だが、それを相手にウタは十分に頑張ってくれた。
今度は私の番だ。
まだ小さな身体を背中に背負い、走る。
娘の様に思う彼女の温かさだけが、この絶望の中にあって私の足を動かしてくれた。
まだ、敵は魔王との戦いで疲弊している。今のうちに地下に逃げればまだ時間は稼げるはずだ。あの地下は滅多な人間を近づけることのない様迷宮に近い形を取っている。
入口も小さいからあの化け物は入ってこれない。
ゴードン「はぁ……っはぁ……っゲホッゲホッ……」
ウタ「…………スゥ……スゥ……」 - 146◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 18:13:28
あれ程早く倒されてしまったとあっては魔王のことも知られている。目的は魔王なのだろうか。だから、ウタは決して逃がしはしないだろう。何度も、何度もあの子の命だけは見逃してくれるのではないか逡巡した。
ダメだ。
あんなことをする海賊の環境にウタが耐えられるわけがない。
私が怪我をするだけで泣きそうになる彼女がどうなるか。
トット・ムジカが解除された時、私とウタは空から落ちた。運良くウタに怪我はないが、私の方は問題だ。庇った時の片腕が折れている。
最短経路を通り、幾つもの道にあった封鎖する機構を利用し、塞いでいく。
降りる。降りる。降りる。まだ、音はしない。
まだ大丈夫だ。ウタも寝ている。
一度、背中の方を見ると私の服が濡れている。泣いているのか……。無理もない、あれ程恐ろしい経験など、ないだろうによく頑張ってくれた。
彼女の涙を拭ってまた降りて、そしてようやっと地下書斎に辿り着いた。
部屋の中に入って、石の扉を閉めて、近くにある机や本を扉の前に立てかけて、バリケードにする。
ひとまず安心だ。
私は、意識を一度手放した。 - 147◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 18:18:41
ドンッ!!!!!
まず、発生したのは。爆音。扉が吹き飛んだ。バリケードも、何もない。
そして大量の人員が投入されたのかと思ったが、そういうわけでもない。
1人だ。1人の男が、扉を破壊し、この素早い時間でやってきた。
時計を見る。30分。なんて絶望的な時間だ。いくら書斎が地下にあるとは言っても迷宮にはいくつも他の部屋がある。扉を開けて軽く確認するだけでも1日は掛かるはずだ。
なぜこの男は目の前にいる。
近くにあった机に座り、私とウタを見ても尚何も言わない。
不気味で恐ろしい、刺す様な視線をした男。
カタクリ「おれは、ビッグマム海賊団のスイート四将星のカタクリだ…………貴様の名前は、ゴードンか」
ゴードン「君は……あの時の……私は、ゴードンエレジアの国王だ」 - 148◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 18:27:33
その恐ろしい男は、意外なことに礼儀正しいものだった。座ったままではあるものの所作を理解しているかの様に振る舞っており優雅さすら感じさせる。
そしてその男の開口一番は意外なものだった。
カタクリ「…………悪い、ことをしたな」
謝罪。私はまず困惑し、直後怒りに襲われた。そんなことをするならまず、平穏に話し合えば良かったではないか。何故襲った。何故壊した。何故怖がらせた。
理由なき恐怖を植え付けて、何が謝罪か。シャンクスくんの様な海賊とは違う、奪う海賊団。それでも、腕の中にいる掛け替えの無い宝だけは守らなければならない。
ゴードン「この子は……この子は……渡さん!!」
カタクリ「………………」
ゴードン「目的は……っトット・ムジカか……?ハァ……ハァ……その為に、こんな」
カタクリ「……………………本当に、愛しているのだな」
ゴードン「な、なにを」
カタクリ「ガレット、入ってこい。この男にもはや何の企みがあるわけでもない。手仕舞いだ」 - 149二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 18:33:46
ある意味誘拐された妹を取り戻してるだけだから...
- 150二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 18:33:52
カタクリならゴードンに手荒な真似はせんだろう…
- 151◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 18:34:20
ガレット「そうでしょうね。この地下書斎とでも言うのかしら、ここまででなにも罠はなかった。時間稼ぎというなら道中で妨害がない理由がない」
絶望に、絶望が重なる。1人ではなく、2人。背の高い女が壊れた扉の方から入ってくる。ガレットというらしい女は目の前の大男ほどの恐怖を感じなかったが、それでもなお私を縊り殺すには十分すぎるほどの力があるのだろう。そうでなければこんな奥地へたった2人で来るわけがない。
ゴードン「目的は、魔王か?……答えろ」
カタクリ「……その質問に、俺は答えられない。ただ、その子を求める理由として別の質問をしよう。…………その子が誰か知っているか」
ゴードン「…………私の娘だ。ウタと、……いう」
ガレット「…………っ。余計な話はしなくても」
カタクリ「……たまには、いいだろう?お前も思う所があるはずだ。この作戦に」
ガレット「……………………」
カタクリ「…………お前が庇っている子の本名は、ホイップ。C・ホイップという」 - 152◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 18:36:44
ゴードン「何を言うか!!!その子の……その子、の…なにを、知っ……ている…ゼェ」
カタクリ「ビッグマムの娘、29女の双子の妹……俺たちの妹だ」
ゴードン「……この子が……どの、様に……過ごしたのか。知っているのかと聞いているんだ」
カタクリ「………………」
ガレット「歌が好き、明るい歌が特に好きでリズムの良い音楽よりスローテンポの方が楽しそうにしてた。好物はホイップクリームがたくさん乗ったパンケーキが大好物で、よく机と皿をぐちゃぐちゃにしながら食べてパンナと大喧嘩してた。独特な雰囲気があって……みんな、あの子が頑張って歌ってるのを聞くのが好きだった」
ゴードン「違う……!そうじゃない……っ」
カタクリ「………………っ!」
ゴードン「この子が他の誰と触れ合い!何に傷付き!どの様に乗り越えてきたのか知っているのかと聞いているんだ!!」ゴホッゴホッゲホッ
カタクリ「黙ってろガレット、バタバタの拘束も使うな」
ガレット「それはさらった奴のせいで!」 - 153◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 18:40:20
ゴードン「…………小さい頃、大砲の音に怯えていた……と、聞いた……シャンクスくんが6年接してきても治らなかったトラウマだ!」
パタパタと、血を零す。乾いた地面が、それを啜る。ビッグマム海賊団は動かない。充血し始めたゴードンの目は、更に強く2人を睨む。
ゴードン「小さい頃!大砲の音を船上で聞かせ!動けなくなるほどの殺気に触れさせたのは君達じゃないのか!!」
カタクリ「………………」ギリリッ
ガレット「……………あの時の」
ゴードン「ルフィくんがあの時!一晩中寄り添ってあげなければ!一緒に泣いてあげなければ!!怯える者同士で慰めなければ!!!あの子は夜も眠れなかった!!!」
ゴードン「あの子が寂しい時!窓の外から海を見ている理由を知っているか!お前達が海賊だからじゃない!海の向こうにシャンクスくんとルフィくんがいるからだ!!!」
カタクリ「…………そうか」
ゴードン「あの子が絵を描く時!いつも同じマークを端に描く!何か知っているか!!!ルフィくんとの誓いのマークだ!一緒に強くなって!!!冒険するための誓いだ!お前達の海賊旗などではない!!!!」
ゴードン「その子が祭りをする時に何が1番嬉しかったと言ったと思う!?みんなと一緒で笑うことだと言ったんだ!」
「想像もつかんだろう欲しいものを奪うだけのお前達に!みんなの笑顔を見られるのが嬉しいと見せる太陽の様な笑顔を!!」ピシャッピシャッパタタ……ッ - 154◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 18:42:25
ガレット「………………」
ゴードン「あの子には……ァ゛……トット・ムジカ……を、使って……敵を倒す……フッ、フッ……そんなこと出来はしない。……私の怪我を見て驚き、動揺する様な……子だぞっ」
「……帰れっ!あの子、……を!兵器として……持ち帰る様な。……っ、ゲホッ、情のない奴などに……預けぬ」
カタクリ「……………………」
ガレット「しって…………………だ、だから……だから!どうだって言うの!……兄さん!」
カタクリ「………………………………ホイップを、返してくれ」
ガレット「………もう手段はないわ。これは、船長の命令…そして………」
「………渡しなさい。……その子に傷は負わせなくないの」
ゴードン「断る。娘を差し出せと言われて渡す親などどこにいる」 - 155◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 18:46:15
カタクリ「……もう、お前の意志の領域ではない」
ゴードン「やめてくれ………っ!この子に、触れるなッッ!」
カタクリ「何を……"この子自体は歌の上手なだけの女の子なんだ"だと…………っ!そんなことは知っている!!!!」
ゴードン「この子自体は歌の上手なだけの女の子なんだっ!……げほっ!!」
カタクリ「貴様の心の内は、感じ取っているぞ俺の大事な妹を恐れていたのに、何を言うんだ貴様は………骨に響くぞ。内臓もかなりダメージを受けているはずだ。あの時、かなり高所から落ちていた」
ゴードン「ぐっ……確かに私の王国はあの魔王に奪い……尽ぐされたっ!!恐怖……だった!!!それでもあの゛っ!あの子は……!ゼェ、ゼェ……託されたのだ!シャンクスくんに!!!」
カタクリ「………………数年間、妹が世話になった。消えるか、死ぬかどちら……聞くまでもなかったか」
「ハァッ……ハァ……ッ………!………!」 - 156◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 18:59:12
ゴードンの体が徐々に蝕まれていく。話すだけで骨が軋み、内臓が悲鳴を上げる。
骨が折れ、内臓が傷付いた体を無理に動かし続け、水分を取ることもなくここまできた。
足が痺れて、感覚がない。
ついに喉が少し傷付いているのか、そこからポタポタと血が出始め、吐き出す。
カタクリ「何故だ……なぜあの子を恨まない。何故、愛した。この数年なぜ守り切った」
カタクリ「だからどうした?」
ゴードン「音楽……とは…っ…!みんなで……っ楽しみっ……!人と紡ぐもの……っ」
カタクリ「だからどうした?」
ゴードン「ゴボッ……人は…っ…言葉を交わせ、る…………言葉が……通じなくとも、歌がある……っ」
カタクリ「だからどうしたというんだ!!」
ゴードン「歌詞……ハァッ……ハァ……の意味を、知ら、ないままに、他の島の……ゼェ、唄を歌う……当たり前なのだ!!当たり前、のこと……ゲホッゴホッ」
カタクリ「………………」
ゴードン「ウタは……明るかった、エレジアを゛っっ光ある゛っエレジアを知っている゛ッッ!!」
カタクリ「………………滅ぼしたのは、ウタウタの実に引き寄せられたあの魔王だ」
ゴードン「あの子は……っ!シャンクス君達、の゛っ宝だ……そして……っ!ゼェ、私に残った最後の太陽なのだ!!」
カタクリ「…………そのみんなの明るい太陽がっ!国を滅ぼす悪魔を引き寄せたとしてもか!!!!」 - 157◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 19:00:06
ゴードン「それ゛でも゛ッッ歌うあ゛の子に゛っっっ゛!罪はな゛い゛!!!!!」
カタクリ「……………………さらばだ亡国エレジアの王よ」
爆音。
白む景色。
すまないシャンクスくん。
すまないルフィくん。
すまない、ウタ。
君の歌は……世界を幸せにできる歌だ。
私には、ウタに広い世界を見せてやることが出来なかった。
しかし、いつか自由になれる時が必ず来る。
その時はエレジアに届く様、大きな声で唄っておくれ。 - 158二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 19:07:15
ゴ、ゴードンさん…!
- 159◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 19:31:51
カタクリは自分の戦闘服である棘のついたグローブを脱ぎ、ガレットに投げ渡す。未だ眠ったままのウタを優しく抱き上げるとモチモチの実の力によって作られた餅製の社へ運ばれ、その扉を開くとその中にそっと下ろした。
カタクリ「せめて、その中で眠っておけ……ウタ。お前はママの下へ連れていく。」
餅製の社は車輪がつけられていて、移動式になっている。本来なら粘りで使えないであろうそれは、カタクリの餅の体から流れる覇気によって固められ、それは移動可能な盾となっていた。
カタクリ「餅御殿・山車」
ガレット「これで……良かったの?兄さん。あの人は……」
カタクリ「全て終わった。…………後処理を頼む、俺はママに報告する」
ガレット「この破壊の痕。ここまでやる必要が………」
カタクリが槍を刺した地点より半径20m以上が破壊されている。地面は粉々に砕けて、そこに命の反応はない。血が随所に散っていることを除いてもはや何も残っていない。
明日、亡国エレジアに残る命はない。
亡国はついに廃墟へと堕ちた。 - 160二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 19:34:18
ゴードンさん...合掌
カタクリガレットはやっぱり思うところあったんだな - 161二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 19:35:41
ゴードンさんもウタちゃんも可哀想すぎるし、ウタちゃんは家族を理不尽に2度も奪われたのか…
- 162◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 20:15:38
そして翌日の朝。
静かに、太陽が昇る。昨日の激闘がまるで嘘の様に穏やかな海が太平に横たわる。ここはビッグマム海賊団の旗船。宴の翌日、平和な朝。
ウタを寝かした柔らかなベッドのある寝室。ずっと整えられ続けていた、10年の空室。
そこで大柄な男を含めた5人がその部屋に入っていた。
ウタ「むにゃ……むにゃ……ゴードン……えへへ」
オーブン「この子がホイップか。…………名残があるな」
ヌストルテ「うむ、確かにオーブン兄の言う通り可愛らしい顔であるからして!……将軍ごっこをしてあげたかったであるからして…………」
ガレット「しっ……静かにしな。もう少し寝かせてやりたい」
クラッカー(ビスケットver.)「懐かしいもんだな。ビスケット兵の中に入れてやると喜んでいた」
カタクリ「……ガレット、寝かせてやりたい気持ちは分かるが。1時間後、ママに謁見の時間だ。ガレット、着替えさせてやれ。出るぞみんな」
ぞろぞろと男達が部屋から出ていく。ガレットは大きく息を吸い、一瞬表情を優しく緩めてウタを起こす。
ガレット「ホイップ……起きてホイップ。……ほら、ホイップの好きなぬいぐるみがおはようって言ってるよ〜…………」
ウタ「………………んん…………」
ガレット「……ウタちゃん、起きて」
ウタ「…………ん……誰!?」
ガレット「…………私は、ビッグマム海賊団の幹部、C・ガレット。ゴードンは……生きています」
ウタ「ゴードン!!!私トット・ムジカを起動して!意識がなくて!私の知らない場所!!!」 - 163◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 20:28:23
ガレット「落ち着いて……深呼吸して。ゴードンは…………無事。ここは海賊船の船の上」
ウタ「あんなことしてきて何が落ち着いてなの!!!」
ガレット「はっ……はっ………もう、危害は加えません。ほら、銃も、剣も、手袋も、マントも、靴も脱ぐ!……服は脱げないけど、話を聞いて」
ウタ「……………………!!」
ガレット「そんなに…………ウタ。アナタを…………………さ、攫ってきたのには、理由がある」
ウタ「何……?」
ガレット「私たちのママ…………海賊団のボスが、アナタを欲しいと言ったの」
ウタ「そんなので!なんで砲撃したの!」
ガレット「すぅーー……はぁーー……それは私たちが悪い。でも聞いて。衣装タンスには、恐らくアナタの体のサイズに合ったドレスがある」
ウタ「なんで服装の話…………?ホイップケーキみたいな……ドレス……」
ガレット「……いくつかサイズがあるわ。後日改めて採寸をするから今回はそれで我慢して」
ウタ「…………命令?」
ガレット「……その服装じゃないと、恐らく海賊団のボスが怒るから。怒ると酷い目にあう」
ウタ「…………はい」 - 164◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 20:36:06
ガレット「……着替え、手伝うわ」
ウタ「…………いりません」
ガレット「…………そう」
スルスルと、着替えていく。途中まで順調に行っていた物も、途中特殊な仕様に困惑する。経験のない仕様に手が止まると、恐る恐るガレットが話しかけた。
ガレット「そこのベルトは……こう。これは服に備え付けられてる簡易コルセット。慣れるまで1人でやるのは難しいから……」
ウタ「嫌。触らないで」
ガレット「……………お願い。着替えている間だけ、その時以外は……触らないから」
******
ガレット「…………!似合ってるわ、ホイップ」
ウタ「ほいっぷ?……誰の名前ですか?」
ガレット「ごめんなさい、でもこれからアナタはその名前で呼ばれることが増えるだろうけど……反発しないで」
ウタ「…………」 - 165二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 20:53:13
10年間ずっと綺麗にしておいた船室とか兄たちの会話とか世話しようとするガレットとか大切されてたんだなって
- 166二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 20:53:57
ゴードンさんは生きてるみたいで良かった
これはパウンド明らかに殺してると思ったら殺してなかったオーブンにも通じるな - 167二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 21:08:46
- 168二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 21:13:25
悲しいなぁ
- 169二次創作好きの匿名さん22/11/07(月) 21:16:23
ゴードンニキ…あの人への弔いも、何も出来ないウタが辛いよね
- 170◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 21:17:05
こうして一波乱ありつつ服装を整えられた服装はポップで可愛らしい意匠にまとめられていて、彼女の髪の色とマッチしてまるでホイップクリームを乗せたパンケーキの様だ。
本来ならば喜んで着たであろうその衣装が薄寒いものに思えた。外には5人の男たち。屈強で恐ろしい人たちばかりだったが何故か1人として敵対的な人はいない様だった。
ガレットの隣で縮こまっていたウタを連れて明らかに目的地のある足取りを持って歩きだす。
ガレット「おいでホイップ……ママの所へ連れていくわ」
オーブン「…………一応、ここではホイップと、呼ばせてくれ。……元気か?」
ウタ「…………はい」
オーブン「そうか!私はオーブン!C・オーブンだ。よろしく頼む!!」
クラッカー(ビスケットver.)「文字通りに受け取るなオーブンの兄貴。ホイップは怯えている……やり方がやり方だ。時間はかかるぞ」
オーブン「そうか…………」
クラッカー「俺はクラッカー。C・クラッカーだ。こんな姿で悪いが……まだ海の上だからな……よろしく」
ウタ「そ、そうですか……シャーロットさんってそんなに多いんですか?」
ヌストルテ「ママ抜きでも86人もいるからして!そして我はC・ヌストルテ!」
ウタ「そ……そんなに……」 - 171◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 21:32:40
カタクリ「……困惑するだろうな。だか安心しろ。俺たち兄弟は姉妹は、傷つけることはしない」
ウタ「……アナタも……?」
カタクリ「C・カタクリ。お前を守る男だ」
オーブン「……だが、ママはお前の想像を超える。下手なことを言うな、命に関わる」
ヌストルテ「そしてホイップはママに謁見し、素直に「はい」と言って欲しい訳であるからして!」
ガレット「プライドを捨てなければいけない時もあるわ。そしてここは……ホーミーズというママの忠実な魂のしもべ達もいる。ここでも否定的なことは言わないほうがいい」
ウタ「……!」
ガレット「…………言いたいことは抑えて。今は……恐らくママの機嫌はいいはず。ヌストルテ兄さんの言うとおり、縦に頷けば大丈夫だから」
そんな会話をしている内に一際大きな廊下の巨大な扉の前にウタと一行は立たされた。異常なまでに威圧的な空間と嫌にメルヘンなデザインに目が眩む。
それに比べてあまりに小さなウタは立ち眩みしそうになりながらも姿勢を崩さない。
そんな雰囲気の中、カタクリが語りかける。
カタクリ「ここからは謁見の間だ。船長室と言ってもいい。……お前達は、下がっていい。下手に大人数で行っても朝からなんだと機嫌を悪くするだけになるだろう。……油断しないことだ、ママ相手には慎重に振る舞え」
カタクリ「ママ、カタクリだ。…………ホイップを連れてきた。……おいドア……開けてくれ」
ホーミーズ「ほわぁ……ん?ホイップ!ホイップだね!ママ!ママ!ホイップが来たよ!開けるね!」
ビッグマム『あァ……開けとくれ』
化け物の檻の中へ、ウタとカタクリは入っていく。 - 172二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 21:34:02
- 173◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 21:49:35
そこにいたのは大きいけれど、朗らかなおばあさんの姿だった。ニコニコと笑って嬉しそうにしている。威圧感はあるものの、人を食らう化け物の様な雰囲気はない。
確かにあの夜見た恐ろしい人と同じ大きさで同じ顔なのに。何故か、警戒しきれない。
ビッグマム「久しぶりだねェホイップ!久しぶりのまともなベッドだろう!?春になったばかりだからって、油断しちゃダメだよ?」
ウタ「は、はい」
ビッグマム「マンママンマ!他人行儀とは悲しいねェ……仕方ねェか!10年ぶりの母の顔!いきなりってのはな!まぁ席は用意してある。座れ!」
ママ、と呼ばれた人が指を鳴らすと椅子がひとりでに動き出す。ママという人物から手を差し出され、座れという合図をまた出されたので素直に座った。
椅子のホーミーズ「いてっ!」
ウタ「ご、ごめんね?」
椅子ホーミーズ「だーいじょーぶー♪ホイップが来てくれたから!う、れしーのー♪」
ウタ「そ……そう」
ビッグマム「黙って止まってな!あんまりふざけてると魂抜いちまうよ!」
ホーミーズ達「「ひぇ〜〜っ」」
ウタ「……プッ」
ビッグマム「うン?何かおれ達のやってることで楽しいことでもあったかい?」
ウタ「い、いえ!」
ビッグマム「でも嬉しいねェ!早速笑ってくれるとは!!おれの言うとおりにしてりゃア幸せに慣れる!まさにお前はおれの体現者だ!!!」 - 174◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 22:05:46
昨日の出来事はまるで夢の中の出来事であったかの様に優しい会話が続く。ゴードンがいればもっと良いのになんてことを思いながらママという人物と世間話を続ける。
ただホイップという名前がどうしても引っかかる。ウタという名前があるのにそれを無視されている様でかなり気分が悪かった。
先ほどまで居た人たちは、一度断りを入れてからホイップだと言ってくる人が多く、またこちらを心配してくれている様な雰囲気があったが、ママはどこか異質だ。
そして、異質さを証明するかの様にその大きなおばあさんの雰囲気が一変する。一通り、愛娘との再会の会話を楽しんだのか、今度はカタクリの方を向き直った。
ビッグマム「マンママンマ!見事だカタクリ!よくぞおれの娘を取り返した!他に敵は確認できたかい?」
カタクリ「いなかった。ホイップと…………くたびれた王がいただけだ」
ビッグマム「それで?……ちゃあんと、もう1人の男は、消したんだろうねェ?」
カタクリ「勿論だママ。あの島にはもう生存者はいない。昼になったら出発になるだろう」
ウタ「ぇ…………」
ビッグマム「さすがおれの自慢の息子だ!将星筆頭にしといてよかったってもんさ!」
ウタ「ゴードンを殺した!?生きてるんでしょ!?嘘をつかないで!なんで!!」
ホイップ「うるさいよホイップッ!!!今は、カタクリと話しているんだ。これからするのはお前の処遇について話だからね……逆らってもいいことはないよ?」
ウタ「…………生きてるんでしょ!!ねぇ!!」
カタクリ「………………実際は生死不明だ。俺たちの攻撃の際、砲撃に巻き込まれたかもしれん。安否は確認中、生存が確認され次第ウチで丁重に歓迎することなるだろう」
ウタ「………………」
カタクリ「安心しろ。今のところ遺体は見つかっていない。生きている可能性は、かなり高い」
ビッグマム「カタクリ!…………お前が砲撃して生死不明。そう言うならそう言うことなんだろうさ。……次は、嘘をつくんじゃないよ♪」 - 175◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 22:08:12
ウタ「……そもそも砲撃してきたんでしょ。本当なら私たち、あんな怖い目に……」
カタクリ「俺たちは海賊で、聖者じゃない。……しかし、悪いことをしたな。代わりに生きていたら真っ先にお前に伝える。だから今は落ち着け」
ウタ「…………!はい……」
ビッグマム「ごめんよホイップぅ〜♫お前を育ててくれた恩人があの島にいるなんて知らなかったんだよ。それが分かっていたら!優秀な音楽の国王として迎賓として扱い!ホイップと一緒に音楽をやってもらおうとしていたのに……」
ウタ「……ップじゃ…………」
カタクリ「止めるんだ。シャーロット……家として、自覚を持て!」
ウタ「私はウタだ!シャーロット家のホイップじゃない!エレジアの歌姫にして赤髪海賊団音楽家のウタよ!!!!」 - 176◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 22:17:18
今日の更新はここまでです
閲覧ありがとうございました。
ちなみにここから過去編は全部ウタの曇らせですのでよろしくお願いします - 177二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 22:31:01
晴れは・・・あるんですよね 勿論
- 178◆tsGpSwX8mo22/11/07(月) 22:44:15
現代のWCI編を書き始めてますのでもう少しばかりお待ちください
- 179二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 07:14:20
先が不穏...
- 180朝の少し更新です22/11/08(火) 07:47:41
椅子から立ち上がりながらその少女は海の皇帝に啖呵を切った。わなわなと、ビッグマムが震え始める。何かを楽しませようとか、プラスの感情では決してない。何かに対する殺意だ。
自分に向けられる殺意。そしてその後ろにある者ごと射殺す様な視線にウタは怯み、力が抜ける。彼女は今世界に覇を唱え、世界政府を以てして制御できない最大規模の海賊団の船長を相手にしているのだ。
首1つで40億超え、島にして34、軍隊は地平の先まで途切れぬ波となる者。
ウタやルフィの目指した最強に最も近い者たちの1人。
四皇のビッグマムを。
ビッグマム「誘拐されてから十年以上。随分と生意気になったようだねェ。赤髪か!あのクソガキっ!おれのガキをこんなにしやがって!産まれた時は可愛らしい顔で!いつだかの誕生日に上手な歌を聴かせてくれたってのに!」
ウタ「うるさいっ!!私はッ……」
ガンッッ!!
次の瞬間、ウタが受け取ったのら衝撃。感じたことのない痛み。紙で頭を叩いた時?壁に頭をぶつけた時?違う。全く違う。意識が、抜けていく。
痛いと伏せることもできない。力なく、膝を折るが、倒れられない。
ビッグマムが人差し指1本を使い、頭を叩いた。
カタクリ「ママ!ホイップはまだ子どもだ!死んじまう!」
ビッグマム「黙ってろ!分かってるよそんくらいはァ!!死にゃあしねェさこの程度小突いたくらいで!海賊を自称するならよォ!なァホイップ!!」 - 181◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 08:01:13
ウタ「……私は………………ウタだ……!ルフィと……ゴードンとだって……誓った…………強くなるんだ!」
ビッグマム「…………いい度胸してるじゃねェか」
ビッグマムは、自分に躾けられてもなお睨みつける強い少女を見てニンマリと笑う。これほど根性が座った奴はほとんどいない。弱い癖にこれほど噛み付く奴もいない。
海賊の矜持を感じる。そして何かを芯にして立ち上がる強さと脆さを感じる。才能がある。ウタをただのウタウタの能力者の器、トット・ムジカの発射装置に終わらせるにはあまりにも惜しい。ビッグマム海賊団を長い間離れていただけあって反抗的だが、反抗期の娘の対応は初めてではない。
いっそ面白そうだと感じで、そしてウタを見込んであるゲームをすることにした。
ビッグマム「……お前を、鍛えてやろうか?心身共にこのおれの下で」
ウタ「……フーッ、……………フーッ……何を…………」
ビッグマム「お前はまだ弱い。この海を生き残るには弱すぎる。だからせめて海賊の先達として教授させてやるって言ってんだ」
ウタ「………………シャンクスに教えてもらったから良い」
ビッグマム「戦闘方法もかい?海で青ざめてぶっ倒れた時に何食べ、飲んだら良いのか知ってンのかァ?大きな樽の運び方はどうだ?崩さずに樽や宝箱を積み上げる方法は?知らねェだろうが!!……守ってもらうだけで良いのかい?」
ウタ「………………」
ビッグマム「半年間だ。お前を敵として、赤髪海賊団音楽家のウタとして半年おれがこき使ってやる」
ウタ「誰が……っ」
ビッグマム「話を聞きな、赤髪海賊団」 - 182◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 08:09:04
ビッグマム「まず、"ウタ"としてのお前には二つの選択肢が残ってる。死ぬか、"戦える"有用な音楽家としてこのおれに失望させないかどうか」
ウタ「…………」
ビッグマム「地獄の苦しさだぞ?このおれが、ビッグマム海賊団がお前を戦闘員として鍛え上げる為、号令の合図まで戦う。そして夜にはその感情を、ソウルを込めて歌を作るんだ。狭い部屋で、石に囲まれながらの日々はさぞ辛いだろうねェ……」
ウタ「…………」
ビッグマム「不定期……ランダムに、数日に一度!改心の機会をやる!」
ウタ「改心……ってなんのつもり」
ビッグマム「お前がシャーロット家の娘であると認めることさ!その日が来たらベルが鳴る。その日に限っては鍵は開けられ、おれの部屋に直通する道が開く」
ウタ「…………」
ビッグマム「そしたら朝一番誰よりも早く起き!おれが目覚めてからすぐ!!私の名前はシャーロット・ホイップだと言えば!すぐにでも家族に戻れる!」
ウタ「そんなこと、あり得ない」 - 183二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 08:14:24
しかし、あそこまで大規模な攻撃をエレジアで仕掛けたのにシャンクスたち気が付いてないのか、はたまたビッグマムの情報戦がうまいのか
- 184◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 08:30:17
せっかくなので少しビッグマム海賊団の動向の設定を書かせてください
ビッグマム海賊団の情報網を舐めるんじゃないよと言って政府の戦法六式をマスターしているくらいなので恐らく世界中に網を張っています。
商船の情報からどこかでウタが生きている可能性があり赤髪海賊団が助けてどこかの島に置いていたか、船に乗っている可能性があることまで掴んでいました。
それがビッグマム海賊団襲撃の時に赤髪海賊団に言及した理由です。
そもそもマムオーブンカタクリクラッカーがこの島に来た理由はシャンクスたちが来た時、オーブンやクラッカーを使って海戦を有利に進めつつカタクリやマム自身が指揮をとって牽制し、もしもの為に安全に撤退するためでもありました。
- 185◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 08:38:04
そして初めてウタのいる場所をゴードンとウタの2人で旅行した時点、ウタの年齢は10歳くらいを想定しています。誕生日プレゼントとして旅行を計画したみたいな感じでしょうか。
年に一度のお祭りの規模はかなり大きなものでした。遠くのエレジアに噂が届くほどですので。
スタンピードの平和バージョンを想像するとわかりやすいと思います。
そこで沢山の幸せそうな風景を見て嬉しくなったウタはそこで催されていたのど自慢大会のようなものに参加することになります。
みんなにより祭りを楽しんでもらい、沢山の笑顔を見る為にウタウタワールドを展開、大盛況に。
当時エレジアに認められるほどの才能と、ウタウタの能力の大規模な展開したので多くの人たちの噂になりました。
それがマムの情報網に引っ掛かり、大規模な作戦の開始です。
そこでエレジア出身の誰かがウタウタの実の力を使ったという情報を元にエレジアへ向かい、ウタとゴードンがいない間に地下書斎と、資料室に立ち入りました。
30分でカタクリとガレットが地下書斎まで辿り着いたのはカタクリの見聞色の覇気での知覚に加えてビッグマム海賊団は一回来たことがあったからです。
それ以降パンケーキと骨つき肉が来たりと贅沢な商戦が来るようになり、何度も何度も情報収集を繰り返し来ていきますが、これは全てマムの息が掛かっています。
そして最終日、赤髪海賊団や傘下(いたらですが)が遠くにいてエレジアの情報を掴むのにかなり時間が掛かる場所にいることを掴み、一晩でエレジアを制圧しました。
商船からの情報は封鎖、幹部たちを招集しつつ警戒など出来るだけ戦争を避けるようにウタを強奪したという形です。 - 186◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 15:55:00
ビッグマム「半年間、おれに一切根を上げずにいたら解放しよう。どうする?」
ウタは、目の前のワガママな老人に怒りを覚えた。ゴードンを行方不明にし自分の家を破壊した元凶はそれでもなお"改心"しろと言うのだ。何が改心か、そんなものを許すことが出来るわけがない。
しかしこの老人は、自ら噛み付いた獲物を放し、自由にする機会を与えるという。正攻法も、逃げるにしても不可能だろうということが分かっている以上、乗るしかない。
ウタ「……今からでもいい。やろう?」
ビッグマム「まァ焦るんじゃねェよシャーロット・ホイップ!今はこの名前が嫌だろうが、その名前がある内はあま〜いお菓子も、綺麗な服も、宝石も、音楽を作る環境も全てをくれてやる♪」
ウタ「え……?」
ビッグマム「当たり前だろ?この世で一番大事なのは"家族"さ!"ホイップにオススメ"のお菓子はなんだい?カタクリ」
カタクリ「………………ホイップクリームがこれでもかと乗っかったフルーツ付きのパンケーキだ」
ビッグマム「い〜い趣味だ!さすがはおれの家族!今日は特別におやつタイムはパンケーキにしよう!」
ウタ「でも私は……」
ビッグマム「ママママ!しばらくの間はホイップって名乗っときな。今から!お前がホイップであり!家族である限りっ!おれはお前を殴らねェと約束する!!」 - 187二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 17:05:19
カタクリが良心だ
- 188二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 18:25:06
ウタ「えっと……」
ビッグマム「いいかい?今から言うことは、海賊の大先輩としてのアドバイスだ。"敵の弱みを握ったら離すな"と"守られることは悪いことじゃねェ"……さ」
真剣な顔のその老人は恐ろしく、しかし説得力を感じさせるものであった。扉はウタを外に出すと同時に閉まり、そしてそのままウタの為に用意された部屋へと戻っていった。
そして数日間、万国に着くまでウタは兄や姉に可愛がられながらクイーン・ママ・シャンテ号の船室内を案内される。お菓子を食べ、会話をし、穏やかな日々をしかし物足りない日々を過ごす。
音楽も、歌もあるのに何かがない。ゴードンが欠けていて、シャンクスやルフィについて話す機会も、音楽を教えてもらうこともできなかった。
そして複雑な思いのままホールケーキアイランドに到着する。そこで受けたのは……。
「ホイップさま!お帰りなさい!」
「帰ってきたわ!皆様の家族!」
「バンザイ!ビッグマム海賊団バンザイ!」
「ホイップさまお疲れ様です皆さま!」
「シャーロット家29女ホイップさまのご帰還だぁぁぁあ!!!」
ワァァァァァァァァァアア!!!
歓迎。そして万雷の拍手。喜びの歌、そして歓迎の歌。あの時の祭りと比べてもさらに規模が大きいその声も、国も、建物も。
全てが1人の為に作られたものだ。
そう、全てがシャーロット・ホイップの為に来た人たち。ウタはその人達をみて、なにかむずむずするような心地だった。
ウタは現在、カタクリがエレジアで作った餅御殿・山車の屋根の上に立っている。その屋根はウタが座り易いように台座式に改良され、そこをカタクリと一緒に座っていた。 - 189◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 18:27:44
ウタ「これって……」
ビッグマム「全て!お前を歓迎する為のものさ♪おれが一言ホイップを取り戻すって言ったらよ、みーんな!協力してこのイベントをやってくれたのさ!」
ウタ「そう、なんだ………………いい、国なんだね」
ビッグマム「そうだ!!ホイップも見ただろう!?万国の平和な風景とお菓子でできた島や建物を!おれはそれを統治できるっ!何故かって?"おれは守ることが出来る"からさ!人々を見ただろう?アイツらは幸せそうにしていたはずだ」
ウタ「……そう、思う」
ビッグマム「おれが強いからここにいる奴らァ安心できる!そう言うことさ!みんなが平和に暮らせるのもおれ達が強いから出来るんだ!」
ウタ「…………」
ビッグマム「おれァ夢がある!家族全員が同じ大きさ、同じ目線でよ!笑いながら食卓を囲うのさ!みんながおれに従い!みんなが同じ方を見る!そんな世界に争いが起きる訳がねェ!」
ウタ「……それは……」
ビッグマム「新しい時代、おれの時代を作るんだ♪全員がおれの下で平和に暮らす、そんな世界をよ!……だから、力を貸してくれ!ホイップ!お前はおれの弱みなのさ!ママママママ!」
ウタ「ゴードンのことは……」
ビッグマム「ハーハハママママ!勿論!生きているのが分かれば最高の国賓さ!お前を赤髪海賊団の魔の手から守り!数年も代わりに育ててくれた大恩がある!ただ、お前は海賊として育て直す!だから話は今は保留しよう!今は歓迎の時さ!」
一週間後にまたおいでとビッグマムが言う。
その言葉を最後に足の長くて大きなカタクリさんと言うらしい男の人が、私をひょいと持ち上げて、何かしらの力で台を作り、そこに座らせる。彼に掲げられるとその声は一層大きなものに変わった。
そしてついにビッグマムはウタと共にホールケーキ城へ入城し、ウタの部屋へ案内してやれとカタクリに頼む。ガレットやヌストルテが何かを言いたげにするが、オーブンとクラッカーが制止する。そして別れ際にそれぞれ言葉をかけた。
オーブン「ではホイップ、また明日に改めて会おう。お前さえ良ければパンケーキの焼き加減を教えよう」 - 190◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 18:29:27
クラッカー「俺の双子の妹達、カスタードとエンゼルを連れてこよう。アレらは苛烈だが女には優しい。……スムージーがついてきそうなのが厄介だがな」
ヌストルテ「なんと言っても80人以上も兄弟姉妹がいるからして!私の弟達もまた!愉快であるからして!」
ガレット「オーブン兄さんのパンケーキ作り手伝うわ。バターの使い方だって大切なの」
小さく手を振って送り出してくれる兄や姉を自称するもの達。マッチポンプとは言えども生死不明のゴードンを探してくれる上国賓で招待するという言葉。そして国中から受ける歓待。
無言で彼らを振り切るようにカタクリという男についていくが、少し振り向いた先で少し落ち込んでいるのを見て少し罪悪感に駆られてしまった。
そして目の前にいるのが、ゴードンに大砲を打ち、生死不明に追い込んだという本人。
とても優しく、その腕の中は温かいものではあったが信じ切ることはできない。せめてもの反抗として棘のある言葉でカタクリを責める。
ウタ「アナタが……ゴードンを傷つけたんだ」
カタクリ「…………すまない。……今、生存者の確認をしている」
ウタ「…………なんで!さらって来た人がそんな顔するのよ!!」
カタクリ「…………すまない……っ俺が…………あの時、守れなかったばかりに………っ」
ウタ「……何言ってるの」
カタクリ「…………いや、いいんだ。ホイップは、今日は休んでくれ」
ウタ「ウタ……ウタだよ」
カタクリ「………………………………そうだな、ウタ」
ウタ「…………っ」バタン - 191二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 18:40:43
このレスは削除されています
- 192◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 18:43:04
カタクリ「………………………俺が、あの時油断さえしなければ……!」
ウタ「………………あの人、悪い人じゃ……ない……の……?」
「ならどうして…………あんなことするの…………?」
カタクリは閉じた扉を後にして、小さな声を発した。ウタは聞こえるはずのないその声を聞き、首を傾げる。小さな声なのに、あまりに弱々しい、誰にも聞こえないものであるはずなのに。ウタウタの力だろうか、それとも全く別の所のものだろうか。
カタクリの悲痛なその苦しみにウタはどこか共感してしまうのだった。
そして、7日間を経てシャーロット・ホイップ帰還のニュースは万国中に響く。
しかし10年の別れの果てに少しばかり混乱と同時に取り返し方に疑問を抱いたらしいという噂も同時に広まった。
7日間でやってきたのは結局ホイップ奪還組に加えてクラッカーの直接妹達やヌストルテの弟が数人きただけですみ、ある程度ウタには心の余裕が帰ってきた。
触れ合う優しさ、兄弟愛を受け、それが偽物ではないであろうということもわかる。
しかしそれでも、彼女にはすでに心に芯が出来ていた。シャンクスが拾い、ルフィが編んで、ゴードンが結んでくれた芯を。
優しいその愛に触れてなお自分の道を選ぶ力を小さいながらも持っていたのである。 - 193◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 18:50:34
ウタ「………………私は、海賊の娘で……音楽家だ」
ビッグマム「そうさそうさ♫この」
ウタ「シャンクスと……ゴードンの、娘」
ビッグマム「ん?…………誰の娘だァ?ふざけんじゃねェ!!おれが腹痛めて産んだ子だ!!!」
ウタ「アンタなんか知らない!ゴードンと約束したんだ!シャンクスを見返してやるって!私たちは負けなかったんだって!頑張ったよって!!!」
ビッグマム「舐めんじゃねェよバカ娘!あのロジャーが育てたクソガキが!!!血縁のないお前に何か未練があるものか!」
ウタ「そんなことない!私は……シャンクスを信じてる!!!」
ビッグマム「マンママンマ!!とてもお前みたいなガキをすぐに奪いに来るような場所にいねェ!諦めな!
ウタ「……シャンクスの居場所……知ってるのね」
ビッグマム「ママママ……知りたきゃ情報を奪うか、おれの娘だと認めるか、二つに一つさ……Robbery or Admit?(強奪か?認めるか?)」
ウタ「海賊は、欲しいものは奪い取るものよ!」 - 194◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 18:59:54
- 195二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 19:40:42
お疲れ様でした!
- 196二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 19:41:56
- 197二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 22:01:53
いいスレだった
- 198二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 22:02:32
- 199二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 22:03:37
スレ主自分のペースで続き読ませてください!お願いします!!
- 200二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 22:04:12
ルフィがこのウタ(ホイップ)の曇らせを晴らしてくれることを祈って