【閲覧注意】ウタ「ウタ……何それ?私はシャーロット・ホイップだよ?」2

  • 1◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 19:38:07

    ウタがもしシャーロット家の娘だったというif物です。


    独自解釈とか解釈違いとかクソ難ルフィエミュとかウタの口調が都合上一部変わってる部分があるので許してください

    かなりRED世界から設定が弄られているのでアレルギーにはご注意


    プロット未完成の為完結するか不明です


    ゴードンさんがこの世界でウタに少し踏み込めるような人だったらというifでもあります


    素晴らしい基礎概念スレ


    【IFCPネタ】ここだけウタがフィガーランド家ではなく|あにまん掲示板シャーロット家の本名シャーロット・ウタだった世界REDでは赤髪海賊団に拾われたとき2歳だったがこの世界では3.4歳くらいだったためシャーロット家のことを朧げながらも覚えているただしルフィへの恋愛感情が…bbs.animanch.com

    技の名前はここから一部頂いています


    エアプゴードンの技名を考えるスレ|あにまん掲示板bbs.animanch.com

    拙作の1スレ目


    【閲覧注意】ウタ「ウタ……何それ?私はシャーロット・ホイップだよ?」|あにまん掲示板ウタがもしシャーロット家の娘だったというif物です。独自解釈とか解釈違いとかクソ難ルフィエミュとかウタの口調が都合上一部変わってる部分があるので許してくださいかなりRED世界から設定が弄られているので…bbs.animanch.com

    前回までのあらすじ

    ホイップを自称するルフィとウタが出会った。

    ルフィが絆された隙に、ウタが力を使い、眠らせてモンドール兄さんの力を使って監禁したようです。

    過去編でウタがシャンクスと別れ、ゴードンを失いました。小さなウタはビッグマムと我慢比べするようです。

  • 2◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 19:39:14

    いきなり過去編から始めても意味がわからないのでオマケ短編SS

    ウタ「ねえ、ルフィ……後悔してない?」

    ルフィ「何をだ?」

    ウタ「私を……ママから攫ってきたこと」

    ルフィ「シシシ!そんなこと心配すんな!これからはずっとおれと、おれたちと冒険だ!」

  • 3二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 19:39:59

    たておつ

  • 4二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 19:40:13

    たておつ!!
    応援してます

  • 5◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 19:40:23

    ウタ「カタクリ兄さんはすごく強かったでしょ?」

    ルフィ「すんげェ強かった!餅がぐにーんってなっておれの攻撃が当たらねェし、武装色は滅茶苦茶硬ェ!」

    ウタ「だから言ったじゃん。傘下になってって」

    ルフィ「ならねェ!」

    ウタ「知ってる」

    ルフィ「……でもよ、それだけじゃねェよ、あいつ」

    ウタ「自慢の…お兄ちゃんだからね」

  • 6◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 19:46:32

    ルフィ「そのドレスなんなんだ!?パンケーキみたいだな!」

    ウタ「……ガレット姉さんがね、私が小さい頃にデザイン案出してくれたんだよ!

    ルフィ「へぇ〜食えんのかな?」

    ウタ「食べられないよ!あ!噛むな!もう……」

  • 7◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 19:55:50

    ウタ「お肉そんなに食べて……お腹壊さない?」

    ルフィ「ほふ?ふぇんふぇんほははへへ!!」

    ウタ「…………」ツンツン

    ルフィ「ぶほっ!何すんだよウタ!」

    ウタ「いや〜……面白そうだなって」

    ルフィ「まぁ……良いけどよ」

    チョッパー「許した……」
    ナミ「あのルフィが…………」

  • 8◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 20:02:06

    ルフィ「ビッグマムってウタに取ってどうだったんだ?」

    ウタ「うーん……クソババア」

    ルフィ「あっひゃっひゃっひゃっ!そっか!そうだよな!アイツほんとに食い意地張っててよ〜魚人島のやつらも困ってた!」

    ウタ「知ってる!!!本当酷いことするよね…………私、あそこのケーキ好きだった」

    ルフィ「どうした?」

    ウタ「……謝りに、行きたいなって」

    ルフィ「一緒に行ってやるよ!おれの仲間だって紹介する!」

    ウタ「…………ルフィ……」

  • 9二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 20:03:17

    期待

  • 10二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 20:10:08

    立て乙

  • 11◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 20:15:41

    ウタ「魚人って言えば、ジンベエの親分……大丈夫かなぁ……」

    ルフィ「当たり前だ!!!」

    ウタ「そんなつもりじゃなくて!」

    ルフィ「心配すんな!だってもうおれの仲間だからな」

    ナミ「……そうね」

    ブルック「私としてももう一度感謝の歌を唄いたいところです……殿を引き受けてくださるとは」

    サンジ「ありゃ相当できる。だからプリンセスウタ!なんにも心配しなくて良いさ」

  • 12◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 20:25:12

    サンジ「ペドロは…………死んだのか……………」
    「おれを迎えに来たせいで……」

    キャロット「大丈夫!!大丈夫だよ!!サンジ!!ペドロは自分の意志でそうしたの!!」



    ウタ「…………ペロス兄さんの、せい……なんだ」

    ルフィ「…………アレは、アイツらの問題だ。お前は勝手に入っちゃ……いけねェ」

    ウタ「……はい、船長」

  • 13◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 20:35:19

    ナミ「わたあめ雪……そろそろかしら」

    ブルック「えぇ!ナワバリの出口も近いでしょう!皆さん!!そろそろですよ!」

    サンジ「ありがとうキャロット。…………さて!準備しよう!さっさとこんな所抜けてワノ国へ!」

    キャロット「……う゛ん゛!!!」

    ウタ「ナミさん!私に手伝えることある!?」

    ナミ「ナミでいいわ。……そうねぇ、高台に登って何処の雲が厚いかとかどこまで伸びてるのか教えて!」

    ウタ「分かった!」シュパッ!

    ブルック「ヨホホホ!なんて身の軽さ!敵じゃなくてよかった!」

    ルフィ「おれの幼馴染みだからな!」

  • 14◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 20:41:00

    画像SS編ラスト
    ビッグマムのナワバリを抜けて数日。ワノクニへあと数日以内に着く地点にて

    ウタ「やーい負け惜しみい〜」

    ルフィ「なに!?ウタが途中でお菓子チラ見せしたからじゃねェか!ずりぃぞ!」

    ウタ「ルフィの帽子は私の帽子だからね〜」

    ブルック「そんなに暴れ回ってはいけません!でなければ………ぱ……パンツがもう少しで」

    ナミ「やめんか!」

    チョッパー「でもよナミ。なんでルフィ麦わら帽子取られて怒らねェんだ?」

    ナミ「さぁ?……話を聞く限りだと分かる気はするけどね。詳しくは本人達から聞いて?……そんなに暴れると危ないわよ〜って」

    「「……!!」」チュッ

    「「「「!?!!???」」」」」

    キャロット「あっガルチューだ!私も!ガルチュー♡」

  • 15◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 21:51:38

    ウタ「チュッ……チュルッ……ん……ぷはっ」

    ルフィ「!?……ぷふっ、な、何すんだよウタいきなり!何かあったのか!?」

    ウタ「うーん……12年物の……暴発?」


    ナミ「うわー……女の子があんなアプローチしてんのに全く態度変わんない。サイテーねアイツ」

    サンジ「ル゛フィ!!!お前゛!裏切ったなぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!??」

    チョッパー「サンジ!アレは見るな!良くわかんねェけど!魚人島の症状が再発する気がする!」

    キャロット「す、スーパーガルチュー……?」

    ブルック「いえこの顔は……ヨホホっ。一曲弾かせてもらいましょう!曲名は……『秘密』」

  • 16◆tsGpSwX8mo22/11/08(火) 21:55:16

    欲望が漏れ出しましたので今日はここまでです。
    過去編の曇るウタを書いているうちにルウタが書きたくなりましたので、テイストを今回だけ変えました。
    明日からは1スレ目の回想の続きから始めていこうと思いますのでよろしくお願いします

  • 17二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 21:57:32

    こういうほのぼの系もいいな
    回想編も楽しみにしてます

  • 18二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 22:09:01

    ありがてえ…
    過去の曇りパートもこの未来が待ってると思えば心を強く持って読める

  • 19二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 22:51:39

    ウォロロロロ!!!
    おれがコイツらを分断すればいいんだな?

  • 20朝のちょっと更新22/11/09(水) 06:37:34

    回想編 以降前スレの形式再開

    ビッグマムに「教育」され始めて4日目

    ビッグマム「ウタァ!!こっちこい!!」

    ウタ「…………」

    ビッグマム「鍛えるじかんだ。一発優し〜く叩いてやるから死ぬんじゃねェぞ?」

    ウタ「ガッ…………あっ…………」

    ビッグマム「立てるようになったらすぐ訓練所でしごかれてこい!さっさと行きな!」

    ウタ「…………はい」

    ******

    チェス戎兵「…………」

    ウタ「ハァ……ハァ…………ハァ……ハァ……食らえっ!」

    チェス「!」

    ウタ「……擦りもしない……なんて」ドサッ……

  • 21朝のちょっと更新22/11/09(水) 06:40:01

    ******

    ウタ「いっっつ…………薬も自分で塗る……当たり前だよね 」

    ウタ「お薬、ここに置いとこう」

    ウタ「……そうだ作曲!絶対あいつを許さない気持ちの曲、書いてやる……」

    ウタ「…………絶対に勝つ。絶対に勝って、ゴードンを探しに行って……旅するんだ……」



    「シャンクス…………ルフィ……」グズッ……

  • 22二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 06:52:35
  • 23二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 12:47:28

    >>22

    ウォロロ....弟...ウォロロ...

  • 24◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 17:51:06

    ******


    チリンッチリン……


    ビッグマム「お前はどこの誰だい?」

    ウタ「赤髪海賊団の、ウタ」

    ガンッ!!

    ビッグマム「じゃあまたいつか、来てもらうよ」

    カタクリ「…………家族の中で1番頑固なのはお前だな……」

    ウタ「……赤髪海賊団と、ゴードンだけだよ。私の家族」

    カタクリ「…………ゴードンの手掛かりは掴んだ。もう少しで、足取りが掴めるだろう」

    ウタ「本当!?ありがとうカタクリさん!」

    カタクリ「……さん、か。進歩としておこう……敵の、目を見てみろ。お前ならばそれでなんとなく敵がどうするか分かるはずだ」

    ウタ「……?」

    ******

    ウタ「パン一切れと……水だけ……」
    「うぅ…………っごーどん!……るふぃ…………しゃんくすっ!」

  • 25◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 17:52:37

    チリンッチリン……


    ******


    ビッグマム「お前はこれからどう生きる?」
    ウタ「…………歌姫」
    ビッグマム「どこの?」
    ウタ「………………ト……エレジア」


    ビッグマム「そのヘッドホン……気に食わないねェ…‥外しな」
    ウタ「い、いや……です……」

    ビッグマム「外せバカが!捕らえた敵の前で許しも得ずに音楽をかき鳴らす間抜けがどこにいる!!」

    ウタ「ガハッ……」

    ******

    チェス戎兵「…………!?」

    ウタ「……なんで!?避けられた……」

    チェス「!」ゴンッ

    ウタ「いっっっ………はぁ……はぁ………分かってきた……気がする……けど……」

    ******

  • 26二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 17:59:14

    まだ頑張ってるな..,

  • 27◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:04:28

    ウタ「ねぇ……ゴードン…………どこにいるの……?」ブルッ
    「……こんな日……シャンクスがあっついジュース飲ませてきたっけ……不味かったけど、嬉しかったなぁ……」

    「さみしい……」


    ******

    ダイフク「今日はおれが担当だ。ママの命令で直接焼きを入れろと言われてな……久しぶりと、言っても分からねェか」

    ウタ「……アナタもシャーロットの?」

    ダイフク「ダイフクだ。3男をやっている……武装色とか、見聞色は知ってるか?」

    ウタ「…………」

    ダイフク「素直に答えろホイップ……いや、ここではウタだったか」

    ウタ「……うん。……そんなに困ったようにさ
    れても……」

    ダイフク「なに……?様子を見る限り…かなり見聞色に才能があるな。……予想以上だ、面白い。……おれがこれから何をしようとしてる?」

    ウタ「…………?何かを……出す?………………呼ぶ?…………気のせいかもしれないけど」

    ダイフク「そこまで分かるのかよ。気のせいが見聞色の始まりだ。……カタクリの兄貴に教えさせた方が良さそうだな」

    ウタ「……頑張り、ます……」

    ダイフク「…………あぁ。無理はさせるが、明日には響かないようにする。キツいぞ」

  • 28◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:08:06

    ビッグマム「なぁ、今回お前はどんな音楽を持ってきた……?」

    ウタ「歌…………ハードロック系」

    ビッグマム「それを寄越しな!」

    ウタ「あっ…………」

    ビッグマム「ご苦労。そして!今回からチェス戎兵は一体増やす。地獄を見てこい!!!」

    ******

    チェス戎兵「「!……!……!」」

    ゴッ……ゴッ……………ゴッ………ゴッ……

    ウタ「ガ……ガープ、おじいちゃんのゲンコツの方が、痛かったもん!!!」

    ゴシャッ‼︎

    ******

    ウタ「こういう時って、ワライダケが良いんだっけ……」

    「そんなものないけど……あはは……あはははは…………」

    「明日までに……この一枚でも楽譜!終わらせないと……またママに……!」

    「違う!違う!違う!!私にお母さんなんかいない!ママなんかいない!!」

  • 29二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 18:14:11

    >>16

    こういうのがあったほうが陰陽のバランス取れて良いような気がする

  • 30二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 18:18:47

    このレスは削除されています

  • 31◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:19:57

    >>29

    提案ありがとうございます

    暗いままだとアレなので自分なりのほのぼのもちょくちょく上げていきますね

  • 32◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:28:10

    「……さむいなぁ……るふぃはあったかかった……。こういう時くらい、なぐさめてくれるのかな……」

    ******


    ビッグマム「お前、ガープのジジイのことを口にしたそうじゃねェか」

    ウタ「知ってるの……!ですか……?」

    ビッグマム「ったりめぇだクソ!気分が悪い!今日はキングのチェス戎兵が担当するから覚悟しろよてめェ!!」

    ウタ「や……やめて……ください」

    ビッグマム「強者が弱者の命乞いなんか聞くわけねェだろアホが!引っ張ってけホーミーズ!」

    ウタ「やめて!!!やめてください!!!お願いします!!!」

    ビッグマム「まだ改心を許可したつもりはねェぞ!ベルが鳴るまで待ってろ!!」

  • 33◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:29:15

    ………………………………
    ………………………
    ………………


    ウタ「眼……腫れてる……ゔぇっ……」

    スムージー「……すまないホイップ。ママの機嫌は今日、特に悪い。せめて鬱血した所やや腫れた部分の血は搾ってやる」

    ウタ「い゛や゛…………ぇ゛」ジュルルルッポタタッ

    スムージー「シボシボの実能力だ。痛くないだろう?……喉が腫れてるじゃないか!早めに処置をしよう!……大丈夫か?」

    ウタ「だ、大丈夫……なんですけど……喉が……乾いて……」

    スムージー「そう言うだろうと思って前回の遠征時に取ってきた水瓶から搾ったジュースを上げよう。ストロー付きだぞ」

    ウタ「……!甘くて、美味しい……喉も……痛くない……?」

    スムージー「私たちの家族になれば、たくさん良いものを飲ませてあげられる。どうだ?」

    ウタ「……なりません」

    スムージー「…………いつか仲良くなってくれたら、女子会でもやろうか。……あのガサツな男連中はああ見えてデリカシーに欠ける。愚痴でも聞こう」

    ウタ「…………ありがとう……ございます……?」

    スムージー「ではな。今のお前の部屋は、ここから右手を行ったところだ。それに……敬語は使うな、寂しい」

    ウタ「はい……うん」

  • 34◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:30:34

    スムージー「よし行け!」

    ******

    ウタ「あの人……優しかったなぁ……」

    「ヘッドホン……動かない…………」

    「ふぇ…………」ポロポロ…………ッ

    シャンクスに買ってもらったヘッドホンはもう、ずっと動いていない。
    ゴードンはどこにいるのか分からない。シャンクスとの思い出は壊れた。
    今度は何を壊されるのだろう。何を失うのだろう。それが怖くて、震える。
    この日、ウタは朝のさえずりが聞こえてくるまで眠ることができなかった。

  • 35◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:33:09

    ウタ「カタクリ……さん?きてくれたの……?」


    ウタ「カタクリさん……その人は……?オペラさんって言うのね!生クリーム……わぁ!美味しい!」


    ウタ「すごいすごい!この本の中まるでウタウタワールドみたい!」


    ウタ「鏡の世界ってこうなってるの!?綺麗だね…………」


    ウタ「綺麗な……これ……飴なの?食べられるのコレ!?」


    ウタ「あなたはパンナって言うのね!同年代の女の子って初めてかも!……お姉ちゃんなんだ……」


    ウタ「そう!私、音楽家なのよ!みんなありがとう!御礼にウタウタワールド見せてあげる!」

  • 36二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 18:37:30

    ひっでぇ、洗脳教育だ…
    ただただ暴虐ならともかくしっかりと兄弟使って縋らせようとして、支配しようとしてきやがる

  • 37◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:41:10

    ビッグマム「お前たち!最近ウタと独房の中でも交流してるそうじゃねェか!なァおい!!!」

    モンドール「すまねェママ!二度としない!」

    ブリュレ「ママ本当にごめんなさい!

    オペラ「そうだファ!思わず不憫に感じちまって……」

    ビッグマム「お前ら海賊舐めてんのか!アイツはおれ達を家族と認めてねェ!万国の国民でもねェ!客でもねェ!コレクションでも、ホーミーズでもねェ!ならアイツはなんだ!!」

    カタクリ「……敵だが……それでも」

    ビッグマム「それでもなんだい!捕らえた敵!それも海賊!敵を舐めてかからねェのが海賊としての仁義って奴じゃねェのか!」

    ペロスペロー「分かってる、分かってるぜママ!覚えてるとも!」

    オペラ「しかし……!」

    ビッグマム「オペラ?おれの教育方針にケチつけんのか!!!」

    オペラ「いや全然!全くそんなこと思ってないファ!」

    ビッグマム「なら良い」

    カタクリ「おれ達がやらかしても…………随分と機嫌がいいな、ママ」

    ビッグマム「……やっぱりカタクリには分かっちまうか!もうすぐおれに強大な"兵器"が手に入るんだ……おれァ楽しみで楽しみで楽しみでたまらねェ!まさにアレはホイップからのプレゼント!焦らされるってのもたまには良いもんさ!」

  • 38◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:42:40

    ビッグマム「それにアイツもお前たちの優しさを知ったはずだ!家族の絆をね……ママハハハ!お前たちはおれに協力してくれたってことで勘弁してやる!」


    「……………………」


    ビッグマム「流石お前たちだ!おれが何をと言わずとも意図を汲んでくれるってんだからね!」

  • 39◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:52:52

    パンナ「…………ママ」

    ビッグマム「ごめんなぁパンナ……あと少しの辛抱さ。あの子が家族になると認めたら盛大にパーティをしよう!パンナとホイップ、まさにホイップクリームのパンケーキ!2人の好きなものを奪って来てやるよ!」

    パンナ「……本当なのね?そうなったらあの子に、優しくしてあげられる?」

    ビッグマム「言うまでもないよ。お前も優しい子だ……だが、おれの家族はアイツにはまだ近づくな。コレは海賊の船長として、万国の国王としての命令だよ……ウタワールドとやらに逃げられないように、海楼石もつけさせてやんな」

    ビッグマム「おれの許可があるまで!おれ以外のシャーロット家は一切近づくな!!!」


    ******


    オペラ「おれは……いくらなんでもこれはやりすぎだと思うファ」

    ペロスペロー「黙っておけオペラ。これ以上ママの耳に不愉快なものが入れば、ホイップは壊れちまう。……せめて家族として歓迎するしかないんだ、俺達は」

    モンドール「……あいつは……これ以上ひでぇ目に遭わねぇように。俺たちはもう、アイツを攫われちゃいけねェ……」

    カタクリ「黙っておけブリュレ。その方が利口だ……くそっ」

    ブリュレ「アタシは……!」

    パンナ「私、あんなママは……」

    ペロスペロー「おっとそれは絶対にNGだぜパンナ……ペロリン。もう、あんな失態は犯さねェ。攫わせねェ。俺たちが強く、強く鍛え上げる」

    「俺達はビッグマム海賊団なんだからな……ペロリン」

  • 40◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:55:32

    ウタ「ボロボロ……くさい……いたい……」
    「どうして……きょうはだれもきてくれないの……?」


    ウタ「さみしい……くるしい……なんで……!なんできたの……すぐにこなくなるのに!なんで………!」


    一緒にいて当たり前だろ!ウタ!


    ウタ「るふぃ……!!…………だれか……たすけて…………」


    その声はどこに届くこともなく、石の壁はそれを受け取るのを拒否するように音を反射させて、消していく。鼻歌を奏でる。ウタワールドに戻ることもできない。
    自分の中にある世界は完全ではない。手錠一つで崩れるほどに脆く、弱く。自分を抱きしめるたびにその温もりに心は冷える。
    過去の思い出が、支えだった。

    ウタ「……あいたい……るふぃ……!しゃんくす……ごーどん!!!」

  • 41◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:56:11

    ******

    チリン……

    ビッグマム「問答を続けてもう3ヶ月半だ。答えを聞かせてもらおうじゃないか!」

    ウタ「………………」

    ビッグマム「黙ってちゃ分かりゃしないよ!お前は!どこ生まれの!どの海賊団に所属する!誰の娘で!!!どんな名前だ!!!」

    ウタ「……万国の……ホールケーキアイランド生まれ……赤髪海賊団の……ウタ」

    ビッグマム「そうだ!今日はそれでいい。服は取り替えてやる。万国生まれならおれの国民。国外脱出の罪で囚人ではあるが、最低限国民としての権利は手に入れた!」

    ウタ「……!はい…………」

  • 42◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 18:58:27

    チリン…………


    ビッグマム「5ヶ月目。どうだい?愛しの万国の民よ。明日はお茶会なんだ♪美味しいお菓子、温かい家、綺麗な服に、歌うステージ!安心しな。囚人でも菓子パンとジュースくらいは出るが、どうだ?お前はどの海賊団に所属してるんだい?」

    ウタ「………………び、ビッグ……ビッグマム、海賊団……」

    ビッグマム「そうかい!歓迎するよ音楽家!おれ達の家族はお茶会の為には全力を出す海賊団!忠誠さえ誓えばたまにはお茶会のおこぼれに預かれるだろうよ!」

  • 43◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 19:00:09

    ホーミーズ「ケーキ、ママからだって」

    ウタ「あっ……ちっちゃいけど……ケーキだ。イチゴ乗ってる……」


    パク……モグモグ……パク……モグ……モグ
    ポロ……ッポロ……ポロ…………


    ウタ「あまい……おいしい……おいしいよぉ…………」


    ポロポロ……ッ……ぽたっ……ぽたっ……



    ウタ「ひとりは……さみしいよ……私……ウタだから……ダメなのかな……」

    ウタ「ホイップだったら……こんなことに……ならなかったのかなぁ………!!!」

  • 44◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 19:18:26

    チリン……

    バッ!パタパタ……

    ウタ「早く……!早くしないと……!」

    ******

    ウタ「ママ!!!」

    チェス戎兵「報告致します!船室入港した傘下の海賊についての報告なのですが予定通りお菓子の搬入を終了致しました!」

    ビッグマム「そうか!楽しみだ!……おや?ウチの小さな可愛い音楽家じゃないか。あんな狭い部屋しかなくて悪いね」

  • 45◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 19:20:58

    ウタ「ぁ……ぁぁ……あの……私!間に合わなくて!!朝一番に行こうとして!ちがうの!!!」

    ビッグマム「…………良いだろう。ビッグマム海賊団に何故か所属している小さな音楽家。名前を聞こうじゃないか」

    ウタ「シャーロット……シャーロットの……」

    ビッグマム「シャーロット家!おれのファミリーネームじゃないか!でも確か今お前くらいの年齢で行方不明になったのは……たしか……」

    ウタ「……えと……あの……」

    ビッグマム「そう!ホイップ!おれの娘!29女で双子のおれの愛娘!」

    ウタ「シャーロット・ホイップ……」


    ホイップ「わたし……わたしは……っ!ママの娘の29女で!元赤髪海賊団で!……現ビッグマム海賊団の……シャーロット・ホイップ……です」

  • 46◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 19:22:33

    ビッグマム「よくぞ帰って来てくれたホイップ!最愛の我が子!!その年で在野にいた割には覇気がある!今日は記念日だ!シャーロット・ホイップがビッグマム海賊団に忠誠を誓った記念日!ホーミーズ!!」

    「「「「「「はいママっ!」」」」」」

    ビッグマム「全員に伝えな!私たちの可愛い歌姫"シャーロット・ホイップ"が帰って来たってなァ!!」

    ホーミーズ「いらっしゃいホイップ!」「お帰りホイップ!!」「泣かないで!」「今までゴメンな!ママのせいなんだ!」

    ホイップ「えっ……えっ……」

    ビッグマム「なんだってテメェら!」

    ホーミーズ「ひゃー!ママが怒ってる!」「逃げろー!ホイップもついておいで!」「みんなに自慢しよう!みんな〜!!帰ってきたぁぁぁあ!帰って来たよ!歌姫が!!」「我らの可愛い歌姫が♪」「おかえり♪ただいま!おかえり♪ただいま!」

    ホイップ「今まで……あんなに怖かったのに……あんなに……ひっ」

    ビッグマム「済まなかったホイップ!!どれもこれもお前を家族の手に戻す為だった!」

    ホイップ「………………」

    ビッグマム「お前のことを待ってる奴らがいるよ」

    ホイップ「…………!だれ、ですか……」

    ビッグマム「おれの息子や娘達さ!あいつら勝手にお前のところに来た時があったろ?おれァ奴らを叱ったから来なくなったが心配だったらしい……おや?来たねェ」

    オペラ「ホイップ!!よかった………っ!どうなるかと思った…………っ!一緒に食べよう!パンケーキ!おれが厳選したクリームたっぷり乗せてやるファ!」

    パンナ「…………ごめんね、お姉ちゃん助けてあげられなくて」

  • 47◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 19:25:50

    ウタは、泣いた。
    何が混ざった感情なのだろうか。彼女は既に判別がつかない。
    久しぶりに触れた人の体温が恐ろしいほど温かくて、掛けてくれる声は不安になるほど嬉しかった。
    兄や姉の愛は本物なのに、その上に悍ましい何かがおぶさっている。

    これより2年後、15歳になった時。
    本来ならばゴードンと共に旅に出るはずの時期に彼女は海賊船に乗せられる。

    お茶会の材料集めに毎回参加し、全ての存在を傷つけることなく材料を入手する手腕やその国で歌を唄うことから"菓子作りの歌姫"と呼ばれるようになる。
    その女は既に、懸賞金3億でも足りないと言われるほどの化け物と称されるようになった。

    ウタという少女は今、地獄の悪魔に縛り付けられている。

  • 48二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 19:26:00

    あー遂に...ホイップになった
    兄弟姉妹の優しさとマムの非道さが染みる

  • 49二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 19:28:19

    苦しい…、ツレェ…頼む、ルフィ…! ウタを救ってやってくれ!!

  • 50◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 19:45:17

    2度魔王に人生を破壊された回想編はここまでです。
    シャンクスが賞金首になったウタを救い出せなかった理由もあるのですが、流石にそれを書くとただでさえ長い過去編の曇らせがしつこ過ぎるということでカットしました。

    簡単に言えば
    この世界のシャンクスは2度ビッグマムに戦争を仕掛け、特に2回目の戦争は万国を半壊させるほどにまで迫りました。
    1回はビッグマムが追い払い、2回目は奪還寸前にまで追い込みながらである理由で失敗しました。

    それ以降赤髪海賊団は「自分達ではおおごとにしすぎる上、ウタが傷つく」として断念しました。
    ウタを救うには「もう潜入することが出来る奴が救出するしかない」という状況判断を強制され、現状攻めあぐねています。

  • 51二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 19:49:21

    >>50

    ちゃんとブチギレて侵攻してくれたんだ…

    しかし、失敗となるとウタとシャンクスはなおお辛い…

  • 52◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 19:49:23

    書いてて辛かった回想編終わったので
    画像SS編いきます

    ウタ「私……ビッグマム海賊団から逃げちゃったし懸賞金どうなるのかな……」

    ルフィ「下がるんじゃねェか?」

    ウタ「えぇ〜……せっかく平和にどこまで懸賞金上げられるか頑張ってたのに……」

    ナミ「あ……アンタ変な趣味してるわね…………平和にやって1億7700万って何やったのよ……」

    チョッパー「おれ!おれそれ知りたい!どうやるんだ!!?毎回全然懸賞金上がんなくてよ!困ってたんだよ〜……」

    ウタ「えっとね〜万国の宣伝でしょ?お茶会の材料集めにウタウタ使って参加して……万国でライブ…………海賊のナワバリ襲撃……どれで上がったのか分かんない!」

    チョッパー「おれそこまでやんなきゃいけないのか……!?」

    ブルック「ヨホホホ、地道にいきましょう!」

  • 53◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 19:56:50

    ナミ「そう言えばさ!アンタ歌姫やってたんでしょ?……儲かるの?」

    ウタ「最初めっっっちゃきつかったよ?」

    ナミ「良いから良いから!教えてよ!」

    ウタ「万国の人口半分の音貝でしょ?お茶会で襲撃した国とのスポンサード契約でしょ?1個売れるごとにロイヤリティ8%だから……これくらい?」

    ナミ「…………!!??!?!??!……ウタお姉様……♡」

    ルフィ「久しぶりに見たなーあれ!」

    チョッパー「おれもだ……」

    キャロット「目がお金マークだ!」

  • 54◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 20:10:38

    ウタ「お姉様って言ったらさ、ナミって何歳?」

    ナミ「えっと……確か、20?だったかしらね」

    ウタ「……!!ふふーん私21〜。お姉ちゃんだぞ!ひれ伏せ!」

    ナミ「はは〜ウタお姉様!ウタお姉様〜」

    ルフィ「何やってんだナミ?」

    ナミ「ルフィも平伏しなさい!貧乏な財布事情が一気に回復するチャンスよ!」

    ルフィ「ぶへっ!おれは船長だぞ!頭は下げねェ!」

    ブルック「私は90ですから!お兄ちゃんですので平伏しませんよ?私が平伏すのは船長だけです」

    ナミ「お前の歳で何がお兄ちゃんじゃい!」

    ウタ「ブルック兄さんはすごいよ〜?1番人気な時は私のホニャララ倍の売上あったんだから!」

    ナミ「え……?ブルックって……そうなの……?」

    ブルック「ヨホホホ!世界のソウルキングだぜ!」

    ウタ・キャロット「「だぜ!」」

  • 55◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 20:21:11

    ウタ「ルフィ!こっち来て!」ダキッ

    ルフィ「またか〜?仕方ねェ奴だなぁー」ダキシメッ

    キャロット「チョニキ!アレってどっちがお姉貴でどっちが兄貴なの?」

    チョッパー「むむむ!それは難しい質問だ!これは……ルフィがお兄ちゃんだな!」

    ウタ「違うよ!これは久しぶりあった幼馴染が違う道を進んでいて少しと寂しさと喜びを抑えきれないごっこなの!」

    ルフィ「おれ、よく分かんねェ……」

    ナミ「出来の悪いお芝居みたいね……」

  • 56◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 20:33:46

    ウタ「ルフィ……ガープおじいちゃんに山に投げ込まれた時のこと、覚えてる?」

    ルフィ「…………?」

    ウタ「私、まだ覚えてるのに……ひどい」

    ナミ「いやほんとにサイテーよそれ」

    キャロット「大事なことは覚えてないとダメ!」

    ルフィ「そんなこともあったよーな、なかったよーな……」

    チョッパー「大事な人のことは忘れたらダメなんだぞ!」

    ブルック「しかしルフィさんは、今と同じようにウタさんと寄り添ってくれたんでしょうね〜」

    ウタ「………!知ってるの!?」

    ブルック「いえ?ルフィさんはそれが出来る人ですから」

    ウタ「そっか…………」

    ブルック(彼にあんな表情をさせられる人がいることは知りませんでしたが……ヨホッ)

  • 57二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 20:52:05

    晴れるなら曇りも耐えられる…

  • 58◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 20:52:53

    ウタ「サンジさんのパンケーキ最強に美味しい!」

    サンジ「本当かい!?気に入ってくれておれも嬉しいよ。あのウェディングケーキの生クリームを使えなかったのが悔やまれる……」

    ウタ「作るのは難しいだろうなぁ……みんなの合作だから……」

    サンジ「プリンセス・ウタ!しかし必ず!君の為にあの生クリームをパンケーキに塗ることが出来る様にするって約束する!」

    ウタ「カッコいいこと、言ってくれんね〜ルフィと同じくらいかも」

    サンジ「んだからっ!!ルフィと比べるのは!!!止めてくれプリンセス!」

    ウタ「プリンセス呼び止めたら考えたげる」

  • 59◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 21:20:26

    ウタ「ルフィ!ちょっとこっちに来てよ」

    ルフィ「やだよ!お前がそういう時はおれがろくな目に合わん!」

    ウタ「やだねっ!剃(ソル)っ!」

    ルフィ「んげっ!……なんてな!捕まらねェよぉ〜だ」

    ウタ「ルフィ……酷いことしないで……」

    ルフィ「わ、悪かったって……」

    ウタ「じゃあ後ろから失礼して……良い匂いだね。好きなのこのタイプ?クリミナルと提携したのに似てるけど」スンスン

    ルフィ「おれこんなの付けたことねェんだよ。だから鼻がむずむずしてよ〜」

    ウタ「私もルフィの素の匂いの方が好き〜。山で修行してる時に慣れちゃったし」


    ナミ「あの子純粋なフリしてない?……中々強かだわ、あれ」

    サンジ「それでもおれは!!ウタちゃんの美しさを信じる!」

    キャロット「でも私も香水の匂い苦手〜ねぇチョニキ!」

    チョッパー「あんまり強いものとすごいニオイするもんな」

    ナミ「割とルフィってグイグイくるタイプに弱いわよね」

  • 60◆tsGpSwX8mo22/11/09(水) 21:25:29

    今日の更新と画像SSはここまでです。
    雰囲気転換の提言をして下さった方に感謝しつつ終わります。
    現代編は更新が少し遅くなると思いますが宜しくお願いします。

  • 61朝のちょっと更新22/11/10(木) 07:08:05

    ウタ「っはぁ!……はぁ………はぁ……」

    「……久しぶりに見たな……この夢」

    恐ろしい悪夢、彼女の心の中に恐ろしいものが流れ込んだ。自分がウタを捨てたきっかけ。捨てさせられた理由。
    寝られた時間はたったの20分程度。
    あれ以降ビッグマムに逆らうことができなくなった。人を殺さない様にここまで来たが、そろそろ限界が近い。むしろ初戦闘から6年、よくぞここまで殺さずにビッグマム海賊団としてこれたものだ。

    しかし、それは自分が殺していないだけ。自分がただの戦闘員として兄や姉の船に同行していた時、目の前で人が死ぬのを見てしまった。
    その人を治療しようと手を伸ばすと、兄に止められた。

    お前にまだその権限はない。強くなれホイップ。
    一隻のタルト船の長としてママに認められるレベルになればそういう命令を出せる。

    それ以来、がむしゃらに頑張ってきた。
    ゴードンの行方も分からないまま、シャンクスの救いの手を最悪の形で否定して。
    ルフィは、あり得たはずの私の未来だ。自由な海の海賊。騒いで、戦って、それでも無駄に人から物を奪うことなく、毎日仲間と笑い合う。
    今は、モンドール兄さんの本に捕らえられているという。

    机の上に乗っていたバタークリームを塗ってあるクッキーを食べながら、いつものホイップ付きのパンケーキのデザインを取り入れたドレスに着替える。

    ウタ「……お願いルフィ。……仲間になろうよ」

    自分の部屋の扉を開き、囚人図書室の方へ向かう。
    ウタに残された希望は小さく、儚い火だ。
    でも幼馴染のよしみで万が一傘下になってくれればウタの未来は開ける。まだ愛人にしかできないとママに言われたが、私と一緒にいれば活躍の機会は多い。そうすればいつか認めてくれるかもしれない。

    一緒に海賊をやろう。
    ママの下で。

  • 62朝のちょっと更新22/11/10(木) 07:12:00

    それはお互いが嫌ったはずの、不自由で支配された自分に過ぎないと、心中ではわかっていた。
    それでも、これから死にゆくルフィとその仲間たちから目を逸らすことはできない。

    ウタ「私が、助けなきゃ。ナミさんも、チョッパーって子も、ソウルキングのブルックも、ミンク族の人たちも」

    「私は……みんなの希望になりたい」

  • 63二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 15:36:09

    守らせてもらう

  • 64◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 17:00:03

    >>63

    保守ありがとうございます

    18時頃に更新再開します

  • 65◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 18:00:23

    場面は切り替わり、チョッパーとキャロットがブリュレによって呑み込まれてしまったあとの世界にて。

    "鏡世界"

    ブリュレの家

    ブリュレ「こりゃ最高のジビエ料理になるよ〜♡」
    「お腹空いただろ〜みんなァ!」

    ホーミーズ達「ペコペコ〜♡」

    ここは、ブリュレによって作られた鏡の世界。外界から隔絶され続ける不思議な世界。
    本来ほとんど音を発することのないその世界にあって、ブリュレの家にだけは豊かな音楽が流れ続ける。
    その様子はまるで食事の前の讃美歌の様でありる。どこか楽しげなランドルフや貴族ワニをはじめとしたホーミーズやビッグマムの直接の娘ブリュレ、そして戦闘員である煙突の男が、これよりミンク族のキャロットの姿をした存在を食べようとしていた。

    その中にあって唯一不機嫌そうにしている存在がいる。5mはあろうかと言う巨体。それに不相応なほど小さな頭、さらには白く固い四角形の拳を持っており、体は同じ白くロボットの様な装甲に覆われている。フランケンのホーミーズ、というのが1番適切であろう。その姿は、かつてのゴードンを彷彿とさせる。その装甲に傷はなく。大きな椅子にドカッと座っているのが余計印象的であった。

    ブリュレ「フランケン!せっかくのミンク鍋!食べないのかい?」

    フランケン「…………わ、れはそんな物は食わん……そんな物より、パンケーキが食いたい」

    ブリュレ「アンタはまた食いたいってのかい!……お兄ちゃんに命令されたとはいえこんな物まで作ることになるなんて……」
    「……まァいいさ!お前はそこで見てな!……ランドルフ!ロープを切りな!」

    キャロットの声「きゃー!やめてー!!」
    「食べないで〜〜〜〜!!」

  • 66◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 18:01:09

    さて、チョッパーが捕まり、これからキャロットの姿が鍋に入れられようとしているが、ご存知のごとくこれはチョッパーとキャロットの仕掛けた対ブリュレ一派に対する作戦である。
    カエルがミラミラの身の余波で姿を変えられてしまったその事実を利用して、囮を作りだしキャロットの牽制攻撃と、チョッパーのモンスターポイントによる一気制圧を狙った物だ。
    敵は16人。警戒するべきはランドルフ、ブリュレ、貴族ワニ、煙突男ディーゼル、そして今も鎮座しているフランケンと呼ばれたホーミーズらしき存在。チョッパーは、これらの姿を確認しつつ隙を探している。

    たしかに今警戒すべき5人のうち4人は鍋に夢中だ。しかしもう1人はキャロットの姿を視認しつつずっとチョッパーの方を、睨み続けている。この状況では成功するかどうかは怪しかったものの、無実のカエルがこれから煮込まれてしまうわけにはいかない。

    当初の予定通り、ランドルフがロープを切る直前に、キャロットがランドルフに石を投げるという作戦自体は維持することにした。

  • 67◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 18:08:17

    ランドルフ「いくよブリュレ様!」

    キャロット「振りかぶって〜……やぁ!」

    ブリュレ「あん!?何ひっくり返ってんだいランドルフ!」

    ディーゼル「ブリュレ様!天井裏に何かいます!」

    ブリュレが何かを言おうとするより先に、スープが熱々に煮込まれている大なべが、彼女の方へ倒れ込む。危機を煽ろうとするより先に、ブリュレを煮込むに足るほどの熱湯が振りかかった。

    ブリュレ「うわァッちゃーーーー!!!!」

    チョッパー「"ブレーンポイント"……!「ランブルボール」!!」

    フランケン「君たち!何をする……」

    チョッパー「ぐわっ!抑えられ……っキャロット!」

    キャロット「分かったよチョニキ!"エレクトリカル"……」

    「"ルナ"!!」

    「「「ぎゃぁぁぁあああっ!」」」

    フランケン「何……デカくなるとは……怪物!?」

    チョッパー「ヴオオオオオオオ!!!」

    貴族ワニ「ん?……ん!?」
    「ぐわぁぁぁぁあ!!!」

  • 68◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 18:14:49

    フランケン「…………これが、麦わらのルフィ率いる海賊か……!」

    ディーゼル「フランケン!あの怪物はお前が抑えててくれ!おれはママに報告を!」

    フランケン「しかし!」

    チョッパー「ヴオオオオオオオ!!」

    キャロット「煙突さん!逃さないよ!!!」

    フランケン「鎧は硬いが、動きが鈍いのだ……」


    ******


    キャロット「チョニキー!捕まえた〜!!!」

    チョッパー「おっ!そっちは倒したな!あとはコイツだけだ……!」

    フランケン「待て待て!麦わらの一味!」

    チョッパー「待たん!敵だろお前!!」

    フランケン「おれは硬いくて、武器は強いがそれがダメになればからっきしだ!敵意はない!すぐにこの鎧と餅の拳を解除する!」

    ガラァン……ガチャ……ガチャ……モチッ

    フランケンと呼ばれた男は、その恐ろしげな雰囲気に反して、すぐに戦闘行為をやめてしまった。訝しそうにチョッパーは振る舞うものの、まだランブルボールの効果は残っている。

  • 69◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 18:21:43

    フランケン「君たちは……今回襲撃しに来た者たちだろう!?」

    チョッパー「そうだ!サンジを助けに来たんだ!」

    キャロット「私は"ゾウ"のミンク族代表でここに来たの!」

    フランケン「サンジ……というのが誰かは知らないが!私は麦わらのルフィを知っている!」

    キャロット・チョッパー「!!??!?」

  • 70◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 18:30:55

    キャロットとチョッパーがホーミーズの1人に話しかけられている間、ナミとルフィはと言うと、絶体絶命の危機に襲われていた。

    ウタウタの力によって眠らされ、そのままモンドールに引き渡されたのである。目覚めた時は既にメルヘンな牢獄の中、ビッグマム海賊団の胃袋の底にいる。


    "囚人図書館"


    ここは罪人が本当なる場所、悪趣味な鑑賞会の犠牲になるモノ達の一つ。
    プリンから真相を告げられたルフィは激昂する。あの優しさは、偽りだった。全てが騙すための算段であり、悪意。
    その悪意を許すまいと、何よりサンジをビッグマムの悪意から守ろうと、腕を引きちぎろうと足掻いている。
    今オペラしか残っていない。唯一監視役としてそこに鎮座する白いクリームを体から垂れ流した男は監視をするだけならば十分な実力、否、なお余る強さを持っている。
    しかしオペラはガンガンと騒ぎ立てる囚人2人を脅しながらもなお有用な情報を手に入れられずにいた。

    そこからハイヒールの様な音が囚人図書室の階段から聞こえてくる。焦った様子だろうか、歩きが早い。その直後、パッと顔を見せたのはシャーロット・ホイップことウタ。
    様子を見るにローラの居場所はまだ自白していないらしい。少し安心する。ほとんど記憶はないが、人が良かったというローラ姉さんはこれからも自由に生きていけると。
    一瞬ボウガンでの拷問を行うオペラを見てゾッとするも、まだその段階には至っていないらしい。逡巡する間に冷静さを取り戻し、彼女は大男に声を掛けた。

  • 71◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 18:32:53

    ウタ「こんばんは、オペラ兄さん。どうしたの?そいつ相手に手こずってる?上からズット叫び声みたいなのが聞こえてきたけど」

    オペラ「コイツら、プリンと話してからさらにうるさくなったファ。ウタウタで黙らせるファ。ウタウタワールドなら色んなことが出来るから、そこで尋問してくれれば嬉しいファ」

    ウタ「いやだよ。私これ以上力使ったらお茶会までギリギリになっちゃいそう」

    ルフィ「んぎぎぎぎぎぎぃ……!!!」

    ウタ「……腕をちぎろうとするのは諦めて!結局外には出られないよ!」

    ルフィ「わから……っねェだろォ!!やってやれねェことはねェ!!!」

    ナミ「やめてルフィ!ウタも何か言って!」

    ウタ「…………止めてくれない?」

    オペラ「その名前を言うのは止めろ!下らないことを言う様なら…………拷問で居場所を吐き出させるぞ!」

    ルフィ「そんなの知らねェ!プリンの奴!最初からおれ達をハメる気だったんだ!!サンジに何の恨みがあるんだ!!!フザけんな!!!」

    ウタ「……オペラ兄さん。少し席、外してくれる?」

    オペラ「でもな、ウタ……俺は心配なんだ。本当は敵に近づけさせたくはねぇが、お前が頼むから一緒に監視してる」

    ウタ「ありがとう、でも私は大丈夫。……こんな縛られた海賊如きに私がなんとかされるかな?」

    オペラ「……されないだろう」

    ウタ「でしょ?私が見張ってることはモンドール兄さんにも伝えておいて

  • 72◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 18:33:55

    オペラ「了解。もしもし…………モンドール!ホイップが単独監視と尋問を申し出たファ」

    モンドール『あァ!?何言ってんだオペラの兄貴!』

    オペラ「俺もそちらに合流して今後の作戦に関して擦り合わせがしたいファ!」

    モンドール『……オペラの兄貴にも手伝ってもらう方が効率がいいかもしれねェ……だが!ホイップには電々虫持たせとけ!』

    オペラ「分かってる!じゃあそちらへ向かうことにするファ!」

    ウタ「オペラ兄さん、いつもありがとうね」

    オペラ「勿論、お前の為に出来ることはやってやりたい。……ローラの行方を拷問で割り出せる様に頑張って欲しいファ」

    ウタ「うん、ボコボコに痛めつけるね」

    オペラ「だが気を付けろ、どんなに卑怯な手段を使ったにせよ、クラッカーを倒してるファ……戻って来たらパンケーキを焼いてやるファ」

    ウタ「楽しみ!……またね」

  • 73◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 18:41:10

    そして振り返るウタ。ついにこの場所にはウタとルフィとナミ。この三者しか居なくなった。ナミは拷問されることがなくなったであろう、よもやルフィの幼馴染がそんな残酷なことはしないだろう、戦闘した時の辛そうな顔から察して安心する。
    しかし、ウタの表情は晴れない。ついにルフィとまともに対峙する時が来た。話しかけたのはウタからであった。


    ウタ「……ママからの命令なの。さっさとローラ姉さんの話をしてくれない?」

    ルフィ「なぁウタ、どうしたんだよ!お前!!出してくれよ!!!サンジがピンチなんだよ!」

    ウタ「だから……ホイップだよ。ウタじゃない。どうしたもこうしたも、ないよ……」

    ルフィ「赤髪海賊団はどうしたんだ!!シャンクスを尊敬してるっていってたじゃねェか!あんなに、楽しそうに歌ってた!!!」

    ウタ「今も楽しくやってるよ?シャンクスから離れて、ビッグマム海賊団。大出世!!」

    ルフィ「船を降りたのって、歌手になるんじゃ……なかったのかよ!!!何でこんな所にいるんだよウタ!!頼む!サンジがヤベェ!大切な仲間なんだよ!!一緒に冒険してきた仲間なんだ!!!」

    ウタ「…………。そうなんだ……」

    ルフィ「そうなんだじゃねェ!ウタ!お前はそんなひでェことする様なのと一緒にいられる奴じゃねェだろ!!!だってお前は……!」

    ウタ「ふざけんなっ!!私は!海賊だ!!海賊の歌姫だっっっ!!!」

  • 74◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 18:49:16

    ルフィ「だったら……どうして辛そうなんだ」

    ウタ「……っ!何が」

    ルフィ「なんで泣きそうな顔をして!俺に怒鳴ってんだ!!!」

    ウタ「私はそんな!」

    ルフィ「久しぶりに会った時からずっと!泣いてるじゃねェかお前!!笑う時も無理してよ!戦う時だってすげェ辛そうだった!!!」

    ウタ「辛くない!ビッグマム海賊団は……!」

    ルフィ「震えてるじゃねェかお前!そんな姿あん時以来だ!!!」

    ウタ「止めて……」

    ルフィ「怖いことでもあったのかよ!あいつかっ!!!ビッグマムがやったんだな!サンジを殺すどころかアイツ!許さねェ!!!」

    ウタ「止めて…………っ」

    ルフィ「安心しろウタ!おれがビッグマムをぶっ飛ばしてやる!!だから」

    ウタ「お願いだから……っ!それ以上……抵抗しないで………………」

  • 75◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 18:54:24

    またウタは震え始める。涙を流し、まるで命乞いをするかの様にルフィに問いかける。本来の関係であれば、敵同士の関係であればそんなことは生じ得ない。
    それでもなおルフィに投降を呼びかける。これはルフィの最も嫌う支配への恭順であると知っているのに、止めることができない。
    ゴードンに教わった。心だけでは何もできなくなってしまう。体だけでは何も感じることができない。それは奇しくもビッグマムの暴虐によって実感に至った苦しい結論である。


    ウタ「ねぇ。何っ回でも言うけど、仲間になろう?一緒にいようよ、あの時みたいにはいかないかもだけど、ママは私達(かぞく)には優しいんだよ?」

    ルフィ「ならねェ!サンジを!おれは!助けてェ!!あのままじゃサンジが殺されちまう!!!」

    ウタ「…………ヴィンスモーク・サンジのことも、頼んでみるから!私これでも結構気に入られてるの!ジェルマはダメだけど、サンジのことだけならっ!!!……はっ」

    ルフィ「サンジのことは、知ってる。さっきプリンから聞いた!!!」

    ウタ「でもプリンだって結構激しい性格してるし、興奮しただけかもしれない!!!だから一緒にお茶会出ようよ!私ルフィと遊びたいよ!!!」

    ルフィ「おれは、ビッグマムの傘下にはならねェ!お前の考えには乗れねェ!!!おれに着いてこい!!おれはお前の敵になるなんて嫌だ!一緒にサンジを助けよう!!!」

    ウタ「…………本当に、ダメなの?」

  • 76◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 19:01:20

    ウタ「………………ふーん、木端海賊…が。調子に乗りやがってよ」

    ナミ「え……?」

    ルフィ「……」

    ウタ「情報は掴んでるよモンキー・D・ルフィ。アンタの傾向もね」

    ウタ「アンタのやってることは、確かに傍目にゃ頭のおかしいイカれた海賊さ!だから、情報収集後、諜報関係で聞いたんだ!!!」

    「人数の多すぎるアラバスタもローグタウンも、ウォーターセブンもダメだ。要領を得ねェ。エニエスロビー?七武海の拠点?政府の犬の出先にこのホイップがいけるワケねェだろうが!!」

    「ブードルとかいう老いぼれの町まで調べてもまるで要領が掴めねェし、シロップ村は呑気に笑ってるか生意気にニコニコしてるだけだったらしい。思い出すだけで、ムカつくよ!」

    「その点バラティエは、最高だった!全員が関係者なんだからねェ……レストランも船一隻で、情報の純度が高い!」

    「バラティエの所在がすぐバレた理由?分かるに決まってんだろ!?何回も情報を洗い直し、追跡させたからさ!!」


    ウタ「すぐ感情的になりすぎなんだ。普段はニコニコして人と仲良くできるのに、いざという時は折れないし、諦めないから壁にぶつかっていく」
    「アラバスタだって、エニエスロビーだってどうせ仲間のことだ。インペルダウンだって、頂上戦争だって…………家族のことだ」
    「だからここまで来れたんだろ!麦わらのルフィ!!」

  • 77◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 19:17:56

    彼女が行ったのは、ビッグマム海賊団で最も恐ろしい存在の真似。かつてウタの心を折り、砕いてホイップへと変じさせたモノの似姿。しかしそれは同時に心を砕き続ける行為。少しずつ少しずつ仮面は剥がれていく。だがそれでも気付くものはほとんどいないだろう程の、熱演。プリンから学んだ自衛の手段。


    ウタ「ハハハハっ!!!無駄だったね!アンタを騙くらかして!戦力にして使い捨ててやろうとしたのに!クソッ、下手な知恵つけやがって!傀儡にし損ねたじゃねェか!」


    「わざわざ一対一に持ち込んで、そこそこの所で終わらせてやったってのに……」

    「なんで思い通りにならねェ!麦わらァ!!……テメェはおれのおもちゃにする……!ママに頼んで、お前ら麦わらの一味はここで!このホイップの為に生き続けな!それ以外の存在意義はもう認めねェ!」

    ルフィ「ウタ……お前、やっぱ下手くそだ。人を騙したりするなんてお前には出来ねェ」

    ウタ「ハハハハハハ!おれぁビッグマムの娘だぞ!!!」

    ルフィ「……ウタ。泣きそうな顔しながら、無理に笑うな」


    このままでは、説得では決してルフィの意志は変わらないだろうと、ウタは自分を変えてしまおうとした。
    自分が恐れた物に、それでもルフィには見破られる。

    それは支配の宣言。だが、そこに本心はない。本当に支配を望む存在は、どこか自尊心が歪んだ形で膨らんでいる。
    だがウタは逆に情報を話すだけで、木端海賊と一度言うだけで言葉に詰まり、顔を顰める。彼女の心はどこか縮んでいる。ルフィはそんな奴を知っている。ナミはそんな人の心を知っている。

    目の前にいるのは強敵にして仲間を奪ったはずの者。しかし、まるで2人には隅っこで泣いている少女の強がりの様に思えた。

  • 78◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 19:25:27

    ウタ「…………無理に笑ってなんかない!……無理に、笑ってなんか……」

    ルフィ「隠すことねェ。普通にしてろ」

    ルフィはついに、ウタの核の表面をほんの少し撫でた。歪んだ笑いは、涙に変わり、それでもなお無理して笑う。なぜならビッグマム海賊団は笑いながらにして強い海賊団なのだから。

    ウタ「あは……あはは、あは……もう、大丈夫。……ママの指令、聞いてたでしょ?」

    ルフィ「やめろ、ウタ」

    ナミ「ダメよウタ!私分かるのその気持ち!!!仲間は、友達だけは傷つけたらダメ!本当におかしくなっちゃう!!!!」

    ウタ「今から……今から、拷問するね。……ローラ姉さんの居場所だけ、吐いてくれたらいいの」

    ルフィ「お前がおれ達を傷つけたら!お前が泣くだろうが!!!」

    ナミ「それってあの時の槍!?」

    ウタ「名槍フォルテシモは持ち手がマイクになっててね?使用者の持つ声の大きさ、音域の広さに応じて強さが上がる。……私の様な人が使うと……」

    「アーーーーーーーーーーーーー♪」

    キィィィィィイイインッ!

    トン…………ッ、バギャッッッ!!!

    ウタ「何かに触れるだけで物を炸裂させる兵器になるんだよ♪……ゴムは振動で断裂を起こす。……無事じゃすまないよルフィ」

    ナミ「私達!最後にあったのが本当に2年前なのよ!情報も吐いた!もう無理しないで!!!」

  • 79二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 19:33:21

    このレスは削除されています

  • 80◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 19:34:57

    ルフィ「ウタ!!!」

    ウタ「その名を呼ぶなって、言わなかった?大丈夫……スタッカートの鎧の衝撃波なら……まだ死なない、くらいだから……」

    鎧をナミに向けた時、ついにウタに残された一片のなにかが失われそうになった時流れが変わりはじめようとしていた。
    ガラァンゴロォン。今度は下駄を鳴らす音がする。威風を以て、一本筋の通った男だけが鳴らすことを許された音が鳴る。その男は下に向かっえわざとらしく声をかける。

    ????「おーーい、誰かおらんかー?」

    ウタ「……ママの命令は、城に入って来るな……だった筈だけど……?」

    ジンベエ「どこもかしこも乱闘中……固い事言うな……」

    ウタ「早く帰ったら?」

    ジンベエ「悪いな……姫……」

    ウタ「アナタのやりたい事……見聞色で見えたよ……天神(アマデウス)!」

    ジンベエ「五千枚瓦……」
    ウタ「名槍フォルテシモ……」

    ジンベエ「正拳!!!」
    ウタ「闇惨震(アンサンブル)!……ぐぅ……!」

  • 81◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 19:40:15

    激突と、衝撃。2種の全く違う力が両者を襲う。囚人図書館の本の一部が倒れて、そのうちの一冊が開く。叫び声がまた響く。ウタは少し押し負けたらしい。少し飛び退き、ダメージを受けることを回避した。
    思わぬ増援にルフィとナミは喜ぶ。チェックメイトはチェックメイトではなく、再び盤面は大きく変わる。

    ルフィ「ジンベエ〜〜〜!!!お前なんでここにィ〜〜〜〜!!?」

    ジンベエ「おお、ルフィ!ナミ!捕まったと聞いてな……ひとまずは無事か」
    「……話は後じゃ!ひとまず出よう……とは言いたいが……」

    ウタ「…………!親分さん……ママの目の前で脱退宣言して…………すぐ撤回したのに、こんなことするの?」


    だが、オペラですら一撃で倒すその力はウタの技によってほぼ相殺されていた。無頼貫ほどの威力ではないが、これも大技である。流石にお茶会遠征で最も活躍する大臣の1人ではないとジンベエは舌を巻く。

    ジンベエ「流石に生半な相手ではないのう……ホイップ姫」

    ウタ「ゲホッゲホッ……明らかな、裏切りだよこれ。……ルフィとナミさんの解放が目的かな?」

  • 82◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 19:41:06

    ジンベエ「そうじゃ。女子に手を出すなぞ仁義にもとるが……これもこやつらの為。多少の面子はホイップ姫くれてやるわい」

    ウタ「あは、あはは……どんどん仲間が増えてくのは、変わらないねぇ……ルフィ」

    ルフィ「ジンベエ!まずおれ達を助けてくれ!一緒にウタを抑えよう!!!」

    ジンベエ「ウタ?……なんじゃそれは……ホイップ姫のことか……何か事情があると見た」

    ウタ「………」

    ジンベエ「ホイップ姫、魚人空手は知っとるじゃろう。……歌う為の大きな呼吸より、ワシの拳の衝撃波が届く方が早い」

    ウタ「どうだろうねぇ……」

  • 83◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 19:49:20

    ジンベエ「……良くて相打ちじゃろうな。どうせお前さんの気絶で能力は解けるぞ」

    ウタ「もう天神(アマデウス)も展開した。……どっちでもいいんだよ?私は」

    ジンベエ「……多少の水が有れば声自体を封じることもできる……近くには拷問用の海水があったな」

    ウタ「…………」

    お互いの睨み合いの中、静寂が数瞬ほど流れた。ジンベエがマッチに火をつけ、モンドールの本にそれを焚べると同時にその隙を付いたウタがジンベエに向けて攻撃を仕掛ける。

    ウタ「スタッカート・震面壊(フラメンコ)!!」

    ジンベエ「ぐぉ……ぉ……鮫肌掌底!」

    ウタ「がっ!!!?!くぅ…………本が燃える!」

    ジンベエ「させんぞ!鮫瓦正拳!!」

    ウタ「圧縮足・砲(プレストゥ・カノン)!!」

    ナミ「もう少しで出られるわ!ジンベエ!!」

    ウタ「……!まずっ……」

    ルフィ「……よしっ、出れたー!!!!!」

    ナミ「あっつあっつ!ありがとう!!ジンベエ」

    ルフィ「あちち!ありがとう!でもジンベエ!こいつは倒してでも連れて行くぞ!いいな!」

  • 84◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 19:53:06

    ジンベエ「あいわかった!ホイップ姫!覚悟せえ!」

    ウタ「親分さん…………アナタほどの人がそこまでするほどの男なの?ルフィは……」

    ジンベエ「そうじゃ。ワシはコイツがいつかデカいことを成し遂げると思っとる」

    ウタ「………っ!!本当に、そう思うの……?」

    ジンベエ「そう思う。……愚かな判断と笑うといい。ワシは自分の判断とルフィに命と誇りを賭けるを決めたんじゃあ!!!」

    ウタ「笑わないよ。……でもね?……でもね、みんなと一緒にいるのが大事。……メンツじゃ私は生きていけなかった」

    ルフィ「お前にそんな顔させる奴のところになんか置いていけねェ!ウタ!お前は意地でも連れて行くからな!!!」

    ウタ「ウタ……何それ?私はシャーロット・ホイップだよ?」

  • 85二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 19:57:06

    おお、ここで・・・

  • 86◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 20:10:42

    ******


    ルフィ「はぁ……っ!はぁ……っ!!すんげェ……体力使った!!!」グゥギュルルルル

    ジンベエ「戦闘直後に……ゼェ、ゼェ……何故腹が、減るんじゃお前さんは!!」

    ナミ「……はぁ……そういう、生き物よそいつは……"天候の卵"にレイン=スパーク入れててよかった……!」

    ウタ「ご……ごふん……くらいしか……もたなかったぁ…………」

    ざぶ……ざぶんと樽の中にたっぷりと水が、それも海水が入ったものに、ウタが押し込められている。全身が縛り付けられており、ウタの首だけがひょこっと樽内部の海水面から出ていた。
    もうこうなれば能力者はどうしようもない。体力が奪われすぎてウタウタワールドを展開することも、もう怪しい。

    ウタ「抑えつけたあとに……海……水のたるにいれるなんてェ……ひきょう……らよ……るふぃ、おやぶぅん……」

    ルフィ「シシシ!海賊に卑怯はねェ!!!」

    ウタ「そんらぁ……うみ〜が、ちゃっぷ、ちゃぷ……♪ウタウタする〜たいりょくも〜いってきたりとももうらいろ〜」

    ナミ「こうなっちゃうともう、可愛い子どもみたいね……」

    ジンベエ「ふむ、しかし大分体力を持っていかれたが……」

    ウタ「ちゃぷ……ちゃぷだねぇ……るふぃ……」

    ジンベエ「静かにしとれホイップ姫!彼が連れて行けと言うからこの様な形で捉えた。……事情は、ルフィの口から後で聞かせてもらうぞ!」

  • 87二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 20:14:06

    これジンベエ親分としては今のウタの状態って完全に地雷だよな…、コアラみたいな子が目の前にいるってことだし

  • 88◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 20:27:49

    ルフィ「ただおれとウタは幼馴染ってだけだぞ?」

    ジンベエ「!?……ウタとは……本当にホイップ姫のことか!?本当に言うとるのか!」

    ウタ「ほ……ほんろうれす……。ママにつれてこられる、すうれんまえに……いっしょに……えへへぇ……ぱぁ」

    ナミ「ウタ!?大丈夫なのこれ!?」

    ジンベエ「……樽に海水を入れて、そこに突っ込んだだけじゃ。小さな風呂に入ってる様なもんでな、こんなもんで溺れやせんわい」

    ルフィ「ウタを人質として連れて行くぞ!」

    ジンベエ「なんじゃと!?……まぁ仕方あるまい。ウタウタの力を相手にし続けるのは厳しいか……ナミ!ルフィ!ワシとこの樽を縛り付けてくれ!」

    ナミ「ルフィ!しっかり持っててよ!ジンベエにつなげちゃうから!」

    ウタ「やめ……やめろぉ……もんどーるにいさんにれんらく……で……でんでんむし……あぁ……かいすいあびてしなびてるよ?……」

    ルフィ「ウタ!……連れてくぞ!」

    ウタ「わらしはぁ……てきらぁ……てきらよぉ……?ホイップ……れす」

    ルフィ「でもおれの幼馴染で、友達だ!来いよ!……ここにビッグマムの連中はいねぇ!ならお前はウタだ!」

    ウタ「え!?でもわたし、ほ……ほいっぷ、として……えっと……えっと…………でもるふぃがめのまえにいて、わたし、うただから……」

    ルフィ「ごちゃごちゃ言うな!行くぞ!」

    ウタ「…………いいの?」

  • 89二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 20:29:12

    脱力口調ウタかわいい

  • 90◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 20:31:24

    ルフィ「いいも何もねェ!おれはお前をビッグマムから貰う!ウタはおれが奪った宝だ!!!絶対に返さねェ!」

    ウタ「も………もも、もらう!?たから!?!か……かえさねぇ!?!?」キュウ……

  • 91◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 20:40:13

    こうしてシャーロット・ホイップは存外あっさりと麦わらのルフィの手に落ちた。
    ペロスペローやダイフク、オーブンやコンポートなどに次ぐおそるべき制圧力を持った少女を無力化できたことは今後の戦局に大きな影響を与えるだろう。

    サンジの結婚式まであと1日もない中、闇の中で徐々にビッグマムの伝説が揺らいでいく。
    しかし恐怖の象徴は未だ、健在である。

  • 92二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 20:41:13

    チョロい!と思ったが本人的にはどれだけ嬉しかっただろうと考えると居た堪れない気持ちになる

  • 93二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 20:43:31

    3人(二人億超え(片方幼馴染))に勝てるわけ無いだろ!!

  • 94二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 20:44:09

    >>91

    コンポート……?

  • 95◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 20:47:21

    WCI編、ホイップ再誘拐編はここまでです。

    なんて事だウタが凶悪無比な海賊にまた攫われてしまいました。


    >>94

    んまっ!なんて失礼なこと言うんだい!!!本編でも化け物としてベッジに言われてたじゃないか!

    んでもなんでスムージーを書き忘れたかに関しては一切が謎のままだねぇ…

  • 96二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 20:59:26

    海水漬け脱力樽頭ゆっくりウタのほっぺたすごいムニィってなってそう
    樽)'ω')こんな感じに

  • 97◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 21:03:01

    画像SS編行きます

    ウタ「いくよルフィ!腕相撲対決……!」

    ルフィ「よし来た!ナミ!号令かけてくれ!!」

    ナミ「おバカ!ウタがルフィの力に勝てるわけないでしょ!」

    ウタ「それはどうかな?…………ウタウタワールドなら!」

    キャロット「よくないと思うな私……」

    ウタ「海賊に卑怯は……卑怯は……」

    チョッパー「ウタ〜おれはちょっと格好悪いって思うぞ……」

    ウタ「ルフィ……」

    ルフィ「いいぞ使っても。おれは気にしないぞ?それでもおれが勝つ!」

    ウタ「…………やってやる!勝ってやる!勝ってやる!!200連勝がここに掛かってるんだから!!!」

  • 98◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 21:11:03

    ナミ「意外と力あるのね……まさかこうなるなんて……」

    ブルック「ヨホホホッ!可憐なお嬢さんでも力は強いですねェ!机が粉々になってますよコレ……」

    ウタ「……!これはどうなんでしょうサンジ審判」

    サンジ「う〜んそうだな……ウタちゃんの麗しさによってウタちゃんの判定勝ち!」

    ルフィ「ずりぃぞウタ!サンジなんかに審判やらせたらウタにするに決まってる!」

    ウタ「や〜い負け惜しみぃ〜悔しかったら他の審判持ってきなよ!」

    ルフィ「ナミ!コレはおれの勝ちだよな!!!」

    ナミ「どーでもいいわそんなの。キャロット!舵を少しだけ右に切って!」

    キャロット「アイアイサー!」

    ルフィ「……ナミぃ〜……」

    ウタ「私の200連勝達成!」

  • 99◆tsGpSwX8mo22/11/10(木) 21:39:21

    チョッパー「お!ルフィは今日は眠いのか?

    ルフィ「あぁ、今日はいーい天気だなぁ〜」

    ナミ「たまにアンタそういう気の抜け方するわよね」

    ブルック「ヨホホホッ!我々の旅は忙しいものが多いですからね、休める時には休まないと……そうだ、ナミさんパンツを見せてもらえませんか?」

    ナミ「脈絡がなさすぎるわ!」

    ウタ「あっ、芝生の上で寝てる!膝貸してあげようか?」

    ルフィ「うーん……頼む!」

    ウタ「ん、おいで」

    ナミ「アレって本当に対立してた奴らの距離感なの……?」

    サンジ「おれ……今どんな顔してるんだい……目ェ……閉じときゃよかったな」

    ウタ「ルフィの髪……触ってて気持ち良いな」

    ルフィ「そうか?おれ意識したことねェからな〜」

  • 100今日の投稿はここまでです22/11/10(木) 21:52:46

    ウタ「きょうは……ルフィの……昼寝姿の……確認です……」ヒソヒソ

    チョッパー「今回はどうするんだウタ」ヒソヒソ

    ウタ「落書き作戦をする予定だよチョッパー隊長」ヒソヒソ

    ルフィ「何やってんだお前ら?」

    チョッパー・ウタ「うわぁぁぁぁああ!」ボチャンッ

    ルフィ「なに!お前ら待ってろ今助けてやる!」ドボンッ

    ブルック「ルフィさん!皆さんも今助けますからね!」パチャンッ

    サンジ「テメェら泳げねェだろ馬鹿ども!」

    キャロット「私も手伝うね!」

    ナミ「もう、アホばっか……」

    ******

    ナミ「自分の立場(のうりょく)を弁えろバカどもぉ!」

    「「「「はい、すみません」」」」

  • 101二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 22:29:19

    ええやん

  • 102二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 03:34:21

    このifはもう本編やろ

  • 103二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 06:53:07

    ホイップスレの方は落ちてしまったか
    WCI編無料公開されたらまた立ててみるかな

  • 104◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 07:44:52

    ウタ「ワン、ツー、ワン、ツー、ここで!キメ!」

    ルフィ・チョッパー・サンジ「「「おぉー…」」」

    サンジ「なんっっってカッコいいんだウタちゃん!!」

    ウタ「まだまだいくよ!ここから、こうで!こうして!こう!!!最後にお菓子をウタウタワールドで演出!」

    ナミ「ダンスも出来るのね!」

    ブルック「なんて高クオリティ!」

    ウタ「んえっへっへっへ……それほどでもぉ〜〜、そっかぁ〜……カッコいいでしょ?……んふふ」

    キャロット「すごいすごーい!!!私もやりたい!」

    ウタ「いいよ!まずは〜ビシッ!」

    キャロット「ビシッ!」

    ナミ「ん?ウタウタワールドって……私たち寝てる!ちょっとウタ!早く起こして!」

    ウタ・キャロット「「ちゃき〜ん!」」

  • 105◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 12:16:11

    朝更新が少なかったお詫びとしてウタの海賊履歴とシャンクスの設定についての軽いプロットをテレグラフにちょっとまとめましたのでお納めください

    ネタバレはないのでご安心ください

    読まなくても問題ないです


    ウタの海賊履歴設定ウタの回想編で、ある程度まとめながらもカットした部分のお話です。

    読まなくても支障はないのでご安心ください。




    14歳


    歌姫としての活動を開始、当初はビッグマム海賊団のプロパガンダとして利用されるも、ファンサービスの良さやその実力から万国外からのライブ要請も起きるほどに。

    しかし国外へは出されず、映像電々虫(従来型)の録画映像と音貝のみを輸出


    「正体不明の歌姫時代」



    初戦闘は15歳

    情報は秘匿され続け、出来るだけウタウタを利用しないよう求められる。

    注目株としてビッグマムに気に入られ始め、略奪に参加し始める。


    この頃の会話

    カタクリ「ウタ…………これを」


    ウタ「このヘッドホン……ゴードンの……」


    カタクリ「彼は、もうここには来れない。怪我が酷くまだ治っていないらしい」


    ウタ「……………………生きて、るよね?」


    カタクリ「あぁ。……そしてこう言っていた。健やかに歌を唄って欲しいと」


    ウタ「そう……かぁ……ゴードンの所へは」


    カタクリ「駄目だ、教えられん。海賊団としての面子を優先しろ。俺が保護してある。問題はない」


    ウタ「うん……分かった。カタクリ兄さん」


    カタクリ「おやすみ、ホイップ」…
    telegra.ph
  • 106二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 12:33:19

    >>105

    なるほど、これでは赤髪海賊団では助けられない……

    この世界のシャンクスは、本編ほど楽しそうに笑ってはいなさそうですね…

  • 107二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 12:40:15

    >>105

    ルフィたちが海に出てもテンション低そうだな…

    それはそれとしていつでもビッグマム海賊団殴れるように準備してるだろうけど

  • 108二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 12:46:04

    ルフィがウタを奪ったとわかった瞬間シャンクスたちは大盛り上がりだろうな…
    落とし前もきっちりつけるだろうけど

  • 109二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 15:02:46

    このレスは削除されています

  • 110◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 18:06:02

    >>109

    ご指摘ありがとうございます

    そこは無配慮でした

    次スレまで跨いでしまったならCP注意も付けさせていただきます

  • 111◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 18:07:36

    少し時は遡り、鏡世界の中。
    ブリュレ一派を捕らえたチョッパーとキャロットは麦わらの一味を昔から知っているという妙なホーミーズに声をかけられた。
    だがその様子を意に介せず、まるで声が聞こえていないかの様にブリュレと同じく袋詰めにして拘束を終えた。

    フランケン「わ、れは、君たちと!話がしたい!と言っているんだ!」


    "由来不明のホーミーズ"フランケン


    フランケン「君たちは麦わらの一味だと知っていると言ったじゃないか!」ギュッギュッ

    キャロット「ここまで縛ればオッケー?チョニキー!」

    チョッパー「うん!フランケンって言ったか?おれはビッグマム海賊団の敵だぞ!話すことなんかねェぞ!」

    ディーゼル「フランケン!何を言ってるんだお前!」

    ブリュレ「フランケンは黙っときな!お前は私たちがお兄ちゃんに頼まれて完成したホーミーズだ!!!下手なことを言うな!」

  • 112◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 18:16:24

    フランケン「フーシャ村のルフィ!肉が大好物で冒険好き!野山を駆け巡りガープ中将の孫として色んな過酷なトレーニングをさせられたルフィくんの話だ!」

    チョッパー「なんでそこまで細かく知ってんだ!?ビッグマムの情報網か!?」

    キャロット「ビッグマムのじょーほーもー!カッコいいね!」

    フランケン「それは……それは違う…………!どうやったら信じてもらえるんだ……」

    チョッパー「ホーミーズってビッグマムの家族には逆らえないのか?ブリュレ」

    ブリュレ「…………秘密だよ、教える訳ないだろそんな機密情報」

    チョッパー「まぁ大体の命令は聞くし逆らうことは基本しねェって分かってるけどな」

    ブリュレ「ならなんで聞いたんだい!!本当に性格の悪い珍獣たぬきだよ!」

    チョッパー「誰がたぬきだ!!立派なトナカイだぞ!毛並みも立派な奴があるんだ!」モフッ‼︎

    キャロット「すごいすごい!流石チョニキ!」

    フランケン「いい加減信じてくれる条件が知りたいのだが。縛られたままでも構わん、出来ることがあれば……」

  • 113◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 18:27:24

    チョッパー「うーん……ブリュレのこと間抜けって言えるか?」

    フランケン「"ブリュレは間抜け"」

    チョッパー「よし!」

    ブリュレ「よくねェよ!!テメェ恩を忘れたか!」

    フランケン「すまないブリュレ。信頼される為なんだ!」

    キャロット「"真っ赤なおっ鼻っの〜小枝さんは〜"♪」

    フランケン「"真っ赤なお鼻の〜小枝さんは〜"♫」

    ブリュレ「ブリュレだよ!!!!馬鹿にするのはやめな!いい加減にしないと……!」

    チョッパー「何すんだ?この状況で」

    ブリュレ「……!本当に生意気な珍獣だね………」

    フランケン「これで信じてもらえるだろうか……」

    チョッパー「最後に一つだけ。"我はこれからビッグマムと敵対する"」

  • 114◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 18:41:44

    フランケン「…………」

    ブリュレ「おやめフランケン!ディーゼル!!アンタ話を聞くんじゃないよ!」

    ディーゼル「でもホーミーズがそんなこと言えるはずが……」

    ブリュレ「おいミンク族の小娘!!」

    キャロット「私はキャロット!」

    ブリュレ「とにかく!!重大な話だ!ディーゼルが聞こえない様にしとくれ!」

    キャロット「仕方ないなぁ……はい」

    ディーゼル「ブリュレ様!?何を!おいお前!聞こえなくなるじゃないか!」

    キャロット「うーん、ちょっとうるさい!……すこしだけ"エレクロ"!」

    ディーゼル「ぎゃぁぁぁあ!」カクッ

    チョッパー「言えねェなら、話はなしだぞ」

    フランケン「…我はこれからビッグマムと敵対する!!!」

    ブリュレ「…………分かってんだろうねェお前。それを言ったからには死ぬしかないよ?」

    フランケン「構わない。……麦わらのルフィですら無理ならば…………もう希望はなかろう」

    ブリュレ「ふん……なら好きにしな恩知らず」

  • 115◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 18:52:39

    その奇妙なホーミーズらしき存在、フランケンの話を聞き、一旦袋から開放する。そんなことを本来する必要はないのだが根本的に人の良い2人はそんなことに気付かない。そもそもこのホーミーズ、無機物のニオイはない。人のニオイがするのだ。不自然にロボットじみた風態に対して、駆動音もなく体からかおる機械油の臭いも表面に振りかけただけの様で獣の様な、あるいは獣そのものである2人には通じない。
    故にこのホーミーズには特殊な事情があるのだとチョッパーは読み、キャロットは目配せでそれを把握した。
    事情を話させるために彼を正面に立たせて2人はフランケンに対峙する。


    チョッパー「……で、話ってなんだ?」

    キャロット「ちゃんとそこら辺、教えてよね」

    フランケン「ふむ……まずは、そうだな……私の名前は、フランケンではない」

    チョッパー「……?」

    フランケン「自己紹介をしよう。私はホーミーズではなく、人間の……ゴードン。既に滅んだある国の国王であり……ルフィくんの幼馴染の保護者でもある」

    チョッパー「ルフィの幼馴染み!?本当か!」

    キャロット「えぇ!?すごい!こんな所にルフィの知り合いがいるの!?」

    フランケン「私がいうのもなんだが……疑わないのか?」

    「「なんで?」」

  • 116◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 19:04:37

    ゴードンを自称するそれは少し善性にすぎる2人のことが思わず心配になり、すこしいさめようとする。
    チョッパーも、キャロットもまるで意に介することなく首を傾げて疑問符を上げるものなのでただでさえ薄かった毒気がすっかりなくなってしまい、老婆心で言葉をかけてしまう。

    フランケン「少しは疑いたまえ。胡散臭い敵の勢力が船長の知り合いの保護者と自称したのだぞ?」

    チョッパー「ん?そんなこと言われても……ビッグマムと敵対するって言えねェんだろ?」

    ブリュレ「…………ふん」

    フランケン「……基本忠誠は誓っているが、言わないかは場合によると言えるだろう。……特にビッグマムの分身たる2体のホーミーズは分からない」

    ブリュレ「いい加減にしなフランケン!アンタはアタシに生かされてるだけ!今すぐミラミラを解除して追われる身に早変わりさせても良いんだよ!?」

    キャロット「あ!ミラミラで化けさせたってバラした!」

    ブリュレ「……はっ!な、なんのことだい?」

    チョッパー「味方ならそんな言い方はしねェよな。……なんでそれでも一緒に仲間の様に振る舞ってたのかわからねェけど……」

  • 117二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 19:10:47

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  • 118◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 19:11:54

    フランケン「そのことについても……話そう。……一つ頼みごとをする為の序曲だ……手短に済ませる」

    チョッパー「…………」

    ブリュレ「やめな!どうせコイツらは逃げられない!!!そんなこと話しても無駄さ!」

    フランケン「……赤髪海賊団は、知っているかな」

    チョッパー「うん、四皇だろ?ルフィが海賊を目指すキッカケになったって聞いたぞ?」

    フランケン「そこまで知ってくれているならありがたい。……その海賊団の一員で、みんなに娘の様に可愛がられていた娘がいたんだ……名を、ウタという」
    「……フーシャ村に寄港した時……赤髪海賊団、フーシャ村にそれぞれ同年代は1人ずつしかいかった故にすぐに仲良くなった」

    キャロット「うわ〜……ロマンチック〜……!」

    チョッパー「……本当にそうなのか?…………でもいつも自分のこと話してくれねェし……」

    フランケン「信じないなら、それでいい。敵の妄想として受け取ってくれ。…………その子は結局ある国に預けられることになったのだが……ある日誘拐されたのだ、海賊によって」

    チョッパー「えぇっ!?無事なのかそいつ!」

    キャロット「……悲劇の別れってこと!?」

    フランケン「その海賊が……ビッグマム海賊団なのだ。……頼む!君たちの目的が全く違うことだと知っているがそれでも!もう1人助けてあげて欲しい!ルフィくんの仲間だとお見受けして!!どうか……!!!」

  • 119二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 19:14:15

    ゴードン…なんでそうなったか分からんけど魂だけでも生きててよかったよ

  • 120二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 19:15:39

    >>119

    ゴードン、これ単にフランケンシュタインの仮装してるだけで普通に生きてるんじゃないかな

  • 121◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 19:26:28

    ブリュレ「ふざけるな!お兄ちゃんの好意を!!せっかく8年もアンタを!!!どんだけカタクリお兄ちゃんがリスクを冒してアンタを生かしたと思ってんだい!」

    フランケン「分かっている!!ミラミラで姿を変えてくれた君の力も!!ホーミーズ扱いすることで隠し続けてくれたガレットさんやカタクリくんの労力も!武器まで用意してくれたのも分かっている!!!」

    ブリュレ「いや!分かってない!!分かってないねそれは!!!もう許さないよフランケン!いや元エレジア国のゴードン王!!」

    フランケン「だがウタを助ける為にはこれしかないのだ!!!」

    ブリュレ「そんなのはアタシが許さないよ!!あの子がもう一度外の世界へ出たとしてもし連れ戻されたらどうなる!?地獄を見るのはホイップの方さ!アンタじゃない!!!」

    フランケン「…………っ!」

    ブリュレ「しかも赤髪が全面戦争を仕掛けて取り戻しに来るならまだ分かる!だがこんな木端の海賊の細すぎる希望になんて頼らせないよっ!!!アタシたちが家族として守るんだ!!!あの子の心を折る気かいお前は!」

    チョッパー「なんかすごい言い合いしてる……」

    キャロット「でも……すごい本気だね……この人たち」

    チョッパー「助けてやりてェ!!けど……」

    キャロット「サンジの救出しなきゃだし…………なんにも言えない、かな……」

    ゴードン「………!頼む……!!8年……!8年も待ったのだっ……!!最後のチャンスかもしれない……!」

    ブリュレ「誰がその8年!生きながらえさせてやったと思ってんだい!!アタシが鏡世界に入れなきゃすぐに殺されちまう癖に!この恥知らず!!!」

  • 122◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 19:34:33

    ゴードン「……もう私に潰れていない顔などない!赤髪海賊団との誓いも!ウタを外に連れ出す約束も果たせなかったのだから!」
    「この大バカ者にどうか……!」

    ブリュレ「ゴードン!!お前自分の言ったこと覚えてろよ!アタシとガレット、カタクリお兄ちゃんが絶対に許さないからね!!!」

    チョッパー「…………っ。分かった。ルフィに聞いてみるよ」

    ゴードン「本当か!?」

    ブリュレ「アンタらこんな奴の言うこと信じるのかい!?」

    キャロット「流石チョニキ!……でも嘘ついたらエレクトロだからね!」バチバチッ!

    ブリュレ「ぎゃぁぁぁあ!!だからなんでアタシを巻き込むんだい!」

    キャロット「だってフランケン……ゴードンさんが可哀想かなって、それにペドロとかブルックの居場所近くの鏡調べるのに丁度いいもん!」

    ブリュレ「そんなことでこんなに痛めつけるなんて非道だよ!」

    チョッパー「お前はキャロットを食べようとしたんだから当たり前だ!」

  • 123◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 19:46:16

    ゴードン「嘘であればその電撃も……死であろうと甘んじて受け入れよう。あの子さえ自由になれば私の身体など……」

    チョッパー「簡単に死ぬなんか言うな!!人は死んだらそこまでなんだぞ!!!」

    ゴードン「…………だが、私に賭けるものはその程度しか」

    チョッパー「命以上に重たい物なんかない!!2度と言うな!…………袋に縛るぞ」

    キャロット「…………はーい」

    ゴードン「頼む……因みに困った時は鏡に尋ねるといい。ルフィくんの居場所は何処だとか言えば鏡は答える」

    チョッパー「本当か!!」

    ブリュレ「アンタ本当に恥知らずだね!!!」

    「「鏡よ鏡!!お城の鏡はだーれ!!!」」

    「はーい!」「おれおれ!」「ガレット様の部屋の鏡は私!」「おれは5階の男子トイレのだ!」

    キャロット「すごーい!ありがとうゴードン!」

    ゴードン「……すまないブリュレ」

    ブリュレ「赤髪がダメだったからってこんな木端如きに頼るとはね!!堕ちたもんさ!」
    「アンタと麦わらの一味は結局皆殺しになるんだよ!ウィ〜ッウィッウィ!」

    チョッパー「うるさい!起きろディーゼル!!」

    ディーゼル「んあっ!?麦わらのぉ!?」

  • 124◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 20:01:54

    ディーゼルが叩き起こされ、ブリュレとゴードンは人力運搬車に荷物として乗せられる。思わずして、奇跡のピースが集まり始める。

    冷えた精神に火を灯す為の薪木が集まっていく。
    次の舞台もまた鏡の世界の中ペドロ、ジンベエ、ナミ、チョッパー、キャロットが集まった頃、ブルックを取り戻さんとする頃の時系列にまで進む。

    ナミ「これが鏡の中なの……!?信じられない……」

    ジンベエ「おい!ホイップ姫!ホイップ姫!」

    ゴードン「…………………!!??!?ウタ!ウタ!!無事なのか!ウタ!!!」

    ウタ「……きゅう……」

    ブリュレ「なんでホイップ!アンタも捕まってるんだい!?……早く逃げな!!くうっ……アタシが動けりゃ……!!」

    ウタ「…………?ぶりゅれ……ねえさ……」

    ブリュレ「そう!そうだよ!ホイップのお姉ちゃんさ!んぐぐ!いま……ったすける……っ!!」

    ゴードン「苦しいのかウタ!?そこのジンベエ鮫の御方!ウタは無事なのか!?この状況はなぜ……!?」

    ペドロ「混沌としてきたな……しかし、これが"菓子作りの歌姫"シャーロット・ホイップ……」

    ウタ「こんばんはぁ……しゃーろっと・ほいっぷ、らったり、うた、らったりします……」

    ペドロ「……これが?」

  • 125二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 20:32:20

    このレスは削除されています

  • 126◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 20:41:53

    ゴードン「なんて可哀想なウタ……!私が無力だったから……!」

    ナミ「別にアンタのせいじゃないでしょ、って……誰アンタ?」

    ジンベエ「お主は……?ブリュレのホーミーズ……なのか?…………見たことがないが……」

    ブリュレ「そいつのことはどうでもいい!だがジンベエ!!こいつらと一緒にいるということは……明らかな裏切りだよ!!」
    「傘下脱退を求めた時「ルーレット」に怖気ついたんだろう!?」

    ジンベエ「ママには魚人島を守ってもらった!!仁義は通したかったがあのルーレットから死と悪意の匂いが漂っておった!」

    ペドロ「……それで正解だ"海侠のジンベエ"。アレに救いを求めてルーレットを回した相棒は、命を失った」

    ブリュレ「当たり前だよ!ママは来るものは拒まず!去る者は決して許さない!!」
    「敵も!忠実な傘下も!家族でさえもね!!それがママの!」

    ナミ「うるさいわね!」

    ゴードン「ウタ!!!生きているなら返事をしてくれ!」

    ウタ「……?……うわぁ……ごーどんだぁ……」

    ゴードン「そうだ!ゴードンだ!!」

  • 127◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 20:44:42

    ウタ「?…!?ゴードン?!どうしたの!?なんで?カタクリ兄さんに別の島で生きてるって!ふんぬ!!うごけらい……ふんぬ!ふんぬっ!!!」

    ジンベエ「やめんか!せめて下ろすまで動くな!一応水がこぼれない様にしてあるんじゃぞ!」

    ウタ「んぁ〜〜!!ごーどぉぉぉん!」ゴロゴロゴロ……

    ゴードン「ウタァァァァア!」

    こうして、ゴードンとウタは感動的な再会をした。袋詰めのゴードン、樽の海水漬けのウタ。
    お互いにぴょこぴょこと首を出し合い、身を捩り、転がり合いながら近づく様は涙すら誘うものであった。

  • 128二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 20:55:33

    よかったね、二人共…

  • 129◆tsGpSwX8mo22/11/11(金) 21:00:42

    今回の本編更新はここまでです
    結構あっさりとゴードンとウタは再会しました

    次からは3度目のvsウタ、結婚式へと進んでいきます

    因みにゴードンはずっと生きていることにする予定でした。
    カタクリは任務を達成する能力を持っていても妹の心を破壊してしまう様なことはできないだろうという私なりの解釈。
    彼が自分が人殺しをした時、妹に処理を任せる様な人物ではないだろうということ。
    命はそこにはないと書いてあっても奪われたと一回も書いていないこと。
    わざわざエレジアで作った餅御殿・山車をホールケーキアイランドの行進まで維持し続けた理由など幾つか描写がありますのでお暇な方は探してみてください

  • 130二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 21:21:20

    乙。次の更新待ってるで

  • 131二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 23:00:40

    見た目はギャグなのにすごい重いシチュってのは本編でもよくあるな

  • 132二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 07:19:18

    続きが気になる

  • 133朝のちょっと行進22/11/12(土) 07:43:15

    ガラガラとディーゼルが運搬車を引く。時間はないと、ゴードンとウタの様子を見て只事ではないと感じたサンジとルフィを除いた一行は、ゴードンとウタを縛ったままではあるものの自らの過去を話し始めた。
    心に傷を持ちながらも幸せだった赤髪海賊団といた幼少期、ルフィと修行し心を通わせ、心の傷を癒され誓いを立て合った日々、エレジアの悲劇とシャンクスとの別れ。
    ゴードンとの長年にわたる歌姫としての練習と楽しかった親子らしい日常。
    そしてビッグマム海賊団に全てを奪われたことを。兄弟姉妹が救いだったこと。ルフィの活躍が唯一の希望だったこと。
    短く簡潔に、幾つもエピソードは省略されながらもその節々からは痛々しさと辛さが人生だったと伝えるに十分な物であった。
    ナミはウタが初めにルフィと対決していた時に語っていた「痛いのが海賊、辛いのが人生」という彼女の座右の銘を実感的に悟った。
    ナミやジンベエが止めようとも止まらぬ口から語られる地獄。チョッパーが慰め、キャロットが寄り添う。

    その話が終わった時チョッパーとキャロットはボロボロと涙を流し、ナミとジンベエは自分の過去を思い出させられて絶句した。

    ウタ「…………だから私はシャーロット・ホイップ。ビッグマム海賊団のホイップなの」

  • 134朝のちょっと行進22/11/12(土) 07:43:55

    ウタ「…………だから私はシャーロット・ホイップ。ビッグマム海賊団のホイップなの」

    ジンベエ「……その様な過去が……ホイップ姫にあったとは…………」

    ナミ「…………ずっと傘下になれって、言ってたのもそういうこと」

    チョッパー「お゛お゛お゛お゛!!疑ってごべんっ!!ゴードン゛!!!」

    キャロット「ごめ゛ん゛な゛ざい゛!!」ビェェ

    ペドロ「ビッグマムはいつも悲劇を振り撒く……家族でさえそうなのか」

    ゴードン「……私は、彼女の兄や姉たちから伝聞でしか伝えられなかった。だが生かされ続けたならばと……機会を窺っていた」
    「確かに実の母はビッグマム。シャーロット・リンリンかもしれないが……」

    ウタ「ふふん、私はゴードンの方がずっっと好きだよ!…………シャンクスも、大好き」
    「シャンクスには、謝りたいこともあるし」

    ゴードン「…ちなみにルフィくんについての話題を1番話していたがね」

    ウタ「ちょっ……!そういうところ変わってないのはダメだよゴードン」

    ナミ「へぇ〜……なるほどね」

  • 135◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 11:23:08

    ブリュレ「………………本来これはお兄ちゃんとガレット、アタシの3人しか知らない事実だった」

    チョッパー「なんで秘密にしてたんだブリュレ!」

    キャロット「こんな大事なこと言わないなんてひどい!」

    ブリュレ「……仕方ないだろ、アタシたちはビッグマム海賊団。こんなことを伝えてもどうにもならない」
    「ホイップの心を守る為にコイツを連れてきたとは言え、これは命令違反」

    ウタ「…………」

    ゴードン「……否定は、出来ん」

    ブリュレ「ママにはナワバリ内のことはすぐバレるし、別の島でもコイツが殺されたり、ママの情報網に引っ掛かればもうアウト……アタシの鏡世界に匿うしかなかった」
    「その為にホーミーズの格好をアタシの能力で写し出し、お兄ちゃんが武器を繕った。ガレットには噂やら何やらで誤魔化せる様にしてもらったのさ」

  • 136◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 11:33:48

    ウタ「ありがとう……ずっと守ってくれてたんだね、姉さん」

    ブリュレ「ホイップ……!」

    キャロット「ならもうウタは自由にしてもいいよね?」

    ブリュレ「それはあり得ない!!アンタら下級海賊如きにもう失態は犯さない!今度は絶対に奪わせないよ!アタシたちの大事な妹なんだ!!!」

    ウタ「……私も、ビッグマム海賊団を離れるつもりは……ないよ」

    ゴードン「そんな!ルフィくんと冒険するチャンスなのだぞ!こんな機会はもう二度とない!」

    ブリュレ「本当かいホイップ!……良かった!」

    ナミ「どうして!?」

    チョッパー「一緒に行こうぜ!楽しいんだぞ!!冒険は!!!」

    キャロット「麦わらの一味!少しいるだけだけど楽しいよ!

    ペドロ「…………恐怖か。心に刻まれた恐怖を拭い去るのは難しい……希望があろうがそれ以上のものに潰されてしまう」

    ジンベエ「長年の恐怖……魚人たちもそう言ったものに悩まされ続けておる……思った以上に時間とは恐ろしいものじゃ」

  • 137◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 11:46:59

    ウタ「うん…………」チャプッ

    ゴードン「その通り……故に、ウタは苦しんだ」モソモソ

    ナミ「まずはアンタ達の縛られてる間抜けな絵面はなんとかしたいけど……ウタ、能力は使わないって誓う?」

    ウタ「いいの?私、ウタウタの力使うかもしれないよ?」

    ペドロ「止めろナミ。……確かにこの娘の悲劇は本当かもしれない……だがそれとこれとは話が別だ」

    ゴードン「大丈夫だ!私のウタを信じてくれ!」

    ナミ「でも……!」

    ジンベエ「恐怖とは目の前に本人がいるかいないかに関わらずそやつを縛る……ワシの隙を突いて歌われたならば難しいか」

    ペドロ「その通り。この作戦はただでさえ綱渡りなのだ。万が一を増やしてはいけない」

    ゴードン「この通りだ!頼む!!」

    チョッパー・キャロット「「いいだろ(でしょ)?ペドロ〜♡」」

  • 138◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 12:01:52

    ペドロ「!……ならんならん!!せめてブルックを見つけるまではダメだ!」

    ウタ「…………好きにどうぞ。骨の音楽家でしょ?」

    チョッパー「知ってるのか!?」

    ナミ「確かソウルキングって名前で有名だから……同業他社ってところかしら、そりゃ知ってるわよね」

    ウタ「1番羨ましかった人だから。……多分居場所は……あそこだよね……ブリュレ姉さん!骨が魂を持ってて動き出す喋る音楽家はどうすると思う!?」

    ブリュレ「そりゃコレクションさ!それとも……はっ!もう言わないよ!」

    ペドロ「どこにいるんだ!?彼の囮になったはいいが所在不明!場所を教えてくれ!」

    ウタ「多分……ママの寝室。止めといた方がいいよ?命に関わる」

    「「「「「えっ!!??」」」」

    ブリュレ「ホイップ!……いやこれはむしろ都合が……」

    鏡世界に広がる叫び声。驚きと絶望が入り混じった大合唱はしかし外の世界には届かない。しかし彼らに道は残されてはいないのだ。鏡にビッグマムの寝室を聞くとやはり素直に鏡は答える。
    一行はブルックの下へと辿り着いたのだ。恐ろしい番犬3匹を従えた死の王に囚われたお骨様を取り戻す為に。

  • 139◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 12:14:54

    ウタ「やっぱりこうなってる……」

    キャロット「どど、どうしよう……!」

    ペドロ「まずは生きていたことは……喜ばしいが……!!」

    ナミ「……でかい!」

    チョッパー「あれが四皇の1人……ビッグマム!!」

    キャロット「どうしてブルックを抱いて寝てるの!?」

    ナミ「ブルックもすやすやと……!よく眠れるわね……!起きてブルック〜」

    ブリュレ「ウィッウィッあんな珍しい生きた骨をママが手放す訳がない!!」

    ホイップ「しばらくはあのまんまだろうし?……あぁなったら絶対に離さない……諦めた方がいいよ?」 

    ブリュレ「離すとしたら……ママ〜!!!ブリュレだよ!!!ホイップもいるんだ!!!!助けっ」

    チョッパー「やめろお前!」

    こうしてブリュレとディーゼルは口を塞がれ、ついでにウタはナミの手で口を塞がれる。ウタの頭を優しく撫でながらお願いだから騒がないでねと言われてしまいどこかウタは毒気を抜かれてしまう。
    そもそもバレたらゴードンを失うことになってしまう。ウタには、これ以上麦わらのルフィの仲間たちに敵対することも何もなかったかの様に味方として振る舞うことはできない。

  • 140◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 12:31:00

    「「「「「これをどうやって助けたら……」」」」」

    ゴードン「これは無謀すぎる……とは思うが……」

    チョッパー「でも……ブルックは助けなきゃいけねェ!仲間だから!!」

    ペドロ「しかしこれはどうしようも……!」

    キャロット「……!おとり!おとりのブルック人形造ろう!」

    ナミ「え……?」

    ジンベエ「ならほどのう……入れ替えてしまうということか」

    キャロット「そう!!ブルック人形を作ってね!

    ウタ「…………」

    ナミ「ごめんね、今手を離すから」

    ウタ「ママ相手にそんな!出来るわけ!!」

    チョッパー「出来なくてもやるんだ……出来る限りのことはやらなきゃ申し訳ねェし、そもそも出来ねェと思ってもそれが理由じゃ止めねェ!」

    ゴードン「…………これが、麦わらの……一味か」

    そしてそこからは麦わらの一味達による決死のブルック救出作戦。彼らは、彼女らは決して諦めない。お互いにそのままならば殺されることはないというのに、仲間だからという理由だけで危険を冒して死地へと向かう。
    その顔は恐怖や驚き、涙にまみれて無様なもので、最終的にバレそうになった挙句ジンベエに助けられるという形ではあったがそれを成し遂げた。

    ブルック「び!び、び、びっくりしたー!!何もかも!!!」

  • 141◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 12:37:31

    ナミ「びっくりなのは私たちの方よ!大きな声出すから!死ぬかと思ったじゃない!!」

    ブルック「私も死ぬかと!!いや死んでますけど!!!」

    ペドロ「とにかく……命があってよかった。……あの警備網を相手にロード歴史の本文(ポーネグリフ)を写し取るのは不可能だった……」
    「無理をいいゆガラの命を危険に晒してすまなかった」

    ゴードン「ほ、本当に成し遂げたのか……!四皇を相手に……!!!」

    ウタ「…………………………!!!」

    そう、麦わらの一味はやると言ったら決して止まらず……諦めない。必ず奪うといったら奪う。取り返すといったら取り返す。多くの人たちを巻き込みながら、徐々に大きく渦を広げながら。
    彼らもまたルフィの仲間。事を大きくすることも何かをやらかす何かを持っている。


    私も……こんな風に奪い取ってくれるのかな……


    トクン、トクンと心臓が熱く高鳴り始めるのを感じる。頬が熱くなり、それを抑えようと目を逸らして下唇を噛む。それでもまだ……抑えきれない。
    まるでお伽噺の様に、希望に満ちた冒険譚の如く。
    自分もルフィや彼らの様な素晴らしい人たちと、旅が出来るのだろうか。たまに兄弟姉妹のことを思い出しながらそれでも自由に海をかき分ける日々を過ごせるのだろうか。
    トクン……トクン。また喜びと期待に身体が反応する。

    恐怖が……またそれを冷まそうとする。やられた事を忘れたか。あの暴力を忘れたか。
    ホイップでいれば安全である事を忘れたか。
    身を守る為にお前はホイップになったのだ。
    自由になる資格はない。多くの人々を犠牲にしてでも手を取る機会はあったではないか。 それを無にして追い払い、目の前の人々の命を優先して自分の自由を代価に平和を望んだのではなかったか。
    またウタはその事実に身震いした。

  • 142◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 12:42:55

    ブルック「何を言いますか!それは我々の為!あなたの言う通り2人の侵入だからこそ生まれた千載一遇のチャンスだったんです!!」
    「いずれまたビッグ・マムから歴史の本文(ポーネグリフ)を奪おうとすれば海賊同士の全面戦争は避けて通れない!!」

    ウタ「そうだよ!……そうなれば四皇同士でさえどうなるか分からない対決になるし勝てる訳が……!」

    ブルック「おや、麗しいお嬢さん……捕まっているということはビッグ・マムの娘でしょうか?しかしお美しい!ヨホホホっ!」
    「ナミさん、コレ"写し"です。いやーそんなことよりペドロさんこそよくぞご無事で!!」

    ナミ「え?」ギョッ
    チョッパー「え?」ギョッ
    キャロット「え?」ギョッ
    ゴードン「え?」ギョギョッ
    ウタ「…………えっ!!??!!?」ギョギョギョッ

    ブルック「私も必死だったので囮作戦しか思いつかず!本当に申し訳ない!!」

    ナミ「待ってブルック!!この紙……」

    ブルック「"歴史の本文"の写しです!間一髪のところでビッグマムが来まして」

    ペドロ「手に入れていたのか!"将星"もいたあの護衛兵達を相手に!ビッグ・マムの"ロード歴史の本文(ポーネグリフ)"を!!」

    ブルック「ん?はい」

    ウタ「そんな訳ない!!1番ママが大切なものとして保管してたのに!」

    ブルック「ならばあなたをビッグ・マムの娘!それもこの声からして……ホイップさんでしょうか?……とお見受けして頼みます。これは本物かどうか…鑑定をお願いします」

  • 143二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 12:47:16

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  • 144◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 12:49:36

    ウタ「そんな!!ジンベエの親分さん!全体像を確認できる様に私の樽!持ち上げて!」

    ジンベエ「ふむ、良かろう。万が一の盗難対策として偽物があったら困る。是非とも頼みたい」

    シャーロット・ホイップの歌詞とは、それだけでビッグマムの宝物庫行きに値する。
    壁や床が何度も張り替えられているのはその為だ。曲制作の為ならビッグマムの部屋すら使っていいと"ビッグ・マムに曲作りの様子を見せる"ことを条件に許されていた。
    何度も何度もビッグマムと共に宝物庫に行き、その財宝を自慢されているうち、歴史の本文(ポーネグリフ)は最も彼女に自慢された逸品の一つだった。
    何度かマムの監視の下、その全体像を見たことがある。作曲は、自分の過去をつなぎ合わせ、自分とのすり合わせをしながら行うものだ。記憶力が並ではそんなことはできはしない。映像記録として、ほとんど形を記憶しているのである。

    ウタ「鏡文字かもしれないから……鏡を見ながらになるけど……」

    楽譜とは音楽家にとっては言語であり、暗号であり、その形自体が芸術である。分野は違うものの一芸に秀でれば文字を書けないにせよ、図形として粗は少しあるものの判別できる程度には記憶していた。

    ウタ「一枚目…………………………本物」

    キャロット「本当!!?すごい!」

    ウタ「二枚目…………………………本物だ……」

    ナミ「流石はブルックね!!」

    チョッパー「すげェ!すげェ!」

    ペドロ「……ラスト三枚目は……どうだ」

    ウタ「……………………」

    ジンベエ「……………」

    ウタ「全部………………本物だよ。最低でも、何度も宝物庫で見た私でも……偽物だと分からない」

  • 145◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 12:59:35

    ナミ「すっっご〜〜い♡ブルック〜〜っ!!!」

    ブルック「ヨホホホ!!え…じゃパンツみせもらべブゥ!!」バキッ

    ジンベエ「宝物の間は親族でさえおいそれと入れん場所!大した男じゃ!!」

    チョッパー「あとはサンジを連れ戻すだけだ!!!」


    ビッグマムの恐怖に……絶対性に、今ヒビが入った。あれ程恐ろしく、強いママが。それに付き従う私たち家族が見張っていてなおこの人たちはそれを越えていく。
    特に歴史の本文(ポーネグリフ)は絶対不可侵であった筈。ロジャーに盗まれたらしいそれを見て激昂し二度と盗まれない様に厳重にしていた筈。家族の中でも歌詞が宝物庫に入ることの多いホイップはその厳重さを知っている。
    執着も知っている。ウタにはビッグマムが無限に大きな恐ろしい闇に見えていた。だからこそ闇に襲われない為ホイップというマントを着て身を守ってきた。暖かく、しかし重たいホイップという名のマントの重みを知っている。

    麦わらの一味という灯りはとても小さい。掲げるには小さく、まだ若い火。
    だが冷たい闇の中にあって決して指針はブレることなく、その小さな光を高く掲げて仲間達の未来を照らそうとしている。
    その光は大きく明るく、ついにウタの羽織っていたホイップというマントに触れた。まだ闇から吹く風は強く、そしてそこから来る熱い恐怖も、振りかかる刃の幻も消えた訳ではない。だがこの人たちは……どうなのだろうか。ウタの心に灯ってしまった火は恐怖の中にあってまだ消えない。

    ナミ「ルフィがサンジくんの下にいってるはず!探すわよ!!」

    あぁ、希望はまだ膨らんでいく。
    サンジとルフィがまだ来ていない。まだまだ光は増えていく。細い光がつながっていく。

  • 146◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 14:53:36

    さて、サンジとルフィが合流してそこで話されたのはベッジの裏切り計画。つまりはビッグ・マムの暗殺である。
    麦わらのルフィが船長として、カポネ・ギャング・ベッジに合うことを決め、鏡の世界に入った。
    ついにサンジ奪還組の麦わらの一味はサンジすらもある種掌中におさめ、合流した。

    サンジ「すまねェみんな……!おれのワガママでみんなの命を危険に晒すかもしれねェ……!」

    ナミ「辛気臭いこと言わないでよねっ!」

    サンジ「ぐわぁぁぁぁっ!痛いぜナミさん!!」

    ナミ「私を怖がらせた怨みでもういっぱぁつ!!」

    サンジ「ぐぼおぉぉぉお!」

    キャロット「オー……激しい……」

    ペドロ「黙っとけキャロット。アレに触れてはならん」

    ブルック「よかった!ご無事で!!」

    サンジ「おべぇばどぶびだらこべばぶびびびべぶんば(オメェはどう見たらこれが無事に見えるんだ)」

    ゴードン「こ……これが海賊のケジメ……」

    チョッパー「いやあれはナミがヤベェだけだ」

    ウタ「そう……ベッジもママを裏切るんだ…………シフォン姉さんは……あの事があるから……」

    ゴードン「しかし策謀の数々……この様な事態に、なるのか……」

  • 147◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 15:00:43

    ペドロ「冷静になれば分かることだ。あれ程の規模の海賊団、あれほどの圧政。どれほどビッグマムが強大であろうといつかは必ず無理が出る。覚えがあるのではないか?」

    ゴードン「……私の……隠蔽……」

    サンジ「んぉぉおお!!麗しのレディ!いやこの美しさはプリンセス!……でもなぜ樽の中に?」

    ウタ「あはは……シャーロット家の29女ムード大臣、シャーロット・ホイップです。同じ懸賞金額の仲間としてよろしくね」
    「因みに海水の入った樽に詰められて無力化されてます……悪魔の実の能力なので……ジンベエの親分さんに……」

    サンジ「何っ!?おいコラ!!こんな麗しく!可憐なレディにこんな仕打ちはねェだろクソジンベエ!!!」

    ジンベエ「クソとは何じゃクソとは!ホイップ姫はウタウタの実の能力者!!その体力を残せぬ様海水に入れて脱力させるしかないんじゃ!」

    サンジ「ウタウタの実って……あれか!?図鑑で読んだが……唄うだけで人を制し、操るという……」

    ジンベエ「そうじゃ!そしてホイップ姫は勿論覚醒済み!音符を具現化することも!ウタウタワールドを現実に展開することも!歌の力を身体に宿らせて攻撃力を増すことも可能!」

    サンジ「だからといって!レディをこんな扱いをしていい訳がねェ!!反省しろ!」

    ジンベエ「じゃかァしい!!」

    ルフィ「ごめん、ジンベエ。一回ウタを開放してやってくれ」

    ペドロ「ルフィ!いくらゆガラの頼みとはいえ危険すぎる!」

    ナミ「…………私も多分……もう大丈夫だと思う……」

    ブルック「彼女には恐らく……敵意はもうありません。私も先ほど事情は簡単に伺いましたがそんなことをする様な人物ではないでしょう」

    チョッパー「一応おれ!耳栓しとくよ!!」

  • 148◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 15:10:45

    ルフィ「いや……ウタを信じろ!頼む」

    ゴードン「こんな……人物だったのか……麦わらのルフィとは……竹を割った様な、とはこのことか……」

    ペドロとジンベエはお互いを向き合い、目配せをする。こうなればルフィは強情だ。テコでも動かない。今後の話をスムーズに進めるためにもウタを樽から解放することにした。
    解放されたウタはぐんと手足を伸ばしてストレッチをする。小さく骨が鳴り、心地よさそうに振る舞う。

    ウタ「ん〜♡スッキリした〜……ふぅ〜……ゴードンも解放していい?」

    ジンベエ「……ルフィも良いと言いそうじゃ、まぁ良かろう」

    サンジ「…………!濡れてスケスケの衣服が肌に張り付いて……んんセクスィーだぁ!プリンセス・ウタ!」

    ナミ「やめろスケベ!!」ゴシャッ

    ペドロ「……バカのことは置いておこう……我らは警戒は解かない。そのつもりでいてくれ」

    ウタ「…………ありがとう。……服はすっかりダメになっちゃったけど……」

    ブリュレ「ほごっふ!ほこほごごほっごごご!!(ホイップ!ウタウタでやっとくれ!!)」

    ディーゼル「ほこっふほほ〜!(ホイップさま〜!)」

    パッと姿勢を正し、海水で濡れてしまったパンケーキ型ドレスの水を絞りなんとかルフィとウタは再び向かい合う形となる。
    ウタは腰に手を当てて威圧する様なポーズを取るもののルフィの真っ直ぐな瞳に捉えられてビクッと身体が動いてしまい、ヘナヘナと体を小さくしてモジモジとし始めた。
    今度こそ姿勢を正すと一回お辞儀をしてルフィに話しかける。

    ルフィ「どうしたんだウタ?」

    ウタ「なんでもない!……改めて……私はシャーロット・ホイップだよ」

  • 149◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 15:12:21

    ルフィ「改めてなんか知らねェ。お前は仲間だ!ウタ!!」

    ウタ「……ふふっ、もう……ここでだけなら、ウタで、いいよ」

    ルフィ「なぁ!仲間になってくれよォ!一緒に冒険しよう!!おれ!新時代を作る方法がやっと分かったんだ!」

    ウタ「……!!」

    ルフィ「海賊王になるっ!ワンピースを見つけてそこから始まるんだ!」

    ウタ「私、わたし……には、家族がいるの!もう新時代のこととか!どうやって作ろうとしたのかも覚えてないの!!ルフィと誓ったことは覚えてるのに!!!」

    ルフィ「……ウタの好きなものってなんだよ」

    ウタ「……シャンクスとルフィと、ゴードン。……ホイップクリームが沢山かかったパンケーキと……音楽」

    ルフィ「…そんなんじゃおれのライバルにはなれねェ!!!おれが勝つ!絶対に今のお前なんかに負けねェ!!!」

  • 150◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 15:16:52

    ウタ「私の歌がアンタの夢なんかに負けると思ってんの!!」

    ルフィ「だってもうおれの方が強いからな!!不思議石の写しだって2つ持ってる!!」

    ウタ「なによ!私だって万国(トットランド)中の人達みんなに知られてんだから!他の島にだって私のスポンサー沢山いるんだからね!新世界じゃ1番有名な歌姫なんだ!」

    ルフィ「なんでそんなことしてんだよ?」

    ウタ「私の歌でみんなに幸せになってもらうために決まってんじゃん!!」

    ルフィ「ほらな、忘れてねェ」

    ウタ「……………っ」

    ルフィ「……そこまで頑張ったお前がなんで!!自由に笑えねェんだ!!」

    ウタ「…………」

    ウタ「あんなに綺麗に笑ってたじゃねェかよ!おれはもう仲間が無理して言う嘘はイヤなんだ!!!」

    ウタ「…………なんで」

  • 151◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 15:21:03

    ルフィ「なんでって…‥おかしいこと言うんだなァ〜」

    ウタ「なんで…‥気付いてくれるの……なんで気付いちゃうの……?ずっと酷いこと、言ってたのに」

    ルフィ「お前はあんなこと思ってねェ。優しいところも変わってねェ!」

    ウタ「私がビッグマムの所にいる理由……もう聞かないの?」

    ルフィ「言いたくねェんだろ?なら聞かねェ。それよりウタが泣かす奴はぶっ飛ばす!!!」

    ウタ「わ……私……ほ、ホイップ……」

    ルフィ「お前はウタだ!新時代作るって言ってたウタだ!!!」

    ウタ「マ……ママに話を聞かなきゃ!私!」

    ルフィ「……!」


    ルフィがウタを抱きしめた。トクントクンと胸が震える。暖かい。そこにあったのは人を引っ張っていく優しさ、決して夢を笑わない強さ。何度折れても立ち上がるその熱にウタはついに浮かされる。小さな光の熱に触れてポロッと心の仮面が落ちた。

  • 152◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 15:23:54

    ルフィ「おれにも大切なヤツの声くらい……届く!!!」

    ウタ「る……ふぃ……!るふぃ!ルフィ!!」

    ルフィ「一緒に冒険しよう!!!」

    ウタ「………………!!」

    ルフィ「………………」

    ウタ「助けてルフィっっっ!!!」


    ウタ「もういや!!!!みんな優しいのに!!!みんな家族なのにっっっっ!本当に家族なのに!!!私だけが私じゃなくて!一緒に笑ってるの!楽しいの!!!ママも!お兄ちゃんも!お姉ちゃんも!妹も!!弟も!!!!」


    「でもね……嫌なの……なんでだろう…………私……自由に……なりたいよ……」

    「私は……っ!!!ウタだよっっ!!!ウタなの……!!!」

    ルフィ「当たり前だ。ずっと言ってるじゃねェか」

    ウタ「逃げたい!逃げたいよぉ………!!!こんな所はもう嫌!もう怖いのは……いや」

    ルフィ「シシシッ!なら一緒にサンジの結婚式ぶっ壊しちまおう!」

    ウタ「でも……そんなの…………できっこないじゃん!!」

    ルフィ「おれ達がやるとこ見ててくれよウタ。おれがビッグマムからお前とサンジを取り返すところ!!!」

  • 153二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 15:24:35

    よし!言ったな!!

  • 154二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 15:25:16

    !!!

  • 155◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 15:55:38

    ウタはルフィの腕の中で泣いた。山にいたあの時の様に、大声で泣いた。もう一晩中泣くことはないけれど、それほど子どもじゃないけれど。
    やっぱりルフィはルフィだ。ずっと変わらなかったんだ。強くなって成長して……いつの間にか私よりずっとしっかりする子になっちゃったけど。何かを決めたら真っ直ぐ進んで止まらないところは全く変わっていなかったんだ。
    ルフィはウタを抱き締めたまま、みんなに向かって宣言をする。

    ルフィ「みんな!今からウタを仲間にする!いいな!!!」

    「「「「「「「勿論!!」」」」」」」

    ウタ「……わた、私……」

    ゴードン「ありがとう……麦わらの一味……ありがとう……ルフィくん……!!わ゛だじばっ!!!な゛ん゛で感謝したら゛!!!」

    ルフィ「なんだこのおっさん。お前らの知り合いか?」

    サンジ「……おれ達は合流したのが最後だからな。このジジイの事情を知らねェ」

    チョッパー「なんて事言うんだサンジ!ルフィ!!この人は!この人はなァ!!!」

    キャロット「シャンクス?って人が手放さざるを行けなくなった時!ずっと助けてくれてた人なんだよ!」

    ナミ「ずっとウタを支えて来たのよ!?」

    ペドロ「私も聞いている……大恩人だ」

    ジンベエ「よく聞いていた"シャーロット家にあって人を殺した事がない"という噂も、このゴードンという男が育ててこそじゃったろう」

    サンジ「そんな……!この儚くも美しいプリンセスを救ったのがこのパパ君!?」

    ゴードン「一応言うがパパではない。保護者だ」

  • 156◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 15:58:39

    ゴードン「一応言うがパパではない。保護者だ」

    サンジ「なるほど……」

    ウタ「でもね、私はシャンクスの娘でゴードンの娘なの!!」

    ゴードン「ありがとう……ウタ……」

    ウタ「だからママ!」

    ゴードン「ママではないと言ってるだろう?何回言ったら分かるんだ…!」

    サンジ「ママ君であらせられましたかマダム……!」

    ナミ「収集がつかんわ!」

    ブルック「ヨホホホっ!御二方に改めましてパンツの方」

    ナミ「便乗すな!」

    ルフィ「おぅ!とにかくありがとな!ほっしゃん!」

    ゴードン「ゴードンだ。ゴードンでいい」

    ルフィ「分かった!ごっつぁん!!」

    ナミ「アンタは義理の親の名前ってもんをもっと大事にしろ!!!」

  • 157◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 16:03:47

    ブルック「さぁ皆さん祝いましょう!新たな仲間の加入を!!」

    ウタ「ま……まだ仲間になるか……」

    ブリュレ「アンタ……そんなに…………」

    ウタ「……ブリュレ姉さんのことは大好きだよ……みんな私に優しかったし……本当に愛してくれてたんだと思う」

    ブリュレ「アタシは認めないよ!!アンタが自分の部屋でどれほど泣いていたか知ってる!アタシだけじゃない!!みんな分かってる!!!」
    「アタシ達に話してくれても……よかったじゃないか……!ずっと支え合って来たんだよ……?」

    ウタ「うん……私もみんなのことは好き……だから私……結婚式には出る。……シャーロット・ホイップとして出るよ」

    ルフィ「お前まだ!!!!」

    ウタ「…………結婚式の演出もするし、ママの側にも……いる。……代わりにママにも、兄弟姉妹にも……ここのことは話さない」

    ペドロ「信じられるか!そんなことが!仮にも大臣!!貴様から情報が流れれば全てがご破産だ!!!」

    ウタ「代わりにね……これ、置いていくことにする」

  • 158◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 16:08:04

    ウタは左手にずっと付けられていた、アームカバーを外してルフィに見せる。少し絵は掠れているが、大事にされていて何度も手入れがされていることが窺える。
    ウタは歯を食いしばりながら苦しそうにそれを見つめると、みんなにその意味を伝えた。

    ウタ「わた……私の……支えだった……ものだよ」

    ナミ「これって……会った時も付けてたアームカバー?」

    ウタ「シャンクスたちを……追い払った時…………作ったの。せめて、せめてルフィのことだけは忘れない様にしようって。私にはもう何も出来ないけど……ルフィの作る新時代を待つ為の……マーク」

    ジンベエ「…………」

    ウタ「ルフィ……今、このマークとアームカバーに誓う。私は貴方達の邪魔も……情報も決して漏らさない。……ムード大臣のシャーロット・ホイップとして、誓う……ウタとしても」

    チョッパー「…………」

    ルフィ「良いよそんなの!おれはお前を信じる!!!で、結婚式でサンジとお前をビッグマムからまた奪い返す!それで良いだろ?なァみんな!!」

    サンジ「囚われのプリンセスがいるなら仕方ない!この囚われのプリンスと共に!愛の逃避行を致しましょうプリンセス・ウタ!」

    チョッパー「うん!ウタもついでに貰っちゃおう!」

    キャロット「サンジ、ブルック、ロードポーネグリフ、ウタ!これだけ奪っちゃえば最高だね!」

    ブルック「ヨホホホッ!ビッグマムのナワバリに入った時から一度デュエットがしてみたいと思っていたのです!!」

    ペドロ「それだけにビッグマムの怒りはより大きなものになるぞ。……相応の覚悟が必要になる」

    ジンベエ「そしてそれほどのことをやらかすとなればやはり……ワシらだけでは人員不足の感は否めん」

    ナミ「強がりが酷くて見てられないもの!先輩として!私も助ける!!!」

  • 159二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 16:25:20

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  • 160◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 16:36:57

    ウタ「信じてるから預けるの。このアームカバー!……持っててルフィ」

    ルフィ「当たり前だ!絶対お前に返す!おれ達のサニー号で!!」

    ウタ「私を仲間にすると……ゴードンもついてくるけどいいの?」

    ゴードン「ぉ゛ぉ゛お゛ぉ゛お゛!!!ウタ!良かった!!本当に!!!良かった!!!」

    チョッパー「すんごい泣いてる……」

    サンジ「……男の涙ほどカッコ悪いものはねェ……立ってくれプリンセスのパパ。……ちゃんとプリンセス・ウタをエスコートしてやってほしい」

    ルフィ「ウタが気に入ってんだろ?連れてくよ」

    ウタ「今は……私が地下囚人図書館から行方不明になったのはバレてるはず。……だから私、その会議室に行く」
    「そこで……こう言うの…「麦わらのルフィ」を殺したって」

    ジンベエ「無茶じゃ!人を殺してないと有名なお主にそんなこと出来るはずが」

    ウタ「…………少し、少しの間だけ。麦わら帽子……貸して?」

    サンジ「プリンセス・ウタ!それは無茶だ!」

    ナミ「いくらなんでもそれは無理!」

    チョッパー「怒られるぞウタ!」

    ブルック「いくらなんでもそれは受け入れ難いと思われます。……それは船長にとっても大事な誓いですから」

    ルフィ「…………必要なんだな」

  • 161◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 16:38:16

    ウタ「……うん。ルフィが死んだってことに出来るからね……ビッグマム海賊団に情報流してたの私。私の家族にもどれだけ麦わら帽子が大切なのかは知ってるはず」

    ルフィ「…………………………」

    チョッパー「やっぱりダメだと思うけどなァおれ……」


    ルフィはしばらく悩んで、うんうんと頭を抱えた後、ポスっと麦わら帽子をウタの頭の上に被せた。一味は驚きのあまり声を失うが、ルフィはそれを意に介さない。ウタもいくらなんでも難しいかと思い別の物を提案しようとしたところでこの様な出来事が起き、困惑した。

    ウタ「シャンクスの帽子……本当にいいの?」

    ルフィ「……他の奴には絶対に触らせんなよ!!ずっと被っとけ」
    「必ず、おれの仲間になれ」

    ウタ「……仕方ないなぁ……分かった!そうするね!」

    ブリュレ「…………アタシは、それでもホイップは逃さないからね!!」
    「…………コイツらがみんな殺された後のことはアタシが言い繕ってやるよ……麦わらの一味に脅されたんだって、ママに言っとくから」

    ウタ「ありがとうブリュレ姉さん………ルフィ!!お願い!」

    ルフィ「なんだなんだ?」

    ウタ「……もう一回、私をビッグ・マムから奪い取って」

    ルフィ「……あァ!!必ずだ!!!」

    ウタ「鏡よ鏡!モンドール兄さん達が会議してる部屋近くの階段の鏡はどこ!!」

    「ここだよ〜」「こっちも近いよ!」「自然に出るならここだね!」「おれもイケてるぞ!」

  • 162◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 16:39:40

    鏡の騒がしい声と、麦わら帽子を相手に手渡し数時間もの間預けるというとんでもない行動に出たルフィ。その真意を正そうと一味から多くの質問や疑問やらが無限に飛び交う。
    それに対してルフィは笑いながらこう言った。

    「おれの大切な仲間だからな!!」

    太陽の様な笑顔に全員が全員何も言うことができなかった。

  • 163二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 20:05:40

    ho

  • 164二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 20:24:55

    ルフィがウタの心を溶かしお茶会編へ...

  • 165二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 20:43:46

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  • 166◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 20:49:33

    ドォン……パパァ〜……ン

    「始まるよ!始まるよ!」「ママのお茶会の時間だよ!」「遅刻!遅刻!豚車が通る!」

    ビッグ・マムの結婚式が始まる。歓楽街の女王を始めとした闇金の王が、世界経済新聞の社長が、葬儀屋が倉庫業の老舗が、海運の王が、理不尽が罷り通る搾取側の怪物達がさらなる怪物に招かれて城へと入っていく。
    ペロスペローによって作られたキャンディの芸術が遅れてやって来た彼らの身の安全と会場に至るまでの時間を守る。
    キラキラと輝く甘い飴に誘われてた子供達に対応していると、そこには麦わら帽子を被った姫がいた。その姿を見て喜んで兄であるペロスはウタに応えた。


    ウタ「これでゲストは大小に関わらず最終便かな、ペロス兄さん」

    ペロスペロー「その通りだなホイップ。……どちらにせよ今更遅れてくる様な者に情けは要らない。送り返せ」

    ウタ「ふんふふふふん♪……」

    ペロスペロー「麦わら帽子を被りながら鼻歌とは機嫌がいいな」
    「……初めての殺しが……麦わらのルフィ殺害がそんなに楽しかったか?」

    ウタ「ふふ……♪どーかなー」

    ペロスペロー「よほど楽しかったらしい……何よりだ♪ペロリン。今までお前はろくに人も殺せなかったからな。身を守れなくなるんじゃないかと心配だったんだ」

    ウタ「天神(アマデウス)で会場の演出しながら……正門警備のための音符兵の展開も……結構難しいけど楽しいし……」

    ペロスペロー「ほほぅ!同時にやっているのか!一皮剥けた様だな!心が開放されればお前の様な能力者は想像を越える成長をするもんだ!」
    「ホイップは殺害だったのが少し不思議だが……その点はその帽子の持ち主に感謝しなければな、ペロリン♪」

    ウタ「…………ウミウシ達がジグラの同業者を捕捉したみたい……どうする?」

    ペロスペロー「殺す……のはまだ慣れていないだろうから、半殺しにして追い返せ、ペロリン……万が一関門の前に辿り着いたとしても無駄だ。カタクリが守っているはずだからな」

  • 167◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 20:51:11

    ウタ「クラッカー兄さんほどの質はないけど数はいるよ?だから……」

    遠くの方で、一つ叫び声がする。大きな大きな叫び声だがその音をよく聞くと複雑に折り重なった多数の人間達による戦闘を始める前の戦意高揚の為の掛け声であることがわかった。
    ガヤガヤとやってくる臓器業者達。ペロスペローは門に寄り掛かり、様子を見る。


    きゃぁぁぁあ!賊よ!!族が来たわ!!!
    助けてくださいペロスペロー様!ホイップ様!!

    救いを求める声がする。目の前の暴力を目の前にして震えるしかない人達が存在する。ウタはまだホイップとして、目の前の人を守る人間として立っている。大袈裟な身振り手振りや

    ウタ「大丈夫だよみんな!安心して!!こ〜んな悪くて!弱そうな人たちはパパって片付けちゃうからね!」

    臓器業者達「なんだと!?……おれ達はジグラに頼まれてここまで来たんだ」
    「心臓を貰うぜ!菓子作りの歌姫!」

    市民達「ホイップ様〜!!」「きゃー可愛いー!」「いつものように歌いながらやっちゃってください!」「ありがとう〜!!」

    ウタ「行くよ!みんな!手を叩いてリズムを取って!」
    「じゃあ……"逆光"!!!」


    ******


    ペロスペロー「相変わらずの戦闘力だなホイップ……捕らえた後、市民さえもウタウタの力で楽しませてショーにしてしまうとは!」

    ウタ「ウタウタワールドの中でしか本領を発揮できなかった曲も使えるようになって来たんだよね……なんでかな?」

  • 168◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 20:54:00

    ペロスペロー「さァな。能力者の感覚は自身の身に許された特殊なものだ……おれがどの様に飴を操作してるのかなど分からんだろう?」

    ウタ「うん、全然分かんない」

    ペロスペロー「おれもそろそろ解除へ行くが……どうだ?ついて行くか?」

    ウタ「ありがとうペロス兄さん!でも大丈夫!!私今すごく身体が軽いから!……圧縮足・輪舞曲(プレストゥ・ロンド)!!」

    ペロスペロー「……出会った時の弱々しさが嘘の様だな」
    「……麦わらのルフィ討伐やカスどもの撃退、お茶会の材料集め、ナワバリ拡大……あの子はどれほど大きくなって行くのだろうな…ペロリン」

  • 169◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 21:06:46

    一方、こちらはヴィンスモーク・サンジとシャーロット・プリンの結婚式会場の外。
    "ルーク"ベッジの警備範囲内にて。


    ヴィト「スゲェ……!!頭目!スゲェ!今世経の社長とジェルマの親玉が話してるレロ!!」

    ベッジ「口と耳がありゃあ話くらいすんだろう」

    ヴィト「まぁ……しかし尋常じゃないパーティレロ…!!」
    「長男ペロスペロー、長女コンポート!……次男"将星"カタクリに14女"将星"スムージー……3男ダイフクに4男オーブン……29女のホイップ……!」

    ベッジ「……ホイップは敵じゃねェと……こちら側に取り込んだと聞くが……期待しねェ方がいいだろう。加えて先ほど確認したところ天神(アマデウス)と能力自体がさらに強化されてやがる……!」

    ヴィト「マジレロ!?頭目!!そうなるとおれ達は能力の影響下に落ちた時点で詰むレロよ!?」

    ベッジ「いや、今の所は天神(アマデウス)で操作してるらしい。間違いなくここは現実だ」
    「しかし暗殺時にビッグマムの奇声で打ち消せなければウタウタの実はヤバいことになるだろう……そして奴の"人の望みを聞く"見聞色はカタクリには遥かにおよばねェが厄介だ……!」

    ヴィト「味方だと思ってるうちは心強かったがこれが全員敵に回ると思うとゾッとするレロ」

    パラパラと火薬の音が鳴り始めた。
    大歓声、人々の喜び、それを騒ぐ人たちの欲は止まらない。
    お茶会兼式場の中では様々な話題が俎上に上る。単純な祝辞、それへの対応、情報交換、そしてビジネス。……そしてただの自慢話をするものもここに1人。
    ヴィンスモーク家の次男、ニジである。それに対応するため3人のシャーロット家の女が選ばれている。足長族のシナモン、人間のガレットとホイップ、つまりはウタがそれに対応していた。

  • 170◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 21:09:37

    ニジ「その戦争の時おれの放った電撃が奴らの頭上を駆け巡り!!最終的に前線の舞台を全滅させた!」

    シナモン「その勇姿、私も見てみたかったわ!」

    ガレット「今そう言う電撃は出せるのかしら?」

    ニジ「いや!この状態のおれ達は外骨格や運動量増強の様な基礎機能だけだ!!全ての秘密はレイドスーツにこそある」

    ウタ「……でもジェルマも大変だね、戦争ばかりで」

    ニジ「そうとも言い切れねェ!おれ達は戦争してなんぼ!!戦場を駆け巡るのが本来の姿だ!!敵を丸焦げにして口から煙を出させる時が最高だ!!」

    ウタ「戦士……なんだね。……シナモン姉さん、ガレット姉さん……私」

    シナモン「ごめん!気が利かなかったね!ガレット!介抱してあげて!」

    ガレット「こっちおいで、ホイップ」

    ウタ「ありがとうガレット姉さん」

    ガレット「……ここまで来れば、大丈夫よ」

    ウタ「ありがとう、いつも守ってくれて」

    ガレット「そんなのなんてことないわ。それよりマリッジブルーにはまだ早いわよ?」

    ウタ「ううん……結婚式のせいかな!なんか感傷的になっちゃって……」

  • 171二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 21:19:10

    このレスは削除されています

  • 172◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 21:21:20

    ガレット「ほら、おいで……」

    ウタ「えへへ……ありがとう、ガレット姉さん」

    ガレット「…………愛してるわ」

    ウタ「やめてよ!ここだと変な意味に聞こえちゃう!!」

    ガレット「ここにいるみんな、そう思ってるのよ?……あんなあなたが初めて私の部屋に来てくれた時のこと思い出しちゃってね」

    ウタ「私もそろそろお兄ちゃんお姉ちゃん離れしないとダメかな?」

    ガレット「そんな寂しいこと言わないで。あと数年はこうしていたいわ」

    ウタ「そうなると私が20半ばで姉さんは30半ばでしょ?キツいと思うけどなぁ」

    ガレット「じゃあそろそろ諦めようかしら」

    ウタ「そうして♪……あとカタクリ兄さんにもありがとうって言いたいな」

    ガレット「カタクリ兄さんは忙しいの。多分無理だと思うけれど」
    「……?そろそろ始まる頃。……ウタウタので眠らせるのは駄目よ。でも万が一にも逃さない様に天神(アマデウス)はいつでも発動できる様にしてて」

    ウタ「はーい」

    ガレット「じゃあ私はあのジェルマの青髪相手してくるから」

    ウタ「ガレット姉さん!!本当にありがとう!!」

    ガレット「バカ。明日のおやつはガレット・デ・ロワだからね!」

  • 173二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 21:23:00

    このレスは削除されています

  • 174二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 21:24:43

    姉妹仲は普通によかったのが辛いな...まあ本誌の展開によってはこれから再び共闘できる日が来ることを祈ろう

  • 175貼りミス多くて申し訳ないです22/11/12(土) 21:26:08

    パンナ「あっ、いたいた!!ホイップ」

    ウタ「パンナお姉ちゃん!どうしたの?」

    パンナ「何パンナお姉ちゃんって……いつも姉さん呼びなのにおかしいの!……パンケーキ取ってきたの!」

    ウタ「……!ありがとう!!」

    これが、本当の家族であり……誘拐される形で戻ってきた奇妙な姉妹の最後の会話だった。木端海賊によって攫われてから歪められた人生はもう決して元に戻ることはなかった。姉妹も、兄弟も、本当に愛していた。
    恐怖の統治から始まったはずの関係はいつしかビッグマムから自らの身を守ると言う形で固く結ばれていたのである。
    だがもうウタの心は止めることが出来ない。彼女の魂は自由な冒険へと向いていたのだ。決して兄弟姉妹と交わることのない果てしない道へと。

  • 176二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 21:29:02

    兄弟の愛は本物だろうけど全部ビッグマムに帰結してる以上ウタにとっては苦しみになっちゃうからな…

  • 177◆tsGpSwX8mo22/11/12(土) 21:32:03

    今日の更新はここまでです。
    次回の更新はお茶会事件編とビッグマム海賊団追討編、つまりは最終回です
    今回は画像SSの更新はございませんのでよろしくお願いします

  • 178二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 06:32:08

    このレスは削除されています

  • 179◆tsGpSwX8mo22/11/13(日) 06:34:31

    時は進み、ビッグマムが望んだ結末であるジェルマ殺害も、ウェディングケーキを食することも出来ず。マザーカルメルの写真立てが破壊された時期にまでに至る。
    暗殺と失敗に打ちひしがれる中、追撃が始まった。ビッグマムの奇声は収まり始め、会場全体をウタの声ならば響かせられる程度のものになった。この時を置いてみんなのサポートをしつつ逃げる機会はないと、ウタは大きく息を吸い、ウタウタの本来の力を使おうとする。

    カタクリ「止めろホイップ!!お前の能力は……!」

    ホイップ「私今から歌うよ!いくね!」

    カタクリがウタが唄い始めるより早くモチの耳栓をつけさせる。家族たちもみんなウタウタの力を認識している為一切の油断なくその音をシャットダウンした、。歌い始めで夢の中へ追い込まれたのは事情を知らない闇の帝王の一部、具体的にはステューシーとモルガンズを除いた全てが夢の世界に落ちただけである。

    ステューシー「…………」

    モルガンズ「お茶会の崩壊と菓子作りの歌姫の能力使用!この絵を同時に観られるのは今ここを置いて他にあるかよ!!」パシャカシャ

  • 180二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 06:44:11

    次も期待

  • 181◆tsGpSwX8mo22/11/13(日) 06:55:03

    カタクリ「………………なぜお前が俺たちを眠らせる……」

    ウタ「……!麦わら達も耳栓付けてる!!!これじゃあ………」

    ダイフク「おれがヴィンスモークの三男を抑える。お前は役立たずじゃねェよな!?ホイップ!!」

    オーブン「ホイップ!存分にぶん殴ってやれ!!!」


    くっ……カタクリ兄さんはみんなを眠らせる未来が見えたんだ………!
    仕方ない!天神(アマデウス)を展開して音符兵達をたくさん召喚して混乱させるしか……!

    そう思いついたウタは結婚式の始まりの為に演出を止め天神(アマデウス)を終わらせていたのだが、かなりの体力を使ってそれを引き出した。
    限界も近く、眠気も襲う。だが彼女には寝ることが出来ないほどの熱がある。それが彼女を眠らせない。

    ウタ「……ふぅ〜……はぁ……はぁ……音符兵召喚するよ!理想と夢の具現化……天神(アマデウス)」ビキィッ!!

  • 182◆tsGpSwX8mo22/11/13(日) 07:59:24

    ペロスペロー「やめるんだホイップ、ペロリン!!お前の天神(アマデウス)は負担も規模もデカすぎる!!」

    スムージー「しかし万が一も許してはならん……やらせるしかないか……?」

    ガレット「ホイップを信じましょう」

    ウタ「"ウタカタララバイ"いくよ!!」

    カタクリ「……何故こうも今まで天神では展開できなかった歌を唄える……!」


    ひとりぼっちには飽き飽きなの♪
    繋がっていたいの♪
    純真無垢な思いのまま♪
    LOUDOUT♪

    ヴィト「お、音符兵に押されて……吹き飛ばされるレロ!!」

    シーザー「麦わらの奴やはり見栄を張って嘘つきやがったんだ!!」

    ベッジ「くそっ、麦わらの奴やはり嘘を!……だが音符と兵隊で奴らの視界が塞がれたのは丁度いい!!」
    「城(ルーク)イン・フォラ・グレーセ!!「大頭目(ビッグ・ファーザー)」!!!」

    ウタは得意のダンスと歌をしながら次々とファイアタンク海賊団の仲間たちを音符兵が吹き飛ばしていく。音符兵はさらに強化されており、麦わら達やなのある戦闘員なら捕まりはせず吹っ飛ばされもしないが徐々にベッジの方へと押されていった。

    「……はんっ!歌姫!しくじってやがる!わざわざ頭目(ファーザー)の近くに飛ばすとは!」

  • 183◆tsGpSwX8mo22/11/13(日) 08:13:32

    最前線で踊るウタを見て、ルフィは目を輝かせる。なんとも楽しそうに笑いながらパフォーマンスをこなし美しい声を披露し敵味方無差別に魅了する。これこそがウタ。麦わらのルフィが知っているウタの姿。

    ルフィ「やっぱりお前は強くなった!ウタ!!お前を今から奪う!」

    ウタ「…………!ルフィ!!」

    ルフィ「結婚式はぶち壊してやった!写真もぶっ壊した!後はお前だけだウタ!!!」

    ウタ「腕で巻き取るなんて……キャァアッ!」

    カタクリ「……!麦わらの"ルフィ"!!やはり貴様はあのルフィか!!!」

    ルフィ「ヤベェ!!」

    ジンベエ「紅茶(かいりゅう)一本背負い!!」
    「決してホイップ姫を逃すな!」

    カタクリ「………ブリュレは返して貰うぞ」

    ガレット「兄さん!ホイップが!」

    ブリュレ「カタクリお兄ちゃん!ホイップ!ホイップが!!」

    スムージー「ホイップ!…ベッジめ、人質のつもりか……」

    モンドール「ベッジ!!シーザー!!!麦わらぁぁ!!生かしちゃおかねェぞ!!」

    オーブン「何故ホイップがあいつら如きに捕まる!?」

    ダイフク「役立たずどころか足手まといとはな……取り返して説教もんだ」

  • 184◆tsGpSwX8mo22/11/13(日) 08:14:44

    次々と麦わらの一味が捕まっていく。危機は刻々と迫っていく。ウタは震えながらそれを見守りざるを得ない。やはり駄目だったのか、自分が裏切ったことを表明してでも助けるべきだ。ウタウタの力を使おうとしたその時。ジェルマが、悪の組織たちが麦わらの一味を救い出し、無事にベッジの中へと入っていく。

    ルフィ「大丈夫だウタ。言ったろ?サンジとウタを取り返すって!見ろ!!サンジの家族がいる!」
    「ありがとうウタ!あのヘンテコ音符を使っておれ達を助けてくれたんだろ!?」

    ウタ「ふふ……私はホイップだよ?ほらほらまだ終わってないよ?麦わら帽子も……」

    ルフィ「よし!麦わら帽子も"取り返した"!」
    「ビッグマム!!!お前のホイップは!ウタは!!おれが貰っていくからな!!!」

    ビッグマム「……!あァ!?ふざけんじゃねェ!ホイップはおれのもんだ!!おれの兵器!巨人族に代わるおれの力だぁぁあ!!!」

    ウタ「…………」ポロ……ッ

    ルフィ「おれは!お前をぶん殴って!!おれは仲間と海に出る!!!」

  • 185◆tsGpSwX8mo22/11/13(日) 09:03:59

    全てが収束へと向かっていく。終わりは近い。
    麦わらの一味とカポネ・ギャング・ベッジはナワバリの外周地帯に入り込み、その殿をジェルマ66とジンベエの率いる魚人海賊団が引き受けた。
    喧騒、戦争、恐怖の追討。ただでさえ執念深い海賊団。家族が攫われたとあっては、それも2度目とあっては決して許すことはできない。距離はどんどん近づいていく。

    ルフィ「ヤベェ!これじゃ追いつかれる!!」

    ナミ「天候は掴んだ!波も上々!なんで……?」

    ブルック「クー・ド・バーストの充填にはまだ時間が掛かります!少し待っていてください!」

    チョッパー「ナミ!舵取りはこれでいいのか!?」

    ナミ「3度左に調整!まだまだ海は荒れるわよ!」

    キャロット「……わ、私も……」

    ウタ「無理しちゃ駄目だよ!休んでなきゃ……」

    ゴードン「私に出来ることは!?」

    ナミ「チョッパーだけじゃ手が足りない!サポートをお願い!!」

    鏡の世界
    麦わらのルフィに撃破された後。ブリュレとカタクリは改めて言葉を交わし合い、お互いの心内を知った後。

    ブリュレ「……ごめんお兄ちゃん。 "フランケン"もどこか行っちゃった」

    カタクリ「…………麦わらの"ルフィ"か」

  • 186◆tsGpSwX8mo22/11/13(日) 09:05:23

    ブリュレ「…………ホイップも、攫われちゃった…….」
    「どうしようお兄ちゃん!またママに捕まったら!」

    カタクリ「……自分の意志で逃げたんだろう。……今度は簡単には捕まりやしない」

    ブリュレ「アタシ麦わらのことは許せない!!けど……」

    カタクリ「はっ……おかしいこともあるもんだ。おれ達は家族を取り戻さなきゃいけねェのに」

    ブリュレ「……麦わらが逃げたって行った時嬉しそうだったのに、今度は悔しそう」

    カタクリ「今回くらい……アイツの門出を見守ってやりたかった」

    ブリュレ「……そうね」

    カタクリ「俺は…………クソッ……最後まで守って……やれなかった……!!」

    ブリュレ「そんなこと……ないわよ。フランケン……ゴードン王のことだってあんなに頼み込んできたじゃない」


    ビッグマム海賊によるエレジア襲撃後、ホールケーキアイランドに到着した直後の翌日の鏡の世界にて。


    カタクリ「……ここまでを知ってる奴はガレットを除いて他にはいない。頼むブリュレ!こいつを匿ってやってくれないか……」

    ブリュレ「えぇぇぇえ!!でもそれは明らかなママへの裏切りだよ!お兄ちゃんがそんなことしたのバレたら私受け入れられない!」

    カタクリ「…………ホイップの育ての親なんだ。……おれ達が側に居てやれなかった時の」

  • 187◆tsGpSwX8mo22/11/13(日) 09:06:33

    ブリュレ「そうは言っても!」

    カタクリ「ホイップは奪還作戦の時の"怒りの軍団"の覇気や大砲に怯えていた」

    ブリュレ「そんな……!!」

    カタクリ「おれにそれを教え、ホイップを外に連れ出してくれたのは、このゴードンなんだ」
    「ホイップは、コイツが死んだとママに報告した時酷く動揺した。……もしも本当に殺せば二度とあの子の心は戻らない」

    ブリュレ「お兄ちゃんの見聞色が……そう判断させたの?」

    カタクリ「…………兄としての、当然の考えだ」

    ブリュレ「ウィ〜ウィッウィッ!良いよ!カタクリお兄ちゃん!!私のミラミラの実とお兄ちゃんのモチモチの実で全く違う姿に変えちまおう!そうすれば他の人に分かりゃしない!早速やろうじゃないか!!」

    カタクリ「あぁ。……ホイップの心を守ろう。おれ達が、あの子の盾になる」

    ******

    カタクリ「これは角餅という。俺の覇気を込めてあるから数時間程度ならそこそこの威力を発揮するはずだ。……クラッカー、オーブン、ヌストルテには特に見られるなよ」
    「そして。ママことビッグマム……シャーロット・リンリンには近づきもするな。基本はこのミロワールドで過ごせ。ブリュレに今後のことは頼んである」

    ゴードン「……何故これほどまでして私を守ろうと」

    カタクリ「お前はホイップを何年も育ててくれた。優しい子だ……優しすぎるほどに」

    ゴードン「私だけではない。シャンクスくん、赤髪海賊団との出会いや、ルフィくんとの出会いもまた」

    カタクリ「だが、それでも。……ありがとう」

  • 188◆tsGpSwX8mo22/11/13(日) 09:10:36

    ******

    ブリュレ「あの子、すごい喜んでたわ。ガレットからきいたよカタクリお兄ちゃんに……ありがとうだってさ」

    カタクリ「…………麦わら……っ!妹を……頼む……!!」

    現実世界。
    麦わらの一味追討とホイップ奪還の為の怒りの軍団はどう追い掛けても捕まらない。どう足掻こうとも手が届かない。怒りと無力に苛まれる家族たち。
    後少しが届かない。

    オーブン「熱海(ねっかい)…………!!」

    オーブン兄さんが焼いてくれたパンケーキが1番美味しいな!

    「……熱海っ、地獄!!」
    「おれ……たちのっ!俺たちの!妹がまた攫われた!!!今度はホイップ!!!ホイップが拐われた!二度とあの悲劇を繰り返すな!」

    ダイフク「ホイップよぉ……嫌なのは分かる。だが、戻ってこい。お前の力なら出来るだろ……じゃなきゃ"いつも通り"に、取り戻しにいくぞ」

    スムージー「何をしているホイップ!次期最高幹部としてのプライドと地位を捨てるのか!」
    「……皆のもの!追撃!ホイップを取り戻せ!……あの子がどう思っていても!ママの面子を潰すなよ!」

    ペロスペロー「ママ!ホイップが攫われちまう!麦わらよりホイップの確保が優先だ!あの無謀なガキに任せたらホイップが死ぬことになりかねないぜ……くそっ!」

    ビッグマム「この力…………ウタウタかい!?これは……!!舐めやがってホイップぅぅぅう!!!逃さねぇ!ぜってぇ逃さねェ!!おれの夢を!新時代を待ってるんじゃなかったのかよ!!!」

  • 189◆tsGpSwX8mo22/11/13(日) 09:20:53

    プリン「ホイップ姉さん……いってらっしゃい…………サンジさん…………っ!!」

    パンナ「…………逃げちゃえ、ホイップ。ママの手の届かないところまで、行っちゃえ」
    「私、あなたのお姉ちゃんだもん。やりたいこと……応援するよ……」

    ウタ「ママ!私!私はね!!!アンタの道具!止める!!!!!バイバイクソババア!!!ベーーっ!」
    「私!ルフィと行くことにしたの!!新しい時代を作る為に!!!」

    ビッグマム「テメ……この……クソ……………この!!!親不孝モンがぁぁぁぁぁあ!!!」

    ウタ「アンタに孝なんて!!!感じてなーーーい!!!」

    ルフィ「シシシ!言ってやったなウタ」

    ウタ「うん!ハイタッチ!」

    ルフィ「行くぞ野郎ども!!次の冒険へ!ワノ国へ!!!」

    ******

    で、もうこれでホイップじゃなくてウタだな!

    止めないよ、私……一応まだシャーロット家のつもり。

    なんでだよ!良いじゃねェかあんな奴ら!

    そんなこと言わないで?ママ……ビッグマムはともかく、兄さんも、姉さんも、妹も、弟も、私大好きなんだから!

    だから私は「シャーロット・ホイップでウタ」なの!

  • 190◆tsGpSwX8mo22/11/13(日) 09:30:02

    これにて『ウタ「ウタ……何それ?私はシャーロット・ホイップだよ?」』の長編SSシリーズは終了です。
    1週間以上に渡りコメント、応援などありがとうございました。

    このホイップウタは正直言ってしまうと武装色や見聞色に優れていても本編に比べて遥かにウタウタの能力が抑えられていました。
    理由は「夢を見られないほど、想像力が失われる程ビッグマムに押さえつけられていたから」です。『新時代』がこのSS内に最後まで登場しなかったのはそれが理由です。
    自由という力を手にすることの出来た「シャーロット・ホイップのウタ」はこれから広い世界を旅していく内にさらに想像力を鍛えられていくことになるでしょう。『新時代』を歌い、さらなる飛躍が出来るほどに。
    彼女の未来は皆様のご想像次第です。
    改めてここまでのご閲覧ありがとうございました。

  • 191二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 09:39:28

    >>190

    素晴らしいssだった…語りつがれる

    しかし本当に優しいよウタは。どうであれママの支配に協力してた兄弟姉妹に中指立ててもいいのに、それでも家族と呼ぶとは…敵わぬ…

    ゴードンママとも幸せになれてよかったね、この後シャンクスと電話でもいいから話して欲しいね…

    あとは一味と一緒に幸せな冒険続けてほしいね

    とにかくウタは救われてよかった! あばよクソババア! この後盛大にシャンクスにしばかれろよ!

  • 192二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 13:04:30

    >>190執筆お疲れ様でした

    ずっと兄妹達は優しいのがホント好き

  • 193二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 13:36:32

    >>191

    ワノ国編がどうなるかも分からんのだけど…と言うか、見たいんですがね

    この世界線だとカイドウ討ち入りの同盟に赤髪海賊団まで参戦するまである。

    特に最終局面のビッグマムとの戦いでキッド・ロー側にシャンクスが一時的に参戦してくるとか十分ありえる。

  • 194二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 13:42:03

    シャーロット家のウタという難しそうな設定でここまでの神SSを書いてくれるとは...素晴らしい

  • 195二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 15:36:42
  • 196二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 17:36:12

    >>193

    むしろマムの方がワノ国に来れない可能性が高い

    万国から出てきたマムほどシャンクス達にとって都合が良い状況はないからね

  • 197二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 20:26:15

    しっかりマムに中指立てるようなこと言ってから逃げるのウタの気の強いC家の血を引いてるな

  • 198二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 22:22:12

    オーブンが過去のホイップの思い出を思い出してるのがいい
    やっぱりアンタいいお兄ちゃんだよ

  • 199二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 23:30:41

    >>193

    それだとキッドに会ったらキッドとの会話も気になる

  • 200二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 23:32:16

    乙でした
    いつかシャンクスとも再会するといいね…

オススメ

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