「…あー、あー?聞こえてますか?」2

  • 1二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 18:10:29

    前スレ

    「…あー、あー?聞こえてますか?」|あにまん掲示板「この音貝を拾って、聞いている人へ私はある無人島で遭難している者です。名乗る名前も、自身の帰る場所も分かりません…いわゆる記憶喪失というものでしょう。目を覚ませばこの島の、海岸にて目覚めました。近くに…bbs.animanch.com

    おかしいな…スレ主はただ具材を投げただけなのにどうして自分でじっくりコトコト煮込む事になってるんだろう?

    そしてごめん。前スレの人…スレ主は文字は読めるけど機械音痴というか…設定とかそういうのがべらぼうにダメなんだ……荒らし沸いたら丹念に潰すね?

  • 2二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 18:12:47

    スレ立て乙です!

  • 3二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 18:18:18

    立て乙
    いつも楽しみに読んでます

  • 4二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 18:21:47

    立て乙
    こっからどうなるのか楽しみ〜

  • 5二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 18:26:41

    立て乙!今後の展開楽しみ

  • 6二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 18:30:52

    保守

  • 7二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 18:43:57

    あんたの鍋は最高の味なんだ……

  • 8二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 18:47:53

    ほしゅほしゅ

  • 9二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 18:48:57

    わくわくしながら待ってます

  • 10スレ主22/12/01(木) 18:54:10

    あの後、壊れたヘッドホンをフランキーさんとウソップさんに預けた。直す…というにはあまりに壊れきっているので、中身を見て同じ様な物を作ってくれるそうだ。本当にありがたい。アレと…そして左腕のこのマークは、無いと落ち着かない。

    そして今、私の目の前には二つの音貝。あれからまさかと思って左側も開けたらもう一つ出てきたのだ。フランキーさん達曰く、ヘッドホンにはこの様に音貝を仕込んで音楽を聴く様な仕組みのものが多くあるらしい。私のもそうなのかと聞けば、私のには少し改造の痕があるとか無いとか…恐らくこの音貝がソレに該当するのだろう。

    となれば、この二つには何かしら記憶を失う前の私がどうしてもと入れたものがある筈だ。聞けば記憶を取り戻す手掛かりになるかもしれないが…どうも周りが不安そうな…というよりは心配そうな顔をするので、とりあえずあの場では聞かずこうして部屋に持ってきてしまっている。

  • 11スレ主22/12/01(木) 19:00:37

    どうしたものかと悩む私の側を様子を伺う様に紙…じゃない、楽譜が浮遊している。あの後ちゃんと見たら五線譜が描かれていたから間違いない。
    ただ、目を軽く通すが、所々滲んでたり、燃えた様な黒い焼け跡があって読めない為歌えない。というかルフィ君達にこれは歌っちゃダメと念押しされたから歌ってはいけないのだ。

    だが、私が歌わない、楽譜を読めないという事を聞いた結果、すごく渋々とだがこの楽譜は自由になっている…らしい。危ないんじゃなかったのか?
    まぁいいか。と目の前にいる一枚に軽くデコピンすると慌てて距離を取ったりして本当に生き物みたいだ。油断はしない。
    あの口裂け生物で私は学んでるのだ。見た目と動きに騙されないと。

    …そういえばこの楽譜がさっき話した様にも感じたアレはなんだったのだろう?口も存在しない楽譜が、私に何かを伝えるのは無理だと思うし…やっぱり幻聴みたいなものだったのだろうか?

  • 12二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 00:44:26

    トットムジカの寂しいという部分だけ残った残滓か?

  • 13二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 06:39:06

    リアタイ出来ることを嬉しく思っていると >>1 に伝える。ありがとう

  • 14二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 11:29:40

    更新を毎日楽しみにしてることを教える

  • 15二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 18:22:04

    あなたのペースでいい、ゆっくりと更新してくれ

  • 16スレ主22/12/02(金) 19:53:39

    島を出てから少し経つ。泳げない海のど真ん中、あの島よりずっと狭いのに、人がそばにいると分かるだけで安心感も楽しさも全然違う。
    乗せてもらってるのだから、何もしないわけにはいかないから何か手伝わせて欲しいのだけど…専門的な船や航海の知識は無いし、料理はサンジさんがあまりにすごくて入ったら邪魔になるどころか紅茶とクッキーまでもらう始末…美味しい。じゃなくて、このままだとダメなヤツだ。

    そう思って船長であるルフィ君に相談したら魚釣りに誘われた。これなら無人島で生きる為にもいっぱいした!!役に立てるかも!!と、思ったけどそもそも広い海の魚と狭い川の魚だと色々違う。
    中々釣れないでいると、ルフィ君にどちらが先に釣れるか勝負しようと言われたので乗ることに。

    結果としては面白い事に、ルフィ君の釣り竿に寄ってきてた魚の口に私が無人島で鍛えた竿捌きで針をかけて釣り上げてやったので私の勝ちである。無人島では木の棒に糸と削って作った針の完全手作りの竿で出来ていたので、この船にあるしっかりとした釣り竿ならもっと動かせるというものだ。
    ルフィ君は「あのままだったらおれが釣れてた」というので、謝りながら竿の動かし方のコツを教えてあげた。まあ大人気なかったよね。
    そう思って教えてるのに…どうしてルフィ君は寂しそうな顔をするのだろう?

  • 17スレ主22/12/02(金) 20:16:29

    どうやら今この船は近くの島に向かっているらしい。私の日用品は今元からある予備を使わせてもらっているから、改めてその島で買っておこうという事らしい。本当に頭が上がらない。
    …というか、私、お金って……偶に浜辺に流れてきてたやつから拾った51ベリーしかない……子供だってもっとちゃんと持ってるよね?

    やっぱり何かしてお金稼いで貢献するべきじゃ……って言っても私に出来るのってサバイバルと作詞作曲と歌う事くらい?あとは多少の製糸?でもあの虫がどこにでもいるとは思えないからアレは無しかな?
    …改めてみても、私の技術や知識は偏り過ぎじゃ無いかな?

    今度はブルックさんに相談してみた。私が作った曲とかをどっかに売れたりしないかと。そしたら、何故か頭を抱えられた。なんでも「あなたの作った曲はとても価値があるのだから安売りはいけません」だそうだ。いやでも私、記憶がなくなる前はよく分かんないけど思いついたのそのまま書いてて特に直したりしてないし…割と拙い曲の方が多いと思うんだけどな…

  • 18二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 20:19:15

    >>16

    負け惜しみって言ってほしかったのか…

  • 19二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 20:29:40

    >>18

    あっそっかぁ……なんか泣きそうになった

  • 20二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 21:16:44

    >>18

    もうね、>>16読んで最後のところでワァ……ァ……しちゃうよね……

  • 21上手に焼けました22/12/02(金) 21:19:51

    >>18

    あああああ

    RED本編で勝負にのってほしかったけど「船に帰るよ」されたシーンと逆だな?って考えが浮かんできてああああああ

    ウタがしてほしかった反応してくれなかったルフィと、ルフィがしてほしかった反応してくれなかったウタにああああああ

  • 22二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 00:05:31

    >>18

    この解釈こころの栄養になる

  • 23スレ主22/12/03(土) 07:48:30

    夢を見ている。

    最近見ている夢…
    何処かを飛ぶ様に駆ける様な…
    誰かを探している様な…そんな夢……

    何処にいるんだろう?
    何処にもいないとは思えない。だって今こうしている間も、声が聞こえるんだ。

    私はその声に……
    何故か、すごく悲しくなっている。
    早く、早く、見つけたいのに。

    私が起きれば、またこの夢の記憶は…朝靄の様に掴めず消えるものになってしまうのだろうか。
    それは、ダメだ…このままじゃ、何も……

    そう思っているのに、私の意識は地から足が離れる様に夢から浮上していった。

  • 24二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 14:39:18

    干しゅ

  • 25二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 20:59:19

    起きると目の前にロビンさんがいた。そろそろ食事の時間なのに、すっかり部屋で寝入っていた私を起こしにきてくれたらしい。
    …いつ眠ってしまってたんだろうと記憶の糸を辿れば、勉強の為にチョッパー君から借りた医学書を読んでいた辺りだ。慌てて本を見るが、どうやら涎を垂らすなんていう事はしていないらしくてホッとした。

    眠り、チョッパー君……ハッと思い出す。また夢を見ていた。といっても、ハッキリとは思い出せない。いつも「見た気がする」程度でしかなかったのと比べれば朧げながらも情報はある。早速この後にでも彼に相談してみよう。…そういえば、私の能力によるーーワールドについても聞いてみたい。あの時は楽譜の事があってあやふやになってしまったから。

    そんな私の思考でも読めるのか、ヒラヒラと楽譜が寄ってくる。食事をとれる訳でも無いが、基本的に私と共に行動を取ろうとするこの楽譜の事もよく分からない。
    未だに分からない事ばかり、思い出せない事ばかりだが、私は…生きなきゃ。まずは、全部そこからなんだから。

  • 26二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 22:05:09

    謎のマスコット楽譜くん……

  • 27スレ主22/12/04(日) 02:15:18

    ロビンさんとご飯を食べに向かうと、妙にニコニコしたルフィ君とサンジさんがいた。よく分からないけど、とりあえずそのまま今日のご飯を食べ始める。クッキーやら、なんやら、最近は固めの食事もガッツリした食事も食べれる様になったし…本当に嬉しい。
    サンジさんに今日も美味しい事とお礼を告げると食後のデザートにどうぞ。と目の前にパンケーキを置かれた。ホイップクリームの量が多くて、所々にあるフルーツのトッピングも綺麗で思わず目をパチパチさせてしまう。宝石でも見た気分だ。

    なんだか緊張しておずおずとフォークとナイフを手に取って、パンケーキにナイフを入れていく…え、これナイフいる?スーッて入っていった…。
    もうその時点で柔らかいんだろうなと思う切り取ったパンケーキにホイップクリームをつけて、口に運んだ。もうすごかった。
    歯なんていらないんじゃって思うくらいパンケーキの生地もクリームもふわふわに仕上がってて、シンプルな味のパンケーキに、しっかりとした甘みがありながらも全然しつこさを感じないクリームが沁みる…。トッピングのベリーの酸味もすごく合っていた。

    ここでの食事では最初は良く泣いていたけど、今日、久しぶりに泣いてしまう。美味いか?って聞いてくるサンジさんやルフィ君に思わずコクコクとすごい勢いで頷いて、隣のロビンさんにクスクス笑われてしまった。でも、本当に美味しかったな…また食べたいくらい。
    その後、ルフィ君から聞いた。私はパンケーキが好物だったらしい。納得はいったが、サンジさんやウソップ君、チョッパー君から聞いたというのが不思議だ。なんでルフィ君みたいに幼馴染でもないはずの彼らが私の好物を???

  • 28二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 02:59:17

    ほのぼのと、少しずつ自分のプロフィールに書かれたことを取り戻していくの……いいね……

  • 29二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 04:18:01

    てえてえ…

  • 30二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 08:23:52

    いっぱいおたべ……

  • 31スレ主22/12/04(日) 10:38:49

    チョッパー君との検診を終えた後、夢の話をした。誰かを探していた夢…くらいしか分からないけど。それでもチョッパー君はバカにする事もなくちゃんと聞いてくれた。トナカイだけど、立派なお医者さんなんだよなあと分かる。だからこそ、こっちもどんな回答とはいえ、きっとそれは真面目に考えてくれた故だと納得出来ると私はーーワールドの事について聞いた。

    結論、頭が爆発するかと思った。
    え?何その能力??もう一個世界を創る?そこだと空を飛ぶのも食べ物を出すのも私の思い通り??しかも歌を聞かせて連れてった相手は脱出手段が現実の私が眠る以外ない??
    そんな無法能力存在していいの??
    しかもチョッパー君達が見た私が前に歌った時のーーワールドのグチャグチャな様子も話を聞くだけで怖いし…

    もしかしなくても、私の食べた悪魔の実……人によっては喉から手が出るレベルなんじゃ…そうこめかみを押さえる私に水を差し出してくれるチョッパー君にお礼を言いつつ、近くを飛んでいる楽譜を見る。ルフィ君達はこれに私の事について聞いてた。つまりは私の、その、とんでもない無法能力由来の…
    さては君、本気で危ない奴だな?とジトリ…と見つめている私の目線も知らぬ存ぜぬで楽譜はヒラヒラと舞っていた。

  • 32二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 10:42:46

    ムジカ....w

  • 33二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 11:42:33

    >さては君、本気で危ない奴だな?

    それは、まあ……はい

    どこまで変わってるか、はたまたかわってないかはスレ主のみぞ知る、だが

  • 34二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 19:17:29

    保守

  • 35スレ主22/12/04(日) 19:41:00

    新しい島に着いた。とはいえ、しばらく私は降りずに船番だ。まあこの髪だと目立つし仕方ない。そうして共に留守番をしているブルックさんと作った曲の手直しをして過ごす事にした。
    ふと、歌詞はともかくリズムが気に入っていたそれを口遊むとブルックさんもノッてきてくれた。やっぱり音楽家としての性がそうさせるのだろうか?だとしたら私の歌でそうなったと思うとちょっと誇らしい。

    段々とノリに乗ってきてしまい、ブルックさんが何処からか楽器も取り出してきて本格的に演奏をしてきてくれたので私まで本気で歌い出してしまう。勿論、能力は使ってない。
    でも楽しくてついつい何曲も歌ってしまうし、体が動いて拙いけど踊ってしまう。やっぱり楽しくて、私は歌が好きなのだなと分かる。

    そんな時、なんだか大人しい楽譜が目について歌うのを止めた。楽譜なら音楽が好きだと思うんだけど、聴く方が好きだったりするのだろうか?…それとも自分を歌ってもらえないから拗ねてる?
    念の為聞いてみたら、楽譜の隅っこをヒラヒラと降っている…違うってこと?でも読めないし、私が歌ってはいけないとはいえ、曲なら歌われたいんじゃ…って聞いたら何故かブルックさんが止めようとしてくる。なんで?

    そんな時、クエー、と何かの鳴き声がした。

  • 36二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 02:04:01

    とても いい

  • 37二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 06:32:55

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 10:16:09

    よい…

    楽譜が何を考えて?いるのか判らんが、とりあえず無害でよかった。

  • 39スレ主22/12/05(月) 13:49:06

    そちらを見るとカモメがいた。水兵帽を被っている可愛らしいカモメ……いや騙されない。騙されない。確かにちょっと「かわいい」とか思ったけど、警戒はしないと…と、思ってブルックさんの後ろに下がったが、ブルックさんに大丈夫ですよと教えられた。なんでも新聞を配っている会社のカモメらしい。ホッとして、近寄ると「買いませんか?」とでも言いたげに新聞を差し出してきた。…可愛い。

    でも困った事に私の手持ちは51ベリー。少なくとも私は買えないなと思いブルックさんを見たらピンッと大きなコインが彼の指で弾かれて飛んできた。
    慌ててキャッチしてそのお金とブルックさんを交互に見てると「買ってみましょう。あ、ただ私が近付いて怖がらせてはアレなのでウタさんにお願いしますね」と言ってヨホホホって笑ってくれた。すごい、すごい紳士だ…!!

    改めてお金を払って新聞を買う。なんだか、ソワソワする。無人島では当たり前だけど…お店なんか無いし…こうして今もお留守番してるから買い物なんか出来ないと思ってたのに。
    なんだか嬉しくてクシャっと新聞を握りしめてしまって慌てて手の力を緩めたけど、ついつい上がっている口角はどうしようかと思っていたらパシャッていう音と共に眩しくてビックリしてたら、カモメにどこからか取り出した撮影機で写真を撮られてた。そのまま飛び立つカモメに途端に慌て出すブルックさんと楽譜…
    ……もしかして、やっぱりマズかったんじゃないのかな?警戒解くの。

  • 40二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 13:54:08

    クソ鳥・・・

  • 41二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 18:09:16

    モルガンズのところに届いたら……まあ一面やろね
    ブルックもいるからルフィんところにいるのもバレる

  • 42二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 19:49:23

    カモメさん配達と集金だけじゃなくてスクープ撮影までしてくれるとか賢すぎる

  • 43二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 20:34:14

    もしや後ろに浮いてる楽譜が写ってない??
    大丈夫??

  • 44スレ主22/12/06(火) 00:11:30

    帰ってきた皆が、私がカモメに写真を撮られたと知ってから、すごい深刻そうに話し合っている。私はそれをあまり聞かないよう、ある程度の距離を取って壁を背にして眺めていた。
    …私、一体どんな人間だったんだろう?新聞社がわざわざ私を撮る必要があるとしたら、考えられるのはルフィ君の一味はとても有名でそこに新顔がいると思われたパターンと、昔の私がかなりの有名人だったパターン。
    どっちかな?どっちもかも。

    私がどんな人間だったかも分からないから、身の振り方も分からない。だから、大人しくして、ルフィ君の迷惑にならない様に、このまま……このまま、どうなるのだろう?
    何もしないままで、知らないままなのは嫌だ。でも未だにルフィ君との思い出話や、船の日常でピンと来るものはない。なんだか不安になって、左手のマークを握りしめてしまった。
    いけない。もう大分ボロボロになってるから大事にしないとなのに。
    そういえば…これは何のマークなんだっけ?

    前にマークと、ルフィ君を見た時…何か変な感じがして頭が痛くなった事は覚えている。とはいえ、それで何か思い出した訳ではない。…歯痒い。今まで自分の過去が分からず、ここまで不安になった事はあっただろうか?
    知る事は出来ても、思い出せない。私はーーだと言われて、そう呼ばれても「そうなんだ」と、納得しか出来なかった。
    …なんだか眠い。考え過ぎで疲れたのかもしれない。人がいて寂しくなんかないはずなのに、無人島の時みたいに膝を抱えて、座ったまま眠りについた。

  • 45スレ主22/12/06(火) 00:22:28

    炎に焼かれた街を彷徨っている
    また、誰かを探して
    どこ、どこにいるの?

    はやく会いたい
    はやく見つけたい
    はやく、はやく……こんな場所から

    燃えた瓦礫が落ちて慌てて避ける
    あちこちの炎が光源になって、私の影を増やす
    私、わたしが…たくさん……
    何故かゾワゾワして、もっと速度を上げようとするが見当もつかない街の中をこれ以上どう探せばいいか分からなくて……心細い

    どうしよう、どうしたら見つけられる?
    お願い、お願い…はやく、なんとかしないと…

  • 46二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 02:12:21

    話が大きく動きそう…めちゃくちゃ楽しみです

  • 47二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 12:00:27

    保守

  • 48二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 19:31:59

    保守

  • 49スレ主22/12/06(火) 22:53:00

    目を覚ますと目の前にルフィ君がいたので驚いた。起き上がって周りを見るとさほど時間は経ってなさそうだがルフィ君の顔が随分と深刻そうだったので一瞬慌てた。
    何かあったのかと聞けば中々起きないから少し慌てたらしい……そういえば、また、夢を見た。今度は割と覚えている。なので、チョッパー君より先にルフィ君に聞いた。彼なら私の記憶にある【燃えている街】について何か知っているかもしれないから。

    聞いて欲しい事があると切り出して夢の内容を話した私に対して、ルフィ君はとても苦い顔をした。これは間違いなく知っているのだろう。まあ、話せなかったとしても彼は悪くない。
    でも、私としては不安なままなのは怖い。あんな内容の夢、怖いのが普通だと思う。なにより…異様に焦っている自分がいる。

    するとルフィ君が、重い口を開いて話してくれた。私は昔、悲しいすれ違いがあって実の父親の様に思っていた人にそんな状態の島に置いていかれた事があるらしい。相手は自分に幸せになって欲しかったのだとルフィ君は必死にフォローしている。嘘じゃないのだろう。疑う気なんかないからそこまで焦らなくていいと告げてから話の続きを促した。

  • 50スレ主22/12/06(火) 23:16:27

    そうして聞いた話をまとめると、そのすれ違いが重なり続けた結果、私は世界中を巻き込む程の大きな事件を【皆の為に】という大義名分を掲げて起こし…失敗した。その計画に使った毒キノコにより、世間からは亡き者として扱われていたようだ。

    …存外、冷静に話を聞けた。頭が痛くなる事も、思い出す事もない。だけど聞いてて疲れてくる話ではある。なんだそれは…つまるところテロリストじゃあないか、私は。大きなため息を吐く私に、ルフィ君は心配そうにみてくる。大丈夫…あまりに壮大な話に余計に実感がなくて、冷静ではある。

    冷静だからこそ心配だった。ルフィ君達はこんな私と一緒にいていいのか…すると「元々自分達も億越えのお尋ね者だ」とルフィ君が話す。
    どうしよう、情報量についていけない。海賊だから追われてるだろうなー賞金首なんだろうなー。いい人達なのに不思議だなー。程度には思ってたけど億を超えるって……私の幼馴染はすごいんだなと一周まわってしみじみと感じた。

  • 51スレ主22/12/06(火) 23:29:14

    ルフィ君にどうしてここまで話してくれたのか聞いた。なんでも私が生きている事が分かれば確実にある事ない事書かれた新聞が号外でばら撒かれるだろうから、それを見て変な先入観を持つくらいならと話してくれたらしい。有難いことだった。
    礼を改めてしたあと、ルフィ君に一つだけお願いをしてみた。

    もう一度能力をかけてルフィ君達にーーワールド内を調べて欲しいというものだ。話を聞いてみれば、ルフィ君達が見たーーワールドの景色にも燃えた街は存在していたのだから…私と合流出来るかもしれない。
    勿論、また無理なのかもしれない。でも、一人で【探しもの】をして間に合わなかったら…という謎の焦燥感を拭いたい。だから、せめてルフィ君達とーーワールドを調べてる機会があれば私の夢の何かも分かるかもしれない。何かの前進が欲しい。

    そう話すと、ルフィ君は二つ返事で頷いてくれた。本当に…助かる。見つけてもらった時もだが、きっと、記憶を失う前から私は彼に支えられてきた面が存在しているのだろうなと思い出さずとも納得してしまう。だからどうか、何か分かりますようにと…私は祈った。

  • 52二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 06:39:57

    保守守

  • 53二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 15:17:52

    保守

  • 54二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 16:22:02

    素晴らしいスレに出会えたことに感謝
    タイトルに「ウタ」とか「ルフィ」って入ってないとなかなか巡り合わないこと、あるよね

  • 55スレ主22/12/07(水) 18:00:13

    あれから数日、号外の新聞が季節外れの雪みたいに降っていた。内容は勿論どれも私のことだ。世界転覆を図りながらも世界一愛されていたらしい私の生存に対して世間の意見は中々複雑らしい。
    「生きていてよかった」と泣いて言ってくれる人もいれば「また同じことを起こすのでは」と気が気でない人もいる…まあ前者の様な人がいるだけ、優しい評価なのだと思う。

    それ以外ではルフィ君の言っていた通り、それ以外ではルフィ君が話した内容とは違うデタラメな内容がある新聞もあるし、私はそんな事を思ってないけどもう一度世界転覆計画を起こす潜伏期間がどうこうとまで書かれててもはや苦笑いしか出来ない。私は首謀者ながら計画の全容を知らないんだから出来るわけないじゃないか…
    新聞を畳んでわきに置いた私は欠伸をしながら伸びをする。

    …最近、とても眠い。ロビンさんやルフィ君に起こされたあの時だけの事ではない。ふとした時、いつの間にか寝てしまっている。それも周りが揺り起こしてみても中々起きないらしい。今でこそ眠っている時間も短く、基本的には座ってたりする時に眠りについてしまっている様だが……分からない。いつか急に歩いてる時に倒れてそのまま…目覚めないかもなんて思ってしまう。
    世界からしたら…私は一度死んだ身。私も話を聞いただけ「なんで今生きてるのか」分からない。
    それでもこうして生きているのが間違いなんて思いたくはない。
    私は、生きたい。
    これだけは、何もかも思い出せない最初から持つ【私】の気持ちなのだから。

    だからこそ、知りたい。昔の私の事を…。
    前のヘッドホンから出てきた音貝の一つを握りしめて、数回、深呼吸した後…私は音声を再生した。

  • 56二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 22:44:53

    続き気になる

  • 57二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 22:46:45

    何が録音されているのか・・・

  • 58二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 06:40:55

    保守

  • 59二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 12:46:24

    さて…

  • 60二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 21:23:41

    保守

  • 61二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 22:00:28

    願わくばーーに幸多からんことを

  • 62スレ主22/12/08(木) 22:56:01
    あの子のいるところ「それじゃ歌うね…改めて手伝ってもらってありがとう」

    ウタワールド内の調査を彼女から頼まれてからさほど日も経たずその日が来た。

    能力を使う本人は、最近の新聞を読んでいる筈だが、特に動揺した様子もなく比較的落ち着いている様だった。だが…その表情はどこか陰がある。


    「お、おう…というか、ウタ…お前なんか……怒ってるか?」

    「…んーん、大丈夫だよ。ルフィ君」


    思わず聞いたルフィに対して、彼女は「大丈夫」と笑って濁した。詰まるところ、聞いてくれるなという事だ。新聞の内容に心ない事があったか…それとも……だがルフィは、それ以上聞くことはしなかった。【前】のウタなともかく、目の前の彼女は不思議と無理をしているという雰囲気はなさそうなのだ。エレジアでの時と違って、生に対する執着を見せているからかもしれない。


    「一応、私でもそっちに干渉出来ないか頑張ってみるよ…期待は、しないで欲しいけどね……」

    「大丈夫だ。気楽にいこう、シシッ」

    「うん、ありがとう」


    そうして、数名現実に残してルフィ、チョッパー、ナミ、ロビン、ブルックでウタワールドへと入った。


    「……うーん、やっぱりダメか」


    それから、彼女なりに目を閉じて…
    telegra.ph
  • 63二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 23:24:35

    段々核心に迫ってきた感じ……!

  • 64二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 00:08:26

    音貝にはーーが怒るようなことが記録されてたのかな?

  • 65スレ主22/12/09(金) 02:32:42

    フランキーさん達から話を聞いている時、急に呼ばれた気がして、目の前が暗くなって…目を開けると目の前に驚いた顔をしたルフィ君達がいた。対する私は……ああ、なるほど。と、ルフィ君が私を呼んだ事を瞬時に理解した。出来た。
    ヒラヒラと近くに楽譜が寄ってくる。分かってる。彼らをここまで連れてきてくれた、合流させてくれたんだろう。ありがとうとから指で撫でて礼を伝える私にルフィ君が話しかけるーーなのかと。
    私は笑って、現実世界の私は今寝てるだろう事とどうやらどちらかにしか私は私の意識を保てないらしい事を伝える。すると、大丈夫なのかと心配されたが元々眠ってる時に此処に来てたんだから、そういうものだと思うと返した。実際、あっちにも人手はいる。大丈夫だろう。死んでるわけじゃないのだから。

    多分ルフィ君達が不安そうな顔のままなのは、現実の私が心配なだけじゃ無いのだろう。【向こう側の透けた】手を見ながら、私は自嘲気味に笑う。
    此処では、私は肉体のある現実世界と違いかなり存在が不安定だ。楽譜も心配してるらしく、ずっと私の肩の辺りで大人しくしている。

    「また見つけてもらったね」とルフィ君に笑いかけてから私はこのまま一緒に探索をしようかと足を動かす。やるべき事は分かっている。いつもと同じ。
    此処からは私も先程までのルフィ君達と同じ…いや、少し違うのだろうけど、でも【探しもの】をしてるのは同じだ。見つけてもらった分、私も見つけないと。

    今、此処にいる私は…【探しもの】の場所以外は…全部、分かっているのだから

  • 66二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 06:36:20

    さてさて

  • 67二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 12:04:20

    保守

  • 68二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 15:23:25

    今さらだけどルフィ君ってのがちょっと寂しいな

  • 69二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 21:22:31

    保守

  • 70スレ主22/12/10(土) 01:48:19

    いつもは夢の中、走り、焦って…一人でやらねばならない事に心細く思っていたが、ルフィ君達がいるだけでも心の余裕が段違いだ。
    とはいえ、私の現実世界の体が眠ってしまった以上、長くはもたない。多分本来よりほんの少し長いタイムラグの様なもの……

    だから次に活かせる様にも、私は皆に聞いた。もし、休みたいのに無理矢理働かされそうになっていたら…皆ならどこに逃げ隠れるか。
    その問いに、顔をハッとさせる人達…流石に分かりやすい質問過ぎたかな。でも、お陰で色々と考えてくれる。皆、ルフィ君が海賊王になる為なら幾らでも頑張れちゃうもんね。無理矢理ってのはルフィ君には似合わないけど…

    音符が見える。この世界からまた私達の心が追い出される時が来てしまう。
    敢えてたくさん人がいるところに紛れる。
    部屋の出入り口のドア裏に隠れる。
    自分でも行くのが嫌なところでやり過ごす。
    移動を続けて逃げ続ける。
    一番好きだった場所へ行く。
    安全そうなところに閉じこもる。

    …そうか。
    だとしたら、もしかしたらあそこかな?ああ、だとしたら私は、思っていた以上に……

    振り向いて、私は皆に伝えた。
    目を覚ました時、現実の私は此処での事をどれ程覚えてるか分からないから、もし此処での事を忘れてて、皆に聞いてきたら教えてあげて欲しいこと。
    そして、どうか、一度だけ……

  • 71スレ主22/12/10(土) 04:00:31

    あの後目を覚ました私を、ルフィ君達はなんとも言えない目で見ていた。夢の内容については、皆で一緒に探索をして、質問をした事は覚えている。
    でも、何故あんな質問をしたかとか…そもそも私はあの世界で何を探しているのかとか…それらについてはやっぱり思い出せない。
    なんであんな事聞いたんだろう?

    そしてもう一つ、気になる事がある。最近皆が、何かこっそりと行動している気がする。なんの為かは分からないけど……まあ、優しいルフィ君達なら酷い事にはならないだろうから大丈夫だ。
    …でもちょっと寂しいんだよな。私は元々一人が苦手なのかもしれない。もしくはあのサバイバルを経て更に寂しがりやになった可能性もありそうだ。もう成人済みだろうに情けないかもだけど、孤独は辛い。生きていても息苦しい。
    あの島では一人で生きていこうなんて強がってたけど、一人で生きるなんて無理だ。最悪体が良くても心が死んでしまう。

    なら、私がすべきことは強がらないで誰かとお話しする事だよね?
    なんとなく確認したくて、楽譜の方を見た。相変わらず何も喋らないけど、それでいいと頷く様にペランと動いたので、新しいヘッドホンをつけて…ナミさん達が買ってくれた黒いカーディガンに袖を通して船内を歩きだした。

  • 72二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 13:21:43

    続き気になるな

  • 73二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 16:21:38

    お話、大事
    全てさらけ出せとまでは言わないけど、大事なことはちゃんと伝えようね

  • 74二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 22:55:37

    無事いい方向に向かいますように

  • 75スレ主22/12/10(土) 23:57:50

    歩いていると出会ったのはロビンさんだった。ーーワールドで私を見つける為に五線譜の解除方法を見つけたのは彼女だという…学者さんって、やっぱりみんな頭いいんだなあ。
    少しお喋りがしたいと言うと快く頷いてくれたので紅茶を飲みつつ、なんて事ない話から会話を始めた。そうして少ししてから、私から話す。「私がいる事は迷惑になっていないか」を

    悲しい顔をされてしまった。でもこればかりはルフィ君には聞けない。彼は優しい、恐らく身内には特に…となれば、幼馴染である私にはお察しというやつだ。
    ならば彼から一歩引いている彼の仲間…その中でも冷静そうな人から本音を聞きたかった…そう素直に話すと、ロビンさんは能力で腕を生やして私のオデコにデコピンをしてきた。割と痛い。

    額を摩る私に、ロビンさんは言う。この船に乗っているものは、乗っている仲間や友達の為に世界だろうが化け物だろうが平気で喧嘩を売り、そして勝ってしまう様な人達だと。その目はどこか懐かしそうで…多分経験談か、もしくはそれに準ずるものだろう。「迷惑なんてありえない。でもどうか寂しくなったならどうか私達の前でそうだと言って頂戴」と、今度は彼女自身の腕で抱きしめられた。記憶のない私には親や家族というものは酷く曖昧だけど、姉や母なんかがいればこんな感じだろうか?

    というか、寂しがってたのが早速バレてる気がする…ちょっと恥ずかしい。

  • 76スレ主22/12/11(日) 00:43:17

    ロビンさんにお礼を言ってお別れした後、次にチョッパー君に会った。この船ではトップクラスでお世話になった子だ。忙しいかなと思ったけど、お話したいなって正直に話したら良いぞって椅子を引っ張ってきてくれた。本当に、可愛くて優しい子だ。

    折角なので軽い問診もしてから、カウンセリングみたいな空気かもだけど、聞きたいことがあった。人が記憶を取り戻した場合、今こうして話している【私】としての記憶の方はどうなるのか。もし消えてしまうのならばとても悲しい。こうして此処の船の人達が大好きになったのだから。出来れば思い出した【私】にも大好きでいて欲しい。
    それに関しては安心出来る答えが返ってきた。思い出せない記憶を取り戻したからと言って、今この時を忘れる場合は殆どと言っていいほどないらしい。よかった。

    記憶喪失だからだろう。大事な事を忘れて、自分の中からなくなってしまう事が怖いと思う。それを話すとチョッパー君は頷きながら同意してくれた、彼曰く、人が死ぬ時は、忘れられた時。だそうだ。
    そっか、じゃあ「こんな事があったね」って覚えてもらっている内は例え記憶を取り戻しても、今の【私】が死ぬわけじゃないのか。
    よかった。

    お礼を言って抱きしめると嬉しくないぞこの野郎なんて言いながらも、照れてくれるチョッパー君は…うん、やっぱり可愛い。

  • 77二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 10:18:12

    無事に記憶取り戻してほしいな
    今の記憶も忘れないまま

  • 78二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 10:29:40

    どうなるんだろ…保守

  • 79スレ主22/12/11(日) 13:02:56

    くるる…とお腹が空いてしまったので食堂へと向かうとサンジさんがいた。この人にも食事面では本当にお世話になった。軽食を作ってもらって食べる。…うん、いつも通りとても美味しい。

    食べる事は好きだ。生きる為の行為の一つだけど、ただ食べるだけで良いなら見た目や味にこだわる必要はない。それでも少しでもって手間をかけて作られた美味しいものを食べるとすごく満たされる。
    誰かと食べる事が出来ればなおのこと良い。
    体と心の両方を満たせて、楽しいってなるから、魔法みたいで私は好きなんだ。

    美味いかって聞いてくるサンジさんに、今日も美味しいって答えて、ふと彼の吸っている煙草に目が行く。歌を歌うのが好きな私にとってしちゃいけない事なんだろうけど、不思議と嫌悪感はない。寧ろどこか懐かしいって思える。
    きっと、私が忘れている誰かが吸っていたんだろうな。そしてその人も私は大事に思ってるんだろう。こんなにも優しい気持ちになれているから。
    いつか思い出せたら、その人に会えたら言いたいな。「煙草を見て、貴方を思い出しそうになったんだ」って。

  • 80二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 13:08:38

    ベックマンボロ泣きするぞ…

  • 81スレ主22/12/11(日) 13:45:52

    とりあえず今日だけでも3人も話せた!無人島では毎日0人だったから、やっぱり人と話せるだけ凄い嬉しくて安心する。ややホクホク顔で戻ろうかと思ったがふと甲板から綺麗な音がしたからそっちに向かった。すると月の下でブルックさんが演奏しながら歌ってた…驚いたのは、私は、その曲を知っていたから。

    慌てて部屋に戻って目的の物を手に取ってブルックさんの元に戻ればちょうど歌い終わるところで話しかけた。ブルックさんは私がすごい顔で駆け寄ってきて驚いた事だろう。でも私の方が驚いていて、余裕がないから、気にしてられなくて、その曲について聞いた。
    ビンクスの酒、というらしいその曲は…昔からある海賊の歌。宴の時だったり、船出の時だったり、別れの時だったり、いろんな時に海賊はコレを歌ってきたと教えてくれた。

    私は、手の中にあるソレ…2つある内に後に聞いた方の音貝を起動した。するとブルックさんは目を見開いた。気持ちは分かる。
    だって、その音貝から流れたビンクスの酒の歌声は間違いなく【私】の声だ。
    海賊嫌いで名前を売っていたのは新聞で知っている。だからこっちの音貝を聞いた時も何か違和感があった。最初に聞いた音貝もあってなおさら…
    でもこれはやっぱり海賊の歌で…つまり……

    涙が出てくる。ブルックさんを困らせてしまっているが止められない。
    何が海賊嫌いだ。こんなにも、こんなのを残すほど大好きなんじゃないか。海賊が。

  • 82二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 21:44:56

    保守

  • 83二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 23:27:55

  • 84二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 01:52:13

    >>83 保守は12時間保つから直前レスから10時間後くらいで平気だぞ

  • 85スレ主22/12/12(月) 07:14:08

    しばらく泣いてたらナミさんが来て状況からブルックさんが何かしたかと思ったのか詰め寄ろうとするのを慌てて止めた。私が一人で勝手に泣いたからブルックさんは一切悪くないのだ。
    その後ナミさんに蜜柑をもらって食べつつ事情を話す。甘くて美味しい…今日というかいつも思うけど本当にこの船の人達優しいなぁ……

    事情を聞いたナミさんがロビンさんから私が寂しがってる事を聞いて来た事を話してくれたがやっぱりバレてたんだ。はずかし……なんて思っているとナミさんにも抱きしめられる。
    余所余所しい態度をとってごめんね、なんて言われても…私は多分何か理由があるんだと思っていたし…私個人が寂しいのを解消したくて忙しいかもしれない皆のところに突撃したんだから相手にしてくれるだけすごい嬉しいのにな。

    その後、少し話をした。驚く事にナミさんは昔海賊に酷い事をされて、海賊が嫌いだったらしい。だから、海賊を嫌いって言う様になった理由はきっとーーにとって辛いものだから、あまり完全に否定しないでおきなさいって撫でられる。
    おかしいな?私のほうが歳上だよね??
    …まあでも、もう少しこのまま甘えよう。モヤモヤした気持ちを少しでも軽くしておきたいから。そうしてナミさんの肩に頭を預けていると次第にうつらうつらと船を漕いでしまう…泣いて疲れたのかもしれない。
    なんだか子供みたいだけど、いいよね、たまには

  • 86二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 17:16:19

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 21:41:13

    これで9時40分まで大丈夫

  • 88スレ主22/12/12(月) 23:16:37

    哀しくなるほど昏いこの場所を、なんと呼ぼう?
    最初は思い出せなくなる様な些細なものだったけど大切だったり、思い出せる事があれば、あったかくなる様なそんなものを積み重ねていく場所だったはずなのに……いつのまにか此処はゴミ捨て場の様に削ぎ落とされた存在が重なり澱の様に沈澱している。

    泣き声がする。自分で自分を傷付けて、泣いている声がする。自分以外の為に、笑おうとして軋む心の音がする。

    泣かないで。傷付けないで。無理しないで。
    そんな声は届かない…そもそも口がない。

    自分を大事にして。嫌いにならないで。
    …愛してあげて。

    とうとう最後に落とされたそれは、最後の鎹と呼べるもので……ダメだよって、伝えたいのに、そのまま蓋をされてしまって……

    そうして、閉じ込められた外で貴方が…泣いているから…わたしは、私は…

  • 89スレ主22/12/12(月) 23:18:18

    目を開ける。と言っても、夢はまだ続いている。平原、石畳みの廊下、雨の森、海、焼ける街…ルフィ君は気付かなかったみたいだけど平原の方は遠く遠くに風車が見える。

    此処は、記憶で構成されている。
    勿論、ーーの。

    自分の手のひらを見る。まだ向こうは透けているが…いつまでも油断は出来ない。時間がないのだから。グッと握り込む私の側に楽譜が宙を舞いながら寄ってくる。
    行こう、と私の言葉と共に楽譜は着いて来た。相変わらず、よく分からない。現実にいる時と違って此処での私は自分の事もハッキリ分かるから多少はマシ…程度になら分からなくもないけど……それでも、ここまで献身的にされるのは、ちょっと怖い。けど、まあ…信じてあげようと思う。

    前の時、皆に言われたヒントから幾つかアテが出来た事だしさっさと探していこうと思う。
    五線譜を剥がしながら、いろんなところを駆けていく。

    大理石の床の寝室…違う
    優しげな雰囲気の酒場…違う
    夕焼けが綺麗な風車小屋…違う

    やっぱりあの場所なのかなと思うけど、そうだとしたら…

    「…ま、仕方ないかあ」

    いかないと、今度は、ちゃんと

  • 90二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 06:58:30

    何を探してるんだろう

  • 91二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 07:03:17

    どこに向かっているのか・・・

  • 92二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 16:33:23

    保守

  • 93二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 18:49:30

    夢の中だと記憶がある程度戻るのかな
    探しているのは”休みたいのに無理矢理働かされそうになっていたらどこに逃げ隠れるか”だからエレジアの真実を知って逃げたかったウタか…?

  • 94スレ主22/12/13(火) 20:00:21

    目を覚ますと最近見慣れた天井だった。どうやら眠った後、運んでもらったらしい事実に若干申し訳なさを感じていると、手の中にある音貝に目がいく。
    海賊の歌の入っている音貝……とても綺麗な歌声のそれは、何故か私の心にチクチクとしたものを感じさせてくる。理由は分からない。それでも、理由なくそうなってるはずはないから…気にはなる。

    窓の外はもう明るい。元々夜だったのもあるだろう。少し目を閉じて思い出すのはまた私は夢の中で何か探していたらしいこと。確信に近い何かを持って進むあの姿に、なんとなく…何かに近づいている感覚がある。それは終わりなのか、それとも…と考えても、きっと悪い事ではないなと思考を振り払う。
    私は、死にたくない。そう強く思っている。だから何か自分が犠牲になりそうな道を選びはしないだろう。そう思うのだ。

    …前の私は、知らないが。
    起き上がった目線の先にあるテーブルの上にはもう一つの音貝。立ち上がって、そっちに近寄る。
    歌が入っていた物と入れ替える様にその音貝を手に取って、少し強めに握る。
    初めて聞いた時…どうして、どうしてそんな事を、言うんだって気持ちでいっぱいだった。理解出来ないししたくないって思ってしまった。同じ自分の言葉の筈なのに、受け入れ難かった……
    それでも、私は……元の私に戻りたいという思いだけは消え失せる事はなかったのだ。

  • 95スレ主22/12/13(火) 20:01:36
    ある音貝イェーイ!これを見つけた君はラッキーだね!これともう一つの音貝は世界でたった一つのウタちゃんボーナストラックだよ!

    …なあんて、もしかしたら誰かが聞く事もなく捨てられるかもしれないけど……この音貝を聞いてる人がいるって事は、少なくとも私の計画は失敗したんだね。

    私なりに頑張ってみたんだけどダメだったか〜!あはは!みーんな幸せに出来ると思ったのになあ!ざんねん!

    …っていうのが、正しい。間違ってる感想だと言うつもりはないよ、私は。

    皆を幸せにしたかったんだから。それくらい。この世界は酷いもの。


    酷い海賊、見向きもしない偉い人。苦しい助けてって私に救いを求めてくれた人。

    私にとってそれが全部だったんだ。寂しくて虚しかった私を拾い上げてくれた皆が聞かせてくれた言葉が…全て。

    だから海賊は嫌いだし、皆を幸せで自由な世界に導くぞー!って張り切ったのになぁ


    あ!でも私が計画して実行したってだけでみんな悪くないよ!?ほんとほんと!

    私のそのやり方は…みんなに合わなかったってだけでしょ?それなら、仕方ないよ。


    ……あとは…まあ特には無いかな!

    それじゃ、怖い人達が蔓延る世界でも、酷い事が沢山転がってる世界でも……どうか頑張って生きていってね。…
    telegra.ph
  • 96二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 20:15:33

    つらい

  • 97二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 20:40:43

    >>85

    そういえばナミも大切な存在を守るために悪役になってたんだよな…

  • 98二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 04:39:12

    ボーナストラックか……確かにそうだな。ずっと唄いたかった海賊の歌と、ウタの本心の語り。
    「ウタの歌」のアルバムについてきたのは片方だけだったけど、もうひとつまで付いてきてたら……死人が出るぞ(おつらすぎて)

  • 99二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 13:37:11

    つらい…

  • 100スレ主22/12/14(水) 16:47:43

    また新たに着いた島にて私は、少し変装をしてから、ロビンさん達に連れられて街に出た。
    前の島では…私がカモメに写真を撮られて新聞に載った為にさっさと離れる事になったから…改めて、少し申し訳ないな。
    なんて思っていたけど、そんな考えは、ナミさんに手を引かれながら連れて行かれた街の光景で吹っ飛んでしまった。

    人が、たくさんいる。すごい賑やかだ。

    そんな簡単な感想しか出ない。でも、それがすごく自分には新鮮に感じた。無人島での生活では見る事はなかったし、前の島でも私は船から降りる事なく離れる事になったから…こういう光景を初めて見ることになるのだろう。
    大勢の人が賑わう港に市場。可愛い服屋さんなんかにも足を運んだ。
    …楽しいな。楽しい。

    思わずドキドキした気持ちとウキウキした気持ちで、ナミさん、ロビンさんと終始買い物を楽しんだ。多分、ルフィ君から聞いた話だと…私は同性の人とこういう事はしなかったんだろうな。ずっと。
    …ところで、服屋でショッピングしている私をナミさんがすごい凝視していたんだけど……私が選ぶ服、もしかしてダサい?普通に可愛い服を選んだつもりなんだけどな。記憶喪失と無人島生活でセンスが壊滅的になってたとかなら、かなりマズイかも…

  • 101二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 17:33:45

    記憶を無くしても服がダサいんすかウタさん

  • 102二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 21:32:12

  • 103二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 00:41:14

    本体が可愛けりゃ服はなんとでもなる

  • 104二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 06:52:08

    保守

  • 105スレ主22/12/15(木) 12:39:10

    そうして楽しく3人で過ごしていた。とはいえ、もう大分日が傾いているけど、いいのだろうか?それを二人にいえば、もうちょっとだけ。もう少し。そう言われて他のところも見て回るけど…一応、お尋ね者の筈で、私以外の二人はこんなに堂々と歩いているのに…街の人達も気付いてないのか気にしないのか……
    あれ、そういえば…こんなに街を見て回ったのに、ルフィ君達とすれ違うこともなかった。

    彼は冒険が好きだと言っていたし、新しい島に着いたならそれこそあちこち見て回りそうだと思っていたのに。
    段々と落ち着かなくなった私の様子に気付いたらしく、ロビンさんとナミさんが「そろそろ帰りましょうか」と提案した。すぐに頷いた辺り、私にとってあの船は居心地がいい場所になっている様だ。

    歩いて戻る頃には空に月が浮かんでいた。両手の買い物袋の重さが時間の経過をよーく教えてくれるけど、やっぱり遊び過ぎたかな?
    ルフィ君達にただいまと言うとおかえりと帰ってきた。…なんか擽ったいな。言った事がなかったのもあるんだろうな。前はある…はずだけど。

  • 106二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 21:36:16

    いいね

  • 107二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 05:33:16

    ほっ

  • 108二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 12:44:34

  • 109二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 19:43:18

    なんだかほっこりする描写だ

  • 110スレ主22/12/17(土) 00:14:39

    部屋に荷物を置いて整理をする。困った。割と楽しくて私物が思ったより増えてしまった。といっても日用品や私服ばかりだけど…どうしよう。記憶が戻った私の趣味と違ったら……ま、その時はその時の私に任せる他ないかな?

    そんな風に思っていたらルフィ君が部屋の外からノックをして声をかけてきたので軽く髪を整えてからドアを開けて応えた。そうして何やらご機嫌な彼について行って部屋を出て歩き、アクアリウムバーに入ると一味の皆が揃っていた。

    今日はこっちで食事なのかなと思ってルフィ君に聞いたらやっぱり覚えてなかったのかと言われる。なんの事だろうと思い、素直に聞けば前に皆とーーワールドで話した時に私がルフィ君達にお願いしてたらしい。「一度でいいから宴に参加してみたい」と。
    そんな事言ってたんだ。あの時の私…。まあ確かに、いつまでルフィ君達のお世話になっていいか分からないし…折角だから体験してみたかったかもしれない。そう思ってルフィ君から手渡された樽ジョッキを受け取って皆と一緒に乾杯してから、宴は始まった。

  • 111二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 06:57:00

    宴なのに不安がぬぐえねえ!

  • 112スレ主22/12/17(土) 13:13:08

    皆でごちそうや、お酒、ジュースを飲んで騒ぐのは楽しい。ふと、隣を見るとジンベエさんがいた。確かこの人がいたお陰で、私のいる島にルフィ君達は来れたんだよなと思い、改めてお礼を伝えると、気にしなくていいと豪快な笑い方をされた。
    本当に、この船に乗る人達はみんな優しい。
    不思議と、記憶が無くても…いや、ないからか、私は最初から彼らに嫌悪感を湧くとなく、警戒もする事なく接する事が出来ていた。

    アクアリウムで魚が泳いでいるのを横目に見る。能力者な私にはこういう景色が見れる機会は貴重だなと思う。とても綺麗だ。…でも、何故だろう?何か、何か引っ掛かるような……
    そんな風に首を傾げていた私の耳に綺麗なバイオリンの音が聞こえる。そっちを見るとブルックさんが演奏をしていた。相変わらずすごい上手で、ついついソワソワと、疼いてしまう。
    そんな私に気付いたらしく、ブルックさんが誘ってくれたので私も歌い出す。なんならルフィ君達も歌い出す。

    ああ、楽しい。楽しいなあ。
    ご飯を食べないといけない。眠らないといけない。病気になったり、大怪我をすれば簡単に命を落とすかもしれないこの身体だけど。私はきっと、歌えなくなったら同じ様なものなのかもしれない。
    こんなにもーーが好きなのだから。

  • 113二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 21:23:39

    保守

  • 114二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 05:25:50

    保守

  • 115二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 10:43:22

    着実に一味への感情を一つずつ言葉にしていっているな
    続き期待

  • 116スレ主22/12/18(日) 15:59:48

    段々と大騒ぎするというよりは、静かに皆飲み始める。このアクアリウムバーはそういう雰囲気にもぴったりだ。そんな時、そろそろ片付けてお風呂に入りましょってナミさんに誘われる。
    確かに、騒いで少し汗もかいたし、サッパリしたいかも…そんな風に思ってたらロビンさんはチョッパー君も誘ってた。幼いし、トナカイだもんね。

    そう思ってたらサンジさんとブルックさんが何か騒いでいる。なんて言ってるかはロビンさんが能力で生やした手で耳を塞がれているからよく聞こえないけど…何か問題あったのかな?ぼんやりとその景色を手元の飲み物を飲み切ってしまおうと樽のジョッキを持っていると、何故かナミさんが…えっと、天気棒?だっけ?彼女の武器を軽く振って雲を作った。
    本当に屋内でも天気を作れるんだななんて驚いているのも束の間で…サンジさんとブルックさん目掛けてすごい勢いで…雷が落ちる。

    水中に、電気が…光が…走って……

    耳を塞がれても流石に聞こえる轟音。ロビンさんが手を離しても…私はそこから動けなかった。
    周りが漸く、私の様子がおかしい事に気付いて話しかけてくるが…それどころじゃない。グワン…と視界が揺れる様な、足元が覚束なくなる感覚と共に手からジョッキが落ちる。カランって音とが響くけど…それより…それ以上に……
    膝をついて頭と胸をおさえる私の脳裏に、以前フランキーさんとウソップさんが聞かせてくれた話が過った。

  • 117二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 17:30:59

    ────────────
    お前のこの古い方のヘッドホン…漏電した痕跡があってな……まあ、一度海水に浸ってたってんならあり得る話だ。
    だが、例えばだ…仮死状態だったお前が…船から棺ごと海に投げられ…その時ヘッドホンが多少ズレる。そうだな首元辺りに引っかかるとして…丁度胸元にこのヘッドホンの漏電部分が来た可能性がある。

    ……普通じゃあ、あり得ねえ。この程度の小さな機械の漏電で人の止まった心臓は動かないだろうな。だから、もし本当ならスゥーパーな奇跡だって、言っただろ?
    そして、それは…すげぇ嬉しいことでもあるじゃねえか…!!だってよ、それならお前は
    ─────────────
    ─────────
    ─────
    ──


    終わる…終わる……結局、最期に、ほんの少し、あの子に見てもらえただけ…
    何故かこうして一つになっても…何が出来るというわけでもなく……見てることしか出来ず、救うなんて当たり前に無理な話で……

    嫌だ、まだ…もっと…!!
    願っていいはずなのに…!!
    幸せになりたいはずなのに…!!


    「生きていたい」って思えたはずなのに!!!

    死にたくない…死なせたくない!!
    お願い!!どうか……どうか…!!!
    まだ!!!消えたくないんだよ!!!!

  • 118スレ主22/12/18(日) 17:39:24

    …ああ、そうだ。私は……あの時…冷たく暗い中見えた光を一生懸命に掴んだんだ。
    じゃあアレは…電気、だったのかな?
    そうかもしれない…そうじゃないかもしれない。でも…今は分かる事がある。思い出せた事がある。何よりも大事な事だ。

    私は、生きたいと思ったんだ。
    あの時、確かに…

    心配そうに私の顔を覗くルフィ君に、心配かけてごめんと、謝ってから…抱きついた。周りが驚いているけど…仕方ない。彼は恩人だ。
    何度もお礼を言うけど足りない。私の中にある全部がお礼を言いきるのを待ってたら日が登ってしまうだろうから、ある程度お礼を言い尽くした後、離れて笑いかけた。きっと、ルフィ君が見たかった笑顔や言葉とは違うんだろうなと内心謝りながら。

    ルフィ君、ありがとう。本当に、ありがとう…!君だ。君だったんだよ…繋いでくれたのは…!
    【生きたいな】って、思わせてくれたのは…!
    君のお陰で……今生きてるんだ…!!

  • 119二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 20:53:18

    融合してるっぽいよなぁ。

  • 120二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 06:29:27

    記憶が戻りかけてるけどウタではない・・・?

  • 121二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 07:04:46

    ほしゅ

  • 122二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 17:03:15

    どういう結末になるんだろうか
    すごい気になるー

  • 123二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 20:43:26

    期待上げ

  • 124二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 20:48:35

    >>117

    で----の部分から上がーーの話で

    そっから下がムジカかな?混ざってるけどウタではありそうな今はーーだけど

  • 125二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 06:41:37

    さてどうなるか

  • 126二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 06:41:49

    面白い

  • 127スレ主22/12/20(火) 07:22:07

    その後ズビズビ泣いてる私を皆が宥めてくれて、今はサンジさん手製のホットミルクを飲みながらルフィ君と向かい合わせに座っている。他の皆も少し距離はあるけど近くにいる。相変わらず美味しいけど、熱いからチビチビ飲んでいたこちらにルフィ君は随分と…恐る恐る聞いてきた。
    「お前は、ーーなのか?」

    …まあ、思い返せばーーワールドでも質問をはぐらかしてたし、加えて今回の件とくれば見逃せなくなるのも分かるというものだ。…ただ、ルフィ君や、この船の人達には誤解も心配もかけたくない。どう説明しようか。そう悩んでいると、影から楽譜が出てきた。
    もしちょっかいをかけるならやめて欲しい。ややこしくなるから。割と助けてもらってた身としては恩を仇で返したくない。
    …そう思ってると、まるで隣に腰掛ける様に大人しく鎮座したので、なんだかそれ以上言えなくなってしまった。

    仕方ないので仕切り直す。ルフィ君に対して向き直り、まっすぐ見つめる。私の質問の答えを待つルフィ君に対して、私が答えられる範囲で真摯に答えたいとは思っている。
    …だが、正直自分でも説明が難しい。なにより思い出したなら早くーーワールドに行かないと。
    「YesかNoで答えるならば…Yesに近いと思うよ」と、結局曖昧な言葉でしか返せない私に、ルフィ君は首を傾げるので、申し訳なく思いつつも、思わずクスリと笑った。

  • 128二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 07:59:46

    あ~~~めっちゃ面白い、続き気になる!

  • 129二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 16:58:58

    ほしゅう

  • 130二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 17:12:03

    ho

  • 131二次元好きの匿名さん22/12/20(火) 22:56:25

    元のウタを取り戻して欲しいと思いつつもこの子も幸せになって欲しいと思ってしまう。

  • 132二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 06:39:34

    保っ守

  • 133二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 06:40:28

    期待上げ

  • 134二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 07:33:35

  • 135スレ主22/12/21(水) 14:44:12
    サルベージに向かってクスクスとルフィを見て笑う彼女を見てルフィ以外のウタワールドで彼女と話した事があるメンバーはなんとも言えない顔を、そうでないものは、やや警戒する様な顔をする。どう例えるべきか、先程までの幼児というか…迷子の様な雰囲気が変わり、今は雲を掴む様な様子の彼女をどう扱えばいいのか分からないのだろう。

    「そんな面白いか?」

    「ふふ、ごめんね…?」


    そうしてまた手に持ったカップを傾け「あちち…」とホットミルクにちびちびと口付ける。そんな彼女の傍らにはまたいつのまにか現れた古の楽譜…

    彼女が今さら悪意ある存在だとは思いにくいが、では目の前に彼女は…一体?言葉には出来ないが、そう思わせるだけの違和感があった。


    「寧ろルフィ君の意見が聞きたいな」

    「おれの?」

    「うん、ルフィ君は…私を何だと思う?誰だと思う?」


    まるで試す様な聞き方をする。しかし見聞色を使える者は、彼女から悪意や、何か企みがある様には感じなかった。否、感じ取れない、が近いかも知れない。少し頭を捻って考えたルフィは、答えをだす。


    「…ウタじゃねえ…とは、思えないんだよなァ…」

    「ふーん?」

    「でも、なんつうか…こう“物足りない”って思うんだよ」

    「……
    telegra.ph
  • 136二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 17:41:17

    こういう「別の人格に愛着が湧いてしまう」的な話、難しいよね
    完璧に本人というわけではないけど、本人とは別の存在というわけでもない
    ともあれ、この子にもウタにも、幸せな結末が来るといいなと思いました

  • 137二次元好きの匿名さん22/12/21(水) 21:26:43

    見守ろう

  • 138二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 06:29:08

    どのウタちゃんも幸せになってくれ

  • 139二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 06:44:41

    保守保守

  • 140二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 14:19:27

    ほしゅ

  • 141二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 20:46:00

    幸せな結末のために保守

  • 142スレ主22/12/22(木) 23:42:33

    目を開けるとすっかり見慣れてしまった燃える街。上がる火の手にも然程心が揺れないのは…もしかしたら元々だったのかも知れない。
    手のひらを見ると…透けていない。多分これが最後だ。これ以上はもたない。

    いかなきゃ

    ひらひらと、私の近くを楽譜が舞う。…随分と助けられたし、感謝もしてないわけじゃないが、私自身は割と12年前の事も根に持ってるのを覚えてなよとデコピンしてやると、割とショックだったのかその場にピシッと静止してしまった。
    クスクス笑って、もうああいう事しないでねと伝えれば、またひらひらついてくる。分かってるんだか、分かってないんだか……

    迷う事なく歩き続けると次第に燃えている建物は少なくなり…雨が降り出す。夢の中でありながら、しっかり冷たいそれは私の体温を奪っていくし、慌てて楽譜も濡れないようにと影に戻ってしまった。
    薄情者め…楽譜でさえない私は、別に濡れてもいいけどさ。

    ピチャピチャと水溜りも気にせず歩き続ければ、やがて着いたのは12年の集大成であり、終着点となった場所。
    最初こそステージかと思ったが、どうやらあの小島のボックス席にいる辺り……やっぱり、迎えに来て欲しかったんじゃないのかな?なんて思いつつ、私は笑顔で、一人蹲っている探していた存在に声をかけた。

  • 143スレ主22/12/22(木) 23:44:11

    「迎えに来たよ、ウタ」

  • 144二次元好きの匿名さん22/12/22(木) 23:49:26

    ついに…

  • 145二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 06:15:50

    小島のボックス席ってどこのこと・・・???

  • 146二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 06:24:48

    ーーがついにウタになった

  • 147二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 06:47:28

    >>145

    麦わらの一味の席でしょ

  • 148二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 07:43:30

    >>145

    麦わら一味がいたボックス席は、本来シャンクス達のための席だったらしいね。

  • 149二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 15:42:44

    続き楽しみ

  • 150スレ主22/12/23(金) 19:26:18

    「…………」

    ゆっくりと顔を上げた彼女はぼんやりした目で私を見てきた。記憶はある筈だけど、私が何なのかは理解出来てない感じだろうか。それだけじゃなく、そもそもこの子には今、気力が無いのもあるか。
    このままだと、きっとこの冷たい雨の中、泡の様に消えてしまう…私の代わりに。現に今、彼女の指先がいつかの私の様に透けているから。
    しかし、焦っても意味がない。

    「……となり、座るね?」

    多分返事は来ないのは分かってたので、勝手にそのまま隣に座る。目線だけはこっちに向けたままでいてくれるだけ嬉しい。例えその表情が無表情でも、困惑でも…私はこの子に見てもらえるだけで、口角が上がってしまうのだ。
    それくらいに、この子が、大好きだ。
    だから、悲しかった。私を【いらない】と思われてしまった事が。辛かった。見ている事しか出来ず、助けられない事が。

    「ねえ、こんな寒い場所なんかに一人でいないでさ、戻ろう?」
    「………」
    「…ま、元々連れ戻しに来たから返答は関係なかったりするんだけどね〜」

    そうして、すっかり冷たくなった手を取って、歩き出す。抵抗されるなんて事もなく、されるがままに着いてくる様子を見て…何だかこれから怒られる子供みたいなんて思うのはちょっとズレてるんだろうか。

  • 151二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 22:39:49

    心を閉ざしてるっぽいけど連れ帰ってどうにかなるのか・・・

  • 152二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 22:41:41

    いいぞ!
    そんな寒いとこ今すぐ出ておいで

  • 153二次元好きの匿名さん22/12/23(金) 22:58:27

    すごいしっとりしててまじで面白い

  • 154二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 07:43:22

    保守

  • 155二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 17:26:52

    どうなるんだろう

  • 156二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 17:29:38

    晴れろ…晴れろ…

  • 157二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 21:50:32

    ふぇえ気になる…どっちのウタちゃんも幸せになってよ…

  • 158スレ主22/12/25(日) 01:22:47

    また燃える街へと戻ってきた…が、最初と違い焦りなどはない。寧ろ穏やかと言っていいだろう。
    濡れないと分かったからか、いつの間にかまた影から出てきた楽譜は目など無いのに、まるで私を見つめている様だった。もし口もあるならば、きっとこういう事だろう「本当にいいの?」って。
    いいんだ。というか元々気にしてない。私自身は、全部この子の為にあるんだから。

    「…貴方にも、沢山助けられたね。ルフィ君達が来るまでもだけど……偶然とはいえ、貴方がいなきゃ何も始まらなかったかもだしね!!…ありがとう」

    そうして私は目を閉じて、自分の手にソレが集まる様な感覚を意識して、集中する。…そうして目を開けた時には手のひらの上に、黒い音符が一つ、ふわふわ浮いていた。

    「これ、返すよ!!…貴方の方のは、返さなくていい。寧ろそれ位しかお礼としてあげられないんだけど…きっと貴方はそっちの方がいいから」

    差し出す様に黒い音符を楽譜に飛ばすと、そのままそれは楽譜に溶ける様に吸い込まれていった。あとはもう時間の問題。
    これから私は、ゆっくりと解れて、この子に戻っていくのだ。

    「ねえウタ、聞こえてる?」

    だからその前に、貴方にもどうか少し聞いて欲しいことがあるんだ。手を引き、足は止めずに私達は口を開いた。

  • 159スレ主22/12/25(日) 02:04:27

    「私達のほとんどの事を貴方は覚えてないと思う。でもね、それでいいの。私達は、貴方の無意識の中での心の糧にでもなれたらって…みんなそう思っているんだよ」

    ピクリ…と繋いだ手から少しだけ反応が来て、ホッとした。ちゃんと戻れつつある様だ。だから、これは…戻ったら伝えられなくなるから、その前に伝えたい、貴方と初めて出会った日のことや、今まで見守ってて思っていたことだ。

    「私達ね、貴方が本当に大好きだよ。貴方が例え、どれ程これから先いろんな私達を生み出しては「やっぱり貴方は天才だ」ってはしゃぐと思う」

    ぼくを口遊んだ時、まだ君は自分で作曲するって発想もないほど、小さかったなァ…
    それがこんなに大きくなって…

    「無意識に歌っては、忘れられてもいいの」

    おれを完成させられなかったのは…まあ仕方ないって思ってるぞ。それでもウタが悩みに悩んだ跡が沢山ある。中途半端なんて思いはしない
    ウタの成長の糧として、おれはおれ自身が誇りだ

    「納得いかなくて、忘れられてもいいの」

    貴方が、わたしを覚えてなくて、よかった。二回も燃える街の記憶なんていらないわ
    愛する貴方を抱いて、わたしを歌ったあの人ならきっとそう言うはずだもの

    「遠く昔のことで、忘れられてもいいの」

    みんな、貴方を愛してる
    ウタが、私達を愛してくれたから

  • 160スレ主22/12/25(日) 02:30:45

    …でも、だからこそ思ってしまう。
    予兆があるのもあれば唐突だったものもある。ただ見守っていた私達のところに、貴方が【いらない】と投げ込んできたものたちに…私達は哀しくて、苦しくて、辛くて堪らなくなってしまった。

    「ねえ、ウタ、聞いて?」

    少しずつ彼女の手に温もりが戻ってきた。きっと聞こえてる。ちゃんと届く。
    貴方の完成させたもの達と比べれば、私達なんか存在丸ごとずっと拙いけど、どうかどうか、伝わって欲しい。

    「現実を【いらない】なんて思わないで…」

    現実世界への執着

    「自身への愛を【いらない】なんて思わないで…」

    自分を愛する気持ち

    「自分の命を【いらない】なんて、そんな悲しいこと二度と思わないで…ッ」

    死にたくないと足掻く気持ち

    そう思ってしまった理由だってちゃんと知ってる。だから何も出来なくて悔しかった。
    貴方はいつも素敵な歌を作り上げては、沢山の人達を私達を喜ばせるのに…私達の気持ちは届きはしない。伝える口など、持ってなかった。引き留める手だってなかった。
    初めて、忘れてられている事が、寂しくて仕方なかった。

  • 161二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 08:44:32

    佳境だ。楽しみ

  • 162二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 15:15:54

    マモル

  • 163二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 15:44:06

    これは……ウタの未完成だった「歌」たち、かな?

  • 164二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 19:22:54

    >>163

    歌もそうかもだけどもっと根源的な感情とか欲求かもしれない

    歌が大好きなただのウタが救世主や世界の歌姫ウタとしてRED事件を起こす過程の間で色々諦めてあるいは捨ててしまった想いそのものというか

  • 165スレ主22/12/25(日) 23:47:18

    もうどうしようもないのか…そんな風に思っていた時だった。ウタが計画したライブでルフィ君と再会して、彼と、シャンクス達とたくさんぶつかって…それでも最終的にトットムジカに取り込まれた。あの時だった。
    私達が…私に形を成したのは。
    もちろん、それだけでは変わらず身体がない存在。トットムジカと比べれば…人一人から生まれた残滓でしかない私は、涙を流す事も許されずウタの行末を見るしか出来なかった…だが

    「…ルフィ君には、感謝しかないな」

    彼と最期に話した時、ウタの中でもう一度【死にたくない】という感情が鎌首を跨げた。結果として私は共に混ざった他のものと一緒に引っ張り上げられた。結果として、生きたいという意志か、奇跡か…身体は仮死状態で留まった。
    まぁ、気付かれず海葬されかけたが…しかしそれもまた奇跡を一つ起こした。フランキーさんの言う通り、ヘッドホンが微弱ながらも漏電し、身体に流した電気が私という存在の意識を起こした。

    だが私という【現実世界を生きる活力】そのものの様な存在が独立して起きた事により、ウタはこのウタワールドに残ってしまった。彼女自身に【現実世界への執着】もないから私が探す他なかったし…終始ヒヤヒヤしたものだ。
    しかしそれもまた、ルフィ君達が来たお陰で無事解決の糸口を掴んだ。

    「ウタとぶつかってくれた事、私をウタと繋いでくれた事、音貝を拾って助けてくれた事…挙げても挙げてもキリがないね」
    「でも一番は…このマークをくれて、それをウタが大事にし続けた事だね」

    そうして少しだけ振り返って、ひらひらと彼と彼女の約束のマークを見せる。
    名前部分だけがほつれて無くなったのは存外、偶然ではなかったのかもしれないな。

    このマークとルフィ君をそれぞれ見た時の頭痛はきっとウタワールドの方でもこの子にルフィ君と邂逅したことが伝わった事で、本来なら私自身には無いウタワールドへの干渉が多少ながら可能になって夢を見れる様になったのだろう。
    まあ、全部仮説だけど。

    「……その顔見るに、案外当たらずも遠からず?かな?」

    少し瞠目した様な表情でマークとこちらを見るウタに笑いかけてから段々と軽くなりつつある身で、また歩き出した

  • 166二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 07:18:38

    マモル

  • 167二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 09:19:38

    やっぱりウタは、どんなに虚無ってても誓いのマークには反応するんだな

  • 168二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 17:26:47

    続きを待機

  • 169二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 21:56:15

    あと一息

  • 170二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 07:02:57

    もうすぐ完結かな
    待ってます

  • 171二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 07:06:21

    待ってます

  • 172二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 08:23:52

    ほつれて、とけて、戻っていく感覚に、安心する。少し違うのだろうけど…この子がシャンクスの腕の中、娘だと言ってもらえた時の気持ちに似てるかもしれない。
    かえりたい所に、かえっている。

    「ねえウタ、知ってる?ナミさんの蜜柑ってね凄い美味しいの!!美味しいと言えば…サンジさんのパンケーキも絶品だったなァ…あれはね、食べないと損だよ?フフッ」
    「………」
    「チョッパー君は小さいのに頼りになるし…ロビンさんは本当にお姉さん!って感じ!!二人と話すと、とても落ち着くんだよ。チョッパー君はお医者さんで、ロビンさんは考古学者さんだから…頭が良いからかな?」

    どうせ戻れば私達の記憶は丸ごとウタに継承されるだろうが、【私】自身の感想を伝えておきたくて、ここ最近思った彼ら彼女らのことを話す。優しくて、あたたかい…太陽みたいな彼らの
    ポツポツと、白い光が、音符が散っているのが見えるが気にせず歩く。
    そうこうしてるウチに漸く目的地に着いた。ウタもどこに着いたか分かった様で…後ろから「あ」と声が聞こえた。

    「…ウタにとっては、あんまり好きな場所じゃないよね。ここは」

    申し訳なさに少し苦笑いしながら私達は振り向く。いつの間にか、街の炎は消えていた。
    此処は…エレジアの港はウタにとっては悲しい記憶があるのは知っている。自分を置いていく船を、見ている事しか出来なかった場所…自分達の家族を信じられなくなる最初の場所…
    だが、此処は夢だ。当たり前に、彼女を置いていく船などない。

    「もう大丈夫だよ」

    そして目の前にいる、私達を見ながらポロポロ泣いてくれている…私達がずぅっと見てきた優しい女の子を抱きしめた。

  • 173二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 08:53:33

    「こんな場所に、今まで一人にさせてごめんね。ウタ…でもこれからは私達も、またちゃんと側にいるから」
    「でも、わ、たし…貴方達の事…っ…何も…」
    「あはは、確かに…私達の中では名前さえ無い様な存在の方がずっと多いし、きっとこんな機会がなければ私達は貴方にこうして思い出される事はなかった」

    こんな私達にまで申し訳なくなるなんて、本当に、この子はどこまで優しいのか。でも、私達は…貴方のそんなところも大好きだ。

    「でも、こんな機会があったから…私達はこうして今、貴方に言葉を送り、抱きしめることが出来ているんだよ。ウタ」
    「…っ」
    「……もう、現実世界なんかいらないとか、自分が死んじゃっても…なんて、嘘はダメだよ?」

    だって、こうして生きてた私達が…こんなにも生きたいと思ってるんだもの。

    「無理はしないでね。美味しいものたくさん食べて、大好きな人達と過ごして…それで、好きに歌ってね?」
    「ゔん…!!」

    段々、ウタの方からもぎゅうぎゅうと、透ける身体を抱きしめられる。
    ああ、幸せだなァ。貴方に言葉を伝える事も伝えられる事もできて…こうして抱き締めてもらえて。もし私達が楽譜だとしても、こんな風には抱き締めてもらえないだろう。クシャクシャになってしまう。
    「ただいま」とか、「おかえり」は言わない。それは、この子が帰ってからルフィ君達やシャンクス達に言うべきだ。

    「…そろそろだね」

    手だけは離さず、ゆっくりと離れると、泣いて崩れてはいるが…随分スッキリした顔のウタがいた。

    「……あの」
    「ん?」
    「ありがとう」
    「…えへへっ」

    正面きって言われると照れるじゃないか。せっかくならカッコよくしめようと思ったのに、だらしない顔になりそうなのを堪えようとして、余計に変な顔で笑ってしまう。
    …まあ、仕方ないか!

  • 174スレ主22/12/27(火) 08:57:02

    白い音符が、まるで泡みたいだな。消えるわけじゃないのに…でも、今の私達の透ける身体なら、きっと彼女が見るのに邪魔にはならないのだろう。ウタは私達を通して後ろを見ていた。
    そうだよ、そろそろ起きなきゃ。
    夢から醒めなきゃ。

    「夜が明けるよ」

    かえろう、ウタ。

  • 175二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 10:13:35

    ウタのロマンスドーンか

  • 176二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 19:21:30

    待機

  • 177二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 00:29:27

    期待

  • 178二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 08:14:44

  • 179二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 17:17:29

    しゅ

  • 180二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 20:52:40

    保守

  • 181二次元好きの匿名さん22/12/28(水) 21:56:09

    すごい話だ…好き

  • 182スレ主22/12/29(木) 05:31:48

    意識が浮上して、ハ…と目がさめる。今の“私”ならいろんな事を思い出せる。知っているはずなのに、この時だけはどうでもよくて、一番知りたいのは今の時間だった。
    慌てて窓の外を見ると、言われた通り、夜が明けようとしていて、たまらず私は部屋を出て目的の場所まで駆けて行く。

    【久しぶりの現実の身体】は、寝起きなのもあってすごく重くて、今はそれが泣きそうな程大事な事だって分かっている。
    甲板に出て船首に向かうと…私に気付いたらしい彼は少し驚いた顔をしつつ名前を呼んでくれたが、それどころじゃない私は、加減も忘れて全力で飛び上がる。
    そしてそのまま彼がいる船首の上に…乗るつもりだったが、やっぱり久しぶりの身体で全力はよくなかったらしい。着地が上手くいかず落ちそうになるのを慌てて彼が文字通り腕を伸ばして捕まえてくれた。

    危ないだろって注意する彼を見てようやく、少しだけ冷静になれたところで、弾かれる様に私は明るくなって行く前方を向く。
    言われた通り……夜明けが来ていた。
    それを見る私の目から涙が出ているのに気付いて、幼馴染は大丈夫かって、言ってくれる。

    「…うん、ありがとう。ルフィ」

    たったそれだけの言葉に全部察したらしい、12年前よりずっと成長したルフィは、何も言わず、私を抱きしめてくれた。

  • 183スレ主22/12/29(木) 06:00:55

    その後しばらく二人で並んで座り、そのまま昇る朝日を見ていたが…私の方から口を開いた。あくまで、目線は朝日だけを見つめたまま。

    「…ねえ、ルフィ」
    「なんだ?」
    「私は多分、まだまだこれから沢山の事があるんだろうし、それらに向き合いきれるか分かんないんだけどさ」

    「…とりあえず、【死ぬのが怖い】ってだけで、生きてもいいかな?生きたいから、生きる。でも…いいのかな」

    あの間違ってる新時代の夢は、幼馴染と家族によって破られた。ここからリスタートするのは骨が折れる事だろう。
    でも今の私はあの【私】が繋いだ命で、あの子が精一杯生きようとした分、今の私も生きたいって思ているから…

    「あっひゃっひゃっひゃ!!ウタ…お前、バカだな」

    そんな風にしんみりと考えていたのに、ルフィは急に笑い出した。
    なんならバカって言ってきたから私はバッと彼の方を向いた。

    「ハァ!?大事な事なのに!!何がバカだって言うのよ!?」
    「そんな風に重く考えてるのが、バカだって言ってるんだよ…」
    「……」

    置いてきぼりにされたなと、実感する程大人びた声色でそう言われれば何も言い返せない。
    ルフィのくせに…ルフィだからか。少し拗ねている私に対して、改めてルフィは口を開く。

    「そんなの、当たり前だろ?」
    「…ホントに?」
    「嘘じゃねェよ。気楽にいこう」

    そう笑う彼に、それこそもう昇りきった太陽みたいな眩しさを感じて思わず目を細めた。

  • 184スレ主22/12/29(木) 06:06:06

    いつの間にかまた私はポロポロ泣き出してしまう。後でタオルか何かで冷やさないと絶対に腫れてしまうだろうな。

    「泣き虫になったな、お前」
    「うるさい…184連敗」
    「なっ、いつもお前がズルしてんだからお前の負けだろ?」
    「…フフッ、出た!!負け惜しみ!!」

    そんな何処か懐かしい掛け合いをしながら、私達は笑いあってた。

    とりあえずルフィの助言通り…助けてもらった。繋いでもらったこの心臓の音を、大事にしながら、今日も生きよう。そう一人思いながら。

  • 185スレ主22/12/29(木) 06:29:36

    それから──

    あれからまだ私はルフィ達の船に乗っている。というか、シャンクス達のいるところが分からない以上、連絡のとりようも無いのが正しい。
    私が生きている事は、あの時の号外や、最近出回っている私の手配書で知ってるとは思うんだけど…まあルフィはいつかシャンクスに会うわけで、ならこのまま一緒にいれば会えるだろうと楽観的に考えている。

    せいぜい再会したら「もっとちゃんと確認してから海に投げろ」と一発殴るつもりだ。
    それくらいは許されるだろう。そう頷きつつも私は作業の仕上げに取り掛かる。
    チクチクと針を通し、最後にチョキン、と糸を切って仕上げた物を眺める。思った通りの出来栄えに思わず頬が緩む。

    「よし、出来た」
    「ん?何がだ?」
    「あ、ルフィ…新しいアームカバーだよ。前のはボロボロだったし」

    そう言う私の手には新しいアームカバーがあり、ルフィとの大事なマークには、改めてUTAと名前が入っている。

    「へえ……なあ?このウタの名前の部分の糸、なんか変じゃねえか?ボコボコしてるっていうか…細かったり太かったり……」
    「あはは、そりゃあね?」

    だってこれは、あの日、無人島を出て行く際に唯一曲以外で持ち出した、あの島で作った糸だ。つまるところ私という素人がそれっぽく作ったもの。
    既製品とは比べ物にならない程作りが荒い。お陰で針の穴に通すのが大変だったが…数少ない【私】の証だ。何かしらに使いたかった。
    そう説明をすると「ふーん」とルフィは興味があるんだかないんだか分からない反応をするが、そのまま私の近くに座るあたり、何も無いわけじゃなかった様だ。

    「そういえば、あの時はお前がそれどころじゃなかったし、冒険も出来てなかったな」
    「?」
    「せっかくだから教えてくれよ。あの島でお前がどう生きたか、もっとちゃんと」
    「…いいよ。じゃあ」

    そうして私は、まるで歌でも紡ぐ様に、【私】の話を聞いてもらう事にした。

    fin.

  • 186スレ主22/12/29(木) 06:38:36

    ありがとうございました!!

    割としっかり2スレ近く書く事になったのは驚きでしたが楽しかったです。

    以下、補足の様な何かです。

    彼女について


    記憶喪失のウタ……ではなくウタ本人が忘れていたり、没にしたり、産みの親であるお母さんの子守唄だったりした歌達。それにウタが本編REDに至るまでに切り捨てて来た現実世界への執着や生存したい気力などが加わり、二回にわたり、トットムジカに取り込まれた影響で集合体としての個を得た存在。

    所謂ジェネリックトットムジカだが、負の感情で出来てはいないのと、元々忘れられてナンボというスタンスの歌達(それもウタ一人分)なので大した力は無く、魔王化はしない。

    間違いなくウタを構成している要素だけど「ウタである」とは言えない。(本人?達も自分がウタだとは思ってない)

    ルフィとのぶつかり合いで最後に「死にたくない」と思った為に心の奥底から引っ張り上げられたけど、その後、棺に入れられ海に投げられ電気ショックを喰らって一人でサバイバルする事になった。不憫。

    構成要素が【現実世界への思い】や【死にたくないという気持ち】が強いので度々「死にたくない」「生きたい」と言うワードを使う。

    しかし、あくまでも肉体や、現実への執着を持つ面なのでウタワールドに関連したウタウタの実の力は使えないので眠らせて操るに留まっていた。


    トットムジカについて…
    telegra.ph
  • 187二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 06:40:21

    完結お疲れさまでした

  • 188二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 07:02:04

    完結おつです。

    全体的にしっとりしてて、超好みでした。
    久しぶりに良質なウタSSを見た気がする。

  • 189二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 07:18:35

    全体的に雰囲気が好みなssでした
    追っかけれたことを…心より誇らしく思います

  • 190二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 07:50:22

    完結乙&ありがとう!
    たまたま、ほんと偶然見かけたこのスレを最初から追いかけれて楽しかったよ!
    ちとはやいがスレ主も皆もよいお年を

  • 191二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 07:53:12

    >>186

    この補足についてーーがどうなったか自分も同じ解釈だったので創作者と同じ解釈できてて嬉しいぜ

  • 192二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 07:53:30

    完結おめでとうございます
    とても面白かったです。特にルフィと再会する直前のウタの心情やウタを今度こそ助けようとするルフィのところとかとても好きでした
    ところで前回のスレにサンジの料理を初めて食べた時の場面があった気がするのですがなんか消えてました
    記憶違いでは無ければもう一度書いてほしいです

  • 193二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 09:05:17

    完結乙です!
    心の流れが丁寧に書かれていて、落ち着いた雰囲気だけど感情が動かされる良いSSでした
    良いもの読ませてもらった! どうもありがとう!

  • 194二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 09:09:38

    完結おめでとうございます!めちゃくちゃ楽しく読ませて頂きました。スレ主も麦わら一味もウタちゃんも良いお年を~!

  • 195二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 09:18:09

    完結おめでとうございます!
    あったかいお話でとても好きでした
    ありがとうございました!!

  • 196二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 09:38:46

    素敵なお話ありがとう
    何処かに消えた分も含めてまとめてほしいな
    無理にとは言わないけれど

  • 197二次元好きの匿名さん22/12/29(木) 21:37:16

    🔫🐉<見事なSSだったと語り継がれる

  • 198二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 06:51:32

    奇跡が起きたとはいえ生きてた娘を流してしまったとかシャンクスの罪悪感がすごいことになってそう

  • 199二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 09:13:03

    >>198

    だからウタが会いに行くまで死んじゃいけないという枷を赤髪海賊団に付ける

    おらっ赤髪ィ!娘と感動のご対面した後は殴られたり話し合ったり仲直りしたり仲良く団欒したりするんだよぉっ!

  • 200二次元好きの匿名さん22/12/30(金) 09:30:03

    200ならみんなハッピーエンドれす!!

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