あにまんウマ娘になりたい部Part165

  • 1二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 22:00:43

    もう少しでウマ娘になれたのに、あんたのせいで台無し!


    本スレは「自分がウマ娘だったら」を妄想するスレです。

    スレを開いたあなたも自分のウマ娘になった姿を想像してみましょう。

    ※新規入部希望者へ※

    際限なくウマ娘が増えてしまうことを避けるため、原則一人一ウマ娘でお願いします!

    (自ウマ娘のSS内で登場させるだけなら問題はありません!)


    前スレ

    あにまんウマ娘になりたい部Part164|あにまん掲示板ないたい部のメンバーたちは、様々な個性を持っている。だが、「ウマ娘になりたい」というあこがれだけは、全員変わらないのだ。本スレは「自分がウマ娘だったら」を妄想するスレです。スレを開いたあなたも自分のウ…bbs.animanch.com

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    建てられない場合は他の人にスレ建て代行をお願いすること!

    スレの管理ができなくなるモバイル回線で建てないこと!

    いいー?

  • 2二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 22:01:05

    お絵描きしたいけどウマ娘の容姿を錬成したい!そんな方の為のリンク↓

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    ウマ娘の血統もガッツリ練りたい!そんな貴方にはこちらのリンク↓

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    SSでレース描写したいけどレース展開の基礎教えて!そんな方の為のリンク↓

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    トレーニング描写したいけど競走馬育成の参考欲しい!そんな方の為のリンク↓

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    ウマ娘は人間に近いのでヒトミミアスリート由来の知識もどうぞ↓

    https://bbs.animanch.com/board/1290765/?res=7

    あと蹄鉄

    https://bbs.animanch.com/board/1290765/?res=14

  • 3二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 22:03:39

    O2

  • 4二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 22:04:51

    たておつ
    久々にスレの流れが復活した前スレじゃった

  • 5ルヴァンメモリーの人22/12/06(火) 22:08:03

    たておつ

  • 6二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 22:09:12
  • 7ラピッドホライゾンの人22/12/06(火) 22:09:56

    たておつー

  • 8二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 22:10:16

    ほら、、、前スレで枕投げの事後処理に死体処理的な話になったから、、、

  • 9二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 22:18:26

    当たり前のように証拠隠滅を行うチームカオス…失望しましたファル子のファン辞めます

  • 10二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 22:21:44

    しゃいっ!?

  • 11二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 22:27:05

    好きな名探偵と頭脳戦していいぞ。因みに全員倒したら金田一少年が出てくるものとする

  • 12残滓22/12/06(火) 22:43:52

    改名ってアリですか?
    一月ほど出てなかった上に設定はほぼ維持するつもりなのですが…

  • 13二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 22:47:05

    いいんじゃないでしょーか?
    実際自分も大分悩んでる

  • 14残滓22/12/06(火) 23:02:46

    じゃあ朝までストップ来なかったらしちゃいましょうかね
    あとSSが出来そうです。
    あと1週間でテストなのに何やってんだ本当

  • 15フラワリング埼玉22/12/06(火) 23:15:03

    おい、今埼玉県民が小さいと言ったか?

  • 16ルヴァンメモリーの人22/12/06(火) 23:15:57

    私も1週間でテストなのになんでスリーサイズのことしか頭にないんだろ


    >>12

    >>13

    いいんじゃないですかね。変更前→変更後をお知らせしてくれれば大丈夫だと思います

  • 17二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 23:17:43

    >>15

    フフフ…気に病むことはない

    Aカップも需要があるからな…

  • 18二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 23:20:23

    よりにもよって埼玉がDカップで草

  • 19メジロエスキーの人22/12/07(水) 06:28:00

    新スレおつ……また胸の話してるよ……

  • 20残滓22/12/07(水) 07:30:53

    誰にも止められなかったので
    ロゴス→クロックワークス
    になります。あと性格に人間味が添加されます。
    私もこの子も中々に気紛れなので、これからも居たり居なかったりさせていただきます。

  • 21二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 07:53:02

    待てよ
    福島を省いた場合だとトレセン学園と東京レース場のある都内はCカップ、中山レース場のある千葉もCカップ、阪神レース場のある兵庫もCカップ、中京レース場のある愛知もCカップ、函館と札幌にレース場がある北海道もCカップ、新潟レース場のある新潟もCカップ、京都レース場のある京都もCカップのニーズが大きい
    つまりレースに携わる我々が訪れる場所は全て一定以上のバストサイズが要求されるんだぜ

  • 22ツキノミフネの背後霊22/12/07(水) 07:58:27

    おはようございます
    突然で申し訳ないのですがSSを投稿させて頂きます
    朝からすみません……

  • 23ツキノミフネの背後霊22/12/07(水) 07:59:19

    【裏】


    「ふははははははははははは!!!! 征くぞリュウガン!!!!」


    「は〜い! いまいきま〜す!」


    もう、ムソウちゃんはせっかちさんです。いつもわたくしをおいていく。

    そのことはちょっとだけ。ほんのちょっとだけ。いつもさびしいとおもっています。かなしいとかんじています。でも、それよりも、うれしいのです。たのしそうにまえをむくムソウちゃんのほうが、ムソウちゃんらしくてすてきなのです。すてきなおともだちのすてきなところがみられるなら、そっちのほうがいいでしょう?

    それにね。

    おいかけるせなかがあるなら、わたくしはどこまでもおいかけていく。おいかけていける。

    わたくしがわたくしであるかぎり。

    だから、まっても、おいていかないでも、くちにすることはないのです。

    なーんて。

    ムソウちゃんのところにはやくいかなくちゃ。だってきょうは、あきのてんのうしょう! タマモクロスさんとわたくしがおうえんしているオグリキャップさんがしゅっそうするレース! ファンとしてかんせんしないのはうそです!

  • 24ツキノミフネの背後霊22/12/07(水) 08:00:04

    重賞六連勝。この記録はかのメジロラモーヌに並ぶ偉大な記録だ。それを成し遂げたのが、地方出身のウマ娘──それも、走らないと言われ続けてきた芦毛のウマ娘。そして、この秋の天皇賞にてそれを迎え撃つ現役最強のウマ娘もまた、芦毛。

    ざまぁみろクソおやじ。もうこの日本じゃ芦毛が走らないなんて言うヤツはいない。くだらない偏見で芦毛のウマ娘たちが見下される不幸は死んだ。

    ……本音を言えば、私の担当のツキノミフネがこのくっだらない迷信を終わらせられたらよかったな。

    切り替えよう。これからのミフネの活躍が彼女たちを上回ればいい。上回ることができるはすだ。才能はもちろん、相当度胸もある。この娘は全校生徒の前でトゥインクル・シリーズ無敗宣言かまして、負けたら引退なんて言い出すようなじゃじゃウマだ。ルドルフ会長に呼び出されたときなんて……ああ、寒気がしてきた。思い出すのはよそう。今の私じゃまだ思い出すのもキツい。


    二度目。切り替えよう。まずは──


    この世紀の一戦を観る。ツキノミフネと共に。

  • 25ツキノミフネの背後霊22/12/07(水) 08:01:14

    オグリキャップさんはにちゃく。タマモクロスさんにとどきませんでした。すごくざんねんですけど……わたくし、おちこんではいません。つぎのジャパンカップではオグリキャップさんがいっちゃくをとるのだと、わたくしはしんじております。それに──わたくしよりオグリキャップさんがにちゃくだったことにショックをうけているひとがおりましたから。

    きれいなあしげのおねえさんでした。
    たまたまとなりにいて、オグリキャップさんをいっしょにおうえんしたかたです。すらりとおおきなしんちょうで、あこがれます。トレセンがくえんのせいふくをきていらっしゃったので、もしかしたらオグリキャップさんのおともだちなのかもしれません。

    そのひとが、ないていたんです。
    おおきなめをみひらいて、ないていたんです。
    ひょうじょうはおにんぎょうさんみたいにぬけおちていました。どのようなきもちだったのでしょう。どんなことをかんがえていらっしゃったのでしょう。そうぞうするだけで、わたくしもむねがいたくなります。

    だから、いてもたってもいられず、わたくしのハンカチをかしてあげました。しんせつはせっきょくてきにするものだと、おとうさまもおかあさまも、おねえさまもおっしゃっていました。

    おねえさんはハンカチでなみだをぬぐって、なきやみました。すごくよろこんでくれました。よかった。わたくしのこころもぽかぽかです。ムソウちゃんもわたくしをほめてくれました。うれしかった。すごく、あたたかいじかんでした。


    「ふははははははははははは!!!! リュウガン!!!! 思い出に浸るのも結構!!!! 我としてもぜひ語り明かしたい!!!! しかし!!!! なにか忘れてはいないか!!!!」


    いつのまにか、ずっとまえにいたはずのムソウちゃんがめのまえにいます。こえがおおきくてすてきです。


    「おみやげでしょうか?」


    「ふむ!!!! おみやげは大事だな!!!! あとで買いに行こう!!!! だがそうではない!!!! 我も先程思い出したのだが!!!!  ハンカチ!!!! お姉さんに貸したままだろう!!!!」


    「あっ……」


    すっかりわすれておりました。

  • 26ツキノミフネの背後霊22/12/07(水) 08:01:40

    終わりです
    お目汚し失礼致しました

  • 27クアドラプルグロウ22/12/07(水) 08:07:03

    ムソウうるっせえ!!!!!
    嘘…俺の娘…うるさすぎ…???

    =====
    競走馬:ムソウ

    父ヤエノムテキ
    母クアドラプルグロウ
    母父バンブーメモリー
    =====

    それはそれとしてとてもかわいい空間が展開されていた…

  • 28ツキノミフネの背後霊22/12/07(水) 08:31:24

    えー、内輪ネタの極みでしたので解説?を
    第一視点、第三視点のひらがなっ子(リュウガンと呼ばれていた子)は

    父オグリキャップ
    母ツキノミフネ(本SS主人公)

    の産駒である牡馬リュウガン(ツキノミフネの06)のオリジナル? ウマ娘です

    そして、今回登場した、皆さんが知らないミフネのエピソードは前回までのSSで一旦時系列が過去に戻り、そこから違う行動をとったが故、ということを暗に表現しております

    わかりづらいSSで申し訳ありません
    以降は内容の解説はともかく、登場人物の説明は投稿後行わせて頂きます

  • 29ツキノミフネの背後霊22/12/07(水) 08:59:48

    補足
    ムソウはクアドラプルグロウさんのところの子なので詳しくはお任せ致します
    リュウガンの内心は幼い故にひらがななのではなく、概念的にひらがなです。思考回路が特別幼いわけではありません

    基本いい子ですが、全体的に友達に対して重いタイプです
    ウマ娘らしい闘走本能も持ち合わせております
    あと、本編でちゃんと走ることはおそらくないので不必要な情報かもしれませんが、脚質は追い込みです

  • 30メジロエスキーの人22/12/07(水) 12:03:49

    内容はともかく前触れもなしに新キャラ出てきて「誰だこれ!?」ってなったよね

  • 31二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 12:05:43

    >>21

    貧乳部員は福島しか走れない…ってコト!?

  • 32メジロエスキーの人22/12/07(水) 12:38:06

    >>31

    福島に対する熱い風評被害

  • 33二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 12:42:00

    どちらかというと貧乳の人権問題に関わってくる気が……貧乳の人権問題ってなんだよ

  • 34キング牧師22/12/07(水) 12:47:44

    私には夢がある!
    いつの日か府中のレース場で、巨乳ウマ娘の娘たちと貧乳ウマ娘の娘たちが、選手として同じレースを走るという夢である!

  • 35メジロエスキーの人22/12/07(水) 12:49:15

    >>34

    勝手にしろおじさん「勝手にしろ」

  • 36二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 12:55:46

    ところで貧乳部員と新入部員って響き似てない?(クソレス)

  • 37謎の貧乳ウマ娘F22/12/07(水) 14:44:11

    ころすぞ

  • 38メジロエスキーの人22/12/07(水) 15:03:28

    >>37

    こっわ……

  • 39二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 16:59:44

    ウマ娘になってどんなトリートメント使おうかなぁってサロン専売品見てたら成分の中にノーベル賞成分フラーレン配合とか書いてあるけどお前髪に効果あるんか???

  • 40二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 17:11:33

    謎のウマ娘Fの殺意の波動シリーズ見れるってマ?

  • 41二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 18:18:09

    尻尾用と毛髪用で分ける意味あるかな
    同じケラチンだろ…?

  • 42シュウマツノカジツの人22/12/07(水) 18:33:34

    カジっちゃんwikiを編集しました。
    変更点
    ・ダビスタの半妹をモデルにした妹が生えました。これで三姉妹の真ん中から四姉妹の次女になります。属性が違うんだよな属性が……。小学生なのでSS等に出てくることは恐らくありません。
    ・姉の歳が2つ上→3つ上になりました。なんで?(適当)
    ・目標レースをアプリ版とし、史実ifとして編纂しました。目標レースから短距離とマイルが消滅し、皐月賞が生えています。尊厳破壊かよおめーは
    ・隠しイベントを1つ追加しました。達成時貰えるステータスなどは未定です。
    ・シニア3月後半に発生する隠しイベントでもらえるスキルを変更しました。
    ・固有二つ名の取得条件を少し厳しくしました。まま、ええやろ。

  • 43二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 18:53:41

    目標から適性Eの短距離省かれたのは普通に育てる分には楽だからいっかぁ()

  • 44クアドラプルグロウ22/12/07(水) 19:21:12

    左はブルーラグーン
    右はスカイセンサー

    みなさんどう思われますか

  • 45二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 19:22:31

    ズブロッカ飲みたいなって思いました

  • 46二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 19:32:22

    アル中!

  • 47二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 19:37:15

    同牝系、同父系
    ざっくりニアリー

  • 48メジロエスキーの人22/12/07(水) 20:06:28

    >>42

    随所に心の声が漏れ出してるの草生えるんだ

  • 49スカイセンサー22/12/07(水) 21:31:58

    設定変えることにしました

    多分見た目と名前以外全部変わります

    >>44 の血統図もあくまで仮のものなので……

  • 50二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 21:34:44

    知人の洗脳に成功した

    タイワ社の中古品をヤフオクで落札したらしい

    いいぞ…もっと広まれ蹄鉄界隈

  • 51二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 21:53:23

    蹄 鉄 の 悪 魔

  • 52二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 21:55:51

    これは命令です
    蹄鉄を買うと言いなさい

  • 53メジロエスキーの人22/12/07(水) 21:56:24

    >>50

    こわ……

  • 54二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 22:00:42

    クインの中の人ではなくその友人が買ったのでサイズ重量その他詳細はよくわかんない
    今度会ったときに触らせてもらおっと

  • 55二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 23:49:11
  • 56二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 00:02:46

    死体が喋っている

  • 57二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 00:33:46

    落ち着け!こういうときはクーリングオフするんだ!

  • 58メジロエスキーの人22/12/08(木) 06:53:38

    どういった経緯でその友人さんが蹄鉄を買うことを決意したのか気になるな……

  • 59二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 09:07:06

    深夜テンション×酒

  • 60二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 09:48:47

    安定して狂気を生み出すハッピーセットやめろ

  • 61メジロエスキーの人22/12/08(木) 12:42:42

    >>59

    大丈夫? 知人さんそれ後悔してない?

  • 62ライジョウドウの中の人22/12/08(木) 12:51:59

    コロナで38度の熱出して見た夢が
    ファル子のライブをぶっつぶそうとした過激なアンチ集団がなぜか全力でペンライド振ってるバラカっちゃんにドン引きして弱ったしょん間に
    天上からヒーロー着地で登場したニャオハみたいなマスク被ったライジョウドウとにゃおは野立った奴のさらに進化した奴みたいなマスク被ったイブちゃんに連行されて
    ライブはファルコと那珂ちゃんがkickbackを歌いあげて無事に成功する夢でした
    しあわせでしたmねましゅ

  • 63二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 13:11:16
  • 64二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 16:15:44

    辛うじて夢の整合性が保たれてるなヨシッ
    コロナだぞ良くねえに決まってるだろまんじりともせず療養しろ…ッ!

  • 65フラワリングタイムな人22/12/08(木) 17:44:46

    >>62

    お大事に……

  • 66二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 20:24:15

    これはチームカオス看病回かって思ったがコロナは普通に危ねえから無理だ

  • 67二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 20:35:52

    >>61

    蹄鉄シューズ用の蹄鉄は輸入するっていう言質も取れたので問題無し!

    (輸入にかかる諸費用を一切伝えてない)

  • 68二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 21:10:58

    悪徳!

  • 69ホワイトリファイン22/12/08(木) 21:17:34

    【SSを書いたのですが、投稿してもよろしいでしょうか。(ホワイトリファイン以外オリウマ娘アリ)】

  • 70ルヴァンメモリーの人22/12/08(木) 21:21:23

    どーぞどーぞ

  • 71ホワイトリファイン22/12/08(木) 21:26:04

    『ゆっくり、とことこ』
    ……夢を見た……。たくさんの人が、リファのことを応援する、夢。
    その夢で、リファはー……いっぱい声援を受けていた。みんなは笑顔で手を振って応援してくれていた。
    いっぱいいっぱい走って、疲れるはずなのに、そんなことも忘れてー……楽しく走った。そしてゴールした時ー……歓声が爆発して、会場が揺れた。
    そこで目が覚めたけどー……まだ夢の中みたいな感じだった。だって、すごく……いい気分だから……
    「ふわぁ…リファ、夢ー……見てた……?」
    ぼんやりしながら体を起こして、あくびをして……目を擦った後で時計を見てみる。そしたらもうすぐ朝ごはんの時間になってた。今日もトレーニングがあるから行かなきゃならないけど、でも、今はそれより……また眠りたくなってきた。
    だって、すごく……いい気持ちだから……
    ……ぐー……
    「おきろーーー!!!!」
    突然、誰かの声と共にコンコンコン、と何かを鳴らす音がする。
    「……うにゅ……」
    なんだろうと思って目を開けると、そこにはリファのお友達…? 同室の子がリファを見ていた。
    「もう、やっと起きたなリファ!もうご飯できてるから早く行くぞ!」
    「……うんー……」
    その子の名前は確か……えっと……そうそう、カナメちゃんだ。いつも一生懸命で頑張り屋さんな子だけど、ちょっとうるさい所もある子だったと思う……覚えてる。多分。
    ごはんを食べて、勉強した後リファはトレーニングに行ったのー……ふわぁ。
    「おーっす、リファ…って、なんかすごい眠そうだぞお前」
    トレーニングコースに入ると、すぐに男の人の大きな声で挨拶されたのー……この人はリファの、トレーナーさん。
    「うんー…、だいじょうぶー……。リファ、今日はいい夢見たのー…。」
    「いい夢?」
    「うんー…みんながリファのことー、応援してくれるゆめー…。」
    「いつもより大きな夢だな。まあそういう夢を見る日もたまにはあるか」
    頭を優しくぽんぽんとされる。それが嬉しくて、思わず笑うの。
    「よし、それじゃ今日は長距離のペース配分を意識した走り方をやってみよう」
    「わかったー……。」
    トレーナーさんの言う通りにして走るとー……今までより速く走れるような気がした。やっぱり、いい夢を見たおかげかもしれないのー……。

  • 72ホワイトリファイン22/12/08(木) 21:26:47

    「ふぅ……これで一通りの練習は終わったし、休憩するか」
    「はぁいー……」
    「おりゃあああぁ!!!!!」
    リファの少し隣を、強い風が吹いて過ぎ去っていく。それはまるで嵐みたいで、あっという間に見えなくなった。
    「相変わらず凄いな、あの子……」
    「うんー……」
    今走っている子は、カナメちゃん。短距離の子の中では一番速いと言われている子。
    「じゃあ、ホワイトリファインも、トレーニング始めるよ」
    「はいー……。」
    そのカナメちゃんが走っていった方を見ながら返事をする。そしてリファもトレーニングを再開したのー……
    (さっきの、カナメちゃんの走り……)
    ふと、思い出す。
    (リファも、あんな風に……)
    夢の中の景色と、さっきのカナメちゃんの光景を思い出しながらー……ただ、前を向いて走った。

    「よし、今日のトレーニングはここまで。……そういえばホワイトリファイン、さっきの走り…最初の時と違ってたな。何か考えてたのか?」
    「うんー…頭の中でね、カナメちゃんが走っていたのー……。それでね、リファもあんなふうに、って思って……」
    「なるほど。さっき見たことを真似しようと思ったわけか」
    「うんー……リファ、もっとがんばるのー……。」
    「その意気込みは良いことだ。だが無理だけはしないようにな」
    「はぁいー……。」
    「よし、じゃあ俺は仕事に戻るよ。また明日な」

    そう言ってトレーナーさんは行っちゃった…。……でも、まだ眠くないからもう少しだけ練習したい気分なの。
    だからリファは一人でトレーニングすることにしたのー……
    ……きっと、夢を見たせいだと思う。夢の中でも、カナメちゃんはいっぱい走ってて……リファもいっぱい走ってたの。
    でもね、今は違うのー……今は、リファは一人じゃない。だってリファのそばにいてくれる人がいて……それに気づいた瞬間、胸がドキドキし始めたのー……。なんだろこれー……? わからないけど……ちょっと楽しい気持ちになってきたかも……?
    「……よぉし」

    頬をぱんぱん、と叩いてリファは満足するまで走り出した。

  • 73ホワイトリファイン22/12/08(木) 21:27:46

    【以上です。ありがとうございました】

  • 74メジロエスキーの人22/12/08(木) 21:35:46

    >>67

    >(輸入にかかる諸費用を一切伝えてない)


    おい

  • 75二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 21:48:58

    >>73

    もう一人称の描写の時点で眠すぎてこっちまで眠く…zzz

    こやつ大丈夫か?って思ったが最後の6行で走ることに前向きで安心した


    >>74

    はい

  • 76二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 22:11:00

    はいじゃないが

  • 77メジロエスキーの人22/12/09(金) 06:30:30

    ま、まあ最後は知人さんがその金額に納得できるかどうかだから……

  • 78エノラの中の人(連載執筆中)22/12/09(金) 07:22:55
  • 79二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 09:07:39

    まさかの合作!

  • 80カラレスミラージュの人22/12/09(金) 12:11:48

    >>78というわけで、ミラ中も関わらせていただいた合作です! よろしければ是非是非に

    そして相変わらず規制真っ盛りですが、久々に投稿出来そうなのでSS最新話を失礼します!

    最近のトレンド通り(?)最新話で新キャラが一人登場するんですが……説明は後 で書きます、よろしくお願いします

    というわけで改めて、ジャパンカップ 編よろしくお願いします!(一応今までのリンクも)

    無彩の少女、虚飾の果て - uma-musumeになりたい部 @ ウィキ【8/25更新】▽タグ一覧 SS カラレスミラージュ Repetition does not transform a lie into a truth. —Franklin Delano Roosevelt 概要 カ...w.atwiki.jp
  • 81カラレスミラージュの人22/12/09(金) 12:12:12

     そろそろ寒さも本格化を迎える霜月冒頭。すっかり衣替えした冬服も肌に馴染み始めた時節の中、私とトレーナーさんはいつも通り卓を挟んで話し合っていた。話題は単純、今後の身の振り方について。
    「3人は有馬記念への出走を宣言。10月までの戦績を加味しても、ファン投票で順当に上位を勝ち取るのは間違いないでしょう」
    「やっぱりスクエアちゃんが頭一つ抜けるでしょうか、2400と2500で距離感も近いですし安定性が高い」
     ミツバちゃん、スクエアちゃん、ヘルツちゃんが有馬出走を希望したのが、菊花賞の直後くらいのこと。週末に秋天を控えた上でも、その表明が世間を賑わせたのは記憶に新しい。何せ、名実ともに三冠を3人で分け合った圧倒的強者の揃い踏みだ。シニア級で走る最前線の相手にどこまで比肩するか、それともクラシックからの挑戦者が残さず食い尽くしてしまうのか。市井の関心は大きく向いている。そんな中で……
    「ミラージュさんは良かったんですか? 有馬出走を選ばなくても」
    「いや選ばれます? 菊花賞3着はともかく他2戦ズタボロですよ?」
     トレーナーさんが言っているのは、同じ道を進まなくて良かったのかという話。実際のところ、神戸新聞杯の一件もあるし登録さえすればチャンスも無くはないんだよね。最悪ファン投票で上位に入れなくても、年末の中山で走る手段はないわけじゃないし。ただ……
    「なんか違うと言いますか、場違い感がすごいんですよ。3人には必ずリベンジしますけれど、今年の有馬はその舞台じゃないと言いますか……何故かモチベが上がらないといいますか」

    『──3着なんて結果で甘えたことを言うけど……手応えはあった。次こそ勝てる、勝つ』

     あの日の発言を忘れたことはない。だからと言って、2ヶ月足らずで彼女達の領域に迫れるほど強くなれるなんて思い上がるつもりもない。……これを「絶対に可能だ」ではなく「思い上がりだ」と考えてしまう辺りが、私の限界かもしれないんだけど。
    「気持ちは分かりますよ、大一番だからこそ最高のコンディションで出走したい……それが、最も大事なライバル相手であれば尚のこと」
    「トレーナーさん……」
     手元の資料に赤くバツを打ちながら、穏やかに微笑み掛けるトレーナーさん。心の底から私のことを考えてくれているのは間違い無いんだよね。だからこそ安心できるというか。

  • 82カラレスミラージュの人22/12/09(金) 12:12:41

    「そうなると、私から一つ提案したいレースがあるのですが、よろしいですか?」
    「トレーナーさんから? もちろん大丈夫ですけれど……?」
     頭にクエスチョンマークを浮かべながら、微笑みを絶やさないトレーナーの持つ資料を受け取る。そこに記載されていたデータは、有馬記念に少しだけ似たレース情報。年末12月は中山開催、日本で最も激しく盛り上がる重賞が有馬記念なら、日本で最も長く盛り上がるのがこのレース。今となっては長距離走者を指す言葉になっているけれど、本来の単語は「耐える者」の意味。
     12月初旬、GⅡレースは中山3600m……ステイヤーズステークス。それが、彼の提示する次走だった。

    「ステイヤーズSですか、一応根拠をお伺いしても?」
    「ええ。他ならぬミラージュさんに、納得してもらわないことには始まりませんからね」
     そう言いながら取り出したのは、神戸新聞杯のタイムと菊花賞のタイム。ざっと眺めた感じ、どちらも序盤はまあまあ遅めで終盤に加速している様子が見て取れる。まあ追込脚質だからこれは当然、どちらも『領域』に入っていたはずだからタイムが近いのも当然。というかこう見ると……
    「この2つのレース、ラストのラップタイムほぼ同じなんですね……」
    「……ええ、そこがおかしいんですよ」
    「へ?」
     思わず漏れていた声に、ツッコミ一つを突き付けられて。思わず顔を上げる。髪をくしゃりと掴んだトレーナーさんの顔は、若干呆れているようにも見えた。
    「ホープフルSは時期が空き過ぎる、皐月賞は骨折の件でサンプルにならなかったので2レースしか用意できませんでしたが……もう一回良く見てください、少しだけおかしい点があります」
    「へ……?」
     そう言われて、再び資料に目を通す。基本的に序盤はかなりのスローペース、逃げや先行の娘に比べれば最初の1000m通過も数秒遅れている。そこから最終盤はどっちも同じくらいのタイミング、残り700mあたりを見据えたタイミングで一気に加速を始めた。
     阪神の時はそのまま千切り去って、京都では今一歩勝てなかったのは……タイムが同じだった以上は、ライバルの強さの差だったんだろう。
    「……降参…………」
     考えても考えても答えが出ない。さっきまで考えていたことを洗いざらい伝えた上で、情けなくもギブアップ宣言。一応頑張ったのを評価されたのか、呆れ顔も少しだけマシになっていた。

  • 83カラレスミラージュの人22/12/09(金) 12:14:06

    「では聞きますね。神戸新聞杯の距離は?」
    「2400mですね」
    「次、菊花賞の距離は?」
    「3000mです」
    「ミラージュさんが加速を始めるタイミングは?」
    「大体残り700m付近でした」
    「……2400-700と、3000-700」
    「……あー…………」
     ここまで言われて、ようやく腑に落ちた、なるほど……
    「神戸新聞杯とほぼ同じ距離を走った後で、何故ほとんど同じ上がりタイムを出せているのか、と」
     私の言葉と共に差し出されたのは、歴代両レースの出走ウマ娘とタイム一覧。年によって結構ばらつきがあるのは当然だけど、見比べて分かったことは。私のリザルトが、少なくとも「スタミナが無い」って自称していた選手のタイムではないということ。
    「今回のレースの敗因は大きく分けて2つ。まずは序盤でスローペースに向かい過ぎたこと、まあ飛ばし過ぎて末脚が尽きることを思えば結果論です。もう一点は、偏に相手が強過ぎた。4着のミツバエリンジウム、今回も5着相手に3バ身差空けてますからね。こればかりはどうしようもない」
    「……あれ、ミツバちゃんが3バ身ってことは、当然私とも、ですよね?」
    「はい」
    「もしかして、私ってすごく……凄い?」
    「そうだよボケが」
     心無い罵倒が聞こえた気もするが、そんなことも気にならないくらい気分が上がる。こうして客観的に数字で見ると、自分の成長を実感できる気がしたから。まあライバルの壁の高さも改めて実感なんだけど。
    「こほん……ミラージュさん、本質的にはステイヤー寄りの可能性があります。どうせ有馬を目指さないなら、適性を探り直すのも悪くはないかと」
    「……なるほど、納得しました! ステイヤーズS、出走登録お願いします!」
     一連のデータを見た上で、私の自信を付けるため、シニア級相手に結果を残させる。ひょっとしたら、有力走者は有馬に向かうからって打算もあるかもしれないけど、それを踏まえても勝てる勝負を狙うのは定石だし。
     ……ここまでお膳立てしてもらったんだ、これで勝てずして彼の担当を名乗れようか。
    「頑張ります、トレーナーさんの為にも、私の為にも!」
    「良い心掛けです、こちらも指導に身が入る」
     互いに笑みを向け合う私達。次の目標も決まり、さて! といったところで。不意にトレーナーさんが口にしたのは。
    「そうだ、一つ伝えておかないといけないことが──」

  • 84カラレスミラージュの人22/12/09(金) 12:14:28

    「ふぅ……」
     白い野球帽の鍔を指先で摘み、街行く人々を眺める。普段から賑やかな雰囲気漂う街に、今日は心なしか違う色も溶け込んでいる気配があった。11月下旬。府中市は東京レース場、12Rはジャパンカップの開催日。出走選手、応援団から単なる観光客まで。日本のレーススケジュール1年間の中で、もしかしたら海外との関わりが最も強くなるのが今日なのかもしれない。
     本当ならトレーナーと一緒に来たかったけれど、医療系の国際会議が今日開催とのことで、已む無くそちらを選んだらしい。曰くスポーツ医学にも密接な関係がある内容、上手くいけば私の指導に転用できるかもしれないと。そんなわけで、私1人での観戦。
     身体のラインが出ないゆったりパーカーに、普段選ばないようなジーパンを履いて。耳を隠す帽子と眼鏡も含めて、私をカラレスミラージュだと見抜ける通行人はいないだろう。……ミツバとかヘルツとかなら、髪色も独特だし気付かれやすいんだろう、そしてスクエアは気疲れやすいんだろう。
     少し遅めに寮を出たので、府中に着いたのは11時少し過ぎ。少し割高だけど、レース場で昼食を買いながら遅めのメイクデビューでも眺めようかって考えていたら……
    「そこのお姉ちゃん留学生? 俺らと一緒に遊ばね?」
    「メンコ似合ってるねぇ。その柄に合うイカすパブ知ってるよ?」
    「モチ俺ら奢るからさ! いろいろ話聞かせてよ!」
    『Ah……well……』
     見慣れぬ制服姿の少女をナンパする、男どもの姿が目に付いた。少女と言っても、多分背は私より高い。ざっくり5cm差くらい? 年も向こうの方が上かな。
     赤青白、ユニオンジャックだろうか。鮮やかなメンコを両耳に付けて、黒い長髪の中で右耳に結ばれた黄色いリボンが目を引く。
     ……いくらウマ娘の中で背が高い方とは言っても、周りを取り囲む男たちは彼女よりなお大柄で。それが知らない言語と共に詰め寄ってくるとあれば、何も分からない彼女は恐怖するしかないだろう。ざっと周りを見渡す。ちらちら眺める通行人や見物人は居ても、助けに入ろうとする人物は1人もいなかった。
     まあ当然だろう、誰も見知らぬ留学生のナンパに首突っ込んで面倒ごとなんて負いたくない。私だってそんなことは分かる。普通に考えれば、見て見ぬ振りをしながらレース場へ向かうのが、賢い選択だって。

  • 85カラレスミラージュの人22/12/09(金) 12:14:40

    『どうして──、ねぇ──』
     ──分かるからこそ、その姿が『誰か』と重なって。腹立たしく思わずには居られなかった。

    『Hey sis, looking for you! (お姉ちゃん! 探したよ!)』
    『……!?』
    『David’s also waiting! Hurry, hurry! (デイビッドもすっかり待ちぼうけなんだよ! ほら早く!)』
     精一杯、いかにも頭アッパラパーな小娘を装って集団に割り込む。通じているかは別として、少しだけ周りに牽制も忘れずに。
    『Hey, who’s…… (えっと、貴女は……?)』
    『……Sorry please play along with my story and I’ll pull you away from here. (すみません、少しだけ話を合わせてください。この男達から引き剥がすので)』
     呆気に取られていた彼女に、少し声を低くして早口かつ率直に伝える。一瞬目元に力が入ってしまったが、彼女もそれを把握したようで。少しだけ微笑み掛けてくれた。
    「お、お嬢ちゃんも遊びにくるかい?」
    「ってか2人とも背ェ高くて可愛いね! きっと皆と仲良くなれる──」
     彼女が動揺していたのにも気付かず、或いは都合よく解釈していたのか。この期に及んで私ごと連れ込もうとする不届き者相手に言うべき言葉なんて、一つしかない。
     彼女の左手をしっかり握り込み、男達に向き直る。花開く様に可憐な笑みを浮かべ、一瞬でも鼻の下が伸びるくらい油断したのを見届けて。
     ……というか。
    『──I DON’T SPEAK JAPANESE!!!!』
     私が日本人だって見抜けないポンコツ男、ナンパなんて成功するわけないでしょ?
     そのまま頷き一つを交わし、脱兎のようにその場を抜け出す。目の前の彼女は知らないけれど、少なくともGⅠウマ娘の私を無礼るな。トレーナーならまだしも、走るウマ娘に後ろから追いつくなんて出来るものか。
     ……気付けばいつの間にか、手を掴んでいたはずの彼女が前に出ていたけれど。あれひょっとして滅茶苦茶速くないこの娘?

  • 86カラレスミラージュの人22/12/09(金) 12:15:10

    (以降、「」:日本語、『』:英語)

    『……本当に失礼しましたっ! 急にあんな、お姉ちゃんなんて嘘を吐いて……』
    『気にしないでください。私を思っての行動なのは、分かっていますから』
     レース場の少し脇、入口から離れた日陰で謝罪の角度は90度。思いの外流暢な英語が飛び出す自分の頭と口に驚きつつ、顔を上げてみれば穏やかに微笑む女性の姿。同じ黒髪ウマ娘であっても、サファイアのような青い瞳は私の澱んだ瞳と比べて眩しいくらい鮮やかで。少しクラっとしながらも、しっかり対応はしないとね。
    『あはは、ありがとうございます……あ、私はカラレスミラージュって言います! よろしくお願いします!』
    『カラレスミラージュさん、よろしくお願いします。カラーさんでいいでしょうか?』
    『…………いいですよ!』
     意味が反転してる気もしなくはないが、別にツッコむ気はない。多分今日だけの関係性だろうしね、そう目鯨を立てる必要は無いと思ったから。
    『そういえば私も名乗っていなかったですね。フルハウスペイドと言います、よろしくお願いします』
    『はい、ハウスさんですね!』
     フルハウスペイド、Full-House Paidかな? ……一家まるっと差し押さえ?
     フルさんフルハさんは語感が悪いし、ペイドさんは流石に気が引けたからハウスさん呼びに収まった。……勝手に決めちゃったけど、ハウスさん自身そこまで嫌がっている様子もないし大丈夫かな。
    『それで今更ですけど、やっぱり今日はジャパンカップ観戦ですか?』
    『はい、やっぱり学園の娘が何人か出走しますから。応援……して、あげないと……』
    「……?」
     口元を少し締め、片腕をぎゅっと握り締めるハウスさん。今まで見せていた優しげな顔とも、ナンパ被害中の困った顔とも違う……悲壮感。張り詰める空気に、少しだけ息が止まる。だって、私からすれば。その感情を初対面の相手に晒してしまうほど、心中は追い詰められているんじゃないかと思ったから。
    『……あ、ごめんなさい。やっぱり故郷から離れるとナーバスになってしまいますね』
    『いえいえそんなそんな! 気にしないでください! きっと旅の疲れとかもあるでしょうから!』
    『ふふ、ありがとうカラーさん。そう言ってくれると助かります』
     静かに微笑みを返すハウスさん。その姿に、どうしても胸を締め付けられる気がしたのは……私の考え過ぎだろうか。

  • 87カラレスミラージュの人22/12/09(金) 12:15:25

    『美味しいですね、日本の料理。レース場でも色々食べられるなんて』
    『気に入ってもらえたなら良かったです!』
     少し落ち込んだ様子に見えたハウスさんだったけど、とりあえずお昼を食べながらレースを眺めていたら調子を取り戻してくれたみたい。ある意味で本命の6Rにも間に合って結果オーライ。唐揚げとアメリカンドッグの串、たこ焼きのトレイを構えた彼女もご満悦の様子。
    「……そういえばイギリスの料理って」
    『あ、何か言いました?』
    『いえいえ何も言ってないですよ!?!?』
    『ふふ、そうですか……』
     危ない危ない、口を滑らせたのが母国語で良かった。伝わろうものなら大変だったよ……反省反省。
     ちなみに昼食代は私が無理矢理握らせた。『せっかくの日本食、お金に気兼ねなくエンジョイしてください!』って感じで。一緒に出掛ける友達なんてスクエアちゃん達しかいないしね。余りがちなお小遣いを励ましに使えるなら、彼女にとっても得だろうし。
    『……みんな緊張してるけど、自信に満ち溢れてる。きっと、今日を楽しみにして来たんだろうな』
    『そうですね……初々しいなぁ』
     彼女が顔を綻ばせているのは、きっとご飯が美味しいからだけじゃないだろう。ターフに足を踏み入れた少女達は、少し落ち着きのない様子も見えるけれど。ここから自分達の3年間が始まるんだって夢と希望を全身で伝えてくる。私なら勝てるって娘、いや厳しいかなって娘……十人十色、様々な思いを滲ませる中で、共通していたのは「走りたい」って思い。
     私も、少し前まで忘れちゃってたな。ジュニア級くらいまでは、ただ走って勝ってそれが楽しくて、シンプルに生きてきた面もあったんだろうけれど。鮮やかな景色に目を焼かれて、少しだけ自信を失っていたのが今となっては仄かに苦い。
     まあ私のことだ。もう一回壁に当たったらもう一回折れるんだろう、なんて考える程度には、自分で自分を信用できていないのだけれど。少なくとも今は、気分が落ち着いているのを感じていた。

     ……だからこそ、少しだけ私と似た気配を纏う彼女から、どうしても目が逸らせない。濁り濁った澱みとは少し違う。綺麗な器に湛えられた透明な水が、少しずつ溢れ始めているような、言葉にできない感覚。……ただの妄想、そんな風に笑い飛ばせたらよかったんだけど。

     私の奇妙な予感は、割とよろしくない形で的中することになる。

  • 88カラレスミラージュの人22/12/09(金) 12:15:39

     場内に響き渡るは金管楽器のファンファーレ、東京レース場に姿を見せた18人の猛者を歓声が迎え入れる。有馬記念が国内の最高峰を決める戦いならば、ジャパンカップは一種の交流戦。
     外国のウマ娘だろうと遠慮なく殴り込めるこの舞台は、ある意味で最強の中距離ウマ娘を決めるに相応しい舞台の一つと言えるだろう。

    【世界のウマ娘が栄光を求め、ジャパンカップの府中に集う!】
    【日本勢は対抗できるのか!】

     アメリカ、フランス、イギリスにドイツ……今年は特に、欧州からの挑戦者が多いことで話題になっていた。勿論、隣に座る彼女も祖国を応援しに来た1人だろうから。

    【ゲートイン完了、出走の準備が整いました】

     今年の日本勢は、クラシック級のウマ娘が不在。シニア級のみの参戦となった。理由はまあ分かり切っているとして。その点で言うなら、私の心は来月の大舞台ほど強く惹かれているわけじゃなかった。

    【今スタートが切られました!】

     いつか同じレース場で競い合うだろう先達の面々。この機を逃せば生で見ることは叶わないだろう海外の精鋭。珍しく「自分」を切り離して観戦できる貴重なレースに、気付けば両手を握り締めて立ち上がっていた。

     数週間前まで、名前さえ知らなかった選手への叫びが、肺腑の奥から溢れ出す。誰かが誰かを追い、追い縋られ。抜いては抜き返され。目まぐるしく状況が移り変わる143秒コンマゼロ。

    【────、今1着でゴールイン!】

     ついに先頭を保ち切ったのは、王国の旗と威信を背負って名乗りを挙げた、白銀の髪が似合う少女。クビ差まで迫り切った日本のウマ娘と肩を並べ、互いの健闘を讃え合っていた。

     ……重ねて言うと、私は本当の意味でこの舞台に惹かれて観戦に来たわけじゃない。だから、今日この場に引き寄せられた理由を振り返ってみると、多分その役割は別のところにあるはずで。

     一頻り興奮して、年甲斐もなく叫んだ後。冷静になって隣を見た時。故郷のウマ娘が錦を飾ったのにも関わらず、呆然とした表情で、微笑みさえ忘れて涙を流し続ける姿に……

     嵌ってはいけないピースが噛み合った音を聞いた。

  • 89カラレスミラージュの人22/12/09(金) 12:19:03

    というわけで以上、ジャパンカップ 編……もとい、ジャパンカップ【前編】の投下終了です
    いや1.5万字に迫り掛けるとか流石に考慮できませんって……

    今回登場した新キャラことフルハウスペイドさん、今まで影も形も無かった感じに見えますが
    最初のリンクの菊花賞編と、6月29日くらいのスレを覗いてみると……少しばかりヒントがあるかも知れないなというところで

    以上、スレ圧迫失礼しました!またよろしくお願いします!

  • 90二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 12:46:28

    ちゃんと理論建てて適性の再見極めとレース選択するのいいゾ〜コレ

    >最初のリンクの菊花賞編と、6月29日くらいのスレを覗いてみると……少しばかりヒントがあるかも知れないなというところで

    さ、探さなきゃ…!

  • 91ラプラスの中身22/12/09(金) 17:14:40

    これはラプ中が考えついた父ドゥラメンテ版のラプラス
    もちろん栗毛になりうる血統構成

    ぶっちゃけるとロードカナロアがホモ鹿毛じゃなかったら父カナロアに変更してた気がする

  • 92二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 18:26:55
  • 93二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 21:21:58

    合作、雨読みました!
    こんなお耽美で、ともすれば退廃的な美しさを引き出しつつ話として纏まってるのは流石だなって思いました。
    互いのキャラを理解し合ってるからこそ出来る業…!

    今後も互いのSSが繋がる、時には合作することはなりたい部的にも大きな意義を持つエポックメイキング的な存在になると思うと期待が止まりません

  • 94メジロエスキーの人22/12/09(金) 23:16:23

    >>89

    12/9

    『Why do you……』



    >そろそろ寒さも本格化を迎える霜月冒頭


    今年はまだ11月初頭はそんなに寒くなかった記憶。まあそれはそれとして



    >3人は有馬記念への出走を宣言。

    >ファン投票で順当に上位を勝ち取るのは間違いないでしょう


    当年のクラシック勝利ウマ娘がファン投票上位なのはまあ当然っちゃ当然。今年の皐月賞馬みたいに明らかに距離不安がない限りは



    >2400と2500で距離感も近いですし安定性が高い


    ここで1つ豆知識。確かに距離としてはダービーが一番距離が近いですが、相性としては3000の菊花賞組の方がいいという事実。グレード制導入以降3冠馬を除いたダービー馬が同年の有馬記念を勝ったのはたった一度、しかも今から36年前。翻って非ダービー馬の菊花賞馬が当年の有馬記念を勝ったのは4回(直近で2016年のサトノダイヤモンド)。そこに3冠馬が3頭加わるのでまあそれは相性バッチリなのだ。閑話休題。



    >「ミラージュさんは良かったんですか? 有馬出走を選ばなくても」

    「いや選ばれます? 菊花賞3着はともかく他2戦ズタボロですよ?」


    他2戦ズタボロといってもそもそも当年の秋以前と以降じゃ全くの別人なわけで……ジュニア級王者&秋に入って本格化の兆しを見せてるのは明白なんだから、もうちょっと自信持った方がいいんじゃ……

    ……前走菊3着なら馬券の買い目には入れます(小声)

  • 95メジロエスキーの人22/12/09(金) 23:17:06

    >>94

    >あの日の発言を忘れたことはない。

    >私の限界かもしれないんだけど。


    限界というよりも自身の実力を過小評価している節がある。故にその消極さは半分冷静ではあるんだけど、もう半分は自身の実力を評価しきれてない部分から来ている(と思う。違ってたらごめんね)



    >「そうなると、私から一つ提案したいレースがあるのですが、よろしいですか?」


    からミラージュに提案するのがステイヤーズS……担当のスタミナ切れたヘロヘロ顔を見たいのかな?(失礼)



    >「この2つのレース、ラストのラップタイムほぼ同じなんですね……」


    そこまで気づいててなぜそのおかしさに気づかないんだ……流石にツッコミを入れたくなる



    >「もしかして、私ってすごく……凄い?」

    >「そうだよボケが」


    そしてようやく気づいた時のこのやりとり……そりゃそう言いたくもなるよね……流石にここまで口悪くはならんけど。もうちょっと自分に自信を持ってくれカラレスミラージュ



    >一連のデータを見た上で、私の自信を付けるため、シニア級相手に結果を残させる。


    さすミラトレ。先生の素養があるぞ君

  • 96メジロエスキーの人22/12/09(金) 23:17:50

    >>95

    >本当ならトレーナーと一緒に来たかったけれど、医療系の国際会議が今日開催とのことで、已む無くそちらを選んだらしい。


    そして迎えたジャパンカップ……もしかしてこの国際会議って元ネタない? 調べても該当しそうなの見つからなかったんだけど



    >身体のラインが出ないゆったりパーカー


    まあ体型でね……目を引いてね……バレちゃうからね……(胸を見る)



    >見慣れぬ制服姿の少女をナンパする、男どもの姿が目に付いた。


    全員ブチのめせばいいのに(過激派)

    もちろんそんなことができるわけもない少女の所へ……



    >『Hey sis, looking for you! (お姉ちゃん! 探したよ!)』


    自分のことを「中途半端」がどうこう言ってたウマ娘の姿かこれが???

    少なくとも助けられた少女にとっては間違いなくヒーロー(性別は置いといて)なわけで、どう見ても「中途半端」には見えなくて。



    >David’s also waiting! Hurry, hurry!


    David……1917年生まれのBaverstock産駒をここで見ることになるとは()

  • 97メジロエスキーの人22/12/09(金) 23:18:25

    >>96

    >花開く様に可憐な笑みを浮かべ、


    ……もしかして自分の可愛さ自覚してたりする? そういうことじゃない?



    >『〜カラーさんでいいでしょうか?』

    >『…………いいですよ!』


    レスが外れるだけで正反対の意味となる彼女。意図的ではないにせよ、目の前の彼女にとっては「貴方は色がついている」と思われたのかどうなのか。



    >『はい、やっぱり学園の娘が何人か出走しますから。応援……して、あげないと……』

    >今まで見せていた優しげな顔とも、ナンパ被害中の困った顔とも違う……悲壮感。


    ただ応援するのであれば見せることはないであろう顔、そしてそこから漏れる感情。彼女の胸の内にあるものとは一体……?



    >『……あ、ごめんなさい。やっぱり故郷から離れるとナーバスになってしまいますね』


    本当に……? 本当にそれだけ?



    >危ない危ない、口を滑らせたのが母国語で良かった。伝わろうものなら大変だったよ……反省反省。


    はいはいフィッシュアンドチップスとスターゲイジーパイ

  • 98メジロエスキーの人22/12/09(金) 23:18:52

    >>97

    >一緒に出掛ける友達なんてスクエアちゃん達しかいないしね。


    相手から言われるならともかく自分から友達認定していくスタイル、嫌いじゃないし好きだよ。まあ今までいろんな絡み方をしておいて友達じゃないっていうのは薄情すぎるからだろうけど



    >まあ私のことだ。もう一回壁に当たったらもう一回折れるんだろう、なんて考える程度には、自分で自分を信用できていないのだけれど。


    自分への信用がないと言いながらも「立ち上がれない」とは言わないのがミソ。そこでは終わらないという意志を感じる。



    >気付けば両手を握り締めて立ち上がっていた。

    >数週間前まで、名前さえ知らなかった選手への叫びが、肺腑の奥から溢れ出す。


    現実でもそうなんだけど、レースの楽しみってここにあると思うんだよね。つい手に力が入ってしまう、声が出てしまう。やはり競馬(ここではトゥインクルシリーズ)はエンターテイメントなんだなと強く思える一瞬。



    >故郷のウマ娘が錦を飾ったのにも関わらず、呆然とした表情で、微笑みさえ忘れて涙を流し続ける姿に……

    >嵌ってはいけないピースが噛み合った音を聞いた。


    噛み合ってしまったピース、流れ始める不協和音……さて、ここにいない人、いるはずだった人は「誰」?



    さっきまで晴れていたと思ったら徐々に雲が空を覆い隠していく様子が目に映る。なぜ呆然としているの? なぜ笑わないで泣いているの?

    答えが、いや救いが後編にあることを信じて。

  • 99二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 23:20:49

    ウワーッ いつもの長文感想!

  • 100フラなんとかの人22/12/09(金) 23:23:21

    >>78

    ミラエノていてえ……

    そしてやたら出番の多いピンクにほっこり

  • 101二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 08:15:15

    AbemaTVでスローループやってるんだけど釣りキャンプ回とか無いですか…?
    えっそこに無いなら無い!?

  • 102二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 08:42:00

    〜完〜

  • 103二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 11:42:54

    完結すな

  • 104二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 13:59:49

    今サリオスの件が話題だけどうちのメンバーで体重増加原因で脚元やっちまった人いないよね

  • 105メジロエスキーの人22/12/10(土) 14:34:53

    バラカの最終的な故障原因はリミットぶっちぎったからだけど、その前から脚部不安抱えてなかったっけ?
    理由は知らぬ

  • 106フラワリングタイムな人22/12/10(土) 14:50:18

    >>104

    (やたら頑丈な脚に安心する私の図)

  • 107メジロエスキーの人22/12/10(土) 14:58:52

    >>106

    そもそもフラりん体重増加して……いやなんでもない

  • 108ライジョウドウの中の人22/12/10(土) 15:02:30

    二日間37.6前後の発熱して茹でただけの豆腐しか食べれない生活しても
    動かないとそんなに減らないので
    牝馬だからセーヴしているだろう運動量をダスカ並みに解放するといいと思われる

  • 109二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 15:47:15

    >>106

    (脚周り故障リスクそこそこ高めな血統を用意したクインの中の人、フラリンの脚が無事だったから良かったものの正直申し訳無さがある)


    >>108

    大丈夫?それ栄養とれてる???

  • 110二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 16:00:37

    クインちゃん逆神返上決定
    ※但し金をかけてない場合に限る

  • 111ルヴァンメモリーの人22/12/10(土) 16:19:19

    私の脚は大丈夫…かなぁ(お母さまを見ながら)

  • 112スイセイレッカの中身22/12/10(土) 17:21:17

    捻挫の予定はあるけど故障させる予定はないかなぁ

  • 113二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 17:56:35

    >>107

    逆にレースまでにバッチリ仕上げてくるからクッソ有能ってことかもしれない

  • 114二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 18:00:03

    >>110

    クインの友達はAIだった…?

  • 115二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 18:12:09

    誰がAIを友人に見立てるぼっちやねん

  • 116ドラム缶のお風呂22/12/10(土) 18:20:39

    突然ですがSSを投げます

  • 117二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 18:22:24

    かもんかもーん

  • 118ドラム缶のお風呂22/12/10(土) 18:22:31

    私は、自然の音が大好きだ。よく人は都会の喧騒を忘れるとは言うが、私はそこまで嫌いでは無い。…が、人の作る音は時に大きすぎる。木の葉のざわめきや、虫の音などの程よい大きさの音がとても心地良いのだ。
    「……」
    それを存分に堪能すべく、こうして近くの山を散歩する。ここは府中市の二つ隣、八王子市のとある山。この市を境に自然が増え、やがて奥多摩や山梨へと通じていく。その丁度中間。少し距離はあるが、ウマ娘の脚ならすぐだ。
    「……?」
    ふと、耳が不思議な音を拾った。パチパチと火が燃えるような音。焚火だろうか。山中ではよく聞こえる音だが、枯葉が多いこの時期では、少々火の始末というものに不安を覚える。
    その不安と、好奇心とが混ざりあった感情を胸に、音のする方へと歩みを進める。少しだけリズムを早めながら。夜闇のベールを纏った木々の間に、煌々と明かりを灯すそれを見つけた。
    「……フラりん?」
    「〜♪……えっ!?ギャナさん!?」
    ばしゃー、と水が零れる。私が邂逅したのは、見慣れた顔の少女。ピンクの髪に赤の瞳。背丈の小さなウマ娘。フラワリングタイム。私と同じチームのメンバーだ。そんな彼女が入っているのは、ドラム缶のお風呂。
    「ええ。フラりん、こんな山奥で入浴しているの?」
    「はい…そうなんです。まさか人が来るとは……」
    あはは…と恥ずかしそうに笑う。彼女が入っているのは、大きなドラム缶に水を張った上で、炎で温める五右衛門風呂。彼女の健気な花のようなイメージとは打って変わって、存外ワイルドな造形だ。

  • 119ドラム缶のお風呂22/12/10(土) 18:23:38

    「ギャナさんはどうしてこんな山奥に?」
    「私は、自然の音を聞きに来たの。とても心休まるでしょう?」
    「わかります。落ち着きますよね」
    「ええ……」
    彼女に視線を気取られただろうか。彼女はちらりとドラム缶を見てから、質問を投げかけてきた。
    「……気になりますか?」
    「ええ。とても」
    「ですよね……見つかっちゃいましたし、洗いざらいお話しますね」
    彼女は湯船から上がると、元から巻いていたタオル一丁でちょこちょこ歩きながら色々と説明をしてくれた。
    月に何度か、自然の中に行ってリフレッシュするのが趣味だということ。最初は歩くだけだったが、ふとこれをやってみたいと思い、ドラム缶風呂を始めたこと。いつしか、自然の中で入浴するのが楽しみになっていたこと。
    「今では毎回場所を変えて、都度景色を楽しみながら入浴していますよ」
    「素敵ね。とても癒されそう」
    「最高ですよ。ここは空気も澄んでいて、満天の夜空を見上げながら、肩の力をほんのり抜くんです」
    そう言って空を見上げる彼女のルビーの瞳は、とても輝いて見えた。そんなに素敵なものなのだろうか。俄然このドラム缶風呂に興味が湧いてきた。
    「……決めたわ。私も入る」
    「はい!是非ギャナさんも……ってもう脱いでるんですか!?」
    「そうよ。身体が試したくて仕方ないみたい。フラりん、入る時の流儀を教えて貰える?」
    「わ、分かりました!色々とセットを用意してありますから、お好きなのを使ってください!」
    彼女の指示に従って、先ずは身体を洗う事にした。湯船からポンプで水を汲み上げて、シャワーにするセットまで用意されている。流石、ハマっているだけあって用意が良い。
    「お好きな香りはありますか?石鹸も色々用意してありますから」
    「そうね……ミントの香りはある?」
    「ありますよ!お使いください!」
    まさか用意されているとは。流石は花屋の娘なだけある。素敵な香りの石鹸を受け取ると、私は身体を洗う。髪から、首へ。肩を通って、右腕。それから左腕。お気に入りの洗い方ルーチンだ。
    すっかり綺麗になった身体に、彼女が用意してくれたタオルを巻く。彼女用のサイズなのか、少しぴっちりだが気にしない。

  • 120ドラム缶のお風呂22/12/10(土) 18:24:23

    「板をしっかり沈めて、その上に乗るようにしてくださいね。踏み外すと大火傷ですから」
    「ありがとう。これで良いかしら」
    「そうですそうです!」
    彼女のレクチャーを受けながら、そっとドラム缶に肩まで浸かる。寒さで縮こまっていた身体が、ふんわりとゆるやいで行くのを感じる。緊張が解けたような開放感に、美しい自然の景色が呼応する。
    夜天満開の星。幾万の瞬きが夜空を綺麗に彩り、幻想的な風景を映し出している。視線を落とせば、遠くには明るいビル群。真っ暗な森とのコントラストが美しい。そして、目の前には可憐な桃色の花。ピコピコと動く耳がなんとも愛らしい。私の求めていた全てが集まっているような気さえした。
    「……天国ね」
    「ですよね……!」
    こんな素晴らしい体験をさせてくれた彼女には感謝しか無い。ほう、と吐き出す白い吐息さえも、今や恍惚に満ちているに違いない。
    「フラりん、良かったら一緒にどう?」
    「へ……私もですか?少々狭いと思いますが…」
    「結構広いし大丈夫よ。二人で入った方が楽しいと思うわ」
    「……それじゃあ、お言葉に甘えて」
    前を空けて、彼女をそこに座らせる。二人一緒になって、お風呂に浸かる。なんとか収まり、溢れたお湯がダバダバ流れていくが、気にしない。
    「やっぱり少し狭いですね……」
    「そうね……じゃあ、こうしましょう」
    「わぷ……」
    ぎゅっと彼女を抱きしめる。桃色の髪から香るのは、ほんのり甘いお菓子のようなメープルの香り。私の好きな香りだ。背丈の小さな彼女を抱きしめるのは、なんとも心地が良い。
    「嫌じゃないかしら?」
    「いいえ……お姉さんが出来たみたいで嬉しいです」
    ぴとっと抱き返される。お姉さん。お姉さんか。ちょっと嬉しい。こうして甘えて貰えるだけでも、先輩としての尊厳を持てているようで嬉しかった。
    「ギャナさん、少し寒いですし……このままお喋りしましょうか」
    「……ええ」
    それから、彼女と談話を楽しんだ。火も弱まり、ゆっくりと冷えていくお湯とは反対に、彼女はずっとポカポカで温かかった。

  • 121ドラム缶のお風呂22/12/10(土) 18:25:02

    「そろそろ冷えちゃいますから、上がりましょうか」
    「分かったわ」
    湯船から上がり、身体を拭いておしまい。パチパチと火を上げる焚き火にあたりながら、彼女が用意してくれたホットココアを二人で飲む。
    「何から何まで……ありがとうね」
    「良いんですよ。元々、誰かとやれたら良いなって思ってたんです」
    彼女の満足気な笑顔が、まるで満開の桜のように見えた。
    「ですから、ありがとうございます!」
    「…どういたしまして」
    クイッと、残っていたココアを飲み干した。私はもう、身体の芯まで温まりきっていた。
    「片付け、手伝うわ」
    「ありがとうございます!」
    屈託ない笑顔で接してくれる彼女。私はそんな後輩が大好きだし、そんな貴方が大好きだ。私の心に、色々なものを詰め込んでくれてありがとう。フラりん。
    「次行く時は……誘ってね」
    「……喜んで!」
    ああ、すごく楽しみ。高鳴る心臓の鼓動音が、とても心地良かった。

  • 122ドラム缶のお風呂22/12/10(土) 18:25:58

    以上になります
    以前、ドラム缶のお風呂に浸かるフラワリングタイムのイラストを描いて下さったギャナポレプトさんへのお礼のSSです!

  • 123二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 18:40:42

    てえてえ……。
    リフレッシュ手段としてはかなり効果ありそうなんだけどドラム缶とか運んでるの考えたらシュールすぎて草なんだ

  • 124二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 19:41:05

    >>123

    ライジョウドウが別の用事で運んできたと考えれば違和感が亡くなるライフハック

  • 125二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 19:50:55

    ありがとうございます
    初めてひとの作品に描いていただきました
    書くだけ書いて使っていない細かい設定を
    いくつも拾ってくれていて、
    また自分の中にはない彼女を見られて
    とても嬉しいです

  • 126二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 20:11:11

    >>124

    待てよ、ライジョウドウだと野生動物の襲撃を受けてMission Failedなんだぜ

    おそらく牡馬部屋の仕業だと思われるが…。

  • 127二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 20:15:45

    そこまでするならチームカオス全員ドラム缶持ってけよ
    みんな仲良くばばんばーにしてやる

  • 128ライジョウドウの中の人22/12/10(土) 20:22:25

    偉大な親と兄を持ちながら気性が悪く成績も平凡以下の父と、生まれてすぐに牧場の管理馬から整理される程度の評価しか与えられなかった母。
    見栄えのしない痩せた馬体、ひょろりとした脚、かつてまっすぐ走れなかったほどゆるすぎる体の繋ぎ、白くこそあれ病的な斑の浮かんだ毛並み。
    デビュー前の球節炎、管理失敗の事故、落鉄、レース前の熱発。経歴中二度にわたる自然現象による競争中止。その後も日本のレースでは「公式には」重賞戦線で青息吐息で居残っていたつまらない馬。

    6歳にして名馬居並ぶシャティンの直線を、上がり3ハロン31秒33の豪脚で貫いた必中の神弓
    鬼気迫る活躍を見せた英雄『百歩穿楊』は、日本では「国内G1勝ち鞍なし」のごくありふれた一頭の馬として馬主の手続き放棄により流れ流れて地方の乗馬として短い生涯を閉じる。
    日本での名は

    「ライジョウドウ」「ライジョウドウさんですか!やや?!失礼ですが妹さんのわりにお名前が似てないような?」
    何度も名残惜しそうに振り返って手を振りながら、中等部の方まで帰っていく葦毛のウマ娘は、目の前の彼女と失礼ながらあまり似ていないようにみえます。
    「私をおねえちゃんって呼んでるけど本当は母方の従妹だよ。あの子のはあっちの親戚がつけた名前なの」
    「な、なんだか中国の歴史に出てきそうなかっこいいお名前だね・・・つよそう」
    「迫力がありますね!こう、ドドドド!という感じがして!私はバクシンを感じて好きです!」
    「あはは・・・いい名前か・・・そうだね」
    「不満を察知しました。あなたは、なぜ、彼女の名付けにひっかかっているのです?

    鹿毛の彼女はいつもの元気がないように見えます。ここは委員長が問題解決しなくては!
    「自害してるんだ。あの子の名前の由来になった弓の持ち主、二人もいて。どっちもひどい目に遭った挙句にウマ娘も揃って死んじゃってるの」

  • 129ライジョウドウの中の人22/12/10(土) 20:23:14

    やばい先走った
    投げますー(後から承認制)

  • 130ラプラスの中身22/12/10(土) 20:30:03

    事後承諾ヨシ!
    何か物語が始まったぞ、期待!

  • 131ライジョウドウの中の人22/12/10(土) 21:00:30

    「あの子の家族は、小さい私が活躍するのを見てあの子を産んだの。それから『勝てなかったら死んじゃえ』って名づけたの」
    なにを
    私たちは今なにを聞いたのでしょう
    小さな黒鹿毛の同級生が持っていたノートを廊下に全て落としてしまいました
    「そんなはずは・・・」
    「ごめん。他人の家族を悪く言いすぎた。でもね、ステイヤーの私を見て欲が出たのは本当だよ。一回だけ盾を取ってくれたら後はどうなってもいい。って。私のお母さんね、あの子のお母さんのずっと妹なの。変だよね。」
    逆だと思っていました。
    高等部の生徒と中等部の新入生。お母上が実の姉妹というからてっきり、姉上の子が同級生だとばかり。
    つまりそれって
    保健体育の授業が頭を駆け回ります。出産は大変で、年を取ると余計にそうで、特にウマ娘の場合は母子ともにとても悲しいことになると。
    「たった一度の栄華のために生贄になれって。呪われたようなものだって。母さんはあの子をそう言ってた」

    菊花賞が終わり、クラスから一つ机が消えました。
    「委員長さん」
    「はい!どうしました?不詳お悩み事ならこの私に!」
    クラスを一生懸命に見回すこの子、休み時間にはいつも高等部に来ています。毎日、毎日、時間の許す限りはずっと
    「んーと・・・なんでもないです。あ、お土産」松ぼっくりをくれました。
    「寮にはまだ入れませんか?」「改装で空きが出ないから、まだ自宅です。」
    「中等部にお友達はできましたか?」
    「・・・えーと・・・今日気づいたら体操服ぜんぶなくて・・・別のクラスで貸してくれた子はいました」
    「素晴らしいです!友達の第一歩ですね!」
    「明日洗って返します」
    それで体操服がとんでもなく丈が余っているのですね!それと、ジャージのネームがキタサンブラックです!
    なんだか委員長として運命を感じる一年生なので、彼女なら仲良くなれると思うのですが・・・本人にその気があるかどうかが問題ですね

    ジャージに足を取られそうになりながら走っていく彼女は、もう振り返りません
    「友達百人作ってくださいねー!」
    一瞬振り返った目が真っ赤で、私は少しだけ声をかけたことを後悔しました。
    白い耳から逃げるようにロッカーの側にいた黒鹿毛の長い耳が窓際に帰って来て、先生がいらっしゃると、私が点呼をして。
    そうしてこのクラスは今日も毎日の通りの授業を迎えるのです。

  • 132ライジョウドウの中の人22/12/10(土) 21:02:12

    「お姉ちゃん」が実の姉妹でないことと
    姉のなんとなくの世代と
    中等部の交友関係についてのアンサーをまとめてお出しさせていただきました

  • 133二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 21:05:38

    またライス殿が曇らせられておられる……

  • 134二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 21:10:56

    アパム!アパーム!ドラム缶持ってこいアパム!
    風呂入らねえでやってられるかこんなもん!
    アッー(ドラム缶を踏みぬく音)

  • 135ライジョウドウの中の人22/12/10(土) 21:13:39

    >>126

    段ボール持ってる途中に足元にもんにょりした生き物の躍動を感じて、思わず転倒した後。

    運ぶはずの段ボールに猫が二匹も入っていて、重くて運べず少し泣いたことは、ある。

  • 136二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 21:25:47

    いつものライジョウドウかな?って思ったらこんなクソ重いことある?
    名前一つにそんな意味込めるようなことある???

  • 137ドラム缶のお風呂22/12/10(土) 21:28:42

    ただそっと、彼女を抱きしめたかった

  • 138二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 21:28:50

    紹介するぜ新入り
    こいつがライジョウドウの中の人
    動物からの舐められ具合がチーム中10馬身ぶっちぎったやつだ
    ちなみにペリカンに飲まれかけている
    クールだろ?

  • 139二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 21:36:44

    (ライジョウドウでggった)

    (持ち主が出てきたからwikiった)

    (>計画が露見して準備不足のまま挙兵を余儀なくされ、そのまま平家の追討を受けて宇治平等院の戦いに敗れ自害した)

    (oh)

  • 140二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 21:43:29

    兄ちゃん、チームカオス全員イかれてるのは重い過去を圧し殺す為なん?

  • 141二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 22:54:51

    せつこ
    ディスコを見るんや
    ライジョウドウの中の人はシンプルに健やかなリア狂や
    あとボバー

  • 142二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 23:02:25

    つまりディスコードに御座すは狂人達…ってコト!?

  • 143残滓22/12/10(土) 23:29:36

    しゃあっホープフル・ステークス

    というわけでファンファーレを聴きながら脳内実況を開始いたします私は今回、中山芝2000m右回り、ジュニア級限定G1のホープフルステークスに出走します。
    そう、G1です。私の人生において初めてのG1でございます。
    申し遅れました、私アナウンスでも紹介に預かりました"一番人気"クロックワークスでございます。
    目の前を通るカメラドローンに猿真似の恭しい一礼、そうしたらあとはゲートに全力で集中。
    いやぁ、やはりG1というだけあっては周りの奴の殺意が違いますね。本番直前の謎ハイテンション実況に体も温まってきたぞぉ!
    ーーーさあ、いつ開く?

    スタート!
    さあ各ウマ娘良いスタートを切りました!(詠唱)
    序盤はいつも通りバ群から距離を取る為に速度を上げて…
    足音からして凡そ4バ身は離れたことでしょう、ここからはもう練習と大差ありません。落ち着いていつも通りのフォームとペース配分、第一コーナー中腹でひとりぼっち、"ここからスパートを仕掛けます"。

    [固有:機械仕掛けの神託 Lv.1]

    極度の興奮と集中により覚醒状態に突入、レース場がスチームパンクになりますが(いつものことなので気にする必要は)ないです。
    スタミナ節約や諸々に気をつけながら全力で直線をかっ飛ばしましょう。開始点が下り坂なのでトップスピードに乗るのはいつもより楽ですが。
    …さて、視界が蒼く揺らめいていますがそろそろレースも終盤に差し掛かります。
    あとはできる限り速度を落とさないようにして自己ベストを更新するだけです。簡単でしょ?

    さあ段々とバ群が迫ってきました。
    背後からの足音はまるで雪崩や地滑り(幸い私は本物とは縁がない)のようで唯でさえバ群恐怖症である私の精神を削ってくる。
    …マズい、恐怖で頭の中が整理できない。スパート分の体力を使い切って碌に加速できない状態で後ろから大勢のウマ娘が迫ってくるのは本当にクるものが、やばい 耳を後ろに向けたら
    視線が刺さる 殺られる 怖い 逃げろ やめて 逃れられない くるな 轢かれる まずいやばい死ぬ走れ走れはしれはしれはしれはしれはしれ「ぅ゛ああ゛アあ゛ア゛あアア゛あ!!!!」

  • 144残滓22/12/10(土) 23:29:55

    はい、タイマーストップ。
    掲示板を確認、1着が4番。4番ということは4番なのでつまり私のゼッケンと同じ!(?)
    さあ今回の記録は…2:00.8!惜しい!
    えっと…なんだっけ?走り終わったら…そう、クールダウンしてウィナーズサークルだ。そうだそれでいい。
    マジで頭が回らないことしかわからない疲労困憊の私に、マイクを持ったどこかの記者が質問する。
    「希望の星を見事勝ち獲ったG1ウマ娘として、今のお気持ちをお聞かせください!」
    えっと感想?完走した感想ってか?やかましいわ

    「本ッッッ当に悔しいですね。終盤にバ群を恐れてかからなければレコード更新まで有り得たので、4月はこんなことがないように本当に、あとやっぱりコーナーもっと上手くできたんじゃないかとも思います。ペースももっと…」

    私が前代未聞の大炎上に気づくのは、その夜の奇妙な夢から醒めた後のことである。

  • 145二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 23:34:06

    すみませんまた狂人が増えてるんですけど!

  • 146ラプラスの中身22/12/11(日) 00:01:34

    ノ リ が R T A

    【お知らせ】
    ラプ中多忙につきSSの続きまで割と時間がかかるかもしれません
    ご了承ください

  • 147二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 00:06:39

    じっくりまったりやられるのが良いと思いますー
    急いで無理したせいでモチベーション落ちることもありますし

  • 148二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 08:30:35

    ザ・エンドってね。はい、お疲れ様でしたってね(カチッカチッ)

  • 149メジロエスキーの人22/12/11(日) 08:33:22

    なんでトゥインクルシリーズでRTA始めてるんですか……?

  • 150二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 08:53:17

    >>148

    RTAで炎上ってそういう…?

  • 151カラレスミラージュの人22/12/11(日) 09:40:16

    すごい数の神SSが集まってきている

    フラりんとギャナプレプトさんの、綺麗な空の下で身を寄せ合ってドラム缶風呂を堪能するシチュはギャナさんの思考というか心構えが垣間見えて暖まる……2人とも穏やかでしっとりした雰囲気なのでしんみり穏やかな空気が似合うんですよね
    一方のライジョウドウさんは……お、重い……! 競走馬の設定も上手く組み込んで、偉大な武具から取られた名前にこれでもかと負の因子を詰め込んだ造型が凄まじいというか……実装ウマ娘との絡みも各キャラのスタンスを汲み取って脳内再生余裕なエミュ描いているのがすごくすごい
    そして残滓さんの……急にRTA始まってない? 丁寧に実況しているはずなのにGⅠレースにあるまじきノリの軽さやバ群に対しての恐慌具合とかテンションの乱高下がエラいこっちゃ……そして優勝インタビューでその発言したら燃え上がるよねってところまでコメディ具合を切らさないのが中々に中々

    ちょっとこのラッシュに便乗するのが恐れ多いですが、こちらもSSの続きを失礼しますね!
    スレ前半で投下していたジャパンカップ前編の続き、つまりは後編です、よろしくお願いします!

  • 152カラレスミラージュの人22/12/11(日) 09:40:53

    (>>88の続き)


    『……あ…………』

    『……ハウスさん、フルハウスペイドさん? 大丈夫ですか……?』

     目頭から鼻筋を越え、少しの曲線を描きつつも真っ直ぐ滴り落ちる雫。一向に手や袖で拭い去られる様子のない清流は、彼女の衣服に似合わない水玉を作っていく。ひょっとしたら、彼女自身、落涙しているのに気付いていないのか。

     密かに聞こえ始める声が耳に届く。何も知らず、ただ状況を眺めては面白がる声が少しだけ煩くて。……何も知らないのは、私も同じなのに。

    「そっか、泣いちゃうくらい感動してくれたんだね! 本当に良かった!」

    『……え?』

     唐突に、よく分からない言語で叫んだ私に気圧されたのか。首をこちらに向け、怪訝な表情を浮かべるハウスさん。その首元に両腕を絡め、少しだけ背中を張ってみる。ぽんぽん、ぽんぽん。肩に掛かる少しだけ熱い水滴。そこでようやく、自分の現状を理解したようで。

     取り乱して震えた身体を、ぎゅっと抱き締める。たった数秒だけど、今だけは決して逃さないように。

    『無理にとは言えませんけど。ベガスの出来事はベガスの話、日本の話は日本の話です』

    『……うん』

    『故郷の友達に話せないことでも、片田舎のウマ娘相手なら大丈夫じゃないかなって』

    『うん……』

    『きっと、今日限りの関係。私で良ければお付き合いしますよ』

    『うんっ……!』

     少しずつぐずっていく声を聞きながら、少しでも胸の奥が軽くなるように。擦って、叩いて、撫でて。彼女の方が先輩なんだから、私の行動って間違いなく無礼千万なんだけれど。どうしてだか、彼女を単なる年長者だと思えなくて。

     熱狂の余韻を残し、少しずつ客の捌けていくレース場。その傍らで、私達は2人、ただ抱き合い続けていた。

  • 153カラレスミラージュの人22/12/11(日) 09:41:41

     ガラガラと、重厚感のあるベルが来訪者の到着を伝える。自動ドアなんてハイカラなものはこの場になく、自分で引くか押して入れとばかりの取っ手扉。目論見通り客の少ない喫茶店で、入口から最も遠い席に陣取ったのは、黒い髪がよく似合う2人の少女だった。
    『フィッシュアンドチップスとか食べます? ここのイギリス風料理、結構美味しいって評判で』
    『……なら、いただいちゃいますね。注文はお願いしても大丈夫ですか?』
    『もちろんですよ! 店長さんすみま……あっ、待って待って』
    『くすっ……』
     日本人の店長相手に英語で呼びかけるとか、ベタすぎるミスも交えつつ。まあ微笑んでくれたからヨシって感じで、運ばれてきた料理を楽しみつつ会話が広がる。
     曰く優勝した娘は今まで接点が無かったけど、向こうでも人気な走者だったから自分も嬉しいとか。本国に戻ったらサイン貰っちゃおう、なんて冗談めかして言っていたけれど……やっぱり無理をしているのは、手を伸ばすペースを見ても明らかだった。
    『……さて』
    『はい』
     食後の紅茶でのんびりティータイム……なんて洒落た雰囲気からは少し離れた時間。なんだかんだで言葉を止めなかった彼女の一区切りに、思わず身が締まる。
    『私……向こう、イギリスで尊敬している先輩がいるんです』
    『はい』
    『ソードオブロイヤルって名前、聞いたことはありますか?』

    【Sword of Royal, the Arc winner in last year, declares missing the Japan Cup.(昨年の凱旋門賞覇者・ソードオブロイヤル、ジャパンカップ回避を宣言。)】

    『……はい、もちろん』
     その名前を聞いた瞬間、いくつかの疑問が氷解した。……彼女が涙を流した理由の一端も。
     ソードオブロイヤル、高貴なる王の剣。かの王家とも繋がりのある名門の少女、尾花栗毛の金髪が眩い「イギリスの至宝」と目されたウマ娘。デビューこそ2度の2着を重ねたが、クラシック級に入ってから覚醒。4ヶ月弱の間に4つのティアラGⅠを勝ち取るという、これだけでも気の触れたような戦績を刻みつけ、国内外を問わず注目を集めた。そして──

    【──ソードオブロイヤル、今1着でゴールイン! 彼女の実力は英国に留まらない! 海を超えた大舞台、凱旋門賞のトロフィーさえも王家に捧げました!】

  • 154カラレスミラージュの人22/12/11(日) 09:42:57

     GⅠ5連勝目、強豪入り乱れる凱旋門賞さえ勝ち取って見せた、文句無しのイギリス最強ウマ娘。半月後にはオマケみたいなノリで英チャンピオンズF&MSさえ勝ってしまうんだから、本当にシャレにならない。クラシック級終了時点で9戦7勝、うち6勝がGⅠなんてバカみたいな強さを誇った、そりゃ「至宝」なんて仰々しい呼び名も似合うって話なんだけど。

    『彼女のことを知っているなら、現在の顛末もご存知でしょうか』
    『ええ……』
     ……非常に簡単な話。貴族とか王室とか、そういう所と繋がりを持つアスリートが連戦連勝したとなれば、心無き人々が何を言い出すか。
    『こんなに勝ち続けるなんて逆に怪しいぞ』
    『もしや賄賂や権力に縋って得た、偽りの勝利なんじゃないのか』
    『いや、きっとそうに違いない』
    『お貴族様のボンボンお嬢様が、神聖なレースを汚すな』
     嫌悪、厭忌、侮蔑、……切っ掛けは何でも構わないけれど、こういう場所に立つ醜聞ほど気持ち悪く、それでいて心地良い物もない。何時しか、彼女が不正に手を染めているという評価は、それこそ王室の力を使ったとしても覆せぬほどに膨れ上がり、市井の声として高まりを見せていた。尤も、こんなゴシップ相手に王室が声明を上げようものなら、なお業火に薪を焚べる結果にしか繋がらない以上……無意味な仮定でしかないんだけど。

    『先輩は違うと仰っていましたが……』
    『負けが込み始めたのが、ちょうどシニア級に入ってからでしたか』
     何処ぞのウマ娘がリハビリに励んでいた頃、アイルランドで開催されたタタソールズGC。半年のブランクも気にならないだろうと言われていた彼女が、当然のように3カ国目のGⅠを取るだろうと言われていたけれど……結果が、まさかの2着。
     次戦フランスはサンクルー大賞も3着、お膝元のイギリスで何とかGⅢ・セプテンバーSは勝ちを収めたけれど。彼女の肩書きが「昨年の」凱旋門賞ウマ娘という時点で、これ以上の説明は……野暮なのか、それとも。
    『むしろ、セプテンバーSは負けた方が良かったのかな、なんて考えてしまって……』
    『……』
     ここまで持て囃された以上、ソードオブロイヤルの周りには「勝って当然」という認識が形成されていたことだろう。だから半年間の休養に苦言を呈する者も居なかったし、その後に今更GⅢを勝ったところで、むしろ凱旋門賞の敗退を印象付ける落差にしかならなかった。

  • 155カラレスミラージュの人22/12/11(日) 09:43:46

     ……ハウスさんが語ったのは、きっとそういう話。彼女やソードオブロイヤル本人がそう思わなかったとしても、面白い話が大好きな一般市民どもはどう判断するか。
     少なくとも私が向こうに暮らしていれば、間違いなく乗っていたと思うから。
    『……先輩はそんなことしないって分かっているんですけれど。どうしたら、あの人は救われるのかって。見ていられなくて……』
     そう言って目を伏せるハウスさん。その目には、零れ落ちこそしないけれど、潤む程度には雫が浮かんでいて。それほどまでに、彼女にとってソードオブロイヤルというウマ娘は尊敬できる相手なんだろう。一連の話を聞いて、流れ落ちた涙を見て、どれだけ慕っているかは嫌というほど伝わってくるから。
     ……正直言って、私も彼女に負の感情を向けていなかったと言われれば大嘘になる。不正云々を抜きにしても、「こんなに恵まれた出生と実力を持っているウマ娘、どれほど妬ましいことか」と思ってしまった経験も一度や二度ではない。だから、そうやってゴシップ片手に騒ぎたがる人々の気持ちも分かってしまうわけで。それを踏まえれば、私が言えることは一つだけ。
    『無理だと思います』
    『……ッ!』
     一瞬。本当に一瞬だけ、信じられないものを見るような目で。けれど諦念も混じった視線が、私の視線と交錯する。勢い良く跳ね上がった頭、その髪が少しだけ靡き、微かに黄金色へ光って見えた。
    『話を聞く限り……ソードオブロイヤルさん……ロイヤルさん? きっと優し過ぎるんですよ』
    『優し、過ぎる……?』
    『はい』
     コーヒーへ雑に砂糖をブチ込み、口に運ぶ。うん、めっちゃ甘い。甘くしたのは自分なのに腹が立つほど甘い。
    『ハウスさんの話からして、彼女は不正を行っていないんでしょう。だったら、ただの疑惑だけで、希望していたジャパンカップ出走を取り止めたのが……ただ単純に勿体無い』
     黙りこくるハウスさん、もしかしたら彼女も同じことを考えていたのだろうか。当然、私はハウスさんでも無いしソードオブロイヤルでもないから、現地の雰囲気とかしがらみを知ることは出来ない。従って、私の発言は外野からの戯言に過ぎないんだけど。
    『1年間でGⅠ6勝、普通に考えてバケモノも良いところなんですよ。というかレース人生通して6勝出来るウマ娘ですら何人いることか』

  • 156カラレスミラージュの人22/12/11(日) 09:44:25

     しかもシニア級ですら大概なのに、クラシック級でそれでしょう? と付け足して。そんな偉業を残せるだけの才能と実力を持っているんだ、もっと手前勝手に振る舞ったとて構わないだろうに、彼女の立場がそれを許さない……本当にそれは正しいの?
    『きっと、ロイヤルさんは国民皆さんの思いを背に走っていたんでしょうね。王族の出だから、人々に期待されてきたから。そうして余計な思いまで背負い込んでしまった』
    『はい、きっと……』
    『……それを捨てるか、自分らしさを捨てるか。2択しかないんだと思います』
     ハウスさんの話を聞いて、ソードオブロイヤルへ抱いた最大の嫌悪感。こっちは才能が無いなりに自分らしさを取り繕って生きているのに、お前は私が焦がれても届かなかったそれを自分から捨てようとしているのか。確かにお前にも何かしらの苦労はあるんだろうけど、それさえ跳ね返せるほど強いウマ娘なんでしょうに。
     ああ、考えるだけで腑が煮え繰り返る。私がどれだけ望んでも得られなかった「それ」に苦しんでいるお前が。だから。
    『ハウスさんが慕っているように、彼女のために涙を流せるように。本当に大切な物が何か、それさえ気付ければ、きっと大丈夫だと思うんです』
    『本当に大切な物……』
    『はい。あとは文句の一つも言えなくなるくらい勝ち続ければ、それで』
     真剣な顔で、何かを考え込むハウスさん。運ばれてきた紅茶のお替わりに手を付けることもなく……ちょっと待って、もしかして私、熱くなり過ぎてとんでもないこと口走ってない!? いや普通の女の子は王室の娘さんと繋がらないんだよ真剣になり過ぎた!
    『ご、ごめんなさいごめんなさい! つい色々言っちゃって──』
    『──いえ』
     両手を顔の前で振って、あわあわと弁明を始めようとした、情けない姿の私を押し留めたのは。
    『本当にありがとう、すっごく参考になりました。……先輩に、もう一回お話させてもらいますね』
     さっきまでの悩みから解き放たれたようで、とてもすっきりした雰囲気の少女、その微笑み。
    『……だったら良かったです、ハウスさん。ロイヤルさんも元気になるといいですね』
     多分、外野に出来ることはここまで。後は彼女が、彼女にしか出来ないことをしてくれるはず。だから私は、彼女に送るせめてもの餞別に。喫茶店の会計を全部持とうとして……



     流石に今度は引き止められた。

  • 157カラレスミラージュの人22/12/11(日) 09:45:01

     GⅠレースが終わるということは、翌日が月曜日ということを意味していて。寝惚け眼を擦りながら授業を受け、トレーナー不在の中で軽く自主トレを済ませ食堂に入る。脚質とか戦法とか色々勉強しておけって言われたしね。こういう座学は1人なら自室の方が捗るし、早々に食事だけ済ませて戻ろうと思ったんだけど……
    「これ、なんの騒ぎ……?」
     夕方5時くらい、少し早めに食堂入りしたはずが、どのテーブルも一箇所を見つめるようにごった返していた。視線を向けてみると、何かの特番? が始まる様子っぽいけど……
    「ねえねえ、どうしたのこの騒ぎ?」
    「あ、ミラージュちゃん。あれあれ、イギリスのウマ娘が記者会見するんだって。ソード……えっと……?」
    「……ソードオブロイヤル?」
    「それそれ!」
     適当に目に入ったクラスメイトに話を聞き得心した。まさか昨日の今日とは思わなかったけど、騒動が始まってから彼女は悪い意味で時の人になった。そんな彼女が記者会見とあれば、全世界の注目も向けられることだろう。というか私も興味あるし。
     程なくして、テレビの向こうに映るは1人の少女。カメラのフラッシュを浴びてなお鮮やかに輝く金色の髪は、彼女の底知れない高貴さを表しているようで。サファイアのような青い瞳を瞬かせ、恭しく一礼してマイクを取る姿にすら、見惚れてしまいそうな気品を感じてしまった。
    『ソードオブロイヤルです、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます』
    『初めに、私の力不足で不甲斐ないレースをお見せしてしまい、ご迷惑をお掛けしてしまったことを謝罪申し上げます』
    『昨年の戦績はあくまで昨年の戦績、私は一度たりとも勝利に酔うことも驕ることもなく、ただ勝利を目指しておりました』
    『しかしながら、レースの世界は結果が全て。連敗を重ねてしまったのは紛れもなき事実であり、私の情けない姿に失望の意を向けられることも当然であると理解しております』
     流石は名門の少女、一つ一つの発言に年季が入っているというか、台本渡されたとしても到底真似できる気がしない。食堂を見渡しても、うんうんと彼女の言葉に聞き入っている聴衆が大半だった。けれど、心無い人間はどんな世界にもいるもので。
    『そんなことを言って、不正に得た勝利を誇るのは心地良いか?』

  • 158カラレスミラージュの人22/12/11(日) 09:45:33

     画面越しにも、会場の空気が凍りついたのは伝わってきた。ただの独り言にしては大き過ぎる声に、何人かのSPが覆い被さろうとした姿さえ見えた。それを押し留めたのは、他ならぬソードオブロイヤル本人で。
    『……重ねて申し上げますが、私は不正など行っておりません』
    『ですが、私の出自が、生まれが、環境が不信を生むというのは、大変悲しいことです』
    『私だけでなく。他の……共に競い、高め合い、同じレース場で走る友に対しても。ですので──』
     そうして言葉を切り、一度両腕を下ろす。そして、胸の前で剣を掲げるように。そうして彼女が口にした一言は。
    『──今流れている憶測が事実であるならば、私は王室との縁を切ります』
     現場を騒乱の渦に巻き込むには、十分過ぎるほどの爆弾だった。

     はっきり言って、その後はもう色々と無茶苦茶過ぎて大変だった。何処かで拍手喝采が鳴ったかと思えば怒声や激昂も聞こえてくるし、警備員やSPと衝突する関係者も出てくる始末。ともすれば王室全体を巻き込んだ一大スキャンダルになりかねないくらいだ、仕方のないことだとは思うけれどいや仕方ないで済ませるな。この後、親族やら女王様やらにも取材が行ったらしいけど、『彼女の勝利を信じている』としか言わなかったし。信頼が厚いのか、それとも匙を投げただけなのか。
     ただ、一つだけ印象に残っている話がある。日本から取材に行っていた……乙名史記者の質問。
    『今回、この記者会見を開く契機となった出来事はあったのですか?』
     確かに気になる事柄だろう。なにせ凱旋門賞で負けた時すら何も言わなかった少女が、今このタイミングというのは中々不自然だから。ただ醜聞を売りたい側からすればどうでもいい話、現地人じゃない彼女だからこそ出せたフラットな質問だったという話だ。
     騒々しい空気に包まれていた会場で、その質問に為された回答は、やはり一言だけ。
    『……恩人に報いるため、です』
     それだけ言い残して、本当に会場を去ったソードオブロイヤル。こっち側でも首を傾げる人が多かった中で、多分私だけが……胸に暖かいものを感じられていたんだと思う。
     腹八分目に留めて食器を下げ、一人自室へ戻る。少しずつ冷え始めた冬の寒気に、白い吐息へ一言だけを乗せて。

    『先輩の力になれてよかったですね、フルハウスペイドさん』

  • 159カラレスミラージュの人22/12/11(日) 09:46:26

    『入るぞ……お疲れ、ロイヤル』
    『トレーナー。お疲れ様、ごめんね色々と』
    『気にしないでくれ、君の力になれるなら安いものだ』
     学園ではなく、公邸の一角。担当トレーナーが入った部屋で、少女が触れていたのは……黒い髪を模したウィッグ。なんの変哲もないそれを、彼女は愛おしげに指で梳いていた。
    『……恩返し、か。その子とはまた逢えそうか?』
    『分からない、けど逢えると思う。私が頑張り続ければ』
     そう言って、傍らに置かれた携帯端末へ目を遣る少女。その画面に映っていたのは、極東の島国で走る、1人のGⅠウマ娘。生気の抜けた表情を浮かべた黒髪の少女を、彼女はやはり愛おしげに眺めていて。
    『きっと、来年はあの場所で走るはずだから』
    『分かるのか?』
    『なんとなく。だから、私も頑張らないとね』
    『無理はしないでくれ』
    『そこは大丈夫、だけどトレーナーも助けてね?』



     こうして、12月を前に迎えた騒動は、一つの終幕を迎えることになる。日本の少女は英国の少女の素性を知らず、英国の少女は日本の少女の本意を知らず。ただ時は過ぎ去っていくのみ……けれど。

    【ソードオブロイヤル! ソードオブロイヤル、ここに復活! ついに雪辱を晴らし、凱旋門の舞台に改めてその名を刻み付けました!】

     二人が相対したことで、確かに変わった運命が存在する。その長い生涯と比べれば一瞬だけの交錯、しかし運命を歪めるには十分すぎた時間。

     互いの未来に関わり合った少女達が、再び同じ場所で巡り合うまでは、もう1年の歳月を要することになるけれど……

     それは、もう少しだけ先の話。

  • 160カラレスミラージュの人22/12/11(日) 09:47:00

    というわけで、改めてジャパンカップ編完結です

    今話登場の新キャラことソードオブロイヤルさん、>>92で気付いていただいた通りライトニングホラーの人さんからお借りさせていただきました

    性格や戦績なども全面的に監修いただいて本当に助かりました……! ある意味で本連載のきっかけの一つだったので書いていて楽しかったです!

    引きの通りしばらくは再登場しないかもですが、こんな娘もいたなって記憶の片隅に留めておいていただければというところで、次回もよろしくお願いします!

  • 161二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 12:26:16

    ウマ娘でアスリートだと競馬よりもそういう疑い付きやすいよね…。
    会見の受け答え見ててもやっぱこいつ真面目すぎるんや…だからこそメンタルやられちまいやすいんや…。

  • 162ライジョウドウの中の人22/12/11(日) 12:47:31

    「鵺っていったい何かしらね?」
    サルの頭、狸の体、虎の腕、蛇の尾。あるいは怪鳥。あるいは雷を放つ獣。黒雲から撃ち落されて、扉のない木の船に封じ込められて朽ちたという。
    「きっと射貫いたものは『何もなかったのよ』」

    2月の京都レース場の上空は牡丹雪に覆われ、折からの風で最前列の観客さえ選手のシルエットを見分けるのがやっとの悪天候。ゲート内のウマ娘の消耗も激しい。
    スタートからコース状況を危ぶんでペースは上がらず、中団で温存を選ぶ選手が目立つ中、8バ身離れて先行するウマ娘が一人
    「スタートから陣形は変わらず・・・先行するのは8番の選手と思われます。風も出て参りました消耗は激しい。一番人気1番赤い体操服フルボディか?内から前を伺います。すぐ前につけて二番人気おそらく6番オルヴォワール。」

    「英雄は何も射なかった」
    ウマ娘たちの耳は風が強くなる予兆を聞き分ける。視界は消え、逆巻く風が空からも地面から雪を叩きつけてくる上下すらあやふやな世界。
    一人の耳が絞られる

    「『帝の不安』だけがあったのよ。だから誰も射貫けなかった。ありもしない物をどうにかしろなんて。神様の領域でしょ」
    「だからあなたは妖怪退治なんてしなくていいのよ。射るのはファンのハートだけになさいな」

    「画面をご覧の皆様、レース場は真っ白です。選手が心配ですが・・・いや、先頭はまだ走っている!先頭はまだ8番!最終直線に最初に現れたのは8番!」

    あなたがヒーローになったのは、誰かをころしたからではなく。誰かのこころを晴らしたからだね。じゃあ、わたしが選ぶ道は、あなたのような
    青紫に震える唇。白を通り越して蒼白の肌。死んだような色の中で瞳だけが燃えている。
    「私を追って来い!!!」
    眼を開けることもできない暴風の中で高く響く声。もつれかかっていた中団が息を吹き返し慎重に、位置取りを定める
     
    「うっすらとしか確認できませんが、逃げる8番、差し切るか実力者二人!三人が差を縮めます!オルヴォワールか!フルボディか!消耗で伸びきらない!8番ここでわずかに、いや確実に伸びる!今、京都第二レース決着しました!」
    風が止み色を取り戻していく景色の中で、同様の波と共に膨らむフロックという声の向こう側で、全ウマ娘を大過なくゴールへ連れていったウマ娘は自分と同じ色に沈んで
    すぐに愛する射手に抱き留められて退場していった

  • 163二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 12:56:59

    >>160

    ロイヤル嬢気高い……よき…運命の人(ミラちゃん)には手ごわすぎるエノラちゃんとかいう運命がいるけどがんばってほしい

    ぶっちゃけノーブル全開な造型でトップアスリートとかいう存在が好みオブ好み。


    >>161

    ハッピーで埋め尽くして夢の第11レースまでいこうぜ


    >>162

    と思ったらこのチームで一番ハッピーと思ってた奴が不穏というかさ「愛する射手」ってライジョウドウはオネエが恋愛的な意味で好きってそういうあれ

  • 164メジロエスキーの人22/12/11(日) 12:57:25

    >>159

    12/11


    『cloudy then Sunny』


    >目頭から鼻筋を越え、少しの曲線を描きつつも真っ直ぐ滴り落ちる雫。

     清流にも例えたそれはまさしく川のように流れを止めることを知らず、ただひたすらに流れ落ちる。泣いている彼女の精神状態が具現化したように


    >「そっか、泣いちゃうくらい感動してくれたんだね! 本当に良かった!」

    >『……え?』

     周りをごまかすというより彼女に彼女自身の今を知らせるためのひと芝居は無事に心に響いたようで、舞台は喫茶店へと移り変わる。


    >『ソードオブロイヤルって名前、聞いたことはありますか?』

    やっぱりなというかでしょうねというか。点と点は一人の少女が線となり繋がる。


    >嫌悪、厭忌、侮蔑、……切っ掛けは何でも構わないけれど、こういう場所に立つ醜聞ほど気持ち悪く、それでいて心地良い物もない。

     妬み、僻み……どのような人でも抱いている感情。ただそれを持つこと自体はおかしくはないけど、そこにさらに負の感情が乗っかり、同じ感情を持つ者が増えればそれは人をも殺しかねない弾丸となる。


    >彼女やソードオブロイヤル本人がそう思わなかったとしても、面白い話が大好きな一般市民どもはどう判断するか。

    >少なくとも私が向こうに暮らしていれば、間違いなく乗っていたと思うから。

     うーんこの少女。まあただのゴシップ好きというより別の感情から来るものだろうけども。もちろんそれをこの場で口にするほど愚かではない。


    >『無理だと思います』

     「どうしたら救われるのか」の問いかけに返すは一刀両断の剣。もちろんその剣はただ目の前の少女を突き放すものではなく。


    >コーヒーへ雑に砂糖をブチ込み、口に運ぶ。

     王室とは対極のただ一般庶民がとるのはそれ相応の行動。抱く感情も眼前で悲しむ彼女とは異なっていて。

  • 165メジロエスキーの人22/12/11(日) 12:58:21

    >>164

    >『きっと、ロイヤルさんは国民皆さんの思いを背に走っていたんでしょうね。王族の出だから、人々に期待されてきたから。そうして余計な思いまで背負い込んでしまった』

    >『……それを捨てるか、自分らしさを捨てるか。2択しかないんだと思います』

     ただ市井と「ズレた」彼女が授けるは2つの選択肢。何かを削り落とさないときっと先へは進めないという直感。


    >確かにお前にも何かしらの苦労はあるんだろうけど

    >私がどれだけ望んでも得られなかった「それ」に苦しんでいるお前が。

     仮に「嫌悪」の2文字を出さなくてもその感情が透けて見える言葉づかいは僻み、妬みを示す2文字で表現するのが適当か。


    >本当に大切な物が何か、それさえ気付ければ、きっと大丈夫だと思うんです

     その上でこの台詞が吐けるのは確かに彼女は「皮」を被っているなと感心せざるを得ない。


    >ちょっと待って、もしかして私、熱くなり過ぎてとんでもないこと口走ってない!?

     ……その言葉は「誰」のもの? 「皮」を被った「貴女」?


    >だから私は、彼女に送るせめてもの餞別に。喫茶店の会計を全部持とうとして……

    >流石に今度は引き止められた。

     当たり前だよなあ? こんなん誰でも引き止めるわ


    >「あ、ミラージュちゃん。あれあれ、イギリスのウマ娘が記者会見するんだって。ソード……えっと……?」

    >「……ソードオブロイヤル?」

     翌日夕方食堂にて皆が注目するは1人のウマ娘の記者会見。そのウマ娘の名は昨日聞いたばかりの名前で

     ……日本で17時ならイギリスは朝8時頃。えらい早い時間から会見するんだなあ


    >サファイアのような青い瞳を瞬かせ、恭しく一礼してマイクを取る姿にすら、見惚れてしまいそうな気品を感じてしまった。

     こんな人に心の中で「お前」呼ばわりしたウマ娘がいるそうですよ?

  • 166メジロエスキーの人22/12/11(日) 12:58:50

    >>165

    >『そんなことを言って、不正に得た勝利を誇るのは心地良いか?』

     ○ね(直球) 証拠も何もないならそれはただの誹謗中傷。仮にも「記者」なら裏取りぐらい……ってこんなクソみたいな奴に正論を説くより。


    >『──今流れている憶測が事実であるならば、私は王室との縁を切ります』

     己の覚悟と脚を剣に代えてただ斬り伏せるのみ。


    >『今回、この記者会見を開く契機となった出来事はあったのですか?』

    >『……恩人に報いるため、です』

     日本の記者から投げかけられた問いに返すはたった一言。果たしてこの恩人とは。


    >『先輩の力になれてよかったですね、フルハウスペイドさん』

     ……まあそう思うのも無理ないし、ここではポンコツ呼ばわりはやめてあげよう。


    >そう言って、傍らに置かれた携帯端末へ目を遣る少女。その画面に映っていたのは、極東の島国で走る、1人のGⅠウマ娘。生気の抜けた表情を浮かべた黒髪の少女を、彼女はやはり愛おしげに眺めていて。

     ……大丈夫? クソデカ感情向けられてないこれ? 今のうちに国籍イギリスに移しとく?


    >互いの未来に関わり合った少女達が、再び同じ場所で巡り合うまでは、もう1年の歳月を要することになるけれど……

    >それは、もう少しだけ先の話。

     動いた歯車、運命の交錯。果たして2人が相対したとき、そこで生まれるものは果たして一体。


     予想、というより期待通りに無事解決したようで何より。やはりウマ娘は己の脚で全てを覆す力を持っているのが素晴らしい。

     カラレスミラージュという少女、「皮」を被っているというより人格を都度切り替えているような感じがしてきた。もちろんどの人格でも彼女は彼女だから、どれが悪いとか比較はしないけど。

     何はともあれ運命の賽が2人にとって良き目を示しますように。

  • 167二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 13:00:32

    イギリスって同性婚合法だってよ

  • 168二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 13:07:37

    (ほぼ全員忘れてそうだがライジョウドウ本人からの発言ではオネエトレをオネエやオカマと呼んだことは一回もない)
    (自分がトレーナーの恋愛対象なら恋人になるのにとまで言ってる)
    (以上を踏まえて中の人が「恋愛展開にはならない」と断言されている)
    (トレラブだけど性別が対象外と推測される)

  • 169二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 13:39:50

    雪のヒヤシンスステークスとかいう実況の偉大さを知るレース

  • 170メジロエスキーの人22/12/11(日) 16:39:51

    >>168

    このサイドもここでなんだか重たい雰囲気が……

  • 171カンパナーレボバー22/12/11(日) 18:33:13

    弟とかっぱ寿司行った
    熱湯を注ぎ込んだアサヒドライゼロ缶を真顔で渡したらガッツリ握りこんで面白いことになった

  • 172フラワリングダンス22/12/11(日) 18:35:37

    またボバーが弟をいじめている……

  • 173二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:37:46

    うわでた

  • 174ライジョウドウの中の人22/12/11(日) 18:38:35

    うちの弟は救援物資にスポドリとシュークリーム持って駆けつけてくれた。
    人徳。

  • 175二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:40:56

    チームカオス三大リア狂の二匹がpopしてる……コワー

  • 176二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:41:43

    >>171

    >>174

    対極を超えた対極

  • 177二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:44:21

    >>176

    太極じゃねえか

  • 178二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:46:16

    ゲロイヤルビタージュースとウィッグで不動のリア狂に名を上げながら
    わりとウマ娘としてはティアラ路線だしまともな子なので
    中の人リア狂集団ボバライブ!では圧倒的調整枠とみられているのがイブ

    つまりコスモのリア狂ボバーとカオスのリア狂ライジョウドウを調停者として世界の安寧を保つ枠の暗黒騎士(公式設定)だ

  • 179二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:51:05

    あの…手綱握れてるのか心配なんスけど
    いいんスか、これで…。

  • 180二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:51:38

    昔はボ「バラ」イブの四人というか
    むしろボバー・バラカ・イブ三人の呼称だったりもしたけど
    中の人の狂気度の差でいつの間にか四天王から抜けていたバラカ
    入りなおせ

  • 181二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:52:45

    入らなくてもいいから(良心)

  • 182二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:56:50

    聖騎士バラカはかつて暗黒騎士イブと共にあった
    しかし暗黒騎士が冒涜的な汚泥を呑み蹄鉄のルーンは分かたれ
    この地にはいまやボバーとライジョウドウという二つの狂気が蔓延った

  • 183二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:02:19

    「ボバ」ライブ

    ボ「バラ」イブ

    ボバ「ライ」ブ

    ボバラ「イブ」

    どう区切っても名前入るの笑っちゃうんすよね


    >>182

    ウマデンリングやめろ

  • 184二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:05:54

    女神オウカ「もうだめだ引きこもろう」

  • 185メジロエスキーの人22/12/11(日) 19:07:42

    まーた部長が胃痛になってるよ……

  • 186二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:08:04

    忌み呪いのルーンで蹄鉄修復されてるやん

  • 187二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:20:10

    中の人の良識に定評のあるバラカちゃんです
    僕は弟がいないのでいじめる心配はありませんねヨシ

  • 188ラプラスの中身22/12/11(日) 19:20:55

    さあ新スレへの最終直線!

  • 189二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:24:08


  • 190二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:24:11

    >>187

    (初手悪ノリで第一印象アレなんで良識的には)駄目です

  • 191二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:25:06

    ウワーッ!出先!
    帰宅まであと20分くらい待っててくれれば…。

  • 192二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:47:17

    20分経った!!
    ジャスティスの内部でこのスレを核爆発させる!!!!!!!!!

  • 193二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:50:44
  • 194二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:55:04

    タテ乙ですわ!

  • 195二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:56:41

    梅酒

  • 196二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:57:36

    チョーヤ

  • 197二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 19:59:31

    奇行種と神SSと給油のせいでスレ立てタイムオーバーしかけて混沌としてるな、タマ

  • 198二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 20:00:54
  • 199二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 20:03:09
  • 200フラワリングダンス22/12/11(日) 20:03:21

    200ならチームカオスリーニュドロワット

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