- 1二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 22:43:19今年もこの季節がやってきた。そう、クリスマスだ。この時期になるとなんとなく浮き足立ってしまうのは、きっと気のせいではないだろう。しかし、今の俺には手放しで楽しむ余裕というものはなかった。 
 「どうしたもんかなー……」
 今度のクリスマスも例によってとある少女からプレゼントをねだられた。ねだられたとは言っても元々渡す予定ではあったので特に問題はなかった。どちらかと言うと頭を悩ませているのはその中身についてだ。それについて当の本人からは
 『すっごいの、期待してるわよマスター♡』
 と言われた。もっとも女性が喜ぶもの、それも小学生女子へのプレゼントなど見当もつかないが……本来なら誰か詳しそうな人に聞いて、それを参考にして選ぶのが無難なのだがそれもダメだと言われてしまった。クロには言葉通りの期待をかけられてるらしい。
 「喜ぶもの…喜ぶもの……わからない」
 クロとはそれなりに付き合いも長くなってきたと自負しているが、未だにこういった類のものは答えらしき答えをきちんと見つけられた試しがない。けれどクリスマスは待ってくれない。どうしたものかと頭を抱えながら歩いていると、あるものが目に入ってきた。
 「………これにするか」
- 2二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 22:43:39今日はクリスマスイヴ当日。どうにかクロへのプレゼントを用意することができた。プレゼント交換は俺の部屋でするとのことなので、色々と不安を覚えながら来るのを待っている。 
 「今さらだけど、これで良かったのか…?」
 「あなたがちゃんと考えて選んでくれたものなら喜んで受け取るわよ」
 「!?びっくりした…いつからそこに?」
 「あなたが頭抱えて唸ってた辺りから」
 「全然気づかなかった…」
 「せっかくだからバレない内に色々としておくべきだったわね」
 「やめなさい。それよりほら、プレゼント交換するんだろ?」
 「もちろん♪今日のために準備してきたんだから。今年のクリスマスはわたしと一緒に過ごしてもらうわよ」
 「…それはどうも」
 あまりにも直球すぎる言葉に耐えきれず、思わず横に置いてあったプレゼントを押し付けてしまう。今思うとムードもへったくれもない、ダメなお手本のような渡し方だ。
 「ありがとマスター」
 何事もなかったかのように自然に受け取るクロを見てるとさっきの行動に関してものすごく罪悪感が湧いてきた。これではどっちが年上なのかわからない。
 「……ぬいぐるみ?」
 「一応ちゃんと考えたよ?その上でこれしか思いつかなくて……」
 「もしかして手作りだったりする?」
 「へ?ああうん、メディアさんとかヴラド公に教わりながら作ってみたんだけど」
 「ふーん、そうなんだ…」
 「やっぱり手作りって重かったりする?」
 「わたしはすっごく嬉しいわよ。あなたの気持ちのこもった世界に一つだけの贈り物。わたしが愛されてるって証拠だしね」
 「なんか改めて言葉にされると恥ずかしいな」
 「んー、じゃあもっと照れさせてみようかな」
 「急に何を言い出すかと思えば…」
 冗談かと思っていたがそうではないようで、箱から取り出したぬいぐるみを抱きしめながら、上目遣い気味にこちらを見つめてくる。
- 3二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 22:44:46「………可愛い?」 
 きっとどういう答えが返ってくるか分かってて聞いているのだろう。なら俺も期待に応えなければ。
 「すごく可愛いぞ」
 「ふふっ、ありがと♪」
 嬉しそうに笑う姿を見て、ホッと一息つく。どうやらプレゼントは気に入ってもらえたようだ。
 「じゃあ次はわたしからね。はい、どうぞ」
 「ありがとう」
 可愛らしくラッピングされた箱を受け取り、中を見てみる。
 「これは…うん、意外だな」
 「まさか被るとは思ってなかったわ」
 「なるほどなー…だからさっきあんな反応だったのか」
 中には俺のプレゼントと同じようにぬいぐるみが入っていた。さっきの反応的におそらくこちらも手作りだろう。
 「おお、すごい丁寧に作られてる…そして可愛いな」
 「ふふーん、でしょ?あなたに喜んでもらえるように色々とリサーチして作らせてもらったわ」
 「なら結果は大成功、だな」
 とりあえずベッドの枕元のところに置いておくことにした。ここならいつでも目に入ってくるし。すると何故かクロも自分のぬいぐるみをその隣に並べてきた。
 「せっかくだしわたしのもこの部屋に置いておくわね」
 「うん?良いのか。部屋に持って帰らなくて」
 「良いのよ。だってここにあればあなたの部屋に来る口実が増えるでしょ?」
 「別にそんなことしなくてもいつでも来ていいぞ」
- 4二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 22:45:20「じゃあ、わたしも今日からここで寝泊まりするって言ったら?」 
 「!……それはまだ早くないでしょうか」
 「ふーん、じゃあ何からなら良いの?」
 「何からって…」
 その言葉にまた頭を抱え込んでしまう。クロはその様子を見て笑っていたが、何かに気づいたようでこちらの袖を引っ張ってきた。
 「あ、髪に何かついてるわよ。取ってあげるから屈んで」
 「マジ?じゃあお願い」
 丁度目線が合うぐらいまでしゃがむ。自分でしゃがんでおいて言う事ではないが、クロと目を合わせるのが微妙に恥ずかしい。
 「ん、いい子いい子。じっとしててね」
 結局、顔の近さに耐えきれず目を瞑ってしまった。今思い返すと俺がこうすることも計算済みだったのかもしれない。
 「んっ………」
 おかしい。ただ髪についた何かを取ってもらうだけだったはずなのに、なぜかクロとキスをしている。とはいえクロの気持ちを考えると逃げ出すわけにもいかず、黙ってそれを受け入れた。
- 5二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 22:45:51「………ぷはっ………うん、やっぱりクリスマスならしておくべきよね」 
 「また同じ手に引っかかった…」
 「わたし的には毎回引っかかってくれるぐらいがちょうど良いわよ」
 「ちょうど良いって言うのかな…それ」
 「細かいことは気にしないの。それに、こういうのは定期的にしておかないと」
 「そういうことなら……まあ、仕方ないなうん」
 「顔、赤くなってるわよ♪」
 「知ってる。もうクロには敵いっこないって悟ったからな」
 「たまには、わたしを負かしてくれても良いのよ?」
 「無理だろうな。ずっと負けっぱなしだよこの先も」
 「むー…つまんなーい」
 そう言いながらも笑顔が途切れることはなかった。まあ、クロが笑顔でいてくれるならからかわれつづけるのも悪くないと思う。
 「ほらほら、ぼーっとしてる暇はないわよ。クリスマスはまだ始まったばかりなんだから」
 そう言うと俺の手をとり、一緒に外へ出るよう促す。そうだ、クロの言う通りクリスマスはまだまだこれからだ…と思っていたが、そこで大事なことを思い出した。
 「ちょっとだけいいか」
 「?どうかしたの」
 軽く深呼吸をし、お決まりのあの言葉を口にする。
 「メリークリスマス、クロエ」
 「!…メリークリスマス、マスター♪」
- 6二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 22:48:05クリスマスにイチャイチャするクロが見たくて建てました 
 ちょっと長いんで読みづらいかもしれないです
- 7二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 22:48:44もしかして前にもクロエでSS書いてくれた人? 
- 8二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 22:55:07はい、大正解です ダラダラ書き連ねてるのもアレなので2スレ目終わったタイミングで一旦離れてました 一応めっちゃ長いけど前スレ SSって|あにまん掲示板「ほら、早く起きなさいよ」その声に目を覚まし、ベッドの横に立っている彼女の方を見上げてみた。「やっと起きた」その言葉に慌てて時計の方を見たが、まだ少しだけなら起きずにゴロゴロしていても大丈夫な時間であ…bbs.animanch.comやらかした…【クロエSS】|あにまん掲示板bbs.animanch.com
- 9二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 22:58:06クロエ愛を感じる良SSだった。 
- 10二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 22:58:53
- 11二次元好きの匿名さん22/12/24(土) 23:07:37
- 12二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 01:17:31わたしはある重要なことに気づいてしまった。 
 「こんなことを見落としてたなんて…」
 思い立ったが吉日、とも言うし早速彼の元へと向かう。
 「マスター!!!」
 「っ!びっくりしたー……何か緊急事態?」
 「そう、緊急事態よ。一回しか言わないからちゃんと聞いててね」
 「なんかやばそうだな…とりあえずどんなことなのか教えて」
 了承は得たので軽く息を整えてから"それ"を口にする。
 「マスター、わたし気づいちゃったの…」
 「うん」
 「マスターから…」
 「…」
 「キスしてもらったことないって!」
 「………え?」
 そうだ、思い返してみればいつもわたしの方からしてたはずだ。それどころかマスターからはキスのキの字すら聞いたことがない気がする。
- 13二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 01:18:29「これは由々しき事態よマスター」 
 「……ごめん、理解が追いつかないんだけど」
 「やっぱりもう一回言う?」
 「いや、そういうことじゃなくて…というかどっちからしたとかよく覚えてるな」
 「?あなたと何したかなんて全部覚えてるけど」
 「そうきたか……嬉しいような怖いような」
 「恋する乙女に不可能は無いわ」
 「そのフレーズ好きだよね」
 「なんとなく響きが良いから……って話逸らそうしないでよ」
 「バレたか…でも別にどっちからするとかそんなに気になる?」
 「わたし的にはすっごく気になる」
 「理由を聞いても?」
 「だって…実はわたしとはそういう事あまりしたくないのかな、って思っちゃって自信無くなるから…」
 「それもそうか…だとしたらごめん」
 「別に謝る必要はないわよ。わたしが勝手に思ってるだけだし」
 「いやーでもなあ…」
 「あなたがもう少し積極的になってくれれば解決するわよ」
 「それ絵面がヤバすぎる気が」
 「わたしが言うことじゃないけど、今更気にしても遅くない?」
 「ぐうの音も出ない正論はやめてね」
 「だから、わたしのこと好きにしてくれても良いのよ?」
 「!?……そういう発言はやめときなさい」
 「なんでここまで言っても積極的にならないのよー、へたれー」
 「ヘタレで結構。勢いのままで行動してクロを傷つけたくないし」
 「っ!……あーもう、そういうところよそういうところ!良いとこだけど悪いとこ!」
 「怒られてるんだか褒められてるんだか…」
 「決めた!今日はマスターからチューしてくれるまでここを動かない!」
 「ここって……俺の膝の上なんですが」
 「つーん」
- 14二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 01:19:03全く手出しする素振りが見えないので、強硬手段に出た。そりゃ大切にされてるのは嬉しいけど、もうちょっと積極的にもなって欲しい。 
 「……」
 「ほんとにずっとこうしてるつもりか?」
 「もちろん。ご飯の時もお風呂の時も寝る時も…ね」
 「それは……困るな」
 「あ、今お風呂って聞いてエッチなこと考えたでしょ」
 「な!そこまで追い詰められてないし!」
 反応的にちょっとはそういうことを考えていたのは明らかだ。少なくとも女の子として意識されてるかどうかについては心配しなくても良さそうだ。
 「………わかった、するから一旦隣に座ってもらっても?」
 「本当に?」
 「マジだよ。嘘はつかない」
 普段はあまり見せない真剣な顔に思わず胸の鼓動が早くなる。
 「クロ、じっとしてろよ…」
 「うん…」
 唇と唇が触れ合う。ついにマスターからキスしてもらった!……と思ったら次の瞬間にはもう離れていた。
 「もうお預け?」
 「ごめん、これ以上はなんか色々とやばくて…」
 「そういうことならしょうがないわね。でも、ありがとうマスター」
 「ご期待に添えたならよかったよ」
- 15二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 01:19:29今日は思っていた以上の収穫があった。今日という日の出来事は、何年経っても何十年経っても絶対色褪せない大切な思い出だ。そんな思い出をくれたマスターにはわたしなりのお礼をしなければならない。 
 「マスター」
 「ん」
 「大好き」
 その言葉と共にマスターの胸元へと飛び込む。その時、わたしも彼のことをからかえないぐらいに顔が熱くなってたのは秘密だ。
- 16二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 01:20:07前スレ埋め用に作ってたやつがあったので忘れない内に投げておきました 
- 17二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 13:19:06ありがとうございます! 
- 18二次元好きの匿名さん22/12/25(日) 21:17:16保守 
- 19二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 07:01:06「全然起きないわね…」 
 「zzz…」
 午後の時間、暇だったので適当に散歩をしていると、食堂の一角で昼寝をしているマスターを見つけた。どうやら色々と立て込んでいて、色んなところを走り回った挙句、ついにはここでうたた寝をしてしまったらしい。
 「起きないと好き勝手させてもらうわよー」
 「…」
 当たり前だが返事はなかったので了承とみなし、起こさない程度にスキンシップをとってみる。とはいえ、いつもとやることはそんなに変わらない。頰をつついてみたり、手を繋いでみたり…その程度のことだ。いつもマスターのことをヘタレだとか言ってるわたしだけど、正直なところわたしも似たようなものだと思う。
 「…つまんない」
 やはりマスターからしてもらわないと全然満たされない。すっごくめんどくさい話ではあるが、自分で勝手にするのと相手にしてもらうのとでは嬉しさが全然違う。惚れた弱み、という奴なのだろうか。
 「かといって無理矢理起こすのもねえ…」
 流石にそれは気が引ける。恐らく怒りはしないだろうし、むしろこちらを気遣ってわたしの戯れに付き合ってくれると思う。でもそんなことをさせた時点で完全にアウトだ。
 「ほんと、乙女心ってめんどくさいわね……ってマスター?」
- 20二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 07:01:42急にこちらに手を伸ばしてきたと思ったら、次の瞬間にはわたしは彼の腕の中にいた。そういえば抱きつき癖があるのをすっかり忘れていた。さっきまで何ともなかった体温が一気に上昇していくのを感じる。それはそれとして今のわたしにとってはラッキーでしかない状況ではあるが。なのでこのチャンスは有効に使わせてもらおう。 
 「起きた時にわたしがいたらあなたはどんな顔をするのかしらね」
 まあ大体想像はつくけど。みんなが使う食堂での出来事というのもあり、いつも以上の慌てっぷりが見えそうだ。
 「でも今更よね。わたしたちがこんな関係だって知れ渡るの」
 けれど、きちんと休んで欲しいというのも本音だ。そのためならこんな状況、いくらでも受け入れる覚悟はできている…我ながら彼のことが大好きすぎると思う。そんなことを考えている内に、わたしもまどろんできた。せっかくだしわたしも少し休ませてもらおう。
 「おやすみ、わたしの大切な人」
 願わくばそう、彼が良い夢を見れますように…
- 21二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 07:02:47何故かまだ残ってたから急遽投げさせてもらいました 
 落としてくれちゃっても全然大丈夫ですよ…?
- 22二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 07:31:42ありがとうございます! 
 わかりました、あとは流れに任せますね
- 23二次元好きの匿名さん22/12/26(月) 19:12:11今更言うことでは無いですが、書く元気自体はたくさんあるのでリクエストがあれば出来る限り投げさせていただきます とはいえ、このスレ見てる方もそこまで多くはないと思うので無ければ無いでそのまま落としちゃっても大丈夫です 
- 24二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 07:11:29一応保守