似合ってるかな？　トレーナーさん♡

1藤原　司21/11/05(金) 23:05:39

「どうしたのその格好？」
「今度の聖蹄祭で着る衣装だよ　普段の私とは違う趣向だけど……どうかな？」

フジの言う通り、勝負服は舞台俳優の趣を感じさせる衣装であり、今回の"メイド服"は普段とベクトルがまるで違う。
フジは上品さを感じさせるロングのスカートをはためかせ、くるりと一周して全身を見せてくれた。

「ん〜？　どうして顔をそらすのかな　トレーナーさん？」
「なっなんでもないよ」

以前喫茶店を開いた時の衣装は執事服であり、男装の麗人がコンセプトだったのだろう。実際にファンの反応は抜群だった。

「アハハッ！　耳まで真っ赤だよ！」

今回は違う。直視できない程可愛いすぎた。
女性らしさを魅せつけるフジの見た目が、あまりにも刺激的で新鮮で、その綺麗な一挙一動が、洗礼された所作全てに、心奪われる。

「──何なりとお申し付けくださいませ"ご主人様"　貴方にご奉仕しご期待に沿う事こそ　メイドの本懐にして至上の喜び」

優雅な振る舞いと共にそう演じ、スカートの裾を掴みスッとお辞儀をして見せる。
そして片目を開きこちらを伺う瞳は、どんな難題を出されるのだろうかという『期待』だった。

「……淹れてくれるかな　コーヒーを」
「仰せのままに　ご主人様」

流し目で何か言いたげに見られるが残念ながら応えられない。期待はずれと思われようと、これで良かったと自分に言い聞かせる。
しかしその後も続く積極的な奉仕活動まで耐えられたかは、また別の話だ。