- 1二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:02:01
「ハッピーニューイヤー!マスター!」
「んー、あけおめー」
聞き慣れた声に適当に返事をし、そちらを振り返る。するといつもとは少し違う光景が広がっていた。
「…そういえば今年は卯年だっけ」
「正解、こういうのは忘れないようにしないとね」
「そういうことなのかなそれ…」
率直な意見を口にする俺の視線の先には、うさ耳と尻尾を付けたクロがいた。
「どうやって用意したのそれ」
「ルビーのコスプレセットを借りてきたわ」
「なんでも持ってるなあのステッキ…」
「後でお礼言っておかないとね。それで、感想は?」
「なんかこう…不思議の国感があってすっごい可愛い」
「うんうん、素直でよろしい♪」
とりあえず思ったままの感想を口にさせてもらった。効果はてきめんだったらしく、ご機嫌なクロの姿が目に映った。その様子に正直に答えて良かったと思いつつ、クロの動きに合わせて揺れるうさ耳を眺めていると、唐突にクロが何かを思いついた顔をしているのが見えた。こういう時は大体何かを求められるのでそれとなく身構えてみる。 - 2二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:02:18
「マスター知ってる?うさぎって寂しがり屋なのよ?」
「一応聞いたことはあるよ」
「そう、なら良いわ。ちなみにわたしは今うさぎの格好をしてるんだけど」
「うん」
「ここまで言えば、どうすれば良いかわかるわよね?」
「ん」
上目遣い気味に聞かれたので、まずは頭を撫でてみる。反応は上々。頭につけたうさ耳がぴょこぴょこと動くのが可愛らしい。
次は手を繋いでみる。さっきまで余裕のある笑みを浮かべていたクロの頬が少し染まり、軽く握っていただけの手がしっかりと握られる。その表情を見てから、さっきまでなんともなかった体温が急激に上昇していくのが意識しなくても分かった。
「…」
「…マスター?」
困った。ここから先どうすれば良いのかわからない…どうやらさっきのクロの表情を見て頭が真っ白になってしまったらしい。正直に言うと見惚れていた…というやつだ。必死で頭を巡らすが、どうにも考えがうまくまとまらない。そうこうしている内にいよいよクロの方を見ることができなくなってしまった。けれどクロはそんな不甲斐ないマスターを見てなんとなく察したらしく、助け舟を出してくれた。 - 3二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:03:00
「もー、しょうがないわね」
その言葉と共に正面から抱きしめられる。一瞬思考が全部吹き飛びかけた。心臓の鼓動が一気に高鳴り、さっきの比じゃないぐらい体が熱くなっている。そして腕や胸を通して自分のものとは根本的に違う、柔らかい感触が伝わってきた。これ以上は色々とまずい…
「ク、クロ…」
「ん……もうちょっとだけ…」
「はい…」
抵抗する気など微塵も起きなかった。自分にできたことと言えば、クロの背中に手を回してそっと抱きしめ返すことだけである。
〜〜〜〜〜〜
「ごちそうさま。うん、中々良かったわよ」
「そりゃ何よりで…」
「でも、あなたも満更じゃなかったでしょ?」
「………そうだな」
こちらが主導権を握っていると思って余裕を見せた瞬間、あっという間に逆転されてしまった。多分、クロには一生勝てないだろう………それはそれとして、今日の出来事を通してまた少し距離が縮まった気がするのでそれで良しとしよう。というか、そういうことにでもしておかないと色々ともたない…
「ほらほら、ボーっとしてる暇ないわよ。この後もやりたいこと、たくさんあるんだから」
「はいはい、お付き合いさせていただきますよ」
「良い返事ね……っと一個言い忘れてたわね」
「?」
そう言うとこちらの耳元へ口を寄せる。
「次はあなたがリードしてね。マスター♡」
「っ!?」
…どうやら負けっぱなしでいるのは許されないようだ。 - 4二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:03:49
今年が卯年なのと三が日が終わるので書いてみました
- 5二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:04:45
供給ありがたい、感謝
- 6二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:25:43
- 7二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 23:48:19
クロかわいい…
ところでウサギと言えば確か年中はt(以下略 - 8二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 00:06:53
一応健全な方向に書いたのでえっちなのは今回はなしということで…