取材……ですか？【※SSです】

1◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:14:58

SSはサンデーじゃなくショートストーリーのアレです。
以下、注意書き

かなり強めの曇らせ描写があります。
最終的にハッピーエンドに着地はしますが、【閲覧注意】です。
また、キャラエミュへの違和感が発生する場合がございますので、その点のみご容赦ください。

2◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:16:08

「あの、ナリタトップロードさん、ですよね！」

「は、はい！？　そうですけど、私に何か……？」

「突然すみません。実は私、こういうものでして……」

「あ、TV局の方なんですね！」

「ええそうなんです。実は今、ウマ娘で特集を組もうと思ってまして」

「特集？」

「そうですそうです！　今をときめくウマ娘の日常やレースを取材するんです！　そしてファンの方に喜んでもらおうという企画なのですが、ぜひナリタトップロードさんにお願いできないかと……」

「わ、私ですか！？　オペラオーちゃんとかアヤベさんとかドトウちゃんじゃなく……？」

「その通りです！　高いファン人気も獲得している貴女だからこそ、お願いしたい！」

「わ、私が……」

3◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:18:03

「という事があったんですよ、アヤベさん」

「そう……。それで、その話を受けるの？」

「受けようと思ってます。……私、最近全然勝ててなくて、G1勝利にも菊花賞以来縁もなくて……ファンの方々はすごくすごく応援してくれてるのに……」

「トップロードさん……？」

「人気投票でたくさん応援してくれているのに、何も返せてないから。この取材で、少しでも感謝を伝えられたらって思って……」

「……そう、応援するわ。頑張ってね」

「……！　はい！　ありがとうございます！　あ、もしアヤベさんとのレースの事とか聞かれたら、話しても大丈夫ですか？」

「大丈夫よ。幾らでも話してきなさい」

「はいっ！」

4◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:19:23

────翌日、食堂
「あ、アヤベさーん、一緒にお昼食べましょ」

「カレンさん……構わないわよ」

「はーい！　昨日はまーた天体観測でアヤベさんと話せませんでしたし、いっぱいお話ししましょ！」

「1日だけじゃない……」

「1日でも寂しいんですよっ。ところでアヤベさん、食が細くないですか？　もうちょっと食べないと身体にもお肌にも悪いですよ〜。食べ過ぎもカワイクなくなっちゃいますけど、ね！」

「管理はしているつもりよ。トレーナーさんもその辺りは把握してるし、問題ないわ」

「さっすがアヤベさ〜ん。……あ、そーいえばアヤベさん、こないだカレン、すっごく怖い事があったんですよ〜」

「怖い事……？　どうしたの？」

「この前、怪しい感じのオジさんから取材を受けてくれないかって名刺を渡されたんです。で、カレン、そういうの時々来るからその時は名刺だけもらって終わったんです。その後に調べてみたらおっきなTV局が出てきたんですけど……」

「……？　それで？」

「なーんか怪しい噂が絶えないみたいで、ついこの前も有名になることをダシにして地下アイドルの子に接触して……とかで問題になった人がいるみたいなんですよ〜。勿論TV局の人全員がそうじゃないんでしょうけど、怖いですよねぇ。アヤベさんも美人だから気をつけたほうが……」

「……ちょっと待って、カレンさん。その人とはこの辺りで会ったの？」

「？　はい、そうですよ？」

「ッ！！？」

「ひゃっ！？　急に立ち上がってどこ行くんですか！？　アヤベさーん！」

5◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:21:31

「トップロードさん、どこ……！」

「あ！　アアア、アヤベさぁぁぁん！！」

「！　ドトウ……！　トップロードさんを……」

「トップロードさんを見ませんでしたかぁぁ！！？」

「見なかった……って、え？」

「はーっはっはっ！　アヤベさん、その様子だと君も状況を把握しているのかな？」

「オペラオー……ええ、じゃあ貴女達も？」

「実は昨日、トップロードさんからLANEがあったんです……今度取材を受けることになったから私達のレースについて話しても良いかって……その事を私とオペラオーさんのトレーナーさんに伝えたんですけど……」

「2人ともそれを訝しんでね、トップロードさんはトレーナーが出張中だろう？　まるで狙ったようなタイミングだとね。この手の詐欺も多いと言われてね、僕らも一緒に調べてみたのさ」

6◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:23:02

(そういえばカレンさんのトレーナーさんも、日帰りだったけれど昨日は遠方に出張してたはず……)

「結果！　些か信用には足らない会社だという事が分かったのでね、叩けばもう少し埃が出そうとは僕の聡明なトレーナーの弁だが……今一歩、遅かったかな？」

「遅かったかなってね……！　そのふざけた調子でいるのもいい加減に……！！」

「分かっているとも。……さて、こうなると僕らやトレーナー君達だけでコトを追うのは危険だね。少なくとも相手が大きなTV局なのは事実だ」

「どっ、どどど、どうすればぁ〜！！」

「……悲劇は創作物だけにして欲しいものだよ。ならばこういう時に頼れる人を頼ろうじゃないか！」

「「…………？」」

7◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:24:11

「……事情はわかった。その件、俺が確かに預かろう」

「お、オペラオーさん……？　なぜ、用務員さんのところにぃ〜……？」

「……用務員さんの前でこういう事を言うのも申し訳ないけど、それこそ用務員さんにどうこうできる問題じゃないわよ。何を考えてるの？」

「なぁに、このアルマヴィーヴァ伯爵こそが、彼女の悲劇を切り裂いてくれるさ。いや、今この場にいる間はリンドーロの名で呼ぶべきかな？」

「いつも以上に言ってる意味がさっぱりだわ……」

「彼こそ、悲劇を喜劇に変えてくれるデウスエクスマキナだよ。僕らではどうしようもできない事を、大きな力を振るう事で喜劇と終幕に導く、ね」

「……！　オペラオー、お主は……」

「頼むよ、僕の──僕らの、大切な友人なんだ」

「……トップロードさんは、ファンの人に応えたいと言っていたわ。勝てない中でも応援してくれるファンの人に、少しでも報いたいんだと思う……。そんな思いを、踏み躙らせたくはないわ……」

「あ、アヤベさん……」

「オペラオーが貴方の中に何を見たのかは分からない。でも、でもお願い、あの子を……助けてあげて……！」

「あ、あの！　わた、私からも、お願いしますぅ！　トップロードさん、すごく真面目だから……きっと、たくさんたくさん悩んでいて……それで、この取材も受けたんだと思うんです……。だから、だからぁ！」

「相分かった。君達の想い、しかと胸に刻んだ。……居場所はわかるか？」

「ここに来る前に、カレンさんに頼んでSNSを通じてトップロードさんの目撃情報を募ったわ。もう、私達のトレーナーさんが追いかけてる。案内もできる」

「よし、では行こうか。君達の望みは、必ず遂げさせてみせようぞ」

8◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:26:05

「あの、取材前の簡単な打ち合わせって聞いたんですけど、この旅館で……？　なんだか立派な旅館ですね！」

「ええ、ええ、そうですとも。ふふっ、その無垢な顔、男も知らぬのでしょうなぁ……」

「え……？　あの、すみません、周りの方はなんの……？」

「いえねぇ、こちらの方々に少々『良き思い』をしていただくと、こちらの懐が潤いましてねぇ」

「へへっ、今回は相当に上玉だなぁ。高く売れそうだねぇ」

「う、売る！？　一体何を……！？」

「まだ分からないほど初心とは……いやはや色に染めるのが一層楽しみになりますなぁ」

「そんな……取材の話は、嘘だったんですか！？」

「嘘ではありませんよ？　こちらの方々に一時の夢をご提供いただければ、貴女の望むものを融通致しましょう。ただ代金として、貴女もこちらと末永く『ご贔屓』にしていただければ」

9◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:27:19

「いや……嫌ですっ！　こんなの、すぐにでも警察に……！」

「おやおやぁ、困りましたなぁ。どういたしましょう？」

「決まっておるだろう？　皆の衆！　お嬢様の癇癪だ！　抑えるのを手伝ってくれぃ！」

「ッ！？　この人達は……こんなに！？」

「いかにお嬢さんが腕っ節に覚えがありましても、いささか風向きが悪いのでは？　なぁに、傷物にはしたくないので……」

「もっとも、今宵別の傷物にはなって頂きますけどねぇ！　あっはっは！」

(そんな……嫌っ、いやっ……！　オペラオーちゃん、アヤベさん、ドトウちゃん……トレーナーさん……！)

「どぉれ、その艶やかなお身体、拝見すると致しますかねぇ……」

「どこまでも下衆な事よ」

ﾋﾟｼｭﾝｯ！

10◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:31:13

「何者ッ！？」

「なんだ、貴様は……！」

「用務員さんの……新、さん……？」

「その方らの悪辣な所業、余がしかと聞き届けた」

「貴様、不届きな！　何様じゃ！」

「ふっ……余の顔を見忘れたか？」

「貴様の顔だとぉ……？」

ｶｰﾝｯ！

11◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:33:59

「う、上様っ！！？」

「上様じゃっ！」

「「ははぁーっ！」」

「瓦版売りの黒田、女衒の草壁。民の想いに応えんとする少女の清らかな願いを踏み躙り、あろうことか汚らしい策謀を巡らせて陥れようとする。欲に目が眩み少女達の純粋な想いに穢れを塗らんとする所業……断じて見過ごせん。潔くせい！」

「ぐ、ぐぬぬ……えぇい！　ここで終わればただの学問所の務め人よ！　者共、出逢え、出逢ぇぇいぃ！！」

「この不届き者を斬れ！　斬り捨ていっ！」

「他者を想う輝かしい心、貴様らになど理解できぬと知れ」

【作業用BGM】◎良音質◎　暴れん坊将軍　殺陣のテーマ

12二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 03:34:51

このレスは削除されています

13◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:37:42

「うおぉぉ！！」

「！」

「ぎゃああ！」

「はあぁぁ！」

「！」

「ぐあぁっ！？」

「てえぇい！」

「やああっ！」

「ッ！！」

「うわあぁぁ……」

「ぬおぉぉぉ……」

「黒田、草壁。神妙にいたせ」

「ぐっ、ぐぐ……このおぉ！」

「……成敗！」

「はっ！」

「トルエノ・デストローダ！」

「ぐっ！　ぎゃあぁ！！」

「うぐっ！　ううぅぅ……」

14◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:39:17

【作業用BGM】暴れん坊将軍　締めのBGM

「よよよ、良かったですぅぅぅ！！　トップロードさんんんん……！！」

「ごめんね、ドトウちゃん……オペラオーちゃんに、アヤベさん、それにトレーナーさん方まで……何より、上様のお手を煩わせてしまって……」

「まさか用務員さんが上様だったなんてね……」

「ごごご、ごめんなさいごめんなさいっ！　上様にもいつも私のドジで迷惑ばかりかけてごめんなさいぃぃぃ！！」

「ははは、よい。学童のささいな戯れ、これでも楽しく思っているのだ。これからも、元気に励んでくれれば良い」

「は、はいぃぃ！」

「……そういえばオペラオー、貴女、上様のこと知っていたの？」

「いや？　ただ、君は只者ではないとだけね」

15◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:40:28

「ちょっと……！　上様に向かってまでその口の利き方は……！」

「かもしれないね。だけど、ロジーナに会うにはリンドーロの名でいなければならない。身分を隠して、ね。ならば僕らは上様ではなく、徳田新之助と呼ぶべきなのさ！」

「オペラオーの言う通り。俺はここではただの徳田新之助で通してくれると助かる、身分も誰にも語らずに、これまで通りで構わない。……しかしオペラオー、お主は底が知れぬな。ともすれば……将軍の器やも知れんな」

「嫌です。例え上様が認めても、それだけは」

「はーっはっはっ！　辛辣！！」

「さて、トップロード。此度の件は全て片がついた。これからは安心して学舎での日々に励むといい」

「そうね。貴女のトレーナーさんも日を早めて今日戻ってくるのでしょう？　一安心ね」

「……本当に、情けないです」

「？　トップロードさん？」

「皆さんだけじゃなく、私のトレーナーさんのお仕事の邪魔にまでなってしまって……ファンのみんなに応えたいと思ったのに、身近な人に迷惑をかけて……私、私本当に……！！」

16◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:42:08

「と、トップロードさぁん、な、泣かないでください……」

「ドト、ウちゃん……」

「私も、いっぱいいっぱい迷惑かけちゃいます。そのたんびに、なんでこんなにダメダメなんだろうって、思うんです。でも……でも、それでも前を向いていけば、ほんのちょっとずつでもきっと進んでいけるって、オペラオーさんをみて、トレーナーさんと一緒にいっぱい練習して、思えるようになったんです。トップロードさんは、誰よりも諦めずに走ってるじゃないですか、だから……。はわわ、生意気な事言ってすみませぇん！！」

「ドトウの言う通りさ！　今日の悲劇は喜劇で終幕だ！　囚われの姫が笑顔で終わらなければ、ハッピーエンドではないよ？」

「癪だけど、今回はオペラオーに賛成よ。私達は迷惑だなんて思ってない。それに貴方のトレーナーさんならこう言うんじゃないかしら。『トップロードが無事なら良い』って」

「そんな……でも……」

17◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:43:00

「トップロードォ！！！」

「ッ！？　と、トレーナーさんっ！？」

「トップロード……トップロード！」

「あの、すみません、私迷惑かけちゃって、トレーナーさんの仕事にま、で……？」

「おやこれは」

「おお、何と豪胆」

「はわわ」

「……トレーナーってみんなこうなの？」

「あ、あのトレーナーさん！？　急に抱きついてどうしたんですか！？　私あの、すごく、すごい恥ずかしい……」

「君が無事ならなんでも良い！　良かったぁ……ごめんな、君が大変な時に側にいれなくて……」

「へあっ、いや、あの、もう、大丈夫、ですからぁ……」

──可憐に頬を染める少女。笑い合う友。お互いにお互いを想い続ける心は何にも替え難く美しいと一人思ふ吉宗であった。──

18◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:44:37

以上となります。

19二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 03:44:53

これは素晴らしいおはよう時代劇
やっぱり上様の安心感よ

20二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 03:45:41

いつもの人じゃないのか

>>23

21二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 03:49:24

そんな･･･キタちゃんとダイヤちゃんが出てこないから、上様じゃないと思ったのに…

22二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 03:50:26

本家上様もその内新春スペシャルやってくれるんだろうと信じてる

23◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:57:12

>>20

はい、トリップの通り実はいつもの人ではないです

上様の名を騙る不届き者というわけですね

先日あにまんで用務員シリーズに立ち会ってしまいまして、最終的に下記スレを見つけました

オススメのSSの書き方を解説するで！｜あにまん掲示板このスレは「とりあえずウマ娘のSS書いてみたいけど書き方わからん…」やったり「SSを書きたいがネタが…」みたいな人らに向ける「めっちゃ書きやすいフォーマットのSS」の解説や！先に謝っとくけど、正統派の…bbs.animanch.com

いわゆる用務員シリーズの書き方講座ですね

これを見て「私にも上様、始められるかも！」と思い立って書いてみました。

かくいう私も元のスレ主様同様(証明しようがないですが)暴れん坊将軍を見たことはないので色々不安だったのですがお楽しみいただけたのであれば幸いです

キタサトを出さなかったのは不意を突きたくて…

1番苦労したのは上様よりもオペラオーの口調ですね

99世代推しなのでこの世代で書いたのですが、オペラオーエミュ難しすぎです。もうちょっと勉強します

あとこれを機に暴れん坊将軍も見てみようと思います

24◆l6F2wRYWxcBz23/01/04(水) 03:58:38

というわけで皆さんも上様、やってみよう！

25二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 04:07:38

上様の名を騙る不届者自称で芝

俺も当時あの人の書き方講座スレ読んだけど、確かにフォーマットとしちゃあ書きやすいんだろうけど

そもそもあの人自身のエミュ精度が上様に限らずバカ高いから成り立ってんだよなぁ…ってなった記憶。

ルパンクロスのこれとか未だに時々読み返すけど空気感とか解像度が化け物だと思う。

【長編SS】警戒！トレセン学園に予告状が届けられた！｜あにまん掲示板※今作はウマ娘と某怪盗アニメのクロス作品となります。※総文字数約27000文字近いクソ長大長編になってしまいました…※ストーリーの展開上、史実と照らし合わせると時系列が数百年単位でズレているガバ設定や…bbs.animanch.com

>>28

26二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 09:48:29

久々の上様スレだと思ったらまさかの別人だった
こうして暴れん坊ウマ娘は増えていくんだな…

>>27

27二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 09:58:49

>>26

本家の人も年末に復活してテイオー編書いてたよ

【SS】あはは…ごめんねトレーナー、ごめんねカイチョー。｜あにまん掲示板※曇らせ描写や重い展開が含まれますのでご注意ください。(最後はしっかりハッピーエンドです)アニメ版とアプリ版をごちゃ混ぜにして時空が歪んでおりますがエミュ不足や解釈違い等ございましたらご容赦ください……bbs.animanch.com