ワイ初心者字書き、ウマ娘SSで挫折

  • 1二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:06:51

    ワイ「ウマ娘のSSを書きたいな……書くか……」
      「三分の一ぐらい書けたぞ……」
      「………………そもそもこれウマ娘か……?」←今ここ

    辛い

  • 2二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:09:00

    日刊エアグルーヴとかあれ本当にエアグルーヴか?
    気にすんなウケれば勝ちだ

  • 3二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:10:55

    お前がウマ娘のSSだと思ったなら9割はウマ娘だ

  • 4二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:16:22
  • 5二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:29:01

    そのできてる序盤のキリのいい所だけでいいから貼ってみない?アドバイスとかもらえるかもしれないよ?

  • 6二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:36:17

    >>5

    わかりました、ちょっとコピペ用に文面調整してきます


    先に注意書き


    ※オリウマ、オリトレ、人物の死亡描写などの地雷要素を含みます

    ※シナリオに合わせるための多少の脚色を含みます

    ※少なくともアニメ・アプリプリティーダービーとはパラレル設定です


    ウマ娘サンデーサイレンスが見たい|あにまん掲示板見たすぎて描いたここはクッション2レス目から貼るbbs.animanch.com

    ↑こちらのスレッド超リスペクトです

  • 7サイレントプレイヤー21/11/06(土) 18:38:44

    〜 three years ago 〜

    ぐらぐらと痛む頭を押さえながら、明るい方を目指して進む。酸素が欲しくて開けた口に、むせかえるような血の匂いが充満した。
    「……なにが……?」
    思考が定まらない。何が起こった?叫び声。体を衝く衝撃。ガラスが砕ける音。どうして?
    確か、バスの運転手が急にうめき声を上げて、それから。わからない。窓の外に投げ出されたらしい。あつい。ここからはなれなくちゃ。あの子を見つけて。
    覚束ない足を必死に動かして、燃え上がるバスに歩み寄った。座っていたのは後ろの席。そこにきっとあの子はいる。
    ようやくたどり着いたそこに、見慣れた白を見つけた。とびきりの美人である彼女がとりわけ自慢にしていた、長く力強い脚。
    それが。ぐちゃぐちゃに。まがって。

    やめろ。

    『ねえサニー。あたしね、アメリカ一のウマ娘になるのが夢なんだ』

    見るな。

    『………そっか。じゃ、私はトレーナーでも目指すかな』

    「……いや、いやだ………!だれか……たすけて……!」
    誰かが叫んでいる。とても耳障りな声だ。うるさい。やめてくれ。
    「………神様……!」
    ……その叫び声が自分の口から出ているものだと気づくまでに、そう時間はかからなかった。

  • 8サイレントプレイヤー21/11/06(土) 18:39:30

    〜 present 〜

    「まぁーた呑んでたのかい、トレーナーさん?」
    揶揄うような口調の声に顔をあげると、横に座っていたのは顔馴染みのトレーナー仲間だった。とはいえ、俺のような落ちこぼれて地方に左遷状態の男と末席とはいえ全米最大のトレセンの本部で活躍するコイツでは立場に天と地ほどの差があるのだが。
    「……酒はずいぶん昔にやめたっつったろ。単なる寝不足だよ。」
    「ああ……もしかして今日のレースの出走者のデータでも洗ってた?お前、昔からそういう所だけは妙に生真面目だからなぁ」
    「こっちは長期的にプロデュースする事をスカウトに来てるんだ。一見でわかる見目や走り以外のデータも総合的に見て判断するのは当たり前だろう」と、俺は肩をすくめる同僚に溜息をつく。「お前さんこそ、わざわざアマチュアウマ娘の合同模擬レースに来てるんだから、目的は青田買いだろう?お目当ての子なんかも決めてこなかったのか?」
    今目の前で準備が進んでいるレースは、この近辺では最大の合同模擬レース。模擬とはいっても本物の競技場を借り切って行う本格的なもので、設備の整った東部トレセンからもスカウトマンが視察に来る事で有名である。この広大なアメリカ大陸で未だ日の目を見る機会を得ずにいる西海岸のウマ娘たちにとっては大出世を狙う数少ない機会だ。
    「いやぁ。僕は上から見にいくように言われただけだしなぁ。とりあえず今日の走りを見てみてからかな?西部のレベルも測れそうだし」
    お気楽な顔でコーラを啜る(いちおう)後輩に、手元にあったウマ娘のデータを手渡す。
    「まぁ読んどけって。あの子たちにとっちゃ運命の日になるかもしれないんだぞ?お前もちょっとは頭に入れとけ」
    ぐいと押し付けるように渡すと、後輩も渋々といった様子でデータをめくり出す。
    「相変わらずきっちりしてるなぁ。……や、でもデータがない子がいる。集められなかったとか?この……」
    「サンデーサイレンス」言葉を遮るようにして、その名前を口にする。「だろ?」

  • 9サイレントプレイヤー21/11/06(土) 18:40:11

    サンデーサイレンス。出走登録にポツンといる、謎に包まれたウマ娘。自慢というわけではないが、俺はこの辺りではそれなりに顔がきく。デビューをしていないウマ娘でも、大概はすでにそういった娘のプロデュースを生業とするチームトレーナーの下などについてトレーニングを重ねているのが定石だ。しかし、ここらのトレーナーが揃いも揃って「心当たりがない」と首を傾げるということは、このウマ娘がトレーナーを持たず出走しているウマ娘であることを意味していた。
    今日のレースは名目上模擬レース。書類さえ期日までに提出できれば、トレーナーや専門チームを持たなくても出走は可能である。ではなぜそれが主流ではないのかといえば、ひとえにウマ娘という存在のトレーニングの大変さに尽きると俺は思う。
    人とウマソウルの絆が力を生むという信仰もあるが、もっと現実的な話。どんな天才であっても、適切なトレーニング無しに全力を発揮することは不可能だ。十代のまだ幼い娘たちに、一流のアスリートとトレーナーを両立し自己管理を徹底せよなどというのは酷な話だろう。走る天才、「ウマ娘」としてのノウハウは仕方がない。教えるもの、「トレーナー」の役割ぐらいは背負ってやらなければ重荷がすぎるというものだ。
    だからこそ、彼女には注意を引かれた。
    不世出の天才か、あるいは自信に満ちた身の程知らずか。いずれにせよ、こんな大レースにいきなり出走しようという勝負度胸のあるウマ娘は一目見ておく価値がある。

  • 10サイレントプレイヤー21/11/06(土) 18:40:27

    そうこう駄弁っているうちに、ウマ娘たちが続々とゲートに入り始める。気になっていたそのウマ娘の名が読み上げられるのを聞いて顔を向けると、そこには「黒があった」。
    腰まで乱雑に伸ばされた濡羽色の髪。露出なく真っ黒に固められた衣装。奇妙に曲線を描く脚。それだけでも十分に目立つ……いや、悪目立ちしていると言ってもよかったが、ことさら異様なのは彼女が纏っている雰囲気だ。
    「あちゃー。あの娘ダメだね」後輩がため息をついてファイルを置いた。「体格はまだいいとして、脚の作りが良くない。あれじゃ早くは走れないでしょ。記念出場か何かかな?かわいそうに」
    後輩の言っていることは間違いではない。彼女の華奢な体は、荒々しさと力強さを売りとするアメリカの競バの主流とは全く逆を行くもの。レースによっては平均身長が180を越すとも言われる大柄で筋肉質な娘たちがしのぎを削る環境に立つには、彼女の体はあまりにも細く、頼りなく見えた。
    だが、しかし。
    「………いや」
    勝負に向ける気迫。まるで「走らなきゃ死ぬ」とでも言いたげな、辺りを呑み込む闇のようなオーラ。その一点において、彼女はこの場にいる誰をも凌駕していた。
    「あのウマ娘は…………走るぞ」

  • 11サイレントプレイヤー21/11/06(土) 18:41:11

    * * *

    「……ま、まぁ、座ってくれ。ここらじゃ一番美味い飯を出す店なんだけどな……やっぱり若い娘にはちょっと嫌だったか?」
    レース終了後、行きつけの酒場に入った俺は過去最高レベルでそわそわしていた。理由はもちろん、いつもはいない同行者である。
    「……別に?」少女─サンデーサイレンスが、顰めっ面を崩さずため息をついた。「こういう所なら小さい頃からよく連れてこられたしな。とりあえずテメーが座れや。注文できないだろうが」
    席に座り、とりあえずここで一番腹に溜まるメニューであるホットブラウンをオーダーする。地元を離れている今となっては、懐かしい故郷の味だ。対面に座る少女にメニューを差し出せば、「同じのでいい」と返された。

    「……で?何の用だよオッサン。レースに負けたカワイソウな娘にシンパシーでも沸いたのか?落ちこぼれ同士の傷の舐め合いだったら御免被りたいがな」
    熱々のチーズの乗ったパンをひょいひょいとつまみながら、少女がこちらを品定めするように睨め付ける。
    負けた。そうである。俺が見ていたレースで、目の前に座っているサンデーサイレンスは惜しくも二位に敗れた。一緒に見ていた後輩はそちらの方に向かったので、フリーになった俺はこうして彼女の方に声をかけに行ったわけである。
    「いや、それは違う」俺は、あえて力強く否定した。「俺は、君をスカウトにしにきたんだ」
    初めて見た時から常に気鬱げに顰められていた顔が、驚きのそれに変わった。その隙に滑り込むかのように言葉を続ける。
    「確かに、今日のレースで君は一位ではなかった。だが、俺は君の資質は一番であったと思っている」
    「資質……資質、ねぇ」
    「今回一位を取ったあの娘は、確かに強力だ。だが、言っちゃ悪いが、俺はあの娘の資質自体は並だと思ってる。あそこまで強く育つことができたのは、彼女が幼少期から専門のトレーナーについて練習してきた積み重ねが大きいだろう。対して、お前。一から十まで我流だな?」
    半ば確信を持った問いかけに、少女は「へぇ」と口元を歪ませた。
    「やっぱプロならわかるもんなのか」
    「走らせるのがトレーナーの仕事であるなら、走らせすぎないのもトレーナーの仕事だ。君は多分そのバランスがずれていた。昼間のレース、コンディションが良くなかったな」
    「………ふーん」

  • 12サイレントプレイヤー21/11/06(土) 18:41:30

    図星だったのか、あるいは話をあまり聞いていないのか。少女は静かに料理を口に運ぶ。
    「君の事情はよく知らないし、もしかしたら他にアテがあるのかもしれない。その上、俺は見ての通り資格を持ってはいるが鳴かず飛ばずの落ちこぼれトレーナーだ。……それでも、勝てるウマ娘が勝てないのをただ見ているのは我慢ならない。だから、もし君にその気があるのであれば俺を専属のトレーナーとして欲しい」
    一口、二口。料理が淡々と消えていく。丸っと食べ切ったあたりで、少女が大きく息をついてこちらに向き直った。

    「飯の礼として教えてやるよ。まず、今までに俺をスカウトしにきたのはお前一人だ。……自分でもあちこち当たってはみたんだがな、どこのトレーナーからも門前払いだ。見るからに勝てない不良債券を抱えるのはごめんだ、って目が言ってたぜ。そんで流れに流れてこんな西の田舎まで出てきたってわけだ」
    「………まぁ、確かに、一見しただけじゃそう見えるかもな」
    「だわな。ここで『そんなことないよ!』なんてほざいてたら張り倒してた所だ」
    まだ足りなかったのかこちらに手を伸ばしてきた彼女に、まだ数切れ残っていた自分の皿を差し出してやる。
    「次に、さっきのぶんの答え。今言った通り、俺に他のトレーナーのアテなんか無いし、俺には果たしたい目標がある。提案を受けてやるよ、トレーナー」
    太々しい表情で椅子にふんぞり返ったウマ娘が、「サイダーおかわり」と声を上げる。
    こうして、俺たちのアメリカンドリームは場末の小さな酒場から始まったのだった。

  • 13サイレントプレイヤー21/11/06(土) 18:43:06

    キリのいいところまでだとこんぐらいですかね

  • 14二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:45:31

    ウマ娘SS
    ×ウマ娘ショートストーリー
    ○ウマ娘サンデーサイレンス
    かぁー……

  • 15二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:54:00

    一旦乙 続き待ってるぜ!

  • 16二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 18:57:42

    どちらかというとシングレ路線なのかな?俺はいいと思う

  • 17二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:24:22

    え、いいじゃないか
    もっと読ませておくれよ

  • 18二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:26:14

    逆に考えるんだ
    公式でウマ娘になってないからやりたい放題出来ると考えるんだ

  • 19二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 21:43:16

    このレベルのものをここまで出しといてこの先はありませんなんてのは残酷過ぎるな
    必ず完成させてくれ
    頼む

  • 20二次元好きの匿名さん21/11/06(土) 22:24:01

    おいおい…なんだこの文章は?こんなレベルのモンで一丁前に悩むだの辛いだのと鳴いてやがったのか?まったくサイコーに笑えるな。
    ブロンド女よりも救えねぇお前に足りないものを教えてやるよ。



    いいかよく聞け馬鹿野郎。お前に足りないのは自信と、ほんの少しの思い切りだけだ。
    何が言いたいかわかるかこのフxxキンジャパニーズ・ローラ・ヒレンブランド、つまりさっさとこのクソ面白い物語の続きを最後まで書き上げやがれってことだ

  • 21二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 06:03:48

    続きが読みたいよ😭

  • 22サイレントプレイヤー21/11/07(日) 10:53:51

    少し続きを書いてキリのいいところまで行ったので載せます

  • 23サイレントプレイヤー21/11/07(日) 10:54:28

    サンデーサイレンスは、思っていた以上のウマ娘かもしれない。そう思い始めたのは、彼女がサンタアニタの競バ場でゴール板を超えた時だっただろうか。
    いくつかのレースと調整を挟みつつトレーニングを重ね、彼女は重賞レースにも出られる実力者として知る人ぞ知る存在になりつつある。今回のレースも同じサンタアニタで行われる予定のダービーに備えての慣らしを兼ねていたが、彼女はその華奢な体に見合わぬ奮闘で見事一位を勝ち取って見せた。

    俺が彼女のトレーナーになると周りに話した時、彼らは一様に「見込みがないだろう」「あんなに気性が荒くちゃトレーニングにも一苦労じゃないか?」と笑い飛ばしたものである。が、結果はこれだ。
    今までまともにトレーニングをした経験のない少女にいきなりプロレベルのそれを課して大丈夫なのかという不安は多少あったが、彼女はその気性からは考えられないぐらい真面目に、全てのタスクをこなしてみせた。無論納得のいかないものであれば抗議の声は上げるのだが、そこはまぁ俺も完璧なトレーナーには何歩も足りないということである。
    なぜそこまで頑張れるのだろうかと、ふと尋ねてみたこともある。彼女は、視線を上げないままに「……真面目にやらないと、三冠に間に合わないからな」と返した。
    クラシック三冠。チャーチルダウンズのケンタッキーダービー、ピムリコのプリーネクスステークス、ベルモントパークのベルモントステークスの三レースを制したものに与えられる称号である。俺の青春時代には、今や伝説のウマ娘の一人であるセクレタリアトが三冠制覇で世を騒がせていたことはいまだにありありと思い出せる。
    ある程度間隔に開きのあるイギリスのそれと違って、アメリカの三冠路線はあちこちを移動しながら二ヶ月の激戦を潜り抜けなければいけない。いくら仕上がってきたとはいえ未だ体格面で周囲に劣る彼女に無理をさせては、今後の競技生活に関わるかもしれない。
    一人のファンとしては彼女の夢を応援したい所だが、トレーナーとしては無理の兆候が見えるようなら恨まれてでも止めるつもりでいる。
    その止めるか否かを決めるための試金石が、ちょうど明日行われるサンタアニタダービーだ。

  • 24サイレントプレイヤー21/11/07(日) 10:55:53

    現在俺たちが拠点としているカリフォルニア州周辺で、ケンタッキーダービー出走へのプレップとして使える唯一のG1。ここで結果が出せるようなら、俺は彼女が三冠路線を挑むにあたって不安のないウマ娘であると認め以後全力で支援に集中すると約束している。
    夕飯の皿を渡しつつ「明日のダービー、コンディションは大丈夫そうか?」と尋ねると、「あ?見ればわかんだろ」とだけ返ってくる。どうやら絶好調のようだ。
    さて、なぜ俺が彼女といつものことのように夕食を摂っているのかといえば、それは後見人である親戚の家で彼女があまり良い扱いを受けていないことに起因する。何やら複雑な家庭事情により父親の顔は見たこともないらしい彼女は、生みの母のみならず親戚全体からもあまりよく思われていないらしい。その栄養状態は、競技ウマ娘どころか一般社会に暮らす年頃の少女のそれとして見てもあまりよろしくないものだった。
    そんな理由で、彼女に対するトレーニングは半ば住み込みのような状態で行われている。空いた時間にはあまりやる機会のなかったらしい勉強も多少教えているが、一番大変なのは手料理を覚えなければいけないことだった。
    東部の大きなトレセン──俺にとっては古巣でもあるあそこであればその辺りも寮で専門の栄養士がきっちり管理してくれるものなのだが、この辺りにはそういう整った設備はありはしない。行きつけのパブのメニューだけでは栄養バランスが整わないし、仕方なく十年以上ぶりに原料のままの食べ物に触れた。
    最初の方は焦げたり生焼けの品を横からげらげらと笑われたものだったが、最近ではそれなりに整ったものが作れるようになってきている。今日作った豆と豚肉のスープも、我ながら渾身の出来だと思う。
    「おいトレーナー、そっちの肉もよこせ」
    「へいへい」
    チキンを皿に移してやると、目の前の少女はそのまま野獣のように食らいつく。丸齧りは良くないと何度も言っているのだが、数ヶ月経ってもようやく人前では控えることを覚えてくれた程度。プライベートでは依然この状態だ。

  • 25サイレントプレイヤー21/11/07(日) 10:56:16

    「……先にも言った通り、俺がトレーナーとして君の三冠路線を応援できるかどうかは明日のレースでの具合にかかっている……もし三冠路線に行けなかったとしても、それはウマ娘としての競技生活が終わるってわけじゃないんだ。気負いすぎないようにな」
    「わーってるっての」
    いつも通りに粗雑な態度でひらひらと手を振る彼女だったが、その指は少しだけ震えていた。

    * * *

    「さあさあ始まりましたサンタアニタダービー!各バ一斉にスタートして、全バ早めの展開か!」
    実況席から高らかに声が上がり、わあっという歓声がそれを追いかける。軽やかにかけていく先団に目を凝らすと、先頭の娘の少し後ろにつけている彼女の姿が見えた。
    サンデーサイレンスというウマ娘の得手はなんといってもコーナーでのコース取りだ。無論トレーニングの成果によりまともにぶつかりあっても耐えられる程度の体力は手に入れているが、それでもその手の技を伸ばした方が勝てる公算は高い。
    カーブの段階でできるだけ加速を稼ぎ、最後の直線までにちぎる体制を作る。これが俺たちの導き出した作戦だった。
    残り600メートル時点に突入したあたりで、サンデーサイレンスが一気に加速を強める。勢いを失い始めていた先頭の娘を抜き去り、なお勢いをぐんぐん伸ばしていく。トレーニング中に矯正しきれなかったヨレ癖が見事に出てしまっているが、それでもなお埋まらないほどの差が広がった。
    「……勝ったな」
    と、思わず口に出る。そして、その言葉は直後に現実となった。
    「サンデーサイレンス!一着はサンデーサイレンス!ぶっちぎり……11馬身差で勝利です!」
    興奮しきった実況席の声をBGMに、ゲートを超えた彼女がこちらに視線を寄越す。
    十分か?
    ああ、それ以上だ。
    俺は手元の予定帳の「予備案」という文字に勢いよく二重線をつけた。

    * * *

  • 26サイレントプレイヤー21/11/07(日) 10:56:33

    「祝勝会だからな。好きなように頼んでいいぞ」
    「言われなくても、俺が遠慮したことなんざねーだろ」
    サンタアニタダービー終了の翌晩。すっかり馴染みの場所となってしまったパブで、俺たちはいつも通りに重い思いのメニューを頼む。
    ある程度手料理の腕前は上がったとはいえ、やはりプロのそれには到底叶わない。サクサクに揚げられたフライを齧りながら、つくづくそう思った。
    お互い食事中のお喋りを嗜むような性格でもないため無言で食べ進めていると、珍しくサンデーサイレンスの方から声をかけられた。
    「……で?さっきから何を考えてりゃそんな辛気臭い顔になるんだ?」
    「うん……いや、なんだ。折角のレコードに迫る勝利だったってのに、いまだに注目度はそこそこレベルだってのがなんだかな」
    「へぇ。ま、注目されないんなら警戒も薄いってことで好都合だろ」
    いや、だがしかし、俺の懸念は彼女が注目されていないことよりも、彼女より注目されているものの方にあるのだ。
    俺は少し前から情報自体は仕入れていたが、彼女が勝負するかもわからない状態で教えるのはメンタルに対する圧迫以外の効果を生まないと思ったためあえて教えてこなかった。ニュースを熱心にチェックしない彼女のことだ。おそらくまだ知らないだろう。伝えるなら、今だ。
    「それなんだが……クラシック三冠、思ったより苦戦することになるかもしれないぞ」
    ちょうど東部から届いたばかりの新聞をテーブルの上に放り投げる。一面を飾っていたのは、一人のウマ娘だった。
    「圧倒的な実力」「セクレタリアトの再来」「今年の三冠最有力候補か」──輝かしい言葉が飾り立てるのは、写真のセンターで眩しい笑顔を見せる体格の良いウマ娘。

    「イージーゴア。このウマ娘が君のライバルだ」

  • 27サイレントプレイヤー21/11/07(日) 10:59:34

    多分次あたりから激闘!クラシック三冠編に入れるんですよね

  • 28二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 11:03:03

    続き待ってた!いいじゃないかいいじゃないか
    このまま完走しちまえよ!

  • 29二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 12:21:20

    おいおい続きがきてると思ったら一瞬で終わっちまったじゃねえか…お楽しみはこれからだってのによぉ
    チェリーボーイの初体験でももう少し長くもつだろうぜ

    仕方ねえから待っておいてやるが、あんまり焦らすんじゃねえぞ?
    俺はどうにもせっかちでね、好物は真っ先に食いたいタイプなんだ

  • 30二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 12:24:11

    (孫とひ孫が快挙達成したメモリアルデーだし、今日はSS投下にはうってつけですね…)

  • 31二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 12:25:33

    いや、こりゃー見事なワザマエだ…しかしこのぶっきらぼうなサンデーサイレンスが例のキャラソン作られた日にはどんなリアクションすることやらw

  • 32二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:17:33

    続き期待して一応保守しとこ

  • 33二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:18:17

    神?

  • 34二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 06:51:25

    保守

  • 35二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 07:03:19

    いいじゃねぇか!俺も保守しますぜ!

  • 36121/11/08(月) 14:06:29

    うわはー保守とかもらったの初めてなんだわ!
    明日ぐらいにはもう少し書き進めて投げられると思んます

  • 37二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 18:57:05

    LINE風とかに逃げないから偉いと思う
    がんばれ!

  • 38二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 19:21:38

    やったぜ!続き来てた!

  • 39121/11/08(月) 19:55:23

    >>37

    書いたことはないからよく知らないんですけど、LINE風とかちゃんねるって地の文ポエムとか情景描写に逃げられないから逆に難しくないです……?

  • 40二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 19:57:47

    LINE風って要は台本形式ってことかな?逃げというのが適当かわからないけど、どちらもそれなりの苦労はあると思うよー

  • 41二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 00:48:45

    待機シャトル

  • 42二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 08:33:24

    保守

  • 43二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 08:45:36

    SSって地の文ポエムキツくて書いてても読んでても恥ずかしくなるんだよなぁ
    2chの新ジャンルスレくらいの温度が好きだけど間違いなく人を選ぶし

  • 44二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 16:02:28

    BOSCH

  • 45二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 16:06:27

    面白い

  • 46二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 19:21:37

    このアメリカンな感じたまんねぇな

  • 47121/11/10(水) 01:13:30

    体調崩して寝て起きたらこの時間になってたので投下は明晩にします……
    すみません……

  • 48二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 01:20:27

    ウマ娘かって?ハーメルンでは馬からやってるのもあるさ!だから気にしなくてもいいのさ!!

    スッゲェおもしろくて困る…強いて言うなら…言ってしまうがもうちょい行間が欲しいです。
    体調不良に気をつけておやすみ!

  • 49二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 02:02:46
  • 50二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 12:22:42

    保守
    お大事にね

  • 51121/11/10(水) 22:13:20

    急に用事を押し付けられて夜中までに帰れるか分からないのでとりあえずざっくり把握のために使った超重要キャラちゃんの落書き置いておきます

  • 52二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 09:57:16

    保守

  • 53二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 20:29:32

    >>51

    かわいい

  • 54二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 21:13:29

    忙しいなら無理せずぼちぼちでいいからな
    義務じゃないんだしこっちは待てる

  • 55121/11/12(金) 08:20:42

    すみません今立て込んでてss保存してある端末に触れないです
    次からはクラウドにします

  • 56二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 08:22:42

    >>55

    まってる!!!

  • 57二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 19:13:20

    保守

  • 58二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 00:15:19

    保守

オススメ

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