- 1スレ主23/01/14(土) 17:54:47
- 2スレ主23/01/14(土) 18:01:32
前スレのURL間違えた
🎲ここだけデデデに|あにまん掲示板1.親2.兄弟3.姉妹4.子どもがいるdice1d4=@2 (2)@ワンピの某スレに触発された🎲と安価で進行しますbbs.animanch.com前回までのあらすじ:
せっかくのお正月だと、弟であるドドドを、ポップスターに呼び出したデデデ。
しかしドドドは、兄からのプレッシャーに耐えられず、パーティの最中に席を立ってしまう。
自分は兄に勝てないのだと、付き添いで来てくれたクレイシアに吐露するドドド。
しかしその様子が突如一変。「デデデ」を倒すべく走り出す。
そこを止めに現れたのは、元々ドドドとの手合わせの機会をうかがっていたメタナイトだった。
かくしてデデデ城の塔、その屋根の上で、戦いが始まった。
- 3二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 18:44:47
スレ立て乙
- 4二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 19:24:42
うぽつ
- 5二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 20:22:49
ほしゅ
- 6二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 20:39:43
保守
- 7二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 20:40:03
楽しみだな
- 8二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 20:40:30
ドドド
- 9二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 20:50:17
来い!
- 10二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 20:50:38
解放!!
- 11スレ主23/01/14(土) 21:35:51
ぎゃりりり、と、まるでチェーンソー同士が噛み合うが如き鉄製の悲鳴が轟いた。
メタナイトのギャラクシアとドドドの大剣が、火花を散らしながら鍔迫り合いをしているのだ。
両者一歩も引かず、共に瓦を踏みしめ、相手より一歩前へ、更に一歩前へと出ようとする。
「――っ」「――っく!」
先に下がったのはドドドの方だった。弾かれて大きく大剣ごと体が後ろに反る。
これが死合ならば、開いた腹部に、返す刀を喉元に滑らせてしまえば、終わる話だ。
だが、それは出来ない。相手はデデデ大王の弟であり、しかも様子がおかしいのだ。
ならば気絶させて縛って連れていくしかない。
そう一拍の呼吸で考えたメタナイトは、くるりと手首を返し、柄頭を相手に向けた。
あとはこれを、顎なり鳩尾なりに叩き込むだけだ。
そして、その試みは>>12
- 12二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 21:43:35
柄頭を掴まれる
- 13スレ主23/01/14(土) 21:57:37
そして、その試みは失敗に終わった。
「な――」
いつのまにか大剣から片手を解放したドドドが、ギャラクシアの柄頭を掴んでいたのだ。
そしてその手が、今、メタナイトの手を支点に、ギャラクシアを回転させようとしている。
(――まずい!)
このままでは刃がそのままぐるりとメタナイトの体を切り裂いてしまう。
メタナイトはもう片手をギャラクシアに添え、なんとかしようとした。
先に言ってしまえば、それはメタナイトの杞憂であった。 - 14スレ主23/01/14(土) 22:01:45
ギャラクシアの制御を戻す前に、手元にがつんと鈍い衝撃が走る。
刃はメタナイトが思っていた方向、すなわち上方向ではなく、下方向、すなわち屋根の方へと向けられた。
瓦と瓦の隙間に、ギャラクシアの枝分かれした刃が、がっちり食い込んでしまう。
(そうか、奴は……!)
メタナイトが歯噛みした時にはもう遅かった。
ドドドはもう己の大剣を手に、メタナイトなど目にも留めず、走り去っていくところだった。
メタナイトは、ドドドを殺せない。そしてドドドは、メタナイトの命に興味がない。
今の奴にとって一番大事なのは、自分の兄を倒しに行く事だけなのだ。
だからメタナイトも、ほんの一瞬足止め出来ればそれでよかった。それだけの話だった。
「……くそっ!」
周りの瓦を犠牲にギャラクシアを引っこ抜いた時には、ドドドの姿は、もう影も形もなかった。 - 15スレ主23/01/14(土) 22:05:32
- 16二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 22:32:02
封印に巻き込まれてしまったが忘れ去られたカービィは
- 17二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 22:32:22
カワサキ
- 18スレ主23/01/14(土) 22:42:50
一方そのころ。
「おせちおいしいなあ」
もぐもぐさくさくぱりぱりもちもち。
カービィは、デデデ城の食糧庫にいた。
おせちを食べにきたのはいいが、おかわりは一体どこにあるのだとウロウロしているうちに、大量のおせちが収められているところを見つけて飛び込んだのだ。
飛び込んだ瞬間、入れ替わりに鍵をかけられてしまい、中に封印される形になってしまったのだが。
もっとも、そんなことで泣き出すようなカービィではない。
せっかくだからと、食糧庫に収まっていたおせちをおかわりにと食べていた。 - 19スレ主23/01/14(土) 22:59:38
そうして重箱を数箱カラにしたところで、カービィはピンクの体をぐーんとおもちみたいに伸ばした。
ぶっちゃけカービィにとっては、こんなカギ、というか扉などどうということはない。
デデデ城はぶっ壊すものだし。
しかし同時に、ある程度食べておなかが落ち着いたから、このままお昼寝でもしたい気分なのもあった。
うっすらと暗く、騒がしくない程度の物音がするここは、気持ちが落ち着く。
このまま寝てしまおうか、それともどうしようか――
そう悩んでカービィは、>>20
- 20二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 23:13:18
遠い遠い星に寝に行くがその星を助けてまでする合計6ヶ月
- 21二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 23:13:53
すごく寝る
- 22二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 05:08:34
こりゃカービィ抜きで解決する話かな?(遠い目
- 23スレ主23/01/15(日) 08:46:16
「えーんえーん」
「どうしたの?」
「わるいひとがいじめるの。たすけてカービィ」
「わかった」
「わはははおれさまはわるいひとだー」
「えーい」
「ぐわー」
「ありがとうカービィ。おれいにおいしいごはんをたくさんあげるわ。ずっとここにいてね」
「わーい」
「えへへ……おいしいごはん……むにゃむにゃ……ぐぅ」
悩むうちにカービィは、重箱をベッド代わりに、すやすや眠り始めてしまった。
あげくめちゃくちゃ都合のいい夢まで見て、そこでもごちそうにありついている。
あまりによく眠っているものだから、屋根の上で決闘が行われていることなど、まったく気付くこともなかった。
「……どうしたのかしら、クレイシア」
「ドドドさんも戻ってきませんね……」
パーティ会場の大広間では、エリーヌとバンダナワドルディが、不安そうに顔を見合わせていた。
そこにやってきたのは、>>24だった。
- 24二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 09:05:40
メタナイト
- 25二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 09:05:50
デデデ
- 26二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 09:07:13
このレスは削除されています
- 27スレ主23/01/15(日) 09:20:26
そこにやってきたのは、メタナイトだった。
「君たちは何故ここにいるんだ、女性から避難するように言われなかったのか?」
エリーヌとバンダナワドルディは、再び顔を見合わせた。
「あの、メタナイトさん、何の事ですか……?」
「ヒナンって何……?」
今度は、それを聞いたメタナイトがたじろぐ番だった。
「……何も聞いていないのか?」
「ごめんなさい、ボクたち何も……その、ジョセイって誰ですか?」
「紫色の着物を着た、長い髪が青緑色の女性だ」
「クレイシアだわ!」
エリーヌが空中でくるりと輪を描く。
「ねえ教えて!クレイシアに何があったの!?避難って何の事よ!」
大声でメタナイトに詰め寄るエリーヌを見て、他の客も何だ何だとそちらの方を注目し始めた。
メタナイトはぐるりと大広間を見渡した。
……クレイシアはいない。ドドドも。そして、デデデ大王も。
…………デデデ大王、も?
「バンダナワドルディ」
「は、はい!」
「デデデ大王は今どこにいる」
今度はバンダナワドルディも、メタナイトに思い切り見つめられてたじろいだ。
「だ、大王様は>>28に行く、と……」
- 28二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 09:23:36
カービィを探しに
- 29スレ主23/01/15(日) 10:03:07
「だ、大王様はカービィを探しに行く、と……」
「……カービィ?」
メタナイトは改めてそこを見回した。確かに、カービィの姿は見えなかった。
こんなにごちそうが集う場なのに、カービィがいない。その事が既に異常事態だった。
「カービィ、初めはいたんだけど、おかわりを貰いに行くと行って出ていって、それきり戻ってこなくて……」
と、バンダナワドルディは頬を掻いた。
「大王様も、アイツに食糧庫をカラにされちゃたまらん、と探しに」
事態は、予想以上に混乱してきているようだ。
ドドドはもちろん、彼が狙うデデデ大王も、彼の付き添いであるクレイシアも、そしてカービィまでも、所在が掴めないとは――
「……わかった。私も彼らを探しに行こう。君は避難を呼びかけて」
「待ってくださいメタナイトさん!」
バンダナワドルディが、ともすれば震えそうな声で言った。
「一体何があったんですか?どうして避難しなきゃいけないんですか?答えてください!」
メタナイトは、>>30
- 30二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 11:05:45
ドドドの様子が急におかしくなったと伝えた
- 31スレ主23/01/15(日) 14:12:07
メタナイトは、ドドドの様子が急におかしくなったと伝えた。
ただでさえ場が混乱しているのだ。もはや、隠す方が不誠実だろう。
「ダークマターか、あるいはそれに類するものか……とにかく、彼は正気を失っている。いくらデデデ大王のみを狙っているとはいえ、無辜の民までとばっちりで危険に晒すわけにはいかない」
メタナイトがそう目を伏せながら話すと、エリーヌは思わず口元を覆い、バンダナワドルディは、
「わかりました!」
と、胸を叩いた。
「まずは皆さんを避難させて、大王様たちを見つけに行きます!」
「ありがとう。感謝する。……私は先にデデデ大王たちを探すことにする」
メタナイトは改めてギャラクシアに手をやると、走り出そうとした。
「あ、待ってください。これお城の地図です。きっとカービィは、食べ物があるところにいるから……」
バンダナワドルディに地図を渡され、メタナイトは軽く会釈すると、皮膜を広げて羽ばたいた。
「エリーヌごめんね。せっかく来てもらったのに……」
「ううん、大丈夫。それより早くしましょ。わたしも手伝うわ」
「ありがとう!」
かくしてデデデ城は、新年会のムードも一変、恐怖と混乱に包まれる事となった。
一方そのころ、>>32
- 32二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 14:14:07
マキシムトマトが豊作に
- 33二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 14:22:49
どんどんカービィの夢を深くするのはやめろwww
- 34スレ主23/01/15(日) 14:35:37
カービィの眼前には、いかにもおいしそうなマキシムトマトが、たわわに実っていた。
真っ赤な果実は瑞々しく、どれを食べてもおいしそうだ。
「わーい! マキシムトマトがたくさんだー! これぜーんぶぼくが食べていいの!? いただきまー……」
カービィがそう言いながら吸い込んだが、しかし飛んできたのはマキシムトマトではなく、何やらおはぎのような青紫の球体だった。
「あれ? なんなろこへ……まいっは、おいひいひ」
そのままもぐもぐとそのおはぎを口の中で転がし続けていたが、
「……い……」
「ん?」
どこからか声がする。気のせいかと再度おはぎを食べようとしたその時だった。
「起きろ! カービィ!!」 - 35スレ主23/01/15(日) 14:54:44
「……ぁぇ……まきしむとまとは……おはぎは………?」
「まさか私の事をおはぎ扱いするつもりじゃないだろうな」
何とかカービィの口の中から這い出しながら、メタナイトは寝ぼけて吸い込んだ犯人を睨みつけた。
「……?……んぅ……………………あ、メタナイトおはよー」
そこでちゃんと目を覚ましたのか、カービィは重箱の中で伸びをした。口には栗きんとんがへばりついている。
「………………おはよう。早速だが君には一仕事してもらうぞ」
とはいえメタナイトもカービィとは長い付き合いだ。彼の自由っぷりにはイライラしない――いややっぱり少し、いやだいぶ、かなりするかもしれないが――慣れていた。
「ひとしごと?」
ぴょんと自分の前に着地したカービィを見て、メタナイトは頷いた。
「話はシンプルだ」
「しんぷる」
「デデデ大王の弟の様子がおかしい」
「ようすがおかしい」
「デデデ大王を狙っている」
「デデデをねらってる」
「……力を貸してくれ」
「わかった!」
こういう打って響くようなところが、カービィのいいところだ。メタナイトは再び頷くと、
「君はデデデ大王を探して保護してくれ。私は弟を探す」
「はーい!」
そして二人はすっかりカラになった食糧庫を後にした。
――後でやってきた配膳係のワドルディが、鍵ごとスッパリ切断された扉と、空っぽの重箱を見て悲鳴をあげるのだが、それはまた別の話である。
さて、そのデデデ大王はというと、>>37
- 36二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 14:59:45
貼り付けにされてる
- 37二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:00:23
マスタークラウンを奪ったドドドにやられて…
- 38二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:00:55
宇宙に捨てられてる
- 39二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:16:37
手遅れだったー!!
- 40スレ主23/01/15(日) 15:18:48
「……ここも違う、か。ったく、どこ行ったんだあのピンク玉……」
三つ目の食糧庫を後にした所で、デデデはぐるぐる肩を回した。
――いや、本来なら、もう一人、探さなければならない人物がいた。
「……どうしたもんかな」
なんとなく――なんとなくだが、弟が自分を嫌っているとは、うすうす感じていた。
ただ、自分は兄で、相手は弟だ。長男だから、などと流行りの文句のつもりはないが、それでも、大事にして、守らなければ、と思っていた。
ある日、一人で暮らす、と言い出すまでは。
弟は、真面目で、実直で、嘘もジョークも苦手だ。その弟が、自分から離れて一人で暮らすと宣言したということは、つまりそういうことなのだろう。
それでも会いたくて、元気な顔が見たくて、正月を口実に呼び出した結果がこれだ。
「……ドドド、あいつは……」 - 41二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:23:33
マスタークラウン…(!?
- 42スレ主23/01/15(日) 15:24:54
瞬間、だった。
突如耳元に風切り音を感じて、デデデは慌てて体を反らした。
ついさっきまでデデデの頭があったそこを、巨大な刃が通り過ぎていく。
「……」
ドドドが、そこにいた。刃をむき出しにした大剣を片手で悠々と振るいながら、ドドドがそこに立っていた。
「ドドド!? お前、どうして……!?」
「自分は、強い。デデデを、倒す――!」
目にも止まらぬ、とはこのことだろうか。ドドドの刃がデデデに迫り、あっという間に彼を風圧のみで壁にたたきつけた。
「ぐあぁっ!?」
そのままデデデの体が、べしゃりと地面に落ちる。ドドドがとどめを刺そうと、這いつくばるデデデにその切っ先を向けた。
ドドドの被る帽子、その金色の飾りが、鈍く怪しい光を放っていた。
(――あれは、まさか)
デデデには、その輝きに見覚えがあった。しかしそれを見上げる中、ドドドの刃がデデデに迫り――
「待て!!」
そこに現れたのは>>44
- 43二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:25:48
カービィ
- 44二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:26:05
害悪蝶々
- 45二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:26:26
マホロア
- 46二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:27:54
ハ…??
- 47二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:28:46
どっちについてもあかんやん
- 48二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:32:13
- 49二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:32:50
幻聴、?
- 50二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:33:18
安心させて一気に乗っとるんじゃないの?
- 51二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:35:50
-
- 誰か死ぬ可能性あるかな嫌だな(バットエンド?)
-
--------- ︹︹︹-[墓]-︹︹︹ - 52二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 15:46:49
- 53スレ主23/01/15(日) 16:00:20
そこに現れたのは、赤とオレンジの翅を持つ蝶々だった。
さっきまでデデデを見ていたドドドも、不思議そうにそれを見上げている。
デデデは、全身が総毛立つのを感じていた。
――あれは、だめなものだ。
デデデは覚えている。あれがちょんと剣先に止まった途端、ギャラクティックナイトは、その姿形をも変えてしまったのだ。
であるならば、もしもそれと同じ事が、弟に起こったら――
「――おい、やめろよ」
咳き込みながらデデデは立ち上がる。立ち上がり、ハンマーを翳す。
「そいつは、オレさまの弟なんだよ」
もしかしたら、自分も「なにか」に変えられてしまうかもしれない。だがそれが弟に起こるよりは、よほどマシに思えた。
「何かしてみろ。ただじゃおかねえ……!!」
その時、
1.ふいに蝶々が、その場を去った
2.ふいに蝶々が、その動きを止めた
3.ふいに、別の人物が乱入してきた
- 54二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:04:12
dice1d3=2 (2)
- 55二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:04:49
このレスは削除されています
- 56二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:05:11
どっちだ…
- 57スレ主23/01/15(日) 16:05:48
>>58にしなおします
- 58二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:06:37
dice1d3=1 (1)
- 59二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:06:38
このレスは削除されています
- 60スレ主23/01/15(日) 16:38:30
不意に、蝶々がその場を去った。
よかった。これでいい。理由なんてどうでもいい。弟が襲われなければそれでいい。
そう、一瞬ホッとした、その刹那。
ドドドの刃が、再びデデデに翻された。
「うおっ……!」
今度はなんとか取り出せたハンマーで、刃を弾く。ぎいん、と鈍く武器同士が響き合う。
木の塊と鉄の塊のぶつかり合いだ。
なんとか相手に負けないように力を込めながら、デデデは相手の頭を見た。
デデデの王冠とよく似た帽子には、金色の飾りが付いている。先ほどまでと同じように。
(この飾りは、もしかして――)
もしデデデのカンが当たっていれば、あるいは、あの蝶よりもひどいことになるかもしれない。
だがどうすれば。今の弾くのが精一杯の状態では――
「デデデ大王!」
そこに走ってくるものがいた。
>>63だった。
- 61二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:45:26
エリーヌ
- 62二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:53:20
ダークカービィ
- 63二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:53:30
このレスは削除されています
- 64二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 16:54:23
モブワドルディ(瀕死)
- 65スレ主23/01/15(日) 17:04:51
>>67にします
- 66二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 17:12:29
メタナイト
- 67二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 17:13:29
クレイシア
- 68スレ主23/01/15(日) 20:00:55
「デデデ大王さん!」
そこに走ってくるものがいた。
「く、クレイシア!?」
そう、彼女だ。さっきまでドドドと一緒にいた彼女が、こちらに走り寄ってくる。
「来ちゃダメだ、ドドドの様子が――」
「ええ、わかってます!……エリーヌ!」
「りょーかいっ!」
袂から取り出された粘土が、彼女の手の中で形を変える。それは、巨大な魚だった。それに素早くエリーヌが色を塗る。
美しい朱色に塗られた魚は、あっという間にドドドの体を丸呑みにした。
ぽかんとしているデデデをよそに、粘土の魚はドドドの頭だけ口から出した状態で、地面にびたんと落ちた。
……とりあえずは、助かったらしい。
「大王様!!」
エリーヌたちの後ろから、バンダナワドルディも走ってきた。
「お怪我はありませんか!?ボクたち、メタナイトさんに言われて、それで、皆さんを、避難させて、大王様を、探しに、」
ぜえぜえと息も絶え絶えなバンダナワドルディの背を、デデデは撫でた。
「わ、わかった。……ありがとうな。動いてくれて」 - 69スレ主23/01/15(日) 21:18:07
かくかくしかじか、クレイシアやバンダナワドルディから説明を受け、デデデは改めてドドドを見た。
ドドドは魚に飲み込まれたショックなのか、気を失っているようだった。
「……そうか、ドドドが、そんなことに……」
「お城のお客様も皆さん避難させましたし、大王様の元にも間に合ってよかったです!」
「クレイシアも無事でよかった!」
バンダナワドルディは額の汗を拭き、エリーヌはクレイシアの胸の中に飛び込んだ。
「……」
デデデは、気絶しているドドドの頬に、手を這わせた。
ドドドは、言っていた。「デデデを倒す」、と。「兄者を倒す」、ではなく。
それは、つまり。つまり……
這わせた手を、頬から、額へと滑らせていく。そして。
「そうだ。ドドドのこの、帽子の飾り……何か知らないか?」 - 70スレ主23/01/15(日) 21:25:55
- 71二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 21:33:42
dice1d2=1 (1)
- 72スレ主23/01/15(日) 21:57:53
みな、わからない様子で首を傾げた。
「……そう、か。なんだかこの飾りから、嫌な気配がするんだよ。もしかして、ドドドの奴、」
「……危ない!」
刹那、まるでレーザーがごとき熱が、デデデの頬を掠めた。
なんだ、一体、何が起こった、何が――
気付けばデデデは、メタナイトに突き飛ばされていた。
「何をぼうっとしているんだ、デデデ大王。死にたいのか」
尻もちをつく形になったデデデ大王の目の前に、メタナイトが着地する。
気付けばドドドは、粘土の魚を切り裂く形で脱出していた。さっきのレーザーは、その大剣から放たれていたものらしい。
「……倒す。自分は倒す。デデデを倒す。倒す。デデデを倒す……!」
目に昏い光を宿しながら、ドドドは再び大剣を構えた。
1.「ええい、やるしかねえ……! メタナイト、あの帽子をなんとかしてくれ!」
2.「メタナイト、アイツの気を引き付けてくれ! オレさまが帽子をなんとかする!」
3.「デデデー! メタナイトー! 来たよー! ……あ、このひとがデデデの弟さん?」
- 73二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:00:19
dice1d3=2 (2)
- 74二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:14:17
2
- 75スレ主23/01/15(日) 23:28:49
「メタナイト! アイツの気を引きつけてくれ! オレさまが帽子を何とかする!」
「心得た!」
メタナイトが翼を広げ跳躍する。天井の飾り彫りの部分に立つと、デデデとドドドを分断するようにムーンショットを降らせる。
「邪魔をするな」
ドドドが頭上に大剣を振り回す。しかし彼の腕では、メタナイトに届く事はない。彼が飛びでもしない限り、その攻撃が当たる事はないだろう。
メタナイトは縦横無尽に天井を飛び交いながら、なおも斬撃を雨霰と降らせる。
その隙に、デデデが背後に回り込んだ。
dice1d2=2 (2)
- 76二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 06:48:27
一体どうなる…?
- 77スレ主23/01/16(月) 12:50:58
ハンマーを振り翳したデデデと、振り返ったドドドの目線が交差した、その瞬間。
「目ぇ……覚ませっ!!」
デデデのハンマーが、さながらゴルフがごとく、ドドドの帽子だけを見事に打ち飛ばした。
帽子が吹っ飛ぶ。金色の飾りが床にぶつかり、からんと転がる。ドドドの体から力が抜け、ずる、と崩れるように倒れた。
「ドドド!」
「ドドドさん!」
ハンマーを投げ捨て、デデデがドドドの体を抱き起こす。そこにクレイシアも縋った。
「おいドドド! しっかりしろ! おい!」
「ドドドさん! 目を覚まして……!」
二人が体を揺するが、ドドドの瞼は固く閉じられている。
いっそ慟哭に近い呼び声を聞きながら、メタナイトはゆっくりと、ドドドの帽子に近づき、そして。
1.その飾りを、粉と砕いた。
2.ふとその金に、緋いものが映り込んでいる事に気付いた。
- 78二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 14:40:41
ksk
- 79二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 14:43:26
dice1d2=1 (1)
- 80二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 16:35:56
マスタークラウン壊したのか…(壊れるのか?
(ランディアに怒られそうだな - 81スレ主23/01/16(月) 21:36:00
メタナイトはゆっくりと、ドドドの帽子に近づき、そして。
その飾りを、粉と砕いた。
抵抗はなかった。ギャラクシアの切っ先は、あっさりと飾りを砕き、帽子は、シンプルなニット帽に戻った。
「……終わったか」
メタナイトはギャラクシアを振って埃を払うと、鞘に納めた。
「ドドドさん、ドドドさん……!」
「なあ、おい、起きろよドドド、ドドド……!」
恋人の、あるいは弟の名を呼んでいる二人に、メタナイトは近づく。
「……気絶しているだけだ。一度、客間に運んだ方がいいだろう」
「あ、ああ。わかった」
デデデはそのまま、ドドドの体を軽々と抱え上げた。そのまま、客間に運ぶべく歩き始める。
ややあってから、デデデはぽつりと、
「……ありがとう、メタナイト。助けてくれて」
と言った。
「ありがとうございます、メタナイトさん!」
続いてクレイシアも頭を下げる。
そして、バンダナワドルディとエリーヌも、ほっとした顔で後をついていった。 - 82スレ主23/01/16(月) 22:05:47
……夢を見ていた。
子どもの頃の夢だ。
あの頃の自分ははばかられるほどの悪ガキで、ずっと兄者とイタズラばかりしていたように思う。
ある日の事だ。自分はイタズラの末に、城にあった、小さな花瓶を壊してしまったのだ。
きっと大人に怒られる、そう思った。
真っ青になっている自分に気付いたのか、兄者は「オレにまかせろ!」と言ってくれた。
……実際、兄者はどうしたか。
なんと、あろうごとか別のツボを思い切り割って、わざとらしく大音まで立てたのだ。
案の定すぐに見つかって、兄者はこっぴどく叱られた。
……大人たちは、そのツボの破片の中に、小さな花瓶の欠片が混じっている事に、誰も気付かなかった。
あえてわざとらしい犯行を行う事で、以前の犯行を隠す、そんな作戦を、兄者は思いついたのだ。
そして自分は、イタズラはやめよう、真面目になろう、と決意した。
自分が何かする度に、もし兄者が、こんな風に、身を切るような、誰かを騙すような庇い方をするくらいなら、何もしない方がいい。
そう、心に誓った。
そんな、夢を見た。 - 83スレ主23/01/16(月) 22:22:48
「……気が付いたか?」
重い瞼を持ち上げると、そこには心配そうな兄の顔があった。
全身が筋肉痛のように痛んだし、前後の記憶が曖昧だ。
「…………あに、じゃ……?」
口から漏れた声は、掠れていた。途端、兄は顔中をくしゃくしゃにして、その体に抱き着いた。
「ドドド……お前……よか、生きてて、よか、よかったぁぁぁ……!!」
「ど、ドドドさん……ドドドさぁん……!!」
そこにクレイシアも雪崩れ込んでくる。寝かされたベッドがぎしぎし軋んだ。あと、自分自身の骨も。
「く、クレイシアまで……?一体、何が……?」
「……君は、どうやらあの帽子の飾りに、操られていたようだ」
そう言ったのは、見知らぬ青年だ。仮面とマントを身に着けている。……いや、見知らぬ、ではない。どこかで、ぼんやりと、あったことがある気がする。
「…………帽子の、飾り……」
そう言われ、頭を押さえる。
ああ、そう、か。そういうこと、か。 - 84スレ主23/01/16(月) 22:35:42
「……作った?自分で?」
「ああ」
ドドドは淹れてもらったお茶を吞みながら、改めて経緯を説明した。
「クレイシアに、色々と造形のやり方を教えてもらったんだ。精神統一にもいい、と言われて」
「ドドドさん、手先が器用なんです。だから、あっという間に覚えて」
クレイシアが頬に手をやりながらはにかむ。
その様子を見ながら、ドドドはかすかに赤面しながら、ごほん、と咳払いを一つした。
「……せっかくだから、何か自分で使えるようなものを作ろうと思って、拠点付近で材料を探したんだ。その時に見つけたのが」
「あの、金色の飾りだった、ってことか?」
デデデの問いに、ドドドはうなずいた。
「正確には、あれは、欠片だったんだ。自分はそれを鉱物か何かと思って、砕いて、繋いで、あの形に整えた。……欠片自体が、自分を冠の形にしてくれ、と訴えてくるようだった」
メタナイトは仮面の中で、目を細めた。
――十中八九、マスタークラウンの欠片だろう。あの時完全に砕いたはずだが、それが何故か、いくつかの欠片がたまたま、彼の元に降ってきたのだ。
だが、無限の力を得ることが出来る代わりに、下手をすれば化け物になりかねない代物だった、と説明すれば、ますます混乱するだけだろう。
そう思い、メタナイトは口をつぐむことにした。言う気なら、デデデ大王が言ってくれるだろう。
「飾りが完成した、ちょうどその頃に、バンダナをつけたワドルディが来た。彼とはクレイシアを通じて元から知り合いだったが、その時初めて、彼が兄者の部下であることを知ったんだ」
ちなみにそのバンダナワドルディとエリーヌは、席を外している。危険が去ったことを伝え、皆をパーティ会場に戻す為だ。ついでに、カービィの捜索もしている。 - 85スレ主23/01/16(月) 22:52:13
「……勇気が欲しかった。兄者に会う勇気が。だから自分は、ゲン担ぎに、あの飾りを被ったんだ。なんだか、勇気が出る気がして」
そう言って目を伏せる弟を見て、デデデは、
「ごめん」
そう、頭を下げた。
「……兄者?」
「ごめん、ごめんな。ドドド。うっすらとは思ってたんだ、お前があんまりオレさまに会いたくないって。だから、離れて暮らしてるんだって」
デデデが、ぎゅっと己の拳を握りしめる。
「なのに、オレさまときたら、自分のワガママだけで、お前に会いたいって。……普通、そんな気合入れなくても、会いたい奴なら会えるよな。ごめんな、ドドド」
……ああ、違う。違うんだ。自分は、自分は兄者に、こんな顔させたいわけじゃないのに、どうして。どうして…… - 86二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 08:44:45
一応ドドド側も兄への思いは3あるからきっかけさえ有れば仲直りは出来るか…?
- 87スレ主23/01/17(火) 12:59:40
- 88二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 17:40:13
(あれ?これカービィの出番あるのか…?)
- 89二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 19:08:11
カービィが幸せに寝て メタナイトが喰わ(捕食さ)れて ワドルディが絶望して マスタークラウン修復されてぶっ壊されて くらいだな、
ふ〜ん大した事ないね(内容濃いな!) - 90スレ主23/01/17(火) 21:36:20
「兄者」
ドドドが、デデデの手を握った。
「自分が、元気になってからでいい、だから」
「……おう」
デデデが、神妙な顔で頷く。
そこに、バンダナワドルディとエリーヌ、そしてカービィが帰ってきた。
「カービィ見つけました! 皆さんもパーティを再開されて」
「兄者、自分と、相撲で勝負してくれ!」
ドドドのその、突然の申し入れに、
「え」
「え」
「え」
「……えええええ!?」
と、皆が思わず驚きの声を上げた。
しかし、事態をよく呑み込めていないカービィと、なにやらわけがわかった顔で頷くメタナイト、そして、言われた本人であるデデデは、驚くことはしなかった。 - 91二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:11:07
このレスは削除されています
- 92スレ主23/01/17(火) 22:12:04
ドドドの体調が回復するまで、そう長い時間はかからなかった。
体型こそ似ていないが、そういうタフなところは兄弟でよく似ているのだろう。
普段カービィと勝負するのに使うリングを簡易的な土俵に改造し、デデデはその中央で待ち構えていた。
急遽執り行われる事になった相撲勝負に、さっきまで厳か(?)にパーティを楽しんでいた住民たちも、
こぞってリングの周りの観客席に着席し、今や今やとわくわくしている。
兄に遅れること数分、ドドドも土俵入りする。
「来たか」
デデデが真剣な顔で、ドドドを見た。
「ああ。ありがとう、兄者。手合わせの機会をくれて」
ドドドもまた、真剣な顔をしていた。
バンダナワドルディが、軍配を持ってやってくる。
「見合って、見合って……はっけよーい……」
二人が決められた位置につく。
「……のこった!」
バンダナワドルディの掛け声と共に、どう、と衝撃が土俵を揺るがした。
二人とも、ハンマーも大剣も持っていない。正真正銘、体と体のぶつかり合いだ。
果たして、この勝負の行方は――
>>97まで、dice1d2を振ってください。
- 93二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:15:29
dice1d2=2 (2)
- 94二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:50:47
dice1d2=2 (2)
- 95二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:51:00
dice1d2=2 (2)
- 96二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:51:16
dice1d2=2 (2)
- 97二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:51:34
- 98二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:51:51
dice1d2=2 (2)
- 99二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:52:55
………《2》多くね? >>97が目立ってるような…
- 100二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 22:54:23
どっちかわからんがどっちかは負け確定演出かな?
- 101スレ主23/01/17(火) 23:15:28
ダイスありがとうございました。
明日、完結予定です。お楽しみに。 - 102二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 07:42:41
保守
- 103二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 19:02:32
勝つのはどちらか…見届けます
- 104スレ主23/01/18(水) 20:42:39
「のこった!のこったのこった!」
バンダナワドルディが軍配をふりふり声を上げる。
兄弟は張り手の応酬をしながら、いつ土俵から出してやろうか、いつ投げ飛ばしてやろうかと機会を伺い、まるで舞踏のごとく、土俵を踏む。
初めに一撃取ったのは、デデデの方だった。
まっすぐ伸びた両手が、ドドドを突き飛ばそうと迫る。
しかし、ドドドはこれを受けた。
ついで、二度目の衝撃。しかしドドドは、それでも動かない。
三度、四度、と連撃が続く。ドドドは、全く動かない。
みな、固唾を飲んでドドドを見守っている。 - 105スレ主23/01/18(水) 22:08:49
そして、デデデの次の攻撃が炸裂しそうになった、その瞬間。
「ドドドさん、負けないで……!」
クレイシアがそう囁いた声を、ドドドは、確かに耳にした。
ぐ、ぐ、と腕に、足に、力が籠る。
「……っ!!」
そのままカウンターのように、デデデの胴にむんずとしがみつく。
「っな!?」
「うおおおお……ッ!!」
まるで機関車もかくやという勢いで、デデデをぐいぐいと土俵際まで追いやっていく。
足の下で砂が擦れる。じゃりじゃりと煙が上がる。
ドドドの目は兄を見ていた。クレイシアを見ていた。苦手な兄と、愛してくれる思い人を見ていた。
戦うんだ。戦うんだ。自ら、兄と向き合うんだ。そう決めたんだ。だから―― - 106スレ主23/01/18(水) 22:16:45
じゃり、と、音が止まった。
兄の足が、止まっていた。兄は土俵際にいた。そして、自分も。
「頑張れるんじゃねえか」
兄が笑った。子どものころみたいに、悪童のように、笑った。
「でもな、」
体が、浮いた。そして。
「オレさまの方が強えんだよっ!!」
宙を、舞った。
ぐるん、と世界が反転する。何が起こったのかわからない。
わからないまま、そのまま、体が落ちる。ずうん、という衝撃が、全身を襲った。
わああああ、という歓声、そして、割れんばかりの拍手。
――ああ、負けたのか。
全身に痛みを感じながら、ドドドは天井を仰いだ。 - 107スレ主23/01/18(水) 22:23:30
「――は」
ドドドの口から漏れたのは、苦痛の声でも、悔しい恨み節でもなく。
「は、はは、ははは、ははははは……」
久方ぶりの、心からの、屈託のない笑い声だった。
なんだか、とても気分がよかった。兄とケンカしてここまで笑ったのは、一体何年ぶりだろうか。
いや、これは、ケンカではない。勝負だ。自分から挑んだ勝負だ。自分から得意分野で挑んだ勝負で、負けた。
完敗だった。
完敗だったが――気持ちのいい、負け方だった。
「……ほら、ドドド」
そこに、兄の手が伸びてきた。その手を掴んで、立ち上がる。
わあっ、と、場内が沸いた。再び拍手喝采が起こる。
「かっこよかったー!」「すごーい!」「つよかったねー!」
観客たちが思い思いに誉めてくる。
「ほら、お前の事言ってんだよ。しゃんとして手ぇ振ってやれ!」
デデデに肩を叩かれ、ドドドは数度ぱちくり瞬きしたのち、そっと手を振り返した。
更に場内は盛り上がった。どこから持ってきたのだろうか。場内には花と食べ物、ほしのかけらが降り注いだ。
――本当に、気持ちのいい、負け方だった。 - 108スレ主23/01/18(水) 22:32:50
「……結局自分は、兄者ときちんと向かい合っていなかったんだろうな」
クレイシアに湿布を貼ってもらいながら、ドドドはぽつりと言った。
「兄者は強い、兄者はえらい、兄者だから、だが自分は――そう思って、兄者と会うのをやめていた。
兄者が苦手だったのもあるが、きっと自分は、兄者と同じ土俵に立ちたくなかったんだ」
同じ土俵に立てば、自然、比べられてしまう。兄に比べて弟は、と言われてしまう。
ドドドは、それが嫌だった。だから逃げた。比べられることから逃げた。兄の土俵から降りたのだ。
「……じゃあ、お相撲で勝負って言い出したのは」
「…………『同じ土俵』に立とうと思ったんだ。勇気を出して」
そして、ドドドは負けた。でも、心は晴れやかだった。
「自分で挑んだ勝負で、負けたんだ。兄者も、きっと自分の意図はわかっていた。
兄者は聡い人だからな。そのうえで、勝った。自分の事を、負かせてくれたんだ」
それが、気持ちよかった。さわやかだった。兄弟だけど、兄弟じゃない。一人のドドドという個として、見てもらえた気分だった。
クレイシアが、ぎゅっとドドドに抱き着いた。
「……ドドドさん。とても、かっこよかったです」
「……ありがとう、クレイシア」
そして、ドドドもまた、クレイシアを抱き返した。 - 109スレ主23/01/18(水) 22:54:56
次にドドドの元を現れたのは、デデデだった。
「まあ、オレさまの方が強いからな!」
胸を張る兄に、弟は違いない、と苦笑した。
「でもな」
と、すぐに兄は真顔になった。
「あんなドドド、オレな、ちょっと前にな」
「ああ」
「国中の食べ物、全部かっぱらったことがあるんだよ」「は?」
突然の犯罪の自白に、思わず食い気味になってしまった。
「もう反省してるけどな。あんなことしちゃだめだって。……だってな」
兄は続けて言う。
「そんなオレをさ、ぶっ倒して叱ってくれた奴がいるんだよ」
その言葉に、今度はドドドが目を丸くする番だった。
「……兄者を?ぶっ倒した?」
「ああ。いやー負けた負けた、完膚なきまでに負けたなアレは。生まれて初めてだ、あんなにめちゃくちゃに負けたのは」
ともすれば、楽しそうに、愛おしそうに言う。
「……まあ、一回キッパリ負けて、悔しかったし、腹も立ったけどよ。でも、次は絶対負けねえってライバルが出来て、よかったんだぜ」
……なんだか、知らない兄を見た気がして、弟は嬉しくなった。
兄は強い。だがそんな兄を負かす者もいる。兄の心を燃やす相手がいる。兄もまた、変わっていたのだ。 - 110スレ主23/01/18(水) 23:28:19
――結局。ドドドとグレイシア、それにエリーヌも、正月三ヶ日をデデデ城で過ごした。
「お世話になりました」
そして、普段拠点にしている星に帰る日。ドドドは大量のお土産を持たされたまま、デデデに深々と頭を下げた。
「ありがとうございました、大王様」
「とっても楽しかったわ!」
クレイシアとエリーヌにも礼を言われ、デデデは、
「いいってことよ!大王様だからこれくらいしないとな!」
と胸を張った。
そしてその後、そうだ、と思い出したように言った。
「次帰ってくる時は、城で結婚式する時か?」
……けっこん……ケッコン……けっ……なに……?
「あ、あにじゃ、いま、なんと、」
「結婚だよケッコン!お前、そっちの嬢ちゃんと付き合ってるんだろ?なら、結婚式場はうちの城で……」
ドドドは、頭が真っ白になるの感じた。クレイシアの方はといえば、顔を真っ赤にしてゆでタコみたいになっている。
「………………いつから、自分たちが、つ、つ、……付き合っている、と」
「んなもん、お前が連れてきた時からだよ」
デデデはあっさりそう言った。
「口下手で人見知りしやすいお前がわざわざ連れてくるって事は、もうそれしかないだろ?
何で友人なんて言うんだよって思ってたんだよな」
――ああ、そうだ。兄者は聡い人だ。その知能が、こんな時に使われるなんて……!
「な、な、いつ結婚するんだ?やっぱ6月か?式の日はミスターブライトに頼んでめちゃくちゃ天気にしてやるからな!」
「け、結構です!!帰ります!!自分帰りますので!!」
「まあそう言うなよドドド〜。二人っきりの今日だろだろー?」
「か、関係ない人ですっ!!」
「いやここに来て??こんなに長い事話したのに結論それ??」
などと兄弟二人がわちゃわちゃするのを、クレイシアは恥ずかしい反面、なんだかとても、楽しくて、ほっこりした気持ちで眺めていたのであった。 - 111スレ主23/01/18(水) 23:35:05
「……さあ、お話はおしまいだよ」
カービィは、緋い燐光を放つ蝶々に、そう話しかけた。
「もう、悪いことは起きないよ。ケンカしたけど、仲直りした。あのかんむりも、もうないよ」
静かな声で、カービィはそう伝える。
「だから、キミが『しんぱん』する相手も、『すする』相手も、もういないよ」
きっぱりと、そう言い切る。
「まだやる気なら……ぼくが、相手をする」
蝶々はしばらく宙を舞っていたが、やがてふわりと、夕焼け空に溶け込むように消えていった。
「ばいばい」
その姿を見送るように、カービィは夕日に手を振る。
「――カービィ」
そこに、メタナイトがやってきた。
「いいのか、ドドド氏を見送らなくて」
「ぼく、あんまりお話ししてないし。メタナイトもいいの?」
「私も似たようなものだ」
目を伏せ気味に、メタナイトが言う。
「それより、早く戻ろう。寂しがりやの彼が、暴れては困るからな」
カービィはそれを聞いて微笑むと、
「わかった。かえろ」と、メタナイトの横で歩き始める。
そしていつもの4にんと、おきゃくさまは、素敵なお正月を終えたのであった。
―終― - 112スレ主23/01/18(水) 23:37:24
この数日の間、ありがとうございました。
ドドド氏、ダイスと安価なのになんかいいキャラに仕上がったのは皆様のおかげです。
こちらの方もご協力いただきまして、ありがとうございました。
「ここだけ」なので、ドドド氏の話はこれでおしまいです。
また別の「ここだけ」スレは立てるかもしれませんが、それはまた別のお話ということで。
本当に、本当に、ありがとうございました。 - 113二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 23:50:20
乙でした!
- 114二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 04:51:25
乙、面白かったよ…前スレから追いかけてきてよかった
- 115二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 05:10:09
ドドドの仕上がりもいい感じだったけど
原作キャラの書き方も個人的に好きだ
いいもの見させてもらいました ありがとう - 116スレ主23/01/19(木) 06:30:39