- 1orcust23/01/23(月) 00:59:36
空は暗く、ちょっと風が強い。
冬だったら、きっと寒いんだろうな。
──私には、そんな寒さも分からないけれど。
荒野にそびえたつ金色の塔、そのふもとにひとつの人影がぽつんと立っている。
その背中は、孤独で、悲しそうで、どこか怒っているような、私の見慣れた背中。
私は、その背中の方へ向かう。
「……ああ、なんだお前か」
声の主…ニンギルスがこちらを一瞥して無愛想に言葉を返す。
この人は私を創った人で、私の主。
私は「イヴ」を神として復活させるための器。
「なんだ?メンテナンスならしたはずだぞ」
彼はそばを離れない私に対し、怪訝そうな顔を向けてくる。
きっと、明日に備えてーみたいなことを言いたいんだろう。
でもまだ離れてあげない。
たぶん、今日が最後だから。
明日、ずっと準備してきた『神誕』の作戦が実行される。
この塔のずっと上にある星杖を打ち下ろし、星櫃を起動する。そして、その力で私を器に「イヴ」を創るというのだ。
そして、その時私はきっといなくなってしまうから。
だから、今日は最後の日。もう少しこうしていたい。 - 2orcust23/01/23(月) 01:00:27
「………」
彼はそのまま黙り込み、俯く。
重い沈黙が流れて、なんともいえない気まずい感じ。
でもそんな空気も嫌いじゃなかった。
器でしかない私でも、この人と同じ時間にいるって感じることが出来て、嬉しい。
しばらくすると、彼がおもむろに口を開いた。
「……なあ、俺は間違ってるのか?」
その声はか細く、震えている。
「俺は明日、世界をめちゃくちゃにする。たった1人のために、世界が滅ぶかもしれない危険な計画をやるんだ。もう死んだ人間を蘇らせて神にしようなんて、おかしいだろう?」
……
「あいつが見ていたらなんて言うだろうな。やっぱりおかしいって言うんだろうな。いや、きっとあいつは止めに来る。俺に立ちはだかってくる。その時、お前は、お前は……!」
彼は突然私の肩を掴み、はっとした顔に戻る。
「……いや、お前に言っても何にもならないよな。…はは、俺も狂ったのか。ははは…」
震える手をどかし、また彼は向こうを向いてしまった。
ああ、この人はまだ迷っている。
自分の進む道に、自分のやろうとしていることに、迷っているんだ。
私を創ってからずっと目的のために準備していたと思っていたけれど、本当は何も見えていなくて、ずっと手探りだったんだろう。 - 3orcust23/01/23(月) 01:01:17
正しいとか間違いとか、私にはよく分からない。
でも、あなたが迷っているのなら、私はあなたを導いて、支えてあげたい。
だって私は、私は──
「なあ、アウラム。俺はどうすればいい?イヴ、何か言ってくれ…。イヴ…」
伸ばしかけた手を、私は引っ込めた。
分かっていた。
私はただの人形で、ただの器。
今を生きている「人」とは決して一緒にはなれないモノ。なってはいけないモノ。
だから、この気持ちも心も、秘密。
ずっとずっと、最後まで持っておく明かされない秘密。
星が光る夜は相変わらず風が強く、なんだか寒いような気がした - 4orcust23/01/23(月) 01:03:11
ほい、深夜の勢いでちまちま書き上げた駄文でした
きっとガラテアちゃんはニーサンに何か並々ならぬ感情を抱いているんだと思いまふ
でもそれは絶対表には出さないし出せない
でもいつかもしも…に憧れてガラテアなんて名乗っちゃう子なんです - 5二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 01:10:25
- 6二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 01:21:17
こんな時に奏でる音楽は何がいいだろうか
- 7二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 02:01:37
乙でした
奮い立てる音楽か
落ち着かせる音楽か
最期のオーケストラが気になりますね - 8二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 02:28:55
深夜にとんでもない文章を摂取したせいで寝られません。
ガラテアちゃんに責任とってもらいます