【SS・IF・CP・オリ】ルフィの子育て

  • 1◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:01:30

    「16です! なんでもします! このまま船に乗せてください!」

    サニー号への密航者。
    白黒の髪を持つ少年の声が響いた。

    サニー号において食料は厳重に管理されているのだ。
    鍵付きの冷蔵庫を、ガチャガチャしていたところを見つかりお縄になった少年。

    彼はルフィの一言で態度を豹変させ、ルフィにすがりついていた。

    「めんどくせぇことになったな・・・」
    ゾロがボソリとつぶやいた。

    少年の発言を聞いて、ロビンがなぜか赤面していた。

  • 2二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:03:42

    このレスは削除されています

  • 3◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:04:14

    ウソップ「おーい、こいつどうする?」

    サンジ「島から出たばっかだし、引き返すか?」

    特に実害を受けていないし、一味の雰囲気も軽いものだ。
    見つかった少年も、ムスッとしつつ大人しくしている。

    チョッパー「珍しい髪の色してるなぁ」

    ナミ「染めてるの?」

    ???「地毛です」

    チョッパー「へー、こういう髪のやつもいるもんだなぁ」

  • 4◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:04:57

    ルフィ「おれ、こういう髪のやつ知ってるぞ。赤白だけどな。・・・懐かしいなァ。また会いてェな」

  • 5◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:06:39

    ???「その人のことを教えてください! ボクの血縁かもしれないんです!」

  • 6二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:06:49

    あのスレの人だろうけど…ルウタだよね?

  • 7◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:09:45

    フィル「ボクは小さいときにうっかり海賊船に乗っちゃって・・・」

    ナミ「え・・・大丈夫だったの?」

    フィル「結局、隠れてやり過ごしたんだけど・・・。降りた港で、帰ろうと慌てて別の船に適当に乗っちゃって・・・家がわからなくなっちゃったんだ。

    本当に小さいころで、お母さんの名前も覚えてなくて・・・。ただ、髪が自分と同じように二色で、お母さんは赤白だったのは覚えてるの」

  • 8◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:10:16

    >>6

    ルウタです!

  • 9二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:11:30

    >>8

    すみません

    言い方悪かった

    ルフィとウタの子供ですよね?

  • 10◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:12:30

    >>9

    そうです

    本SSはエレジア出産系です

  • 11二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:12:53

    >>10

    なるほど

    楽しみにします

  • 12二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:13:12

    このレスは削除されています

  • 13◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:14:07

    オリキャラ:フィル
    少年()
    16歳()
    非能力者()

    白黒の髪の少年

  • 14◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:15:27

    オリジナル悪魔の実:バケバケの実

    食べると、実体を持つ幻を生み出せる幻影人間になる。

    木の葉をお金にしたり。
    タヌキやキツネが化かすイメージ。

    大ダメージを受けたり、海水をかぶると化けの皮が剥がれる。

    現実に夢を描く力。

  • 15◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:21:14

    フィル
    少年(少女)
    16歳(11歳)
    非能力者(バケバケの実の能力者)


    幼児のときに、エレジアに停泊した海賊船に探検で侵入したら、そのまま出港されてしまう。

    バケバケの力で隠れてやり過ごし、次の島で脱出したものの、帰ろうと港に停泊していた適当な商船に乗ってしまったため、完全な海の迷子になる。

    母を探して三千里。

  • 16◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:23:34

    このSSは、年下に構う一味を愛でるだけの話なので過度な期待はしないでください

  • 17二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:25:21

    このレスは削除されています

  • 18二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:26:21

    このレスは削除されています

  • 19◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 21:40:47

    ウソップ「それにしても、うちの船に乗るなんて勇気あるなー」

    フィル「ライオンのかわいい船で可愛かったから」

    フランキー「アーウ! いいセンスしてるじゃねェか」

    フィル「えへへ。そういえば船長さん、四皇のルフィに似てるね! 名前なんていうの?」

    チョッパー「なに言ってんだ・・・?」

    ナミ「この船は四皇・麦わらのルフィの船なんだけど。あなた、もしかして知らなくて密航したの?」

    フィル「え?」

  • 20二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:53:03

    あっ……嫌な予感しかしねェ

  • 21二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:54:29

    エレジア出産系…あれもしかしてこの子

  • 22◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 22:07:00

    ロビン「確か、なんでもするって言ってたわよね。何させちゃおうかしら」

    フィル「もしかしてボクの命は風前の灯火・・・?

    あの、なんでもするとは言いましたけど、ボク弱っちいですよ! 戦いで鉄砲玉とかやっても、無意味に散るだけと言いますか!」

    ウソップ「こら、ロビン。子供を怖がらすものじゃねぇよ。・・・あれ? 俺はなんで子供なんて言ったんだ? お前、16歳なんだよな?」

    フィル「どこからどう見ても、16歳の男のはずです!」

    ゾロ「・・・変な答えだな。男なんてことも聞いてないぜ」

  • 23◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 22:28:33

    フィル「それは一人前の立派な男と言いたかったといいますか・・・」

    ルフィ「ふーん。・・・期待してくれてるところ悪いんだが、ウタの居場所はおれも知らないんだよな」

    ナミ「ねえ。ウタってそもそも誰なのよ」

    ルフィ「おれの幼なじみだ。シャンクスの娘で、12年前に歌手になるって船を降りたらしいんだよな」

    ウソップ「うちの親父だけじゃなくて赤髪にも子供がいたんだな」

  • 24二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 22:30:47

    ウタはフィルのことを探すのに注力して、音楽活動あまりできていなさそうだなぁ・・・

  • 25二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 23:03:52

    このレスは削除されています

  • 26◆AJ5OonnGmw23/02/09(木) 23:04:19

    フィル「赤髪のシャンクスって、これまた四皇の・・・?」

    ロビン「そうね。ふふふ、あなた、今日は四皇に縁があるわね」

    ルフィ「今すぐってわけじゃないが、おれはシャンクスに近いうちにやり合いいくぞ。ウタの場所も聞いてみるし。オマエが良かったら乗ってきたらいい」

    フィル「ありがとうございます! 掃除、洗濯、皿洗い、雑用は任せてください!」

    ロビン「なんでもじゃなくなったわね・・・」

  • 27二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 06:45:40

  • 28二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 07:06:37

    ロビンが狙ってるぞ!逃げるんだ少年!若さごと絞られるぞ!!

  • 29◆AJ5OonnGmw23/02/10(金) 12:02:05

    >>28

    誤解させてたらすまん!


    ロビンはかつての己と同じ発言を見て、恥ずかしくなりつつ、ちょっかいかけてるだけです


  • 30◆AJ5OonnGmw23/02/10(金) 12:18:09

    【ウタ14歳、7年前のエレジアにて】

    フィルは4歳になった。

    「きゃはははは」

    誰に似たのか、元気いっぱいに室内を走り回っている。

    その笑顔には、幼なじみの面影がある。

    アイツは今ごろどうしてるのかな。

    ・・・もうすぐ会えるのかな。

  • 31二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 12:27:05

    コレはルフィとウタ再会して欲しいな

  • 32二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 12:27:52

    これはほんとにウタが色々報われないぞ…

  • 33◆AJ5OonnGmw23/02/10(金) 13:09:14

    室内は引越しのため、フィルのおもちゃを残して、ガランとしていた。

    エレジアは滅んだ国で、子育てには向いていない。

    私が妊娠している状態では危ないし、フィルが小さすぎても、長期の航海は不安があった。

    けれどフィルももう4歳。

    気を抜けば、住まいから脱走して、廃墟や海岸で1人遊んで回るくらいだ。
    別の心配はあるけれど船旅の心配はない。

    ゴードンも、着いてきてくれる。
    子育ても手伝ってくれているし、引越しにも付き添ってくれるし感謝する他ない。

  • 34◆AJ5OonnGmw23/02/10(金) 13:11:08

    移住先は確定していないが、とりあえずの目的地はフーシャ村。

    まずはこの子にアイツを会わせてあげたい。

    アイツはどんな反応をするかな?

    ・・・愛されて欲しいな。

    フィル。

    父親の名前の捩りでもあるけれど、『満ちる』『愛される』という意味を持つ。

    シャンクスとは色々あるけど、私にとって父親は特別だから。

    この子は父に愛されて欲しいと思って名前をつけた。

    ふと、窓の外を見ると、港に船が泊まっているのが見えた。

    マストに描かれるのはジョリーロジャー。

    「海賊が来た・・・」

  • 35◆AJ5OonnGmw23/02/10(金) 15:19:53

    「海賊?! どこどこ?」

    反応は劇的だった。

    今の今までボールを転がして笑い転げていたのに、窓辺に駆けてきた。

    心の中で、舌打ちをひとつ。
    今のは失言だった。

    「お母さん、港を見てくるから、ゴードンとお留守番してて」

    「やだ! わたしも海賊見に行きたい!」

    「海賊は悪いやつなの! 危ないのよ!」

    「大丈夫! 私・・・ボクは強いから!」

    ぼふんと煙をあげて、フィルが変身した。

    4歳の幼女から、私と同じくらいの背丈の少年へ。

  • 36◆AJ5OonnGmw23/02/10(金) 15:44:27

    バケバケの実。

    エレジアの森で遊ばせてて、ふと見たら変な模様の実を齧っていた。

    不味さにすぐに吐き出したものの、しっかり効果は体に刻まれていた。

    実体のある幻。
    それを使った変身に透明化、物への能力付与。

    この実の力で、どれだけ私とゴードンが苦労しているか・・・
    イタズラ盛りの子供に持たせていい能力ではない。

    少年に変身変身したフィルは、伸びた背丈でご機嫌に、遠くに見える海賊船を眺めている。

    今にも家から飛び出しそうだ。

  • 37二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 17:17:27

    4歳で海賊と戦闘は流石に危ないぞ!

  • 38二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 18:55:58

    せめてゴサイだな

  • 39◆AJ5OonnGmw23/02/10(金) 21:22:20

    「こら、調子に乗らないの!」

    生意気に、私より高くなったフィルの鼻を指で弾く。

    「きゃん!」

    ぼふんと、変身したときと同じような煙を出して元の姿に戻る。

    バケバケの力は戦いに使えるようなものではない。
    実体はあれどハリボテだし、メンタルの揺らぎやちょっとした衝撃で化けの皮は剥がれてしまう。

  • 40◆AJ5OonnGmw23/02/10(金) 21:23:20

    「ほら。お利口さんに待ってなさい。・・・ゴードン、留守番お願いしていい?」

    「わかった。任されよう。・・・むしろ君に危険なことを任せて済まない」

    「適材適所だよ。もしかしたら、ここに直接くるかもしれないから、フィルはさっきみたいな男の子に化けといてね。女の子だと攫っていこうとするかもしれないから」

    女の子は自分の身体を大事にしないといけない。

    フィルを産んだことに後悔はないけれど、それはそれとして、自分の反省を活かしてフィルの貞操感はしっかりとさせたくて言い聞かせる。

  • 41二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 21:24:35

    あっ…少年じゃないのか

  • 42◆AJ5OonnGmw23/02/10(金) 21:24:42

    「ボク、ゴーンとじゃなくて、おかあさんといっしょがいいな。おかあさんだって女の子じゃん」

    「お母さんは、女の子じゃなくてお母さんだからね。じゃ、いってくるよ」

    不安にさせたくなくて抱きしめる。
    ホカホカとした子供の体温に勇気をもらった。

    絶対にこの子を守ると心に誓う。
    港へと向かって駆け出した。







    ゴードンはウタを見送ると、室内へと振り返った。

    「さて、フィル。お母さんが帰ってくるまで絵本を読んであげよう。・・・・・・いな、い?」

  • 43二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 03:40:37

    ルフィとウタの子供だしまぁ大人しくしてる訳無いわな

  • 44◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 07:02:11

    【フィルがサニー号に密航して1週間後】

    ~サニー号 食堂〜

    ウソップ「なぁ。あの居候どう思う? 何か違和感があるんだが」

    ロビン「よく気がつくいい子ではあるわね。・・・政府や海軍の密偵じゃないかって疑ってるけど。でもそれにしては、迷子っていう変わった背景が変なのよね」

    サンジ「家に帰りたいって気持ちは強く感じるんだよな。・・・そこら辺はどう思う? 海に出たら帰れなくなって、賞金稼ぎはじめて今に至る迷子のゾロ」

    ゾロ「おい! ケンカ売ってんのか?! 怪しくはあるが、とりあえずは様子見だろ。

    ・・・剣術に興味があったみたいだから、剣を振らせてみた。筋はいいが、ありゃあ素人だったな。

    ・・・だからこそ、『どうやってサニー号に密航したか』が疑問だ」

  • 45◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 07:03:55

    ブルック「密航者や海軍の工作には気をつけていますからね。出港前には見回りしてますし。それなのに我々は『気づかなかった』」

    ウソップ「こういうと思考停止になるからあまり言いたくないけどよ。潜入に適した悪魔の実の能力者なんじゃねェか?」

    ロビン「小さいころから密航して暮らしてたって言ってたものね。有り得る話ね」

  • 46◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 07:12:48

    ガチャリ。

    上階からのドアが開き、鼻をヒクつかせたルフィが現れた。

    視線は、サンジの用意した焼き立てのクッキー。

    ルフィ「ふふふ〜ん♪ お、美味そうな物、食ってんな。おれにもくれよ」

    サンジ「食え食え。たくさん焼いといた。持ってんのは風呂場のバスタオルか。何やってんだ?」

    ルフィ「おう、フィルのやつ。船首から海に落ちちまってよ」

  • 47二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 07:42:12

    能力解けるんじゃないか?

  • 48◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 10:01:59

    ウソップ「おい、海に落ちて大丈夫だったのか? フィルって多分、能力者だろ。船首にはルフィしかいなかったんじゃねェか?」

    ルフィ「手を伸ばしたら届いたから大丈夫だ。それで引き上げたらよ! ・・・あっ」

    ナミ「うん?」

    ルフィ「今のなし! フィルは溺れてなかったし、悪魔の実の能力者じゃないぞ! あと、しばらく船首の方には来ないでくれな。じゃ!」

  • 49◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 11:08:41

    ルフィはわさっとクッキーを掴むと、バスタオルを小脇に挟み、食堂から小走りで去っていった。

    「・・・・・・・」

    ルフィが立ち去った後、食堂を沈黙が包む。

    ウソップ「・・・フィルは悪魔の実の能力者って言ったようなもんだよな」

    ロビン「海水が弱点で、溺れると何かが起きるみたいね」

    ナミ「私、なんとなく分かっちゃったかも。あの子、年頃の男にしては視線に下心がないのよね。・・・そのくせネイルしてたら、すごく興味深そうに近寄ってくるの」

    ウソップ「すげェ子供っぽいよな。子供っぽいというよりも、子供そのものみたいな・・・」

  • 50◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 11:09:40

    ゾロ「・・・船長が隠してやろうとしてんだ。とりあえずは見て見ぬふりしてやろうぜ」

    ロビン「ルフィが隠そうとするのは珍しいわね。ふふ・・・今のところはその嘘に乗るのか正解かしらね」

    ウソップ「フィルの件はルフィの預かりってことだな。いないやつにも伝えとくぜ」

  • 51二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 11:11:59

    さすが麦わらの一味やで…

  • 52二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 11:21:10

    フィルが変装してたこと隠そうとしてるんかね

  • 53◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 12:36:26

    【フィル、少し前に船首にて】

    「ふっふふ〜ん♪」

    雑務として任された甲鈑の清掃。

    背に風を受けながら、デッキブラシを片手に船首へとやってきた。

    船の先頭の高所なので、見晴らしがいい。

    辺り一面、何もなし。
    水平線の上をカモメが飛んでいる。

    誰もいないと思っていたら、先客がいた。

    ライオンの頭に、船長が座っている。

    鼻歌を聞かれたかもしれない。
    恥ずかしい。

  • 54◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 13:02:30

    四皇・麦わらのルフィ。
    子供でも知ってる、すごい海賊。

    この1週間で人となりを見てきたが、そんな肩書きの人には見えない。

    私が迷子になった原因が、海賊船を探検したことだし、海賊に良い印象は持っていない。

    そのときの海賊船も船内は汚かったし、『仲間を半分失った』直後だとかで、最悪の雰囲気だった。

    海賊関連は徹底的に避けるようにしてたので、『麦わらの一味』がそれ以来の海賊との関わりになる。

    船長さんは船首で寝てるのかな?

    目元は麦わら帽子が影になってわからない。

    手すりもなにもないのに、落ちたりしないのかな。
    私と同じ、悪魔の実の能力者じゃなかったっけ。

    「フィルか、掃除ありがとうな。サニー号には慣れたか?」

    お昼寝してると思ってジロジロ見てたら、起きてた!

  • 55◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 14:45:55

    「はい! お仕事がんばって覚えてます!」

    役に立てなかったら、海に捨てられるかもしれない。
    こちとらカナヅチ。死んでしまう。

    ロビンさんの言動は怖いし、実際にやりかねない。

    食堂に飾られていた一味の手配書の金額に目眩がした。
    何やらかしたら、こんな金額になるの・・・?

  • 56◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 14:46:50

    「おいおい。そんなに固くなるなよ。みんないいヤツらだろ〜」

    「うん、色んな船に乗ってきたけど、面白い、良い人達だと思う」

    人間なのか怪しい人がいるけど。
    特にブルックさん。
    夜中に会ったときには少し漏らしちゃったし、夢にも見た。

  • 57◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 15:46:38

    麦わらの一味は、親切に仕事を教えてくれてる。

    海賊と聞いてイメージするような、理不尽さや乱暴さは感じられない。

    「みんな、冒険の中で見つけた自慢の仲間だ!」

    それこそ宝を自慢する船長の表情に、素直に羨ましくなった。

    船旅にはいい思い出はない。

    船旅は海の迷子の始まりだし、いつも密航してるから、船の上ではだいたい緊張しっぱなし。

  • 58◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 15:49:04

    それにしても、船で見つかるのは初めての経験だ。

    まさか私が見つかるなんて。

    小動物や荷物、もしくは船員の誰かに化けたりしてたらまず見つからない。
    適当に食料をつまみ食いして、港に着くのを待つ時間でしかない。

    それがこのサニー号では、ごはんが金品以上に厳重に管理されてて、全く入手できず。

    海賊って宝を求めているイメージがあるけど、食料の方が大事なのかな?

    ごはんを手に入れようと、冷蔵庫や食料庫をどうにかしようとしていたら、見つかっちゃった・・・

  • 59二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 16:03:59

    海の上で食料がないのは死活問題だから他の海賊団の管理がおざなりな訳もあるまいが…まぁこの船はちょっとレベルが違うわな

  • 60二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 16:10:47

    >>58

    まさかルフィ対策で見つかったのかぁ

    グッジョブ船長!でいいのかな?

  • 61◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 16:25:40

    ルフィ船長しか、ここにはいないみたい。
    何かの当番ではないときは、船員と騒いでいたので知らない一面だ。

    「ここで何をしているんですか?」

    「うん? 海を眺めてた。船の先頭で水平線を見ていると、何かがその先からやってきそうじゃねェか。ワクワクするだろ」

    「ワクワク・・・」

    ルフィ船長はあまりに楽しそうで。

    輝くような笑顔が、ひどく心に残った。

    「一回だけここ来てみるか? 今だけ特別だぞ。ここはおれの特等席だからな!」

    海賊船の船長の言葉には、できるだけ従おうと思っていたし、なにより、素直に船長のことが羨ましくなって――――――

    気がつけば、はい、と答えていた。

  • 62◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 17:37:12

    ルフィ船長は、デッキに戻った。

    代わりに、私がライオンの頭へ。



    「どうだ? すごいだろ? ウシシシシ!」


    空が高い。


    陽光が波間にキラめく。


    そして船が前へ、前へと進むのを感じる。



    「確かに――――すごいや」



    デッキから見た光景とほとんど一緒なのに、船の先端にいるというだけで印象が違った。


    この海のどこかに、私の家が、私のお母さんがいるはずで。


    この船がそこに向かっているという希望を、この場所なら信じられた。

  • 63◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 17:38:22

    あ!

    水平線の先、海面が暗くなっている場所が見えた。

    「島だ! 島が見える!」

    「なに、本当か?!・・・ありゃあ、雲の影だな。島じゃないぞ」

    この席を特等席とする船長さんが言うからには、そうなんだろう。

    それに、島が見えたからって、目的地というわけじゃないだろうし。

    変に、はしゃいじゃったな。

    「そーなんだ。残念。あっ・・・!」

    気が抜けたせいか、足元を滑らせた。
    ここは本来、人が立つ場所じゃない。

    当然、手すりなんてない。

    そのまま海に真っ逆さま。

    じゃぼん。

  • 64◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 19:05:29

    海中を必死でもがきながら叫ぶ。

    せめて船の端でも掴まないと死んじゃう!


    「助けて! 泳げないの!!!」



    「捕まれ!」

    船長さんの声。

    文字通り手が伸びてきて、私も腕を掴んだ。

    私も必死にすがりつく。


    マグロの一本釣りとでもいう勢いで、船上へと引き上げられた。


    「はぁはぁ、死ぬかと思った・・・」


    カナヅチの身で、あんなところに立つなんてどうかしてた。


    腕が伸びるから船長さんも能力者だろうに、特等席にしてるなんて正気じゃない。

    それにしても、本当に危なかった。


    「船長さん、助けてくれてありがとう・・・」




    「そりゃあ、いいんだけどよ。おまえ縮んでねェか?」

  • 65◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 20:33:45

    まずい。

    バケバケの実の能力は海水が弱点。
    海水が触れると、真実の姿を表してしまう。

    今の私は『11歳の女の子』だ。
    ばっちり船長さんに見られてしまっている。
    上手い言い訳も思いつかない。

    「溺れてたし、悪魔の実の能力か? なんで隠していたんだ?」

    悩んでる間に、あっさり答えを言い当てられてしまう。

    不思議そうに、理由まで聞かれてしまった。

  • 66◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 20:34:40

    「お母さんとの約束なんです・・・」

    男の子と安易にベタベタしない。
    女の子は自分の身体を大事にしなさい。


    そんなことを、お母さんによく言い聞かされていた。

    『あの日』、海賊に狙われるかもしれないから男の子に化けときなさいとお母さんに言われて、私はイエスと答えた。

    お母さんとの最後の約束。

    だから私はできるだけ『ボク』でいるようにした。

  • 67二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:01:54

    お前7年もの間迷子になってんのか
    家帰ったら説教通り越して号泣されるぞ...

  • 68◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 21:31:58

    もちろん理由はそれだけではない。


    今ではお母さんが心配してた意味だってわかるし、街で活動するときも青年の姿だと舐められない。


    身長は高くなるし、力も少しだけ強くなる。


    いい事ずくめなのだ。



    「そっか、約束じゃあしょうがねェな。・・・びしょ濡れで大変だろ。タオル取ってきてやるよ」



    大して説明はしてないのに、船長さんは納得してくれたみたい。


    オマケにタオルまで。


    海水に濡れたままだと、再変身できないので助かる。

  • 69◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 21:34:05

    船長さんは船尾へと向かいつつ、振り返って私を見て一言。



    「そういえばよ。おまえの本当の姿って、ウタにそっくりだなァ」


    「え?」


    ウタって、会ったときに話してた赤髪のシャンクスの娘?


    聞き返したときには、船尾へと向かって、大ジャンプしていた。


    人間ってあんなにジャンプできるものなんだなぁ・・・

  • 70二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:38:11

    4歳の頃だから名前も覚えてねぇのか!

  • 71二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:39:48

    子供のころ、お母さんは「お母さん」だったなぁ

  • 72二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:43:17

    サボの5歳で5年間の家出を超えてんなぁ

  • 73◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 22:12:58



    船長さんはバスタオルを持ってすぐに帰ってきてくれた。


    「食堂でクッキーもらってきた! うんめェぞ〜♪」



    通過中の海域は初夏。

    濡れ鼠でも寒くはない。


    親切に甘えて、まずはクッキーを受け取る。


    「ホントだ! すごくおいしい!」


    「だろ〜? サンジのメシは最高なんだ!」


    クッキーはサクサクで、ホロリと舌の上で溶けていき、微かにオレンジの爽やかな香りがした。





    「おれ、考えたんだけどよ。おまえはもしかすると・・・」

  • 74◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 22:21:22

    可能性の話だと前置きして、船長さんはポツリと告げた。

    「そんだけウタに似てるんだ。おまえはウタの妹かもしれねェな・・・」

    つまり。

    「私のお父さんは赤髪のシャンクス?!」

  • 75◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 22:29:06

    一応明言しますが、シャンクスが父ではありません。


  • 76◆AJ5OonnGmw23/02/11(土) 22:33:40

    ルフィは12年前にウタは死んだものと思ってるし、仮に子供が生まれていたら何かの連絡はあるだろうという認識です

  • 77二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 22:41:24

    あら…

  • 78二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 04:39:56

    白.黒.化ける...ゾロア?

  • 79◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 05:54:11

    >>78

    ホントだ!

    能力的にミミッキュを連想してたけど、ゾロアっぽい!


    少年フォルムは通常で、

    少女フォルムはヒスイのすがたのイメージ

    ウタもルフィもタレ目だし

  • 80◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 06:00:00
  • 81◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 09:19:03

    【ウタ14歳の絶望と決意、7年前のエレジアにて】



    聴覚を研ぎ澄ます。

    自分の音を消すように動き、相手の音を探す。


    物陰に隠れながら進むと、野卑な笑い声が聞こえてきた。


    「この島って赤髪海賊団に滅ぼされたって聞いてたけど、マジで滅んでんな」


    「建物とか、なんで壊してんだろな。侵略や見せしめにしても、ここまでやることはないよな」


    「壊れた建物を漁れば、金目の物は出てきそうだが、めんどくせぇな・・・」


    「どんだけ時間かける気だよ。少しは人が住んでるみたいだから、そいつらを襲おうぜ」


    廃墟を探索しながら、悪い海賊は住居へと近づいている。


    絶対に近づけるわけには行かない。

  • 82◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 09:20:27

    「♪〜」

    逃げやすいように、退路を確認して歌いはじめる。

    「歌声が聞こえるぞ」

    「どこからだ?」

    「おい、あそこに女がいるぞ」

    「上玉だな! ついてるぜ」

    「なんで歌っているん・・・」

    精神をウタワールドに取り込まれ、ドサドサと人が倒れていく。

    この場にいた15人、全滅だ。

    「ふぅ・・・」

    上手くいって良かった。
    緊張を緩めて、ホッと息を吐く。

  • 83◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 09:23:08

    さぁて。
    私の体力が続くうちに、城の牢屋にでも連行しないとな。
    海軍でも呼んで引き渡そう。

    寝ている海賊の身体を操り、城へ向かって歩かせる。

    ガサリと、近くで物音がした。
    新手の海賊が10人ほど、少し離れた場所でこちらを覗いているのに気づく。

    「まだいるの!」

    油断していた!

    動揺から反射的に、新手へと敵意を向ける。

    操っていた15人、全員が抜剣。

    鈍く光る切っ先を向けさせた。

  • 84二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 09:24:41

    やっぱ体力が続く限りウタウタはクソ強いなぁ

  • 85◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 09:24:47

    「ひぃいいい! 化け物が出たぞ!」


    「船まで一時撤退だ! 走れ!」


    海賊たちは拍子抜けするほどあっさりと逃げていった。




    操り人形にしてる手前、文句をいうのは筋違いだけれど、仲間を見捨てて。

  • 86◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 12:34:30

    シャンクスは赤髪海賊団の一員であり、娘の私をエレジアに置いていった。

    言ってしまえば、捨てていった。



    海賊とは、そんなものなんだろうか。



    ・・・気持ちを切り替えよう。

    新手がまだいるかもしれない。
    それに、私の体力にも不安が残る。
    城までの道を注意しながら戻ろう。

    城が見えて来たところで、フィルと留守番しているはずのゴードンがひどく慌てた様子で駆けてきた。

    「大変だ! こんなときにフィルがいなくなってしまった! 住居や近場にはいない!」

    「なんですって?! ゴードン! この人たちを牢屋に入れといて!」

    捉えた海賊をゴードンに着いて行くように指示して、踵を返す。

    伏兵がいるとかは、この際に考えていられない。
    全速力で駆け出す。

    フィルは海賊船に興味を示していた。

    向かったとしたら港だ。

  • 87◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 13:52:44

    激しく暴れる心臓。


    止まらない耳鳴り。


    指先は意図せず震え、地面に立つことすらできず膝をつく。





    遠ざかる海賊船。

    いつかの夜の再現のよう。




    今の自分にはどういうわけか、周辺の生き物の『音』が聞こえていて。


    遠ざかる海賊船に、フィルの存在を感じた。



    手遅れだったのだ。




    「――――――――ァァァアアア!!!」


    喉元から出したことのないような声の悲鳴が自然と溢れてきて、そのまま意識を失った。

  • 88◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 13:53:59

    なんだこれ。
    地獄か?

    書いててしんどくなったので、横になるわ・・・

  • 89二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 14:15:04

    地獄だこれ

  • 90二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 14:16:09

    わァ...ぁ...

  • 91二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 15:14:10

    スレ主寝た方がいいよ…

  • 92二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 16:22:46


    白黒の髪ってこのアトラスっぽい感じかな

  • 93◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 17:43:22

    こんな感じ!
    一房だけ赤髪でもいいかも。

  • 94◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 17:44:48

    エグい題材に手を出してしまったと、若干後悔しつつ再開します

    本SSは、麦わら一味のほのぼの日常がメインです

  • 95◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 17:45:48

    背負われていた状態から、ベッドに降ろされようとしているところで目が覚めた。


    部屋は見慣れた自室で、背負ってきてくれたのはゴードン。


    「目が覚めたか。港で倒れていたところを見つけて連れてきた。・・・何があった?」


    そっか。


    海賊船が遠ざかる光景は夢じゃなかったのか。


    海賊船はいつも私を置いていく。


    夢であって欲しかった。


    「フィルが海賊に連れていかれた」


    ゴードンに一言だけ答えて、ベッドから飛び起きる。

  • 96◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 17:46:55

    向かう先は城の牢屋だ。

    捕らえられた海賊がワラワラと拘束されている。



    私はこいつらの仲間からフィルを助け出さないといけない。


    「あのときの女だ。おまえが何かやったのか?!」


    「クソッ、いきなり牢にぶち込みやがって」


    私が眠ったことで、ウタウタの能力は解除されている。


    「♪〜♪♪♪〜〜」


    再度、ウタワールドに叩き込んだ。

    さっきは現実での無力化のためだったけれど、今度は違う。

  • 97◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 17:48:08

    「ウタ、何をやっているんだ?」

    ゴードンが追いかけて来た。




    「こいつらから、全てを聞き出す」


    こいつらがどこの誰なのか。

    逃げていった仲間たちの素性の全てを。


    拠点のようなものをもっているのか。


    これからどこに向かう可能性が高いのか。


    何もかもを聞き出してやる。



    これでも海賊の娘。

    そのためには、なんだってしてやる。


    ・・・ウタワールドでは、なんでもできるのだ。

  • 98◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 17:48:51

    待っててね、フィル。

    何をしてでも助けに行くから。



    だから、お願い。




    無事でいて・・・

  • 99二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 18:21:21

    自分で書いてダメージ受けるの申し訳ないけど草

  • 100二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 20:00:35

    >>94

    ウタとの再開編はあるんれすか!?

  • 101◆AJ5OonnGmw23/02/12(日) 20:34:40

    >>100

    再会はいつか、きっと、必ず・・・!


    なお今、ウタがどこで何をしてるかは完全に未定


    赤髪海賊団か、クロスギルドか、ハートの海賊団か、革命軍か、CPか、グランテゾーロか、所属せず単独の賞金稼ぎか、心折れて塞ぎ込んでいるのか・・・

  • 102二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 20:53:21

    >>101

    oh...

  • 103二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 04:46:49

  • 104二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 06:20:12

    鳥に化けて飛べないのかと思ったけど雨に打たれたら元に戻るからやらないだけか

  • 105◆AJ5OonnGmw23/02/13(月) 06:41:48

    >>104

    鳥に化けたら飛べます

    雨は平気、あくまで海水がNG


    鳥に化けたとして、大海原を渡るのはリスキーすぎでは・・・

  • 106◆AJ5OonnGmw23/02/13(月) 08:30:56

    【サニー号 ~釣り大会~】

    天気は快晴!

    今日の雑用は『釣り』!

    はじめての挑戦にワクワクしている。

    ・・・やったことないと言ったら、ウソップさんが教えてくれることになった。

    一度やってみたかったから嬉しい。

    ウソップさんはこの船で1番釣りが上手いらしい。

  • 107◆AJ5OonnGmw23/02/13(月) 08:32:11

    教えてもらっていたら、「面白いことやってんな!」と船長さんもやってきた。


    フィル「船長さんも、釣りは得意なの?」


    ルフィ「ああ、任せろ!」


    ウソップ「嘘つけ! おまえが一番下手だろうが。落ちついて、静かにするのが苦手だからな」


    ルフィ「なはは、おれにだって静かにできるぞ! 勝負だ!」


    ウソップ「おいおい、ウソップ様の釣りの腕は知ってるだろ。勝負にならねェと思うぞ〜。それで良ければかかってこォい!」



    ルフィ「おう! ・・・なに、ボーと見てるんだ? おまえだって勝負すんだぞ」


    フィル「そうなの? わかった! 」


    エサとして、魚の切身を釣針に刺して、海へ!


    ウソップ「お〜、様になってるじゃねェか」

  • 108◆AJ5OonnGmw23/02/13(月) 15:24:02

    釣り糸を垂らして、空を眺める。

    ウソップ「船暮しが長いっつても、釣りはしたことなかったんだな」

    フィル「うん。いつも密航して、こっそり乗ってたから」

    ウソップ「おうおう、破天荒に過ごしてきたんだなぁ。サニー号に乗ったのが運の尽きよ。食料庫に入ろうとして、見つかったんだってな」

    フィル「お腹が減って死ぬかもってなってさ・・・迂闊だった」


    すごい海賊の船で密航がバレたと気づいたときは焦った。
    けど、今となっては良かったな。

    お母さんへのヒントは手に入ったし、みんな親切で楽しく過ごせている。

    ウソップ「食料の管理は厳重だからな。なにせうちの船には盗み食いの常習犯がいるからよ」

    ジロリとウソップさんが、ルフィ船長へと視線を向ける。

    フィル「ああ、それでかぁ」

    食事の際に、信じられない量のごはんを船長さんは食べる。
    しかも1日に5回。

    その上で、さらに盗み食いまでしようとするんだ・・・

  • 109◆AJ5OonnGmw23/02/13(月) 15:24:55

    ルフィ「腹が減るときは減るんだから、しょうがねぇじゃねぇか」


    ウソップ「おまえ、燃費わりーからな。サンジが食料の在庫を気にしてたし、釣りがんばるぞ」


    フィル「もしかして、ボクの食い扶持が増えたから・・・?」


    これだけ気持ちがいい人達に迷惑をかけるのはしのびない。


    ウソップ「おまえが食べる分なんて誤差だぜ、誤差。あっはっはっ!


    そんなことよりもよ、おまえの父ちゃん、赤髪のシャンクスかもしれないんだってな」

  • 110◆AJ5OonnGmw23/02/13(月) 16:29:00

    お父さん、か。

    ルフィ「ああ、フィルはウタにそっくりだからな!」

    ウソップ「根拠がこいつが言ってるだけってのが不安だけどな。なんか親父のことを覚えてないのか?」

    フィル「うーん、お父さんの記憶はないんだよね。お母さんと・・・『ゴーン』って呼んでた執事みたいな人と二人暮しだったよ」

  • 111二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 17:15:57

    ちゃんとゴードンの事父親じゃないって分かってるのね

  • 112二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 19:36:17

    このレスは削除されています

  • 113◆AJ5OonnGmw23/02/13(月) 19:37:09

    ウソップ「そうか、・・・海賊の親父ってそんなもんかもしれねェな。うちの親父も海賊で、シャンクスの船に乗ってるらしいんだけどよ。俺が子供のころに出ていって、それっきりだ」




    ルフィ「・・・シャンクスはウタを途中までは船に乗せてたんだけどな」



    ウソップ「途中まで?」




    ルフィ「ああ、あるときの航海から帰ってきたときに迎えにいったら、船から降りるみんなが暗い顔でよ・・・ウタはいなかった」

  • 114◆AJ5OonnGmw23/02/13(月) 19:41:41

    ウソップ「おまえ・・・それ・・・絶対なんかあっただろ」




    ルフィ「シャンクスは、歌手になるためウタは船を降りたって言ってた。おれが知ってるのはそこまでだな」




    フィル「・・・ねぇ、ウタってどんな人だったの?」




    ルフィ「ウタか! すげェやつだったぞ。同じぐらいの歳なのに、赤髪海賊団の音楽家をやっていてよ。村に来た時は一緒によく遊んでた。・・・歌うのが好きなやつだったぞ。歌手になれてるといいな」


    船長さんは海の遠くを眺めた。


    ・・・この海の先で、ウタは歌手になれたんだろうか。

  • 115◆AJ5OonnGmw23/02/13(月) 20:58:50

    ぴくんと、私の釣り竿が動いた。


    フィル「あっ、かかったみたい! ボクが一番だ」


    ウソップ「おー、こりゃすげェ大物だな・・・」


    ルフィ「やったな! こりゃバーベキューできるな!」


    ウソップさんがなぜか冷汗をかきながら後ずさって、船長さんは手放しで喜んでいた。


    釣り勝負してたのに、相手の大物でそんなに喜ぶもの?


    それに、バーベキュー??




    ぐらりと、サニー号が揺れた。


    そして、海面から現れる巨影。




    釣り糸の先には、サニー号ほどはある海獣が大口を開けていた。


    フィル「きゃああああああ!」


    終わりだ。みんな食べられちゃうんだ!!!

  • 116二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 04:12:44

    ゾロに斬って貰わないと大き過ぎて船に乗せれないぞ!

  • 117二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 06:51:34

    守守

  • 118二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 07:38:54

    最初の頃のウソップもあんな感じだったのが懐かしい

  • 119◆AJ5OonnGmw23/02/14(火) 12:07:39

    船長さんが一歩前に出た。



    ルフィ「いくぞ! ゴムゴムの~"銃"!!!」


    凄まじい打撃音。

    船長さんの伸びた拳が、海獣の頭を捉えていた。


    静寂。


    ざばんと大きな波飛沫をあげて、海獣は仰け反りながら沈んでいく。


    一撃。

    ただの一撃で、海獣を倒した。


    これが・・・海賊の頂点・・・!



    ルフィ「釣り勝負はおれの勝ちだな。ニシシシシ!」


    ウソップ「いやー、そいつはナシだろ〜。釣りじゃねェじゃねえか」

  • 120二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 16:16:55

    海王類って美味しいのかな?

  • 121◆AJ5OonnGmw23/02/14(火) 17:47:02

    ルフィ「おっと、いけねェ! 流されちまう!」



    進む船から遠ざかる海獣に、船長さんの伸びる腕がぐるぐると巻きついた。


    腕、めちゃくちゃ伸びるなぁと、軽く現実逃避してしまう。



    ウソップ「サンジ呼んでくるから待ってろよ! 食えるやつだといいな」



    サンジ「食えるやつだぞ。オマエら、よくやった!」


    刀みたいな長い包丁を持ったサンジさんが現れた。

  • 122◆AJ5OonnGmw23/02/14(火) 18:07:33

    ウソップ「おーし、じゃあ敷物敷いとくな」


    ウソップさんがどこからか持ってきた大きな敷物を、甲鈑に広げる。



    ルフィ「おーし、じゃあ、行くぞ! サンジ」




    サンジ「いつでも来い!」

  • 123◆AJ5OonnGmw23/02/14(火) 18:18:21

    ルフィ「おらよっ!」

    船がぐらりと揺れて、海獣がサニー号を飛び越えるように宙を舞う。

    船長さんが海獣を、巻きついた腕をそのまま突き上げるようにして放り投げた。

    え、待って、放り投げた?

    その際の波飛沫の冷たさが、現実の光景ということを教えてくれた。

    船長さんの放り投げと同時に、サンジさんは甲鈑から跳躍。

    刃を陽光に煌めかせながら、凄まじい勢いで包丁が振るわれる。

    あれ?

    今、サンジさん、空中で跳ねたような・・・

    いや、見間違いじゃない?!

    やっぱり空を駆けてる!

  • 124◆AJ5OonnGmw23/02/14(火) 20:19:45

    サンジ「ほらよ、一丁上がりだ」


    音もないほど綺麗に着地を決めて、風下を向いてタバコを咥えた。




    タバコに火をつけた瞬間。


    まるで魔法のように、分けられた海獣の切身が、ドサドサとウソップさんが広げた敷物の上に落ちてきた。


    フィル「すごい! すごい! すごーい!」


    思わず全力で拍手していた。

  • 125◆AJ5OonnGmw23/02/14(火) 22:55:19

    サンジ「はは・・・そんなに褒められると照れるな。ほら、オマエら、保管庫に入りきれない分は、ご希望通りこのままバーベキューにするぞ。付け合せの用意しとくから、屋外コンロだしとけ」


    いくつかの切身を担ぐと、サンジさんはキッチンへと戻って行ってしまった。

  • 126◆AJ5OonnGmw23/02/14(火) 22:56:29

    ウソップさん指示のもと、バーベキューの準備を進めるけれど、さっきの光景がまだ目に焼き付いて離れない。


    フィル「サンジさん、飛んでたよね?! なんかの能力者なの?」


    ウソップ「ありゃ月歩っていう体術だぜ。サンジは空を駆けられるぞ」



    ルフィ「おれもがんばったらできるけどよ。サンジは普通にできるからすげェ!」


    フィル「ええええ・・・」


    いや、人が空を飛ぶっておかしくない?


    それに、もうひとつ、気になることがある。

  • 127◆AJ5OonnGmw23/02/14(火) 22:57:21

    サンジ「褒めてもなんもでねェよ。」


    あ、サンジさんが戻ってきた。


    さっき気になったこと。

    聞いてみよう。


    フィル「サンジって剣士なの?」

  • 128◆AJ5OonnGmw23/02/15(水) 06:15:22

    サンジ「俺はコックだ。食材以外に刃物は向けねえ」



    あれだけ鮮やかな包丁裁きで、剣が扱えない訳がないだろうに・・・職人っぽくてかっこいい。


    すごいなぁ。


    サンジさん、懸賞金10億超えてるんだよね。


    冷静に考えると、コックなのに懸賞金10億越えで、空を駆ける体術を修めてるっておかしい。

  • 129◆AJ5OonnGmw23/02/15(水) 06:19:06

    お肉を焼く匂いに釣られたのか、人が集まってきた。



    ゾロ「おう、バーベキューか。うまい酒が飲めそうだ」



    ・・・サンジさんがあれだけ刃物を扱えて剣士じゃないとしたら、この船の本職の剣士はどれだけ強いんだろうか。


    パッと見、普通の人っぽいサンジさんもびっくり人間だった。


    ・・・この船にいる間に、できるだけこの面白い人たちのことを知りたいな。




    空は快晴。

    風は穏やかで、お肉の油が弾ける音が響く。



    船は進む。

  • 130◆AJ5OonnGmw23/02/15(水) 06:21:59

    サンジがフィルへの当たりがやわらかいのは、少女であるとバレてるからです

    『海獣』なのは、ルフィにお肉食べさせたかったから!

  • 131二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 06:27:45

    サンジが男と女で対応が極端に違う所見られてフィルにちょっと引かれてそう

  • 132二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 09:36:23

    >>131

    確かに

    読者としてはもう慣れたからなんとも思わないけど、リアルでそんな人に対面したら面食らうよね

  • 133◆AJ5OonnGmw23/02/15(水) 12:41:01

    >>131

    盲点!

    そのうちサンジ幻滅シーンいれます


    過去編へ!!!

  • 134◆AJ5OonnGmw23/02/15(水) 12:42:38

    【ウタ 17歳の落胆と希望】






    失敗した。








    3年かけて、エレジアに来ていた海賊を全員捕らえてわかったことと言えば、フィル誘拐は冤罪だったということだ。

  • 135◆AJ5OonnGmw23/02/15(水) 12:52:32

    海賊は誰もフィルのことを知らなかった。

    エレジアでさらった子供のことを尋ねても何のことかわからないという反応で、ウタワールドで拷問しても変わらなかった。

    ・・・フィルは海賊船の中で隠れきり、どこかの港でこっそり降りたと考える他にない。

    この三年間、海賊に痛めつけられたり、殺されたりしてないことを天に祈り続けていた。

    その祈りだけは天に届いたということだ。

    あははは。

    フィルが今どこにいるか手がかりは、ほとんどないけれど。

    フィルに会いたい。

    会って、抱きしめてあげたい。

  • 136二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 18:20:43

    我が子が行方不明ってマジで消耗しそうだもんなあ
    早く再会させてあげてくれー!

  • 137◆AJ5OonnGmw23/02/15(水) 20:01:18

    不安は次々に浮かんでくる。


    お腹を減らしてないか。

    ひとりぼっちで泣いていないか。

    風邪をひいてないか。

    ・・・そもそも五体満足なのか。

    心が磨り減ってなくなりそうなくらい、心配でたまらない。

    焦りばかりが降り積もる。



    だというのに、フィル探索に向けて切り替えられない私がいた。

    私の中が空っぽで熱量が足りない。

    心が言葉通り磨り減って、なくなったのか。

  • 138◆AJ5OonnGmw23/02/15(水) 20:03:13

    ゴードン「ウタ、大丈夫か」

    気づけば、席の対面にゴードンが来ていた。

    ウタ「ごめん、ボーとしてた」

    ここは酒場。
    情報を集めるために、ゴードンと別行動で来たというのに、何もせず合流時間を迎えてしまった。

    私は一体何をしているんだろうか。


    ゴードン「・・・繰り返しになって悪いが、少し休んだ方がいい」

    ウタ「しつこいよ。私がフィルのお母さんだから、早く見つけてあげないと」

    それに、フィルのために動いてないと、どうになりそうだった。

  • 139◆AJ5OonnGmw23/02/15(水) 20:04:22

    バケバケの能力をもつフィルは隠れんぼのスペシャリストだった。

    海賊から隠れきる可能性は、当然考えてしかるべきだったのに・・・

    私を背に去った海賊船を追いかける――――――その行為自体が私に狂騒の熱を与え、目を眩ませていた。

    海賊を追い回していたとき、暗い悦びを感じていたのだ。

    あの海賊も、フィルも、私がシャンクスに置いていかれたこととは何も関係がないのに・・・

    ああ、度し難い。

    海賊ではなく、フィルを追いかけないと行けなかったのに海賊憎しで凝り固まって、盲目と化していた。

    そのせいで、事件を3年も過去にしてしまったんだ。

    今更、フィルの痕跡なんて残っているんだろうか・・・

  • 140二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 21:58:21

    ルフィsideとウタsideの温度差で風邪引きそう

  • 141二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 00:27:53

    【落胆と希望】ってあるけど
    この状態のウタの希望って何だ...?

  • 142二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 04:20:28

    情報収集でビブルカードの存在を知ってなんで作っていなかったんだて何度も悔やんでそう

  • 143◆AJ5OonnGmw23/02/16(木) 06:30:32

    私とゴードンの席に、一人の男が近づいてきた。

    「よぉう、おまえ、”セイレーン”のウタだろう? 」

    海賊を追うために出入りしていた賞金稼ぎの溜まり場で、見たことのある顔だ。

    セイレーン。
    歌声で惑わす海の魔物。

    賞金稼ぎとして、例の海賊を追いかけるうちについた異名。

    ウタ「そうよ」

    賞金稼ぎ「おれも賞金稼ぎやってんのよ。情報交換と行こうぜ」

    ウタ「悪いけど・・・賞金稼ぎは引退よ」

  • 144◆AJ5OonnGmw23/02/16(木) 06:31:34

    もう追う海賊はいない。
    これからの時間はフィルを探す時間だ。

    賞金稼ぎ「ありゃ、そうか。まぁ、商売敵が減る分にはいいこった。・・・そういやお前さん、弟はいるかい?」

    ウタ「弟? いないけど・・・」

    まあ、シャンクスがどこぞの女を孕ませてる分には知らない。

    賞金稼ぎ「いやな。おまえによく似た白黒頭のボウズが、帰る島がわからない迷子だっつってたのを見たのよ」

  • 145◆AJ5OonnGmw23/02/16(木) 07:18:50

    ウタちゃんの言動が、らしくない気がしますが・・・

    ・経産婦
    ・賞金稼ぎ3年
    ・メンタルどん底

    なので、こういう感じという想定です

  • 146二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 08:41:25

    ムジカMVのウタちゃんを想像するとしっくりくるから大丈夫

  • 147二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 09:51:10

    このレスは削除されています

  • 148二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 09:52:09

    このまま情報を辿ってルフィの船に着くか?
    って思ったら4年前なんよね

  • 149二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 12:14:47

    まだまだ先は長いな・・・

  • 150二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 20:28:27

    せめてルフィとフィルは最後までほのぼのしてくれ…

  • 151◆AJ5OonnGmw23/02/16(木) 23:08:26

    基本的にはルフィsideはほのぼのです

    でもウタsideは展開上、まだ落ちます・・・

  • 152◆AJ5OonnGmw23/02/16(木) 23:23:03

    白黒頭のボウズ。

    その言葉に、フィルがよく化けていた少年の姿を思い浮かべる。


    賞金稼ぎ「こういう稼業だからよ。情報収集に酒場で、噂話に耳を傾けてることがあるんだけどよ。三ヶ月くらい前に、そのボウズが隣の席のやつと離しているのを見たぜ」


    フィルだ!

    そんな目立つ頭の迷子が、そんなにいるわけがない!


    ウタ「その子は元気にしてた?!」


    賞金稼ぎ「あぁ。楽しそうに対面のやつと喋ってたぜ。迷子の話が珍しかったから覚えていたんだ。・・・悪ぃな。そいつら、そのままどっかいっちまったからよ。その後のことは知らねえんだ」


    そっか、元気にしてるんだ。


    ああ、それが知れただけでも今は良かった。

    今までずっと水中にいて、やっと息継ぎできた気分。



    ほんとに良かったぁ・・・無事で・・・

  • 153◆AJ5OonnGmw23/02/16(木) 23:25:38

    ウタ「その店の場所を詳しく教えてくれる? 情報料は・・・っ」



    賞金稼ぎ「良いってことよ。賞金稼ぎ、辞めんだろ? 祝儀だ。こんなアコギな商売長く続けるもんじゃねえぜ。どっかの旦那の嫁さんになるといい。・・・いないんだったら、立候補するぜぇ?」



    ウタ「お生憎さま! 旦那さんにアテはあるんだ」

  • 154◆AJ5OonnGmw23/02/16(木) 23:38:53

    賞金稼ぎ「そりゃ残念だな。じゃあ話の種に、海の魔性と謳われた歌声を聞かせてくれよ」




    ウタ「歌かぁ。・・・リクエストを受けて歌うのは久しぶりだな。お易い御用だよ」



    前に歌ったのはいつだろう。

    フィルが生まれる前かな?



    賞金稼ぎ「そりゃ楽しみだな。おーい、賞金稼ぎのセイレーンが、その自慢の歌声を披露してくれるってよ!」



    場所は・・・って考えたところで、酒場中に声をかけてくれていた。


    注目が集まり、少し緊張する。


    でも懐かしい緊張だ。


    何を歌おうか。



    考えながら、息を深く吸って――――――――

  • 155◆AJ5OonnGmw23/02/16(木) 23:43:31

    息が吐けない。


    声を出せない。


    歌うことが――――できない。

  • 156◆AJ5OonnGmw23/02/16(木) 23:53:58

    なんで突然、歌えなくなるの?!

    毎日練習していたし、散々歌ってきた。

    こんなことはなかったのに。

    そう。

    賞金稼ぎとして、戦いの日々の中で歌ってきたんだ。

    ウタウタの能力で、人を傷つけるための歌を。

  • 157◆AJ5OonnGmw23/02/17(金) 00:06:13

    だからか、と気がついた。




    コックが包丁で人を刺したとして、

    その包丁で、人を幸せにする料理を振る舞えるのか、という話だ。



    赤髪海賊団として抱いた夢。
    ルフィとの新時代の誓い。


    『歌でみんなを幸せにする』


    歌を刃として振るったカナリアが、抱いていい夢なのか。

    ゴードン「ウタ・・・?」

    どうしても期待に応えて、歌うことができなかった。

  • 158二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 06:29:02

    ほぴ

  • 159二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 12:13:34

    賞金稼ぎ良い漢だわ

  • 160◆AJ5OonnGmw23/02/17(金) 17:55:31

    この後にルフィパートを挟んで続き、

    【ウタ 18歳の一歩一歩】の予定でしたが、内容を省略します

    なぜなら暗すぎるから・・・

    もうこれ以上、暗い話は書きとぅない・・・

    再会まで巻きでいきたいので、以下、
    【ウタ 18歳の一歩一歩】のあらすじを公開します

  • 161◆AJ5OonnGmw23/02/17(金) 17:58:19

    ゴードン主観
    ・自分が管理し封印していたはずのトットムジカが出現して、エレジアが滅んだ

    ・ウタのことを考えて、トットムジカに抗った赤髪海賊団を、エレジア崩壊の主犯とする偽装に協力



    代わりにウタを一人前の歌姫にすると約束したが・・・



    ・海賊が島を襲った際に無力で、ウタに任せるしかなかった

    ・その際に、一時的に預かった娘が脱走。そのまま行方不明へ。

    ・行方不明の責任から、賞金稼ぎとして追いかけるウタに付き添い、慣れないながらも協力。とても音楽の指導まで手は回らなかった。

    ・ウタは歌姫として唄えなくなった(New)

    おや、ゴードンの様子が・・・

  • 162二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 19:29:40

    ゴードンさんのメンタルもボロボロになるやつ!

  • 163二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 19:42:50

    温度差酷すぎやろ!!!
    頼むから再開させてやってくれ!!!

  • 164◆AJ5OonnGmw23/02/17(金) 20:42:49

    ゴードン、心労と慣れない暮らしに体調を崩し倒れる。

    倒れて初めて、ゴードンに負荷をかけていたことにウタは気づく。

    海賊を追い回したことといい、ウタは視界の狭さを反省する。

    ゴードンの看病、
    フィルの情報収集、
    歌うたいとしての自分のリハビリ。

    やることは多いけれど、
    今度、ルフィとフィルに再会したとき、
    誇れる自分であるように。

    一歩一歩を大切にして、見落とさないように進んでいこうとウタが決意するお話でした。



    省略!

  • 165二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 21:17:01

    読んでみたい気もするけど、確かに暗い話過ぎて省略もやむなし
    とりあえずウタちゃんは前を向けるようになりましたということですね

  • 166二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 03:02:29

  • 167◆AJ5OonnGmw23/02/18(土) 09:31:26

    【無人島キャンプ!】


    ロビンさんの希望により、無人島に立ち寄った。

    なんでも遺跡が残っているらしい。


    遺跡のある奥地へ散策する班と、海岸でキャンプの準備するだ。


    私はというと――――


    フィル「船長さんとチョッパーさん、二人とも持ってるフタのついたカゴってなに?」



    ルフィ「何言ってんだ。森の奥にいくんだぞ。虫カゴいるだろ」



    チョッパー「ウソップの分も捕まえてやるんだ!」



    虫かあ。

    こっそり色んな場所に潜り込んで過ごしてきた身の上だから、適当なところで寝る怖くはないけど。




    「・・・捕まえて食べるの?」




    正直、遠慮したい。

  • 168◆AJ5OonnGmw23/02/18(土) 11:51:03

    あれ?




    ルフィ「・・・・・・・っ!」




    「・・・・・・・・・・グスッ」




    なんか変なこと言った?

    ちょっと、二人ともなんか言ってよ!

  • 169◆AJ5OonnGmw23/02/18(土) 13:46:36

    ルフィ「チョッパー! 気合いをいれろ! おれたちで、フィルに森の遊びを教えてやるぞ!」



    チョッパー「おうよ!まずはいい感じの棒の見極めからだな! いくぞコノヤロー!」



    ロビン「ふふふ・・・」



    二人に引きずられるようにして、島の奥地に向かった。

  • 170二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 18:49:42

    森遊びには微塵も興味ないけど2人が愉しそうだから満面の笑顔のロビンちゃん可愛い…

  • 171二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 19:46:18

    このレスは削除されています

  • 172◆AJ5OonnGmw23/02/18(土) 19:47:05

    戦いは熾烈を極めていた――――


    チョッパー「ああ?! おれの『トナ・ホーン』がぁ・・・」


    三つ巴のバトルロイヤル。

    最初に落ちたのはチョッパーのギラファクワガタ『トナ・ホーン』だった。


    船長さんのヘラクレスオオカブト『カブ太郎』と、同じく私のヘラクレスオオカブトとの一騎打ちへ!


    フィル「いけー、がんばれ!ボクの『エターナル ✝ イリュージョン』! 」


    道中でしっかり吟味したいい感じの棒『レイン☆ボウ』を振り回して応援する。



    ルフィ「かかってこい! 負けねェぞ! 行けェ、おれのカブ太郎!」


    あっ?!

    私のエターナル ✝ イリュージョンが・・・っ

  • 173二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 19:48:16

    流石だ…爆速で馴染んでやがる

  • 174二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 19:52:23

    名前の間に十字架‪(‪ ✝︎ )挟むの面白過ぎだろ

  • 175◆AJ5OonnGmw23/02/18(土) 19:52:32

    書いてて思ったけど、めちゃくちゃ平和だな・・・

  • 176二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 22:08:27

    フィル、女の子のはずなのにこのノリについていけるのはやはりルフィの血か

  • 177◆AJ5OonnGmw23/02/18(土) 22:36:51

    いい感じの棒を吟味したり、木々の隙間に隠れているカブト虫なんかを探していたら、すっかり時間が過ぎてしまっていた。


    最初のころは「あらあら、うふふ」と見守ってくれていたロビンさんは、カブト虫相撲に熱中している間にかいなくなってしまった。


    ルフィ「腹が減ってきたな! ロビンと合流して弁当にしよう!」


    フィル「ロビンさんがどこに行ったか、知ってるの?」


    チョッパー「ロビンはこっちに行ったぞ。おれは鼻が効くからな!」


    フィル「チョッパーさんスゴイ!」



    チョッパー「そんなに褒めるなよコノヤロー」

  • 178◆AJ5OonnGmw23/02/18(土) 22:38:47

    ロビンさんはすぐに見つかった。


    ロビンさんは廃墟の古い街が一望できる丘に立っていた。

    ここがどうやら話にあった遺跡らしい。




    朽ちた灰色の建物の群れ。


    雨風に晒された家屋の残骸。


    苔むした建材の湿気た匂い。


    人の気配のない無音の街並み。




    今は遠い、お母さんが住んでいた街の風景が思い浮かんだ。


    胸が少しだけ暖かくなったが、まだ会えないさみしさが勝る。


    フィル「――――懐かしいな。早く家に帰りたいや」




    ロビン「懐かしい? この光景が?」

  • 179◆AJ5OonnGmw23/02/19(日) 07:38:23

    楽しいお弁当タイムの後、遺跡の探検に向かう船長さんたちに着いていこうとしたところで、ロビンさんに呼び止められた。



    ロビン「お弁当食べる前に、この遺跡を懐かしいって言ってたわよね。どういうことかしら?」



    独り言を聞かれちゃってたか。

    恥ずかしい。


    ロビンさんは発言がちょこちょこ怖いので、少し緊張する。


    フィル「ボクが帰りたいと思ってる島が廃墟だったんですよ」


    ロビン「・・・廃墟の島ね。なんでそこは廃墟なのかわかる?」


    フィル「よく覚えてません。なにせ生まれ育った島で、廃墟が当たり前で疑問に思わなかったんです」

  • 180◆AJ5OonnGmw23/02/19(日) 08:20:04

    廃墟なのは、小さい頃は大きなオバケが出たんだと思っていた。


    なんであんなところに、お母さんは住んでたんだろうな。


    ロビン「あなたのお母さんが赤髪海賊団と縁があるとすると・・・少し根拠が弱いけれど、その島に心当たりがあるわ」


    ゆっくりと、その島の名を告げた。



    ロビン「エレジア。かつて音楽が栄えていて・・・赤髪海賊団に滅ぼされたと言われる島よ」

  • 181◆AJ5OonnGmw23/02/19(日) 09:28:23

    エレジア。

    そこが私の家かもしれない場所。


    行ってみたい!!!

    なんとか寄ってもらえるようにしないと・・・


    ロビン「これはアドバイスよ。エレジアはそう遠くはないけれど、サニー号の予定航路からは大きく外れるわ。影響は大きくて、船員全員の計画が狂う。もし進路希望の説得をするなら・・・」


    知性の煌めきを感じさせる視線。

    私の『化けの皮』が貫かれる。



    ロビン「せめて『誠意』を見せることね。素顔のあなたと対面できることを期待しているわ」



    これは・・・バレてる?!


    みんなにバレてるとしたら、そのままお願いごとするのは確かに不誠実。

    ロビンさんはそれを教えてくれたんだろう。


    う〜ん、すっぴんかぁ・・・

  • 182二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 12:40:32

    ロビンマジでナイス過ぎる!!!
    問題はフィルが素顔を晒せる位麦わらの一味を信用してるかどうかだが...

  • 183◆AJ5OonnGmw23/02/19(日) 19:53:15

    【ウタ19才の驚き】




    商船の用心棒の仕事に手が空いた。


    暇つぶしにニュース・クーから受け取った新聞を眺めていたら、挟まれていた手配書に椅子から転げ落ちるかと思うほど驚かされた。




    モンキー・D・ルフィ

    懸賞金 3億ベリー


    ついに来たかという気持ちと、

    3億ってアンタなにしたのという動揺。

  • 184◆AJ5OonnGmw23/02/19(日) 19:55:18

    即座に、電伝虫でゴードンに連絡を入れる。
    コール音が続く。


    ゴードンは1年ほど前に体調を崩したが、無事に復調。
    フィル探しへ協力したいというゴードンと押し問答して、最終的にエレジア付近の島で情報収集と人脈作りに尽力してくれることになった。

    私が移動しながら、ゴードンは定点で役割分担。
    フィルを探す日々は続いている。

    人脈も作って情報を集めているゴードンの方が、ルフィについて何か知っているかもしれない。

  • 185二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 21:45:44

    まあ旦那予定の幼馴染が3億ベリーの賞金首はびっくりするよね
    でも半分以上は嬉しい感情で構成されてそうな驚き

  • 186二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 21:56:10

    3億だからエニスロビー後だな

  • 187二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 22:12:03

    エニエス・ロビーを陥落させて旗を撃ち抜いて、世界政府に喧嘩を売る行為の真意をどう見てるか。
    普通の海賊ならば政府に戦いを挑むようなことはしない事に気づくか否か

  • 188二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 07:55:20

    生死不明時点じゃないか?
    タイミング的に。

  • 189◆AJ5OonnGmw23/02/20(月) 07:58:40

    ゴードン「ウタか。・・・連絡が来るのではないかと思っていた。『麦わらのルフィ』のことだろう。私も最新の手配書を見た」

    麦わら・・・
    改めて手配書に目を通すと、見覚えのある麦わら帽子だ。

    シャンクスの手配書から、いつも被っていた麦わら帽子がなくなっていたことは知っていた。

    イメチェンしたのかと思ったけど、ルフィにあげたのかな。

    ウタ「そうだよ。昔話した幼なじみで、フィルの父親なの。情報があったら教えてよ」

  • 190二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 08:50:24

    最初に話聞いたとき年齢とか計算したらゴードンさん絶句しちゃっただろうな

  • 191二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 11:41:26

    例えウタがエレジアに戻ってなくてもゴードンが居るからエレジアにフィル達来てもすぐウタの事呼べるな

  • 192◆AJ5OonnGmw23/02/20(月) 19:01:35

    >>191

    残念ながら、ゴードンの拠点はエレジアではありません


    なにせ廃墟ですし、人の流れ皆無


    そもそも体調悪くして倒れた人をそんなところで過ごさせるわけにもいかず・・・

  • 193◆AJ5OonnGmw23/02/20(月) 20:33:46
  • 194◆AJ5OonnGmw23/02/20(月) 20:34:52

    このスレはボツネタでも垂れ流そうかと思っています

    グランテゾーロ ルートとか

  • 195◆AJ5OonnGmw23/02/20(月) 20:41:10

    あらすじ①

    ウタは、天竜人がフィルと同じくらいの年頃の子を殺そうとしている場面に出くわしてしまう。

    天竜人をシバいてしまい、お尋ね者へ。

    逃走中、グランテゾーロにフィルの目撃情報を得て、変装してグランテゾーロに無名の歌姫として潜入。

  • 196◆AJ5OonnGmw23/02/20(月) 21:11:24

    グランテゾーロ②

    「フィルがグランテゾーロにいる」は、天竜人を害したウタに興味を持ったテゾーロが流したガセネタだった。

    ウタはテゾーロに見つかる。

  • 197◆AJ5OonnGmw23/02/20(月) 21:21:41

    グランテゾーロ③

    テゾーロ、ウタに天竜人へ手をあげた理由を問う。

    ウタの『回答』に、テゾーロは満足し好印象。

    改めて、探し人フィルのことをウタに尋ねた。

    テゾーロはウタが『フィル』という少年を探していることは把握していたが、何者かまでは辿り着けなかった。

    「自分が産んだ子供」という言葉に絶句。
    ロリコンに乱暴されたものと誤解し、テゾーロは深く聞くのを止める。

  • 198◆AJ5OonnGmw23/02/20(月) 21:26:17

    グランテゾーロ④

    テゾーロはウタに取引を持ちかける。
    「自分がフィルを見つけてきたら、10年間、グランテゾーロで歌姫をやること」

    (=10年は天竜人から母子共に匿う)

    ウタの答えは――――――――

  • 199二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 21:30:15

    このレスは削除されています

  • 200◆AJ5OonnGmw23/02/20(月) 21:30:55

    グランテゾーロ⑤

    赤髪海賊団は、ウタが天竜人関連でお尋ね者になったことをキャッチ。

    保護のために探し回り、拠点に構えるゴードンに辿り着く。

    そこでフィルのこと、そしてウタがグランテゾーロへ向かったことを聞く。

    全速力で、グランテゾーロへ。

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています