- 1二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 22:36:36
スレタイ要素が絶賛行方不明ですがライブ開催まであと一波乱ぐらいありそうです
前スレ
【SS・CP・閲覧注意】幼少期からウタの匂いを嗅ぐのが好きなルフィ PART6|あにまん掲示板いつまで続くのかは私にも分かりませんhttps://bbs.animanch.com/board/1536205/bbs.animanch.com - 2二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 22:37:11
立て乙
- 3123/02/20(月) 22:37:19
- 4二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 22:37:30
てぇてぇてぇてぇ……ENDLESS
- 5123/02/20(月) 22:37:54
- 6123/02/20(月) 22:38:17
- 7123/02/20(月) 22:38:47
- 8123/02/20(月) 22:39:23
- 9二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 22:40:20
たて乙
- 10123/02/20(月) 22:40:45
ここはウタ限定匂いフェチなルフィと「ルフィならまあいいよ」なウタが嗅ぎつ嗅がれつしたり一緒にお風呂入ったりする文をスレ主がつらつらと投げていくスレです
前スレで真実の映像を見てしまったウタの曇りはガープ が殴り飛ばしてくれました - 11二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 22:41:07
うめ
- 12123/02/20(月) 22:41:34
更新は明日
- 13二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 22:51:53
たておつですー!
- 14二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 23:10:07
ライブまであと一波乱かー。
一足早く、天竜人か、四皇に目を付けられるとか……?
ルフィたちの行動で何か大きく報じられることってあったかな - 15二次元好きの匿名さん23/02/21(火) 07:19:57
おはよう
- 16二次元好きの匿名さん23/02/21(火) 18:34:19
あげとこ
- 17123/02/21(火) 22:29:46
本日は久しぶりに彼らが登場します
- 18123/02/21(火) 22:30:16
「おいお頭、本当に見るのか?」
「ウタが使ってる電伝虫って向こうにもこっちの映像が映っちまうんだろ?」
「おれ達の顔なんか見たら、ウタの奴怒って配信辞めちまうかもしれねェぞ」
「いや、もうおれ達の顔なんて忘れちまってるかもな……」
「………………」
「別におれ達が顔を出す必要もない。ロックスター、お前配信見てろ」
「え、おれですかい?」
「ウタはお前の顔を知らねェからな。お前は普通の一ファンとして見ててくれ、おれ達は画面に映らないところで声さえ聞こえりゃいい。
流石に無人の映像を流し続けるのも気味が悪いだろう、怪しまれない程度にな」
「そういうことなら引き受けますがね……お頭もそれでいいんで?」
「……ああ。元気な声さえ聞ければ、それでいい」 - 19123/02/21(火) 22:35:37
─────────────────
「みんなー!元気?ウタだよ!
いやー、急に何も言わずに配信休んじゃってごめんね!ちょっと色々あってさ……
前にもこんなことあったよねー……ホント申し訳ない、もうドタキャンは絶対しないから!
よーし、それじゃあ今日は!今まで休んでた分までいーっぱい歌っちゃうから、みんな楽しんでいってね!」
久しぶりの配信なのに、見てくれてる人は前よりちょっと多かった。
こんなにたくさんの人が私の歌を待っていてくれてるんだ。やっぱり嬉しい。
あんなことはあったけど、こんな風に前と同じように……ううん、前よりも元気に歌えるようになった私自身も、何だかちょっと嬉しい。
「どうかな?前よりもいい感じで歌えてると思うんだけど……」
『すごいよ、前よりカッコ良くなった!』
『元々凄かったのに更にパワーアップしてるね!』
『もしかして休んでたのは歌の修行の為だったり?』
「あ、あはは、まあそんな感じかな……?」 - 20二次元好きの匿名さん23/02/21(火) 22:40:07
それにしても最近、見るからに海賊!って見た目してる人もよく見かけるようになったなあ。
海賊嫌いの私としては正直複雑なんだけど……
でも、私の歌を聴いて「悪いことはもうやめよう」なんて思ってくれる可能性もあるかもしれないし……
それにもし追い出したりしたら、逆恨みで町や国を襲ったりするかもしれないし……まあ、別に突っぱねなくてもいいかな。
ほら、今見てくれてる赤いツンツン髪の人もまさに海賊って感じ……
「………………ん?」
……どうして目に止まったのかは自分でも分からなかった。
その赤いツンツン髪の人、背景が船の甲板っぽかったし、多分船の上で見てるんだと思う。
甲板なんてどの船も似たようなもんだし、普通なら特別気にするようなことでもない。
だけどその他と特には変わらない筈の背景は、何故だか妙に懐かしさを感じた。 - 21二次元好きの匿名さん23/02/21(火) 22:40:44
シャンクス。。
自分の娘に男はどんと胸を張れッッ☆ - 22123/02/21(火) 22:46:06
『……? ウタちゃんどうしたの?』
「え? あ、ああごめんごめん、ちょっと晩ごはんのこと考えてて」
……考えてみれば、その可能性も当然あったはず。
というか配信を始めた当初から、私の夢の1つでもあった。
いつかシャンクス達がこの私の配信を見てくれればいいのに。
そうすれば、いつか迎えにきてくれるかもしれないのに。
……いや、今来られても胸を張って会えないかな?
まだ私の夢が叶ってない。
ツンツンの人がシャンクス達と関係あるのかは分からないけど……
どうせ来るなら、もうちょっとだけ待ってほしいな。 - 23123/02/21(火) 22:50:12
そんな活動を時に地道に、時にド派手に、そして何よりもがむしゃらに続けていく。
ファンの数も始めた当初からは考えられないぐらいに膨れ上がり、今となってはもう世界中にファンが存在するぐらいになった。
……そしてもうすぐ、丸2年。ルフィ達の再出発も近づいてきたある日のこと。
「ゴードン、ちょっといいかな?」
「ん?」
2人分の夕飯を食卓に並べ終わったゴードンを呼び止める。
今日のご飯はハンバーグ。美味しそうな匂いに刺激され、お腹の虫が鳴りそうなのをぐっと我慢する。
「どうした?夕飯ならもう出来たぞ」
「うわー美味しそう!いつもありがとうゴードン!
……じゃなくて。いやいつもありがとうはそうなんだけど。
ちょっと相談したいことがあるんだ。ご飯食べながらでもいいかな?」
「ああ、構わないぞ」 - 24123/02/21(火) 22:56:27
────────────────
「もうすぐ2年になるね。私が配信始めてから」
「もうそんなに経つのか……月日が経つのは早いな」
「配信始めてから特にそう感じたよ、毎日楽しかったからさ。
まあ、あんまりのめり込みすぎて変な方に進みそうになったこともあったけど……」
「それもお前が歩んできた大事な一歩だ。今日に活かせる経験となっているならば、それは無駄ではない筈だ」
「へへ、そうかな……」
「それで、相談と言うのは?」
「ああ、そうだった。
いきなりなんだけど……ファンももう世界中にいるし、そろそろ頃合いかなって」
「頃合い?」
「うん。そろそろ開催したいと思ってるんだ。
世界中のファンがみーんな参加できる、世界一のライブ」 - 25二次元好きの匿名さん23/02/21(火) 22:58:00
でもロックスターって2年前に赤髪に加入する前から9000万の割と大物なんだよな...
- 26123/02/21(火) 22:58:06
本日はここまでのようです
- 27二次元好きの匿名さん23/02/21(火) 23:04:43
ガープがある程度立ち直らせたけど、そろそろルフィの朗報聴かなきゃまた凹みそう
- 28二次元好きの匿名さん23/02/21(火) 23:13:32
本編と違って前向きなライブ開催だ
- 29二次元好きの匿名さん23/02/22(水) 03:49:00
!
- 30二次元好きの匿名さん23/02/22(水) 06:53:57
age
- 31二次元好きの匿名さん23/02/22(水) 09:26:44
おれもウタちゃんのライブ行きたいです……;;
- 32二次元好きの匿名さん23/02/22(水) 17:43:26
あげとこ
- 33123/02/22(水) 22:08:24
また明日
- 34二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 05:56:34
ほぢ
- 35二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 07:20:55
あげとこ
- 36二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 13:14:27
あーしたてんきになーれ
- 37123/02/23(木) 21:24:30
牛歩ではありますが本日分を
- 38123/02/23(木) 21:25:06
「……昔から夢だと言っていたな」
「うん、いつか絶対やりたいと思ってた。
ファンのみんなの為でもあるけど……私の夢のためにもやりたいんだ」
「フフ。そんな御伽話の様なライブも、電伝虫のおかげで実現出来そうだな。
だが世界中にファンの輪が広がっていったのはお前の今日までの活動の賜物だ。胸を張るといいさ」
「ふふん、その為に頑張って来たからね!
でさ、ゴードンにも準備を手伝って貰えないかなと思って」
「成程……そんな規模のライブなら、確かに1人で準備するにも限度があるな。
分かった、私に出来ることは手伝おう。お前の晴れ舞台は私の楽しみでもあるからな」
「へへ、ありがとねゴードン。
よーっし!そうと決まれば!
私はライブ開催まで、もっともーっとパフォーマンスを磨かなきゃ!」 - 39123/02/23(木) 21:29:48
それからの私は、今までよりも一層配信活動に勤しんだ。
少しでも多くの人に私の歌を届けるために。
世界ライブを発表した時の盛り上がりはそれはもうすごいものだった。
エレジアで一番大きなライブ会場を何とか改修して使うつもりだけど、当然配信を見てくれてるファンの全員が来ることはできない。
だからこの新種の映像電伝虫と、私のウタウタの能力が重要になってくる。
どうすればみんなに一番楽しんでもらえるか、歌やダンスの練習や配信活動の合間に試行錯誤する日々。
当然すっごく大変だけど、これはこれで楽しいかも。
会場の改修とか告知運営とか、その他私にはよく分からない諸々の準備はゴードンが全部引き受けてくれた。
ゴードンも世界規模のイベントなんて初めてだから不安だとは溢してたけど、顔を見る限りは特に心配なさそうだった。 - 40二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 21:33:05
今思い返してもエレジア会場のあの謎のプレゼントボックスは絶対作る必要なかっただろウタって思うよ
- 41123/02/23(木) 21:34:17
勿論、他の歌い手の研究にも余念はない。
不特定多数に発信できるのはこの電伝虫だけだけど、普通の映像電伝虫での中継は色んな人が定期的にやってるからね。
グラン・テゾーロのカリーナさんに、魚人島のマリア・ナポレさん。
それから、この2年間で急に出て来たガイコツの音楽家、ソウルキング。
ルフィの話と照らし合わせると、どうもこの人はルフィの仲間らしい。
この人についても色々聞きたいことだらけだけど……まあ直接会った時に聞けばいいや。
だって、ルフィも仲間と一緒に私のライブに来てくれるって約束だもんね。
ああ、早く会いたいなあ……
……そして、もうすぐルフィと最後に通話した日から丸2年。
ずっと待っていたその吉報は、相も変わらず唐突なものだった。 - 42123/02/23(木) 21:38:45
「ふぃー……っと。よし、今日の練習はこのぐらいにしとこうかな。
あーあっつ……ちょっと頑張りすぎたかな。汗止まんないや……
前にルフィから連絡来た時もこんな感じだったっけ。あの時は……まあ恥ずかしかったなあ……
……もしかするとまたこんなタイミングで急に電伝虫鳴っちゃったり? …………なんて……」
プルプルプルプル
「!?」
……鳴っちゃったよホントに。どんな偶然だよ。
とは言っても、驚いたのは一瞬だけ。
ずっと待っていた電伝虫が鳴ったことの嬉しさの方が、何十倍も何百倍も大きかった。
少し乱れている息を深呼吸して整えてから、私はそっと受話器を上げた。
「……ルフィ?」
『おう!おれだ!!』 - 43123/02/23(木) 21:42:28
「……久しぶりだね。そっか、もう2年も経つのか……
この電話がかかって来たってことはつまり……?」
『ああ、またサニー号に戻ってきた!おれ達、いよいよ再出発したんだ!』
「そっか……っ」
……また堪えきれなかった。
節目のルフィとの電話だと毎回泣いてるような気がするなあ私。
『おいおい、いきなり泣いてんのか?』
「いいでしょ別に、嬉しいなって思っただけ。
ルフィが元気そうだったのも嬉しいし……また新聞でルフィの活躍見られると思ったら、それも嬉しいなって……」
『……ニシシ、そか!』 - 44123/02/23(木) 21:47:09
『そういやお前、昔言ってた世界ライブ!遂にやるんだってな!ブルックが言ってた!』
「ブルック……って、ソウルキングだったっけ。いいなー、そんなにすごい音楽家が仲間なんて羨ましいよ」
『ししし、音楽家はずっと欲しかったんだ!海賊は歌うもんだからな!お前とパンチとモンスターが教えてくれただろ!』
「パンチ達元気にしてるかなあ……モンスターもおっきくなってるんだろうなあ」
『……けどおれ、また先越されちまったなァ』
「え?」
『そのライブ、お前の夢だったライブなんだろ?それが開催されたら、新時代勝負もウタの勝ちになっちまうなと思ってよ』
「あら、なーにルフィ?今日は随分素直じゃん。
ふふん、勝負となれば話は別!悪いけど妥協も手加減もしないからね、
……でも、ただ開催するだけじゃダメ。大成功させてこそ私の夢も叶うってもんなの。
アンタとの約束もあるし、絶対見に来てよね?もし来なかったら一生許さないんだから」 - 45123/02/23(木) 21:51:12
『当たり前だろ?おれの仲間にもお前のファンが何人もいるからな、絶対行くよ!』
「そう言われると何か嬉しいな。ちゃーんと全員分の特等席用意しとくから、期待しててね」
『お、ありがとう!ニシシ、楽しみだなァ!
あ、ところでウタは?今何やってたんだ?』
「今?今はダンスの練習終わったとこ。これからお風呂入るんだ、勿論アンタの石鹸使ってね。
それにしてもルフィ、アンタ私が汗クサ〜いタイミングで連絡寄越してくるの好きだね」
『は?』
「さっきまですっごい汗かいてたから今すっごいよ私。ルフィが近くにいたら襲われちゃうかもなあ」
『なあその情報いるか?』
「それに、ルフィが船出す時もそうだったでしょ?おかげで汗だくのまま2日もシャワーも浴びられなかったんだから」
『いやそれは偶然……』
「ホントに?ピンポイントで狙い撃ちしてない?この電伝虫相手にニオイも届ける機能とか付いてない?」
『お前なあ……』 - 46123/02/23(木) 21:55:36
『そんなわけねェだろ……おれを何だと思ってんだ?』
「スケベ」
『オイ!』
「にひひ、否定なんてさせませんよーだ。
でもさルフィ、アンタライブに来る時はちゃんとお風呂入って来なさいよ?じゃないと抱きつかせてあげないから」
『分かってるよ!次会った時覚えてろよお前!』
「きゃーこわーい、襲われちゃーう(棒読み)
……でも、会えるのはホントに楽しみにしてるからね。怪我してボロボロな身体で来たりしないでね?私泣いちゃうから」
『任せとけ!この2年でおれは強くなったんだ!ちゃんと五体満足で言ってやるよ!
じゃーな!ライブの日決まったら教えてくれ、絶対行くからな!』
「うん!またね!」
ガチャ - 47123/02/23(木) 22:00:04
「……………………
……テンション上がって変なこと言っちゃった……
引かれたりしてないよね?ルフィに限ってまさかそんなことないよね……?
……とりあえずまずはお風呂入ろう。それから考えよう。
……それにしても……
…………ルフィの声、カッコよくなってたなあ……」
───────────────────
「……風呂なあ。
……うし、久しぶりにおれも作ってみるか!
おーいナミ、みかんの皮余ってねェか?
……いや食わねェよ!石鹸作るのに使うんだ!
…………何だよその顔は!どいつもこいつも失敬だな!」 - 48123/02/23(木) 22:02:46
ルフィはこれ以降ライブまで毎日お風呂に入ります(本日はここまで)
んでもこの辺の時間軸にこんなにのんびり通話してる時間があるかは一切が謎のままだねえ - 49二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 22:22:03
劣情を刺激するなあ
- 50二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 22:45:44
ルフィが毎日お風呂だと……!?
サニー号のみんながすげえ顔して驚いてそうだな - 51二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 22:53:08
五体満足ではあるけど胸にデカい傷あるしおそらく体内はボロボロだしでウタも怒りそう
- 52二次元好きの匿名さん23/02/24(金) 07:02:35
★
- 53二次元好きの匿名さん23/02/24(金) 15:27:52
❤
- 54二次元好きの匿名さん23/02/24(金) 15:33:22
にひひ笑いいいよね
- 55二次元好きの匿名さん23/02/24(金) 21:53:24
ライブで2人が再開する時が楽しみだ
- 56123/02/24(金) 22:02:57
また明日
- 57二次元好きの匿名さん23/02/25(土) 04:17:17
航海してからも石鹸作りまくってるのかと思ったけど
ルフィが石鹸作り始めた理由ってウタにお返ししたいからだったなぁ - 58二次元好きの匿名さん23/02/25(土) 13:31:20
あげとこ
- 59二次元好きの匿名さん23/02/25(土) 20:25:40
✨
- 60123/02/25(土) 22:07:38
今日はいつも以上にあちこち場面が飛ぶので悪しからず
- 61123/02/25(土) 22:08:54
ルフィの無事を改めて知れて、私もいっそう気合い充実。
その次の日には『麦わらの一味 完全復活』みたいな見出しの新聞がエレジアにも放り込まれた。
私ももうすぐライブ開催で忙しいけど、ルフィもきっとこれからすごく忙しくなるはず。
電伝虫だってまともに出られなくなるかもしれない。
でも2年も修行してたんだからルフィもきっと強くなってるだろうし、またいつか新聞で名前見られるといいなあ。
……なんて思っていたのも束の間。
次に紙面でルフィの名前が思っていたのは、それからそう何日も経っていないある日のことだった。
『ドレスローザ崩壊 天夜叉・ドフラミンゴ墜つ!
首謀者は"麦わら"のルフィ、並び"死の外科医"トラファルガー・ローによる海賊同盟』 - 62123/02/25(土) 22:12:19
「うわー……国崩壊って。また派手にやったなあルフィも……
……あれ?このトラ何とかって人、確かロッキーポート事件の首謀者でもあったよね?なんでルフィと一緒にいるんだろう……
それにドレスローザって、確か配信を見てくれてる人の中にも住んでる人がいたような……」
"5億"という懸賞金額と共に笑顔を見せるルフィと、その隣のフカフカ帽子のトラ何とかさん。
それからこの度ルフィにぶっ飛ばされた、オシャレなサングラスのいかにも悪そうな海賊の顔写真が載った一面をぴらりとめくる。
「う……」
めくったページに載っていたのは、崩壊したドレスローザの写真。
少し前まであったはずの日常がぐちゃぐちゃになってしまった光景が私のトラウマを刺激し、少しだけ目を背けたくなった。 - 63123/02/25(土) 22:16:46
「………………」
少し前までの私なら、どうしてこんなことをしたのかとルフィに電伝虫で問い詰めるぐらいはしてたかも知れない。
だけど今は、ルフィが誰かを苦しめようとしてこんなことをしたわけじゃないってことはすぐに確信できた。
「……ふふ。どうせルフィのことだし、誰かの為にムカつく奴をぶっ飛ばしたとかそんなんでしょ」
昔からヒーローは好きだけどなるのはイヤだって言ってたっけ。よく分かんない理屈で。
勿論自分のために怒ることだってあるだろうけども……
でも、ルフィはいつだって誰かの為に怒ってた。
ねえルフィ、お肉をみんなに分け与えるだけがヒーローじゃないんだよ。
新聞に折り込まれていた、私にとっての紛れもない"ヒーロー"の手配書を机に置いて、今日も私は配信電伝虫のスイッチを押した。 - 64123/02/25(土) 22:20:59
──────────────────
「これ一応ルフィの『ビブルカード』、作っといた。欠片もらってくよ」
「へェ、いつの間に」
「………………」
「……ん?何かあったか?」
「……いや、ルフィが起きてりゃ聞きたいこともあったんだがな」
「起こすか?」
「いや、こうも熟睡してちゃ起こそうにも起きそうにないな。またの機会にするよ」
「ん、そうか」
「──ほんじゃ、ルフィにゃ手ェ焼くだろうが……よろしく頼むよ!」
「おう!!任しとけ!!」
「……ハハ、エースと似たようなこと言ってやがるな」
ガチャ バタン - 65123/02/25(土) 22:24:40
「………………」
(……少しでいいから昔の話ができりゃ良かったんだがな。
今や時代の寵児と言ってもいいぐらいの人気がある、エレジアの歌い手ウタだが……)
『髪の色はちょっと変だけど、すっげェ歌が上手ェんだそいつ!あといいニオイもするぞ!』
(……ルフィが昔話してたガールフレンドと名前が同じなのは……まさか偶然じゃあないよな?)
プルルルル…… ガチャ
『サボか、こちらハック』
「ああ、今出たとこだ。すぐ戻る」
(……もしそうだって言うんなら、おれとも無関係の話じゃなくなるな。
あれ程の人気が出てしまえば、『奴ら』の目に止まるのもそう遠くはない。
聞けばもうじき世界規模のライブをするそうじゃないか。あいつらが動くとすればそのタイミングか……?
……ルフィの大事な人間なら、晴れ舞台を邪魔させるわけにはいかないな。少し方法を考えるか……) - 66123/02/25(土) 22:29:03
─────────────────
「私と暮らすのイヤなのかな……
迷惑なのかな……!!
「知るか!!お前が考えろ!!!
おれは『これでいいのか』聞きに来ただけだ!!!」
「やだよ!!!いいわけないよ!!!」
「じゃあ来るか!?」
「うん!!行く!!!」
「レベッカ!?麦わら!!待ちなさいっ!!!」
「ヴィオラさんっ!!お願いがあるの!!!」
「!?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「行くぞ!!振り落とされんなよ!!!」
「うん!!!」 - 67123/02/25(土) 22:33:23
「レベッカ!!」
「ん?」
「お前を丘の裏に置いておれは囮になる!!後は自分で行け!!
国中がお前を守ろうとしてる!!捕まったら王宮に連れ戻されるぞ!!」
「うん、分かった!!ありがとう!!」
「……ホントはあの兵隊のこと殴ってやりてェけど!!」
「へ?」
「置いて行こうとするとか、ブン殴ってやりてェけど!!それはお前に任せた!!」
「え!?いや殴んないよ!?物騒だよルーシー!?」
「なんでだよ!!もっと怒っていいんだぞお前!!」
「……なんでルーシーがそんなに怒ってるの?」
「色々あったんだよ!!昔!!」
「そっか……まあでも、本当にありがとう!!ルーシー!!!」
「ししし!ああ、気にすんな!」 - 68123/02/25(土) 22:37:46
─────────────────
〜ゴーイングルフィセンパイ号〜
『みんな、元気?ウタだよ!
みんな、今日は重大発表!ついに世界ライブの日程が決まったよ!』
「おお〜!ついにこの日が来たべェ〜!野郎ども!!準備はいいかァ!!」
\オオーーー!!!/
「ん……おお!それウタの配信か!ロメ男、お前もウタのファンなんだな!」
「お前も……ってことは、もしやルフィ先輩もウタ様推しだべか!!いやー流石はルフィ先輩、お目が高いべ!!」
「にしし、ああ!12年前からずっと大ファンだ!」
「へェ〜、12年前からだべか!おれなんかじゃとてもルフィ先輩のファン歴には……
……ん?」 - 69123/02/25(土) 22:42:01
「ん?どうした?」
「い、いやルフィ先輩?お言葉ですべがそりゃいくらなんでも物理的におかしいべ?
それじゃあまるで、ウタ様が子供の頃から知ってるみたいな……」
「ああ、知ってるぞ」
「!?」
「お、おいルフィ聞いてねェぞ!!そりゃ一体どう言うこった!!」
「あれ?お前らにも言ってなかったか?」
「何をだよ!!」
「ウタはよ、シャンクスの娘なんだよ。
そんで、おれの友達なんだ。
シャンクス達がフーシャ村に来た時からずーっとな」
「………………え?」
\\\エエ〜〜〜〜〜っ!!!??/// - 70123/02/25(土) 22:46:11
─────────────────
「みんな、元気?ウタだよ!
もうすぐ世界ライブ、いよいよだね!
みんなは準備できてる?私はみんなに会えるのが今からすっごく楽しみ!」
今日はライブ前最後の配信。
歌うのはちょっと控えめにして、ライブに向けての意気込みやら何やらを語ってみよう。
「抽選に当たった人、もうライブのチケットは手元に届いたかな?
外れちゃった人はごめんね、どうしてもエレジアのライブ会場だけじゃみんなを招待することはできないんだ……
でも安心してね!電伝虫越しでも、絶対に退屈はさせないから!
会場のみんなにも、画面の向こうのみんなにも!最っ高のライブを届けてみせるからね!!」
見慣れた顔も初めての顔も入り混じって並ぶ、配信画面の向こう側を見渡してみる。
何故か妙に目につく赤いツンツン頭の人は、今日も見てくれてた。 - 71123/02/25(土) 22:51:09
『…………あれ?』
「ん?」
配信途中、画面の向こうのみんながざわつき始めた。
何かあったのかな?
「あれ、みんなどうしたの?」
『ウタちゃんの声が聞こえなくなったよ?』
『故障かな……?』
「え、聞こえてない?」
どうやら画面の向こうに私の声が聞こえてないらしい。みんなからの声は聞こえてるってことは、多分こっち側の不具合だ。
いやーライブ本番じゃなくてよかった、ちゃんとメンテナンスしとかなきゃ……
『ん?もう終わったのか?』ヒョコ
『あっ、お頭!?』 - 72123/02/25(土) 22:54:07
本日はここまで
これよりライブ前最後の波乱となります - 73二次元好きの匿名さん23/02/25(土) 23:39:13
親バレ(ではない)
- 74二次元好きの匿名さん23/02/26(日) 00:03:52
シャンクス。。
何やってんだお前ぇえええッッ - 75二次元好きの匿名さん23/02/26(日) 00:16:13
ウタ以外のリスナーも他のリスナーを見れてたら四皇が歌姫を見てるとか阿鼻叫喚になりそう
- 76二次元好きの匿名さん23/02/26(日) 07:53:54
おはよう
- 77二次元好きの匿名さん23/02/26(日) 14:30:55
★
- 78123/02/26(日) 22:03:59
最近よく鯖落ちするわね
では本日分をちらちらと - 79123/02/26(日) 22:04:48
『なんだ、まだ終わってないじゃないか』
『お頭』
『なんで急に声が聞こえなくなったんだ?故障か?』コンコン
『お頭』
『いや待て、ウタも固まってるじゃないか。こりゃあ完全に故障……』
『お頭!!!』
『何だロックスター、うるさいぞ』
『………………
……向こうから……丸見えなんすがね…………』
『え?
…………あっ』
「……シャン……ク、ス……?」 - 80123/02/26(日) 22:08:43
『何やってんですかいお頭!!』
『馬鹿野郎早く引っ込め!!』
『す、すまん!!迂闊だった!!』
画面の向こうで海賊達がてんやわんやしている。
目元に残る三本の傷跡。
大好きだった赤色の髪。
見間違えるはずもない。
そこにいたのは紛れもなく、私がずっと会いたかった、大好きな海賊だった。
「シャンクス!!待って!!行かないで!!!
私だよ!!!ウタだよ!!!ずっと会いたかったんだよ!!!」
実際会ったわけじゃないし、私の声も届かないけど、その存在を感じられただけで私の感情は爆発した。
よかった。まだちゃんとシャンクス達のこと好きなんだ、私。 - 81123/02/26(日) 22:12:17
今だけは私の声がファンのみんなに届いてなくてよかった。
大きな声で大好きなその名前を呼んでも、誰にも聞こえてなかったから。
あんまりにも大きな声で呼ぶもんだから、ゴードンが驚いて様子を見に来たぐらいだった。
でも私がそれに気づいたのはしばらく経ってから。
シャンクスがいなくなって、画面に残っているのがロックスターって呼ばれてたツンツン頭の人だけになっても。
私は一心不乱にシャンクスの名前を呼び続けた。
もし他の人に聞こえてたらどうしようとか、そんなことを考える余裕はなかった。
他のみんなには聞こえないまま、シャンクス達にだけ声が届けばいいのに……
『ウタちゃん……どうしたの……?』 - 82123/02/26(日) 22:16:31
「え……?」
そんな私を我に帰してくれたのは、ファンのみんなの心配そうな声だった。
気がつけば、私の顔は涙でぼろぼろに濡れている。
嬉し涙がポロポロ溢れたりしたことは無かったわけでもないけど、配信でここまでボロ泣きしたことは覚えてる限りでは無い。
配信画面を見渡しても、みんな心配そうな顔してた。そりゃあ心配にもなるか。
「ウタ……」
「? ……あ、ゴードン……」
「何があったかは分からないが……一旦冷静になるんだ。顔でも洗ってきなさい。
電伝虫が不調なんだろう?その間に私が調整しておこう」
「……わかった。ありがとう」 - 83123/02/26(日) 22:20:06
顔と一緒に頭も冷やして、少し冷静になれた。
……やっぱり、このままじゃダメだ。
ライブの前に、ファンのみんなにはちゃんと話しとかなきゃ。
……私の、家族のこと。
──────────────────
「ああ、戻ってきたか。電伝虫の調整も終わったぞ、これで皆に声が聞こえるはずだ。」
「ありがとうゴードン、それじゃ変わるね」
『ウタちゃん大丈夫?もう泣いてないの?』
「ごめんねみんな、心配かけちゃったね。でももう大丈夫だから、心配しなくていいよ。
……突然なんだけど、ライブの前にみんなに言っておきたいことがあるんだ。
ちょっとビックリするかもしれないけど……ちゃんと最後まで聞いてほしいな」 - 84123/02/26(日) 22:24:37
「私の昔の話、あんまりちゃんとしたことなかったよね?
なんで私がこのエレジアでゴードンと2人で暮らしてるのかとか……
あと、私の家族の話とか。そういう話をちょっとだけさせて欲しいんだ。
なんとなく分かってるとは思うけど、実はゴードンは私のお父さんじゃないんだ。
すごく感謝はしてるし、お父さんみたいな人だとも思ってるけど……お父さんはまた別にいるの」
「ウタ……お前、まさか……」
配信に入らないぐらいの小さな声で、ゴードンが私を案ずる言葉を投げかけた。
少しだけゴードンの方に目を向けて、視線でその言葉に返事をする。
ライブをする以上、シャンクス達の話を避けて通るわけには行かない。
ちゃんとファンのみんなに、本当のことを話しておかないといけない。
そんな私の覚悟を感じ取ってくれたのか、ゴードンもきゅっと表情を引き締めてそれ以上は何も言わなかった。 - 85123/02/26(日) 22:28:22
「……実は私、小さい頃にちょっと事件に巻き込まれて……
……お父さんと、離れ離れになっちゃったんだ。
別れ際に『世界一の歌い手になったら迎えにき来てやる』って言われて……
……そのまま、置いて行かれたの」
『置いて……行かれた?』
『ひどい!ウタちゃんを置いていくなんて!』
『いや、何か事情があったのかも……』
「その通り。シャ……お父さん達にも私と離れなきゃいけない事情があって……
でも、その時の私はそんな事情なんて知らないからいっぱい泣いちゃって、お父さん達のことも嫌いになりかけて……
……だけど、そんな私をここまで育ててくれたのがゴードンなんだ。
それで、そのお父さん達の事情を教えてくれたのもゴードン。だからもう、お父さん達に置いて行かれたことは怒ってないんだよ」
『そっか……』
『凄いんだねウタちゃん、そんな経験をしたのにこんなふうに笑っていられるなんて!』 - 86123/02/26(日) 22:32:28
「へへ、ありがと。
……今度のライブ、みんなに会えるのもすっごく楽しみだけど……
もしかしたら、お父さん達も来てくれないかなって思ってるんだ。
世界一の歌い手になったら……って約束だけど、もう私、世界一を名乗ってもいいんじゃないかな?」
『きっと来てくれるよ!』
『おれだったらすぐにでも迎えに行くなあ』
『ウタちゃんはもう世界一だよ!おれ達が保証するよ!』
「ふふ、そうかな?そうだといいなあ。
……それでね、ここからが……みんなに一番聞いてほしい話。
その私のお父さんなんだけど……
…………海賊、なんだ。
私、海賊の娘なの」 - 87123/02/26(日) 22:36:18
『……えっ……!?』
『ウタちゃんが……』
『海賊の……娘……!?』
「………………うん」
あれだけ肯定的だったファンのみんなの反応が、さっと冷えていく。
代わりに起きたのはざわめき。誰も発してはいないけど、信じられないという声が聞こえてくるみたいだった。
でも、ここまでのみんなの反応はおおかた予想通り。
今まであれだけ『海賊嫌い』を謳ってきた私が海賊の娘だなんて、普通に考えれば驚くよね。
だけど、そこで放たれたファンの一言が、私の心をひどく揺さぶった。
『……じゃあ、ウタはおれ達を……』
『騙してたってことか……!?』 - 88二次元好きの匿名さん23/02/26(日) 22:40:18
あのさぁ
- 89123/02/26(日) 22:41:47
「……………………」
……正直、そう言われるのも覚悟の上だった。
海賊の娘が『海賊嫌い』だなんて、虐げられている人達からすればおちょくってるように取られても仕方がない。
でも、当たり前だけど騙すつもりなんて毛頭なかった。
幸せにしてあげる……なんて烏滸がましいことを言うつもりもないけど……
みんなに幸せになってほしくて、この活動をずっと続けてたのは紛れもない私の本心だった。
それさえも否定された気がしたのは……ちょっとだけ、辛かった。
「……そう思われても仕方ないよね。今までずっと黙ってたのは私だし。
でも……」
続けようとした言葉は、怒号にも似たファンの声に掻き消された。
『な、何言ってんだよ!!』 - 90123/02/26(日) 22:45:17
『ウタちゃんがそんなことするわけないだろ!!』
『そうよ!!海賊の娘だからって、ウタも同じだとは限らないわ!!』
『そりゃあ……おれ達だってそう思いてェよ……』
『だけど……なあ?』
『口先だけ上手いこと言って、本心じゃあおれ達のこと見下してるかも……』
『ふざけんな!!ウタちゃんがそんな性格の悪い真似するワケ……』
『無いとは言い切れねェだろ!!だったら証明してみろよ!!』
ファンの意見も真っ二つ。私の声はきっともう、どちらにも届いていない。
シャンクス達の船の画面を少しだけ見てみても、気まずそうな顔したロックスターさんが俯いてるだけだった。
……やっぱり、言うべきじゃなかったのかな。
ライブを楽しみにしてたみんなも、これじゃあもう……
『……いいんじゃないかな?』 - 91123/02/26(日) 22:48:25
本日はここまで
- 92二次元好きの匿名さん23/02/26(日) 22:48:27
お続きが…気になる。
- 93二次元好きの匿名さん23/02/26(日) 22:52:09
誰だ……?
- 94二次元好きの匿名さん23/02/27(月) 01:05:19
でもこの時点で事情を明かせたのは、逆にライブに向けて懸念が一つ消えるってことでもあるから悪くはない気もする
- 95二次元好きの匿名さん23/02/27(月) 06:40:44
気になる
- 96二次元好きの匿名さん23/02/27(月) 13:05:41
ここで観客同士の言い争いか
- 97二次元好きの匿名さん23/02/27(月) 21:12:55
ほし
- 98123/02/27(月) 22:12:20
本誌のシャンクス怖かったねぇ
更新は明日になります - 99二次元好きの匿名さん23/02/27(月) 23:56:18
待機
- 100二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 06:58:01
朝の保守
- 101二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 14:22:56
昼の保守
- 102123/02/28(火) 22:18:27
大変だウタちゃんがピンチだ
こんな時に
・ウタの配信を見ている(RED本編orEDに出ていた)
・こんな喧騒の中でも発言できる胆力がある
・悪い海賊の被害を受けていた経験がある(ファンの気持ちが分かる)
・でも『いい海賊』がいることも知っている(ウタの気持ちがわかる)
・父親と(認識的に)離れ離れになっていた経験がある
・父親が罪人
・それでも父親が自分を愛してくれていたことを知っている
・父親が大好き ←最重要
なんてキャラがいてくれればいいのに…… - 103123/02/28(火) 22:21:02
「え……」
ざわめきを切り裂いたのは、どこか凛とした一人の女の子の声だった。
キョロキョロと配信画面を見回して声の主を探す。
『いいんじゃないか……って、誰だ?今言ったの』
『私だよ』
見つけた。
桃色のボリューミーなおさげ髪が目を引く女の子。顔から見るに私よりも少し年下だろうか。
さっきまでの喧騒もまるで意に介していないかのような、穏やかな笑顔が画面越しに私に向けられていた。
『いいじゃん、お父さんが海賊でも。
関係ないよ、ウタちゃんのお父さんはその人だけなんだから』 - 104123/02/28(火) 22:25:05
『か、簡単に言うけどなあ!お前は海賊ってもんがどんな連中か……』
『知ってるよ。私の国もついこの間海賊にめちゃくちゃにされたばっかりだから』
『な……』
海賊にめちゃくちゃにされたって……
まさかこの子、此間新聞に載ってた……
『あんた、ドレスローザの人か?』
『そうだよ。ドフラミンゴに支配されてたね』
『……だ、だったら!尚更海賊の肩を持つ理由がねェ!』
『そうだ!どうせドフラミンゴのおこぼれでも貰っていい身分で……』
ドンッ!!!
『!?』
『……それ以上娘を愚弄するならば許さんぞ』 - 105123/02/28(火) 22:29:54
『っ……』
『…………』
声だけでも分かるとんでもない気迫に、未だに騒いでた人たちも一斉に押し黙る。
画面が静かになった後、少し怒ったような女の子の声が響いた。
『もう、落ち着いてお父様。別に私喧嘩したいワケじゃないんだよ』
『……ああ、すまなかった』
「……今の、貴方のお父さん?」
『え?あ、ああごめんねウタちゃん。脅かしちゃったかな』
もう一度その女の子が前に出てくる。
お父さんであろう男の人はずっと画面から引いて、そのまま見えなくなった。 - 106二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 22:30:04
これは身体が一部欠損しているけどメチャクチャ強い娘を大切に思ってる父親だろうなぁ...
- 107123/02/28(火) 22:34:32
『みんなウタちゃんの話は聞いてたでしょ?
理由があったとは言っても、12年も離れ離れなのに、それでもまだ迎えに来て欲しいって……
きっとウタちゃんは、お父さんのことがまだ好きなんだよ。大好きなんだよ。
お父さんのことを好きだっていう気持ちは、海賊だからって理由で止められていいものなの?』
『『………………』』
何か反論したいのに何を言えばいいのかわからない、そんな空気がどことなく漂っている気がした。
そんな空気を知ってか知らずか、女の子はさらに続ける。
『ウタちゃんも、お父さんが海賊だから好きなんじゃないはずだよ。
きっとウタちゃんにとって、『その人』がかけがえのない『お父さん』だから好きなんだよ。
どんな過去があっても、どんなに手が汚れてても……
家族って、そういうものなんじゃないかな?』 - 108123/02/28(火) 22:38:30
『……なんて、ちょっとでしゃばりすぎたかな』
「………………」
一つペコリと礼をして、その女の子はもう一度画面越しに私に向き直った。
その女の子の堂々とした言葉に、私はすっと引き込まれてしまった。
『………………』
『で、でも……』
それでも、まだ納得できない人達も当然だけどいる。
実際に被害にあった人達なら、海賊への恐怖心や不信感がそう簡単に拭えないのも当たり前の話だ。
そんな状況で、私は何も言えずにいる。
私の心はほとんど決まっていたけど、あと一歩、その言葉を声に出す勇気が出なかった。
そんな私を見てか、その女の子はもう一つだけ手助けをしてくれた。 - 109123/02/28(火) 22:42:06
『ほら、お父様も何か言ってあげて』
『わ、私がか?』
さっき物凄い気迫を見せた男の人が、ぐいと背中を押されて画面の前に連れてこられる。
その人は少し困ったようにため息をひとつついた後、ぽつりぽつりと話し始めた。
『……12年間か。君は随分と長い間、父親と離れ離れで暮らしていたんだな。
君達親子の間にどんな事情があるのかは私は知らない。今まで迎えに行っていないのも何か理由があってのことだろう。
そこにある理由が退っ引きならないものだったとしても、はたまた至極くだらないものだったとしても……
私にはそれをとやかく言うつもりはないし、首を突っ込む理由も資格もない。
……私も人に説教ができるほど高尚な父親でもないからな』 - 110二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 22:45:10
どんどん追い詰められるシャンクス達
- 111123/02/28(火) 22:46:51
『だが、名も知らぬ海賊よ。これだけは覚えておけ。
長年の間離れていた娘が、未だにお前のことを愛していると言っている。
私はそれを羨ましいと思う。家族に愛され疎ましいと思う者などいるものか。
どんな事情があって娘と分かれたのかは、私には分からない。お前が普段どんな海賊なのかも私は知らない……』
「………………」
『……だが、遠く離れた娘が今でもお前を愛しているということは……
海賊であろうとなかろうと、少なくとも別れるまでの彼女にとっては……お前は良き父親であり続けたんだろう。
……ならば、覚悟はしておくことだ。
大切な宝物に注いできた愛情は、きっといつかお前に返ってくる。
娘というものは……我々が思っているよりもずっと、我々父親を愛してくれているらしいからな』 - 112二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 22:50:17
ターの後ろで赤髪海賊団今頃ホロホロ食らったみたいになってそう
- 113123/02/28(火) 22:51:01
とっても強そうなその男の人は、少しだけ頬っぺたを赤く染めながら言った。
女の子はその隣で、鼻も高々誇らしげに笑っている。
仲睦まじい親子って、こんな親子のことを言うのかな。少しだけ羨ましくなった。
だけど彼女達の言葉のおかげで、私は最後の一歩を踏み出す勇気を出すことができた。
「……ありがとう、2人とも。
……ごめん、みんな……
やっぱり私は、お父さんに……
お父さんに、ライブに来て欲しい……!
お父さんに、会いたい……!!
だから、呼んでもいいかな……?
海賊だけど、絶対ライブに来てよって……
会いたいよって……お父さんに、言ってもいいかな……!?」 - 114二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 22:52:48
でもこれで四皇きたらパニックってレベルじゃねえな...
- 115123/02/28(火) 22:55:10
『『『………………』』』
私の言葉を最後に、誰も何も言わなくなってしまった。
さっきの女の子も、じっと私を見つめているだけだった。
沈黙が痛い。
いつの間にか溢れ出ていた涙が、私の頬を濡らしていく。
やがて静寂を切り裂いたのは、1人のファンの声。
『……やっぱりおれ、その海賊が許せねェよ!』
「………………」
……やっぱり、だめなのかな……
『ウタちゃんをこんなに泣かせるなんて!何考えてるんだ全く!』 - 116123/02/28(火) 22:59:26
「…………え……?」
『そうだよ!こんなにいい子を泣かせやがって!』
『おれが父親ならすぐに迎えに行っちゃうのになあ……』
『そうだ!もし今度のライブに来なかったらおれ達でとっ捕まえて連れて来てやろうぜ!』
『いや、その海賊達が何処にいるかわかんないだろ……』
『あ、そっか』
『『『あははははは!』』』
「あ、アハハ……」
泣きながら無理やり笑ったから、きっと今の私、すごく変な顔。
きっと今見てくれているファンの中にも、海賊に酷い目に遭わされた人達だって沢山いるはず。
そんな人達すらも背中を押してくれたのが、すごく嬉しかった。 - 117123/02/28(火) 23:03:30
もう一度だけシャンクス達のいた画面を見る。
相変わらず俯いたロックスターさんしかいなかった。
だけど、その顔は少しだけ笑っているようにも見えた。
部屋の隅にいたゴードンも、穏やかな笑顔を浮かべながらうんうんと頷いている。
ゴードンだってきっと言いたいことはあるだろうけど、それでも私に託してくれた。
今ならきっと届く。12年間ずっと言いたかったことを届けることができる。
「……みんな……
…………みんな……ありがとう…………!」
ありがとう、みんな。
ごめんね、みんな。
私、ワガママ言っちゃうね。 - 118123/02/28(火) 23:07:29
──────────────────
「……らしいぞお頭」
「あーあー、こりゃあ12年前の計画は失敗だったってことか?」
「ああ。どうやらゴードン王はおれ達との約束を破ったらしいな」
「まったく、おれ達がどんな思いであの決断をしたと思ってんだか……」
「いや、それよりウタの方だ。まさかまだあんな風に思ってるとは……」
「誰に似たんだろうな、この諦めの悪さ……」
「…………さて、どうするお頭?観念するか?」
「…………………………………そうだな。
……スネイク、急で悪いが進路変更だ。
エレジアへ向かうぞ、野郎ども!!」
「「「「「おおーーーっ!!!!」」」」」 - 119二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 23:08:15
ついに…!!
- 120二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 23:09:02
これでウタはルフィも招待する気満々な訳だから時期によっては四皇2人が来るんでしょ?
海軍泣いちゃう - 121123/02/28(火) 23:10:38
─────────────────
「……ししし!あいつ、ちゃんと兵隊のところに帰れたんだな!よかった!
さてと、そろそろだな……」
「おいルフィ!次の目的地なんだけどよ……」
「ルフィ、ちょっと寄り道にはなっちゃうけど……」
「おう、分かってる!ナミ、ジンベエ、最高速度で頼むぞ!」
「あら、アンタも案外乗り気なのね?」
「ワッハッハ!船長命令とあらば仕方ないのう!」
「ししし、まーたまにはいいだろ!
よーし!!エレジアに行くぞォ!!野郎どもォ!!!」
「「「「「オオーーーッ!!!!」」」」」 - 122123/02/28(火) 23:11:57
本日はここまで
いたわ - 123二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 23:14:57
革命の灯火になりそうな世界一愛されてる歌姫の初ライブに四皇のうちの二勢力が来ます!
海軍「!?」 - 124二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 23:16:42
マーマママ
- 125二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 23:16:52
海軍「俺ら、死ぬやん…。(悟)
- 126二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 23:46:19
レベッカとキュロス最高
- 127二次元好きの匿名さん23/03/01(水) 00:20:15
海軍的にはまったく歓迎できない事態だけどウタちゃんが幸せになれるなら安いもんだ、海軍元帥の胃の健康くらい……
- 128二次元好きの匿名さん23/03/01(水) 01:12:24
いよいよライブ開催か!
楽しみ!
? - 129二次元好きの匿名さん23/03/01(水) 01:13:08
すまん変な「?」入った…
- 130二次元好きの匿名さん23/03/01(水) 10:24:06
ドキドキする…
- 131二次元好きの匿名さん23/03/01(水) 15:31:18
保守
- 132123/03/01(水) 21:43:09
今日は無いのね
- 133二次元好きの匿名さん23/03/02(木) 01:14:05
更新してくれるだけで神やで
- 134二次元好きの匿名さん23/03/02(木) 06:59:39
しゅ
- 135二次元好きの匿名さん23/03/02(木) 07:51:49
楽しみ!
- 136二次元好きの匿名さん23/03/02(木) 16:16:43
あげとこ
- 137二次元好きの匿名さん23/03/02(木) 19:59:30
このレスは削除されています
- 138二次元好きの匿名さん23/03/02(木) 23:22:48
待機
- 139123/03/03(金) 06:43:16
すまねェ
寝落ちした - 140二次元好きの匿名さん23/03/03(金) 06:46:12
マジかよ、失望しましたバギーのファン辞めます
- 141二次元好きの匿名さん23/03/03(金) 13:52:25
❤
- 142二次元好きの匿名さん23/03/03(金) 22:38:44
あげとこ
- 143123/03/03(金) 23:01:40
- 144123/03/03(金) 23:02:26
────────────────
そして迎えたライブ当日。
ライブが始まる少し前に、ルフィから不意にかかってきた電伝虫で束の間のひととき。
『──ああ、もうすぐ到着だ。待ち遠しいなァ、ウタに会えるの!』
「私も楽しみ!だけどねルフィ、ルフィのことだからライブの途中で乱入してきても驚かないけど……
お願いだからせめて最初の一曲ぐらいは我慢してね?歌の邪魔したらいくらルフィでも本気で怒るからね」
『分かってるって!邪魔したくて行くわけじゃねーしな!
ちゃんと風呂も入ったし!準備は万端だ!』
「そういうとこは抜かりないんだねアンタ……
うん、じゃあまた!ちゃんと来てくれてありがとね!」
『おう!』 - 145123/03/03(金) 23:06:05
「今のはルフィ君か?」
「うん。もうすぐ着くぞーって向こうから連絡してきたんだ。
嬉しいのはわかるけどさ?わざわざ連絡寄越して来るとかさ?ルフィ私のこと好きすぎじゃない?」
「……そういう割にはウタも随分気持ちが顔に出ているようだが」
「えっウソ!?」
「ハハハ、いいじゃないか。モチベーションにも繋がるだろう」
「もー、ゴードンってば……
……ルフィはちゃんと来てくれたけど……
……シャンクス達、来てくれるかなあ」
「……彼らが君をこの島に置いていくのを決めたのも相当な覚悟あってのことだった。
……だが、彼らがお前に注いできた愛情を忘れていないのであれば……きっと来てくれるさ」
「そっか……じゃー期待して待ってようかな!」 - 146123/03/03(金) 23:10:04
─────────────────
〜海軍本部〜
「元帥、報告します!海軍の先行偵察部隊、只今ウタのライブ会場に到着致しました!
観客の中には【麦わら】を始めとした海賊も混ざっている模様ですが、今のところ目立った動きはありません!」
「分かった。引き続き警戒に当たれ」
「はっ!」
『怖いねェ〜、赤髪の娘。まさか本当に世界中を巻き込んだライブを開いちまうとはねェ』
『その赤髪も既にエレジアへ向かっているという報告が入っていやす。
今の赤髪と歌姫の関係は分からねェが……果たして大人しくしててくれやすかね』
「おい、甘く見ちょりゃあせんか?四皇の本体が動くことの重大さはお前も分かっとるはずじゃやろうが」
『しかしまァ、一度は娘と呼んだ女の子の舞台をあの【赤髪】がぶち壊しに行くような真似をするってェのはちょっと考えにくいねェ。
それに観客の殆どは一般市民だ。無為に兵を差し向けて赤髪と戦争にでもなれば、観客への被害も甚大なものになるかもねェ〜……』 - 147123/03/03(金) 23:14:13
「……まあええ。気には食わんが、暴れ出さん限りは赤髪共は様子見という指示が政府から出とる。
奴らが会場に現れれば混乱も起きるじゃろうが、お前達も下手に刺激するような真似はせんように」
『承知したよォ〜』
『あい、分かりやした』
「……それよりも政府は【トットムジカ】の存在を危惧しちょる。
ガープさんの報告が確かなら、今もエレジアに残っておるはずじゃけェの」
『【四皇】に【トットムジカ】……こりゃあ一瞬たりとも気は抜けないねェ〜』
「げ、元帥!!報告します!!」
「何じゃ!!」
「──────」
「何じゃと……!?」 - 148二次元好きの匿名さん23/03/03(金) 23:15:35
なんだ?
- 149123/03/03(金) 23:19:33
『どうしたんだいサカズキ〜?』
『何やら只事じゃねェようですが……』
「……エレジアへ今すぐ出撃可能な軍艦は!?」
『三十隻』
「よし、中隊小隊率いて全艦出せ!!ことは一刻を争う!!」
──────────────────
『三十隻、全艦出撃したよォ』
『一体どういう風の吹き回しで?』
「どうやら赤髪共に関しても、様子見等と言っておれん様じゃのう……
このままではエレジアは戦場になる!!何としてでも食い止めるんじゃ!!
四皇が一度に3人も集まってしまえば、何が起こるか分からんぞ!!」 - 150123/03/03(金) 23:24:14
──────────────────
「おばえら何してるだえ!!さっさとエレジアへ向かうんだえ!!」
「し、しかしチャルロス聖!行く手を革命軍の船に阻まれて身動きが取れません!」
(何故革命軍がこんな真似を……?奴らも歌姫に用があるのか?)
「ならさっさと沈めればいいえ!!早くしないと先におばえらを殺すえ!!」
「は……はっ!直ちに!」
「……これでいいのサボくん?」
「ああ。ここでことを荒げる必要はないし、戦闘を仕掛けるつもりもない。
あいつらがエレジアへ迎えないように時間を稼ぐだけでいい」
「こんなに船を率いて来てる時点で十分大掛かりだと思うけど……」
「……ルフィを悲しませたくなかったって言えば、ドラゴンさんも許してくれないかな」
「……そういうところだよ、サボくん」 - 151123/03/03(金) 23:29:03
──────────────────
「こんな特等席を用意して貰えたのはありがてェが……
てめェルフィ!ウタちゃんと知り合いだったなら紹介ぐらいしやがれ!」
「にっしし!まーいいじゃねェか!」
「諦めも肝心だぞぐる眉」
「ああ!?」
『みんな〜!!今日は来てくれてありがとう!!』
「!」
『来られなかったみんなも、見てくれてありがとう!!もうすぐライブが始まるよ、準備はいい?』
\ウオオオーーーッ!!/
『オッケー、みんな準備万端だね!それじゃみんな、少しだけ目を瞑ってて!
私の歌を聞いてくれてるみんな!夢の世界にご招待するよ!!
それでは聞いてください!!【新時代】!!!』 - 152123/03/03(金) 23:30:52
本日はここまで
ルフィはまだ五番目の皇帝です - 153二次元好きの匿名さん23/03/03(金) 23:33:20
ついに始まったぁ!
- 154二次元好きの匿名さん23/03/03(金) 23:54:41
こわいね四皇
- 155二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 00:18:33
四皇が三人って、誰だろう
- 156二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 06:09:36
娘の晴れ舞台のシャンクス、歌姫目的のマム、能力目的の黒ひげといったところか
- 157二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 12:48:50
こういう時あんまり出てこないカイドウさん
- 158二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 21:12:15
あげとこ
- 159123/03/04(土) 21:57:48
また明日
- 160二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 04:17:11
またかよ!
殺してやる...殺してやるぞスパンダム...! - 161二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 12:27:48
❤
- 162二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 20:39:49
- 163123/03/05(日) 22:09:25
スパンダム?ああ美味かったよ
本日もちらちらと - 164123/03/05(日) 22:09:49
掴みは完璧。一発目の『新時代』で会場のボルテージを一気に上げていく。
歌い終わる頃にはすっかり会場も興奮の坩堝だった。
「みんな、やっと会えたね!!ウタだよ!!」
地鳴りみたいなファンの歓声が嬉しくて、ちょっと感動しちゃった。
少しだけ溢れた涙を拭って顔を上げると、真ん中の特等席からゴムみたいな腕が上に向かって伸びているのが見える。
ルフィだ。
「……ま、約束してたのは『せめて一曲』だし。許してあげるかな……
…………それにもう、私も我慢の限界……!」
「ウタ!!!」
「ルフィーーーっ!!!」 - 165123/03/05(日) 22:14:28
ステージに飛び降りてきたルフィに飛び込んでやった。
顔は全然変わんないのに、身体は2年前よりがっしりしてる。
あーあ。きっと今の私、顔真っ赤だろうなあ。
(オニョレアノクソゴム……!)
(ヤッパリウラヤマシイゾコノヤロー!)
「ねえ、あれがルフィの仲間?なんかすごい顔してる人いるけど……」
「………………」
「……ルフィ?」
ルフィが私を抱きしめたまま固まって動かない。
ファンのみんなの目もあるし、あんまり長いと流石に気恥ずかしくなってくるなあ……
「……ね、ねえルフィ、そろそろ……」
「…………なあウタ、もしかして……」 - 166123/03/05(日) 22:19:07
「ん?」
「んー……まあいいか」
「ど、どうしたの?」
「いや、やっぱ後でいいよ」
「……? 何よ、言いなさいよ怒んないから」
「いや、それどころじゃなさそうだからな」
「?」
ルフィが振り返るとほぼ同時に、どこからか発砲音がした。
それから、ルフィ達とは明らかに雰囲気の違う『海賊!』って感じの海賊がゾロゾロとステージに乗り込んできた。
……まあ、ルフィに海賊らしくないなんて言ったら怒りそうだけど。
「ウタ、どうする?」 - 167123/03/05(日) 22:21:40
「え?どうするって何が?」
「コイツらだよ。おれがぶっ飛ばしちまってもいいけど……
ウタがやった方が都合いいんじゃねーのか?色々とよ」
ポキポキと拳を鳴らしながらルフィが小声で言った。
……こんなことを聞いて来るってことは、もしかしてルフィはここが『夢の中』だって気づいてるのかな。
「……へー、『海賊嫌い』の私に華を持たせてくれるってこと?そんな気が遣える様になったんだね、やるじゃん」
「何か鼻につく言い方だな……やんねェならおれがやっちまうぞ?」
「……ふふ、気を遣ってくれてありがと。
でもルフィ、折角だし一緒にやっちゃわない?私も強くなったルフィを見たいしね!」
「お……ししし、それいいな!よし、それじゃあやってやるか!!」
「うん!!」 - 168123/03/05(日) 22:24:40
『私は最強』の一曲に合わせて、ステージに乱入してきた海賊達には歌にしてあげた。
一緒に戦ってくれたルフィが、何故か最後に私に拳を振りかぶる。
「ウタ!!」
「…………!」
……もしかして、自分も悪い海賊だから攻撃しろってこと?
強い海賊の自分もやっつけて大人しくさせて、ファンのみんなを落ち着かせろってことなのかな……?
「……ごめんルフィ……えーいっ!!」グオォ
「ぐわっ!!」
音符攻撃で特等席まで吹っ飛ばして戻してあげた。
ごめんねルフィ、ちゃんと手加減はしたからね。
「おいおい、大丈夫かルフィ?」
「いててて……ししし、すっげェ強くなったなウタ!」 - 169123/03/05(日) 22:27:40
こっちに笑顔を向けるルフィを見て、今の私の行動が間違ってなかったことに一安心。
「みんなー!悪い海賊が襲ってきても、今みたいに私がやっつけてあげるからね!
だから今日は安心して!心ゆくまでライブを楽しんでいってね!!」
悪い海賊をやっつけて、会場は更に大盛り上がり。
どうかこのまま、何事もなくライブが終わります様に……
─────────────────
私以外はみーんな寝ちゃって、とっても静かな『外の世界』。
客席を見回してみると、海軍も海賊も政府の人も、色んな人が来てくれてた。
でも、今のところ夢の中にも外にもシャンクスは来てないみたい。まさか遅刻?
「………………あれ?」
そんなことを考えていると、誰も起きていないはずの会場で1人だけ動く人影を見つけた。
誰だろう? - 170123/03/05(日) 22:31:21
──────────────────
「ルフィ!みんな!楽しんでる?」
ちょっと休憩の時間。ルフィ達の特等席に寄ってみた。
「は、はひ!プリンセスウタ!」
「変わった食材もあるしね、天国だよここは」
よかった、ルフィの仲間達にも楽しんでもらえて。
……さてと。
(……ねえルフィ、シャンクス見てない?)
(いや、まだ見てねェな)
(そっか……まあ、終わるまでには来てくれるよね。
それよりルフィ、さっきのアレ何だったの?)
(アレって?)
(さっき何か言おうとしてたでしょ?私とハグしてた時急に動かなくなったし) - 171123/03/05(日) 22:33:22
(ああ、ここウタの能力の夢の中だろ?それ聞こうとしただけだよ)
(そうだよ、こっちの方が色々できるからね。
でもなんで気がついたの?何かヘンだった?)
(んー、ニオイだ)
(は?)
(夢ん中だとウタから何のニオイもしなくなるって言ってただろ?ほんで今何のニオイもしなかったからよ)
(……アンタあの一瞬でそれ気がついたの?しかも私本人も半分忘れてた様なことなのに……)
(ししし、覚えてたんだからしょうがねェだろ!)
(もー……アンタのスケベ加減には最早感心しちゃうなあ。
気づくのはいいけど、あんまり変な真似はしないでよね。みんなが混乱しちゃうといけないからさ)
「ねえねえ!」
「!」
「ウタとルフィは昔から友達なんでしょ?昔の話とか聞いてみたいの!」 - 172123/03/05(日) 22:36:11
ナミちゃんって言うらしいルフィの仲間に促されて、私とルフィは昔話を始めた。
とは言っても、私や赤髪海賊団がフーシャ村にいた時の話まで。
それ以降の話は……まあ話したくなかったし。
……何人かは私→ルフィやルフィ→私の感情に気がついたらしい。マリモみたいな髪型の人なんてずっとニヤニヤしてた。
昔話の合間に、もう一度少しだけルフィとナイショ話。どうも『外の世界』の様子が気になるらしい。
(ウタ、外は大丈夫なのか?海軍とか来てねェか?)
(来てても寝てるよ、みんなこっちの世界に来てるハズだよ。
……でも今、外の世界に1人だけ私の歌を聞いても眠れないって人がいるんだ)
(ん、そうなのか?)
(うん。折角だからその人のために外の世界でも歌ってあげてるんだけど……)
(ウタの歌を独り占めかァ、羨ましい奴だな。どんな奴なんだ?)
(うーん、新聞で何回か見たことある様な……) - 173123/03/05(日) 22:37:29
(何かゼハハって笑う髭のすごいでっかい人)
「…………は?」 - 174123/03/05(日) 22:39:23
本日はここまで
闇に呑まれろ麦わらァ - 175二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 22:41:56
ハデにヤベェ!!!
- 176二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 22:45:30
大人しく歌聞いてるの草
- 177二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 23:00:22
まあ黒ひげなら歌ってくれるならとりあえず何曲かは普通に楽しんで聴いてくれるだろうなって感じする
- 178二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 23:04:00
チェリーパイ食べながら聞いてるのかな
- 179二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 00:10:46
一気に不穏
- 180二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 00:22:16
確かにまあ歌は聴いてくれそうだな、黒ひげ
しかしやべえ - 181二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 07:00:21
期待待機!!
- 182二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 14:35:54
シャンクスー!この際ビッグマムでもいいからー!黒ひげ退却させてー!
- 183123/03/06(月) 21:12:42
また明日
- 184二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 21:24:50
- 185二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 06:49:09
保保
- 186二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 07:45:13
- 187二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 10:25:41
何も聞こえねえな!
- 188二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 16:57:28
マムとかですら生捕りの中能力奪いに殺しにくる黒ひげが一番怖い
- 189123/03/07(火) 22:36:40
ちょっとだけよ
- 190123/03/07(火) 22:37:36
「え、ど、どうしたの……?」
明らかにルフィの顔色が変わった。表情がどんどん険しくなっていく。
こっちを見てるだけだったルフィの仲間達もルフィの異変に気がついたみたいで、何人かは声もかけてきた。
「……? おいルフィ、どうした?」
「何怖い顔してるのよ、何かあったの?」
「………………」
仲間達の問いかけにもルフィは主だって反応を示さない。
それから少し考え込んだ後、一言だけ。
「……悪ィ、おれちょっと出るよ」
「は?出る?」
ルフィはそれだけ言うと、突然すごい速さで会場から飛び出して行った。
腕でぐるぐる巻きにした私を小脇に抱えながら。 - 191123/03/07(火) 22:42:27
「え!? ちょ、ちょっと!?」
「う、ウタが海賊に攫われたぞー!!」
「キャー!!大変よ、誰かー!!」
「何やってんだあいつ!?」
「ちょっとルフィ!?何やってんの!!」
当然客席もルフィの仲間も大騒ぎ。そうこうしているうちにあっという間に会場が小さくなっていく。
そんな声には耳も貸さずに、ルフィは脇目も振らずにぐんぐん会場から離れていく。
「ちょっとねえ、ルフィってば!!こんなことしたらルフィが……」
「いいんだ、それが狙いだ」
「へ?」
「ウタ、おれだけでいい。他の客には気付かれんな。
……おれをこの夢ん中から出してくれ」 - 192123/03/07(火) 22:46:49
──────────────────
「ゼハハハハハ!!流石は世界の歌姫、どいつもこいつもいい歌だ!惚れ惚れしちまうなァ!」
「ありがと。でも不思議、どうしてあなたは眠らないの?」
「ゼハハ、さあな。生憎おれァ生まれてこの方眠ったことがねェのさ」
「へえ〜、色んな人がいるんだね」
「だが、おれと一緒に来た連中はすっかりみんな眠っちまったみたいだ!
ゼハハハハ、これが『ウタウタ』の力か!噂に違わぬ出鱈目な能力だぜ!」
「え、私の能力を知ってるの?」
「どうしても欲しい悪魔の実があったからな!悪魔の実図鑑なら昔飽きるほど読んだんだ!
図鑑に載ってる悪魔の実なら見た目も能力も全部アタマに叩き込んでんだ!ウタウタの実もその中に混ざってたってだけの話よ!」
「ふーん……ということは貴方も悪魔の実の能力者なの?欲しい実は手に入った?」
「ゼハハハ、勿論だ!おれァ望み通り『ヤミヤミの実』の闇人間になれたのよ!!」 - 193123/03/07(火) 22:52:31
「闇……」
「そうとも!闇の引力はあらゆるものを引き込む!悪魔の力さえもな!」
「……? どういうこと?」
「能力者ってのはどいつも『実体』があるんだ。おれのヤミヤミの力はその能力者の実体を正確に引き寄せる!
闇人間のおれが実体に触れちまえば、能力者はその間如何なる能力も使えなくなるって話よ!
まァ、習うより慣れろだな!折角だ、ウタウタの力も頂いていくとしようか!!」
「…………あ」
その人の大きな手が私の眼前まで迫ったところで思い出した。
確かこの人、シャンクスと同じ【四皇】の海賊だった。
今更思い出す時点で遅いと言われればそれまでなんだけど、そうでなくとももう少し危機感は持っていた方が良かったのかもしれない。
ルフィが気づいてくれなかったら、きっと大変なことになっていた。
「ゴムゴムのォ〜〜〜!!!!」 - 194123/03/07(火) 22:56:58
「!!」
「あァ!?」
「火拳銃(レッドホーク)!!!!」
ドゴォン!!!
「ぐおォ〜!!?」
「うわっ!」
今にも私の顔に触れそうだった大きな手が、ルフィの一撃でその巨体ごと吹き飛ばされる。
のたうち回るその人を睨みつけながら、へたり込んだ私の前に立ち塞がる様にして、ルフィはステージに降り立った。
「ぐう……てめェは……!!」
「それ以上ウタに近寄んじゃねェよ!!!」 - 195123/03/07(火) 22:58:13
本日はここまで
次スレに続く - 196123/03/07(火) 23:09:34
- 197二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 23:17:09
間に合って良かった!
- 198二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 23:18:01
盛り上がってきた!!!
- 199二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 00:44:26
黒ひげか、こっわ…。
- 200二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 01:56:49
お疲れ様