同じ人を好きになってしまったのですが

おい待てェ封印するんじゃねぇ

25二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:19:14

解ッ！！

26二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:19:19

ダメだ封印は許されない

271921/11/16(火) 21:19:42

出せ

俺は恥を忍んでだしたのだからお前も出せ

28二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:23:13

大丈夫

これを作った君には傑作を量産できるほどの腕はあると見た

だからとっとと私に見せないかーッ！

29二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:23:54

この「着々とアプローチを積み重ね勝利を確信して実家に家具を揃えて両親にも背中を押してもらった上で約束の3年が終了し、あとは告白するだけエイシンフラッシュ大勝利！って思ってるフラッシュが、トレーナーがウンスに指輪を差し出してプロポーズしているのを見て唖然としながら枕を濡らしファルコンに慰められる」っていうの、ください

>>52

30二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:27:10

フラッシュとスカイどっちも推しなんだがなんだこれは
どっちを応援すればよいのだ
どちらも幸せになる方法はないのか

31二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:28:13

フラッシュは…ライバルには情けをかけないだろうな…

32二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:28:38

貴方の怪文書…封印するには惜しい代物です。

然らば御免、力ずくで解放させて頂きます。

現　世　生　化　粧

>>43 >>126

331921/11/16(火) 21:31:20

あんなもの書いといてこんなこと言うのもどうかと思うけどさ、これでトレーナーに言いよる輩が出たら2人揃って止めにかかるってのもいいと思うんだ
だからさ、俺はここに「トレーナーの最初の担当ウマ娘、学園OBのスーパークリーク」概念を入れるのもありかもしれないって思うんだ

34二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:33:50

恋愛敗北者エイシンフラッシュという新しい概念
素晴らしい……なんと素晴らしい……
これまでクソボケイタリア人に有無を言わさない強さを見せつけてきましたが、しかしそれをあえて敗北させるとは……

35二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:35:13

フラッシュのつよさってフラトレの強さあってのものだから、タイプが違うと文化が違うみたいな形で距離とられかねない脆さもあるんだよね

36二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:36:03

まどマギで見た感じの流れ

37二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:37:01

勝った！トゥインクルシリーズ完ッ！

38二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:39:22

>>17

誇れ

お前は強い

391921/11/16(火) 21:44:12

19＝13＝15＝17です
送るではなく、「贈る」が正しい表記でした
誤字ってしまい申し訳ない
というわけでお詫び

　あれだけ来るな来るなと思っていても、時間は無慈悲に流れるもので。
　オーバーキル確定といいますか、なんといいますか、とにかくつらーい日曜日の午後がきてしまいましたとさ。

「トレーナーさん、あーん──」
「いやいやフラッシュ、恥ずかしいってば……」

　なーんかもう、今鏡を見たら、きっと酷い顔をしてるんだろうなーって。
　空はあの菊花賞の日のように快晴だけど、心の裡は曇天を超えて土砂降り。
　クリームのたっぷり乗ったショートケーキも、なんだかしょっぱくて苦いように感じるような、とても苦しい午後3時。
　トレーナーさんのガトーショコラも、フラッシュ先輩のロールケーキも、ちょっとずつみんなで分け合いっこ、なんてしたけど、どれもこれもほろ苦い失恋の味というか。
　それでもトレーナーさんから差し出された、ガトーショコラの刺さったフォークを見ると、これって間接キスだよね、とか、いわゆるあーんってやつですか、とか勘違いしそうになって、もう一回目の前の現実を見て、ちょっと落差に泣きそうになるのでした。

>>40

40二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:46:31

>>39

いいぞもっと書け毎秒書け

41二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:59:07

何この……地獄？

42二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 22:21:16

>>17

こんなの即興で書くんじゃねぇぇぇぇぇ！！！！

自信なくなるだろうがぁぁぁぁぁぁ

43二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 22:43:56

今ここに載せるのが嫌だからやめるですよ

ギャッ(絶命)

44二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 23:00:42

たまんねぇな…おや？この頬を伝う雫は一体…

45二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 23:03:59

>>8

一匹狼があるよ

461921/11/16(火) 23:18:09

アイデアと感想が有ればもっと色々書けそうなんだけどなーﾁﾗｯﾁﾗｯ

47二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 07:00:47

朝からいいものを見た

48二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 09:05:33

いい……もの……？

49二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 09:12:40

>>17

≫ 「ハグはストレスを軽減するそうですよ？」とか言って大胆に抱きつく。ドイツ人こわい。

怖すぎてちびるわ

ここらで一杯濃いお茶が怖いわ

50二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 11:25:10

フラッシュって察しが悪いわけでもないし分が悪いと臆病になる面もあるからトレーナーの矢印がスカイに向いてたら本編ほどのムーブは素では出来ない気がするんだよね
だから二の脚を踏んでる所をファル子が後押しとかして何とか頑張ってるのに勝てないって考えるとよりフラッシュが美しく見える

51二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:08:07

フラッシュはドイツ帰りのタイムリミットあるからね　形振り構ってられないんだ
スカイよりよっぽど凄惨な精神状態になってそう

>>52

52二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:10:49

>>29

>>51

この中に合成怪文書職人はおりませんか！？

53二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:15:06

推しと推しと推しが地獄を生成してくれているというのに
誰一人持ってないからエミュができない

>>54

54二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:18:08

>>53

でえじょぶだ、>>19だってこう言ってる

だからほら、出してみなよ、お前の怪文書を……

55二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:18:17

自分からは全くアプローチしない方が勝って、
積極的に動いてたほうが負けるの理不尽感あるけど、
恋愛ってそういうときもあるよね…

56二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:18:24

ゼシルウェンシーはセイちゃんにもそのフットワークの軽さとポジティブ思考を分けてあげて……

>>126

57二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:20:19

人が人を好きになるのは結局主観の問題だからね、仕方ないね。
じゃあそういうことだからフラッシュには泣きながらドイツに帰ってもらうね……

58二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:23:40

フラッシュ打たれ強くはないから敗北したときに悪いやつに騙されたりしないか心配すぎる

>>59

59二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:28:05

>>58

じゃあこうしよう

悪い男に捕まってDVでも受けてもらう

それを知って救出するのもトレーナーにする

あとはもう情緒ぐちゃぐちゃのロンシャン並みの重馬場よ

>>61

60二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:29:35

ねえなんでこのスレこんな簡単に地獄絵図を作るの……？

61二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:35:47

>>59

傷はつけないけど利用するタイプとかでフラッシュは自棄になっている時にギリギリで危険なとこに落ちる前に助け出されるとか地獄かもしれない

>>62

62二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:40:33

>>61

あーいいねえそういうの

見た目には現れない異変だけど、三年間ずっとそばにいたトレーナーだけが気づくんだ……

>>63

63二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:43:47

>>62

恋人でもないんだろ？とかにやつきながらいってくるクズ野郎に一瞬言葉がつまるトレーナー…

64二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:27:03

クズを追い払うも、フラッシュに堕ちるところまで堕ちさせてくれなかったことをなじられるトレーナー。
トレーナーとしての責任感だと答えると、自分の気持ちに応える気がないのにそれはあまりに私には辛すぎると嗚咽をもらすフラッシュ。
余計に引け目を感じるセイウンスカイ

6511月30日21/11/17(水) 22:27:27

チョコレート。最初はシンプルに、しかし決して手は抜かない。
グミ。ゼラチンと砂糖をしっかり混ぜて、テディベアの型に流し込む。
ひとつ、またひとつ。完成したお菓子を、宝物のようにアドベントカレンダーへしまう。25の並行作業は驚くほど正確に進み、あとは最終日用のマジパンを着色、成型するのみとなった。

フラッシュがこれほどまでに気合を入れたクリスマスを計画しているのは、単に故郷で大事にしていた行事というだけでも、トレーナーを射止める最後の追い込みというだけでもない。
頭にあったのは、スカイのことだ。3年間は告白せず、しかし自由にアプローチを掛けるのがライバルの協定だというのに、不気味なほど何もしてこない。フラッシュがプレゼントした手帳に、フラッシュとの予定を埋めていく彼の姿を見ても、まるで意に介さず飄々としている。
まさか、知らないところでもう決め手を打っているのか──
「あっ……」
はたと手を止めて、はじめて気づく。クリスマスツリーにするはずだったマジパンを、いつのまにか真っ赤なハート型にしてしまっていた。彼がこれを開けるのはクリスマス当日。まだ3年経っていないのに、これでは協定違反だ。
すぐに新しい生地を用意し、今度こそモミの木の色をつけようとする。だが、調理台の脇に追いやったはずの、ハートのアーモンド菓子から目が離れない。結局作り直しを諦め、25番目のカレンダーに詰めてしまった。

私は焦っているのだろうか。まったく動揺しないライバルの姿に。
いや、原因はきっと、フラッシュとの休日に必ずスカイさんを誘おうとする、トレーナーさんのあの目──
「──Nein！」
鋭くかぶりを振る。エイシンフラッシュは震える手で、反則のアドベントカレンダーを冷蔵庫に保管した。

>>75

6612月23日21/11/17(水) 22:28:20

無理だって言ったんだよ？ここまで来たらもうフラッシュ先輩の押し切り勝ちだって。
あのアドベントカレンダーを見たらわかるよ。めちゃくちゃ精魂込めて作ってきてて、3年間のラストスパートを全身全霊で決めに来てる。いままであんなにアプローチしてたのに、どこにそんな末脚取ってあったのさー。
これじゃセイちゃんの出番はもうなし、あとはトレーナーさんとのダブル主演ラブストーリーを鑑賞するだけだって、何度も言ったよ？

なのにキングは上がり3ハロンみたいな顔して逃がしてくれないし、フラワーは半べそかきながら引き止めてくるし。
「ここで諦めて後悔するスカイさんを、絶対見たくないんです」なんて、涙声で言われたら──

「やる気、出すしかないじゃん。」
食べ物では敵わない。けどクリスマスはそれだけじゃない。そう信じて用意した室内プラネタリウムとアクリルアイスを、バレないようにトレーナー室に隠す。
トレーナーさんは去年のクリスマスを、ここで仕事しながら過ごしたらしい。毎年この時期は忙しいんだって。なら、このサプライズもうまくいくはずだ。
フラッシュ先輩に比べたら、なんと雑な策のことか。けど、雑でもなんでもやるしかない。トリックスターを返上してでも、取らなきゃいけない1着があるんだ。
「──キング。フラワー。差し脚貸して。」
祈りのように独り言を漏らす。最初で最後の差し切り作戦へ向けて、セイウンスカイは思いを馳せた。

>>67 >>75

67二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:30:08

>>66

トレーナーさんは来ましたか……？

68二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:32:16

クリスマスイベントをフラッシュが逃すはず無いんだよなぁ
今頃トレーナーと外で食事してるよ

69二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:36:03

最初は全くその気がなくても、悪くはおもってない子に激烈に求められたら揺らぎはすると思う

70二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:39:04

2人とも持ってないのにクリスマスイベントだけ予習して書いてしまった
スカイの計画より雑だけど許して

71二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:47:18

やったことないけど自分にも何か書けないかなと考え始めたワイ、胃痛で寝込む
SS書いてる人は凄いな…

72二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 23:06:02

なんだぁここは…地獄か？

731921/11/17(水) 23:08:38

　卒業式のすぐ後にトレーナー室で渡された指輪を、優勝トロフィーのように思っていた。
　ううん、今も思ってる。ただ、ちょっとだけ意味合いが変わっただけ。
　それは要するに、勝ち取った証、という表現の前に、誰かを負かして、という一節が付け加えられただけなんだけど。

　ドリームトロフィーリーグに進むことを決めた私とは違って、フラッシュ先輩はドイツに帰った。
　トレーナーさんの思いが私に向いていることを知って、自分の思いを告げることなく、静かに一筋の涙を流しながら。
　わざわざ日程をあんなにも厳守していたスケジュールから早めて、トレーナーさんが見送りに来ることができないように、トレーナーさんに内緒での帰国。
　結局トレーナーさんがフラッシュ先輩の思いを知ったのは、彼女が故郷に帰った後、残された一通の置き手紙から。
　乱れた筆跡と、涙で滲んだインク。そして、叶わない恋の苦しさをいっぱいに綴った、その一通の便箋は、今もトレーナーさんが持っている。
　
「……なあ、スカイ。俺、何か間違ったのかな」

　便箋は、トレーナーさんの心に、しっかりと突き刺さった。
　深々と突き刺さったそれは、きっと釣り針のように返しがついていて、引き抜こうとすると大きな傷を残す、そういうもの。
　時々、トレーナー室のソファに横になって、トレーナーさんの膝に頭を預けてお昼寝をしていると、彼は私の頭を撫でながら、どこか遠くを見ている。
　それがいつだって西向きの窓なのは、きっと偶然じゃない。

　時々、彼はドイツに宛てて手紙を書く。
　返事が返ってくることはない。
　フラッシュ先輩のアドレスに、近況を添えたメールを送ることもある。
　返信はない。
　電話をかけることもある。
　本人は出ない。ご両親は出るそうだけど、それでもやっぱり、フラッシュ先輩のことは教えてくれないらしい。本人がそうして欲しいと頼んでいるそうで、トレーナーさんから電話があったことも伝えないようにしているらしい。

　恋人という立場は、得られた。
　でも、その椅子を勝ち取れなかった方が、深い傷を残していった。
　試合に勝って勝負に負けたというか、なんというか。
　私を愛してくれてはいるけれど、それにどこか引け目を感じている彼と、愛されていることに引け目を感じる、私。
　ほんとうに、ずるいひと。

>>74 >>75

74二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 23:20:18

>>73

この地獄は心地がいいなぁ……

75二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 23:41:05

>>65

>>66

>>73

761921/11/18(木) 01:12:48

「……ついに、来てしまった……」

　トレーナーになる前は、意識することさえもなかった、ドイツの大地。
　それを踏みしめる日が来るとは、まさか思わなかった。

　きっかけはやはり、かつての教え子だった“彼女”だと断言できる。
　紆余曲折あって恋人同士ということになった俺とスカイの間で、泣かせてしまった1人の女の子。
　思えばあのお誘いもそういう狙いだったのだろうか、なんて思い至ったのは、スマートファルコンから恨みますと言われて、あの手紙を渡された後。
　ずっと迷いが深く残る。ただ途方もなく、苦しいと思う。
　スカイのことは好きだけれど、それでもあの子と触れ合うたびに、いつも脳裏に、あの手紙が思い浮かぶ。複雑な感情に掻き乱されて、いつもの明るい雰囲気をなくしてしまったスマートファルコンがか細くささやいた、恨みますという一言。そして、想像もつかないほどに辛い思いをさせてしまった、フラッシュ。
　いくつも紐付けされたそれが脳裏をよぎるたびに、幸せなはずなのに苦しいと感じる。
　暖かい日々の中で、心にいつも寒々しい隙間風のような部分がある。
　
　少しでもいいから、会って話がしたかった。
　傷つけてしまうだろうし、傷つくだろうけれど、それでも刺さった棘を抜いてしまいたかった。
　少しでもいいから、謝りたかった。何を謝ればいいのかも、どの面下げて会えばいいのかもわからないけれど。
　無責任だけれど、楽になりたかった。
　我ながら、酷い男だ。こんなやつのどこを好きになったのだろうか。
　手紙も、メールも、電話も、何一つとして彼女に謝ることもできないから、いっそ直接会いに行こうと決めた。
　スカイにも全部話して、彼女からも先輩によろしく、と見送られて、ドイツまで来てしまった。

771921/11/18(木) 01:13:21

　全て計画通りに行動しようとしていた彼女に会いに行こうと決めたにもかかわらず、皮肉のようにどうしようもないほどのノープラン。
　とりあえず彼女の家は知っているからと行ってみたが、久しぶりに会った彼女の両親は、とても複雑そうな感情を抱えていた。
　当然といえば、当然のこと。
　遠い異国の地で、まだ二十歳にも満たない一人娘が、叶わない恋に心を焦がし、届かない思いに苦しみながら帰ってきたとき、ご両親は何を思ったのだろう。
　誇り高く生きると決めて、そのための恃みとして選んだ男に、どうしようもないほど傷つけられて、涙ながらに帰ってくる。
　親になったことはないけれど、その苦しさはよくわかる。

　あなたには感謝しているが、しかし複雑な思いを抱えている。
　けれど、きっとあなたも複雑な思いを抱えているのでしょう。
　
　彼女の母が、ドイツ語で絞り出すように言ったその言葉が、どうしようもなく苦しかった。
　そして、結局彼女には会えなかった。

　空は青い。一番大切な女の子の名前と同じ、青く澄み渡る青雲の空。
　それが綺麗に見えないのは、俺がこうも酷いやつだからなのだろうか。

781921/11/18(木) 01:14:08

　ドイツに帰ってから、失恋の悲しみを忘れるように、製菓の勉強に精を出しました。
　引き裂かれるように痛く、苦い思い出は、どんなに甘いお菓子であっても薄めることさえできないままだったのですが。
　それでも、私にはそれしか残っていませんでした。
　レースを見れば、心が軋む。
　ディアンドルを見れば、涙が溢れる。
　あの人の声を思い出すだけで、眠れない夜が続く。
　苦しくて、苦しくて、悲しくて。
　あんなにもファルコンさんは背中を押してくれたのに、結局ファルコンさんにも辛そうな顔をさせてしまって。

　時々届く手紙は、いつだってあの人らしい、男の人にしては綺麗な筆跡。
　近況のことを当たり障りなく伝える文面に、かつてのチームメイトの名前が一切出てこないのも、いつかマイスター資格を取ったら教えてください、そちらにお菓子を食べに行きますと結ぶのも、いつも同じ。
　優しくて、いつも担当ウマ娘のことを思って行動する人で、そんなところが大好きで。
　だからこそ、変わらないままの思いやり、あの日のままの優しさに心が温まりながら、変えたかった関係性をあの日のまま変えることもできず、身を引く選択をした苦しさがもっと募って、心が千々に乱れて、裂けてしまいそうで。
　結果によらず恨みっこなしと決めた協定だったのに、その笑顔を独占しているであろうかつてのチームメイトに、嫌な嫉妬を覚えて、そんな自分に失望して。
　あの人に捧げたかった心も、体も、この涙に溶けて無くなってしまえばいいのに。
　それでも時々届くメールも、手紙も、あの人は私のことをまだ覚えていてくれているという喜びと、彼を忘れていたい、そして彼に忘れられていたいという苦しみで板挟みになって、身動きが取れなくなるまま。
　それでも、約束した通り。憧れた生き方を貫くために、ファッハシューレに入学して、失恋の苦しみを誤魔化すために、必死に勉強を続けて。
　それでもまだ、胸を焦がす痛みは消えないまま。
　トレーナーさん。私は、もしかすると、もう誰かを好きになることができないかもしれません。
　

791921/11/18(木) 01:14:34

　
　美人揃いのウマ娘の中でも、特に容姿が優れていると言われたような私は、何度か男性からのお誘いを受けることがありました。
　とはいえ、断ってばかりでしたが。
　色々な人からの想いを受けながら、それでも一番欲しかったひとの心は手に入らないままで、容姿のことを言われても心苦しいだけのぽっかりと空いた心の隙間は、どうしようもなく私を弱らせていました。
　その弱さが、こんなことになるなんて。
　休日のお誘いに、少しだけならばいいか、と乗ってしまったのが運の尽き。
　流されるままにお酒を飲んでしまい、気がつけば前後もおぼつかないような状況へ。そういえば、レディ・キラーと呼ばれる種類のカクテルの話を聞いたような。
　そして薄暗がりに連れ込まれ、男の人たちの下卑た視線をはっきり認識してから、ようやく事態を察した時には、時すでに遅し。
　何かしらの薬がどうこうというのを、うまく回らない頭で聞きながら、どこか霞む視界、朧げな意識で、乱雑に服を脱がされかけた所で、ようやく事態を飲み込んで。
　たすけて、と思った時に浮かんだのは、他でもないトレーナーさんの顔でした。
　優しくて、穏やかで、でも一本芯の通った人。
　もう二度と会わないと決めた、敗れた初恋のひと。

「たす、けて……トレーナー、さん……」

　届くはずがない。
　きっとこのまま、なすすべもないままにおしまい。
　たとえ彼がどんなに優しい人でも、どんなに私たちのことを考えてくれる人でも、この声は届くはずがない。

　ああ、なのに。

「お巡りさんこっち！　ほら、早く！　早く！　こっちですってば！」

　聞き慣れた日本語ではなく、ドイツ語ではあっても、聞き間違うことのない彼の声。
　お酒と薬剤に鈍った頭が聞いた都合のいい幻聴ではなく、確かに焦がれた彼の声。
　でも、どうして──？

801921/11/18(木) 01:16:04

　男の人たちが、警官を呼ぶその声を聞いて逃げ去ってから、すぐ。
　たしかにそこにいたのは、トレーナーさんでした。

「……間に合ったか。下手な博打を打った甲斐があったな……」
「トレーナー、さん？　どうして……」
「……こんなことを言う権利は、ないかもしれないけれど。君に、会いたかったんだ」

　心臓が早鐘を打つ。どうしようもなく聞きたかったその言葉に、頬が火照る。

「夢じゃ、ないですよね」
「どうだろう。俺ももしかしたら都合のいい幻覚でも見ているのかも」
「……どうして、ここに？」
「……謝りたかった。君の気持ちに気付きもしないで、辛い想いをさせてしまって。独りよがりかもしれないけど、決着をつけたかった」

　決着。
　あの日伝えられなかった告白への返事。
　でも、はいではなく、いいえ。
　瘡蓋を抉るような言葉。でも、トレーナーさん自身も、すごく苦しそうに。
　こうも互いに幸せになれないなら、あなたに会わないままでいられればよかった。
　ダービーで勝てずとも、誇りのない路線変更をすることになったとしても、秋の天皇賞で勝てなかったとしても。
　未勝利のまま終わる大多数の中に埋もれているだけでもいいから、あなたに会わずにいたかった。

811921/11/18(木) 01:16:32

「……それでさ、メールも、手紙も、電話も、届かないから、直に会おうって決めたんだ。ちょっと前まで君の家にいて、ご両親とも話した。……その後になって、君の後ろ姿を、ちらっとだけ見たんだ。なんとなく嫌な予感がしたんだけど、見失って。それでも、さっき君の声が聞こえた。俺よりもずっと身体能力に優れる君が助けを求める事態ってなると、かなり厄介な問題だと思って、警察を呼んでいるように聞こえるよう、一芝居打った。……なんとか、無事でよかった」
「……ひどい、ひと……」
「……ごめんな。何を謝ればいいのかも、どうすればいいのかもわからない」
「……本当に、ひどい……こんなにも悲しいくらいなら、堕ちるまま堕ちていた方がよかったかもしれません……」
「……ごめっ……！？」

　悲しくて、苦しくて。その想いに任せるまま、トレーナーさんの罪悪感にもつけ込むように。
　卑怯な私は、彼に抱きついて、唇を奪いました。
　私にとっての、ファースト・キス。彼にとっては、そうではないだろうけれど。

「……トレーナー、さん。私は、あなたが好きでした。……いまも、そうです」
「……ごめんな、フラッシュ。本当に、ごめん……！」
「あなたのおかげで、毎日が幸せでした。だからこそ、今は寒くて、凍えてしまいそうです」
「……ごめん、ごめん……！　俺、ずっとひどいことしてたのかもしれない……！　これからも、ひどいことをしてしまう……！」
「……トレーナーさんは、きっとこの想いに、応えてくれないでしょうから。ずっと、苦しいでしょうけれど。もう、誰かを好きになることもできないでしょうけれど、それでも、今日、会えたのは……苦しいけれど、幸せでした」

　さようなら、私の初恋。

821921/11/18(木) 01:17:23

　ドイツから帰ってきたトレーナーさんは、憂いと影を覗かせることはあっても、西の方を眺める頻度は減った。
　きっと針は抜けたんだろうな、という思いと、でもきっと、針の刺さった痕は残るんだろうな、という思いと。
　プラスなのか、マイナスなのかもわからないけれど、どこか吹っ切れたような、そんな感じで。
　私はそれを聞かない。ドイツで何があったのかは、多少察しても聞きはしない。それは私の問題ではなくて、当人同士だけの問題だから。
　私はただ恋人らしく、でーんと構えていればいい。釣り人のように、穏やかな心で、じっと待っていればいい。
　なんて、少し寂しいけれど前向きなモノローグを思っていた時代が、セイちゃんにもありました。

　トレーナーさんのドイツ行きから、数年後。トレセン学園のすぐ近くに新装開店した、一つの洋菓子店。
　そこの店主は、なんとなんと、あのエイシンフラッシュ先輩だったのです。
　前よりもずっと綺麗になった気がするあの先輩は、しっかりとマイスターの資格を取って、日本でお店を開くことに決めたそうな。
　吹っ切れたような笑顔で、まだトレーナーさんを諦めていませんから、なんて言われた日には、どうしようかと思った。
　なにせこちらは安定したポジションを得てから、もだもだもだもだと関係性を更新せずに引きずったまま。なんならエルとかキングとかはもう籍を入れていると言うのに、まーだなんとなく今のままの関係でいいか、と落ち着いたまま。
　ドリームトロフィーリーグを卒業してから、トレーナーさんのチームにかつての私たちのように彼に惹かれる子のないようにという牽制とか、その他もろもろを込めて──もちろんトレーナーさんとしては経験豊富な選手の経験を生かしたいという考えもあるだろうけどそれはさておき──サブトレーナーとして収まっただけで、ぶっちゃけまだまだ恋人のままなのだ。
　
　まずい、非常にまずい。安定した立場にあぐらを書いていたら、ハナ差でギリギリ凌いだ相手がパワーアップして帰ってきた。
　これはもしや、差し切られてしまうかもしれない大ピンチなのでは？
　と、ダービーの時と同じかそれ以上に焦るセイちゃんなのでした。

83二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 01:17:27

ごめん、いまめちゃ読んで悲しくてないてる…

84二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 01:18:49

お、おおおおおお！

851921/11/18(木) 01:19:32

ここまで書いたんだから出るよね
書けば出るは真実だよね
そうだと言ってよ、三田誠先生ェ……！

>>98

86二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 01:20:10

ありがとう…ありがとう本当にありがとう

87二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 01:25:12

フラッシュがふっきれてよかった…
いや、この粘りつよさの素晴らしさよ

881921/11/18(木) 01:25:55

作業用BGM:「ロマンチシズム」(Mrs.GREENAPPLE)
「it's time」(imagine dragons)

89二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 01:26:44

よきかな

90二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 01:37:59

【SS】【フラッシュ×♂トレ】卒業後の別離を経て同棲するエイシンフラッシュとトレーナーさんand more 【part5】｜あにまん掲示板題名通りエイシンフラッシュと♂トレーナーさんが卒業後に同棲しながらイチャイチャするお話しと彼女たちを取り巻く方々のお話しです。徒然に書いていくので時系列はバラバラとなります。（現役時代、別離期間、同棲…bbs.animanch.com

ここと上のスレを交互に行き来することにより情緒がバグる

>>91

91二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 01:41:49

>>90

でもこっちのフラッシュ告白にすすめなくてヘタれてたのが原因で遠回りしたし…

92二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 01:43:44

これあれだ、エロゲの個別エンドで
「主人公とくっつかなかったルートのヒロインは不幸になって当たり前な風潮」
の系譜だ。

>>93

931921/11/18(木) 01:53:24

>>92

今年からエロゲやれるようになった年齢だからその例えはよくわからんけどもしかするとそうかもしれないけどやっぱりよくわからん。

寝ます。

>>96 >>97

94二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 02:03:24

主人公とくっつかなかったヒロイン＝失恋ということになるけど
そのあとで、ふつうに主人公と関係ないところで主人公以外の男と幸せになるというのも
オリキャラ男とヒロインをくっつけることになるから想像したりSSになりづらくて
（もちろん、主人公たちとは別の未来を前向きを歩む、というのはSSの題材として王道だけど
　実力が無ければ書けない）

結局失恋のあとにさらに不幸に堕ちていくとか、そんなSSが量産されやすいんだ。
（その真反対のハーレムSSとかもあるけど）

そういう事情のことだの

95二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 02:53:22

俺のこの持て余した感情をどうしたら良いのだろうか
なにはともあれ完結おめでとう＆お疲れ様でした
またあなたの作品が読みたいです

96二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 10:33:03

>>93

そんな年齢でこんなもん書くとかどんな人生生きてきたらできるん……？

　私にとっての、ファースト・キス。彼にとっては、そうではないだろうけれど。

ここを未成年で書くに至るには何食ってどんな暮らししてたらできるん……？

97二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 10:34:51

>>93

うっそやろお前

10代で書いてるんかこれ

98二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 11:42:01

>>85

三田誠先生ってお前それ書いても出ないの代表格じゃねえか！

もっと書けェ！そうすればもっと出る確率が上がるぞ！

99二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 12:36:38

仮にフラッシュが既成事実積み上げて射止めたとして

あのとき気持ちを伝えていれば変わってたのかもと前向きになれないウンス
忘れられない思いを秘めてるがそれを表に出すとフラッシュに対して誠実ではないと考えてしまうトレーナー
大逃げでゴールしきったもののふとした瞬間の仕草で自分への思いは所詮二番目でしかないと判ってしまうフラッシュ

救いはないのですか

>>108

1001921/11/18(木) 12:38:25

まだまだ書きたい欲求はある(ただアイデアがない)ので、読みたいシチュを投げてもらえたらいけそうなやつを気まぐれに書きます。

なお>>19で書いた通りセイちゃんもフラッシュもどっちも持ってないのをようつべのシナリオ動画見ながらエミュしてるので精度は低いし公式の設定を読み落とすこともあるのでお許しください

101二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 12:45:22

神スレすぎる…
フラッシュかいたりしてるけど文才うらやましい

1021921/11/18(木) 18:45:50

　朝、目が覚める。
　腕の中に大切な人がいる、幸せ。
　寝癖のついた綺麗な黒髪を指で軽く整えて、それからカーテンを開ける。
　青い空に浮かぶ、白い雲。
　初恋の人を、思い出す。
　不誠実な自分に嫌気がさす、そんな朝。

　万事良し、万事良し、万事良し。
　万事良かったら、誰が心配する？

　新人トレーナーという肩書きも外れて、エイシンフラッシュとセイウンスカイという2人を育て上げたトレーナーとして、かなり高い評価を受けるようになった。
　とはいえそれは自分の実績ではなくあの子達が努力したからこそのものなので、若手のエースと言われてもなんだか自分と結びつかない。
　それでも、日々は回る。そこに彼女がいて、幸福に浸っている。

1031921/11/18(木) 18:46:21

　俺と彼女ことエイシンフラッシュが正式にお付き合いするようになったのは、担当契約で一番重要な3年間の締めくくり、有馬記念の後。
　本来なら引退して、そのままさようなら、じゃあ遠い国でお元気で、と別れるはずだった彼女からの呼び出しを受けた、年末のある日。
　あなたのことがずっと好きでした、というストレートな告白。
　容姿は美人揃いのウマ娘の中でも一際の美貌。生真面目な努力家で、性格だってケチのつけようがない。しかも料理上手で死角のないスーパー美少女。正直、高校時代の同級生にこんな子がいたら発作的に告白して振られてそのまま拗らせていたかもしれないような、高嶺の花。
　教え子という目で見ていたから考えもしなかったが、好感の持てる人物ではあると思う。
　ただ、俺はその告白を断った。
　
「……好きな人が、いるんだ。思いが届くかはわからないけど、届いたらいいなって思う。だから、ごめん」

　それでも彼女は優美に笑って、応援しています、と言ってくれた。
　本当に、こんなにも良い子なのに、どうして俺なんかを好きになったんだろうか。

1041921/11/18(木) 18:46:51

　好きな子がいた。
　彼女が卒業したら、告白しようと思っていた。
　でも、どうしてもその子のことを考えると、フラッシュのことが脳裏によぎる。
　それで、結局何もないままに終わった。

　そして、フラッシュが帰国する直前。
　もう一度、彼女に告白された。
　その時にはフラッシュに惹かれていたというのもあって、頷いた。
　彼女はもう少しだけこの国に残ることを決めた。マイスター資格のために必要なファッハシューレの入学は21歳からだから、もう少し時間的猶予はあると言って、そのままレース生活の続行を決めた。
　それからまた、そこそこに長い時間が過ぎて。最初に担当した2人は、どちらも学生としてもトゥインクルシリーズの選手としても卒業し、その後進んだドリームトロフィーリーグを引退して、それぞれの道を選んだ。
　フラッシュは故郷に帰って、夢を叶えるための研鑽を積む。
　俺も、彼女に恥じることのないように、トレーナーとしてここで頑張る。
　そして、初恋の君は、学園の卒業式の後から少しづつ関係が希薄になっていって、ドリームトロフィーリーグを引退した後には、時々メールでやりとりする程度になった。
　趣味の釣りを満喫しながら、類稀な戦術眼を生かしてトゥインクルシリーズの解説者をやっているらしい。少し心が疼くからテレビで見ることはないけれど、レギュラーの釣り番組もあるのだとか。

1051921/11/18(木) 18:47:11

　俺は今も、トレーナーを続けている。
　最初の2人がどちらもGⅠを勝ったから、芝の中長距離路線を目指す子から担当して欲しいと頼まれることも何度かある。
　GⅠの壁にぶち当たったりしながら、重賞を勝ち取ったり、あるいは負けたり。
　そういう日々を繰り返すうちに、思い出す顔はいつも、穏やかなひだまりの中でまどろむ──

　かぶりを振った。やめよう。こんなことはよろしくない。
　目の前のことに向き合えよ、なあ。

　日々は回る。
　フラッシュは無事にマイスター資格を取得した。
　お父さんの関係で東京の有名店に仕事を得たそうで、電話越しに声を弾ませながら、もうすぐ東京で一緒に暮らせる、なんて話をした。
　思い浮かぶ色は、空色。
　なあ、それじゃあダメだろ。

　日々は続く。
　彼女との暮らしは幸せだけれど、時々泣きたくなる日がある。
　それがどうしてかは、わからない。

　なんとなくつけたテレビで、思い出の中よりちょっと大人びた彼女が、大物を釣り上げて笑っていた。
　元気そうで、よかった。
　なあ、それだけだろ？

　万事良し。万事良し。万事良し。
　問題なく日々は続く。万事良いから心配はいらない。
　だというのに、俺は何を考えている？
　罅が入ったような気分で、それでも日々は続く。
　
　こんな俺が、彼女に釣り合う日が来るのだろうか。
　……彼女って、どっちだよ。釣り合いたいのか、釣り上げられたいのか、ハッキリしろよ。

1061921/11/18(木) 18:49:35

おしまい。ちなみに、
「万事良し、万事良し、万事良し　万事良かったら誰が心配する？」
の部分は、昔読んだ「コンチキ号漂流記」にこんな感じのセリフがあったので持ってきました。
ちなみに「コンチキ号漂流記」ってのは、イカダで海を渡るノンフィクションの小説です。
いや別にイカダなんて関係ないはずなんですけどね。アングリング×スキーミング？　なんのことやら……

>>107

107二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 18:51:12

>>106

うおおおお！せつねぇ…

1081921/11/18(木) 18:52:53

ちなみに着想は>>99から得ました。感謝ァ……

109二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 20:15:12

もっとこう……手心というか……
平和な日常をくれ……闇のない、みんな幸せな日常をくれ……

>>111 >>121

110二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 00:46:03

保守

1111921/11/19(金) 10:59:41

>>109

書いてみたりはするんですけど心の中の虚淵が囁くので難航しそうです

気長にお待ちください

112二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 11:03:31

これがラブトライアングルちゃんですか？

113二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 19:47:10

(ラブトライアングルってなに……？)

114二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 01:00:06

ほしゅ

115二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 01:53:38

保守

これ以上なく心を掻き乱されるスレに出会えたことに感謝…

116二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 01:55:37

「きみのことが——」
違う。その言葉は私の物にしてはいけない。

『協定』を結んでから3年、フラッシュ先輩が積み重ねてきた数々のアプローチを私は知ってる。そりゃセイちゃんもそれとなーく気持ちを行動に移したりしたけど、そんなことはものともしない筈の猛アタックを彼女は仕掛けていて、その努力の大きさを私は知っていて、だからこそ私は身を引くつもりで構えていて、
そんなところに彼がやってきた。

「待って……！」
「待てない。きみのことが、好きなんだ」

あぁ、聞いてしまった。伝えられてしまった。
違う、違う、違う。
こんな結末は間違っている。
その言葉は彼女のものだ。

「きみが卒業してから伝えようと思っていたんだ」
「きみの走る姿が好きだった」
「恥ずかしいけど、ずっと前からきみの言動に一喜一憂していた。」

その言葉の一つ一つが甘く聞こえ、私には不似合いで——もっと相応しい『誰か』の姿を想起せざるを得ないほどで、

セイちゃんは、逃げた。

「ごめんなさい！」
たった一言、拒絶に聞こえるであろうそれだけを放ち、駆ける。逃げ足だけは一人前の私に、彼は決して追いつけない。今だけは追いつかせない。その一心で走った。いつもと違った大地の感触が、私の足に絡まるようだった。

>>117

117二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 01:56:45

>>116

みたいなのを思いついたけど着地点が見えないし眠いし寝るね……

118二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 12:32:30

保守

119二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 12:58:00

泣きそう
どんな展開になっても地獄しか待ち受けていない

1201921/11/20(土) 22:14:14

書けば出ると言ったな
あれは嘘だ
フラッシュもセイちゃんもドーベルも来ないでフジキセキがきました
書いても出なかったのでもっと書くことを決意

121二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:03:30

>>109より着想を得て。

　ある冬の日曜日。

　トレーニングのない日でも、ウマ娘たちの授業がない日でも、トレーナーの仕事がなくなるわけではない。

　次に出るレースの相手の分析とか、あるいは現在の担当たちが練習で出した数字の分析とか。

　そういうわけで、今日は2人にオフを言い渡しておいてはいるが、俺はひとりトレーナー室へと向かっていた。

「……あれ、昨日鍵閉め忘れたかな」

　がちゃり、とドアが開く。防犯上の観点から夜間は鍵を閉めておかないといけないし、たしかに昨日は鍵を閉めてから帰ったはずなのだが。

「あー、なるほどな……」

　ソファから垂れ下がる、青みがかった芦毛の尻尾。初めて出会ったあの日と同じように、スカイがソファで眠っていた。

　担当2人にも鍵は渡してあるから、おそらくそれで先にここに来て入ったのだろう。流石に暖房はついているが、それはそれとして毛布をかけておく。

　有馬が迫ってきているこの時期に風邪をひかれるのは、流石に大問題なのだ。

「……おやすみ、スカイ」

　そうして、俺はデスクに向かった。

122二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:03:57

　ガチャ、とドアが開く音がして、半分寝てて半分起きてるくらいの意識が覚醒した。
　誰だろうか。トレーナーさんかな。それともセイちゃんと同じように、ここにきたらトレーナーさんに会えると思ったフラッシュ先輩かな。
　かつ、かつという足音。これは多分トレーナーさんのもの。

「あー、なるほどな……」

　やっぱりトレーナーさんだ。とはいえどうして休みなのにここにいるんだ、とか聞かれたら答えに詰まるので、ここはタヌキ寝入りを選ぶ。
　そうしていたら、初めて会ったあの日と同じように毛布をかけてくれた。
　そうしてそのまま机に向かって、何やら作業を始めるトレーナーさんの後ろ姿を、薄く目を開いて眺める。
　トレーナーさん、今日って日曜日なんですよ。普通の人はお休みしてる日なんです。
　だんだんに有馬が近づくようになってから、トレーナーさんは夜遅くまで仕事してるみたいで、結構ひどいクマができてる。
　それでもトレーナーさんは、例えばいま毛布をかけてくれたみたいにすごい優しい人だから、セイちゃんと違ってサボったりしないし、私たちのために身を粉にしてくれている。
　そういう誰かのために全力でいられるところとか、優しいところとか。そういう部分が、最初に好きだなあと思ったきっかけで。
　部屋にカリカリとペンを動かす音だけが響く。あー、眠くなってきた。
　やっぱりまた寝ちゃおうかな。おやすみなさーい。

123二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:04:48

「……休憩するかぁ」

　ぐっと伸びをして、時計を見ればもう12時過ぎ。ざっと3時間くらいレース分析をやってたことになる。そりゃあ腹も減るわけだ。
　適当に買い置きのカップ麺でいいか、とお湯を沸かして、3分タイマーをかける。
　ソファの方に目を移せば、穏やかな顔をして眠るスカイの姿が。
　猫みたいに丸くなってるおかげででかいソファには結構なスペースがあるので、そこに失礼して出来上がったカップ麺をズズズ、と啜る。
　……しかし、いつも思うが、本当にこの担当はかわいい。
　ふわふわの髪も、のんびり屋な性格も。どうして来てるのかは知らないが、この寝顔を眺めているだけでいくらでも頑張れる気がする。
　……寝てるし、いいか。
　傍に眠るスカイの頭を、起きない程度にわしゃわしゃとする。
　おお、相変わらずいい触り心地。実家の飼い猫を思い出す。
　とはいえあの三毛猫はやたらと俺に懐かないし、こっちの方がまだこうやって触れるし、猫パンチもしないし、最近はトレーニングをサボらなくなったのでずっと良い。なによりもかわいい。
　
「ほんと、かわいいなあ……」
「……んぅー……」

　まずい、起こしたか？　と思ったが、どうやらそうではないらしい。半覚醒とでも言ったところか、ちょっと寝返りをうちながら、俺の膝に頭を預けて、腹に顔をすり寄せる。
　その際にズレた毛布をかけ直して、もう一度頭を軽く撫でる。
　……あー、ダメだ、こっちまで眠くなってきた。

124二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:05:18

　なんだかお腹がすいたなー、とか思っていたら、突然漂う醤油の匂いに目が覚める。
　時計を見れば時刻は昼過ぎ、立派にお昼ご飯の時間。
　匂いの出どころはトレーナーさんが作ったカップ麺から。
　あー、また適当に済ませて。いっつもこっちには栄養を考えるようにとかいうし、朝昼晩の3食に何を食べたか記録をつけさせて管理してるのに、自分を蔑ろにしてどうするんですか。
　今度食育をしないと、なんてタヌキ寝入りを続行しながら考えていたら、トレーナーさんが私のそばに座ってお昼を食べ始めた。
　……流石にそろそろ起きて、ご飯を食べに行こうか。
　なんて思っていたら、頭に何かが触れた。あ、これトレーナーさんの手だ。
　恐る恐るといった感じの、優しい手つき。
　……いまこの状況で起きるのは、流石に無理。されるがままで待つしかない。

「ほんと、かわいいなあ……」

　……それ、起きてる時に言ってくれませんかね。毎日言ってくれればセイちゃんはエブリデイ幸せいっぱいなんですけど。
　とはいえたぶんこの感じは猫だと思われてるんだろうなあ。トレーナーさんちの猫になって可愛がられるのもいいかもしれないけど、できたら敗色の漂うこの恋愛前線で勝利した上でトレーナーさんの家に暮らしたい。
　あー、顔が熱い。にやけそうになる。顔が赤くなってたりしてバレたら恥ずかしいので、寝ぼけたふりをしてお膝に頭を乗っけて、そのままお腹に顔を当てて隠す。ついでに膝枕という快挙達成。よし。
　わしゃわしゃーっと撫でられながら、トレーナーさんと一緒に三度寝を決め込むのでした。

125二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:05:39

　今日は一日オフなので、と以前に誘われたファルコンさんの路上ライブを見に行った帰り。
　トレーナー室のそばを通りがかって、窓の外から覗き込むと、トレーナーさんがデスクに向かって作業をしていました。
　この後のスケジュールは、自室での自習でしたが、それを少し曲げてトレーナー室での自習にしてもいいかもしれない、と考えて、部屋にテキストを取りに行って、トレーナー室へ戻ってみれば、そこにはソファで眠っているトレーナーさんと、その膝を枕に眠るスカイさん。
　その姿に少し心がざわつきますが、トレーナーさんの目に張り付いた濃いクマをみて、起こすのも忍びなくなってしまったので、そのままトレーナーさんの側に座って、テキストとノートを開き、ペンを手に取り。
　
そして勉強を終えてから、その間に思いついた計画を実行に移すことにしました。

126二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:08:05

>>56

今はそれどころじゃないですねぇ！

怪文書を推敲する暇もないですよ！

ほとんど殺された！なんなんだあの長いナイフは！

ゆるさんぞ……ころしてやる>>32……

127二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:08:06

「ん……？」
　
　膝にかかる軽い重みの他に、何やら右側から重みを感じる。それに女子特有の謎の甘い匂いを感じて、目が覚めた。
　視界の端に覗く黒い髪は、おそらくフラッシュのもの。いつのまにかソファに座っていたらしい。机の上を見れば、教科書とノートが。なるほど、勉強してたのか。
　それでそのまま、頭を俺の方に預けて寝てしまったのだろうか。
　フラッシュもトレーニングを頑張っているし、気づかないうちに疲労が溜まっていたのかもしれない。そう考えると起こすのも忍びないので、動くわけにはいかない。
　膝の上にスカイの頭、右側にはもたれかかるように眠るフラッシュ。かろうじて動くのは左手だけ。
　やらなきゃいけない作業はまだあるけど、まあ、夜にでもやればいいか。
　そう考えて、もう一度目を閉じた。

　3人揃って、お昼寝日和。
　そして目が覚めるのは、夜になってから。
　それから晩御飯を3人で食堂に食べに行って、そしてそれぞれが今日もらった活力で、明日からもトレーニングを頑張っていく、そんな、冬の1日。