【SS・CP・閲覧注意】幼少期からウタの匂いを嗅ぐのが好きなルフィ PART8

  • 1二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 23:05:03
  • 2123/03/07(火) 23:06:29
  • 3123/03/07(火) 23:06:50
  • 4123/03/07(火) 23:07:15
  • 5123/03/07(火) 23:07:38
  • 6123/03/07(火) 23:08:00
  • 7123/03/07(火) 23:08:23
  • 8123/03/07(火) 23:09:17

    ここはウタ限定匂いフェチなルフィと「ルフィならまあいいよ」なウタが嗅ぎつ嗅がれつしたり一緒にお風呂入ったりする文をスレ主がつらつらと投げていくスレです

    前スレで遂にライブが始まりましたが黒ひげが襲来しました

  • 9123/03/07(火) 23:10:12

    続きは明日か明後日に

  • 10二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 23:11:52

    サムネはいいけど「ウタの匂いを嗅ぐのが好き」文字列がグロいぜ

  • 11二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 23:15:28

    このレスは削除されています

  • 12二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 23:29:08

    じゃあ俺、RED見て寝るから...

  • 13二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 06:51:48

    待機!!

  • 14二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 11:50:07

    でも、黒ひげ相手にはルフィよりゾロサンジジンベエの方が有効ではあるよね

  • 15二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 20:10:20

    あげとこ

  • 16二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 21:47:15

    黒ひげの何が怖いって、「気の良いおっさん」と「野心溢れる残酷な海賊」がシームレスで繋がってるところだよな
    笑いながら命取りに来そうなの超怖い

  • 17123/03/08(水) 22:02:42

    また明日

  • 18二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 05:22:05

    いいね 

  • 19二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 15:36:14

  • 20二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 21:07:40

    楽しみ

  • 21123/03/09(木) 22:52:09

    遅くなったが少しだけ

  • 22123/03/09(木) 22:52:44

    ──────────────────

    〜五老星の部屋〜


    「不味いな……よりにもよって彼奴が最初に着いたのか」

    「報告では起きているのは黒ひげ1人、現在はウタの歌を聞いている模様です。

    一緒に来ていたであろう幹部連中は皆眠っており、ウタの能力の影響下にあると思われます。

    黒ひげ本人にウタの能力が通じない理由は不明ですが、依然として危険な状況には変わりありません。偵察員も手を出しあぐねている様です」

    「そのまま偵察を続けさせろ、警戒される様な下手な動きは取らせぬように。

    ウタウタの能力をどこまで知っているかは分からんが、目的の為なら奴は手段を選ばん。

    もし今ウタに万が一のことがあれば、ウタワールドの中にいる人間は皆永久に閉じ込められることになる」

    「ウタワールドに誘われる人間も加速度的に増えている。これ以上は看過できんぞ」

    「海軍はまだ到着しないのか?」

    「大将2人を乗せた先行部隊は間も無くとの報告です。全艦の到着はもう暫くかかるかと……」

    「いや、いい。手遅れになる前に大将だけでも急がせろ」

  • 23123/03/09(木) 22:55:37

    「……しかし、当初懸念していた革命の兆候は見る限りは無さそうだな」

    「海賊嫌いは事実だが、それとこれとは別の話ということか。

    今日のライブも純粋に自らのファンの為に開かれたものだ。きっと念入りに計画を練ってきたことだろう」

    「人々の幸せを真に願う歌姫……か。どうやら我々は彼女のことを少々誤解していた様だ。



    …………だからこそ、此度の決断が心苦しくなるな……」


    「……仕方あるまい、これも世界を守るためだ。

    【四皇】に目をつけられた不運……いや、大海賊時代である限りは必然と言ってしまってもいいものか……」

    「【赤髪】の到着までにケリをつけなければ。政府の動きを知ればどう出るか分からんぞ……」

  • 24123/03/09(木) 22:59:05

    ─────────────────

    「……政府からの通達じゃ、ウタのライブを強制的に中止させることが決まった。

    ウタウタの能力の特性上、能力者が四皇に狙われている現状を放置しておくのは危険すぎるとの判断じゃ」

    『参ったねェ〜……地道に頑張ってきただけの女の子の夢を海軍の手で潰すことになるなんてねェ……』

    『……世界政府は、この決定も時代のせいだと言うんでしょうかね……』

    「……そりゃあ政府の決定に対する皮肉か?」

    『えェ、えェ、分かっていやす。こっちも世界を背負ってんだ、生半可な真似は出来やせん』



    「げ、元帥!!報告です!!」

    「何じゃ!!」

    「観客に混ざって眠っていたはずの海賊『麦わら』のルフィの意識が突如覚醒!

    ウタと黒ひげの間に割って入り、黒ひげとの交戦が開始された模様です!!」

    「何じゃと……!?」

  • 25123/03/09(木) 23:03:57

    ───────────────────

    「ゼハハ……ああ痛ェなチクショー!!

    てめェもいやがったのか麦わらァ!!いきなり攻撃してくるたァいい根性してるじゃねェか!!」

    「相変わらずタフな奴だな……」

    「まァてめェはおれに恨みの一つもあらァ、別にそこに目くじら立てやしねェが……

    ゼハハハ、歌姫様と随分と親しげじゃねェか!!てめェらどんな関係だ!?一体何の義理があってその女を守るんだ!?」

    「うるせェ!!お前には関係ねェだろ!!

    お前こそなんでここにいるんだよ!!帰れ!!」

    「ゼハハハハハ!!固ェこと言うな麦わらァ!!折角こんなどデカい祭りをやってんだ、来ねェ手はねェだろ!?招待状は貰ってねェがな!!

    そうして来てみたらどうだ!ウタウタの実なんて値打ちものぶら下げたいい女が1人でいるじゃねェか!そりゃあ欲しくもなるだろう!?」


    「欲しくなる……? え、ちょっと待ってどういうこと?」


    「簡単な話よ!能力者の能力は殺して奪えばいいってことさ!ゼハハハハハ!!」

  • 26123/03/09(木) 23:07:53

    ……あまりにも物騒な単語に少しだけ身震いがした。きっと口で言う通り、この人は私を殺すのに一切の躊躇いもない。


    「……だ、だったら貴方達は、初めから私を殺すためにここに……!?」

    「ゼハハハハハ!そいつは勘違いだな嬢ちゃん!

    おれ達ゃライブを聴きに来たんだ!ウタウタの実はまァ……棚ボタだ」


    ……な、何それ……?

    私、ついでで殺されかけたってこと……!?


    「…………」ブルッ

    「……ウタ?」


    ……いつ以来か分からない、もしかすると初めてかも知れない心の底からの恐怖を感じた。

    こんな海賊が……こんな、常識の通じない悪い海賊がいるなんて……


    「……あ、ぅ…………」



    「心配すんな、大丈夫だウタ」

  • 27123/03/09(木) 23:13:23

    「……ルフィ……」


    私と黒い海賊の間に立つルフィ。表情は見えないけど、握った拳の力の入り具合からどんな顔してるかは大体分かる。

    ……いつの間にこんなに頼もしい背中になったんだろう。今の今まで私の心を支配していた恐怖が、少しずつ小さくなっていく。


    「ゼハハハ……威勢がいいのは結構だが、お前にゃこのステージはまだ早ェんじゃねェか!?

    命を投げ捨てるのも同義だ!!それがてめェの生き様だってんなら尊重してやるがな!!ゼハハハハハ!!」

    「さっきからゴチャゴチャうるせェな!!お前がどうだろうと関係ねェんだそんなのは!!

    死んでもウタには指一本触れさせねェ!!ライブの邪魔も絶対にさせねェ!!!」

    「ゼハハ、随分と必死だな麦わらァ!!そんなにこの女が大事か!?このライブが大切か!!?」

    「当たり前だろ!!大事だから守るんだ!!守りてェから守るんだよ!!!


    それに……このライブはこいつの夢なんだ!!子供の頃からずっとあっためてた夢なんだよ!!!」

  • 28123/03/09(木) 23:18:53

    「……!!」


    いつか語ったあの日の夢が、今日までの私の原動力。

    それをルフィも覚えていてくれたことが、何だか無性に嬉しかった。


    「!! …………へェ……」

    「だから邪魔すんじゃねェ!!!邪魔するってんならお前をぶっ飛ばしてでも……」


    「………………」

    「……おい?」


    さっきまでずっと笑ってたその黒い海賊は、一度だけニヤリと笑うと急に黙り込んでしまった。


    ……かと思ったら。


    「……ゼハハハハハハハハ!!!

    そうか夢か!!そりゃあ大事だ、悪かった!!

    それを言われちゃあおれも身を引くしかねェ
    な!!ゼハハハハハハハハ!!!」

  • 29123/03/09(木) 23:21:18

    本日はここまで

    WBC始まったから頻度が落ちるかも知れない

  • 30二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 23:25:16

    黒ひげってなんだかんだ話せばわかりあえるのだろうか

  • 31二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 23:34:22

    本当に引くのか…?

  • 32二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 23:35:20

    退きそうでもあるし、何かある気もする

  • 33二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 23:50:03

    この場は引くかもしれない
    ライブ終わった瞬間とか場が混乱してる時に今はもういいよな!とかやっぱ気が変わった!とかで突如来るかもしれない

  • 34二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 07:06:28

    保守保守

  • 35二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 15:47:35

    あげとこ

  • 36二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 15:52:35

    おそらく自分と相反しない(無関係な)夢を叫ぶ奴は大好きおじさんだからな
    その過程をオジャンにするような無粋な真似はしない男

  • 37123/03/10(金) 21:56:41

    今日はお休み

  • 38二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 22:19:26

    >>37

    うそ…だろ…。。

  • 39二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 00:33:37

    黒ひげマジで読めねえんだよな
    ホントに退いたのか、一旦退いただけでライブ終わったらまた来るのか
    マジでどっちもありそう

  • 40二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 02:42:41

    >>37

    許せねえ...シーザーを...殺す!

  • 41二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 09:55:36

    >>40

    殺しちまえあんなクズ

  • 42二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 12:16:01

    黒ひげが万が一本当に退却しても次はマムが来るとか難易度ベリーバードすぎんよ〜
    いや、睡眠対策してなければ黒ひげより楽か?

  • 43二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 15:56:03

    黒ひげは夢の邪魔をするのは許さないだろうし
    それが幼い頃からの夢で自分の夢の邪魔では
    ないなら見逃す確率の方が高そう
    なお、ライブが終わったあとはわからん
    でも、途中の邪魔は絶対しないし、させない
    だろうからマム来てもワンチャン共闘も
    あり得るんだよな

  • 44123/03/11(土) 22:37:08

    >>41

    あんまり過激なのは感心しないぞォ

  • 45123/03/11(土) 22:37:29

    「……は?」


    「夢は大事だぜ嬢ちゃん!!世界最大のライブ、いいじゃねェか!!夢があってよ!!

    夢の溢れるこの時代!それを追い求めるヤツらだけが勝者になれるのさ!!」


    「な、何なの急に……?」

    「………………」

    「……ルフィ?」


    少しだけ前に出てちらりとルフィの横顔を見る。

    何だかよく分からない顔をしていた。まるで何かを思い出してるみたいな……


    「ウタ」

    「!!」ビクゥ


    「下がっててくれ。危ねェ」

    「う、うん……」

  • 46123/03/11(土) 22:41:07

    一歩下がった私の盾になるみたいにルフィが立ち位置を変える。

    私には振り向くことなく、その海賊を見据えながらルフィは言った。


    「どういう風の吹き回しだ?」

    「ゼハハ、言っただろ?おれは人の夢を邪魔するような無粋な真似はしねェんだ!!おれの野望の糧になるなら遠慮なく殺すがな!!

    それにウタウタもだ!!楽に手に入るなら有り難く頂くが、今の状況で無理して手に入れるにはおれ達へのリターンが足りねェな!!」

    「リターン……?」

    「ウタウタは確かに強力だ、喉から手が出るほど欲しいなんて奴もいるだろうな!

    だがモノには適材適所ってのがあるんだ!奪ったところで生憎今のウチの奴らにその実を使いこなせる奴ァいねェ!

    そんなもん持ってても宝の持ち腐れだ!!だったらその嬢ちゃんにそのまま活かしてもらった方が面白ェだろ!?」


    「………………」


    「それにあまり長居もしてられねェ!!早ェとこずらからねェと、もうすぐこの島は戦場になるからな!!」

  • 47123/03/11(土) 22:45:28

    「せ、戦場……?」

    「どういうことだ?」

    「ゼハハハハ、いいさ!いい歌の礼と同業の誼みで教えてやらァ!ウタウタの能力を狙ってるのはおれだけじゃねェってこった!!


    【ビッグ・マム】と【赤髪】もこの島に向かってるって噂だぜ!?」


    「!?」

    「……シャンクス……」


    ……大遅刻だけど、やっぱりシャンクスも来てくれてるんだ。よかった。

    だけど、ルフィは名前の上がったもう1人の方に反応していた。


    「ビッグマム……!?」

  • 48123/03/11(土) 22:49:36

    「赤髪が何しに来るのかは知らねェが、あのババアはまず間違いなく能力者狙いだろうな!

    てめェもやり合ったんなら知ってるだろ!?奴らの情報網は四皇の中でも頭1つ抜けている!!

    ウチの連中みたいに寝ちまう様なヘマもしねェだろう!嬢ちゃんの能力が通じるとは思わねェ方がいいぜ!?」


    この海賊は何かイレギュラーみたいだけど、私の能力は基本的に歌を聴かせてあげれば誰にでも通用する。

    つまり逆に言えば、歌声を封じられれば私は無力になってしまう。


    ……実際は眠らせた人を操ったりもできるけど、それはやりたくない。


    「それにこの状況、海軍も黙ってるわけにはいかねェよなァ!?今頃大将でも連れてこの島に向かってるかもな!!

    世界を守るのが海軍様の仕事だろう!?万が一ウタウタの能力者が能力発動中におれに殺されようもんなら一大事だからなァ!!」

  • 49123/03/11(土) 22:53:11

    「……っ!」

    「……ゼハハ、その様子なら能力者が死んだ時どうなるかも知ってる様だな?

    もしかすると最初からそれが狙いだったのか!?顔に似合わず悪どい姉ちゃんだ!!ゼハハハハハ!!」

    「し、しないよそんなこと!!折角私の歌を聞きに来てくれた人なのに!!」

    「ゼハハ、この時代で生きて行くにゃあそんな優しさは邪魔になるぜ?ましてや嬢ちゃんみたいな『人気者』なら尚更だ!!

    てめェも利口とは言えねェな麦わらァ!!会場にいる観客なんざ見捨ててその嬢ちゃんを連れて逃げちまえばいいだろう!?

    それとも真っ向から戦うってのか!?【四皇】に【海軍大将】!!おれが退いてもやべェ奴らはわんさか来るぜ!?


    それでもてめェに守れんのか!!?


    大事なお友達を!!!

    その嬢ちゃんの夢をよォ!!!」

  • 50123/03/11(土) 22:57:03

    「…………っ……!」


    高笑いする海賊。何がそんなに面白いって言うのよ。

    それなのに私は、ルフィの陰に隠れていることしかできない。


    ………………悔しい。


    ……だけどルフィは、私ともその海賊とも違う、すごく落ち着いた声で返した。


    「……当たり前だろ。


    【大将】だろうが【四皇】だろうが、大事な奴を守りてェならどっちにしろブッ飛ばさなきゃなんねーんだ。

    その為の2年だったんだ。エースを救けられなかったあの時とは違う……



    ……それが、海賊王になる男だ」

  • 51二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:58:04

    かっけぇ…。!

  • 52123/03/11(土) 23:00:17

    ……昔からずっと変わらないルフィの夢。

    でも昔とは違う、夢の果てが見えてきたからこその力強さがルフィの言葉には確かにあった。


    「……ゼハハハハ!!相変わらずクソ生意気な奴だ!!

    だがいいさ!!人の恋路を邪魔する趣味はねェからよ!!

    せいぜい足掻いてみろ!!陰ながら応援してやるぜ!?ゼハハハハハハハ!!!」


    “黒ひげ”と呼ばれたその海賊は、一緒に来ていたであろう仲間達を抱えて海に帰っていった。

    あれあの海賊の仲間だったんだ。ウタワールドでファンの皆んなが巻き込まれそうになるぐらい暴れてたから慌てて捕まえたけど……

    何するか分からないし、あの船がもう少しエレジアから離れたらもうウタワールドから出しとこう。


    ……それにしても……疲れた…………


    「………………」フラッ

    「……! おい!」ガシッ

  • 53123/03/11(土) 23:03:22

    安心したら急に力が抜けた。ダメダメ、気をしっかり持たなきゃ。ウタワールドが消えちゃう。

    ……なのに、倒れかけた私を抱き止めたのは、2年前より逞しく頼もしくなったルフィの腕。


    …………こんなのずるい。安心感の桁が違う。


    「……ありがと、助けてくれて。

    …………怖かった」


    「……おう」


    そのままルフィに抱きしめられた。さっきまで戦ってたからか、ルフィの身体は妙に熱いし息も荒い。

    だけどきっと、私の身体もルフィに負けないぐらい熱くなってる。現にすっごい顔熱いし。


    でもまあいっか。どうせ誰も見てないし……





    「……いや、長くない?」

    「……気のせいだろ」

  • 54123/03/11(土) 23:06:03

    本日はここまで

    黒ひげの解釈ってホントに分かれるよね

  • 55二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 23:08:19

    久々の生ウタだもんな…

  • 56二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 23:09:17

    黒ひげはホント不気味!
    ノベルエースを読んで尚更そう感じた

  • 57二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 00:54:05

    ウタワールドは無臭だからね…

  • 58二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 04:55:53

    実際マムの情報網ってトットムジカの攻略法も知ってるレベルだからな
    いやマジでどうやって調べ上げたんだよそんな事

  • 59二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 11:22:17

    このレスは削除されています

  • 60二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 20:04:45

    あげとこ

  • 61123/03/12(日) 22:24:50

    今日は少しだけ

  • 62123/03/12(日) 22:25:38

    ───────────────────

    「……どうだウソップ」

    「ダメだ、ルフィの気配のカケラも無ェ……ホントに綺麗さっぱり消えちまってる」

    「どうするのよ!?私達ライブに来ただけだって言うのに、何だってこんなルフィが消されるようなこと……」

    「いいから落ち着け、騒いだところで状況は変わりゃしねェ。

    さっきの黒ひげのとこの連中との戦いを見る限り、アイツの能力はあんまりにもデタラメ過ぎる。

    ブルックが言った冗談もあながちウソじゃねェのかもしれねェが、こんなにも万能な能力なんざあるわけねェ。何かカラクリがある筈だ。

    ウタを捕まえて問い詰めようにも、そのカラクリを解かねェ限りは正攻法じゃ太刀打ち出来ねェだろうよ」

    「だからって……ルフィがホントに消されたかもしれないのよ!?なのにアンタ達は何でそんなに落ち着いて……」


    「そこなんだよナミさん」

    「……え?」

  • 63123/03/12(日) 22:29:17

    「……いくら幼馴染とは言え、アイツがああも無警戒に消されちまったってのは確かに引っかかる。

    それに消される直前の行動もだ。ルフィは確かにアホだが、あそこまで考え無しの行動をするような奴でもねェだろ」

    「そ、それは確かにそうだけど……」


    「それにあいつ、消される直前にプリンセスウタと多分何か話してたんだよ。

    流石に全部は聞こえなかったけどよ、何かこう……『出してくれ』みたいなことを言ってたような……」

    「出す?何をどこから出すって言うのよ」

    「いや、それ以上は分からねェ……けど何か、ルフィもえらく焦ってたみたいだったな……」


    「……それに、何よりもウタちゃんの表情がカギだ」

    「表情? 楽しそうに笑ってるように見えるけど……」


    「……おれにはどうも、何かに焦ってるような怯えてるような、そんな顔にしか見えねェんだよな……」

  • 64123/03/12(日) 22:33:25

    ──────────────────

    『黒ひげの撤退を確認、黒ひげの撤退を確認!

    繰り返します、黒ひげの撤退を確認!艦隊の船長達も引き連れてエレジアから撤退する模様です!』

    「何じゃ……?何を企んでおる?それとも……

    ……さっき麦わらと交戦中と言ったな。黒ひげは麦わらに負けたのか?」

    『いえ、交戦とは報告致ししましたが、麦わらによる最初の一撃以降はずっと膠着状態でしたので……

    戦闘行為はほぼ無し!内容までは確認できませんでしたが幾度か会話を交わした後、黒ひげは撤退を選択した模様です!

    双方に目立った負傷は無し、ウタにもダメージは無いと思われます!』

    「……うむ。何があったのかは知らんが……一先ず時間は稼げたか。

    じゃが決して油断するな、黒ひげが去ろうとビッグマム海賊団がもうすぐそこまで迫っておるはずじゃ!もう一度気を引き締めい!!」

    『はっ!』

  • 65二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:35:11

    頼むよティーチ、マムが乗ってる船だけでいいから沈めてから帰ってくれない?

  • 66123/03/12(日) 22:37:24

    『あっしらももう間も無く到着致しやす。ビッグマムの到着より僅かに早いかと』

    『歌姫はこちらで保護するとして……麦わらの対処はどうするんだい?』


    「……ガープさんの話じゃあ、ウタは昔赤髪に連れられてガープさんの故郷を訪れたことがあるそうじゃ。

    ガープさんの故郷なら即ち麦わらの故郷でもある。ガープさんはハッキリとは言わんかったが……

    恐らくはウタと麦わらの間には何らかの繋がりがある。麦わらが目を覚ましてからのウタを守るような行動を見ても、そう考えてええじゃろう」


    『ということは、麦わらが歌姫に危害を加えるようなことは考えにくいってことですかい?』

    「ああ、この場に限り麦わらは後回しで構わん。ウタの身柄の確保とライブの中止が最優先事項じゃ」

    『……それならもし、麦わらがわっしらの邪魔をするようなことがあればァ……その時は“死刑”でいいんだよねェ〜?』


    「無論じゃ!!!」

  • 67二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:38:29

    シャンクスはいつも遅刻するな...

  • 68123/03/12(日) 22:39:37

    今日はここまで
    短いよ

  • 69二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 06:55:26

    保保

  • 70二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 14:50:26

    あげとこ

  • 71二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 19:24:41

    さて、ルフィが本気でウタを守ろうとしてる状態で、海軍はそれを突破してウタの身柄を確保できるのだろうか

  • 72123/03/13(月) 22:13:12

    また明日

  • 73二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 06:53:27

    しゅ

  • 74二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 14:15:45

    藤虎くらいしか最初に耳傾けてくれそうな奴がいねえ...

  • 75二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 22:20:14

    ビッグマム海賊団がどれくらいの戦力連れてきてるのか

  • 76二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 22:31:30

    四皇ルフィはカタクリ相手でも勝てると断言できるが五番目の皇帝ルフィは正直厳しい

  • 77123/03/14(火) 22:49:19

    ガタンゴトン
    ガタンゴトン

  • 78123/03/14(火) 22:49:44

    ───────────────────

    この広い会場で、起きてるのは私とルフィの2人きり。

    何だかちょっとドキドキしちゃうなあ。


    「黒ひげの言ってたことがホントなら、シャンクス達も来てるんだってな」

    「うん……大遅刻だけどね」

    「ホント何やってんだシャンクス……」


    「……でもまあ、来てくれてるだけで嬉しいよ」

    「ん?」


    「今まで一回もエレジアまで様子見に来たりしてくれなかったし……

    私の配信だって、画面は多分新入りの人に見せて、シャンクス達は後ろで私の声聞いてるだけだったしさ。

    ……きっとシャンクス達は、意図して私を遠ざけようとしてたんだと思う。

    ……多分なんだけど……


    ……シャンクス達は、私には海賊になってほしくなかったんじゃないかな」

  • 79123/03/14(火) 22:53:12

    「……なんでそう思うんだ?」

    「シャンクス達が戦ってる時、私は舟番してたって昔言ってたでしょ?

    あれ、私が戦場にいたら危ないからってのも勿論あるんだろうけど……

    もしかしたら、私にシャンクス達が戦ってるのを見せたくなかったんじゃないかなと思ってさ」

    「…………」


    「……実際私、今はもう海賊嫌いでやってるしさ。そりゃ例外もあるけど……

    遅かれ早かれこうなっちゃうってことを、シャンクス達は分かってたんじゃないかな……って。

    あの時もそうだった。『この島に残ってもいいんだぞ』って、きっとシャンクスなりに私のこと考えてくれてたんだよね。

    あの時はふざけるなーって思ったけど……色んなところで私のこと考えてくれてたんだなーって、今になって気づくことも沢山あったよ。


    ……ずーっと様子も観にこなかったシャンクスを好きでいられたのも、それに気がつけたおかげかな」

  • 80123/03/14(火) 22:58:29

    「………………そか」

    「……でもまあ、それとこれとは別問題!

    やっぱり寂しいものは寂しかったし、今日遅刻したのだってことと次第によっちゃお説教なんだから!」

    「いやホントなんでこんな日に遅刻してんだシャンクスは。どこで何やってんだ?」

    「さあ、宴のし過ぎで二日酔いなんじゃない?」

    「…………それで遅刻してるんなら流石にシャンクスのことけーべつするぞおれ」

    「私も言ってて悲しくなってきたからやめよっかこの話」

    「そうだな」


    お互い呆れたように笑った後、お守りがわりに持っていたあの時の香水をポケットから取り出す。

    結局12年前から一度も使ってない、エレジアのお土産屋さんに売ってた何の変哲もない普通の香水。

  • 81123/03/14(火) 23:04:05

    「何だそりゃ?」

    「香水。昔エレジアでシャンクスに買ってもらったんだ。

    ルフィが好きそうなニオイだし、買ってやるから村に戻ったら自慢してやれーってさ」

    「へー……でもそれまだ開けてないんじゃないのか?」

    「うん、使ったことないよ。ずーっと大事にしてたから」

    「…………? 香水の意味あんのかそれ?」


    「あれ、言ってなかったっけ?私がシャンクスとかゴードンがウソついてるって気がつけたの、コレのおかげだったんだ」

    「聞いた覚えがあるような無いような……」

    「まあちゃんと話すと長くなるんだけどね……

    シャンクスが買ってくれたこの香水と、ルフィから貰った石鹸のおかげで、私はあの時またルフィに会えたんだよ」

  • 82123/03/14(火) 23:07:56

    小さなビンをぎゅっと握りしめる。

    こんな小ビンが私の人生を変えるきっかけになるなんて、人生何が起こるか分からないものだ。


    「そっか……んじゃあおれもその香水に感謝しないとだな。

    なあ、それちょっとでいいから使ってみてくれねェか?おれ好みのニオイなんだろ」

    「いやいや、もう使えないよこんな古いの。古くなった香水はお肌の敵なんだからね。

    それに私がいいニオイって思っただけで、ホントにルフィが好きかどうかは分かんないし」

    「何だよ……じゃあ気になるようなこと言うなよな。気になっちまうじゃねェか」

    「ごめんごめん、それじゃ……」


    「まーおれはウタなら何でもいいけどな!」

    「……………………」

  • 83123/03/14(火) 23:12:02

    「……また恥ずかしげもなくそんなことを……

    いくらルフィでもさ、好き放題嗅がれるのこっちはすっごい恥ずかしいんだからね。多分今日も割と汗かいてるし……」


    せめてもの抵抗の言葉を並べてみたけど、ルフィはニコニコしたまま全然聞いていない。

    これ以上は全く無意味だということを改めて理解したところで、私は諦めてもう一度両手を広げた。


    「……はいはい分かりましたよ。ほら、どうぞ」

    「ししし、そうこなくちゃな!」


    ガッ


    「あっ」

    「あ、ちょっ……うわあ!」



    ドシャーン!

  • 84123/03/14(火) 23:16:28

    ルフィが飛びついてきたところで、足がもつれて2人とも転んでしまった。

    打ちどころがよかったのか幸い怪我はなかったけど、衝撃のせいか身動きが取れない。


    「いたた……もう、危ないじゃんルフィ」

    「わ、悪ィ。怪我とかしてねーか?」

    「ん、大じょ……」

    「……? どうしたウタ?」


    そこまで言って、私は改めて身動きが取れなかった理由を直視することになった。



    「…………顔……ち、近い……ね」

  • 85123/03/14(火) 23:20:32

    「ん?


    ………………!!」


    私の体が押さえつけられる形でルフィが私の上に覆い被さっていた。

    やけに反応が遅かったけど、ようやくルフィも今の状況を理解したらしい。

    目の前にあったルフィの顔が、少しだけ赤くなったような気がした。


    「ご、ごめん!今退く……」




    ガシッ

  • 86123/03/14(火) 23:24:57

    「え……」


    立ち上がろうとしたルフィの腕を、私の腕が無意識に掴んで引き止める。

    私の心がそうしたのか、私の身体がそうしたのかは、私には分からなかった。


    「……ウタ?」

    「………………離れちゃやだ」


    そのまま腕を引っ張ると、ルフィは特に抵抗する様子もなくもう一度私に覆い被さる形に戻った。

    ……もしかしたら抵抗しなかったんじゃなくて、できなかったのかもしれないけど。


    「……へへ、逃がさないよ」


    「…………あー……参ったな……

    ……おれ、こういうのよく分かんねーんだよな……」


    困ったような照れたような、へにゃりとした笑顔を見せるルフィ。

    それが何だか可笑しくて、私もまた少しだけ笑ってしまった。

  • 87123/03/14(火) 23:29:15

    「……ふふ、私だって分かんないよ。何が正解かなんてさ。


    …………だから……ルフィのやりたいように、やってみればいいんじゃない、かな?」


    言うが早いか、私は自然と目を閉じていた。

    あーあ、我ながらずるいなあ。全部ルフィに丸投げだ。


    「……ウタ…………」


    目は閉じてしまったから、ルフィが今どんな顔をしてるのかも分からない。

    けれど目を閉じたことで感覚が研ぎ澄まされて、ニオイや体温、心音なんかが普段よりよく感じ取れる……ような気がする。


    時間で言えばたったの数秒だったのかもしれない。

    だけどその数秒のなんと長いことか。



    やがて、私の腕を押さえつける形になっていたルフィの手に、少しだけ力が入るのが分かった。

  • 88二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 23:30:25

    ビッグマムと海軍は私が押しとどめておくからそのまま続けてくれ

  • 89123/03/14(火) 23:34:40

    「…………………………」


    どきどきと高鳴るこの心臓の音は私のものか、それともルフィのものか。

    少しだけ腕に力を入れてみても、ルフィの手はびくともしない。


    こうなってしまえばもう私に逃げ場はない。

    ウタワールドなら兎も角、今の私がルフィに力で勝てるわけないんだから。


    もしルフィが悪い海賊なら、どんな酷いことをされるか分かったもんじゃない。


    なのに私は、安心感にも似た暖かさに体が包まれているような気がして……



    そして、一瞬。


    本当にほんの一瞬だけ、私の唇に何か熱いものが触れたような気がして……




    次の瞬間、ルフィは私の上から跳ね退いていた。

  • 90二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 23:39:31

    ビックマム…、、今だけは来るな。

  • 91123/03/14(火) 23:39:34

    「…………え」

    「………………」


    あまりの急展開に、私は少しの間だけ思考が働かなかった。

    慌てて起き上がっても、ルフィがこっちを振り向く様子はない。


    「る、ルフィ?どうしたの……?」

    「……………………」


    ルフィは何も言わないまま、水平線を睨みつけている。

    その視線に誘われるように、私も海へと視線を向ける。


    そこにあったのは、海賊なら誰もが恐れる光景。



    海を埋め尽くさんばかりの何十隻もの軍艦が、大挙してエレジアに押し寄せているのが私からもはっきりと見えた。

  • 92二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 23:40:34

    海軍さぁ...

  • 93123/03/14(火) 23:43:24

    本日はここまで

    ちなみに未開封の香水の使用期限は大体1〜3年ぐらいだそうです

  • 94二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 23:44:25

    海軍…、空気を読んでくれ…

  • 95二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 23:53:15

    とりあえず他の一味とバルトとロー起こして雑兵を覇王色で散らして残った虎猿モモンガを皆んなで...五番目の皇帝時代の実力だとだいぶきついな...

  • 96二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 00:06:13

    ありゃあ死刑でいいんでしょ?(嫉妬)

  • 97二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 00:33:09

    押しとどめておくと言っておきながら海軍の介入を許したクソの役にも立たない>>88を許すな

  • 98二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 01:02:51

    今回の海軍はかなりいい動きをしてるからこんなことは言いたくないんだが…
    オーノーレー!

  • 99二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 06:56:57

    ほしゅ

  • 100二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 07:09:47

    なんでこのタイミングなんだよォ!!!海軍貴様ァ!!!

  • 101二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 16:43:34

    あげとこ

  • 102123/03/15(水) 22:57:42

    このスレで終わる気が1ミリもしなくなって来ましたが取り敢えず今日はお休み

  • 103二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 00:04:32

    海軍マジでもうちょっとゆっくり来なさいよ
    まったくもう

  • 104二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 06:49:36

    待機

  • 105二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 16:55:28

    あげとこ

  • 106123/03/16(木) 22:48:55

    いやー日本が強くて嬉しいね
    試合も終わったところで本日分を

  • 107123/03/16(木) 22:49:49

    ───────────────────

    「み、みんなごめん!ちょっと休憩!

    私ちょっとだけ休んでくるから、みんなもちょっとリラックスタイムだよ!」


    外の状況がちょっと不味いことになってきた。

    これ以上外の世界で情緒を引っ掻き回されたら、ウタワールドの維持にも影響が出てくる。

    そうなる前に一度落ち着かなきゃ。一旦ライブを中断して、裏で待機しているゴードンのところに飛んでいく。

    ゴードンは次の曲の伴奏の準備をしていたけど、多分青くなっているであろう私の顔を見て慌てて飛んできた。


    「ゴードン!!どうしよう!?」

    「どうしたんだウタ、何かあったのか?」

    「大変、大変なんだよゴードン!外の世界が!」

    「お、落ち着くんだウタ!そんなに慌てて、外の世界で一体何があったと言うんだ?」

    「それがね……」



    「ウタちゃん?」

  • 108123/03/16(木) 22:52:38

    「!?」

    「そんなに慌ててどうしたんだい?おれ達にもその話を聞かせてくれよ」


    後をつけられてたんだ……全然気がつかなかった。

    ルフィの仲間にも聞かれていたらしい。ぐるぐる眉毛の人を先頭に全員押し掛けてきた。


    「あなた達は……」

    「彼らは?」

    「ルフィの仲間。と言ってもさっき知り合ったばっかりなんだけど……」

    「まァ聞きてェことはいろいろあんだが……

    まず、ルフィは今どこで何してる?『外の世界』がどうこう言ってるのが聞こえたが」


    顰めっ面をしたマリモ頭の人が一歩前に歩み出る。

    武器も口調も全然違うけど……何処となく、ベックマンと似た雰囲気を感じた。

  • 109123/03/16(木) 22:56:34

    私は息を整えるために1つ深呼吸をした後、全てを洗いざらい話すことにした。

    今皆がいるのがウタワールドだということ、ルフィは何かに気づいてウタワールドから出してあげたこと。

    それから、海軍や四皇の海賊が攻めて来ているのを、ルフィが1人で食い止めようとしていること……


    話を聞いたルフィの仲間達は、各々が呆れたような納得したようなそんな反応を見せていた。


    「ごめんなさい、ルフィに『皆んなには言わなくていい』って止められてて……」

    「あのアホ、また1人で突っ走りやがって……」

    「いくらルフィでも1人で何とか出来る相手じゃないわね……」

    「というかさっきも部下が暴れてたビッグマムはまだ分かるが、なんで海軍が来るんだ?」

    「さァな。分かるのはあのアホを1人でほっときゃロクなことにならねェってことだけだ」

  • 110123/03/16(木) 22:59:49

    「ルフィもルフィだよ。なんでおれ達に何も言わずに出て行ったんだ?」

    「さあ……アイツの考えてることってわかるようでわからないけど……

    ……もしかするとアイツにも、『そういう感情』があるってことだったり?」

    「……あ、あー…………」


    「まあそういうことなら話は早ェな、おれ達もこっから出てルフィの援護と行こう!

    ウタちゃんのライブを邪魔しようなんてクソヤロー共にゃ慈悲なんていらねェ、おれがルフィの代わりにメタメタにしてやりてェぐらいだ!」

    「そうね。そういうことだからウタ、私達もここから出してくれない?ルフィを手伝ってあげなきゃ」


    「オイ、ちょっと待て」

    「……あ?なんで止めるマリモ?」


    「客席に知った顔が何人かいた。戦力は多い方がいいだろ」


    どうやらここにいる人以外にも戦力の心当たりがあるらしい。

    マリモさんのニヤリと笑ったその顔は、それはもう邪悪な顔だった。

  • 111123/03/16(木) 23:03:29

    ───────────────────

    「……!」

    「……ルフィ?」


    「下がってろ」

    「う、うん」


    何かに気がついたルフィが、さっきと同じように私の前に立ち塞がる。

    やがてステージの上に降り立ったのは、藤色の着流しの上に海軍のコートを羽織った大きな男の人だった。

    顔には額から目を潰すように走る二本の傷がある。あの目、見えてるのかな……


    「お久しぶりで、麦わらの……」

    「……賭博のおっさんか」


    「知り合いなの?」

    「ああ、ちょっとな」

  • 112123/03/16(木) 23:07:13

    「いつぞやは世話になりやした。政府の尻拭いをあんた方に押し付ける形になっちまって……」

    「いいよ別に。ミンゴはおれがぶっ飛ばしたかったからぶっ飛ばしただけだ。政府がどうとか関係ねェよ。

    それより、そんな話しに来たんじゃねェんだろ?」

    「……ええ、分かってんなら話は早い。ただ用があるのはあんたじゃねェ。

    後ろにいるそちらの歌姫さん、あんたに用があるんでさあ」


    「………………」

    「あんた今、ライブの最中なんだってね。それも自分の能力を使って、世界中の人間を巻き込んだすげェ規模のライブだ。

    報告じゃあ、もうすぐ世界人口の7割があんたの能力下になるらしい。とんでもねェ人材だ、こんな時代に生まれなきゃあもっと……」


    「………………」

    「……おっといけねェ、また話が逸れるところでやした。時間もねェ、単刀直入に言いやす。



    お嬢さん、あんたにゃあ悪いが……あんたのライブを中止させるよう、政府からの指示が出やした」

  • 113123/03/16(木) 23:11:12

    「…………」


    物々しい雰囲気から何を言われるかは何となく分かってたけど……

    いざはっきりと言われてしまえば、ぎゅっと唇を噛むことしかできない。

    私はただ、みんなのためにライブを開いただけなのに。なんでそんなことを言われなくちゃならないの?


    ……だけど、私よりも納得言ってない人間が約1名。



    「……は?」


    ビキ、と青筋を立てる音が聞こえたような気がした。

    そんなルフィの怒りも、賭博のおっさんと呼ばれたその人が意に介する様子はない。


    「……あんた方の怒りは尤もだ。だがまずは、話だけでも聞いちゃあくれねェでしょうかね……」

  • 114123/03/16(木) 23:14:53

    「あんた方が知ってるかは分からねェが……今現在、四皇【ビッグ・マム】とその海賊団がこの島に向かっていやす。

    狙いは恐らくウタウタの実の能力者……つまりそちらさんの歌姫、あんただ。

    四皇に目をつけられた時点であんたには同情しやすが……それ以上に政府は、あんたのその能力の特性を恐れている」


    「……私の、能力?」

    「あんたの能力は、歌を聴いた人間の精神だけを能力によって作り出した意識の中の世界へと飛ばす能力。

    ……もし、その意識の中の世界が展開されたまま能力者の身に何かがあれば、その中にいる生物は皆そのままになっちまう。

    政府はそれを危惧していやす。もし世界の7割の人間が永遠に覚めない眠りについちまうようなことがあれば、それはもう世界滅亡と変わらねェ。

    そんな状況で重ねて四皇にまで狙われているとありゃあ……政府の判断も致し方無いものだと、あっしは思っていやす」


    「……そんな…………」

  • 115123/03/16(木) 23:18:25

    「ふ……ふざけんな!!!そんなの絶対に……」


    「君の意見は聞いてないんだよォ、麦わらのルフィ〜」

    「…………!!」


    一瞬ステージが眩しく光ったかと思ったら、いつの間にかステージに立っているのがもう一人増えていた。

    黄色いスーツにサングラス、背も「賭博のおっさん」より更に大きい。


    そしてその人が現れた時、明らかにさっきの紫の人の時よりルフィの顔が強張るのが分かった。


    「邪魔ァしないなら今回だけはほっとけとは言われてるし、黒ひげからその子を守ったのは確かにありがたいんだけどねェ〜……

    もし君がわっしらの邪魔をするのなら即刻始末していいとの通達を受けてるんだよォ。

    まさかわっしらに勝てるだなんて思っちゃァいねェだろうが……それでも邪魔するってェのかい?麦わらのルフィ」

  • 116123/03/16(木) 23:22:18

    後で聞いた話だけど、この後から来た黄色い人は2年前にルフィ達の仲間を壊滅させた張本人らしい。

    海軍本部大将、海軍の最高戦力が2人も来ている。さらに後ろには何十隻もの軍艦がずらり。


    世界政府は、本気で私のライブを中止させようとしてるんだ。

    嫌と言うほどそれを実感させられて、少しだけ涙が出そうになる。


    …………だけど。



    「当たり前だろ!!!邪魔なんて絶対にさせねェ!!!」


    自分たちがまるで敵わずに壊滅させられた相手なんて、何かトラウマになっててもおかしくない。

    それなのにルフィは一切ブレることもなく、大将2人を正面から睨みつけていた。

  • 117123/03/16(木) 23:38:17

    「威勢がいいのは結構だがねェ〜……威勢だけじゃ守れるモンも守れねェよォ〜!!」

    「!!!」


    カッと光ったかと思ったら、いきなり黄色い人の蹴りとルフィの腕がぶつかり合っていた。

    そのまま弾かれる形でルフィが体勢を崩す。黄色い人は間髪入れずに、まるで光みたいな速さでルフィを攻め立てる。


    「ルフィ!!」


    慌ててルフィに駆け寄ろうとしたけど、急に身体が重くなった。

    ……いや重い。重すぎる。潰れそう。


    「な、なに……これ……」

    「出来れば血は流したくねェんで、これ以上のことは出来やせんが……

    大人しく指示に従っていただけるんなら、あんたとあんたのお友達の安全も確保致しやす」

    「う……ぐ…………」


    返事をしようにも能力を使おうにも、まるで何かに上から押さえつけられてるみたいに身体が全然言うことを聞かない。

    勿論、口が聞けたところで答えは「No」以外あり得ないんだけども。

  • 118123/03/16(木) 23:46:03

    「やめろ!!!ウタに手出すんじゃねェ!!!」

    「人の心配してる場合かァ〜?」

    「!!!!」


    ドォン!!!


    「ぐわぁ!!!」

    「……ル、フィ……!!」


    ルフィが遠くへ蹴り飛ばされてしまった。黄色い人もそれを追いかけて行く。

    それから私にかかってる力が少しだけ緩んで、何とかまともに喋れるようになった。


    「……お嬢さん、それでは……」

    「やめてよ……なんでこんなことするの……!?」


    「……………………………………あんたには謝罪の言葉しかありやせん。あっしらを恨んでくれて構わねェ。

    ……ですが、あっしらも世界を背負ってるんで……従っていただけない場合にゃあ、少々手荒な真似をしなきゃならねェ……」

  • 119123/03/16(木) 23:50:43

    いつの間にか周りを海兵に囲まれていた。手には注射のようなものを持っている人もいる。きっと私を眠らせるつもりだ。

    私の身体にかかる力もまた強くなって、いよいよ立っていられなくなった。


    「これ以上手荒な真似はしちゃいけねェ。眠らせるだけで十分だ」

    「はっ!」

    「う、ぅ…………」


    ルフィは変わらず遠くの方で戦っている。

    私の方に向かおうとしてくれてるみたいだけど、黄色い人がそれを許してくれない。


    「ウタ!!!逃げろ!!!早く!!!」

    「無駄だよォ〜……あの子にゃあ気の毒だが、これも世界のためなんでねェ〜……」


    「やだ……やだぁ…………やめて……!!」

    「ウタアアァ!!!!」




    「バリアボーール!!!!」

  • 120123/03/16(木) 23:54:39

    「!」

    「あ!?」


    突然、私の体が何か透明な板みたいなものに包まれた。押さえつけられていた何かの力もふっと弱まり、重さから解放される。

    球状のその板の中には、私の他にもう1人。さっき連れられて来てた、トサカみたいな髪型の何だかすごく人相の悪い人だった。


    「ヘハハハ、いやー間に合ったべ!!ウタ様、怪我はねェだべか!?」

    「あ、あなたは……?」


    「ロメ男ーーー!!!」

    「ロメ男?」


    ルフィの顔がぱぁっと明るくなった。どうやらルフィの知り合いらしい。

    ロメ男と呼ばれたその人は一瞬泣きそうになった後、サムズアップでルフィに応えた。


    「ロメ男ー!!!来てくれたのか!!ありがとう!!!」

    「ルフィ先輩!!お褒めに預かり光栄だべェ〜!!

    ウタ様のことは任せてくんろ!!おれが来たからにはもうウタ様には指一本触れさせねェべ!!」

  • 121123/03/16(木) 23:58:47

    本日はここまで

    悪者にしてごめんよ海軍

  • 122二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 00:05:05

    ロメ男ナイス!
    まあ海軍が悪者になっちゃうのはしょうがない
    やってること自体は悪事じゃないからセーフ

  • 123二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 00:30:25

    ルフィ1人で大将2人はハードモードすぎる

  • 124二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 06:40:11

    やっぱバリバリはチートですわ

  • 125二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 08:28:33

    黄猿ですら本意じゃない感出てるの本当に気の毒

  • 126二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 13:46:37

    原作からして乗り気だった海兵ほぼいないだろうししゃーない

  • 127二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 20:10:52

    このレスは削除されています

  • 128123/03/17(金) 22:36:56

    修羅場〜
    修羅場〜

  • 129123/03/17(金) 22:37:45

    どうやらこの板は無敵のバリアらしい。その名の通り、銃弾も刀も一切の攻撃を寄せ付けない。


    「銃はいけねェ!!お嬢さんを傷つけちまったらどうする!!」

    「し、しかし……!」

    「……『人喰い』のバルトロメオ……お前さんもドレスローザ以来でやすね……」

    「ヘハハ、ザマ見ろ海軍!!ウタ様のライブを中止になんてさせねェべ!!

    悔しかったらこの無敵のバリアを攻略してみるべ!!まァ無理だろうがな、ヘハハハハ!!」


    無敵のバリアの中にいるのに、煽るロメ男くんの額からは冷や汗が伝う。

    それ程までに今の状況はただ事じゃなかった。


    「参ったねェ〜……邪魔になるのは麦わらだけかと思ってたんだけどねェ〜……」

    「!」



    「三刀流!!!“極”“虎狩り”!!!!」

    「悪魔風脚!!!“首肉ストライク”!!!!」

    「魚人空手!!!唐草瓦正拳!!!!」

  • 130123/03/17(金) 22:41:30

    「ぬぅ!?」

    「おォ〜……!」


    目を覚ましたみんなの連続攻撃で、大将達も流石に堪らず後退する。

    黄色い人に押され気味だったルフィもなんとか体勢を立て直すことができたみたいだ。


    「お、お前ら……!」

    「ったく一人で無茶しやがってこのアホゴムが!おれ達じゃ力不足だってのか!?」

    「い、いやそんなつもりじゃ……」

    「どんなつもりだろうと理由ぐらい言ってけ。いきなり消えられたんじゃこっちも気が気じゃねェんだ」

    「いや行方不明常習犯のアンタがそれ言うの?」

    「……ごめん!悪かった!」

    「ワハハ、説教は後にしておいてやるかのう!

    しかしこりゃあ、想像以上の修羅場じゃのう……!」


    目を覚ましたみんなが、バリアを中心に私を取り囲む様に立ちはだかる。

    そうこうしている間にも、エレジアに上陸する海兵はどんどん増えていく。

  • 131123/03/17(金) 22:46:37

    「しかし一体何だって海軍はこんな戦力寄越してんだ?戦争でも始める気だってのか?」

    「四皇が攻めて来てるんならこの軍勢もやむなしだが……それなら何故ウタちゃんが狙われる?海軍の目的は……」


    「お前ら!ウタから聞いたかもしれねーけど、海軍はこのライブをやめさせようとしてんだ!」

    「ああ聞いてるよ、理由までは聞いてねェがな」

    「ねェルフィ、一体何がどうなってるの?ウタが海軍に狙われてるとは聞いたけど、まさかこんな大軍勢仕向けられる様な真似しちゃったの?」


    「ワケなら後で説明するからよ!取り敢えずはこの海軍ぶっ飛ばすぞ!!」

    「そう来なくちゃな……!ようやく面白くなって来やがった!!」


    臨戦態勢に入るルフィと仲間達。私も何か援護しなきゃ……

    そうだ、私の歌の力で!


    「ルフィ、私も『お前は逃げろ!!』


    …………え?」

  • 132123/03/17(金) 22:50:23

    「ウタは手出すんじゃねェ!!これはおれ達の戦いだ!!」

    「……る、ルフィ?」


    鬼気迫る表情でルフィは私の歌を遮った。

    歌を止められたのなんて初めてだ。一体どういうつもりなの……?


    「な……なんで……?」

    「…………っ!!」


    ルフィはもうこちらを振り向かない。もう一度攻めて来た大将達を迎撃する準備に入っている。

    私をバリアで守ってくれているロメ男くんも困惑した様子だった。


    「ルフィ先輩……?」

    「ロメ男!!ウタを連れてどっかに逃げろ!!」

    「に、逃げろっつったってルフィ先輩!!こんな四方八方海兵に囲まれてちゃあ……」




    「ROOM!!!」

  • 133123/03/17(金) 22:54:29

    たまにロメ男のいないFILM REDを想像するんですが
    序盤が乗り切れないこと以上にこいつがいないと空気が死に過ぎてて途中キツくなりそうなのでロメ男がいてよかったです

    本日はここまで

  • 134二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 23:01:18

    REDのロメ男はルフィがウタの能力共有しなかったら文句言ったり、ルフィに出せと言われても、今出してもウタ様には勝てないからって断ってたりと全肯定ファンじゃないことがわかって良かったよ

  • 135二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 00:28:20

    そっか、ウタを そう させるわけにはいかないんだな…

  • 136二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 07:55:02

    もう一人のチートが来ましたね

  • 137二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 07:56:32

    ルフィの友達!ルフィの友達じゃないか!
    助けに来てくれてありがとうルフィの友達!

  • 138二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 17:31:10

    あげとこ

  • 139123/03/18(土) 22:27:44

    トラ男とロメ男の組み合わせって何かいいよね

  • 140123/03/18(土) 22:28:06

    「え……」

    「シャンブルズ!!」


    何処からか叫び声が聞こえたかと思ったら、瞬きした次の瞬間には周りの景色がまるっきり変わっていた。

    やがて物陰から現れたのは、いつかの新聞でルフィとの同盟が封じられていたフカフカ帽子の人だった。


    「……おお、おめェだったべか!ナイスだべトラファルガー!」

    「騒ぐな、海軍に勘付かれる。

    とりあえずで避難させただけだ。場所を移せ、直にここにも手が伸びてくる」

    「えっと、あの……ありがとう……」

    「礼ならおれじゃなくて麦わら屋と仲間に言うことだな。

    おれは勝手にやっただけだ、アイツらの命令を聞いたわけじゃねェ」

    「……?」


    …………何の意地っ張り?

  • 141123/03/18(土) 22:33:08

    「バルトロメオ、後はお前に預ける。

    さっさとウタを何処か安全な場所へ連れて行け、おれは向こうに加勢する」

    「預けるったってお前……薄情な奴だべなァ」

    「元よりこのライブもウチの航海士の付き合いで来ただけだ。こんなゴタゴタに巻き込まれるとは思ってなかったがな」


    「あ、あの、でも私……」

    「……麦わら屋達が気になるか?」

    「……………………」


    「おれからすればどっちでもいい。お前も戦力になるって言うんなら今から向こうに戻してやってもいいが……


    ……麦わら屋との付き合いは長いんだろ。あの言葉の真意が分からないわけじゃねェ」


    「………………うん」

  • 142123/03/18(土) 22:37:30

    「一体さっきから何の話……」

    「海軍は四皇との戦争よりお前一人を制圧する方が容易だと判断したんだろう。実際それは誰が見ても明らかだ。

    だがこのままライブを中止する前にビッグマムが到着してしまえば、海軍にとって状況は一気に悪くなる。

    海軍は意識の無い観客達も守りながら戦う必要があるが、ビッグマムは恐らくお構いなしに暴れ続ける。ウタウタの能力者を手に入れるまでな。

    どうしても加勢したいんならそこを狙うことだな。『海賊嫌いの歌姫』が海賊相手に能力を行使するのは何ら問題じゃねェだろう。

    それにお前にとっても、観客が巻き込まれるのは本意じゃないんじゃねェのか」


    「……そうだね、ありがとう」


    「よ、よく分かんねェけど……まァウタ様が納得したならそれでいいべ」

    「お前も下手な真似はしないことだなバルトロメオ。ヘマすれば後で麦わら屋に何を言われるか分からねェぞ」

    「うるせェ!ンなことおめェに言われなくても分かってるべ!行くならさっさと行け!

    あ、でも助けてくれたのはあんがとなトラファルガー!助かったべ!」

    「……フン」

  • 143123/03/18(土) 22:41:28

    トラファルガーさんはそのまま瞬間移動の様な技で姿を消した。

    ステージの方からは変わらず雄叫びや爆発音が聞こえる。みんな大丈夫かな……


    「さてウタ様、アイツの言う通りここも直に見つかっちまうべ。何処か隠れられる場所に心当たりは無ェべか?」

    「うーん……隠れられる場所……

    ……取り敢えずお城に行こうか、お城ならゴードンもいるし」

    「了解だべ!道案内はするべ!」


    ──────────────────

    「今のは……」


    シャッ


    「!」

    「戦況は……最悪だな。生きてるか麦わら屋?」

    「トラ男!お前も来てくれたのか!」

  • 144123/03/18(土) 22:45:14

    「呑気に笑ってる場合か。ウタならバルトロメオと一緒に向こうに逃した、お前は戦いに集中しろ」

    「おう!ありがとう!」


    『捜索班に通達!ウタが交戦中のライブステージより逃走!

    現在はエレジア島内を海賊バルトロメオと共に逃走中!至急追跡せよ!

    繰り返す!ウタがライブステージより……』


    「!」

    「流石に対応が早いな……」

    「こっちも仕事なんだよォ〜……時間も無いし、そろそろ大人しくして欲しいんだがねェ」

    「うるせェ!!ここでお前らを止めとかなきゃ、お前らはウタを狙うんだろ!?だったら……」

    「そういう機転の利かせ方は相変わらずだねェ〜……海賊として成長しちまった証か……」



    『ぜ、全隊へ報告!!全隊へ報告!!!

    ビッグ・マム海賊団のエレジアへの接近を確認!!既に待機中の軍艦より肉眼で確認できる程に接近しています!!

    あと数分で上陸可能な距離まで接近するものと思われます!!迎撃可能な部隊は迎撃準備を!!』

  • 145二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 22:47:26

    てぇてぇs LAST

  • 146123/03/18(土) 22:49:06

    ──────────────────

    『ウタがライブステージより逃走!繰り返す、ウタがライブステージより……』


    「クソ、連中もう気づきやがったべ!急ぐべウタ様、次はどっちに曲がるべか!?」

    「えっと……あっち!」

    「よし来た!」


    ……なんで私こんなに必死に走ってるんだろう。私何も悪いことしてないのに……

    そりゃ海軍の言い分もわからなくもないけど……やっぱりこんなの、納得出来るわけがない。

    頭の中がぐるぐるこんがらがったままで、何度か道を間違えかけたのは内緒だ。


    「しかしさっきのトラファルガー……」

    「?」

    「一体何を言ってたんだべ?ルフィ先輩の真意がどうのこうの言ってただべが……」

  • 147123/03/18(土) 22:53:38

    「………………」

    「ウタ様に通じてるんならそれで十分だべが……やっぱり気になるべ。

    ウタ様、トラファルガーは……いや、ルフィ先輩は一体何を言いたかったんだべ?逃げろ以外に何か意味が……」


    「……まあホントにルフィがそこまで考えてたかどうかはわからないけど……コレだろうなってのはあるよ。

    ルフィが私を逃したのは、私に攻撃の矛先が向かないようにするためだったんじゃないかな」


    「そりゃあ、海軍達の相手をルフィ先輩達が全部引き受けるつもりだったってことだべか?」

    「それもあるけど……ロメ男くんはルフィが私に戦うなって言ったのも聞こえてたよね?

    多分、あそこで私が何も考えずに能力を使って海軍に抵抗してたら……


    私もそこで『海軍に逆らった罪人』になっちゃって、もっと激しく狙われちゃってたと思うんだ。

    ルフィ達でも守り切れるか分からないくらいね」

  • 148123/03/18(土) 22:57:21

    「……あー!なるほどそういう……」

    「まあ言うこと聞かずにこうやって逃げてる時点でだいぶグレーではあるんだけどね……

    でも、多分まだギリギリで私は『追われる被害者』でいられてるからさ。それでルフィは戦わずに逃げろって言ったんじゃないかなって……」

    「うーぬぬ、ルフィ先輩の発言にそんな真意が……気づけなかったおれが情けねェべ……!」

    「いや分かんないよ?ルフィの方こそ何も考えずに逃げろって言っただけかもしれないし……


    ……だけど、私の知ってるルフィならそうするかなって思っただけ」


    ……なんて、ちょっとルフィを信用し過ぎかな。そこまで深く考えてないかもしれないし。

    だけどそれでもいいや。ルフィのことを信じたいと思ってるのは私の方だからね。


    そんなことを考えながらロメ男くんの方を見てみると、「尊いべ……」とか言いながら顔をぐちゃぐちゃにして号泣してた。


    …………こわ。

  • 149123/03/18(土) 23:00:23

    「……だけど…………」

    「?」


    ……私、誰かに守られてばっかりだ。

    あの日はシャンクスに守られて……

    大人になるまではゴードンに守られて。

    今日だって、ルフィやロメ男くんやみんなに守られっぱなしだ。


    ……私だけ何も成長できてないみたいだ。そんなの嫌だよ。


    「……私も、みんなの力になりたいよ……」


    みんなが戦ってくれてるのに、私は逃げてるだけ。

    私だって……


    「……ロメ男くん、着いてきてほしい場所があるの。

    お城の地下まで、一緒に来てくれないかな」

  • 150123/03/18(土) 23:03:08

    本日はここまで

    さてお城の地下には何があったかな

  • 151二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 23:10:51

    そうだね、石造ロボットだね!

  • 152二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 23:11:00

    おっとまじか

  • 153二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 23:12:15

    石像達は正直、下の方の中将レベルなら充分やり合えそうな感じする

  • 154二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 23:12:57

    バルトロメオの顔は一般市民からしたら普通に怖い顔だからな...
    号泣してたらそりゃ怖い

  • 155二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 00:38:29

    シャンクスたちは
    まだ来ない

  • 156二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 08:55:06

    おはよう

  • 157二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 09:48:34

    このレスは削除されています

  • 158二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 09:49:51

    映画でもシャンクスきたの海軍が来た後っていうウタの性格やウタウタの性能次第じゃ全部手遅れだったかもしれない後に来てるし...

  • 159二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 18:23:54

    あげとこ

  • 160二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 18:24:47

    シャンクス達は現場入りが遅いんだ

  • 161二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 22:02:55

    遅れてやってくるのがヒーローってもんだ…!

  • 162123/03/19(日) 22:31:27

    ビッグマム海賊団さん現場入りでーす

  • 163123/03/19(日) 22:32:00

    ───────────────────

    「ハーッハマママママ!!漸く着いたねエレジア〜!!」


    「!!!」

    「もう着いちまったのかい?こりゃア厄介なことになっちまったねェ〜……」

    「戦況が変わりそうですね……さて、こうなっちまえば刃を向けるべき相手が変わる……」


    『申し訳ありません!!前線防衛部隊突破されました!!

    ビッグマム本人にスイーツ三将星、その他ビッグマック海賊団の主立った構成員はほぼ全員来ている模様です!!』


    「ビッグマム……!!」

    「んん?何だいこの状況は。聞いていた話と違うね……

    何故海軍と麦わらが戦ってる?ウタウタの娘はどこ行ったんだい?」

    「ウタならこっから逃した!!どこに逃げたかはおれも知らねェ!!」

    「逃したァ〜!?てめェ麦わら、小賢しい真似するじゃないか……

    オイ、誰かさっさとウタウタの娘を探しに行きな!!海軍に先を越されるんじゃないよ!!」

  • 164123/03/19(日) 22:35:28

    ビッグマム海賊団の参戦により、戦場の混乱は加速する。

    ゾロ、ジンベエと相対していた大将・藤虎は、抜いていた刀を鞘に戻し、今にも暴れ出さんとするビッグマム相手に向き直った。


    「……海賊狩りに海侠の……どうやらここは、お互いに一度刃を納めた方が互いの為かもしれやせん
    ね……」

    「何じゃと?」

    「あ?何言って……」


    「威国!!!」


    「!?」ガッ

    「ぬぅ!」ガキィン


    狙い撃たれた飛ぶ斬撃が2人に襲いかかる。

    藤虎はそれより一足早く、観客の眠る客席へとその身を移していた。

  • 165123/03/19(日) 22:38:18

    「ゾロ!!ジンベエ!!」

    「わしらに構うなルフィ!!目の前の敵に集中せい!!」

    「っ……ぬあァ!!!」


    ゾロの一振りが『威国』の一撃を上方へと跳ね上げた。

    腕に強く残る衝撃に、ゾロは苛立たしげに吐き捨てる。


    「最初の一撃がコレか……やっぱイカれてやがんな四皇ともなれば……!

    それより藤虎あの野郎!!逃げやがったのか!?」

    「いや、わしらの相手より優先することがあるというだけじゃ!!」

    「!?」


    「海軍全隊へ通告!!身動きの取れる海兵は直ちに客席の防衛へ!!

    罪なき一般市民を傷つけさせちゃいけねェ!!何としてでも守り抜いてくだせェ!!」

  • 166123/03/19(日) 22:41:27

    藤虎の通告により、一味(+α)を取り囲んでいた海兵達も一斉に客席へと移動を始める。

    ルフィ、サンジと交戦中だった黄猿もまた例外ではなかった。


    「こうなっちまう前にケリをつけたかったんだがねェ〜……

    おめェらが『時間を稼いだ』せいだ、尻拭いはそっちにしてもらうよォ〜」


    「…………!」

    「オイオイ、おれ達が悪いってのか!?元はと言えばそっちが……」


    「避けろサンジ!!」

    「!?」



    「餅吟着!!!」

  • 167123/03/19(日) 22:45:06

    「ぬお!?」

    「サンジ!!」

    「っと危ねェ……悪りィルフィ、助かった!」


    餅によって形作られた、ステージに降り注ぐ拳の雨をサンジが紙一重で躱す。

    ステージに降り立ったのは、ルフィがつい先日見え、お互いを強敵と認め合いながらついぞ打ち倒したはずの相手だった。


    「こうも早くもう一度会うとはな、麦わら……!!」

    「カタクリ……!!」


    「悪いがママは歌姫の能力を狙っている。邪魔をすると言うのなら……」

    「ハァ!?ウタちゃんを狙ってるだと!?どいつもこいつもふざけやがって!!

    おいルフィ、このモチ野郎はおれが引き受けた!!てめェはビッグマムを止めてこい!!」

    「ああ、分かった!!頼むぞサンジ!!」


    「1人で食い止めるつもりとは、おれも甘く見られたものだな……」

    「ハッ、食材はコックに美味しく調理される定めなんだよ!!2度目の敗北食らっとけクソヤローが!!」

  • 168123/03/19(日) 22:48:14

    「ルフィがビッグマムの元へ向かった!!ゾロ、お前さんも行ってこい!!」

    「何!?」

    「ルフィ1人でどうにかなる相手じゃありゃあせん!!お前さんも援護に回れ!!

    それに此奴の能力ならわしの方が相性がええ!!此奴はわしに任せい!!」

    「へっ……引き受けた!!死ぬなよジンベエ!!」


    「2人になったところでどうにかなる相手でもねェだろ!!お前らママをナメ過ぎちゃあいねェか!?」

    「お前達こそウチの船長達を見くびっちゃあおらんか!?今更四皇如きに臆する連中じゃないわい!!

    わしのことも見くびってくれては困るぞ!!将星とはいえそう簡単に取れる首とは思わんことじゃな!!」


    ジンベエが相対するはスイーツ三将星が1人、10男クラッカー。

    誰が指示を出すでもなく、ステージ上はいつしか自然と麦わらの一味vsビッグマム海賊団の様相を呈していた。

  • 169二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 22:49:11

    シャンクスー!こんな時に何遅刻してんだお前ぇぇ!

  • 170123/03/19(日) 22:51:32

    「マーマママ……さァて、どこに隠れたんだいウタ!!おれから逃げられると思うなよ!!

    それとも……おい、ナポレオン!!プロメテウス!!」

    「「はいママ!」」


    ビッグマムは炎を纏った意志を持つ大剣を振りかざす。

    その刃はルフィ達海賊ではなく、明らかに客席に向けられていた。


    「ここにいる観客達の悲鳴でも聞けば、お前の方から姿を現すかい!?ハーッハマママママ!!」

    「な……!!」

    「ひ、怯むな!!客席を守れ!!」


    四皇の一撃ともなれば、一般の海兵ではあまりにも心許ない。

    黄猿が手に光を宿し、藤虎が刀に手をかけたその時だった。



    「ゴムゴムのォ〜!!!」

    「一刀流、居合!!!」

  • 171123/03/19(日) 22:54:41

    「あぁ!?」


    「猿王銃(コングガン)!!!!」

    「死・獅子歌歌(し・ししそんそん)!!!!」


    バキィン!!!!


    「…………く!!」ビリビリ


    「くそォ、やっぱかてェな……!!」

    「叩っ斬るつもりで斬ったのにこれか……頑丈さも怪物だな」


    一瞬怯ませることには成功したものの、ルフィとゾロの連携でも有効打とはならなかった。

    しかしそのことでビッグマムの標的が2人へと切り替わる。


    「お前それ(ギア4)、そんないきなり使っていいのか?後でバテるんだろ」

    「使わずに勝てる相手じゃねェ!!何とかしておれが止めねェと、ウタの夢がメチャクチャになっちまう!!」

  • 172123/03/19(日) 22:57:25

    「ハハママママ……ちっとは強くなったのかい!?カタクリに勝ったからっていい気になるんじゃないよ!!

    何をそんなに必死なのかは知らねェが、まさかおれにまで勝てる気でいるんじゃねェだろうな!!」

    「うるせェ!!!ウタはおれの大事なダチなんだ!!!

    海軍にもお前らにも、あいつの夢の邪魔はさせねェ!!おれが絶対に守ってやるって決めたんだ!!!」


    (……ダチね……)


    「……ん?どうしたゾロ?」

    「……いや、何でもねェよ。

    まァおれとしちゃあお前個人にゃ何の恨みもねェんだが……何やらウチの船長が必死なんでな。

    今日死ぬ覚悟は出来てねェだろうが……不幸ってのはいつ降りかかるか分からねェモンだぜ?」


    「ハーッハハハママママ!!!2人揃って面白いことを言うガキどもだねェ!!

    いいだろう!!てめェらの息の根を止めてからゆっくりウタを探させてもらうとしようかねェ!!」

  • 173123/03/19(日) 22:58:46

    “ビッグマムの笑い声”
    文字に起こすのが難しいと聞く…


    本日はここまで

  • 174二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 23:29:56

    ルフィゾロvsビッグマム
    サンジvsカタクリ
    ジンベエvsクラッカー

    WCI終了時点だとジンベエぐらいしか勝ちの目が見えませんね…

  • 175二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 07:03:28

  • 176二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 08:01:08

    マムは黄猿がなんとか足止めしてくれなきゃキツすぎる
    多分枝もきてるからバルトロメオだけじゃキツいけど、まあそこはウタが眠らせればいいか...

  • 177二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 10:50:21

    枝とオーブンは寝てんじゃないの

  • 178二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 15:51:58

    早くルフィが落ち着いてウタの匂いを存分に嗅げるターンが来るといいね...

  • 179二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 23:12:22

    wkwk

  • 180123/03/21(火) 00:04:19

    バトル描写からはガン逃げしていく所存
    書けないので

  • 181123/03/21(火) 00:04:54

    ───────────────────

    「城に着いたべ!さあさあウタ様、おれを盾にして早く中へ!」

    「ありがとうロメ男くん!ロメ男くんも早く!」


    ルフィの仲間達を出した時、念の為にゴードンにもウタワールドから出て来てもらっていた。

    話し声に気が付いたのか、奥からゴードンが駆けつけてくる。


    「ウタ!大丈夫だったかい!?」

    「うん、何とか……ロメ男くんのバリアのお陰で」

    「ああ、ありがとう。君がウタをここまで連れてきてくれたんだな」

    「案内して下さったのはウタ様の方だべ!おれはこの身を盾にしてでもウタ様をお守りする所存だべ!」

    「あ、ああ、そうか……

    しかしどうしてここへ?ルフィ君達と一緒ではないのか?」

    「ルフィ達が逃してくれたの。海軍に捕まったらライブを中止にさせられるから、どこかに隠れてろって」

  • 182123/03/21(火) 00:07:54

    「それで城へ……確かに、ここなら隠れられる場所も沢山ある。一先ず奥へ行こう。

    ……しかし、ウタの言っていたことは本当だったんだな。ここからでもステージの様子は見えるが、海軍は本気でウタを……」

    「全くひでェ話だべ!海軍の連中ふざけやがって……


    ……しかしこの島、妙な島だべなァ?」


    「え……」

    「ステージにいた時は気がつかなかったけんど、この島建物はボロボロだし人っ子1人いねェべ。

    このでっけェ城もウタ様とゴードンさんが2人で暮らしてるんだべ?一体何だってこんなボロボロな島に……」


    「それは…………」

    「…………………」


    事情を知らない人からすれば当然の疑問。

    そんな疑問に私もゴードンも口籠ってしまったことで、ロメ男くんは何かを察したらしかった。

  • 183123/03/21(火) 00:11:00

    「……あ、あれ?おれ何かマズい事言っちまっただべか……?」

    「……何でもないよ。ほら、地下まで着いてきて」

    「お、おう!」


    そっか……エレジアに元々国があったってことをそもそも知らない人もいるのか。

    あんなことが無かったら、きっと今でもエレジアは華やかな音楽の都だったんだろうなあ。


    「……いや、待つんだウタ」

    「?」


    「今地下に着いてきてと言ったが……地下に行くのか?」

    「そうだけど……ダメかな?」

    「いやダメではないが……確かに地下室なら出入り口も一つしかない。バルトロメオ君の能力があれば籠城戦にももってこいの場所だろう。


    ……だが…………」

  • 184123/03/21(火) 00:14:04

    「……………………」


    ……もしかして顔に出てたかな。私が今何を考えてるかって。

    もしかしたら『アレ』が役に立つかもしれない。そんな考えが私の頭に浮かんでいた。


    「……い、いやお二方!こんな所で突っ立ってたら海軍に追いつかれちまうべ!

    後ろはおれが守るから、とにかくその地下室へ急ぐべ!」

    「ああ、すまない!ウタ、取り敢えずは地下室へ向かおう!」

    「うん!」

    ──────────────────

    「フゥ、何とか間に合ったべ。しかしすげェなここ!こんな本の山、おれ初めて見たべよ」

    「ここにあるのは歌や音楽の本、それからかつてこの地にあった国『エレジア』の昔の記録だ。

    殆ど手は入れていない。古くなって読めなくなっている本もあるかもしれないが……」

    「ほ〜ん、エレジアの……

    ……ん?国?この島に国があったんだべか?」


    「……そうだよ。12年前のある日まではね」

  • 185123/03/21(火) 00:17:37

    「12年って……まだ全然最近の話だべ?

    しかもその言い方じゃあ、ある日突然国が1つ無くなっちまったみたいな言い方だべ……まさかそんなことがあるわけ……」


    「………………」

    「………………」


    「…………あるんだべか?」



    「おい、こっちは探したか?」
    「地下はまだです!」
    「手分けして探そう!お前達は上階を調べてくれ!」

    「!!」

    「チッ、海軍の野郎どももう来やがっただべか!!でも声の数からしてそんなに人数はいねェな……

    ウタ様にゴードンさん、ここから動いちゃいけねェべ!!おれが片付けてくるまでここで暫く待っててくんろ!!」

  • 186123/03/21(火) 00:20:32

    ロメ男くんは鼻息荒く地下室から飛び出して行った。

    地下室に残されたのは、私とゴードンの2人だけ。


    私はくるりと振り向いて、地下室の最奥に封印されている『それ』の元へ歩き始めた。

    ここまで来るとゴードンも、私が何をしようとしているのか察してしまったらしかった。


    「……………………」


    外の音は聞こえないけど、中の音はよく響く。

    カツカツと鳴り響いているであろう私の足音。だけどその音は、私の耳には聞こえていなかった。

    その時私に聞こえていたのは、さっきルフィと密着していた時とはまた違う鼓動を刻む自分の心音。


    地下室に封じられていたその楽譜を手に取った所で、私の心音はこれ以上ないぐらい大きくなっていた。

  • 187123/03/21(火) 00:24:08

    「ウタ…………」

    「……ごめん、ゴードン。こんな楽譜、もう見たくなかったよね」


    サングラス越しのゴードンの視線が、私に深々と突き刺さる。

    困惑や悲しみ、怒り……様々な感情が複雑に織り混ざった視線。もしかするとゴードン自身にも、自分の感情は分かっていないのかもしれない。


    「…………お前が日がなその楽譜に自分の歌を聞かせていたのは知っている。

    心優しいお前のことだ。トットムジカにも寄り添い続けたお前なら、そう思ってしまうのも無理はない……」

    「………………」


    「……しかしその楽譜は……トットムジカは、何十年も何百年も積み重ねられてきた、歌を愛する者達の負の感情の集合体なんだ。

    ……いくらお前が素晴らしく優しい心を持っていると言っても……

    10年少し寄り添ってきたところで、その負の感情を絆せるとは……私には思えないんだ……」

  • 188123/03/21(火) 00:27:53

    「ゴードン……」


    ゴードンの心配は尤もだ。この楽譜が歩んできた歴史に比べれば、私がやってきたことなんてきっと大したことじゃない。

    そもそもこのトンチキな存在に絆される情なんてものがそもそも存在するのかもわからない。


    「それに……」

    「?」


    「もし制御しきれずにまたトットムジカが暴れてしまったら……また大勢の人が亡くなってしまう……

    加えて今回は、何も知らずに歌ってしまったあの時とは違う。今のお前にはそれを『使おう』とする『意志』がある。

    歌えばどうなるか分かった上で、自分の意思で使った上でそんな被害を招いて仕舞えば……

    お前はきっと、言い逃れのしようもない大悪党となってしまう。


    そんなこと、私には耐えられない。誰よりも優しいお前が、世界を幸せにできる歌声が、そんな大罪を被ってしまうことなど……」

  • 189123/03/21(火) 00:31:10

    「……………………」

    「ルフィ君達の力になりたいのは分かる。もしそれを使いこなせるようなら、大きな戦力になるだろう。

    だがそれは……あまりにもリスクが大き過ぎる。お前が今まで積み上げてきた努力を一瞬で全て無に帰してしまう程に……」


    奥歯を噛み締めるゴードンは、それ以上は何も言わない。歯軋りする音が聞こえてきそうなくらいだった。

    こんな時でも私の心配をしてくれる。それなのに私は……


    「…………ゴードン」



    「これでヨシ!さあお二方、今し方来た海軍どもはおれが……アレ?」


    このタイミングでロメ男くんが帰ってきてくれたのは幸運だった。

    きっとこれ以上は沈黙に耐えられなかったから。



    「………………ごめんなさい」


    困惑するロメ男くんを横目に、私はそれだけ言って掲げていたその楽譜をそっと下ろした。

  • 190123/03/21(火) 00:34:07

    ───────────────────

    ルフィとゾロの2人を持ってしても、ビッグマムとの実力差は如何とも埋め難く。

    三将星やペロスペロー、コンポート等の実力者に阻まれ、他の一味の助太刀も望めない。

    特にルフィは最初からエンジン全開だった為、既に満身創痍に近かった。


    「しっかりしろルフィ!!こんな所でくたばるつもりか!?」

    「くっ……そォー!!まだだ、まだ負けて……」


    「破々刃ァ〜〜!!!!」

    「!?」


    ガギィン!!


    咄嗟の武装色で受け止めるも、鍔迫り合いは最初からビッグマムが優勢。

    ルフィは吹き飛ばされずに何とか踏ん張っているだけの状態だった。

  • 191123/03/21(火) 00:37:21

    「ぐぬぬぬぬ……!!」

    「さっきまでの威勢はどうした麦わらァ!!!大層なことを言って結局何も守れないのかい!?」

    「うるせェ……おれは……!!」


    「オラァ!!!!」

    「!!!?」


    押し切られる形でルフィが吹き飛ばされる。それとほぼ同時に、遂にギア4が解けてしまった。

    膨らんでいた身体は風船のように萎み、吹き飛ばされた先で力無くその場に倒れ伏す。


    「ルフィ!!!」

    「くっ……そォ…………!!」


    「ハーッハハハママママ!!!まずはおめェから寿命を頂くと…………ん?」

    「…………?」



    ビッグマムとルフィが『それ』に気がつくのと、どこからか禍々しくも美しい歌声が響き始めたのは、ほとんど同時のことだった。

  • 192123/03/21(火) 00:38:18

    ── ᚷᚨᚺ ᛉᚨᚾ ᛏᚨᚲ ᚷᚨᚺ ᛉᚨᚾ ᛏᚨᛏ ᛏᚨᛏ ᛒᚱᚨᚲ ──

  • 193123/03/21(火) 00:42:35

    本日&このスレはここまで

    さていよいよ大詰めだ

  • 194二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 02:41:35

    制御できるかわかんないけどウタワールドにいる戦力足りる?

  • 195二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 06:14:27

    このレスは削除されています

  • 196二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 06:15:24

    ネズキノコ食べてないし、最悪頭をポカッと叩いて気絶させればワンチャン?
    時間経つとトットムジカがウタを体内に取り込んでくる?
    ...スッー

  • 197二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 12:51:40

    まもなく完走🏃‍♀️

  • 198二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 23:26:10

    コンポートも来てるんだ…

  • 199123/03/21(火) 23:26:10
  • 200二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 23:43:33

    埋まりそうだから感想控えてたけど今なら言える
    めっちゃ面白い

オススメ

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