焚き火カフェss|ドリップを 緩やかに 軽やかに

  • 1二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:30:13

    (スレ画は他のスレで描いていただいたカフェです。ありがたいことに使わせていただけることになったのでssを書きました。)

    ウマ娘のSSに挿絵を描くスレpart2|あにまん掲示板自分の好きなSSスレの挿絵を描いて貼る・または依頼するスレです。(自薦他薦は不問)前スレhttps://bbs.animanch.com/board/164368/※注意ガイドラインは遵守しましょうS…bbs.animanch.com


    冴え渡るような11月のある日の昼休みのこと。

    昨日、ネットで買ったコーヒーフィルターが届いたので、せっかくだからカフェを誘おうと思い、今日はトレセンに持ってきた。

    ちょっといいやつで、豆も合わせて買ったので、いまから楽しみである。

    そんな事をトレーナー室で考えていると、休憩していたカフェに声をかけられた。

    「…トレーナーさん…。何か…ありました?」

    ─え?どうして?

    「いえ…。……あの、いつもより……楽しそうなので…。」

    どうやら態度にでてたらしい。

    ─うん。実はね、コーヒーフィルターを買ったんだ。それもちょっと変わってるやつ。

    「…ちょっと変わったフィルター、ですか…?」

    ─うん。だから、今日はトレーニングが終わった後で、カフェと飲もうと思って。ドリップコーヒーを。

    「……そうですか。」

    ─それが楽しみで、態度に出てたみたいだね。

    「…そんなに楽しみ…なんですね。ドリップを飲むのが。」

    ─うん。君と飲むのが。

    「……あなた、ほんとに…。……じゃあ、早く終わらせましょう。今日のノルマを…。」

    と言って、カフェは机の上に散らばっている資料を片付け始めた。尻尾を降りながら。


    というわけで、今日はドリップコーヒーです。

  • 2二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:31:02

    ─こちら今回買ったフィルターです!
    「これは………硬い、ですね。…もしかして、陶器、ですか?」
    ─そう、これは有田焼の技法で作られたコーヒーフィルター、だそうです。紙のフィルターと違って何度も使用できる優れもの。「世界一受けた○授業」で紹介されてて、思わず買っちゃった。
    「へぇ……。そうなんですね。……しかし、これはコーヒー粉で詰まったり、しませんか?」
    ─その場合は、直接火にかけるといいみたいだよ。代わりに、洗剤で洗うのはやめた方がいいらしい。
    「なるほど…。焼き物ですから、火には強いんでしょうね。」

  • 3二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:31:40

    「…今日はいつものケトルだけじゃないんですね。」
    ─そうだね。このケトルだとお湯が一気に出ちゃうから、口の細いケトルと、あと、コーヒーを淹れるためのガラスのケトルだね。
    「そうですね。…ゆっくりと、繊細に、淹れないといけませんから、ね。」

  • 4二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:32:23

    ─じゃあいつものように火にかけていくね。
    「はい。」
    ─………。
    「……。」
    ─…中々沸かないね。…寒いから。
    「………そうですね。…でも、この、ケトルが、火で照らされている時間、好きですよ。」
    ─良かった。…俺も好きだよ。
    「……。はい。」

  • 5二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:33:10

    「あっ、トレーナーさん。音が。」
    ─ほんとだ。ケトルの口からも煙が出てるね。沸いたみたいだ。
    「では、一度冷ましますか?ドリップコーヒーは93〜95°のお湯が良いとされてます。」
    ─うん。冷ますのも兼ねて、こっちのケトルにお湯をうつそう。
    「そうですね。では、ガラスのケトルにも一度淹れますか?」
    ─そういえばあっためないとだっけ?そうしよう。
    「…ふふっ。」
    ─どうしたの?
    「いえ、…急に忙しくなったなと思いまして。」
    ─そうなの?
    (若い子のつぼってわからないな…。)

  • 6二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:33:56

    ─よし、器具もあったまったし、フィルターにコーヒー粉を入れるね。
    「はい。…うん。良い香り。」
    ─そうだね。粉の香りは淹れた後とはまた違う気がして良いよね。
    「はい。…コーヒーを自分で淹れる利点は、この、粉の状態の香りを嗅ぐことができることが、大きいと私は思います。それくらい、良い香りです。」
    ─確かに。
    「では入れますね。」
    ─それにしてもドリップの粉って荒いね。
    「そうですね。この間のトルココーヒーの粉が、ココアパウダーだとすれば、こちらはザラメ糖でしょうか?それくらい違う気がします。」
    ─面白い例えだね。
    「…どうも。」

  • 7二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:34:27

    ─では、お湯を注ぎます。
    「……(ワクワク)」
    (耳が動いてる……。可愛い。)
    「……トレーナーさん。集中してください。」
    ─あっ、はい。ごめんなさい。

  • 8二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:35:10

    ─よし、膨らんだ。
    「…(じっー)」
    (めちゃくちゃ眺めてる。)
    ─よかったら、お湯を注ぐの交代する?
    「……いいんですか?…では、お言葉に甘えて。………ここからは萎むのをゆっくりと待ちながら、少しずつ、優しく、お湯を回しかけていきます。」
    ─おお。流石に手慣れてるね。
    「ええ。まあ、……飲むのもそうですが、淹れるのも好きなので。」
    ─これも、ドリップの魅力の一つだね。
    「はい。そうですね。」

  • 9二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:35:39

    ─完成、だね。
    「ええ、…では、飲みましょう。」

  • 10二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:36:07

    ─うん。美味しくて、飲みやすいね。
    「はい。……香りがよくて、とてもすっきりとした口当たり。苦味が軽く、すっ、と飲めます。…味、コク、といったものはやはりエスプレッソの方がいいですが、エスプレッソにないドリップの良さは、やはりこの軽さですね。とても飲みやすいくて、これなら何杯でも飲めそうです。」
    ─そうだね。エスプレッソは重いから、「これから飲むぞ!」って準備してから飲まないと、ちょっときついけど、ドリップはもっと気軽に、それこそお茶でも飲むように飲めちゃうのがいいね。
    「はい。……美味しいです。」

  • 11二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:36:31

    炭化がすすんだ薪たち。
    時折弾ける火花と、星の煌めく空を眺めながら、ゆっくりと流れていく時間に身を任せる。

    ─……、カフェ。
    「…なんでしょう。」
    ─……改めて、菊花賞、おめでとう。…すごく、嬉しかった。
    「……トレーナーさん…ありがとうございます。私は、…あなた達を信じてよかった。」
    ─うん。……次は有馬だね。
    「はい。…まだまだ先は長いですが、……改めて、よろしくお願いします。」
    ─……そうだね。君があの子を追い越すまで、(…そしてできればそれからも)…よろしくね。

    空気の、冴え渡るような夜のこと。

  • 12二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:38:02

    今回はドリップコーヒーでした!
    あと絵を描いてくださった方、本当にありがとうございます!昨日から眺めてはにやにやしてました。

  • 13二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 18:47:05

    寒くなってきたから焚き火は気持ち良さそう…
    あと焼き物のフィルターとかあるんだ

  • 14二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 19:20:35
  • 15二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 01:58:29

    時間がゆっくり流れてる感じですごく和めました!
    インスタントコーヒーしか淹れたことないけど、コーヒーって少しの手間で味が変わって面白いですよね

  • 16二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 07:39:46

    素晴らしい出来でした。

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